資料室:大手GMS・直営衣料部門の「在庫回転と値下ロス率」

大手GMS・直営衣料部門の「在庫回転と値下ロス率」--(資料メモ

■企業名(イオン・イオンリテール)の直営衣料部門

 年 度   年在庫         値下げ  粗利益   3.3㎡当り

        回転数 (日 数)   ロス率   率%   年間売上高

2007------4.8回(76.0日)--18.6%--37.9%--1752千円

2008------4.7回(77.7日)--21.3%--37.5%--1729千円

2009------5.2回(70.2日)--22.4%--37.6%--1745千円

■企業名(ユニー)の直営衣料部門

2007------5.7回(64.6日)--17.9%--36.9%--1775千円

2008------5.5回(66.3日)--17.9%--37.0%--1709千円

2009------5.1回(71.9日)--18.0%--36.6%--1620千円

■企業名(イズミ)の直営衣料部門

2007------5.2回(70.6日)---9.9%--38.1%--1841千円

2008------4.9回(74.5日)--10.4%--37.8%--1750千円

2009------4.8回(76.7日)--12.7%--37.1%--1732千円

ファッションセンターしまむら

2007------9.5回(38.4日)--7.5%--30.3%--1071千円

2008------9.0回(40.5日)--7.5%--30.7%--1042千円

2009-----10.4回(35.1日)--6.0%--31.0%---990千円

二人の優れた実務研究家が「在庫」について言っていること。

在庫はアパレルにとって重要な指標である。それはオペレーションの結果が全て在庫にあらわれるからである。(岩島嗣吉氏:「衣料品業界におけるサプライチェーン・マネジメントクラフィケーションマーチャンダイジング」講演録より

彼ら(Wal-Mart)の最大の関心事は、店頭及びプロダクト・パイプライン上の「在庫効率」であり、それを取引先との協働戦略を展開することによって、どう最適化を図るかがSCMの狙いだった(岩島嗣吉氏:IBM-米国小売業の動向から学ぶ-第5回「米国小売業界とそのシステム戦略の動向」より)

在庫にはすべての経営能力・資源、もたらされる成果が凝縮されている。(邊見敏江氏著:「イトーヨーカ堂 顧客満足の設計図」より

経営の質は在庫回転率に反映される。(邊見敏江氏著:イトーヨーカ堂 顧客満足の設計図」より

それにしても、大手GMS・直営衣料部門の「商品回転率の遅さ」と「値下ロス率の高さ」には驚きます。GMS各社は、必死になって「衣料部門改革」に取り組んでいるようですが、はたして、どこまで改善・改革を進めることができるでしょうか。「改革の道のり」は長く、多くの困難をともなうものと思われます。GMS各社が、その困難を乗り越え、衣料品部門改革に必ずや、成功することを期待したいものです。

先にあげた大手GMS3社の、①3.3㎡当り年間売上高と、②年間在庫回転率(数)、そして、③売場坪当り平均在庫高、これらを、ファッションセンターしまむらと比較しますと、GMSと「しまむら」の差は歴然です。低価格+高速回転の商品経営、それを支える「徹底したローコスト経営」、はたして、大手GMSは、どこまで、この「しまむらの仕組み」に近づくことができるのでしょう。はたまた、「別の生きていく道」を求めていくのでしょうか・・・・。

 資料-大手GMS・直営衣料部門の「在庫回転と値下ロス率」を見て感じたこと 完

|

業界動向:ファッションセンターしまむら&ユニクロ(国内)-都道府県別売上高比較から考える

ファッションセンターしまむら&ユニクロ(国内)の都道府県別売上高等比較

「ファッションセンターしまむら」と「ユニクロ(国内)」、この2者の「生き方」は異なりますが、衣料品小売業界においては、常にその動向が注目される有力小売企業です。また、超優良企業との高い評価もうけています。この2社、小商圏対応型店舗を展開するディリーファッションストア・「ファッションセンターしまむら」と、SPA(製造小売業)型・衣料専門店チェーンを展開する「ユニクロ(国内)」の「都道府県別売上高、店舗数」等を比較することで、それぞれの企業の「ある側面」、企業の特徴というものをと考えてみました。

001■(表-1)は、ファッションセンターしまむら(以下、しまむらと略)とユニクロ(国内)の都道府県別年間売上高比較グラフです。この2社の比較グラフから、大都市、都心部に重点的に店舗を展開する「ユニクロ」と、地方中都市郊外、小都市、町村に、ディリーファッションストアとして小商圏対応型店舗を展開している「しまむら」、この2社の「ちがい」がはっきりの見てとれます。その「ちがい」の大きさ、とくに、際立った特徴を数字で示せば以下のようになります。(2008年度の比較)

004しまむらとユニクロ-大都市における2社の比較

都道府県名 し ま む ら(S)  ユニクロ(U)  S-Uの差額

        年間売上高     年間売上高    (百万円)

東京都---9442(百万円)--66846(百万円)-▲57404

神奈川県--13511-------38714---------▲25203

006

    

愛知県---17114(百万円)-25233(百万円)-▲ 8119

大阪府----5496---------35703-------▲32207

兵庫県----8619--------20440--------▲11821

神奈川県には「横浜市」、愛知県には「007名古屋市」、兵庫県には「神戸市」等の大都市があります。東京都、大阪府、及び、神奈川県、愛知県、兵庫県、これら1都1府3県における「しまむらとユニクロの年間売上高」を比較しますと、しまむらは売上高で、ユニクロに約1325億5400万円もの差をつけられています。これは2社の「生き方」のちがいを、とてもよく表している数字ではないかと思います。また、しまむらが、ここ数年、東京都と神奈川県、そして、他の大都市等への出店を重要な戦略として押し進めているのも分かるような気がします。さらに詳しい、全国、都道府県別の「しまむら&ユニクロ」の年間売上高、都道府県別売上高構成比、期末店舗数とその構成比、これらを(表-4)にまとめておきます。さらによく分かります。

009

■(表-5)には、しまむら(単体)の、新規出店店舗の1店平均売場面積、全店(既存店+新店計)1店舗平均売場面積、平均年間売場坪当り売上高等をまとめています。そして、この表からは、全店計レベルでみた「しまむらの標準店舗」は、売場坪数約309坪、年間売場坪当り売上高約104.2万円、年間売上高約3億2200万円、という姿などがみえてきます。また、(表-6)に、ユニクロの出店戦略の考え方、店舗規模に関するものを簡略にまとめました。(表5)、(表6)をじっくり見

013

みていただけば、なお一層、しまむら、ユニクロ、それぞの「ちがい」と特徴が読み取れることと思います。いままでに、(表1)~(表6)まで、あれこれ、しまむら、ユニクロ、この2社比較をしてきましたが、それは次の話のための前段としてどうしても必要だと考えたからです。次の話というのは、(表-7)にまとめた、「しまむらvsユニクロ-2社の売上比・賃借料・家賃比率比較」から、しまむらの今後の出店戦略、とくに、東京都や、他の大都市都心部への出店がどうなるのだろうという話です。

