『競合店調査』に関するメモ

『競合店調査』に関する「知っておきたい基礎知識」

■競合店(競争店)の有無

小売店にとって、自店の対象商圏エリア内に、どのくらいの競合・競争店があるか、また、強い店があるかどうかは、自店の売上高、利益に大きな影響を及ぼす極めて重要な問題であることは言うまでもありません。自店が、十分な売上高と、経営的にやっていける利益を確保することができると考えられる「あるまとまったかたまり・数の人口(=商圏人口)が住んでいるエリア」に、競合・競争店が1店舗もないか、あっても「競争力の弱い店」しかなければ、売上高を独占、または、高い売上シェアを確保することができます。そのようなエリアを「無店地帯」、とか、「無競争地帯」と呼んでいることはご存じのとおりです。

こういうエリア=無競争地帯、無店舗地帯に店を出せば、売上も利益も比較的、楽に確保できることができます。そんなわけで、「無競争地帯、無店地帯への出店は美味しい」と言われていました。しかし、それはもう、随分、昔の話(20年も30年も前の話)で、今は、そんな美味しいエリア、店を出せば必ず売れる、儲かるというような場所は、探しても見つけることはできなくなりました。

■売場面積1㎡当り支持人口

小売店の競争度合を表す一つの指標に、「売場面積1㎡当り支持人口」-(あるエリアの居住人口=想定対象商圏エリアの人口、すなわち、商圏人口を、そのエリアにある小売店の売場面積合計で除したもの)-というものがあります。ある資料によれば、「売場面積1㎡当り支持人口」は、1970年・1.90人→2002年・0.93人→2007年・0.87人となっており、年々、減り続けています。これは言うまでもなく、小売店同士の競争が一段と激しさを増していることを意味します。さらに、出生数の低下と人口減少が、小売店同士の競争を一層、厳しいものにしています。

今は、どこに店を出そうと、どこに店があろうと、そこには必ず複数の競争・競合店が存在すると言ってもいい時代です。したがって、小売店は、常に、競争・競合店の動向に気を配り、柔軟、かつ、強力な競争・競合店対策をやっていく必要があります。以下は、「競争・競合店調査」とはなにか、なにが目的でやるのか、どんなことを調べるのか等について、現在の小売業界における代表的な考え方を、いくつかの資料から抜粋、ダイジェストのメモです。

■『競合店調査』の調査項目

①競争・競合店の立地→競争相手の店は、どんな場所にあるか。

②競争・競合店の駐車場収容台数

③競争・競合店の商業施設規模(敷地面積、売場面積)と業種構成、店舗構成

④競争・競合店の商品部門構成と、商品部門別売場面積と売上高

⑤競争・競合店の売場ゾーニング・レイアウト、商品部門別・陳列什器形態別台数とその配置図

⑥商品部門別、商品カテゴリー別、品揃えアイテム数

⑦商品品種・品目別、売価ライン別品揃え在庫数量→売価政策

⑧商品品種・品目別展開陳列フェイス数

⑨競争・競合店の販促政策

⑩商品部門別・売場別要員数

競合店調査では、少なくとも、以上、①~⑩の項目について徹底的に調査すべきです。

■『競争・競合店調査』の目的と調査項目-小売店A社の場合

①商圏設定のため

→その競争・競合店には、「どの地域の、どんな人たちが来店しているのか」

→その競争・競合店では、「何を買っているのか」

→その競争・競合店の「商品部門別の強弱と、MD力はどんな状況か」

→その競争・競合店の商品部門別売上高

以上のようなことを調べて、自店の商圏設定に使う。

②その競争・競合店のお客の、曜日別・時間帯別の買物動向、地域別特性、特徴商品の品揃え幅・構成比・売場坪数・売り方等を調べ、そのエリアの住民の生活実態、特性をつかむため。

③その競争・競合店の政策(店舗政策、商品政策、価格政策、ターゲット客層等)を知るため

④その競争・競合店のテナント構成、業種業態別テナント名と数、それらテナントの品揃え、価格政策等をつかみ、自店の競争・競合店対策に役立てるため。

⑤その競争・競合店に「お客はなぜ来ているのか」、「どんな魅力、メリットがあるのか」を知るため

調査項目

→その競争・競合店の来店客調査-「その店に来店している客は、どんな交通手段を使い、どのくらいの時間をかけてきているのか」

→その競争・競合店の「どの売場で買っているのか」、「買上金額と買上点数は」

→その競争・競合店に来ているお客は、「価格がやすいからか、品揃えが良いからか、鮮度が良いからか、接客サービスが良いからか」

→その競争・競合店のマーチャンダイジング力、商品部門別売上高

以上は、競合店調査では絶対必要、欠かすことのできない項目です。競争・競合店調査を行うときには、事前にこれらの事項について細かくその範囲を検討し、どこまでやるかを決めた上で調査に取り組みたいものです。

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商圏調査に関するメモ

商圏調査に関する「知っておきたい基礎知識」 

『商圏』とはなにか 

「商圏」とはなにかについては、小売業学術研究者、小売業研究機関、流通小売業経営コンサルタント、各小売企業等が、それぞれ、「商圏を定義づけ」し、その意味・内容を論理的に説明、文章化して発表しています。しかし、「商圏に関する基本的な考え方」には、そんなに大きな違いが無いように思われます。以下に述べるのは、「商圏とはなにか」に関する代表的な考え方をいくつかの資料から抜粋・ダイジェストしたものです。商圏調査の折には、是非、ご一読を。

