小売業1年生に求められる現場実務力(4)

(16)正しい棚卸しのやり方を分かっており、正確な棚卸しが出来ること

棚卸しは商品管理で重要なもののひとつです。厳密、かつ、正確に実施しなければなりませな。いい加減にすれば正確な利益が分からなくなってしまうからです。小売業1年生と言えども、次の質問に数字と理屈で答えられねばなりません。

①棚卸しの前準備として必要なことはどんなことですか。

②棚卸し表はありますか。

③棚卸しはどんなやり方でやっていますか。(とくに、以下の点について)

  メンバー編成  記帳方法、 売場・倉庫・預かり品・持ち出し品の正確な把握

  ダブりチェック(二重棚卸し記帳防止)、売場在庫と倉庫在庫を明確に区分記帳

  季節外商品・デッドストック、棚上げ商品在庫などの正確な把握、

  商品の評価基準(とくにね死に筋商品の売価評価など)

④実地棚卸し後の棚卸し表の集計、計算はどうやっていますか。

⑤実地棚卸しで出た在庫数値と商品管理統計表の理論在庫数値との誤差が出た場合、どのような処理をしていますか。

⑥棚不足、商品ロスが出た原因を追及し、明確につかんでいますか。

⑦棚不足率は売上比何%でしたか。同業他社の棚不足率を知っていますか。

⑧どうすれば、棚不足・商品ロスを少なくすることができますか。

(17)売場のルーティンワーク(定型作業)の正しいやり方を知っている

売場での仕事・作業はいろいろありますが、それらの多くはほとんどは定型作業です。正確に処理できねばなりません。作業の標準化、作業効率をあげるために、各作業のマニュアルが作られている店もあります。人によって、それぞれやり方が違うというのは避ける必要があります。誰がやっても同じ処理方法、同じ成果を得られる、これがベターです。売場での仕事・作業でルーティンワーク(定型作業)といわれるものには、次のような作業があります。

①店内・売場清掃、②売場と倉庫の商品整理整頓、③品切れ、欠品の発見と補充、④売行き不振品、死に筋商品の発見とその処理、⑤売れ筋品の補給、⑥返品作業、⑦POPカード作成、整備、手直し、⑧売場レイアウトの変更、⑨商品陳列の変更、手直し、⑩倉庫の整理整頓、⑪商品の検収・検品・値札付け、⑫商品棚卸し(売場・倉庫)、⑬お客様からの苦情処理、返品処理⑭御直し品の処理、⑮売掛金の回収、⑯商品管理台帳の処理、⑰商品管理統計表の処理、⑱商品の店間移送処理、⑲売上金、現金処理、⑳顧客名簿の整理整頓、(21)競争店・競合店調査、(22)商品仕入担当者への諸報告、(23)仕入先との各種交渉、(24)売場要員作業割当(ワークローテーション)、(25)各種伝票の正確な処理(仕入伝票・納品伝票・返品伝票・移動伝票・売価変更伝票・クレジット処理伝票・御直し伝票・出金伝票など)

(18)30人以上、お客様の名前と住所・電話番号を知っている。

個人情報保護、プライバシー情報保護に関する法律があることは分かっていなければなりませんが、お客様の名前、住所、電子番号などを知っていることは、販売力につながる強力な武器です。

①ハガキ・DM送付、特別優待セールご招待案内状、季節のあいさつ状送付、バースディカード送付、新商品入荷のご案内状送付、パーティ招待状送付など、何枚、出せますか。

②自分の得意客、ファン客の名簿の整理整頓をやっていますか。

③自分の得意客と、なんらかのコミュニケーションをやっていますか。

④自分の得意客の特性を注意し、記録していますか。

御買上いただいたもの、好きなモノ・好きなこと、所得レベル、体形(身長・サイズ)

