売上が下がっても利益が上がる体質が必要--名経営者語録

デフレ環境下では、売上が下がっても利益が上がる体質が必要だと思う。当社にとって、売上は伸びても利益が伸びないという状況が一番望ましくない。売上をあげて利益を上げるのが日本の今までの経営スタイルでしたが、売上を下げても利益を確保するのがデフレに対するケアだと思う。(Chain Store Age95.06.1号)

デフレ、インフレに関係なく、その時々に会社のあり方が適切かということが要求されている。私たちもそれぞれの時代に合わせてやっているのか、そう自問したら、「まだまだ努力が足りない」と言わざるを得ない。(日経ビジネス03.2.3号)

単価を下げているので、一人のお客様に買っていただく点数を上げるか、客数を増やさないと売上はアップしない。過去5年間、お客様の買上点数は変わりません。いかに客数を上げて、地域の占有率を上げていくかです。(Chain Store Age95.06.1号)

小売りは、値段(売価)の上げ下げが比較的自由にできる。利益を上げるために値段を上げるのでは会社の体質改善に結びつかない。だから、値段を上げずに運営コストを下げる方を大切にしょうと言ってきた。(販売革新05.05号)

粗利益率は低くても、店舗段階で営業利益率は8%から10%確保している。コストをいかに下げるか、下げられる仕組みにいかに変えるか、そこをどうするかがチェーンストアの課題だ。(販売革新05.05号)

コストダウンを最も具現化させたのが直接物流制度です。(販売革新05.05号)

物流加工の人件費低減に加え、日中間、国内両方での運送費を節約できるため、従来方式と比べ10%のコスト削減が可能(日経流通新聞02.04.30号)

私たちは継続してローコストの追求をしようとこれまでやってきた。また、それを続けることでシステムが強化されるのだと思う。(プレジデント99.03号)

販管費の削減が必要なのだが、実際は家賃と人件費はあまり下がらない。結局、在庫を減らして回転率を上げる、それで売上を伸ばしていくしかない。(日経流通新聞01.11.3)

オペレーションコストで最大の問題は人員がひとつ。次いで、駐車場の問題で過半を占める。それに販促費を入れれば殆んどを占めてしまう。販促費は変えられるが、人員と駐車場は変わらない。けれど、世界的な製造業から見れば、濡れた雑巾みたいに、絞れば改善の余地はいくらでもある。(販売革新98.05号)

「デフレ環境下では、売上が下がっても利益が上がる体質が必要」、これができればベストでしょう。しかし、その仕組みをつくりあげるのは、一言で言うほど簡単なことではなく、相当の努力と時間が必要とされます。数ある小売企業のなかでも、その仕組みを作り上げているところは、ほんの少数しかないと言っても間違いではないと思います。

ファッションセンターしまむらは、その少数のなかの1社です。売上が下がっても利益が上がる仕組みと、それを支える力、極めて強力な「コストコントロール力」を維持し続けているからです。過去10年間の販売管理費率と経常利益率実績を見れば、その「コストコントロール力」の強さが分かります。以下に、しまむらの過去10年間における販売管理費率と経常利益率の実績推移をメモしておきます。販管費のブレは、この10年間で見ると、わずか1ポイント(2001/2は22.1%→2010/2が23.1%)の増ですが、一方の、経常利益率は、2001/2の5.1%が、2010/2には9.4%と、4.3ポイントもアップしています。

しまむら 2001年2月期~2010年2月期 過去10年間の実績

 年 度  販管費率(%) 経常利益率(%)

2001/2----22.1%-------5.1%

2002/2----21.5%-------6.5%

2003/2----21.4%-------7.0%

2004/2----21.7%-------7.2%

2005/2----21.5%-------8.0%

2006/2----21.7%-------9.3%

2007/2----21.5%-------9.7%

2008/2----21.9%-------9.8%

2009/2----22.9%-------8.9%

2010/2----23.1%-------9.4%

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物流の仕組みを作ったあとに店を開店していく---名経営者語録