(その1)-中小企業庁・実践行動マニュアルの「消費者にとって魅力あるまちづくり」で述べられている「商圏とは」

来街、来店しているお客様の居住範囲を「商圏」と呼ぶ。

商圏には、現在、お客様が来ている地理上の範囲である現状の商圏と、新たなお客様となる可能性のある潜在商圏がある。

商圏は各店舗の規模や、業種業態によって異なる。

地域の商圏の質や特徴を整理し、売上の予算や商業の成立性を図ることに役立てる。

商圏設定の狙いは、顧客になり得る消費者層に的を絞り、効果的なMD(品揃え、店舗構成)や、店舗の新陳代謝、、そして、販促活動を行うこと。

(その2)-小売企業A社が考える「商圏とは」   

商圏とは最終的に決まるものであり、商圏設定のための調査の段階では分からない。

商圏は、衣・食・住別に異なる。

行政圏と商圏とは違う。

商圏は3つある。

①調査商圏→調査分析をおこなうための地域の範囲。

②仮説商圏→調査分析の結果から、自店に来店してくれるだろうと予測される地域。

③実効商圏→実際に店を出し、営業して分かった「お客が来店している地域」

商圏設定は、世帯吸引率の高低で判断する。

商圏は、1㎞、2㎞というような単純な同心円ではない。

MD(マーチャンダイジング・品揃え)力により商圏は大きくもなり、小さくもなる。

商圏設定の手法

①競争相手となる店のお客の来店エリア→その店のお客はどの地域から来ているか。

②競争相手となる店のチラシ配布地域。

③自店に与えられている与件→立地、規模、MD力、店舗のタイプ等

④競争店のMD力、立地、規模、装備力、商品部門別売上高推定。

⑤人口の分布と密度。

⑥住民の価値観、ライフスタイル、所得レベル。

(その3)-小売企業B社が考える「商圏とは」  

商圏とは、店に買物に来るお客様の住んでいる地域のこと。

商圏とは、店からの距離ではなく、来店するのに必要な時間によってその広がりが限定される。

商圏は、単純な円ではなくアミーバ型になるのが普通。

距離、来店に要する時間、占拠率等により、一次商圏、二次商圏、三次商圏に分類。

商圏は、住宅の建設、交通網の変更、競争店の出現等によって変化する。

■いくつかの「商圏設定の手法」

①調査対象とする地域住民のアンケート調査に基づく商圏設定。

②自店がある近隣商店街への来街者調査、訪問調査に基づく商圏設定。

③店のお客のポイントカード等の顧客データにもとづく商圏設定。

④地図、地形、交通道路網に基づく商圏設定。

⑤商圏設定の理論モデルによる商圏設定。

 ライリーの法則、コンバースの法則、ハフの修正モデル等の理論モデルでの商圏設定

 

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経営課題:「品揃えアイテム数」考-②

■ファッションセンターしまむらの品揃えアイテム数

ファッションセンターしまむらは、単品マスター登録が約10万アイテム超、そして、常時、動いているアイテム数が約4万アイテム(37000~38000という話もある)という。また、そのうち約15000アイテムは変化の激しいファッション商品であると言われています。

「アイテムとは何かの定義」が必要ですが、ここでは、小売業界における一般的な定義である-「アイテムとは、これ以上分類することのできない単位である→SKU(ストックキーピングユニット)」としておきます。

■「客の目で見た品揃えの豊富さ」と「品揃えしているSKU数の計算結果から出たアイテム数を基に言う品揃えの豊富さ」は一致しない。

①デザイン、②カラー、③サイズ、④売価、⑤素材、⑥メーカー、ブランド、仕入先、この①~⑥が一つでも異なれば、それは別のアイテムとし、それで「品揃えアイテム数」を計算する。このアイテム数計算自体は全く正しいのですが、しかし、その結果得られた品揃えアイテム数が多かったとしても、即、「客の目から見て豊富な品揃え」だと判断されるかどうかは分かりません。とりわけ、衣料品アウターウェアにおいては、店が計算した品揃えアイテム数の多さを基に言う品揃えの豊富さと、「客の見た目の品揃えアイテム数の豊富さ」には大きな差があります。

二つケース仮説品揃え(A)、(B)をもとに考えてみましょう。 (品揃え(A)、(B)、どちらの商品仕入担当者も、その商品選択眼、品揃え力、技術力は同じレベルとします)

品揃え(A)

①デザイン数は1型で、②展開カラー数は30色、③サイズは3サイズ、④売価は1900円、⑤素材は一つ、⑥メーカー数は1社、この条件で、商品を店に各サイズ2枚、1色6枚の品揃えしますと、店頭品揃え在庫総数は180枚(=1色6枚×30色)になります。この場合の品揃えアイテム数は90アイテム(30色×3サイズ)です。

もう一方、店頭品揃え在庫総数180枚は同じにして、これとは別のやり方で品揃えをした場合、「客の目でみた品揃えアイテム数、品揃えの豊富感」はどう違うかを考えてみましょう。

品揃え(B)

①デザイン数は6型、②展開カラー数は6色、③サイズは3サイズ、④売価は1900円、⑤素材は2素材、⑥メーカー数は1社、この条件で、商品を店に各サイズ各2、1色1枚の品揃えしますと、店頭在庫総数は同じ180枚ですが、品揃えアイテム数は108アイテム(6型×6色×3サイズ)になります。

品揃え(A)、(B)、どちらのやり方をとるかは、もちろん、その店の考え方によって違ってきますが、「多アイテム型品揃え」をとる店は(B)のやり方で品揃えを進めます。その方が、品揃え(B)のやり方より、はるかに品揃えアイテム数が多いからです。「客の見た目の品揃えアイテム数も多く、品揃えの豊富感も高い、そして、客の購買選択肢も幅広い」と考えてよいからです。

