競合店対策:ディリーファッションストア-「婦人衣料部門の再構築」考

■ユニクロの大攻勢、GMSの衣料部門改革と反転攻勢、ますます激化する競争

「衣料品売行不振、売上長期低落」が続いています。今のところ、回復の兆しも、なんの明るさも見られません。(表-1)は、日本チェーンストア協会が発表している販売統計のデータをもとに作成した、平成18年1月~平成21年7月、3年7ヶ月間の「婦人衣料・月別売上高の推移グラフ」ですが、長期間、婦人衣料部門の著しい売上高下落が続いています。また、さらに落ち込んでいくような気配もあり、この先、二番底、三番底もあるのではないかと思われるような様相です。衣料品合計売上高の推移も、婦人衣料と同様、下落が続いており、極めて悲観的な状況下にあります。

001 しかし、このような悲観的で、厳しい状況下にあるにもかかわらず、競争はますます激化しています。いままで、比較的順調に売上も利益も伸ばしてきたディリーファッションストアも、ユニクロの大攻勢、GMSの衣料部門改革による反転攻勢、加えて、日本に進出してきた強力な外国勢、「フォーエバー21」、「H&M」、「ZARA」など、これらが巻き起こす厳しい競争に、否応なく巻き込まれることになります。ここで、対応を誤ったディリーファッションストアは、消滅の危機に陥ると言っても過言ではないでしょう。

003 ディリーファッションストアと言わず、すべての量販総合衣料品店が決して忘れてはならないことは、「婦人衣料の強い店が勝つ」、この、競争の鉄則です。どんな状況下にあっても、この競争の鉄則が変わることはありません。したがって、ここは、真剣に「婦人衣料部門の改善・強化、再構築」に取り組む必要があります。それには、今、ユニクロが打ち出している戦略・政策、GMS・イオンリテール、ダイエー、西友が進めている衣料部門改革、そして、日本進出した強力な外国小売企業勢の商品戦略・政策、

005 これらについてよく分析研究を行い、彼らの戦略・政策を熟知しておく必要があります。ユニクロ、GMS、外国勢が展開しているいくつかの注目すべき戦略・政策は以下のようなものです。

ユニクロ(国内)が押し進めている注目点

ウィメンズ商品を(今の)2倍、3倍にする(拡大する)。その

008 ために、ファッションベーシック商品を強化、かつ、コア商品の強化・充実をはかる。

グループ企業・g.u(ジーユー)における、(a)990円シリーズ、990円ジーンズ(2009年度・秋冬もの・全商品の3分の1を990円に)、(b)490円、990円商品のバリエーション拡大(以上は、ユニクロが発表した「グローバルワンの実現・2008年8月期の総括と今後の成長戦略」より抜粋)

002イオンリテールが 押し進めている注目点

ベストプライスbyトップバリユー880円ファッションシリーズ→880円ジーンズ

ダイエーが押し進めている注目点→880円ジーンズ

西友が押し進めている注目点→ベーシック衣料全体の低価格化→ウォルマートの世界的商品調達網を活用

■ディリーファッションストア-婦人衣料部門の競争力と比較優位性が低下

ディリーファッションストアの品揃え面における競争力は、低価格(安さ・廉価)、良い品質(品質>価格=お値打ち)、ファッション性、トレンド商品の積極的投入、この4つで支えられています。また、商店経営面での競争力を支えているものは、ローコスト経営(例えば、ファッションセンターしまむらの販管理費率は21%~22%)、小商圏対応、客の近くに店がある、利便性(日常生活に必要な衣料及び衣料関連品をこまめに品揃え、普段の生活に必要なものは事足りる)、この4つです。これら8つで、ディリーファッションストアの競争力、そして、他の小売企業との比較優位性を支えられていたわけです。しかし、その力が、ユニクロの大攻勢、GMS・イオン、ダイエー、西友らの衣料品部門改革と低価格政策、そして、フォーエバー21、H&M、ZARAなど強力なMD力と情報発信力を持った外国勢の日本進出など、これら手強い競争相手の出現によって相対的に低下してきています。厳しい見方ですが、品揃え面の①~④については、ディリーファッションストアで、先にあげた手強い競争相手と戦っても負けない力を持っているのは「ファッションセンターしまむら」だけではないかと思います。商店経営面の競争力を支えている⑤~⑧に関しては、まだ、ディリーファッションストアの方が、ユニクロ、GMS、外国勢より優位なところがあるかもしれません(絶対的優位にあるというわけではありません)が、

