チラシ企画考

体験的-チラシ企画考(その2)

商品鮮度の良し悪しが大事なように、販促セール企画も鮮度が重要です。グッドタイミングの販促セール企画を打たねば効果を上げることはできません。そのために、なんとしても解決しなければならない一つに、販促セールチラシ企画~チラシを打つまでに要する時間(日数)を出来うる限り短縮化するということがあります。販促セールチラシに掲載する中身、商品原稿を、90日前、60日前、40日前とかに提出しなければならない店が少なくありませんが、これは考えものです。販促セール企画チラシの内容と実施日は、前もって決めておくとしても、そのチラシへの掲載商品品目、本数、値組みなどの原稿提出の締め切り日を、可能な限り、実施日ぎりぎりまで期日を待てる体制をつくる必要があります。

ファッショントレンドの短サイクル化、商品売行き動向の先行き不透明、異常気象・季節・天候のめまぐるしい変化、こういう事態に対しては、販促セール企画も柔軟に対応していく必要があります。このような変化が考えられる場合、その90日も前、60日前、40日前に、何(商品)が売れるか、何枚売れるか、いくらの売価なら売れるか等を予測することはかなり難しいことです。7日~10日ぐらい先のことであれば、比較的「当る予測」ができるかもしれません。しかし、数十日先のことを高い精度で予測することは極めて困難です。何十日も先の販促セール企画を自信を持って立てることなど、とてもできないと思います。販促セール企画の中身と、その実施日は既に決まっているのだから、「なにがどうあれ、決行」というような、極めて硬直的な販促セール企画の進め方は厳禁です。

販促セール企画に掲載する商品品目を決め、その商品の仕入れ活動をする前に、メーカー・卸問屋の在庫状況、競争相手の店の品揃え、在庫、売場の状況、そして、市場調査を十二分に行わなければなりません。これは、「適品商材」の仕入れ、そして、販促セール企画に「適品=売れる商品」を掲載・提供するための絶対必要条件です。そうすれば、「生きのいい商品手配」と、ジャストミートした販促セール企画チラシが出来るはずです。

販促企画担当者のなかには、お役所仕事的なやり型をする人が、思ったより沢山いるのを見ています。「チラシ掲載商品の値組み等の原稿提出の締切日から、校正、印刷、散布までには、どうしても最低40日はかかるんです」などと言って、頑として、販促セール企画チラシ予定を変えることは絶対にできないと拒否したりします。天候がどうあれ、商品状況がどうあれ、「もう、決めてしまった販促セール企画だから、絶対に変えられない」、こんなことを大声で言う、売場知らず、商品動向知らずの販促企画担当者は必要ないと思います。タイミング、スピード、柔軟性、この3つは、販促セール企画にとってとても重要ことだからです。

「売れなくなった」といって、販促セールチラシを、やたら頻繁に撒く店があります。食品スーパーマーケットでは、よく見られるケースですが、1ヶ月、まるまる休みなくセールで埋まっていることがあります。毎日、チラシセールをやっているわけです。とにかく、セールチラシ回数を多くすることが販促企画力だと考えているような店のことですが、こんな店は、もう末期症状と言ってもいいかもしれません。1ヶ月に、10本も、15本も、販促セール企画チラシを打って、「当る企画、売れる販促セール企画」ができるでしようか。大体、販促セール企画チラシ掲載商品に、「本当にお値打ちのある商品」を、毎日探しくることのできる商品仕入担当者は、そうはいません。衣料品であれば、月に一、二度、お値打ち品が手に入ればいい方です。販促セール企画を効果あるものにするには、セールチラシ回数が多いことではなく、企画立案と、商品探しにタップリ時間をとることなのです。セールチラシの乱発で儲かるのは、印刷所と、新聞配達所ぐらいです。店にとって「良いこと」は、ひとつもありません。

販促セール企画チラシ本数が増えれば増えるほど、セールチラシ掲載商品の「売れ残り品」も増え、売場は「不振商品の山」となってしまいます。それも、始末の悪いことに、値下げしてもなかなか売れない下積み商品在庫ばかりになってしまう恐れがあります。そのため、値下げが増大し、粗利益率は著しく低下、商品回転率も悪化、品揃えは大きく崩れとしまう。この悪循環で、店には「良いこと無し」、お客の信頼を大きく失うハメになります。それを避けるためには、販促セール終了後に、その結果を詳細に分析し、反省点、改善点を整理してまとめておく必要があります。セールチラシ掲載商品品目ごとに、少なくとも以下の点を徹底分析しておくべきでしょう。