職業・社会的地位、家族構成、持ち物、ふだん身に付けているモノ、等。

セルフサービスの店であっても、自分のお得意客づくりは必要です。大変な努力をしなければなりませんが、「売る力」りある人は、常に、お得意客づくりに取り組んでいます。とりわけ、「売ることが好き、接客販売大好き」という人は、お得意客づくりが上手です。向き不向きはあるでしょうが、少しでも「売る力」をつけるよう頑張ることは大切なことです。

小売業1年生に求められる現場実務力  (完)

 

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小売業1年生に求められる現場実務力(3)

(12)売出し・セールチラシの掲載商品内容を数字で答えられること

チラシ掲載商品・品種・品目に関する以下の項目を数字で答えられる。

①品種品目別売価→何をいくらで掲載しているか。

②品種品目別仕入数量(当初投入数量)→何枚仕入れたか。

③品種品目別セール期間内販売数量実績→何枚売れたか。

④品種品目別・セール終了後の在庫数量→何枚売れ残ったか。

⑤品種品目別販売消化率→販売数量÷投入数量×100

売出し・セールのチラシ掲載商品が100%売り切れることはあまりありません。チラシ掲載商品の残品率は思ったより多いものです(セール終了後の残品率が50%を超えることも少なくない)。売れ残った商品は、さらに値下げして売らねばなりません。また、売れる店に移動して売り切ることも考える必要があります。さらに、それには人手と移動コストがかかります。チラシ掲載商品の売れ残りは「損のもと」です。セールチラシ掲載商品がどうなったかを良く知っておく、数字でつかんでおく必要があります。

(13)本年と昨年、同月、同週間の数値実績(売上・在庫・仕入)を知っていること

昨年実績は一つの重要な指標。以下のことをつかんでいなければなりません。

①本年と昨年、同月、同週間の売上実績はいくらか。

②同期間の商品分類別・伸率(前年比)は何%か。

③本年と昨年、①、②の数字の差は何が原因か。

(14)商品の整理整頓の仕方、陳列の仕方を知っていること

商品の形状、陳列什器の形態によって、商品陳列の仕方、演出のやり方は違ってきます。どういう陳列の仕方、見せ方、演出のやり方がベストなのかを知っておく必要があります。それによって、売行きが大きく変わるからです。

サイズ別  カラー別  ブランド別  メーカー別

年齢別   性  別  感性別    コンセプト別

(15)商品効率数値、売上効率数値とその意味が分かっている。公式が書ける。

①売場坪当り売上高→月間、年間

②売場坪当り売価在庫高→実売場坪数当り、営業面積坪当り

③売場坪当り平均品揃えアイテム数

④ABC分析(パレート分析)

⑤粗利益率、値下率、棚不足・ロス率、値入率

⑥商品回転日数

⑦交差主義比率(交叉比率)

⑧部門ミックス、商品ミックス

⑨利益貢献度

⑩GMROI

商品と売場の計数管理を徹底するためには必ず知っておかねばならない必須項目です。一見、難しそうですが、それほど難しいことではありません。一度、覚えてしまえば済むことです。①~⑩の項目の実績数値をつかんでいれば、計数分析能力、問題点発見能力が一段と増します。自分の売場、担当商品の力のレベルが客観的に判断できるようになります。どこをどう強化すればよいのか、品揃えの改善すべき点はどこかなど、改善強化策のポイントも分かるようになります。

続く→小売業1年生に求められる現場実務力(4)へ

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小売業1年生に求められる現場実務力(2)

(6)担当部門(商品)の商品品種別仕入先名・メーカー名・ブランド名、商品品種別仕入先構成比を数字で言える。

商品品種別仕入先構成比→①主力仕入先、②準主力仕入先、③競争店の仕入先構成

品種別に少なくとも15社の仕入先名とその仕入高を知っている(目標は30社)。

衣料品で言えば、仕入先、問屋、メーカー、ブランドは何万社もあります。その時々で、ヒット商品、売れ筋品を持っている問屋・メーカー・ブランドは変化します。したがって、常に、その変化を頭に入れておく必要があります。これには大変な努力が必要になりますが、意識的観察をしていればそれほど難しいことではありません。30社ぐらいはすぐ言えるようになる。