しかし、商品面、品揃え面における競争力、比較優位性で勝てなければ、商店経営は成り立ちません。ここが大事なところです。いまのところ、ユニクロの大攻勢、衣料品部門改革を進めるGMS、そして、強力な外国勢との競争は大都市部に限られています。したがって、あわてる必要はないと言うこともできますが、かれらが、地方中都市、地方小都市に攻めてくるのはもう時間の問題です。その時に、商品面、品揃え面を支える①~④の競争で負けないよう、競争の決め手となる「婦人衣料部門の再構築」に今から取り組むことが必要なのではないかと考えています。手強い競争相手に勝つのは容易なことではあり

004ません。彼らの方が、多くのディリーファッションストアよりも、資金面、組織力、商品力、MD力、店舗運営力で優れているからです。このことを決して忘れてはならないと思います。その覚悟のうえで、「婦人衣料部門の再構築」に取り組まれることを期待しています。稚拙な文章しか書けず、いまひとつまとまりがなく、どこまで当方の考えをお伝えできたか自信がありませんが、ともかく、「婦人衣料部門の競争力強化と再構築」に、今から、積極的に取り組まれることを再度、強調しておきたいと思います。

 ディリーファッションストア-「婦人衣料部門の再構築」考  完

  

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しまむら対策(その6:しまむらとの競争に備え、「やっておかねばならない前準備⑤」

■店舗競争力は、その企業の「持てる全ての力」の強弱に左右される。 

「店舗競争力」を構成する主要なものは、資金力、組織力、MD力(商品力・品揃え力)、経営情報システム構と物流システム構築力などである。これらの力の差で、それぞれの小売企業の「店舗競争力」が決まる。

個々の店、1店舗だけの「店舗競争力」を考えれば、それらに加えて、①立地、②売場面積規模、③商業集積力・業種構成数、④駐車場収容台数、⑤初期店舗設備開発投資コスト、⑥店舗経営コスト、オペレーションコスト、⑦店舗運営力などがあげられる。これらの項目がそれぞれ一つずつ、どの程度(レベル)まで充足されているかで決まる。

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■店舗競争力を図示すれば、(Ⅰ)商品品揃え力+(Ⅱ)システム構築力となる。商品品揃え力如何で「商品競争力」が決まり、それは、店舗競争力を左右する重要な一つの要素となる。しかし、それは、「店舗競争力の一部分」である。ファッションセンターしまむらの店舗競争力と真正面から戦って勝てるディリーファッションストアは今のところ見当たらない。

しまむらは、個々の店の競争(競争の勝ち負け)に対して「個店対応」はしない。 

ファッションセンターしまむらは、個々の店の競争の勝ち負けに対して、個店対応策は取らない。個店対応するには人手がたりない。もし、競合対策をやるなら全体のレベルをあげる全店対応策をとる」という考え方のようである。ここに、しまむらと競争する店の勝てるチャンスがあるかもしれない。すなわち、企業力全体の比較と競争力では勝てないかもしれないが、個々の店の戦いなら勝てるチャンスがあるだろうということである。店舗数が50店舗以下の規模ならこの考えで、「しまむらとの競争対策を進める」ことができるだろう。そのくらいの店舗数規模なら、まだまだ、個店の動きに、細かく目を行き渡らせることもできるからである。

しまむらの店舗運営組織は聞くところによると、店舗部が各地方別に分けられて7部~8部あり(例えば、店舗1部 東北地方・○○ブロック数・○○店舗数)、その店舗部の下にある各ブロックは店舗数6~7店舗でまとめられ、それらを、店長兼任のブロックマネージャーが管理するというブロックマネジメント体制をとっているとのことである。ならば、各ブロックマネージャーはその管理下にある個々の店の競争に「個店対応策」を取るのではないかと考えたのであるが、どうもそうではなく、やはり、競争に対しては「全店対応策」をとる方向に進むようである。

しまむらのA店が競争に負けているというとき、例えば、低価格競争で負けているということが明らかになった場合、その店だけの対応策(すなわち、個店対応策)を取るのではなく、何故、低価格競争で負けているのかを深く掘り下げ、それを全店共通の問題、もしくは、全社的弱点としてとらえ、その抜本的解決策と全店的対応策を進めるというものである。「全体最適化」という言葉があるが、しまむらはそういう考え方で進むということだ。

