既存店月次売上高前年比は伸びているか?

既存店売上高前年比は小売企業の実力を示す重要指標

001_2既存店の売上高が伸びているかどうかは、その店・小売企業の実力、営業力を評価する重要指標の一つです。以下に、優良小売企業と高く評価されている3社、①株式会社ファッションセンターしまむら、②株式会社良品計画、③株式会社ニトリの数年間における既存店月次売上高前年比(伸び率)を見てみました。

データは、ファッションセンターしまむらの「売上速報-各年度別月次売上速報」、良品計画の「各年度別売上概況」、ニトリの「年度別月次国内売上高前年比推移」からとっています。

008(図-1)は、ファッションセンターしまむらの、2011年2期~2016年2月期における既存店の月別売上高前年比の推移グラフです。(2011年2月期から2014年2月期は棒グラフでそして、2015年2月期と2016年2月期は折れ線グラフ)

これを見ると、ファッションセンターしまむらは、2015年2月期(青・折れ線グラフ)は「前年割れの月数は3」、そして2016年2月期(赤・折れ線グラフ)の「前年割れ月数は6」となっていまいますから、2015年2月期と2016年2月期を比較すると、2016年2月期のほうが苦戦したことが分かります。

009(図-1)は、この(表-1)の数字をもとに作成しています。それぞれ年度別に、「前年割れの月は黄色」、前年超の月枠は白色にしてあります。

ファッションセンターしまむらの、年度別の期末店舗数は、2016年2月期-1365店舗、2015年2月期-1345店舗、2014年2月期-1321店舗、2013年2月期-1299店舗、2012年2月期-1274店舗、2011年2月期-1237店舗、となっていますが、店舗数が1000店舗を超えてくると、店舗月次売上高前年比を伸ばす(前年超とする)ことは決して容易なことではないことが見てとれます。

013(図-2)は、2015年3月から2017年2月の期間における、良品計画の直営既存店及びニトリの国内店舗月次売上高前年比の推移グラフです。これを見ると、2社の店舗数はファッションセンターしまむらに比べ数が少ないとはいえ、良品計画、ニトリ、ともに、実力のある優秀な小売企業であることが分かります。

ファッションセンターしまむら、良品計画、ニトリ、3社の既存店月次売上高前年比の推移を注意深く「継続ウオッチ」していく必要があると思われます。

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株式会社 良品計画の業績(連結)推移を見る(3)

株式会社 良品計画の「商品カテゴリー別、個別商品ライン別累計売上高」等の推移

株式会社 良品計画の、各期DATABOOK-決算概要-「個別商品ライン別累計売上高」等をもとに、商品カテゴリー別、個別商品ライン別売上構成比等の推移グラフを作成。

003(図-1)は、良品計画(個別)の、2011年2月期~2016年2月期における、商品カテゴリー別売上構成比の推移グラフです。これを見ると次のことが分かります。

■商品カテゴリー別・売上高構成比は、2016年2月期を見ると、高い順から、①生活雑貨小計約54.5%、ついで、②衣料・雑貨小計約36.7%、③食品小計約7.3%。

■前記、6年間における商品カテゴリー別売上高構成比の推移をみると、伸びているのは「衣料・雑貨小計」だけ、「生活雑貨小計」、「食品小計」は下落が続いている。

007(図-2)は、2016年2月期における「個別商品ライン別・売上高構成比グラフ」です。これを見ると次のことが言えます。

■個別商品ラインで売上高構成比の高いもの・上位3つは、①ファニチャー約16.7%、②婦人ウェア約14.0%、③ヘルス&ビューティ約13.3%。

■上記、①②③の個別商品ラインに、④ファブリックス約9.5%を加えると、①~④合計で全体の53.5%の売上高構成比。

006(図-3)は、売上高構成比の高い3つの個別商品ライン、すなわち、①ファニチャー、②婦人ウエア、③ヘルス&ビューティの、2011年2月期から2016年2月期、6年間における売上高構成比の推移グラフです。これを見ると次のことが分かります。

■婦人ウェアは、2011年2月期約11.5%→2016年2月期約14.0%と、この6年間で約2.5ポイントアップ。ヘルスビューティは、同期間で約3.4ポイントアップし、最も高いアップ。一方、ファニチャーの売上構成比は約17.3%→16.7%に下落。ファニチャーは、2012年2月期から2015年2月期は下落が続いていた。