最初に物流センターをつくる

今後、店舗網を拡大していく場合、最初に物流センターをつくる。物流の仕組みをつくった後に店を開店していく。その理由は、自動発注すると、例えば、1000円のブラジャー1枚注文しても、取引先が各店に個別に配送していてはコストがかかる。我々は物流センターがあるから全店分の量をまとめて取引先が納品できるので、それが可能になる。ブラジャー1個でもきちんと補充できる仕組みは、物流センターが動いているからこそ。だから、物流センターを最初からつくる必要がある。(販売革新90.08号)

当社の基礎は、徹底したマニュアルと自動化した情報システムにあり、物流についても自動化した大型配送センターを配置して日本全域をカバーし、緻密な管理と、競争力の源泉である低い運営コストを維持している。(繊研新聞97.11.20)

物流センターのメリットは、店舗に商品を供給するだけではなく、店間移動にも力を発揮している。毎日、夜に出発する配送トラックは、ある店舗で売れ残った商品を、良く売れる店に簡単に移動することができる。店間移動システムにのせたおかげで、値下げロスが目に見えて減った。(販売革新91.08号)

流通を徹底的に合理化しようとすると物流システムも自前で持つしかない。(プレジデント99.03号)

私たちは社内に宅急便と同じシステムを持っている。このシステムによって、同じ物流センターが管轄している店には翌日に商品が届く。別の物流センターを経由して送る場合も2日後には着く。(日経ビジネス99.01.25)

私たちの強さは、例えば、100円の商品が売れれば自動発注システムによって商品が入荷する。運賃よりも安い商品を動かすことができる。他のお店では、そのような場合なかなか入荷しないから品切れになる。(販売革新91.06号)

①物流システム、②IT情報システム、この2つは、今の小売業ではとても重要な仕組みであることは、皆さんご存じのとおりです。大手コンビニエンスストア、GMS、食品スーパーマーケットチェーンなど、全国ネットで多店舗展開している小売企業は、それぞれ、より一層、効率的で機動力のある物流システム構築に取り組んでいます。なかでも、1100超の店舗を展開しているディリーファッションストア大手・ファッションセンターしまむらの物流システムは、業界でも「最高レベルにある優れた仕組み」との高い評価を受けているようです。今、彼らは、全国に9カ所の物流センターを配置していますが、その物流コストは、数ある小売企業の中でも、最もローコストな仕組みと言われています。調べた結果、現在、全国に9つの商品センター展開していることが分かりました。全国をカバーしているのが分かります。

有価証券報告書によれば、現在、ファッションセンターしまむらが全国に配置している物流センターは、①福島商品センター、②岡山商品センター、③犬山商品センター、④桶川商品センター、⑤北九州商品センター、⑥盛岡商品センター、⑦関ヶ原商品センター、⑧秦野商品センター、⑨神戸商品センター、この9個所となっています。

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衣料品をやっている限り「見切り」がある--名経営者語録

衣料品をやっている限り「見切り」がある。これを減らそうと一生懸命やっている。今は5%だが、目標は4.5%に置いている。(ChainStoreAge98.01.01)

売れ残った商品を処分するのは)単純に値下です。私たちにとって、値下げというのは、ある意味では必要悪。値下げ率ゼロがよいとは限らない。それは不可能です。適正数値は4.5%程度ではないかと考えている。(ChainStoreAge95.06.1)

値下率は低ければいいというものでもない。「ゼロに近づけろ」と言うと、担当者は値下げを恐れて仕入れを少なくしてしまい、今度は品切れが発生する。5%程度でちょうどいい。(流通戦国時代の風雲児たち・井本省吾氏 著より)

売れない商品を自分で処分する方法は2つしかない。一つは、できるだけ早く売れる価格に下げること。例えば、入荷してから、1週間目、2週間目と、単品ごとに追っていき、思ったより売れるのが遅ければ、価格を下げる。もうひとつは、売れない店から売れる店に商品を移すこと。これについては、我々の物流システムのなかで、ある商品が売れていない店があれば、それが売れている店に自動的に品物を移す。つまり平準化する。