しまむらと競争している店(または、今後、競争する店)の競争対策と前準備

心身ともにタフで闘争心に溢れた人材をその店の店長として配置しておく。

そういう人材でないと、「しまむらとの長く厳しい戦いに耐えられない」からである。また、その店の店長も含めた人材配置にあたっても、理想論を言えば、「勉強熱心、研究熱心で、継続力を持った(戦い途中で投げ出さない、諦めないこと)、そして、小売業が好きな人材、礼儀をわきまえている人材を配置する」ことである。こういった人材を配置できれば、その店の競争力は一段と強まり、しまむらとの競争に簡単に負けてしまうことはない。勝てるチャンス、その可能性がとても高い。

しまむらは基本的に「個店対応策」をとらないとすれば、こちらは、品揃えもチラシ販促企画も徹底した個店主義、個店対応策をとることにする。

商品部は、しまむらと競争している店に対しては、常に「競争に勝てる価値ある商品を優先的に投入する」。これを絶対原則とする。

競争の最後のところは「人と人との戦い」ということである。店舗数が、しまむらのように1000店舗を超えていては、競争に対して、このような個店主義、個店対応策はとても取れない。同業他社と競争・競合している店数も半端な数ではないからである。また、チェーンストアとしても、個店主義で、個々の店の競争に対して一つ一つ対応するというやり方はとらないし、とることもできないだろう。

こんなことを言うと、個店主義礼賛と思われる人もいるかもしれないが、決してそうではない。先述したが、店舗数が50店舗以下の小型量販衣料品店チェーンであればという前提条件で言っているのである。小型量販衣料品店チェーン、ディリーファッションストアで、このような考え方で「しまむらとの競争対策、前準備をしている店」があるかどうかわ分からない。しかし、業種は異なるが、食品スーパーチェーンなかにとても参考になる事例があるので、最後にそれをあげておこうと思う。それは、食品スーパーチェーン「株式会社オオゼキ」の商品経営、商店経営、そして、競争対策のやり方です。

「株式会社オオゼキ」のホームページには、彼らの基本的考え方が載っています。以下に、勝手ながら、それからのなかからいくつかを原文のまま抜粋させてもらいました。

(A)高い正社員比率によって独自に展開する店舗経営、

(B)個店ごとの分散仕入と、食材に絞った多品種小ロットの品揃え、

(C)お客様のニーズにきめ細かく対応できる個店主義、

彼らのホームページには、もちろん、これ以外にも企業経営の基本的考え方が載っています。ここに上げた(A)~(C)の3つは、「株式会社オオゼキ」の商品経営、商店経営に対する考え方の一部です。しかし、彼らはこの考え方を全面的に押し進め、業界きっての高い生産性をあげているのです。売場坪当り年間売上高が1000万円を超える店を多数持っていますし、また、人的生産性も業界のトップクラスです。

彼ら、食品スーパーチェーン「株式会社オオゼキ」の考え方、経営のやり方は、頑固・頑迷なチェーンストア論者からみれば、到底、受け入れがたいものかもしれません。しかし、食品スーパーチェーンでは、今、最も注目されている企業の一つでもあります。食品スーパーだから、われわれ、量販衣料品店とは関係ないなどと思わず、是非、彼らの営業実績、経営成果をじっくり調べてみてください。(食品スーパー、「株式会社オオゼキ」の決算データはホームページでみられます)。また、彼らの店を見に行って勉強、研究されることをおすすめします。「しまむらとの競争対策」を考えていく上で、必ずや、得るものが沢山あることと思います。

      

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しまむら対策(その5:しまむらとの競争に備え、「やっておかねばならない前準備」④)

■「強いしまむらとの競争」に備え、「やっておかねばならない前準備」    

(6) チラシ販促セールも「しまむら対策」では重要なものの一つです。しまむらのセールチラシ実物を全て、必ず入手できる収集ネットワークをつくり、そこで集めたチラシ全部の企画内容、狙い、レイアウト、表現の仕方、チラシ掲載商品名と売価、掲載品目数等を徹底的に分析研究すること。そして、低価格訴求力、企画内容で「しまむらに負けないチラシ販促セール」が打ち出せる力をつけていくこと。また、チラシ販促セールの掲載商品アイテム設定、売価設定、投入数量設定、販売予測数量、売場展開・陳列演出のやり方などを、商品部長が直接指示命令する仕組みにしておくこと。