012(図-3)は、個別商品ライン別の、2011年2月期から2016年2月期の6年間における売上高構成比。(図-1)、(図-2)はこの数表の数字をもとに作成しています。

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株式会社 良品計画の業績(連結)の推移を見る(2)

株式会社 良品計画(個別) 個別商品カテゴリー別・累計売上高、売上構成比、累計売上総利益率等の推移

株式会社 良品計画-各期DATABOOK-決算概要-「個別商品カテゴリー別・累計売上総利益率」にある数字をもとに、良品計画の「個別カテゴリー別・累計売上高、売上構成比、累計売上総利益率等の推移グラフ等を作成。

003(図-1)は、株式会社・良品計画の「個別商品カテゴリー別・累計売上高の推移グラフ」です。これを見ると以下のことが分かります。

良品計画は商品カテゴリーは、①生活雑貨、②衣服・雑貨、③食品の3分類になっています。

■2012年2月期~2016年2月期、この7年間における、生活雑貨売上高、衣服・雑貨売上高、食品売上高は、ともに上昇を続けています。

■生活雑貨売上高は、2011年2月期・約805億2800万円→2016年2月期・約1234億6000万円、この7年間で売上高は約1.53倍に。同じ比較で、衣服・雑貨売上高は約1.75倍、食品売上高は約1.15倍に。

■2011年2月期~2016年2月期、この7年間における「個別商品カテゴリー別売上高」の年ごとの売上高伸び率(前年比伸長率)は、生活雑貨と衣服・雑化、この2つの商品カテゴリーでは約110%前後で推移。

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(図-2)は、株式会社 良品計画の、2011年2月期~2016年2月期、この7年間における「個別商品カテゴリー別・売上総利益率」の推移グラフです。これを見ると以下のことが言えます。

■商品カテゴリー別・売上総利益率の推移を見ると、①衣服・雑貨、②生活雑貨、③合計・売上総利益率ともに2014年以降、落ち続けています。食品のみ、売上総利益を低い数字ではありますがアップしています。

■衣服・雑貨の売上総利益率は、2013年2月期・約48.8%が、2016年2月期には約39.7%と、9.1ポイントも下落しています。同じ期間比較で、生活雑貨の売上総利益率も2013年2月期42.8%→2016年2月期35.9%と6.9ポイントの下落。合計・売上総利益率も、同期間で44.3%→37.7%と、6.6ポイントの下落。衣服・雑貨、生活雑貨、この2つの商品カテゴリーの売上総利益率の下落は、意図的なもの、商品政策・価格政策の変化によるものか、また、別の要因による下落かは不明ですが、商品経営上から考えますと改善の必要がある重要課題のようにも思えます。

010(表-1)は、2011年2月期から2016年2月期、7年間における、株式会社良品計画(個別)の「個別商品カテゴリー別・累計売上高、売上構成比、商品カテゴリー別・売上総利益率の推移」をまとめたものです。(図-1)、(図-2)は、この数表をもとに作成しています。

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株式会社 良品計画の業績(連結)推移を見る(1)

①株式会社 良品計画の連結売上高&連結売上総利益率等の推移

(図-1)は、株式会社 良品計画の各期DATABOOK-決算概要(連結損益決算書等)をもとに作成した良品計画の連結売上高及び連結売上総利益率、販管費率、経常利益率等の推移グラフです。これを見ると次のことが分かります。004_2

■連結売上高、2011年2月期・約1691億3700万円→2016年2月期・約3071億9900万円と、2011年2月期比2016年2月期は、約1.8倍になっている。連結売上高は2014年2月期以降、年率・約118%の高い伸び率。

■連結売上総利益率は、2011年2月・約45.3%→2016年2月期・約48.9%と、この7年間で約3.6ポイントもアップ。株式会社 良品計画はSPA(製造小売業)型の小売企業でもあり、売上総利益率は概して高い。(同じSPA型のファーストリテイリング・ユニクロの売上総利益率もかなり高い数字です)。

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(図-2)は、株式会社 良品計画の、連結売上総利益率、販管費率、経常利益率、当期純利益率の推移グラフです。次のことが分かります。

■連結売上総利益率>販管費

■2013年2月期以降、経常利益率が10.5%~10.6%という高い数字で推移しています。国際的な優良小売企業の経常利益率は10%超と言われています。優良小売企業と評価の高い株式会社ファッションセンター・しまむらも経常利益率の10%の安定的確保を目指していると聞いています。