015

ユニクロ(国内)の2008年度における、①全店平均年間売場坪当り売上高は約292万円、②売上比/家賃・賃借料比率は約7.9%。これをもとに計算すると、ユニクロの全店平均の月間売場坪当支払賃借料・家賃は、約19223円。ユニクロは大都市都心部に多数、店舗を展開していますので、全店平均でも、このように高い年間売場坪当り売上高をあげ、また、高い月間売場坪当り賃借料・家賃も支払っているわけです。もし、しまむらが、ユニクロと同じような大都市都心部という生産性の高い立地、すなわち、高い坪効率(年間売場坪当り売り下高)をあげられる、一方、売場坪当り支払い家賃も高いという場所への出店を考えるとすれば、すくなくとも、ユニクロレベルの売場坪当り賃借料・家賃は飲みこまなければならないのではないかと思います。

しかし、しまむらが、その「出店の掟」(・・のように見える)-「売上比支払家賃比率は5%以内、これを絶対に破ってはならない」-、この「掟」を厳守するとすれば、

①2008年度、ユニクロの全店計平均月間売場坪当り賃借料・家賃は約19223円、

②年間換算すると、19223円×12ヶ月≒23万676円(年間売場坪当り賃借料・家賃)

③しまむらが、これと同額の年間家賃を、売上比5%で支払うとすれば、

④しまむらの必要年間売場坪当り売上高は、

 23万676円÷0.05≒必要な年間売場坪当り売上高461.3万円、となります。

2008年における「しまむら」の全店平均年間売場坪当り売上高は約104万2千円ですから、これを460万円以上にするというのは、そう簡単なことではないように思われます。しまむらが、東京都・JR山手線・高田馬場駅前店では、年間売場坪当り売上高300万円超をあげているらしい、という業界通の話も聞きますが、それでも460万円にはとても届かない数字です。はたして、しまむらは、大都市都心部に店を出す場合、どんな条件設定をするのでしょうか、とても、興味のあるところです。

もしかしたら、売上比/賃借料・家賃比率5%以内ルールを、大都市都心部への出店に限り「緩和」するという考えをとるかもしれません。また、大都市都心部への出店は「全く、興味も、関心も無い」という考えをもつかもしれません。東京都、神奈川県への出店を積極的に押し進めるという出店戦略を重視するとしても、新宿、渋谷、池袋、原宿などへ店を出すとは考えない。都心部へ出店するとしても、その条件設定は、上限値でも、年間坪当り売上高300万円、売上比・家賃比率5%、月間売場坪当り家賃は12500円=(300万円×0.05)÷12ヶ月)、これくらいまでだと考えているかもしれません。一体、どのような考え方をとるのか、それを知る術も、伝手もありません。しかし、これは当方の勝手な想像ですが、大都市都心部出店に限っては、「家賃比率5%」ルールをすこし緩和し、出店することもあるのではないかという気がしないでもありません。ともかく、しまむらが、今後、大都市都心部に出店するかどうか、その場合、どのような条件設定をするのか、大いに注目しています。(しまむらユニクロの「ある側面を比較」しながら、こんなことを考えました)

ファッションセンターしまむら&ユニクロ(国内)-都道府県別売上高等比較から考える 完

|

新店舗情報:「ベイシアスーパーセンター野田さくらの里店」-09年9月5日開店

■「ベイシアスーパーセンター野田さくらの里店(千葉県)-09年9月5日開店

ベイシアグループのスーパーセンター業態の34号店、「ベイシアスーパーセンター野田さくらの里店」が2009年9月5日オープンしました。この商業施設の概要は以下のとおりです。

所在地---千葉県野田市桜の里2-1、売場面積8500㎡≒2571坪、駐車場収容台数599台(隣接地のベイシア電器・さくらの里店-売場面積2500㎡の駐車場台数含む)、敷地面積35956㎡≒10876坪、建物--鉄骨造り1階建て(屋上駐車場あり)

001ベイシアの発表では、この「ベイシアスーパーセンター野田さくらの里店」は、全国では34号店、千葉県下では8号店とのことです。食・衣・住、総合フルライン構成のNSC型商業施設ですが、その隣接地には7月に先行開店したベイシアグループの「ベイシア電器店」があります。したがって、商業施設としての売場面積は、この2店合計、約11000㎡≒3327坪となります。近隣型商業施設としては商業集積力も高く、かなり強力な集客力を持ったSCと言えます。ベイシアが見込む商圏人口は、1次商圏で約34000人、2次商圏約56000人、想定商圏内計約15万人。

002

「ベイシアスーパーセンター野田さくらの里店」の初年度売上高見込みは未発表ですので不明ですが、SCの売場坪数約2571坪から考えますと、売場坪当り年間売上高を200万円と見て、初年度売上高・約50億円くらいは考えているでしょう。しかし、もしかしたら、この見方は「あまい」見方かもしれません。というのも、このSCの半径約1㎞に、有力食品スーパーマーケット「ヤオコー」を核店舗とした商業施設、「ウニクス野田」SC(売場面積6029㎡≒1823坪)が存在しているからです。

005「ベイシアの食品スーパーマーケット」対「食品スーパーマーケットチェーン・ヤオコー」 、この2者の戦い如何が、二つのSCの命運を握っていることは間違いないと思いますが、さらに加えて、衣料品分野の戦い如何も大きな影響を持っているのではないかと考えています。「ベイシアスーパーセンター野田さくらの里店」の総売場面積のなかに占める衣料品売場が約3分の1とかなり大きく、この部分の売上が低迷すれば、SC全体に無視できない大きなマイナス影響を及ぼすからです。

009「ベイシアスーパーセンター野田さくらの里店」から半径約1㎞にある量販総合フルライン衣料品店は、しまむらグループの「つつみ野ファッションモール(売場面積2041㎡、ファッションセンターしまむら+アベイル+バースデイ)」の中にある「しまむら・つつみ野店(平成16年8月開店、売場面積1269㎡)」と、サミットコルモ・衣料館コルモピア・ウニクス野田SC(売場面積1222㎡、2004年8月開店)、この2店があります。ベイシアの直営衣料部門にとって、この2店は相当手強い競争相手です。おそらく、ベイシアの直営衣料部門は売上高確保にかなり苦労することが考えられます。その理由を以下のとおり。

「ベイシアスーパーセンターさくらの里店」が1次商圏で見込んでいる商圏人口は約34000人(千葉県野田市の1世帯当平均人員は約2.58人ですので、世帯数でみた商圏人口は約13178世帯)。