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これは、「多アイテム型品揃え」と「省アイテム型品揃え」、ふたつの品揃え計算事例をやってみた(表)です。いろいろの計算のやり方があるとは思いますが、どちらの型で品揃えを進めていくのか、その違いを理解するのに少しでもお役に立てば思い、恥ずかしながら掲載することにしました。じっくり比較検討すれば、ディリーファッションストアの品揃えはどう進めていくべきかが見えてくるのではないかと考えています。(これでは小さくて見えにくいでしょうが、クリックして拡大してから見てください

「品揃えアイテム数」考-②  ①、②で完結

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経営課題:「品揃えアイテム数」考-①

■「あらゆるお客の要求を全て満たせる品揃え」はできない。

商品品種別の品揃えアイテム数は、一体、いくつにしたらいいのだろうか。商品別、季節別、品揃えにあたって、これはいつも悩みのタネ、必ず問題になることです。お客の立場からいえば、「どの商品品種においても品数が豊富で、選択肢が沢山ある幅の広い品揃えがいい」ということになるでしょう。しかし、それは、小売店側から見れば、大きな負担とリスクを強いられるということに他なりません。なぜならば、お客の無限とも言える要求を満たす品揃えをしなければならないということになるからです。そういう品揃えができればそれにこしたことはありません。しかし、それは理想的品揃えとして追求すべきだとは言えても、現実的にはとても難しいことです。

あらゆるお客、店に来るすべてのお客の要求を満たす品揃えをするなどということは、所詮、不可能なことです。売場の広さにも限りがあり、持てる在庫にも、そしてなりよりも資金的にも限度というものがあります。また、経営的にも、「あらゆるお客の全ての要求に応えるために、たとえ、売れないものがあろうとも品揃えしておく、在庫を持つ」ことはとても許容できることではありません。「いつ売れるか、いくつ売れるかも分からないもの」を、「でも、いつか誰かが買うかもしれない。だからどんなに効率が悪くとも在庫を持つ、置いておく」などとはとても言えないからです。したがって、小売店は、「自分の狙ったお客(メインターゲット)の要求に、自分の店のできる範囲で、出来る限り幅広く応えられる品揃え」をしていくという道を進むしかありません。「その限定された範囲内で」という前提条件つきで、「豊富な品揃え」を目指すしかないわけです。

■「多アイテム型品揃え」と「省アイテム型品揃え」、どちらの考えも正しい。店のタイプ、店の生き方によって、どちらの道を選ぶべきかを熟慮し、決断すること。

衣料品の品種別品揃えを考えるにあたって、二つの考え方があります。一つは「多アイテム品揃え」、もう一つは「省アイテム型品揃え」という考え方です。

量販衣料品店業界においては長い間、そして、今も、GMSを筆頭に、多くの店が「省アイテム型品揃え」を考えています。業界用語では「絞り込み型品揃え」とも言われますが、「多アイテム型品揃え」をする店より、「省アイテム型品揃え」をとる店の数が多いということです。「死に筋カット」、「売れ筋に絞り込む」、「売上貢献度、利益貢献度の低いアイテムをできるだけ減らし、効率的な商品経営を目指す」というものです。GMSの多くは、この考え方を徹底的に追求し、ある時点までは、めざましい成果をあげてきました。しかし、何を目安(基準)に、「品揃えアイテム数を絞り込む」のか、また、「品揃えアイテム数が多い、少ない」と判断するのか、その判断基準はまったく不明瞭、曖昧模糊としており、なるほどと納得できるような理屈は見当たりません。

そのため、なんの明解な基準もないまま、ある時は、「とにかく品揃えアイテム数を絞り込め」という指示、また、ある時は、それとまったく逆の、「もっと品揃えアイテム数を増やせ」という指示が出されたりして、現場(売場)のあちこちで、とまどいと混乱を引き起こしたケースもありました。しかし、「多アイテム型品揃え」と「省アイテム型品揃え」、どちらの考え方で品揃えを進めていくのが正しいのか、そう簡単に白黒つけることはできません。どちらも「正しい考え方」であるからです。したがって、店のタイプ、業態などによって、どちらの考え方をとるのがベターなのかをそれぞれ判断し、方針を決め、品揃えを進めていくということになります。二つの型の基本的考え方をまとめてみます。

「省アイテム(絞込み型)品揃え」の基本的考え方

お客が欲しいと思わない商品をいくら揃えても、お客はそれで品揃えが豊富だとは見てくれない。それは、「ただ、ある」というだけであり無駄である。それらの商品は値下げロスを出すだけであり、早期にカット(処分し、切り捨てる)すべきである。売れるもの、売れ足の速いもの、売れ筋だけに絞り込み、それらの商品の販売チャンスロスが無いように、集中して投入する、店頭在庫を持つという、効率的な品揃えを徹底すべきである。

「多アイテム型品揃え」の基本的考え方

品揃えアイテム数を出来る限り絞り込み、その絞り込んだ少数のアイテムを集中販売するという考え方は極めてリスクが大きいものである。絞り込んだ商品の品揃えで、いつもうまく売り切れればいいが、当りハズレは必ずあるから、その時は「大量に売れ残った商品の山」ができる。その値下げロスは相当大きなものになる。そのリスクを避けられない。