009(表-1)は、2011年2月期から2016年2月期、7年間における業績推移概要をまとめたものです。(図-1)、(図-2)は、この表の数字をもとに作成しています。

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株式会社そごう・西武の業績推移を見る (その2)

株式会社そごう・西武の業績推移を見る (その2)

①株式会社そごう・西武-商品別売上高の推移

017(図-1)は、株式会社そごう・西武の2011年2月期から2016年2月期における商品別(衣料・食品・雑貨)売上高の推移グラフです。これを見ると次のことが分かります。

●商品別で最も売上高の大きい衣料売上高の減少が続いています。

衣料売上高は、2011年2月期が約3844億1900万円→2016年2月期・約3172億6千万円。この期間で約671億5900万円も減少しています。おそらく、収益構造に大きなマイナス影響をおよぼしているものと考えられます。

一方、食品と雑貨の売上高は、「食品は微減」、「雑貨は微増」という流れが続いています。したがって、衣料の大幅な売上高減が商品売上高総計の足を引っ張っていることは明確です。これは百貨店の商品経営にとって、「致命的な弱点」といいますか、「なんとしても手を打たねばならない重要経営課題であり、必死の取り組みが求められる」ものではないかと考えられます。

②株式会社そごう・西武-商品別売上高構成比の推移

023(図-2)は、株式会社そごう・西武の、2011年2月期から2016年2月期における「商品別売上高構成比の推移グラフ」です。これを見ると次のことが言えます。

●衣料品の売上高構成比が約60%から約56%と、減少傾向にあるとはいえ、食品、雑貨の売上高構成比に比べ断然高いのが見て取れます。「衣料がコケたら、百貨店の商品経営は崩壊する」と言ったら言い過ぎでしょうか。それほど、「衣料の売上高の減少は大きな経営リスク」になるのではないかと思われます。

③株式会社そごう・西武-商品別粗利益率の推移

025(図-3)は、株式会社そごう・西武の、2011年2月期から2016年2月期における「商品別粗利益率の推移グラフ」です。これを見ると次のことが言えます。

●百貨店の衣料の粗利益率は、GMSの衣料、衣料専門店と比べて、「かなり低い粗利益率」であると思われます。(GMSの衣料の粗利益率は約35%から39%、専門店は、商品商品調達形態にもよりますが、約35%から約45%、SPA型衣料専門店で粗利益率が約50%超のところもある)

「百貨店は商品経営リスク(在庫リスク、値下げリスク等)をとらない」、「百貨店は、単なる場所貸し業だ」などと、よく言われますが、実際、それが「百貨店衣料の粗利益率の低さ」の要因の一つなのかもしれません。これから先、百貨店の商品経営の形がダイナミックに改革され、GMSの衣料、そして、SPA型衣料専門店に「ひけを取らない高い粗利益率の確保」ができるようになることを期待したいものです。

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株式会社そごう・西武の業績推移を見る (その1)

株式会社そごう・西武の業績推移を見る (その1)

株式会社そごう・西武の2011年2月期から2016年2月期における業績推移を、「セブン&アイ・ホールディングス-各決算期・決算短信、主要会社の決算概要」等をもと資料作成。

①株式会社そごう・西武の売上高及び既存店売上伸び率の推移

003(図-1)は、株式会社そごう・西武の、2011年2月期から2016年2月期における「売上高と既存店売上伸び率(前年比)の推移グラフです。これを見ると以下のことが言えます。

●売上高は減少傾向が続いています。2014年2月期以降は「横ばい」傾向が見られますが、これで、「売上高減少に歯止め」がかかった判断するには、まだ、先行き不安があるように思われます。

ちなみに、2011年2月期の売上高は約8347億2300万円→2016年2月期の売上高・約7907億800万円。この期間で売上高は約440億1500万円減少。

この期間に、以下、(a)国内総店舗数の減少、(b)期末売場面積の減少、がありましたが、売上高減少の要因は、この(a)、(b)、この2つだけによるものではないと考えられます。

(a)2011年2月期から2016年2月期における国内総店舗数の増減は、2011年2月期-27店舗→2016年2月期-23店舗。

(b)期末売場面積の増減は、2011年2月期-92万4980㎡→2016年2月期-87万1437㎡。

●既存店売上高伸び率(前年比-赤折れ線グラフ)は、2014年2月期の1.2%(前年比102%)が最高値。それ以外の年は、「前年割れ」または「横ばい」です。この傾向値を見ていますと、既存店の売上高伸び率(前年比)を、これから先、「前年超-101%以上」に持ち上げるのは決して容易なことではない気がします。