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■しまむらのチラシの調査分析では、必ず、(表-1)の本年・前年同月チラシ販促セール実績比較表をつくるべきです。これは、08年6月と07年6月のチラシセール実績対比表です。チラシセールの月日・期間、チラシサイズ、セールタイトルコピー、注目企画などを記載し、前年と今年ではどこが変わったかをしっかりマークしておく必要があります。

002■しまむらが今年の6月25日に打ったセールチラシですが、いままであまり使ったことのなかった970円という売価を打ち出しています。10円の位を70円とする売価表現は、以前、サンキが頻繁に使っていた記憶がありますが、お客が80円という売価表現よりも10円安く感じるだろうという狙いかもしれません。(小細工にしか思えないのですが、これで効き目があるのでしょうか・・・・)。ともかく、チラシを細部にわたって詳細に分析し、競争相手である「しまむらの考え方」を読み取る努力を積み重ねること。そうすれば、彼らの打つ手がかなり予測できるようになるはずです。販促担当者は「しまむらのチラシ販促セールの分析研究」を決してサボってはなりません。

「効き目のあるチラシ販促セール」をうちだすことができるかどうかは、すべて商品部長の肩にかかっています。商品部長の力量と、取り組み方で決まります。ですから、商品部長はチラシセール企画内容設定に深く関与し、掲載品目名と売価、品質、投入数量などを厳しくチェック、最終決定を絶対に他人任せ(とくに、バイヤー任せ)にしてはなりません。商品仕入担当者が提出したチラシ掲載品目、売価などが、いい加減で、あまい設定で、これでは売れないと考えた場合は、バイヤーに遠慮などせず、思い切ってカットしてしまうことです。これを徹底的に、厳しくおこなう必要があります。仕入担当者から強い反発がでることもありますが、それに怯むことなく、強権発動してでもやるべきです。

仕入担当者の中には、「こんな掲載品目、こんな売価設定ではだめだ」と厳しく追及されると、自分の努力不足を棚上げにして、「言い訳と愚痴」ばかり並べ立てる者がいます。「それはできません。そんなものありません。代わって仕入れてきてください」と開き直る者もいます。必死の仕入努力が必要となる「セール商材探し」をなんとか避けたいものだと考えているからかもしれません。商品部長はそれら、仕入担当者の反発、開き直り、抵抗を乗り越え、「効き目のあるチラシ販促セール」づくりに取り組んでいくべきです。。そこまでやっておかないと「効き目のある強力なチラシセール」を打ち出すことはできないからです。

しまむらが打ち出してくるチラシ販促セールは、かなり強力で、低価格訴求力があり、また、ファッション提案力もあるものばかりです。それに対して、手抜き工事のチラシ販促セールをぶつけていったのでは絶対に「しまむら」には勝つことはできません。そんなことのないよう、一つ一つのチラシ販促セール企画に真剣に、そして組織の全力をあげて取り組まれることを期待したいものです。

(7)商品を仕入れ・発注してから、その商品が店頭に品出し・陳列されるまでの時間(日数)をできるかぎり短縮すること。基本的には3日以内、遅くとも4日以内でできる仕組みづくりに取り組むこと(PB開発商品などは別)。

スピードと機動性に優れた物流システムを構築せねばならないが、それには多額の設備投資が必要になり、さらに、運用のソフト面まで含めると時間も相当かかる。そのため、必要性はよく分かっていても、なかなか手が付けれらず、物流システム構築がひどく立ち遅れている店も少なくない。しかし、競争が激しくなってくると、この、仕入・発注→店頭への品出し・陳列までにかかる時間の差、スピードの差で勝負が左右されるようになる。だが、かといって、取り掛かればすぐにできあがるというものでもない。したがって、今、自店の力でできる最大限の努力をして、この時間短縮をはからねばならない。

①仕入・発注した商品が自店の倉庫で何日停滞していようと気にしない、②店の倉庫で何日も放置されているのにほったらかし、③売場の陳列什器の下にダンボール箱に入れて置かれたまま、少なくともこういうことは絶対にないようにしなければならない。小さいことのように見えるが、これも「しまむら対策」では重要な取り組みのひとつと言っていい。彼らが得意とする「高速回転の商品経営」に立ち向かっていかなければならないからである。

    →→ 続く

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しまむら対策(その4:「強いしまむらとの競争に備え、「やっておかねばならない前準備」③)