在庫が残らないように細かい計算をして値段を決め、売れると思われる数量を店頭に置くが、それでも、売れ残りや、品切れになることもある。その場合は、売上のPOSデータを見ながら、売れ残った商品の値下げのタイミングを適切に行う。あるいは、A店からB店に商品を移し、早く売り切る。売れ残っても、値引き幅の少ない早い時期で売り切るのが望ましい。(プレジデント99.03)

どうしても売れない商品が出てきたら)売価をゼロにして捨てちゃえばいい。理屈はそうでしょう。そこで、そんな理屈を言わないで、もっと売れる価格を考えろと言われれば、売れ残りを最後まで持ち越すのは困るから、初期の段階でいかに売るかを考える。最後に持ち越せば半値でも売れないものが、初期だったら1割の値下げで売れるかもしれない。(激流92.04号)

衣料品が難しいのは、売れる時は徐々に上がるんじゃなくて瞬間的に上がるんです。それこそ、あっという間に。

衣料品の価格は、最初は高く、シーズンの終わりには大幅に値段が下がる。それを、そうではなく、最初の段階で適正な価格で買った方が得だという商売、つまり、最初の価格設定を、いかに正しく行うかということに力を入れている。

売れない商品を長く抱えすぎないために、コントローラー制を導入している。(ChainStoreAge95.06.1号)

ジャストシーズン、ジャストフィットです。夏場には夏物を、秋には秋物を。

短サイクル化が進行しているので、ジャストシーズンに合わせるしかない。お客様は、今、欲しいから買うのであって、来年のために買うことは絶対に無い。

きちんと売りさばけずに、たまりにたまった在庫が、ある日、突然、抱えきれずに破裂する。この業界にはそういうことがある。だから、「売り切る仕組み」が必要だ。

大手GMSの直営衣料品部門の値下率は、思いのほか高い。例えば、イオンの衣料品の値下げロス率は、2007/2→18.6%、2008/2→21.3%。ユニーの衣料品の値下ロス率は、2007/2→17.9%、2008/2→17.9%。GMSの中では、低いと言われているイズミの衣料品でも、その値下ロス率は、2007/2→9.9%、2008/2→10.4%。

それに比べ、ディリーファッションストア・「ファッションセンターしまむら」の値下率は、5%を超えることは少ない。この差は、どこから生まれるのだろう。徹底的に調べ、何が原因なのか突き止めねばならない。GMS大手にしても、決して、いい加減なMDingをやっているわけではない。きっと、しまむらのMDingの進め方と、なにか大きく異なるところがあるのかもしれない。

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優良な会社の利益の基準は経常利益率8%が適正-名経営者語録

優良な会社の利益の基準は経常利益率8%が適正とみて努力している。昨年は5%だが、早期に8%を目指す(繊研新聞97.11.20)

利益率の世界の基準は10%。規模の拡大による量の追求から質の転換を進めたい。(繊研新聞2002.03.19)

私は、世界的に見て小売業のあるべき形というものがあって、その中で、経常利益率10%というのは今の基準だなと思っている。(商業界2004.10月号)

今、私たちは「粗利益率が29.5%、経費率が19.5%で経常利益率10%を出しましょう」と言っている。(商業界2004.10月号)

我々は8%の経常利益率があれば十分だと考えている。粗利はそれほど追求する必要はない。粗利を追求しようとすると、どうしても社内に「甘え」がでる。人件費は大幅に上がったし、賃借料も今後は上がっていくことが予想される。

それをどのように吸収していくかが問題であって、どのように解決していくかがこの業界では非常に重要な問題。ところが、「粗利をあげればいいじゃないか」と安易な方法によって努力することをやめてしまう。ローコスト経営をますます高めるシステムを作り上げる努力をすべきであって、粗利に走ってはいけないのです。(販売革新91.06号)

小売業は薄利でも仕方がないという経営者がいますが、これからは、小売業でも利益率が10%ぐらいないと、絶対に、いい会社とは言ってもらえない。しかし、自分だけ儲けようとするとうまくいかない。それなら、みんなが利益を得るにはどうしたらいいか考える時代だと思う。(日経ビジネス2002.2.3号)