②株式会社そごう・西武の売上総利益率と販管費率の推移

007(図-2)は、2011年2月期から2016年2月期における「売上総利益率と販管費率の推移グラフ」です。

見ての通りですが、2011年2月期から2016年2月期、6年間にわたって「販管費率>売上総利益率」が続いています。こ大変厳しい損益収支状況にあることが見てとれます。

③株式会社そごう・西武の 経常利益率と当期純利益率の推移

009(図-3)は、2011年2月期から2016年2月期における「経常利益率と当期純利益率の推移グラフ」です。

これを見ると、「百貨店経営は大変厳しい」、「先行き、赤字経営に陥るリスク大」、そんな悲観的考えが浮かばないでもありません。これから先も、まだまだ、「百貨店 冬の時代」が続くのでしょうか。・・・・・。

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百貨店における『外国人観光客の売上高・来店動向』を見る

百貨店における『外国人観光客の売上高・来店動向』

以下にあげるいくつかの図・グラフは、日本百貨店協会が毎月発表している資料-『外国人観光客の売上高・来店動向-速報』をもとに、2015年7月~2016年6月の期間の推移・動向を追ったものです。

(1)免税総売上高とその前年比の推移

015(図-1)は、2015年7月から2016年6月の期間の、百貨店における「外国人観光客の免税総売上高とその前年比の推移」グラフです。これを見ると次のことがわかります。

①免税総売上高は「横ばい状態」から、2016年5月以降は「かなりの減少傾向」にあります。2016年2月の183.6億円が売上高のピークでしたが、それが2016年6月には130.4億円にまで落ち込む。

②さらに、免税総売上高前年比の推移を見ると、2015年8月には359.6%と極めて高い数字でしたが、それが2016年6月には79.6%と「大きく前年割れ」し、これから先も、、「ゆるやかに落ち込む」気配。

(2)一般物品及び消耗品売上高月別前年比の推移

百貨店における「外国人観光客の売上高」は、(a)消耗品売上高+(b)一般物品売上高(消耗品を除く売上高)になっています。(図-2)は、その(a)、(b)、2015年7月から2016年6月の期間における推移グラフです。

0172者-(a)、(b)ともに、落ち込みが続いています。しかし、(b)一般物品売上高前年比の落ち込みがひどく、2016年3月以降の数字は「前年割れ」が続き、2016年6月には65.4%にまで下落しています。外国人観光客の購買傾向が「一般物品から消耗品へ移行している」ように思われます。この傾向は、これから先も続くのではないかと思われます。

(3)百貨店における外国人観光客の「購買客数とその月別前年比」の推移

0232015年7月~2016年6月の期間の、百貨店における外国人観光客の購買客数は、「ゆるやかな上昇」と、「緩やかな下降」の凹凸が見られますが、大きな数字の落ち込みはありません。しかし、購買客数の月別前年比の数字を見ると、2015年8月の前年比393%をピークに、以降、大きく下降、2016年6月には前年比114%にまで落ち込んでいます。この、購買客数月別前年比の落ち込みの数字には、先行き不安を感させじます。

(4)百貨店における外国人観光客の「1人当たり購買単価とその月別前年比」の推移

027百貨店における外国人観光客の「1人当たり購買単価」は、2015年12月の7.7万円をピークに、以降、緩やかな凹凸が続いてしいましたが、2016年6月には5.5万円にまで落ち込んでいます。

さらに、一人当たり購買単価の月別前年比を見ると、2015年11月以降、「前年割れ」が続き、2016年6月の数字は、前年比69.8%まで落ち込んでいます。これから先も、外国人観光客1人当たり購買単価の下落が続きそうです。

030(表-1)の数字をもとに、前述、(1)~(4)のグラフを作成しました。(日本百貨店協会・資料-「外国人観光客の売上高・来店動向-速報をもとに作成)

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大手GMS・3社の衣料品部門の年商品回転率&値下げロス率の推移を見る

「量販総合衣料品店の商品経営」考

大手量販総合衣料品店チェーンの元経営トップの方(業界では、その優れた経営手腕で、名経営者として高い評価)が、『衣料品商売』について、業界紙・誌のインタビューや特集などで次のようなことをお話しされています。(業界紙・誌→販売革新、商業界、ファッション販売、チェーンストアエイジ、激流、繊研新聞、日経ビジネス、プレジデント等)