(4)商品分類コードを再点検、かつ、再編成し、小分類クラス(例えば、婦人長袖Tシャツというレベルで考えた小分類)を少なくとも300から450つくって、それらの日々動向(売上高・売上数量・仕入高・仕入数量・在庫高・在庫数量等)をリアルタイムで正確に把握することができる商品計数データ管理システムをつくりあげること。それで、日々、金額管理と数量管理データを収集・分析し、品揃えの調整・修正・改善をおこなっていく体制を構築する。競争への対応を数値で考えられる仕組みづくりをしておくこと。

この仕組みができていない店が意外に多い。小分類クラスで、日々の商品動向が把握できていなければ、品揃えの修正・改善強化をすすめることはできないはずなのだが、その重要さをあまり分かっていない店もまだあるようである。少なくとも300から450の小分類別の日々の数値動向(金額管理と数量管理)を正確に掴んでおかねば「しまむらとの競争」に立ち向かうことはできない。しまむらは日々の商品動向について、これよりさらに細かく、詳細な数値データをリアルタイムで把握、管理し、品揃えの改善強化に取り組んでいるからである。

しまむらのバイヤーは、担当商品の日々動向データ(仕入先・ベンダー別売行き動向、売上高・売上数量、仕入数量、仕入高、在庫数量・在庫高、商品回転日数・在庫日数など)を週単位の商品管理表の「アイテム実績表」で把握している。しまむら商品部のバイヤー、コントローラーがともに共同作業で、それは細かな単品管理を徹底してやっているのだが、その管理レベルとコントロール力はきわめて高い。リアルタイムでの商品管理(リアルタイムインベントリー)で商品動向数値データを正確に把握し、かつ、そのスピーディな活用をしている。それが「しまむらの商品生産性」をより高いものにしているのである。繰り返し言うが、「きわめて高レベルの商品管理、単品管理システムを構築し、それを最大限活用している”しまむら”」と戦う、競争していくのだということを決して忘れないことだ。

(5)しまむらとの競争で、重要な商品部門は、①婦人衣料部門、②インナーウェア・実用衣料部門(肌着・靴下・ランファン・ナイテイ)、③寝具・インテリア部門、この3部門である。したがって、婦人衣料部門とインナーウエア部門の二つが弱いと「しまむら対策」は最初からつまずいてしまう。というより、競争対策が立てられない。したがって、この2部門の商品力、品揃え力、仕入力を強化するためにあらゆる対策(仕入担当者の入れ替え、人的補強、再教育など)に取り組むこと。

平成20年2月期の「しまむらの商品部門別売上構成比」は、婦人衣料30.3%、インナーウェア・実用衣料部門24.4%、寝具インテリア部門16.6%である。この3部門計で全体の71.3%の売上高構成比となっている。だから、この3部門の戦い方如何で勝敗が決まると言っていい。とりわけ、婦人衣料部門とインナーウェア・実用衣料部門でどこまで戦えるかがカギになる。

しまむらの「婦人衣料部門の強さ」はディリーファッションストア業界一と評価されている。また、インナーウェア・実用衣料部門の強さにも定評がある。そこと競争するのである。戦うのである。最初から厳しい戦い、競争になることを覚悟して「しまむら対策」にとりかからねばならない。競争に負けないためには、この2部門で、「しまむらが持っていない何か、競争の切り札となるもの」をつくっておく必要がある。

「しまむら対策」として、婦人衣料部門とインナーウェア・実用衣料部門で「競争の切り札づくり」を考える場合、しまむらが「手ごわい競争相手」としてマークしている店、サンキ、サミットコルモ、パシオス、この3社の品揃えを徹底的に研究するとよい。とくに、サンキの品揃えをよく調べれば、多くのヒントが得られると思うので、ぜひとも、調査分析することをおすすめしたい。というのも、パシオス、サミットコルモの2社は、基本的に「しまむら志向」というか、しまむらによく似たタイプの店、よく似た考え方をしている店であるので「しまむら対策のヒント」になるようなものはあまり見つけることが出来ないと思われるからである。

しまむらとサンキの品揃えをよく調べてみると、次のことに気が付く。

サンキに品揃えされている「商品の顔」を見ると、しまむらには無いものが沢山ある。もうちょっと言えば、ほとんどが「しまむらには無い商品」であるとさえ言える。逆に、しまむらの品揃えを見てみると、これまた、「サンキには無い顔の商品」が多い。だから、両者の競争は、お客から見て、①「どちらの店の方が面白いか、楽しいか」、②「どちらの店の方が安いか、または、安く売っていると感じるか」、③「どちらの店の方が大きいか、相手に無いものをもっているか」、こういう戦いになる。そのため、相手より売場面積規模の大きい店にすることが最も有力な競争対策になる。