(7)自分の担当部門(商品)の品種別の在庫数量が数字で答えられる。品種別品揃えグラフ(品種品目別・売価ライン別在庫数量グラフ)が書ける。

店頭・売場で商品の整理・整頓をこまめにやり、日々の品種別・品目別在庫数量の棚卸をやっていないと品揃えグラフを書くことはできません。全ての商品の品揃えグラフが書ければベストですが、とても無理な話です。したがって、その時、その季節の主力商品品種・品目に重点を置いて、在庫数量の棚卸と品揃えグラフを作成するのがベターです。

品種・品目別・品揃えグラフ→縦軸=在庫数量、横軸=プライスライン(or、レンジ)

(8)店の倉庫に置いてある商品在庫を品種別に数値でつかんでいる。

店の倉庫には商品在庫が無いことがベストですが、徹底するのはなかなか難しいことです。しかし、倉庫で商品は売れません。どんな商品であれ倉庫にあるものはデッドストックであると考えるべきです。いろいろ理由はあるでしょうが、余分な在庫であることは間違いありません。ランニングストックが必要だとはいっても、必要以上に倉庫在庫を持ってているのはムダです。値下げ、見切り処分対象になるリスクの高い商品在庫、「損のもと」と考えるべきです。

次の質問に数字をもとにして答えられなければなりません。

①なぜ倉庫在庫が必要ですか。

②倉庫が無いと困るのはなぜですか。

③最近、店の倉庫の棚卸しをやりましたか。

④倉庫に、季節外れ商品、持ち越し商品、棚上げ商品は、いくらありますか。

⑤倉庫在庫は、あなたの担当部門(商品)在庫・全商品在庫の何%ですか。

(9)最低陳列量、最大陳列量、適正在庫の意味を知っている。

売れる分だけ仕入れる。売れる分だけ売場在庫を持つ。これができればベストです。それを実現することは、とても難しいことです。しかし、出来る限り近づける努力はせねばなりません。在庫過剰は商品回転日数を悪化させ、大きな値下げをもたらすからです。

あなたの担当部門(商品)の品種品目別最低陳列量を分かっていますか。

①アイテム別・フェイス別・最低陳列量及び最大陳列量

②品種品目別・使用什器形態別・最低陳列量及び最大陳列量

最低陳列量、最大陳列量は、品目別・週間売上数量予測が無ければ決められません。適正在庫量も計算することができません。「最低陳列量+○日分の売上予測数量」で効率的な陳列在庫量を計算する必要があります(3日分の売上数量予測、1週間の売上数量予測)。この作業を繰り返し、繰り返し行うことで、適正在庫量のコントロール力がつく。

(10)売行き不振品、死に筋品、売れ残り品の処分方法を提案できる。

売行き不振品、死に筋品は発見したら早期処分が必要です。時間か経てばたつほど損が大きくなるからです。大幅値下げをせざるをえなくなる前に処分せねばなりません。早期値下げ処分したほうが、結局のところ「少ない損(少ない値下げ)」で済むことが多いのです。

あなたは売行き不振品、売れ残り品をどのように処分していますか。

①早期発見、早期値下げ処分。

②仕入先に返品。

③売れている店に移動、そこで処分してもらう。

④仕入先より値引きをもらい、値下げ処分する。

⑤特別処分セールをやって短期間集中処分。

⑥寄付する。

⑦焼却する。

これ以外に、まだまだ処分方法はあります。考えてみてください。

(11)商品展開カレンダー、販売カレンダー、商品の季節サイクルを知っている。

商品展開カレンダー、販売カレンダー、商品の季節サイクルは、商品仕入担当者、バイヤーが知らねばならないことですが、売場担当者も知っておく必要があります。季節の変化に合わせて、次の季節の商品の品揃えをいつから開始するか、いつ切り上げるか、それを知っていれば、品揃えチェック能力、商品鮮度チェック能力が鋭くなります。そして、商品回転日数、値下率低減、粗利益率アップにつながるからです。