ディリーファッションストアが対象にできる1次商圏内の「衣料及び衣料関連品」の年間消費支出は約20万円、これをベースに1次商圏内の年間需要額を推計すると、商圏人口・約13178世帯×1世帯当り年間消費支出額20万円≒26億3560万円。

この1次商圏内で、ディリーファッションストアが対象にできる「衣料及び衣料関連品」の年間需要額推計・約26億3560万円に対して、(イ)ベイシアスーパーセンター桜の里店の直営衣料部門」、(ロ)ファッションセンターしまむら・つつみ野店、(ハ)サミットコルモ・衣料館コルモピア・ウニクス野田SC店、この3店で30%の売上シェアを奪うとしますと、その3店合計の年間売上高は、約7億9000万円。(イ)、(ロ)、(ハ)、3店の衣料品売場坪数合計は約1450。単純計算ですが、3店合計の平均年間売場坪当り売上高は、7億9000万円÷1450坪≒54万円となります。この売場効率では、3店の衣料品部門は全滅というか、経営的に成り立ちません。

もちろん、3店が全く同じような年間売場坪当り売上高だったというようなことはめったにありません。したがって、この3店の、どこかの店が54万円より高く、どこかの店が54万円以下の年間売場坪当り売上高になるわけですが、「ベイシアスーパーセンターさくらの里店の直営衣料部門」の年間売場坪当り売上高が、しまむらとサミットコルモ、二つのこの手強い店を競争相手にして、54万円をはるかに超えた年間売場坪当り売上高、たとえば、90万円とか、100万円を確保することは決して容易なことではないと思われます。

以上のようなことを考えまして、「ベイシアスーパーセンター野田さくらの里店」の成否のカギは、食品スーパーマーケット分野における勝敗だけでなく、衣料品分野での戦いの勝敗、この二つが大きな「カギ」になると言った次第です。「ベイシアスーパーセンター野田さくらの里店」の開店、1年後の売上高がどうなるか、とても、興味のあるところです。それはともかく、「ベイシアスーパーセンター野田さくらの里店」の半径約1㎞内における、ディリーファッションストアの生き残り競争は熾烈を極めることになるでしょう。その意味では、注目すべきクリニック視察対象地域のひとつです。国内最多のスーパーセンターを展開しているベイシアの衣料品部門と大手ディリーファッションストアの戦いをつぶさに見ることができるからです。是非、視察に行かれることをおすすめいたします。

「ベイシアスーパーセンター野田さくらの里店」-09年9月5日開店  完

|

業界動向:東京都地区におけるディリーファッションストア大手の勢力図

ファッションセンターしまむらの東京都地区制圧作戦はどこまで進んでいるか?

ファッションセンターしまむらが「東京都地区への積極的出店と侵攻作戦」を言いだしたのは、確か、4、5年前のことだったように思いますが、その後、どうなったか、ここで、一度、確認しておく必要がありそうです。まず、東京都地区における現在(2009年7月時点)のディリーファッションストア大手4社の店舗数は次のとおり。

ファッションセンターしまむら--------21店

サミット・コルモ(衣料館コルモピア)--21店

パシオス(田原屋)-----------------8店

サンキ(ファッション市場サンキ)------4店

東京都地区におけるファッションセンターしまむらの平成15年2月期末の店舗数は11店舗でした。したがって、その後の6年間で10店舗を増やしたことになります。これで、東京都地区に重点的な店舗展開と出店をしているサミット・コルモと同数の21店舗になったわけですが、ここが注目すべきところです。東京都地区における出店開発はコストも高く、ファッションセンターしまむらの厳しい出店条件にピタッとかなう物件がなかなか見つからないということもかなりあるようで、この地区における店舗数も、年単位で見ると「微増」しかできない、というのが現実の姿ではないかと思います。しかし、あと数年先には、東京都地区においては、「ファッションセンターしまむら」の店舗数が最も多くなると考えています。というのも、サミット・コルモの出店速度は、ファッションセンターしまむらと比べてかなり緩やかなものですし、東京都地区における年間出店数は多くても3店舗を超えないだろうと考えるからです。

これは推測ですが、おそらく平成25年頃には、東京都地区におけるディリーファッションストアでは、ファッションセンターしまむらが、店舗数、年間売上高、ともに、最大になっているのではないかと思います。東京都地区における「ファッションセンターしまむら」の過去5年間の推移を見れば、これは、それほど無理な話ではないと考えるのですが・・・・・・・。

東京都地区における「ファッションセンターしまむら」の売上シェアは、わずか1%

東京都地区における過去5年間の「ファッションセンターしまむら」の営業実績推移

 年 度    売場面積  年間売上高 期末店数 1店平均年間  売場坪当 売上シェア

          (㎡)    (百万円)   (店)     (万円)   売上・万円   (%)

平成17/2---11979㎡---60億64----13店----4億6646----167万円---0.64%

平成18/2---12859㎡---72億24----14店----5億1600----185万円---0.74%

平成19/2---15183㎡---78億90----16店----4億9313----171万円---0.84%

平成20/2---16480㎡---88億92----18店----4億9400----178万円---1.0%

平成21/2---18267㎡---94億42----20店----4億7210----170万円---1.0%

注①売上シェアは、しまむらが独自計算した東京都地区年間衣料品購買額をもとに算出。

このデータを見ると、東京都地区におけるファッションセンターしまむらの年間出店速度は、ほぼ2店舗のペースです。このペースでいくとすれば、あと4年後の平成25年2月末には28店舗になります。おそらく、多くても30店舗というところでしょう。その時点で、サミット・コルモはじめ、パシオスらの店舗数が、ここで推測計算したファッションセンターしまむらの店舗数・30店舗以上になっているということはないと考えられます。したがって、東京都地区で最大の店舗数を有するディリーファッションストアはファッションセンターしまむらということになるだろうと推測したわけです。

東京都地区におけるファッションセンターしまむらの「売場坪当り年間売上高」と「年間坪当り粗利益高」をもとに考えますと、以下のことが言えそうです。

(1)出店条件の一つとして、「月間坪当り家賃は売上比5%以内とする」ことにすれば、

  売場坪当り年間売上高170万円×5%÷12ヶ月≒7083円、

すなわち、月間売場坪当り支払い家賃は上限で7083円。これ以内であれば出店条件の一つはクリアーできまることになります。しかし、東京都地区で、売場坪当り月間家賃が7000以下の物件を見つけるのは至難のことでしょう。この点に関しては、しまむらもよく分かっていると思われますので、これは推測ですが、月坪支払家賃を15000円ぐらいまでは覚悟しているかもしれません。

(2)東京都地区における出店形態は「ビル・イン型」が多くなると考えられますが、その場合の売場坪当り出店投資額を、しまむらなら、ほぼ確実に確保するであろうと推測される年間坪当り粗利益額をもとに考えますと、