■衣料品では、売れていない店舗だから在庫が少なくてもいいかというと、そうでもない。逆に、売れたからといってどんどん商品を送ってもいいかというと、それも違う。商品回転率が高ければ高いほどいいということではなく、適正がある。その適正値を8~9.2回ぐらいと考えている。

■衣料品は、今年と来年では売れ筋が全然違う。今年売れた商品が次の年は無くなってしまう。こういうことが多々ある。

■衣料品をやっている限り「見切り」がある。これを減らそうと一生懸命やっている。しかし、値下率は低ければいいというものでもない。「ゼロに近づけろ」と言うと、、担当者は値下げを怖れて仕入を少なくしてしまい、、今度は品切れが発生する。5%程度でちょうどいい。

■(衣料品の商売には)きちんと売りさばけずに、たまりにたまった在庫がある日突然、抱えきれずに破裂する、そういうことがあるんですから、この業界は。だから「売り切る仕組み」が必要なんです。(激流・97.09)

■私の考えは、売れる価格が正しい価格というものです。最初に付けた価格はあくまでも仮想の価格。それで売切れればその価格が正しい。売れなければ売れるような価格に落とす。発注した数量を全部売り切ることのできる価格を初期に設定できるとしたら、企業のリスクは最も小さいものですむでしょうね、最初の価格設定をいかに正しく行うかということに力を入れています。

■どうしても売れない商品がでてきたら、売価をゼロにして捨てちゃえばいい。理屈はそうです。そこでそんなバカなことを言わないで、もっと売れる価格を考えろと言われれば、売れ残りを最後まで持ち越すのは困るから、初期の段階でいかに売るかを考える。最後に持ち越せば半値でも売れないものが、初期だったら1割の値下げで売れるかもしれません。

■ディリーファッションも鮮度が重要なのです。在庫商品の見切りは生鮮以上に難しく、管理レベルの向上が非常に重要な商売なのです。我々は返品しないが、値下率は毎年減っています。販売予測の精度が年々向上している証拠です。

■(売れ残った商品を処分するのは)単純に値下げです。私たちにとって、値下げというのはある意味で必要悪です。値下率ゼロがよいとは限らないんです。それは不可能ですから、適正数値は4,5%程度ではないかと考えています。

■売れない商品を自分で処分する方法は2つしかない。1つは、できるだけ早く売れる価格に下げるとこ。例えば、入荷してから、1週間目、2週間目と単品ごとに追っていき、思ったより売れるのが遅ければ価格を下げます。もう一つは、売れない店から売れる店に商品を移すことです。これについては、われわれの物流システムのなかで、ある商品が売れていない店があれば、それが売れている店に自動的に品物を移動します。つまり平準化をするわけですね。

大手GMS・3社(イオンリテール、ユニー、イズミ)の衣料品部門の年間商品回転率(数)の推移

(図-1)は、大手GMS、イオンリテール、ユニー、イスミ3社の衣料品部門の2007年27月期から2016年2月期、10年間における年間商品回転率の推移グラフです。

002_3■これを見ると、3社の衣料品部門の年間商品回転率はいずれも6回転以下と低い数字です。とりわけ、イオンリテール、ユニーの衣料品部門の年間商品回転率は、2013年2月期以降、5回転以下に落ち込んでいますが、この数字で、衣料品部門で利益(黒字)を出すのは相当難ししいのではないかと考えられます。

量販総合衣料品店の商品経営における一つの物差しとして交差比率というのがあるのはご存じのことと思います。「年間商品回転率8回×粗利益率30%=交差比率240」を基準とするといわれていますが、これから考えると、先にあげたGMS・3社の衣料品部門の年間商品回転率の低さはとても問題ですし危険でもあります。年間商品回転率が6回以下という低い数字の場合、交差比率240を確保するためには、粗利益率を上げるしかありませんが、そのために、当初値入率を上げ、売価アップ(高くするこ)にもつながり、それが、さらに商品回転率を悪化させ、値下げロス率の増大をももたらす危険があるからです。

005(図-2)は、先にあげた大手GMS・3社の衣料品部門の値下げロス率の推移グラフです。これを見ると、この3社の衣料品部門の値下げロス率が、非常に高い数字であることが分かります。