粗利益率は低くても、店舗段階で営業利益率は8%から10%は確保している。コストをいかに下げるか、下げられる仕組みにいかに変えるか、そこをどうするかがチェーンストアの課題なのです。(販売革新2005.5月号)

当社では営業利益率10%が適正だと考えている。新しいことにチャレンジする研究開発費も含め、トータルで営業利益率10%をクリアしていればいい。(繊維月報07.3号)

さっそく、優良小売企業と評価の高いアパレル小売企業をピックアップし、それら小売企業の、①営業利益率と、②経常利益率の過去5年間の推移を調べてみました。結果は以下のとおり。

①営業利益率の推移

         ファースト                         ユナイテッド

 年  度   リテイリング  ポイント   しまむら  西松屋C  ア ロ ー ズ

2005-------14.8%-----19.9%---7.9%---9.6%---13.1%

2006-------15.7%-----20.2%---9.0%--10.4%---14.2%

2007-------12.4%-----19.9%---9.5%--10.8%---12.2%

2008-------14.9%-----17.4%---9.5%---9.3%----6.8%

2009-------15.9%-----18.2%---8.9%---7.8%----6.3%

②経常利益率の推移

 年  度   ファースト                         ユナイテッド

        リテイリング   ポイント   しまむら  西松屋C  ア ローズ

2005------15.3%-----19.9%----8.0%---9.8%----13.0%

2006------16.3%-----20.2%----9.3%--10.5%----14.1%

2007------12.3%-----20.0%----9.1%--10.9%----12.2%

2008------14.6%-----17.6%----9.8%---9.5%-----7.0%

2009------14.8%-----18.5%----8.9%---8.0%-----6.4%

注①西松屋C→西松屋チェーン

注②各社の決算月 ファーストリテイリング・8月/連結、 ポイント・2月・単体、 しまむら・2月/単体、西松屋チェーン・2月/連結、 ユナイテッドアローズ・3月/単体

超優良アパレル小売企業と評価の高い会社は、確かに、営業利益率10%、経常利益率10%を達成している。「優良な会社の利益の基準は経常利益率8%が適正」という話も、納得できる。しかし、多くの小売企業は、この数字の半分にも満たないところが多いのではないかと思う。経常利益率8%~10%を確保することはそう簡単にできることではありません。やはり、超優良アパレル小売企業のハードルはとても高い。

  

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小売業の中で一番大事なことは標準化--名経営者語録

小売業の中でいちばん大事なことは標準化。特に店を700ぐらいつくりますと、標準化されているか、されていないかでものすごく違う。(講演録より)

基本は標準化。基本をつくれば自然に規模は増える。徹底的に標準化する。店の運営の基本を標準化する。全体を標準化しながらレベルを上げる。店舗の運営コストを総て同じに。(CGCグループ・講演録より)

良い仕組みを作った者が圧倒的な利益を得る。(CGCグループ・講演録より)

全国チェーン展開は「仕組み」しだい。「仕組み」に地域差は無い。(CGCでの講演録)

適正とはなにかを追っかける。そして「標準化」(CGCグループ・講演録より)

1500店すべて直営で、チェーンストアを展開している。典型的なチェーンストア経営である。1000㎡のフォーマットを守り、標準化を徹底するとともに、単純化、専門化を進めて、この原理を経営に反映してきた。この、標準化、単純化、専門化に、「仕組み」、つまり、「システム化」を加えたことと、これらすべての原則を、例外をつくらず徹底してきた。(法政大学経営大学院・IM研究科での講演録--法政大学経営学部・小川孔輔教授のウエブサイトより)

小売店の間では「個店主義」が普及しつつあるが、わが社は青森から鹿児島まで全部同じやり方で販売しており、完全なチェーンストアオペレーションだ。(日経流通新聞)

商品のコントロールの標準化、店舗規模の標準化は非常に大事なこと。ウォールマートでも業態ごとに標準型を決めている。(ChainStoreAge/00.12.15号)