 売場坪当り年間売上高170万円×粗利益率32%≒年間坪当り粗利益額54.4万円、

となります。当方の経験則から言いますと、売場坪当り約54万円~55万円までの店舗設備投資額なら、投資リスクは低く、比較的安全な出店投資となります。「ビル・イン型」出店の場合、これは、比較的クリアーしやすい条件ではないでしょうか。とくに、誰かが撤退した跡への出店や、広すぎる売場面積を持て余したホームセンターなどが、ある売場スペースをテナントにリーシングするなどという場合は、売場坪当り投資額はこれ以下が多いと思われます。そういった物件が沢山出れば、東京都地区におけるファッションセンターしまむらの店舗数は、先に推測した、平成25年期末店舗数・30店舗をもっと超えたものになることが考えられます。

  「東京都地区におけるディリーファッションストア大手の勢力図」  完

|

業界動向:ファッションセンターしまむら-新店舗の売上効率

■しまむらの新店舗の初年度売上効率

株式会社しまむらの「各年度(期)別・決算概要」(新店月商の推移等)、及び、「決算短信」に記載されている数値データをもとに、しまむらの新店舗初年度売上効率を年度別にまとめると以下のようになります。

 年 度   新店平均   平均年商  出店  期末売場  売場面積   新店平均   新店平均

        月商(千円) ×12(千円) 店数  面積(㎡) 前年比増減  売場面積㎡ 年坪売(千円)

2000/2----22854-----274248---74---608720----97934---1323-----684

2001/2----24230-----291840---77---692631----83911---1090-----884

2002/2----24937-----299244---46---737620----44989----978----1010

2003/2----24824-----297888---49---798995----61375---1253-----785

2004/2----26793-----321516---51---861392----62397---1223-----867

2005/2----24421-----293052---48---916111----54719---1140-----848

2006/2----26660-----319920---48---971129----55018---1146-----921

2007/2----27519-----330228---56--1025764----54635----976----1117

2008/2----25303-----303636---58--1098554----72790---1255-----798

2009/2----25208-----302496---48--1151706----53152---1107-----901

しまむらの各年度別・出店新店舗の過去10年間(2000年2月期から2009年2月期)の、①平均月商、②平均年商推計(平均月商×12ヶ月)、③新店平均売場面積(売場面積前年比増減÷出店新店舗数)、④新店平均・年坪当売上高(平均年商推計÷新店平均売場面積×3.3)、この4項目を、各年度別・決算概要、決算短信の数値データをもとに計算すると上表のようになります。これらをもとに、しまむらの新店舗の売上効率等を時系列で見ていきますと、次のことが言えるのではないかと思います。

(1)ファッションセンターしまむらの新店舗は初年度平均月商2500万円を確保する。

(2)新店舗の初年度平均年商は、ほぼ確実に3億円を見込むことができる。

(3)新店舗の平均売場面積は1100㎡≒333坪。

(4)新店舗の初年度・売場坪当年間売上高は、ほぼ確実に85万円を確保できる。

以上、(1)から(4)をもとに、しまむらの新店舗の初年度の姿を数値的に推測すると、

新店舗・売場坪数333坪×売場坪当年間売上高85万円≒年間売上高2億8300万円、

となる。そして、これを、標準的新店舗の姿と見ても、それほど大きな間違いはないのではないかと思います。(これは、当方の「思い込み」ですが、果たして、しまむらの見方はどうなのでしょう。残念ながら、知る術を持っていません

■しまむらの新店舗は初年度の店舗段階・経常利益率8%~9%を出せる?

しまむらの過去5年間の、①売上総利益率、②販売管理費率、③経常利益率の推移を見ると、極めて単純な考えですが、新店舗の初年度・店舗段階・経常利益率8%~9%の確保は可能であると言うことができなくもありません。しまむらの新店舗が、初年度から、①売上総利益率30%、②販売管理費率22%、を確保できればという前提での話です。過去5年間の「しまむらの財務概要」データを見て、単純に考えればという話ですが・・・。

株式会社しまむらの財務概要(各年度別・決算概要より作成

       売上総利益率  販売管理費率  営業利益率  経常利益率

2009/2-----31.0--------22.9---------8.9--------8.9

2008/2-----30.7--------21.9---------9.5--------9.8

2007/2-----30.3--------21.5---------9.5--------9.7

2006/2-----30.0--------21.7---------9.0--------9.3

2005/2-----28.8--------21.5---------7.9--------8.0

しかし、新店舗の初年度の販売管理費率が21%から22%で収まること、まず、考えられないでしょう。というのも、新店舗の初年度には、(a)店舗建物設備等の減価償却費負担、②開発創業費償却負担、③開店・創業販促費負担、④各種税金負担(例えば、店舗建物設備を取得した場合に発生する、取得税、登録税、都市計画税、消費税など)、⑤支払利息負担、などの経費額が大きく、それを、初年度経費に算入しなければならないことがあるからです。これらの経費負担を初年度にきちんと計算し、算入するのは「当たり前」のことですが、そうすると、販売管理費率は、しまむらの財務概要の過去5年間に見られる数値、21%、22%という数値に収めることはとても難しいことです。必ず、それを、大きく上回ることは間違いありません。初年度の販売管理費率が、売上総利益率30%を超えれば店舗段階で「赤字」、それ以下であれば「黒字」、ということになるわけですが、おそらく、しまむらの多くの新店舗は「初年度・赤字」になっているように思います。

しかし、その「赤字幅」は、決して大きなものでなく、2年度には、店舗段階・黒字化できるほど「小さな赤字」なのではないかと思います。現在の「しまむらの出店初期投資額」は、昔に比べ、かなり大きくなっていますので、「新店舗・初年度から黒字」というのは、さすがに少なくなっていると思いますが、それでも、多くの店が「3年目で黒字化」、そして、「5年以内で初期投資回収」、しまむらの実力を考えると、そのような姿なのではないかと思います。また、それだけの実力があるからこそ、年に50店舗~60店舗の出店を続けられるのではないでしょうか。しまむらの優れた企業経営力から学ぶことは沢山ありそうです。

 
  「ファッションセンターしまむら-新店舗の売上効率」に関するメモ  完

    

  

|

業界動向:「08年度小売業衣料品売上高ランキング」を読む

■GMSの衣料品部門の現状

2009年6月16日の繊研新聞に「08年度小売業衣料品売上高ランキング」が掲載されています。第1位はユニクロの売上高・4541億円、第2位は、しまむらの3663億円となっています。これが、今の量販衣料品業界の勢力図です。GMSと百貨店の衣料品売上高の著しい「落ち込み」を見ますと、これから先も、その「先細り傾向」は続くのだろうと思わざるをえません。それはともかく、ランキング・データの中から、①GMS、②食品スーパーチェーン、③ディリーファッションストア別に、各社の2008年度衣料品売上高を並べ、熟視しますと、いろいろのことが見えてくるように思います。