続く→小売業1年生に求められる現場実務力(3)へ

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小売業1年生に求められる現場実務力(その1)

(1)自分の担当売場(商品)について、次の質問に全て数字、図で答えらるようにならなければなりません。

①昨日の売上高はいくらでしたか。

②今月昨日までの累計売上高はいくらですか。

③その累計売上高の前年比は何%ですか。

④昨日の売価在庫高はいくらでしたか。

⑤あなたの担当商品の昨日・閉店後の在庫数量は何枚でしたか。

⑥昨日は何が、何枚売れましたか。

⑦あなたの担当商品の倉庫在庫は何枚ありますか。

⑧あなたの担当売場は何坪ですか。(実売場坪数・中分類売場坪数)

⑨あなたの担当売場を、競争相手の店は何坪とっていますか。

⑩あなたの担当売場の売場レイアウトと什器配置図が書けますか。

⑪あなたの担当売場の商品分類別・今月売上高予算、在庫高予算はいくらですか。

⑫あなたの担当売場(商品)の先月・仕入先別仕入売価高を大きい順に答えてください。

⑬あなたの担当売場の昨日の買上客数は何人でしたか。

⑭あなたの担当売場の今月昨日までの累計値下高はいくらですか。

⑮あなたの担当売場の先月の商品回転日数を答えてください。

仕事の成果、結果は全て数字で表現されます。1は一、2は二です。あいまいではありません。計数把握力、計数感覚を磨かねばなりません。

次の数値項目についてすぐ答えられること。(手帳、ノートを見るも可)

本日売上高実績、今月本日まで累計売上高実績、本日売価在庫高、本日値下高、今月本日まで累計値下高と率、本日商品移動・返品高、今月本日まで累計仕入売価高と仕入値入率、今月本日までの粗利益率、今月本日までの商品回転日数。

(2)「今、何が売れているか」、「いま、何が売れていないか」、「今、品切れしているものは何か」、「どの商品を補充しなければならないか」が分かっていること。

①売れている商品を品種・品目別に、売価・デザイン・カラー・サイズ・品質素材・機能・仕入先・メーカー・ブランド等を答えられるか。日々、克明に記録しておく。

②売れ筋ベスト10品目、不振品ワースト10品目、品切れ・欠品商品が言える。

(3)商品在庫の中身を分かっていること。

①一日の売上高、売上数量よりも、はるかに多い商品売価在庫高、使用品在庫数量が店舗にはある。「今、ある商品在庫の中身、内訳」を良く知っておかねばなりません。

②「良く売れている商品=売れ筋品」が、売場にある商品在庫に占める割合は、思っているよりはるかに少ない。

③全店合計商品売価在庫高(店頭・売場商品在庫+店舗倉庫在庫+物流センター在庫+仕入先・メーカーへの一時預け在庫+生産仕掛品在庫)に対する「良く売れている商品」の割合・比率は、もっともっと少ない。

④商品在庫の理想形は「店頭・売場在庫=全て売れ筋品」

(4)経験則で言える「売行き不振品の判断基準」

①商品が店舗に入荷した月日を起点としてから、14日間の売上数量が入荷数量の70%以下なら「売行き不振品」と考えてよい。(この間に売価変更・値下げは無いものとする)

②「売行き不振品」かどうかを判断する上で、最も重要なものは品目別商品回転日数。衣料品の場合、商品回転日数が30日を越えているものは「売行き不振品」と考えたほうがよい。

売場の品揃え鮮度、商品鮮度を重視するなら、このくらいの基準が、ぎりぎり妥協できるところです。商品回転日数が40日まではいいとすると「値下げ・見切り対象品」数多く出ることになります。

(5)担当売場のレイアウト・商品別什器配置図が正確に書けること

担当売場のレイアウト図が正確に書ける。商品別什器配置図が正確に書ける。売場を知っているとはそういうことです。

①自分の担当売場の商品品種別什器配置図

②自分の担当売場の競争相手の売場レイアウトが書ける。定期的に調査している。

続く→小売業1年生に求められる現場実務力(その2)に続く

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