衣料品では、多アイテム、1型少量投入型の品揃えをすべきである。そのほうが、お客の選択肢も幅広くなるし、それに、店側は、リスク分散もできる。衣料品には、季節サイクル、トレンド、流行というものがあるから、いつまでも長期間にわたって同じ商品を追加補充し売り続けていくことは、同時に、品揃えの目新しさ、面白さを失ってしまうことにつながる。お客が店に来ても、以前、店に来た時とあまり品揃えが変わっていないのでは、面白くもないし、楽しくもない、買う気も起きない。品揃えが変化しない、いつも(長期間)同じ、そういう品揃えはよくない。

さて、あなたの店は、「多アイテム型」、「省アイテム型」、どちらの道を選んで品揃えを進めることにしますか。ディリーファッションストアなら、迷わず、「多アイテム型」をおすすめします。

■ディリーファッションストアの品揃えは「多アイテム型」がベスト。

ディリーファッションストア大手の経営トップの一人が、ディリーファッションストアの品揃えについて語っていることがあります。そのいくつかをピックアップしますと、

ディリーファッションストアの品揃えは、小商圏多頻度を狙っているから、客が月に一回来る店と同じというわけにはいかない。店に、1、2週間に1回足を運んで、その都度、商品が変わっていなければならない。そうでないと、面白くもないし、楽しくもない。

不況期だからといって、売れない商品をどんどん削除していく店が多いけれど、そうするとますます面白みのない店になって、客が離れる。品揃えを多彩にし、売り切れたら新商品を次から次えと投入するほうが、いつも新鮮で魅力的な店になる。

衣料品は、売り切れたら次の新しい商品が入っているのがいい。ディリーファッションストアは小さい商圏で商売をしているのだから、その狭い商圏内で、同じ服を着ている人が沢山いるというのはあまりいいことではない。

不況になると、多くの店は販売効率を上げようと、売れない商品をカットして商品数を絞り込もうとする。われわれは、むしろ、商品の価格帯を広げ、今までは取り扱っていなかった商品を品揃えすることにした。いつの時代でも、面白いものがあれば買いたいと思うのが消費者の心理です。売れないので商品をカットするのでは、ますます売れなくなる。

流通の中にある無駄を省くことによるコストダウンや効率化は徹底的に行うが、商品の数を絞るということでそれを求めようとは考えていない。商品の幅を広げることで高まる売れ残りのリスクに対しては、価格の引き下げを他社より早く適切なタイミングで行うことで対応する。

われわれは、品揃えする商品の幅を広げる。だから、買う際に選択肢が多い。自分が買った後、同じ商品が値下げされているのを見るほどいやなことはないから、店頭に置く商品の1型当りの投入量を少なくする。それで品切れがあってもいいと思っている。

商品のワンロットを減らして回転を上げる。基本的にはリスクを分散しておく。同じ商品が沢山あれば、必ず当たり外れがあるに決まっているからです。

ディリーファッションストアの品揃えは、この、ディリーファッションストア大手・経営トップの考え方で進めるのがベストなのではないかと思います。はたして、他の人はどう考えるのか、とても、興味のあるところです。

「品揃えアイテム数」考-① 完  →②に続く

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ディリーファッションストア考(4)

■「安くて、品質も良い」は当り前の時代です。   

今の時代は「とにかく安ければ売れる」という時代ではありません。品揃えと仕入れにあたっては、このことをよくよく頭に入れておく必要があります。「デザイン、カラー、素材、縫製などに多少の問題はあるが、とにかく安くすれば売れるさ」とか、「端境期、晩期の残品だが、安くしたから売れるだろう」とか、お客の目をあまく見て、仕入れと品揃えをやったりすれば必ずしっぺ返しを受けます。今の消費者は「ただ安いというだけで買ってくる」ほどあまくはありません。繰り返しますが、バイヤーはこのことを肝に銘じておくべきです。

今の時代の品揃えと仕入れに絶対必要なことは、ジャストシーズン(今、旬のモノ)、ファッショントレンド商品(今のファッショントレンドの先端部分にある商品)、低価格、良い品質、この4つであることはいままでに何度も言ってきました。さらに、これも変化してきているようです。この4つに加えてもう一つ、ベーシック、洗練されたシンプル、丈夫で長持ちということが必要になってきているようです(とくに、⑤は④と入れ替わるくらい重要な要素になってきています)。品揃えにはこの5つのうちの一つが欠けてもダメだということです。

それくらい消費者の目が肥えているといいますか、購買選択眼が鋭くなっているのです。その商品選択眼の鋭さ、厳しさは、きっと、仕入れをしているバイヤーよりも数段、上かもしれないと考えておいたほうが正しい見方だという人もいるくらいです。ですから、「とにかく、安くさえすれば、多少、難ありの商品でも買ってくれるさ」などと絶対に考えないことです。バイヤーにとっては、生き抜いていくのがとても難しい時代、大変、厳しい時代になってきたと言えるかもしれません。

■売場づくりでは「ビジュアルプレゼンテーション」を強化しよう!