GMSグループ

 企 業 名    08年衣料品売上高   衣料売上構成比

               百万円            %        

①イオン----------3342億99---------18.0 

②イトーヨーカ堂----2656億82---------18.5

③マイカル--------1853億97---------31.3

④ユニー---------1301億09----------17.8

⑤ダイエー--------1090億79---------13.9

⑥イズミ-----------729億10----------16.7

⑦イオン九州-------625億97----------24.8

⑧平和堂----------550億74----------16.8

⑨イズミヤ---------538億90----------17.2

⑩イオン北海道-----401億57----------25.6

⑪フジ------------397億10----------13.5

大手GMSの衣料品売上高構成比は20%を切っている。イオン、イトーヨーカ堂、2社ともにその前身は総合量販衣料品店であり、かつては、衣料品売上高構成比が30%を超えていたことを思うと、20年前には全く考えられなかった「今」の衰退ぶりです。

食品スーパーチェーン

 企 業 名     08年衣料品売上高    衣料売上構成比

                百万円           %

①ライフコーポ-------325億37----------7.0

②ヨークベニマル-----184億37----------5.5

ディリーファッションストア

①しまむら(単体)---3455億09----------100

②三  喜----------526億82

③パシオス---------405億00(08/3)

④あかのれん-------181億00(09/2)

⑤サミットコルモ-----147億15(09/3)

GMSグループ、食品スーパーグループ、そして、デリーファッションストア大手の衣料部門の売上高と売上構成比を見ますと、①GMS、食品スーパーの衣料品部門は縮小・圧縮傾向にあり、一方、逆に、②ディリーファッションストアでは拡大傾向が続いている、ことが見えてくるように思います。衣料品部門の衰退、縮小、「先細り説」が、長年、言われていますが、それは、ディリーファッションストアには当てはまらないと言えるかもしれません。

■大手GMSの衣料品売上構成比の推移

もう少し詳しく、大手GMSの衣料品売上構成比の推移と年度別衣料品売上高の増減を見てみますと、その衰退ぶり、先細りぶりが、もっとよく見えてきます。

 企 業 名    衣料品売上高   衣料売上  売上高前年差

イオン株式会社   百万円      構成比%  増減(百万円)

2007/2----------3663億31------20.7-----

2008/2----------3677億63------20.3-----11億32百万円 増加

2009/2----------3342億99------19.0--334億64百万円 減少

イトーヨーカ堂

2007/2---------2905億60-------23.7-----

2008/2---------2781億68-------23.1---123億92百万円 減少

2009/2---------2656億82-------22.5---124億86百万円 減少

ダイエー

2007/2--------1338億27--------18.4---

2008/2--------1162億71--------16.8---175億56百万円 減少

2009/2--------1090億79--------15.9----71億92百万円 減少

大手GMS各社は、今、①店舗年齢の高い店、①旧商店街中心地にある多層階の店舗、③売場面積規模がGMSとしては狭く、業種構成数と商業集積力、競争力に欠ける店舗、これらの店を閉鎖・スクラップ、そして、ディスカウントストアなどへの業態転換を進めています。そして、同時に採算悪化してきている衣料品部門の縮小、閉鎖、売場圧縮・削減を重要な経営課題として、それを実行しています。おそらく、「この流れ」は、これが限界という段階まで、当分、続くものと思われます。したがって、たとえ、景気が回復したとしても、縮小均衡が続き、GMSが衣料品部門の積極的拡大策をはかることはないのではないと考えられます。もし仮に、この予測が当っているとすれば、量販衣料品業界では、「ディリーファッションストアの時代」、そして、「大型専門店の時代」が長く続くことになるかもしれません。

業界紙・繊研新聞の記事、「08年度小売業衣料品売上高ランキング」(2009年6月16日掲載)を見て感じたこと メモ    完

   

|

業界動向:複合型商業施設「ファッションモール」の設備投資計画に関するメモ

■しまむらグループを集結してつくられた複合型商業施設「ファッションモール」

ファッションモールとは、しまむらが次世代向けに開発した複合型商業施設で、しまむらグループの、①ファッションセンターしまむら、②アベイル、③バースディ、④シャンブル、⑤ディバロ、これらの店のいくつかを複合出店した形でつくられています。ファッションセンターしまむら・単独出店という形の出店よりも、はるかに商業集積力が高く、集客力、そして、競争力もある、しまむらクループの総力結集型の商業施設と言っていいでしょう。しまむらが「ファッションモールの開発計画」を発表してからすでに何年も経っていますので、いまでは、この新しいタイプの商業施設「ファッションモール」の店数もずいぶん多くなってきました。

その動向に大変、興味を持っていましたが、このあたりで少し詳しく調べてみよう思いましたので、ファッションモールの設備投資計画に関する事項と数値データを平成18年2月期~平成21年2月期、4年間の有価証券報告書から抜粋、簡単にまとめておくことにしました。

■しまむら-「ファッションモール」の設備投資計画概要

前述した4年間の有価証券報告書に記載されている「ファッションモールの設備投資計画」概要から、とくに、自社物件(建物、構築物等を自社所有する物件)のファッションモール(以下、FMと略)に関するデータをピックアップし、その設備投資予定額、そして、売場坪当り投資額などを調べてみました。(平成18/2~平成21/2、4年間の有価証券報告書より)

ファッションモール  設備投資予定  売場面積  3.3㎡当り    所 在 地 

    名          金額(万円)     ㎡     設備投資額   都道府県名         

FM長岡川崎店    23400万円   2208㎡    35.0万円  新潟県長岡市

FM東金店       23500万円   2170㎡    35.7万円  千葉県東金市

FMわさだ店      27400万円   2997㎡    30.2万円  大分県大分市

FM愛子店       49900万円   1998㎡    82.4万円  仙台市青葉区

FM嶋 店       37100万円   4291㎡    28.5万円  山形県山形市

FM牧の原店      27200万円   3174㎡    28.3万円  千葉県印西市

FM小川店       18900万円   2221㎡    28.1万円  埼玉県小川町

FM姶良店       23800万円   1916㎡    41.0万円  鹿児島県姶良町

FM塩釜店       18000万円   2245㎡    26.5万円  宮城県塩釜市

FM天理店       19900万円   1980㎡    33.2万円  奈良県天理市

FM東山崎       27100万円   2984㎡    30.0万円  香川県高松市

FM青山店       17500万円   1974㎡    29.3万円  岩手県盛岡市

FM藍住店       17200万円   1965㎡    28.9万円  徳島県藍住町

以上、13店のファッションモールの設備投資予定額計画概要がありましたが、そのデータをもとに3.3㎡当り設備投資額を計算。各ファッションモールごとの総投資額は、開発設備投資形態(自社取得物件or賃借物件)、そして、立地、店舗敷地面積と形状、店舗の組み合わせ等によって変化します。したがって、一つの比較指標として単位面積(3.3㎡)当りの設備投資額を算出しました。