われわれはチェーンストアの基本として、標準化を一生懸命に考えてやってきた。SMも、ビッグストアも、できれば大きい方がよいという考え方ですが、われわれは違う。わが社としての「適正規模」をしっかり認識することです。

われわれにとって大切なのは、店舗の適正規模をみつけること。それ以上でも以下でもコストはグーんと跳ね上がる。(激流92.04号)

すべての業態が郊外に店をつくるとしたら、品揃えのためには1000㎡が最低限必要だと考えている。田んぼの真ん中でも、お客様が集まってくれる規模というのがある。当社では、店舗の最低限の規模を守って、必要な商圏の大きさと立地を考えてきた。25000人の商圏人口を確保できる場所で、集まりやすい場所を立地とする。標準化することで、共通項で管理しやすいところと、変化に対応しやすいところが強みとなった。(ChainStoreAge/00.12.15号)

重要なのは、商圏に対する考え方を統一すること。妥協することなく、こちらが考える立地に出店すること。立地がバラバラだったら標準化はできない。(販売革新91.06号)

時代が変わって、商売になるべき立地が違ってきたらスクラップ&ビルドして、新しい店を出す。しかし、当社の規模としては、店舗の大きさはこれでいいんじゃないかと思う。標準を決めてつくると、それに合わせた品揃え、運営になっていく。それを、極端に変えると、全部システムが逆じゃないか、別じゃないかとなる。1000㎡で品揃えすると、商品部も1000㎡に最適の品揃えをする。それを今度は2000㎡で、同時に店をつくって展開すると、完全に2つのパターンをつくらなくちゃならないから、ものすごく戸惑いがでると思う。(販売革新97.09号)

チェーンストアの原理・原則は、①標準化-Standardzation、②単純化-Simplification、③専門化-Specialization、この3S。しかし、それを実現するとなると、ことはそう簡単ではない。多くの小売企業がチェーストアづくりに取り組んでいますが、これがチェーンストアだと言える小売企業は極めて少ないのではないでしょうか。自称、チェーンストアは沢山ありますが・・・・・・・。

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「すべて買取り」、「ノー返品」-名経営者語録

われわれは基本的に「すべて買取り」で、「ノー返品」です。我々はすべて買取りでいいから、最初から安く売ろうとしています(販売革新90.08号)

われわれは、その年に仕入れた商品は全て売り切って、返品もしません。コストに対する我々の考え方は、当社だけのコストではなく、製品が企画されて、糸が製造される段階からのコストをいかに下げるかということです。そのためには、それぞれの段階がリスクと責任をきちんと持たねば絶対に安くなりません。だから、「ノー返品」を貫き、我々も販売の責任を持つ必要があるのです。(販売革新90.08号)

メーカーとの取引は、決められた時期に「すべて買取り」ます。メーカーにとっては返品リスクのない安心できる商売ですから、われわれはそれだけ安く買うことができる。もう一つ言えば、商品の企画を仕入れるのが我々の仕事ですが、取引での信頼関係があるところでの商売もしやすい。

短期的に考えるなら、買取りは絶対に損です。買取りはリスクが全て自分のところに返ってきます。買取りをしなければ、当然、値段は上がるけれど、ハイリスクなのでみんなやらないのです。相対的には、得でないと思いますが、買取りをやることによって、社内の実力が上がり、競争力を増すことにつながった。(ChainStoreAge 95.06.1)

最後になって、残りましたと返品したのでは、相手は、次は売れ残りを見越して最初から高い値段を出してくるでしょう。しかし、価格決定権を小売業が持って、最初から1割安い定価をつければ、売り切ることができるかもしれません。(激流92.04)

商人はリスクを被るから商人なんです。リスクを被らなかったら商人じゃない。(激流92.04号)