「今、旬のファッショントレンド商品」、「お客に薦めたい商品」、「これが、売りたい商品」、これらの商品をお客の視覚に強く訴える陳列・演出=ビジュアルプレゼンテーションが今の売場づくりではとても重要です。ディリーファッションストアの大手、しまむら、パシオス、サンキ、サミットコルモなどは、このビジュアルプレゼンテーションをしっかりやっています。「見せて、売る」という売場づくりができています。一度、彼らの最新店の売場づくりを見てみることです。いかに、そのレベルが高いか、効果的なビジュアルプレゼンテーションをやっているかが分かることと思います。

「安さだけで売っていた時代」には、ビジュアルプレゼンテーションをそれほど重要なこととは思っていなかった店が多かったのですが、この4、5年の間に売場づくりが一段と進化したことを見落としてはいけません。店の入口正面で展開されているメインディスプレイコーナー、システム陳列什器エンド・側面におけるコーディネイト提案型陳列、売場壁面でのトルソーや陳列小道具を使った陳列・演出、こういった場所でのビジュアルプレゼンテーションの技術が昔と比較してかなりレベルアップ、とても良くなっています。そのレベルは、もう専門店と比べても遜色ないといってもいいかもしれません。

「商品山積みの売場づくり」はもう時代遅れです。お客はそんなことでは感動しません。そんなやり方で買ってくれる時代はとうの昔に終わっています。これから先は、売りたい商品、かって欲しい商品を、お客の視覚に強く訴える、そして、感動を与え、購買決定に導くというビジュアルプレゼンテーションがますます重要になってきます。真剣な取り組みが必要です。

■「ファッションセンターしまむら」が考えているチェーンストア経営とは。

ファッションセンターしまむらの経営トップの一人の方が、ある講演で「しまむらの経営」についてお話されたことがあります。その骨子を当方なりにまとめたものがありますが、それを箇条書きで載せておきます(注:当方の勉強不足と理解力不足で的をえていないところがあるかもしれませんが、その点は前もってお詫びしておきます)

(1)自前主義、自社開発主義

(2)基本は標準化。徹底的に標準化を進める。

(3)良い仕組みをつくった者が圧倒的な利益を得る。

(4)全国チェーン展開は「仕組み」次第。「仕組み」に地域差は無い。

(5)適正とはなにかを追っかける。

(6)最終的に商品は企画力で差をつけなければならない。一番儲かるのは商品の企画。

ファッションセンターしまむらは、このような考えを持ってチェーンストアとしての経営を進めてきているようです。「なんだ。みんな当たり前のことばかりではないか」と思うかもしれませんが、大事なことはそれを具現化した、実際にやり遂げたということです。さらに、進化しているということです。そう思ってはいても、頭では考えてはいても、誰もがその考え、思いを具現化できるということではありません。ここが肝心なところであり、しまむらの凄さ、強さでもあります。

ディリーファッションストアについて、いままであれこれ考えたことをまとめてみました。お役に立てるかどうか分かりませんが、ご一読いただければ幸いです。

   ディリーファッションストア考(1)~(4)   完

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ディリーファッションストア考(3)

■しっかりとした売価政策を持とう! 

基本コンセプト、ターゲット、商品ポジショニング、これらが設定されると売価政策も同時並行で決まるのが普通です。品揃えを具体的に進めていくにあたって、「明確な売価政策」は絶対になくてはならないものだからです。ところが、この「売価政策」をあいまいにしたまま、仕入れ、品揃えをやっている店が少なくありません。そのため、「なに屋」なのか曖昧になってしまっている店がかなりあるのです。こういった現象は、GMSの衣料部門や、食品スーパーチェーンの衣料部門の多くでみられます。そして、それらの店は、みな、「焦点ボケの品揃え」になっています。一方、ディリーファッションストアの大手、「ファッションセンターしまむら」や、パシオス」、「サンキ」、「サミットコルモ」などの売価政策は、極めて明確、かつ、しっかりしています。決してブレることがありません。

ちょっと売上がおもわしくないと、差別化だ、グレードアップだとか言って売価政策を上限(高い)方向に持っていったり、また、逆に、低価格が受けそうだからと、売価政策を必要以上に下限(安い)方向に変えてしまうという店が結構ありますが、こういう節操のないやり方をしてはいけません。売価政策が、しょっちゅう上下にブレる、揺れ動くというようなことは決してやるべきではありません。お客からの信頼を大きく失うことになります。もっと「しっかりとした売価政策」を持つべきなのです。

「しまむら」、「パシオス」、「サンキ」、そして、「西松屋チェーン」、「ハニーズ」などの強さは、この「売価政策がしっかりしている」ところにあります。そのことをよくよく肝に銘じておくべきでしょう。

■「標準化」に真剣に取り組もう!  

チェーンストアは、「標準化」を進め、合理的にコストダウンをはかり、「良い品質のモノをより安く提供する」ことで社会貢献をはかるというのが大きな命題です。しかし、これをきちんとやっている小売企業は案外、少ないものです。それだけ、「標準化」ということが難しいということもできますが、これ(標準化)は絶対に失ってしまってはならないものです。

「標準化」と一言で言うのは簡単ですが、小売業のあらゆる面について「標準化をはかる」となると決して容易なことではありません。しかし、「標準化」抜きでチェーンストアは成り立ちません。どうしても取り組まねばならないものなのです。立地と商圏、店舗・売場面積規模、売場構成、商品構成、設備投資、そして、店舗のオペレーションなど、これら商品経営における重要な部分の「標準化」を押し進めなければなりません。

この、「標準化」というところでも、ディリーファッションストアの雄・「しまむら」は、同業他社はもちろん、他の小売企業とくらべても、数段、上をいっています。その「標準化のレベル」はきわめて高く、国内ではセブンイレブンとともに極めて高い評価を受けています。そのレベルの高さは、海外の超優秀小売企業と比べても決して負けることはありません。この2社の「高い標準化のレベル」までに到達するには相当の努力が必要ですし、そして、時間もかかることでしょう。しかし、「標準化とはそんなに難しいものなのか」といって、まだなにもしないうちから諦めてしまったのでは話になりません。

①立地と商圏の標準化、②店舗・売場面積規模の標準化→標準店舗づくり、③売場構成、商品部門構成の標準化、④品揃えの標準化、⑤設備投資の標準化、⑥店舗オペレーションの標準化、これらの標準化に真剣に取り組まれていくことをお勧めするものです。

■きちんとした仕事ができるバイヤー(商品仕入担当者)を育てよう! 