3.3㎡当り設備投資額を見ますと、(土地を取得をしたと考えられるFM愛子店-仙台市青葉区-を除く)、28万円~36万円の間が多いことが分かります。当方の経験則に、「初期設備投資額の3倍の売上高確保、そして、粗利益率が30%確保されていれば、初年度から店舗段階の損益収支をゼロ、もしくは、黒字にできる」というのがあります。これをもとに、ここにあげたファッションモールの売場坪当り損益分岐点年間売上高を概算しますと、下限値では、28万円×3=84万円、上限値では、36万円×3=108万円、となります。すなわち、売場坪当り年間売上高108万円、そして、粗利益率30%、この二つが確保できれば、そのファッションモールの初年度店舗段階損益収支は、∓ゼロ、または、黒字になると考えられます。

しかし、ファッションモールに出店する「しまむらグループ」のすべての店が売場坪当り年間売上高84万円以上、そして、粗利益率30%の確保を確実に達成できるとは言うことはできません。というのも、しまむらグループ、それぞれの店ごとの売場坪当り年間売上高実績は以下のような数値だからです。(しまむらグループの店、①ファッションセンターしまむら②バースディ、③シャンブル、④デイバロ、⑤アベイル

■しまむらグループの店、それぞれの売場坪当り年間売上高実績

店名・企業名    2007/2月期  2008/2月期  2009/2月期

しまむら--------107.1万円---104.2万円---99.0万円

バースデイ-------51.5万円----50.6万円---46.0万円

シャンブル-------38.8万円----43.0万円---39.0万円

ディバロ---------45.5万円----61.8万円---40.3万円

アベイル--------70.3万円---112.0万円---63.0万円

注)各店・企業の売場坪当り年間売上高=各店・企業の期別年間売上高÷期末売場面積(坪換算)

上記のとおり、しまむらグループの各店・企業別に、その売場坪当り年間売上高実績を見てみますと、84万円を超える力を持っているのは、ファッションセンターしまむら、ただ1社です。(もちろん、立地、競争状況、店舗経営コストなどは各店・企業別、それぞれ店ごとに見れば、決して一律ではないでしょう。しかし、全店平均値でみれば、各店・各企業の売場坪当り年間売上高実績は上表のようになります。その値を、その店・企業の実力と考えた方がベターだととしての話です)

このように、しまむらグループの各店が複合出店した形のファッションモールの損益収支構造を考えますと、「ファッションセンターしまむらの高収益構造に支えられた形の商業施設」いう見方ができないわけでもありせん。しまむらのファッションモールは、高い商業集積力、そして、競争力、幅広い顧客動員力を持つ複合型商業施設であることは間違いありませんが、かといつて、その損益収支構造は決して強固なものとは言えないようです。しかし、だからといって、「しまむらグループのファッションモールは弱い」など考えてはなりません。たとえば、西大宮ファッションモール(埼玉県大宮市)、友部ファッションモール(茨城県)、臼田ファッションモール(長野県)、館山ファッションモール(千葉県)などを見れば、「しまむらのファッションモールの強さ、怖さ」がよく分かるからです。是非、視察クリニックされ、しまむらのファッションモールの実力を客観的に評価されることをされることをお薦めいたします。

■「しまむらの土地投資、土地取得」が増えている

ファッションモールの設備投資とその損益収支構造の話からそれて恐縮ですが、「ここ数年、しまむらは、”土地を取得した形での出店開発”を増やしている」ようです。ここにそのデータだけを載せておくことにしました。何かの参考、ヒントにれば幸いです。

会計年度      貸借対照表(百万円)     土地投資(百万円)

           ①土地勘定  前年比%    土地取得額   前年比%

2003/2-------19793百万円--102.2%------426百万円---34.9%

2004/2-------21063百万円--106.4%-----1269百万円--297.9%

2005/2-------23610百万円--112.1%-----2547百万円--200.7%

2006/2-------26886百万円--113.9%-----3282百万円--128.9%

2007/2-------28151百万円--104.7%-----1658百万円---50.5%

2008/2-------29721百万円--105.6%-----1688百万円--101.8%

2009/2-------32531百万円--109.5%-----2814百万円--166.7%

しまむらグループの複合型商業施設「ファッションモールの設備投資計画」を調べてみて考えたこと   完

   

      

    

   

|

経営課題:「ファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性」

■従業員1人当年間売上高--3132万円

この「従業員1人当年間売上高」は、日本チェーンストア協会(会員企業70社・店舗数8056店)が発表している「チェーンストア販売統計」・平成20年度(平成20年4月~平成21年3月期)の数値データをもとに計算したものです。計算式は以下のとおり。

平成20年度・年間販売金額13兆1703億2459万円÷期末従業員数420403人≒3132万円

日本チェーンストア協会の会員企業は、大手GMS、食品スーパーマーケットチェーン、他の業種別大手チェーン企業です。したがって、この「従業員1人当年間売上高約3132万円」という数字は、小売業における人的生産性の一つの基準指標値と考えてもいいのではないかと思われます。

■ファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性の推移

ディリーファッションストアで詳細な各種・各項目別・決算実績数値を公表している企業は「ファッションセンターしまむら」、この1社しかありません。パシオス、サンキ、サミットコルモ、あかのれん、いずれも株式上場していません。決算実績数値を公表するにしても、せいぜい、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、この4項目ぐらいのものです。この項目の数値だけでは、それぞれの小売企業の人的生産性を計算することはできません。したがって、ディリーファッションストアの人的生産性を数値で見られるのは「ファッションセンターしまむら(単体)」が公表している各年度別・決算概要しかないということになります。ということで、以下に、ファッションセンターしまむらの人的生産性を計算して簡単にまとめてみました。

 年 度   期末従業員数   し ま む ら  粗利益率  従業員1人当り   従業員1人当り

        正+パート(人)  売上高(百万)  (%)    年間売上高(万)  月間労働生産性(万)

2000/2-----5332---------199353------27.3------3739万円-------85.1万円

2001/2-----6406---------217777------27.3------3400万円-------77.3万円

2002/2-----6519---------240105------27.6------3683万円-------84.7万円

2003/2-----6956---------254327------28.2------3656万円-------85.9万円

2004/2-----7472---------268190------28.4------3589万円-------84.9万円

2005/2-----7807---------285548------28.8------3658万円-------87.8万円

2006/2-----8176---------312374------30.1------3821万円-------95.8万円

2007/2-----8410---------332898------30.4------3958万円------100.3万円

2008/2-----8804---------346779------30.7------3939万円------100.8万円

2009/2-----9058---------345509------31.0------3814万円-------98.5万円

以上が、「ファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性」の時系列データです。言うまでもなく、ファッションセンターしまむらは、ディリーファッションストアで最大の小売企業、そして、一番の高収益、高効率、高生産性企業です。したがって、ここで計算したファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性数値、①従業員1人当り年間売上高・3800万円~3900万円、②月間労働生産性・90万円~100万円、この二つは、他のディリーファッションストアが目指すべき一つの目標数値として考えてもいいように思います。