商品戦略、商品政策の抜本的見直し、とりわけ、売価政策の見直しが必要とされているのではないでしょうか。3社は、これらの早期改善・改革に必死に取り組んでいるにちがいありません。この3社の衣料品部門に、年間商品回転率8回以上、値下ロス率10%以下という数字が確保されるのは、何年後になるのでしょう・・・・・。

011(表-1)は、大手GMS・3社、イオンリテールネユニー、イズミの衣料品部門の年間平均商品回転日数、商品回転率、年間値下げロス率、粗利益率等の2007年2月期から2016年2月期における推移をまとめたものです。(各社の各期・決算補足資料、決算参考資料、決算説明資料をもとに作成したものです)

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イトーヨーカ堂 各種営業実績の推移を見る

セブン&アイHLDSの各期・決算補足資料で見た、2006年2月期から2016年2月期、過去11カ年におけるイトーヨーカ堂のいくつかの各種営業実績の推移は以下の通り。

イトーヨーカ堂の「既存店売上高伸び率(前年比)と衣料売上高前年比の推移」

004_2(図-1)は、イトーヨーカ堂の、2006年2月期から2016年2月期、過去11カ年における年度別の「既存店売上高伸び率(前年比)と衣料売上前年比」の推移グラフです。これを見ると以下のことが分かります。

①2006年2月期~2016年2月期、この期間におけるイトーヨーカ堂の「既存店売上高伸び率(前年比)」は、10ヵ年連続で「前年割れ」(2016年2月期はプラス0.2%)。この数字の推移を見れば既存店活性化が重要な経営課題の一つであることが分かります。もちろん、イトーヨーカ堂はこの課題に全力で取り組んでいることと思います。しかし、既存店売上前年比「前年割れ」をストップするのは容易なことではなさそうです。

②同じ期間(2006年2月期~2016年2月期)における衣料売上高前年比も「前年割れ」が続いています。そして、それは、「前年割れが続いている既存店売上高伸び率(前年比)の数字」よりも、さらに低い(悪い)数字です。それが、既存店の売上高伸び率(前年比)の「足を引っ張っている」ことも推察されます。いずれにせよ、「衣料売上高の前年割れをストップさせる」、これを、最優先で解決せねばならない重要経営課題の一つとして、必死の取り組みをしていることと思われます。

イトーヨーカ堂の「客数前年比と客単価前年比の推移」

007(図-2)は、2006年2月期から2016年2月期における「イトーヨーカ堂の客数前年比と客単価前年比の推移」グラフです。これを見ると次のことが言えます。

①年度別・客単価前年比を見ると、前述の11ヵ年で、「前年割れした年」が4つほどある。最も悪かった数字は、2010年2月期の▲4.1%。残り3つの「前年割れ」の数字は▲2%以内。11年間のうち、7年間は「前年超」の数字となっている。

②客数前年比の数字は、客単価前年比の数字と比べると、「とても悪い数字で、11ヵ年連続、前年割れ」が続いている。「客数減は商店経営の赤信号」とも言われますが、数字の傾向を見る限り、「前年割れからの脱出」は容易なことではなさそうに思われます。

イトーヨーカ堂の「衣料売上高と衣料売上構成比の推移」

012(図-3)は、前述した、(図-1)、(図-2)と同期間におけるイトーヨーカ堂の「衣料売上高と衣料売上構成比の推移グラフ」です。これを見ると次のことが分かります。

①イトーヨーカ堂の商品売上計は(衣料+住居+食品)ですが、この3つのうちで「衣料が最も粗利益率が高く、約36%~38%」で動いている(11ヵ年の粗利益率の数字は、下限値32.3%、上限値39.2%→(別表-1参照)。この粗利益率の高い衣料の売上高、売上構成比の低下は、損益収支に重大なマイナス影響を与えているものと考えられます。「衣料品が損益収支面の足を引っ張っている」と言われる所以ではないかと思われます。

2006年2月期の衣料売上高は約3073億円→2016年衣料売上高・約1870億円、2006年比で約1203億円の減。

2007年の衣料売上構成比は25.8%→2016年衣料売上構成比・20.1%、2007年比で5.7%減。

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ファッションセンターしまむら 東京都地区における店舗展開の推移

ファッションセンターしまむら 東京都地区における店舗展開に関するメモ

ファッションセンターしまむらの元経営トップの方が、業界紙・誌等において、「東京都地区におけるファッションセンターしまむらの店舗展開」について、以下のような発言をされています。(インタビュー記事、しまむら特集記事等)