とりわけ、食品スーパーチェーンの衣料部門の商品部に言えることですが、バイヤーの力が弱く(経験未熟、低い技術力、商品チョイス・選択眼の悪さなど)、そのため、品揃え力、仕入力もパワー不足で、競争・競合に打ち勝っていくのはとても難しいそうだという店がかなりあります。食品スーパーチェーンにおける衣料部門の売上構成比、高くても10%、多くは7%以下というのが現状ですが、これから考えると、事業部門別の人材ローテーション、振り分けは、まず最優先が食品部門、次いで住関連部門、最後が衣料部門という順序でおこなわれているものと思います。

したがって、ちょっと悪い表現になりますが、衣料部門には「いい人材はまわってこない。きたとしてもごくごく少数。それでもいいほう」というケースが少なくありません。こんな言い方をすると、今、衣料部門にいる人たちに怒られそうですが、実際には、かなり多くの店でみられるものです。そして、このことが、食品スーパーチェーンの衣料部門の力の無さというか、弱さに繋がっていることは、残念ながら、否定できません。しかし、そうだからといって、食品スーパーチェーンの衣料部門の力が弱いのは当たり前、どうやったって強くはなれないということではありません。なにもせずに、お店の片隅でじっと遠慮がちに縮こまっているだけではダメです。それでは改善も、改革もできません。

なにはともかく、現有勢力で、衣料部門の強化、とりわけ、商品部の強化に取り組まねばなりません。最優先で取り組まねばならないことは、いま現在、衣料部門にいるバイイングスタッフ、すなわち、バイヤーの能力アップです。バイヤーを徹底的に再教育して、頼りになるバイヤーというか、仕事がきちんとできるバイヤーに育て上げねばなりません。「利は元にあり」、「商品が大事」とは昔から言われ続けていることですが、その商品(品揃えと仕入れ)を握っているのはバイヤーです。バイヤーには、衣料部門の経営、なかでも、商品経営という肝心・かなめのところを任せているわけですから、そこのことろが弱くてはどうしようもありません。ですから、ハードに、徹底的に、厳しすぎると言われるくらいの「バイヤー教育・育成」をやるべきです。それについていけなくて脱落する人もいるでしようが、妥協することなく、断固として進めていかねばなりません。

ここまで、「徹底してバイヤーを教育せよ。しごけ」と言うのにはそれなりの理由があるからです。品揃えと仕入という、「店の生き死にを左右するとも言える重要な仕事」をまかされていながら、商品管理・計数管理能力に欠けるバイヤー、品揃えの組み立て方も分からないバイヤー、商品リスクに鈍感なバイヤー、驚くような高い値下げロスを出していながら自分の技術力の無さ、責任感の欠如を全然、感じないバイヤー、また、反省もしないというバイヤー、そういう、とてもレベルの低いバイヤーがまだまだ沢山いることを知っているからです。

衣料部門の強化をはかるためにやるべきことは、これ以外にもまだまだ沢山ありますが、「商品力強化」、「品揃え力と仕入力の強化」は、なんといっても、最も重要なものです。「きちんとした仕事ができるバイヤーの教育・育成」に力を注げという所以です。

  ディリーファッションストア考(3)・完 →(4)に続く

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ディリーファッションストア考(2)

■「誰に、何を、いくらで売るか」を明確に設定すること。これは絶対原則です

ちょっと小難しく言うと、「コンセプト」、「商品戦略」、「商品政策」を明確に設定しておきなさいということです。「ファーストリティリング・ユニクロ」、「ハニーズ」、「西松屋チェーン」、「ファッションセンターしまむら」、「パシオス」、「ファッション市場サンキ」などはこれら(コンセプト・商品戦略・商品政策)を明確に設定しています。それが、品揃え、売価政策、売場づくりなどの大本になるものだからです。これは「絶対原則」です。

しかし、GMSの衣料部門、食品スーパーチェーンの衣料部門にはコンセプトなどについての明確な設定がありません。あったとしても、極めて「あいまい」なものばかりです。そのため、商品戦略や、品揃えの焦点がボケてしまっているのですが、そのことをそれほど大きな問題だとは考えていないように思えます。「良い(品質)モノを安く」というだけではあまりにも抽象的すぎますが、案外、それで十分と考えているのかもしれません。

でも、品揃えを具体的に詰めていくとき、「良いモノを安く」というお題目だけではどうにもなりません。もっと、具体的に、どんなお客に、どんな商品を(用途、デザイン、スタイルなど)、いくらで(売価政策)、ということをはっきり決めておかないと全てのことがボケてしまうことは必定です。ここが、GMSの衣料部門、そして、食品スーパーチェーンの衣料部門の最大の弱点なのです。だからこそ、ユニクロや、ハニーズ、西松屋チェーン、そして、ディリーファッションストアの「しまむら」、パシオス、サンキなどに売上を奪われてしまうのです。

ここにあげたいくつかの企業が設定している、「コンセプト」、「商品戦略・政策」を、彼らのホームページから抜粋したものを以下に簡単にまとめてみました。あなたの店の衣料部門のそれ(明確なコンセプト、明確な商品戦略・政策)と見比べてみてください。

ユニクロ

いつも、どこでも、誰にでも着られるカジュアルウェアを提供する。

しまむら

25歳~45歳までの家庭の主婦が日常生活のために使用する衣料品、これが、しまむらの取り扱う商品のターゲットです。・・・・・・。この日常普段着-ディリーファッションを消費者に便利なロケーションと快適な売場で、しかも、気軽に買物ができる価格で提供することが、しまむらの基本的な商品政策です。