ちなみに、ユニクロの従業員1人当り年間売上高は2899万円(H20/8月期)、そして、西松屋チェーンの従業員1人当り売上高は3652万円(H21/2月期・派遣含む)です。

「日本チェーンストア協会」の従業員1人当り年間販売額3132万円、そして、ユニクロの2899万円、西松屋チェーンの3652万円、これら3つの人的生産性数値から見ますと、ファッショセンターしまむら(単体)の3800万円~3900万円という数値は「やや高い水準にある」と言ってもいいかもしれません。

■売場坪数350坪、売場坪当り年間売上高100万円、年間売上高35000万円、粗利益率30%、というディリーファッションストアの要員設定

先に計算した、ファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性をもとにこの店の要員設定を計算すれば、

年間売上高35000万円÷従業員1人当り年間売上高3800万円≒9.2人

以上の計算から、必要設定要員数は正社員換算で9.2人となります。要員の構成を「正社員+パート」で考えれば、一つの案として、正社員2名+パート10人~11名、総人員数12名~13名という要員設定が考えられます。(パートはフルタイマー、ショートタイマーの構成としますが、ここでは大雑把ですが、パート1人を正社員0.65人分として計算)

ディリーファッションストアの人的生産性の適正値といいますか、基準数値と言えるようなものがなかなか見つかりません。したがって、一つの参考値として「ファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性数値」をとりあげて、あれこれ考えてみました。ここであげた2つの人的生産性数値、①従業員1人当り年間売上高・3800万円、②従業員1人当り月間労働生産性・100万円を、ディリーファッションストアの一つの基準値といいますか、また、目指すべき目標値としてもいいのではないかと思うのですが、はたして、多くのディリーファッションストアはどう考えているのでしょうか・・・・・・。

ファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性に関するメモ  完

|

経営課題:「ディリーファッションストアの経常利益率の推移」を見て考えたこと

■経常利益率が5%を超えているのは「しまむら-8.9%」1社だけ

決算数値を発表しているディリーファッションストア大手3社、①ファッションセンターしまむら、②ファッション市場サンキ、③サミットコルモ、の経常利益率の推移は以下のとおり。

 年 度  し ま む ら   サ  ン  キ    サミットコルモ

       経常利益率%  経常利益率%   経常利益率

H13/2------5.1----------4.4-----------0.43

H14/2------6.5----------3.5-----------1.17

H15/2------7.0----------5.0-----------1.39

H16/2------7.2----------4.0-----------1.10

H17/2------8.0----------3.2-----------???

H18/2------9.3----------4.9-----------0.95

H19/2------9.7----------5.3-----------1.02

H20/2------9.8----------4.7-----------1.10

H21/2------8.9----------??-----------1.26

また、決算数値は未公表ですが、ディリーファッションストア大手2社、④株式会社あかのれん(名古屋)、⑤株式会社田原屋(パシオス)の経常利益率は、推測ですが、サミットコルモとサンキの間、1%~3%ではないかと考えられます。ディリーファッションストアにおいて「経常利益率5%」を達成するのは、そう簡単なことではなく、相当の努力と真剣な取り組みが必要なことが分かります。ファッションセンターしまむらの販売管理費率は2009年2月期・実績22.9%で、同業他社と比べローコスト経営が一段とすすんでいます。しかし、他のディリーファッションストアで、しまむらと同レベルのローコスト経営ができるところは今のところ見当たりません。まず、第一の関門、5%の経常利益率が確保できる損益構造、収益構造をつくりあげること、これを最優先の経営課題として、その実現に真剣に取り組むべきではないかと思うのですが、各社はどんなことを考えているのでしょう・・・・。

■しまむら、2009年2月期、経常利益率8.9%と、前年より1ポイント下げる。

しまむらのH20/2月期・経常利益率は、先の表にありますとおり、9.8%でした。H21/2月期の経常利益率は8.9%で、前年より1ポイント下げています。1ポイントの下落は大したことないように見えますが、しまむらのH21/2月期の年商は約3663億1100万円で、その1%は約36億6000万円、0.1%でも約3億7000万円、これは決して小さな数字ではありません。たとえ、0.1ポイントでも、大した下落ではないと、これを軽るく見過ごすことはできません。なにが原因で経常利益が1ポイントも下がったのか、徹底的に調べる必要があります。そして、改善の手を急いで打たねばなりません。言うまでもなく、しまむらは、そのことを十二分に分かっており、2009年度の方針で、「全部署で再度業務内容を見直し、経費額を前年比マイナスとする」ことを重点課題の一つとしてあげています。

■しまむらの2008年2月期と2009年2月期の販売管理費比較で見えてくること

しまむらの販売管理費/2008:2009比較

         2008/2月期            2009/2月期         金額前年差

         金額(百万円)  売上比%   金額(百万円) 売上比% 増減額(百万円)

人件費合計----37562------10.2%----39025------10.7%---1463

宣伝広告費-----7646-------2.1%-----7962--------2.2%----316

販売費合計-----9788-------2.7%----10192--------2.8%----404増

消耗品費--------933-------0.3%------871--------0.2%----▲62減

陳列器材------1342--------0.4%------830--------0.2%----▲512減

営業費合計----4093--------1.1%-----3610--------1.0%---▲483減

賃借料------17139--------4.7%----18455--------5.0%---1316

減価償却費---4672---------1.3%-----4880--------1.3%----208増

設備費合計--26991---------7.4%---28907---------7.9%---1916

公租公課-----1809---------0.5%----1883---------0.5%------74増

一般費合計---2016---------0.5%----2092---------0.6%------76増

販管費合計--80451-------21.9%---83828--------22.9%---3377増

2008年2月期と2009年2月期の販売管理費比較しますと、人件費合計-前年より14億6000万円増加し、売上比が10.2%から10.7%にアップ、賃借料-前年より13億1600万円増加し、売上比が4.7%から5%にアップ、宣伝広告費-前年より3億1600万円増加し、売上比で2.1%から2.2%にアップ、そして、設備費合計19億1600万円増加、これらが経常利益率を1ポイント下落させた大きな原因と考えられます。しまむらは、おそらく、重点的この4点を徹底的に見直し、その合理的削減に取り組むのではないでしょうか。そして、経常利益率10%の確保を目指すものと思われます。