小売りの最大の責任は、売り手として明確に(売りさばく)商品の数量と価格に責任を持つことではないか。一番最初に、ある商品を1980円といったら、それを何月までに何千枚売り切る。これが小売りの責任。これがない限り、すべて机上のことになってしまう。とくに、日本の場合は、一番もとの小売りに、そういう意識がなくて、すべて見込みで動くから、結局、すべてにリスクが発生する。(激流97.09号)

私は、小売業がリスクを被らねば、システムそのものの合理性は追求できないと思った。リスクをかぶることにより、そのリスク自体をコントロールできるだろうと考えた。完全買取りについても、そういうところからできた体系です。発注した分の完全買取りができている企業はまだ少ないようです。しかし、発注したものを全て買取らない限りは、生産計画と生産が結び付かず、結局は価格が高くなる。(Chain Store Age 00.12.15)

私は基本的に「小売りは売り切ればそれでもういい」と思う。売り切ってしまって、足りなくなっても、それは自分たちが計画した数量なんですから。それが、機会ロスだから、もっと作ってすぐに持ってこいと、これは言うほうが無理です。だって、追加して商品が欲しい時は、1週間、2週間のことなんですから。(激流97.09号)

「リスクはすべてこちらが持つ」という姿勢を貫き、企画メーカーと直取引するようになってきました。こちらがリスクを持つということで、最初は価格に厳しく、次に商品に厳しくし、精度をたかめていきました。(繊維月報2007.3 vol.563号)

仕入先への支払いは20日に締めて、翌月20日の現金払いです。(販売革新90.08)

小売業は消費者の一番近いところにいる。だから、売り切る能力を持っている。チェーン化すると、商品の移動ができる。小売業として技術を磨くと、商品を売り切る方法はいくらでも出てきます。

上記の名経営者語録で語られていることを、しっかりやっているか、どうかで、商品回転率も、値下げ率も大いに変わってくると思います。以下にあげる数値は、マークしている小売企業の衣料品部門における「商品回転率」と「値下率」です。数字のちがいは、「すべて買取り」、「ノー返品」の”貫き度”の違いなのかもしれません。それとも、その「覚悟のほど」の差が、そのまま数字の差となって出たと考えてもいいのでしょうか・・・・・。

           2007/2    2008/2   2007/2  2008/2

小売企業名  商品回転率  商品回転率  値下率  値下率

イオン--------4.8回-----4.7回-----18.6%---21.3%

ユニー--------5.6回-----5.5回-----17.9%---17.9%

イズミ--------5.2回-----4.9回-------9.9%---10.4%

しまむら-----9.0回(08)--9.4回(09)--7.5%(08)--7.3%(09)

注①各社の決算資料より(衣料品部門)の実績数値を抜粋して作成

注②しまむら=ファッションセンターしまむら

「すべて買取り」、「ノー返品」--名経営者語録   = 完 =

 

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「仕組み」が命-名経営者語録

「仕組み」が命 

店をつくってから、後で仕組みを作ろうとしてもうまくいかない。最初に仕組みをつくらなければダメ。小商圏で、しかも、少ない売上で利益を出そうとしたら「仕組み」が命。(販売革新90.08号)

店を作るのは、すぐ真似られるんでしょうけれども、システム構築が出来ないと意味はない。見えないものを作ることに対して、時間と金をかけるだけのメリットを考えるかどうかなのだと思う。(激流91)

基本的な考え方としては、仕組みをどうするかという問題。仕入れはセントラルバイイング、この方式にしても、補充発注などについては、店舗は一切、関与せず、それは全部、商品部が電算システムを通して追加発注する。物流センターからは、各店別に毎朝、その店舗の必要商品を届けるシステムになっている。店では、早朝に当日の荷物が入っており、店の人は朝、来ると、それを開け、並べて売ればよいだけ。全店、同じオペレーションで、誰でも出来る作業と仕組みを作り上げてきた。(激流89.07号)

チェーン化を進める小売業は、店舗運営、商品管理、物流管理、情報システムの開発と運用の技術が必要だ。当社は独自にこれらを築き、さらに高度化させる。当社はローコストオペレーションでも有名だが、セントラルバイイング、セントラルマーチャンダイズコントロール、店舗のブロックマネジメントと母店制度、店舗の開発、改善提案制度と業務開発などを徹底して進めている。 (繊研新聞97.11.20号)