パシオス

パシオスの商品政策は、日常生活に役立つ、機能的で心地よい基本衣料の「暮し服」と、流行のセンスを取り入れたファッション性の高い「装い服」の、ふたつの軸を中心に構成しています。・・・・・・。「暮し服」はもちろんのこと、「装い服」でも品質が満たされた上で、さらに、買いやすい価格であることを追求しています。

サンキ

お客様に喜んで頂けること。とにかく安く、イイものを」、それがファッション市場サンキのコンセプトです。・・・・・・。われわれは、ディリーで、ファミリーで、ポピュラープライス、どこよりも良い品を安く提供し、そして、明るく楽しい売場づくりをモットーに、経営コストを抑え、一方で、商品力を高める努力をしています。また、鮮度の高い、活きのいいファッションを、いつもロープライスでお届けする、気軽に誰にでも愛されるファッション市場というコンセプトです。

■「商品回転日数重視の商品経営」に徹しよう

商品回転日数は商品品揃え鮮度、在庫鮮度の良し悪しを示すバロメーターです。量販衣料の商品回転日数は、目標確保基準値・月間商品回転日数35日(年間商品回転率約10回)、下限値でも45日(年間商品回転率8回)を確保しないと商品経営が成り立たないというのが常識です。言うまでもないことですが、商品回転日数が速ければ速いほど商品在庫鮮度、品揃え鮮度が良いということになります。したがって、商品回転日数は量販衣料の商品経営で最も重要な指標です。

そんなことは改めて言われなくとも分かっているという人がいるでしょうが、衣料部門の商品回転日数が50日以上という商品経営をしている店は決して少なくありません。日々の売上進行状況、在庫の推移、仕入進行度などを、こまめに、厳しくチェックし、調整・修正をやっていないと「商品回転日数の速さ」を維持、確保することはできないのですが、これをおろそかにしている店が思ったより多いということです。

商品回転日数を悪化させるものは、①在庫過剰、②仕入過剰、この二つですが、そういう状況に陥らないよう、常に先々のことをよく考えた商品経営をやっていく必要があります。とくに、仕入は「ある期間の想定売上高」をもとに先行して行われますので、よほど厳しく日々チェックしていかねばなりません。「売上が想定していた数字に届かなかったから、結果として、在庫過剰、仕入過剰になってしまいました」などという言い訳をするバイヤー(商品仕入担当者)がいたりしますが、そんな言い訳が通るようではダメです。衣料品の商品経営にとって、「速い商品回転日数(35日~45日以内)」以下の数値を是認、それに妥協してしまうことはなんとしても避けねばなりません。それは、即、商品経営の危機に繋がるからです。

「ジャストシーズン(今、旬のモノ)」+「今のファッショントレンド最先端にある商品」+「低価格(安さ)」+お客の視覚に訴える「ビジュアルプレゼンテーション」、この4つは、今の衣料品の品揃えと売場づくりに欠かすことのできない絶対必要条件です。そして、この4つの絶対必要条件を満たすためには、バイヤーの商品チョイスセンス、仕入選択眼の良さ、そして、商品回転日数の速さというものが求められます。

「在庫過剰は悪である」という考えで商品経営を進める、それくらいの厳しさをもってやっていかないと、在庫過剰、仕入過剰、大きな値下高というリスクを低く抑えこむことはできないのです。もちろん、それらのリスクをできる限り小さくするためには、優れた管理能力をもった商品経営情報・データ収集管理・活用システムも必要です。しかし、それにもましてもっと重要なことは、衣料部門の商品経営に携わる人たちが、「商品回転日数の速さは衣料部門の商品経営の命なのだ」と強く意識して日々の仕事に取り組むことです。この意識があるか無いか、強いか弱いかで、商品回転日数は速まりもしますし、また、逆に、危険なほど遅くなってしまうこともあります。商品経営に「気の緩み」は禁物、常に緊張感をもつてのぞまねばなりません。

「商品回転日数重視の商品経営に徹しょう」、これを絶対原則として、日々、研鑽、努力し、「儲かる衣料部門・店」をつくりあげていくことです。

     ディリーファッションストア考(2) 完 →(3)に続く

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ディリーファッションストア考(1)

■衣料品の売場面積が500坪以下ならディリーファッションストアがベスト  

ディリーファッションストアの適正規模は300坪から350坪。これは計算上からも、そして、経験則からも分かっています。一方、GMS型の衣料品の適正規模というのははっきりしておりません。しかし、少なくとも1000坪から1500坪は必要だと考えられています。実際、調べて見ると、GMSの衣料品の売場面積はこの数字の範囲にある店が多いことが分かります。このことを考えると、売場面積が500坪以下でGMS型衣料を構成するのは無理というか、やったとしてもとても中途半端なものにならざるを得ないと言えます。

しかし、意外に多くの食品スーパーチェーンの直営衣料部門が、売場面積500坪以下なのにもかかわらず、GMS型、またはミニGMS(GMSもどき)型の衣料を展開していました。前述の通り、500坪以下でGMS型衣料の構築は無理なわけですから、それが失敗に終わることは目に見えていました。それでも、競争、競合の無い時代、競争の無い場所ならなんとかやっていけたかもしれません。しかし、今は、そんな中途半端な店が生きていけるほどあまい時代ではないのです。売場面積500坪以下で、GMS型、ミニGMS型衣料をまだやっている店は、今も軒並み大苦戦していますが、それは当たり前のことなのです。いずれ、近いうちに消滅してしまうであろうことは分かっています。