■都心出店は興味があるが、初期投資の大きさや、チェーンオペレーション確立の難しさなど課題も多い。当面は、標準店舗の面積を1300㎡とする店舗の大型化で品揃えを拡充したい。さらに、「しまむら」と「アベイル」など新業態を同一敷地内に出店する複合出店も進めていきたい。立地ごとに複数の業態を組み合わせ、相乗効果で集客力を高めたい。(繊研新聞:2000.0725)

■(都心部への攻め込み)話はいっぱいあるけど、まだ、コストが高い。無理なコストで出る必要はない。私たちは売上の5%しか不動産比率がない。それが都心部は15%くらい。それじゃ意味がありません。(販売革新:2000.09)

■首都圏へ出店を進める上で、もう一つ問題なのが家賃の高さだ。都心部はほとんどが売上歩合方式。それが5%ならどこにも出るが、10%だったらアホらしくて。・・・・・。今後、不動産やビルは余るだろう。当然、首都圏出店の条件も合ってくると期待している。(繊研新聞:2001.0112)

■今後は(出店も)都心回帰の動きに対応していこうと考えています。本当は商売を考えたら、首都圏に日本人の3分の1がいるんだから、そこに店を出せばいいに決まっています。ただ、なかなか現実は土地が狭くて必要な面積が確保できない。私たちは、東京、神奈川に最も店が少ないんです。出ればいいのは分かっていますが、現実にいままでの手法で空いている土地に出店するのはなかなか難しいです。(日経ビジネス:2002.0203)

■出店政策で言えば、今後の鍵は都市部にどう広げていくか。今やっているのは中核都市の外周部ですから東京都心への取り組みが課題でしょうね。(販売革新:2005.05)

■都市部は、今までのパターンからオペレーションが変わらざるを得ない。納品に問題のある場所には出店できない。投資回収からは、家賃が高額だと儲からないので契約には至らない。・・・・・。都市部だからといって投資回収のスケジュールが変わることはない。儲かる、儲からないで出店を決めている。品揃えは概ね同じだか、都市部では、価格が高くなるところがある。物流のパターンは納品頻度を含めて全部同じ。崩すとビジネスモデルとしてもうまく回っていかないと考えている。

ファッションセンターしまむら 東京都地区における年間売上高、期末店舗数、売上シェア、売場坪当り年間売上高等の推移

001(図-1)は、ファッションセンターしまむらの、2001年2月期から2016年2月期における年間売上高と店舗数の推移グラフです。

①2001年2月期の年間売上高は約49億4200万円→2016年2月期の売上高・約225億8600万円。

②2001年2月期末の店舗数は11店舗→2016年2月期末の店舗数・58店舗。

2010年2月期あたりから、「売上高、店舗数ともに、伸びが高くなっている」傾向が見られる。

004(図-2)は、ファッションセンターしまむらの、東京都地区における「年間売上高と、東京都における売上シェア」の推移グラフ。

しまむらは、しまむらが対象とすることが出来る取扱商品について家計調査年報をもとに各都道府県別年間需要額推計を出しています。その推計需要額計算値をもとに、ファッションセンターしまむらの都道府県別の売上シェアを出しています。

東京都地区におけるファッションセンターしまむらの売上シェアは、2016年2月期で約2.1%と極めて低い数字です。各都道府県別売上シェア10%占有を目指していると言われているファッションセンターしまむらにとって、東京都地区における売上シェア約2.1%という数字は「あまりに低すぎる」と考えているのではないでしょうか・・・・・。

010(図-3)は、ファッションセンターしまむらの、東京都地区における「各期末売上面積と各期・売場坪当り年間売上高推計値の推移グラフ」です。

2011年2月期あたりから売場坪当り年間売上高が低下しています。

2006年2月期・売場坪当り年間売上高・約185万円→2016年2月期の売場坪当り年間売上高は147万円。

しかし、ファッションセンターしまむらの全店平均売場坪当り年間売上高は約100万円と推計されますから、それに比べると、東京都地区における売上坪当り年間売上高・約147万円は「かなり高い数字」と言っていいのではないかと思われます。ファッションセンターしまむらの東京都地区における店舗が、この売場坪当り年間売上高・約147万円で損益分岐点を超えているかどうかは分かりませんが、東京都地区における出店政策推進は「大きな経営課題のひとつ」ではないかと思われます。

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