小売業界では、「ローコスト経営といえばウォルマート」と言われるくらい、ウォルマートの徹底したローコスト経営は有名です。そこで、ローコスト経営を測る一つの判断基準とされる「販売管理費率」について、いろいろ資料をあさって調べてみました。以下はその概略。

①ウォルマートの販売管理費率(経費率)

  2006年度 経費率18.5%  粗利益率23.4%

  2009年度 経費率19.5%

  2010年度 経費率20.0%  粗利益率24.9%→2010・第3四半期

②ウォルマートの間接費コスト

  本部費2%→同業他社は5%以上

  広告宣伝費0.5%→同業他社は1.5%~2.5%

  物流費3%→同業他社は5%以上

日本国内の小売企業では、売上比広告宣伝費率は発表しているところはありますが、しかし、売上比本部費率、売上比物流費率を公表しているところを、あまり見たことがありません。したがって、実態の数値は分かりませんが、ここに載せた「同業他社の数字」に近いところが多いのではないかと思います。

③食品スーパーマーケット・オーケー株式会社

  2010年3月期 販売管理費率14.5%

  2009年3月期 販売管理費率14.8%

食品スーパーマーケット・オーケー株式会社の販売管理費率はウォルマートを下回る驚異的な数字です。おそらく、日本国内では最強の小売企業でしょう。現時点で、このオーケー株式会社と低価格競争をして勝てるところは見当たらないように思います。聞いた話ですが、ウォールマートがオーケー株式会社までやってきて、その徹底したローコスト経営について、あれこれ勉強して帰ったとのことです。

④ファッションセンターしまむら

2004/2 販売管理費率21.7%

2005/2 販売管理費率21.5%

2006/2 販売管理費率21.7%

2007/2 販売管理費率21.5%

2008/2 販売管理費率21.9%

2009/2 販売管理費率22.9%

優秀と言われる小売企業の販売管理費率をみると、「ローコスト経営と言えるのは販売管理費率23%以下」、一番になるには15%以下の販売管理費率、なおかつ、経常利益率5%以上をあげないとダメなようです。それが達成できる「仕組み」を作り上げることができた小売企業となると、世界的に見ても、極めて少数であろうと考えられます。

「仕組み」が命   = 完 =

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低粗利の企業が市場を制す-(名経営者語録)

「小売業・名経営者語録」について

「小売業・名経営者語録」は”ある小売企業の経営トップ”の語録集です。。1000店舗超の一大チェーンストアを築き、その優れた経営手腕で小売業界に燦然たる実績を残しながら、地位と権力に恬淡、見事な出処進退で、第一線から退かれた小売業界屈指の名経営者です。私的には小売業界で最も尊敬している経営者の方ですが、その名経営者が、小売業経営、商人哲学、チェーンストアの仕組みづくりなどについて、いろいろの場(講演、インタビュー、業界誌、業界新聞などへの掲載記事など)で語った言葉を出来得るかぎり拾い集め、自分の研究資料と勉強のためにノートに書き留めていました。、そのなかから、私なりに、「ぴーんとくる言葉」を選び、まとめたものが”名経営者語録”です。

低粗利の企業が市場を制す (繊研新聞・2000.04.08)

「革新者はその革新固有の低い営業費によって可能となった価格訴求をベースに大衆を引きつける」、この言葉は、「小売りの輪は回る」-米国の小売形態の発展-(マルカム・P・マクネア、エリナ・G・メイ著/清水猛訳-有斐閣選書R)にある一節です。日本国内小売業界でも、景気低迷、消費不振のなかで、激化の一途をたどる低価格競争に対処するためには、低粗利・低価格・ローコスト経営に徹しなければ生き残れないと言われいます。低粗利で、生きていくためには、低コスト、いわゆる、ローコスト経営が必要不可欠で、それができない小売企業には衰滅あるのみだからです。ローコスト経営について、かの名経営者は次のように言っています。