「ディリーファッションストアの経常利益率の推移」を見て考えたことのメモ  完

|

業界動向:ファッションセンターしまむらの「肌着部門」に関する調査メモ

■数字で見る「ファッションセンターしまむらの肌着部門」

(1)しまむらの「肌着部門」の営業実績数値2008年度(2009年2月期)

          09/2月期     部門売上  粗利益率  粗利益額     粗利益額 

商品部門名   売 上 高    構成比%     %    概   算     構成比%

肌    着   85468百万円  24.7%   34.4%  29401百万円  27.5%

婦人衣料   104163百万円  30.1%   29.7%  30936百万円  28.9%

注①2009年2月期----全部門合計売上高・3455億500万円  注②全部門合計粗利益率31%

ファッションセンターしまむらの全商品部門合計売上高に占める「肌着部門の割合」は、上記のとおり、24.7%で、婦人衣料部門の30.1%に次いで第二位となっています。しかし、肌着部門と婦人衣料部門の、①粗利益率、②粗利益額推計、③部門別粗利益額構成比を比較しますと、肌着部門は、婦人衣料部門より粗利益率が4.7ポイントも高く、また、粗利益額構成比では婦人部門と1.4ポイントの差しかありません。肌着部門の粗利益率と粗利益額の高さが全部門合計の粗利益率と粗利益額を大きく押し上げていることが分かります。

また、ファッションセンターしまむらの肌着部門は(肌着+靴下+ランファン)、この3つの合計と聞いていますが、ここにはナイテイ(パジャマ等は寝装具部門)が入っていません。したがって、しまむらの肌着部門にもナイテイ分の売上構成比を加えてそれをインナーウェア部門合計としてみますと、その売上構成比は婦人衣料部門と比べてもそれほど大きな差はないと考えられます。

(2)しまむらの肌着部門のPB商品比率は約28%値入率と粗利益率を大きくアップ

しまむらの商品部の部門分類では、商品5部が肌着部門(肌着+靴下+ランファン合計)とされてますが、2008年度(2009年2月期)の商品5部の年間売上高に占めるPB商品の割合は約28%で、全商品部門(1部~7部)の中ではPB商品の割合が最も高い部門です。しまむら全部門売上高合計に占めるPB商品の割合は18%(2009/2期)ですから、肌着部門はそれよりも10%も高い数字です。ちなみに、婦人衣料部門のPB商品の割合は、商品1部(婦人衣料・レギュラー)が19.9%、商品2部(婦人ティーンズ・ヤング等)-14.9%で、合計するとPB商品の割合は34.8%です。(この数字は肌着部門よりも高い数字ですが、先述していますが、ナイテイのそれを加えますともっと高い数字になります)

(3)しまむらの肌着部門の年商品回転数は約8回~8.5回転

これを、商品回転日数にしますと(単純計算ですが)、約46.5日~約42.9日です。また、年間値下率は、レジにて割引セールなどで年々上昇傾向にあり、約5%~6%あたりと推測されます(2003/2期以前は4%以下の値下率)。この、しまむらの肌着部門の年間商品回転数は決して「速い」とは思いません。これは、おそらく、肌着部門の年間売場坪当売上高が高く、品切れ・欠品、商品補充などのことを考え、坪当平均売価在庫高を高く維持しているからではないかと推測されます。

(4)しまむらの肌着部門で、最も買われているのは「靴下」

日経MJ新聞(2008・9.1号)に掲載された「マイボイスコムの調査」記事に、「しまむらの利用者の6割以上が靴下を購入する」とあります。しまむらが過去に公表したデータですが、「2005年度の品目別に見た数量ベースの全国シェア」というものがあります。それによれば、①靴下の数量ベースでの全国シェアは11.6%となっていますから、この記事の数字はかなり精度が高いと考えられます。ちなみに、しまむらはこの他にも、数量ベースの全国シェアが高い品目として、エプロン-9.3%、パジャマ-9.2%、ブラジャー-9.4%、この3品目をあげています。

別の面、2008年度の6月~12月に展開された主要なチラシ販促セールにおけるインナーウェア部門の商品分類別掲載本数を調べてみましたが、この7ヶ月間におけるチラシ掲載本数が最も多かったのは靴下の205本。やはり、かなり靴下を売っているようです。

①婦人肌着--トップス・86本、 ボトムス・79本、婦人肌着合計165本

②紳士肌着--トップス・71本  ボトムス・64本、紳士肌着合計135本

③靴下------紳士靴下・60本 婦人靴下・145本、靴下合計205本

④ランファン--ブラジャー+コーディネイトショーツ91本

⑤パジャマ--紳士パジャマ・22本 婦人パジャマ・19本

とりわけ、婦人靴下の掲載本数が145本と、飛びぬけて多いことが分かります。

(5)しまむらの肌着部門のキーワードは「素材+品質+機能+低価格」

しまむらのチラシ販促セールに掲載されているインナーウェアの宣伝コピー、そして、売場におけるPOPカード、ショーカードの文言を調べてみますと、次のことが分かりました。

①強調されている宣伝文・コピー

  ブラなしでラクラク、 着心地サラッとドライ、 サラサラ爽やか着心地

  さらり、しなやか、  体にフィット・細身のアウターに、 足元すっきり

  汗をかいても清潔

   ドライ、吸放湿、ストレッチ、抗菌防臭、ソフトタッチ、コンフォートセンサー

   涼感、ライト、消臭

②ファイバードライ、コットンセンサー、ドライコットン、レナウンや東レと共同企画品

「繊維ニュース」のWeb記事に、大手メーカーの商品開発スタッフの方が書かれた小レポート、「快適性とファッション性を追及する肌着革命」というのが載っていました。これを読ませていただきましたが、その小レポートから、勝手ではありますが、「ここが肝心と思う部分」を以下に抜粋させてもらいます。

(a)百花繚乱の素材開発・機能開発の時代に突入。

(b)下着もただの実用的なインナーでは売れなくなってきた。

   素材の開発競争が始まり、いろいろな機能を肌着に組み込まないと競争に勝てない。

(c)「綿」一辺倒でなく、合成繊維の良さをどんどん取り入れねばならない。

(d)もはや、値段と長持ちで勝負する実用肌着の時代はとっくに過去のもの。

(e)「いつでも白い」というコンセプトでは売れなくなっている。

   いつまでも「白い」からと着続けるものじゃない。

「さすが、物づくりのプロ・専門家の見方は鋭い」と敬服するとともに、とてもいい勉強をさせていただいたことを感謝します。これは、概要とその骨子だけを抜粋したものですが、全文を読んで感じましたことは、「しまむらのインナーウェア部門の目指している方向も、これと全く同じではないか」ということです。「肌着革命」と言われる今のインナーウェア部門は最も面白い部門なのかもしれません。

  以上はすべて、「衣料スーパーストア研究会」のテキストからのダイジェスト版です。

  「ファッションセンターしまむらの「肌着部門」に関する調査メモ」 完

     

|