①品目別商品投入数量、②品目別、セール期間内・販売数量実績、③品目別・セール終了後・売れ残り数量、④品目別残品率、消化率、⑤品目別・セール期間内・獲得粗利益額、⑥品目別・セール終了後の品目別・残品処理方法と、それに必要な値下げ額

おそらく、想像を絶する「売れ残り残品率:(=セール期間内・販売数量÷セール期間内・商品投入数量)」を発見することになると思います。セール掲載商品の「セール終了後・売れ残り残品率」が、40%以上、さらに、60%を超えるというチラシ掲載商品品目がかなりあるからです。「いかに売れていないか」、「いかに完売した商品品目が少ないか」が分かりビックリしている店が沢山あります。それほど、「魅力の無いチラシ掲載商品品目が多い」ということです。そんなことのないよう、くれぐれも注意したいものです。

衣料品商売では、月間・販促セール企画チラシ本数を、できるだけ少なくしたほうがベターです。多くても6本~7本、経験論的には、月に3本~4本で十分です。その、3本~4本の販促セール企画チラシの中身を濃くすることです。「セールチラシ乱発は店をダメにする」、これを忘れて潰れた店が結構あるからです。そんな悲劇はなんとしても避けたいものです。

  体験的-チラシ企画考  (完)

体験的-チラシ企画考(その1)

売場管理・商品管理密度の低い店、そして、数値管理能力不足の店には、販促セール企画力は無いものです。また、乱雑な売場、手入れの行き届いていない陳列・演出、そんな店では、販促セール企画だけでなく、何をやっても効果はありません。店と売場の現状把握が「いい加減」な店は、仕入も「あまい」し、「今、何に重点を置いて販売すればいいか」も分かっていません。したがって、販促セール企画も”おざなり”なものになってしまいます。販促セールチラシも「当る」ことはありません。販促セール企画、その他の販促企画等も、すべて、「なんとなくやっている。はっきりした目的もなにも無い」からです。

競争相手の店の販促企画、セールチラシを徹底して分析するとか、品揃え、売場づくりを細かく調べ上げて対応策をとることもめったにやりません。「当る販促セール企画」は、情報収集力とその分析力、販売力(売る力)、仕入力、この3つが揃ってこそ生まれるものです。この3つの力のバックアップが必要なのです。

売れなければ、せっかくの販促セール企画も意味がありません。販売力、仕入力の背景が無い販促セール企画は、いくらやっても無駄というのです。せっかくの販促セール企画を、「あまり効かなかった。売れなかった」では済まされません。人の知恵と時間とお金の「ムダ使い不感症」にならないよう常に戒めねばなりません。

「売るための仕掛けづくり」をしっかり構築したうえで、販促セール企画を展開すること、これが「当る販促セール企画」成功の鍵なのです。

売って儲けてこそ商人です。商売です。売れない、儲からない店は「存在価値が無い」といってもいいかもしれません。競争の激しい「今」の時代、売上も簡単には伸ばせない時代の今こそ、商店経営、商売の原点を、はじめからじっくり考え直す必要があるのではないかと思います。販促セール企画にも同じことが言えます。

今は、確かに、チラシも、DMも、とても「綺麗」です。紙質もいいし、カラーも、写真もいい。2色刷り、赤黒2色だけ、文字だけの販促セールチラシなどは「時代遅れ」のように見られてしまいます。「そんなセールチラシでは店のイメージが悪くなりますよ。お客も来てくれません」と言われるような気がして不安になったり、また、「やっぱり販促セールチラシは、カラーで、写真入りで、いい紙でないとダメか」と悩んでいる人もいます。販促セールチラシは「中身が大切。中身で勝負」のはずなのに、体裁のほうに頭がいってしまっているわけです。それは、「見た目もきれいで、美しい販促セールチラシ」にするに越したことはありませんが、綺麗な販促セールチラシだから「売れる」というわけではありません。品揃え、しっかりした売場づくりを放っておいて、販促セールチラシだけ「カッコつけ」てもダメだと思います。

「売上を上げるため、集客アップのため」という明確な目的を持った販促セール企画づくりに取り組まねばなりません。多色刷りで、綺麗なカラー写真掲載、「でも、さっぱり効かないセールチラシ」をつくっても、なんの意味も、なんの価値もありません。「売れない販促セール企画」を、やみくもに打ち続けることは、即刻、止めにしたいものです。