衣料品の売場面積が500坪以下ならディリーファッションストアをつくるのがベストだというのは、ちゃんとした理屈があってのことなのです。成り行きと、思い付きでなんとかやっていけた時代は終わりました。衣料品の売場面積が500坪以下のところは、店の進むべき方向を間違わないようくれぐれも注意したいものです。無理と中途半端はやってはいけません。

■ターゲットは「団塊世代」と「団塊世代ジュニア」に焦点を合わせよう

三浦 展氏によれば「団塊ジュニア世代」とは、第二次ベビーブームに生まれた一塊の人々、いわゆる、団塊世代(59歳~61歳 1949-1947生)の子供たちのことで、今の時代のマーケットを引っ張っているのはこの「団塊ジュニア世代」だということです。また、彼らがマーケットリーダーといいますか、新しいファッション、新しいライフスタイルを創り、その動きに引っ張られるかたちでいろいろなことが動いているとも言っています。

さらに、三浦氏が言うには、「団塊ジュニア」の父母である「団塊世代」も、自分たちの主張、経験を持っているが、「団塊ジュニア」のライフスタイル、ファッションに対する姿勢を理解できる経験・体験をも持っているので、引っ張られるというよりは、理解し、同調しているとのことです。したがって、母娘がまるで姉妹のようにペアのトレーナーを着るとかいう現象が見られるのだとの話です。

この「団塊ジュニア世代」(28歳~37歳 1980-1971生)を掴まえれば、その父母、すなわち、「団塊世代」も掴むことができると、三浦氏は強く主張しているわけですが、これはマーケティング上とても重要なことです。年齢別人口構成数を見ると「団塊世代」が多いことは言うまでもありませんが、焦点を当てるべきターゲットは「団塊ジュニア世代」だというわけです。とりわけ、30代の主婦にウケル店づくり、品揃えをすることが今後の店の発展に繋がるというわけです。

■「負け犬」意識、「負け組」意識を捨てよう

もう何年にもわたって衣料部門の不振、低迷が続いています。衣料部門の人たちは、さぞかし肩身の狭い思いをしてきたことでしょう。というのも、やれ、「衣料品の時代はもうとうの昔に終わった。もう、衣料品の時代ではないよ」、「食品の稼ぎで衣料部門を食わせてやっているのさ」、「衣料部門なんて無くたってやっていけるよ」、「なんといっても利益の足を引っ張っているのは衣料部門だからな。あること自体が問題だよ」などと声高に言われ、部屋の片隅に、遠慮がちに小さくうずくまり、まるで、「負け犬」のようにしている衣料部門の人たちを数多く見てきたからです。

「いじめられっ子」みたいにも見えますが、ここで挫けてしまってはダメです。もっと、打たれ強くならなければなりません。「何、言っているんだ。かつては、衣料部門が食品部門を食わせてやっていたんじゃないか。今は苦戦しているが、よく見ていろよ。必ず、復活してみせるぞ」というくらいの「気概」と「負けん気」を持っていなくてはなりません。そういう「強さ」、「心構え」を持って取り組めば、衣料部門の復活、再興は必ず出来ます。まず、最初に、「負け犬」意識、「負け組」意識を捨て去ることです。過去のことにくよくよしていてもなにもよくなりません。明るい明日に向かって、果敢に挑戦していけば、必ず、明るい道が開かれます。

■「衣料は必ず儲かる」という強い信念を持って取り組もう

「衣料品はもうダメだ。衣料は儲からない時代だ」などということは決してありません。まことしやかに「衣料、もうダメ論」が言われていますが、それをなんの疑いも無く信じてはいけません。ここ数年、「勝ち組」といわれている小売企業は、全て衣料品小売企業であるからです。「ファーストリティリング・ユニクロ」、「ハニーズ」、「ポイント」、「ユナイテッドアローズ」、「ファッションセンターしまむら」、「西松屋チェーン」、「パシオス」、「ファッション市場サンキ」、これらの衣料品小売企業です。

調子が悪くて苦しんでいるのはGMSの衣料部門、そして、食品スーパーチェーンの直営衣料部門なのです。この両者が不振なのは、その目指す方向が間違っているからです。この両者には、これから先の衣料品部門のビジョン、目指すべき方向が見えていません。そのため、今、何をすべきか、何に取り組むべきかが分からなくなっているのです。あるGMSは「グレードアップ、スケールアップ」ということで、高級ブランド、高品質、高価格路線を目指し、一方、別のGMSは「GMS+ディリーファッション」路線を行くなどという混乱が見られます。

食品スーパーチェーンの直営衣料部門にいたっては、もうどうしていいか分からず右往左往するだけで、これから先の目指すべき方向を考えることなどとてもできる状況にありません。とどのつまり、「衣料品は面倒くさいからやめちゃうか」などという結論を出したりします。これは、「衣料品はきちんとやれば必ず儲かる」という強い信念が無いからです。バブルの時代に、「衣料は儲かる」というのでそれほど深く考えずに衣料をやってみたが、いまとなっては「衣料部門がお荷物、重荷になってきた。やめちゃおうか」というものです。

しかし、衣料部門をモノにするため、人、モノ、金、時間をちゃんとかけて、真面目に、真剣に努力してきたかというと、そんなことは決してありません。だから、すこし強い向かい風が吹くと簡単に倒れてしまうのです。すぐ、「逃げたい。やめたい。放り出したい」となるのです。「衣料品は儲かる」という強い信念を持って、揺るぐことなく、真剣に取り組めば必ず儲かるようになることを信じて取り組むことです。

   ディリーファッションストア考(1)-終   (2)に続く

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