「ローコスト経営」というのは、小売業にかかわらず、日本の産業全体に与えられたテーマだと思う。日本のメーカーの優秀さもそれが基本にある。低コストでモノをつくるというのは企業の使命です。そうすると、日本の大手チェーンストアの問題点は、損益分岐点を上げすぎて、非常に高い粗利益率をとらなければ運営できない体質になってしまったことです。」 (販売革新90.08号)

小売業は、いかに低いコストで消費者に商品を提供できるかどうかを巡って発展してきたと思う。百貨店が全盛だった時は、従来の小売店よりも百貨店のほうが低コストで商品が供給できた。ところが、量販店がもっと安く商品を供給できるようになると、百貨店から量販店へシフトが生じた。ですから、我々が新たに進出する時は、それよりも低いコストで商品を供給できるかどうかが立ち上がりの基本条件であった。(激流92.04)

私たちが最も低い粗利で売れる体制を持っていれば、競争相手が逃げざるを得ません。それよりも安くしないかぎりダメなわけですから。そうすると、経営的にオペレーションコストが高い会社のほうが、低いところと同じ商品は避けます。(Chain Store Age 98.01.01号)

私は、製造業は、いかに付加価値の高いものをつくるかということが基本的な命題だと思う。しかし、流通業は、いかにコスト構造を低くしてモノを売るかということだと思う。単純に言うと、世界で最も安い構造をつくればいいと思っている。しかし、私はローコストが目的ではありません。最終的には、お客様が選ぶのだと思う。(販売革新98.05)

販売管理費は、低ければ低いほどいいけれど、今の私たちのなかでは20%がひとつの基準です。以前、17、18%という時もありましたが、今の構造を考えるとそんなものでしょう。(販売革新98.05号) 

安い価格が出せるかどうかは、流通の中で、自分のポジションが最もローコストになっているかどうかにかかっている。私たちだって、もっとローコストの企業が出てくれば負けてしまう。(販売革新99.12号)

ここで語られている「ローコスト経営」について、現状は、はたしてどうなっているのか、注目しているいくつかの小売企業を調べてみました。小売業界で、「ローコスト経営」が叫ばれて久しいですが、実際に、ローコスト経営を実現し、きちんと、それなりの利益をあげている小売企業はどのくらいの数あるのでしょう。

小売企業名  売上総利益率 販管費率 営業利益率 経常利益率 年度

しまむら・株----31.0%-----22.9%---8.9%---8.8%(09/2)

オーケー・株---19.8%-----14.8%---5.0%---5.1%(09/3)

PLANT------19.5%-----17.8%---1.7%---1.3%(09/9)

MrMax------21.0%-----23.7%---0.7%---0.8%(09/3)

西松屋チ-----34.2%-----26.4%---7.8%---8.0%(09/3)

ドン・キホーテ-25.4%-----20.8%---4.8%---4.5%(09/6)

トライアルカン-15.6%-----16.3%---0.5%---0.6%(09/3)

オオゼキ-----24.9%-----18.2%---7.8%---8.0%(09/2)

注)①しまむら→しまむら株式会社・衣料品、②オーケー→食品スーパー、③PLANT→ディスカウントストア、④MrMax→ディスカウントストア、⑤西松屋C→西松屋チェーン・ベビー子供専門店チェーン、⑥ドン・キホーテ→ディスカウントストア、⑦トライアルカン→トライアルカンパニー(ディスカウントストア)、⑧オオゼキ→食品スーパー。

こうやって数字を見てみますと、ローコスト経営を実現しながら、かつ、経常利益も、きちんと出しているという小売企業は、極めて少ないように思われます。販管費率が23%以下、営業利益率、経常利益率、ともに5%以上をあげている小売企業となると、さらに少ないものと推測されます。販管費率が低いというだけで、その企業は「ローコスト経営をやっている」と評価するのは、もちろん、間違いです。「ローコスト経営だが、赤字」という小売企業を「優良企業」とは言えないからです。

 語録-「低粗利の企業が市場を制す」  =完=

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