しまむらの標準店舗規模は、現在、350坪~380坪、サンキが出す最近の店の売場面積規模は1000坪である。だから、サンキのほうが戦いを有利に進めている、もうすこし言えば、しまむらに打ち勝っている。サンキはその売場面積の広さを生かして、婦人衣料部門、インナーウェア・実用衣料部門、寝具インテリア部門、3部門すべてが「しまむらより広く」、また、それぞれの部門の売場ライン構成数も「しまむらより多い」。その売場のひろい分だけ、売場ライン数の多い分だけ、「サンキの方が、しまむらより面白いし、楽しい」ことになる。

品揃えされている「商品の顔」が違うのは、両者が意識的にそうやっている(意識して差別化、差異化をはかっている)とも思えないので、これはそれぞれの生い立ちの違いからくるものであるかもしれない。また、商品調達先、仕入先の違いからくることも考えられる。サンキの仕入れ先は、いわゆる、現金総合問屋、大西衣料、丸光、八木兵などを主力仕入先としているのに対し、しまむらの商品調達は、企画メーカー問屋、メーカー直取引(しまむらだけのためにつくられる商品・OEM供給という形)、中国での生産・加工・流通=「直流」などであるからだ。

しまむらと商品調達先、調達形態が似ている、また、仕入先がよく似ている、バッティングしているという店は、サンキをよく研究する必要があると思う。仕入先のなかに、現金問屋を組み入れてみることも試してみる価値はあるのではないだろうかとも思う。「ミニ・サンキをつくれ」というわけではないが、「ミニ・しまむら」、「しまむらもどき」の品揃えをやっていたのでは絶対に勝てないと考えているからである。

    →→→ 続く

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しまむら対策(その3:「強いしまむらとの競争」に備え、「やっておかねばならない前準備」②)

■「強いしまむらとの競争」に備え、「やっておかねばならない前準備」②  

(2)競争相手である「しまむら」(○○店)の店づくり、品揃え、売場づくり、オペレーションなどを徹底的に調べる。これを、継続して、定期的に実施する。絶対にサボらない。その調査で得た情報及び調査データを分析し、具体的対応策を考え、素早く実行できる組織体制をつくっておく。

少なくとも、月に一度(できれば2回)は、競争相手となる「しまむら○○店の調査」を必ずやらなければならない。これは、しまむら対策の基本中の基本である。「競争相手のことをよく知らなければ戦いようもない」からである。これを休み無く続けるには、相当の①意志の強さと、②危機意識(潰れてしまうかもしれないという危機感)が必要だが、そのふたつを持っている店はとても少ない。したがって、この、「競争相手・しまむら○○店」の定期的調査分析がおろそかになっている店が多い。

わずか、年に一度か二度、いい加減な調査をやっただけで、「しまむらが分かった」などと暴言を吐く人もいないではない。そんな程度で、「しまむらが何を考え、何をしようとしているか」など分かるはずがないと断言できる。しまむらの店の品揃え、売場づくりは、季節ごと、月ごと、週ごとに変化しているからである。彼らはそれを、具体的な売場づくりの指示書である「売場計画書」や、また、売場でのビジュアルプレゼンテーションの仕方を指示する写真つき図表・指示書などでしっかりやっているのだ。だから、少なくとも、月1回、できれば2回は、しまむらの店の調査をおこなうべきなのである。これは、しまむら対策を考える上で、絶対不可欠のこと、必ずやっていかねばならないことなのである。

必ず調査すべき項目は以下のとおり。

商品部門別、商品品種別、陳列什器形態と使用台数及び陳列什器配置図

商品部門別、季節ごとの主要品種別、展開価格帯。主要プライスレンジ別品揃え在庫数量構成

商品部門別、商品別、仕入先構成(この調査には相当手こずるかもしれない)  

店のメインディスプレイステージに陳列している商品とその組み合わせ、及び壁面陳列

この①~④は、毎回の調査で必ず調べておかねばならない。調査のためには、テープレコーダー、メモ用紙などは必携品である。また、調査には時間がかかるが、店で何も買わずに、ただ調べ続けているわけだから、調査の途中で、店の人から、「この人は何をしているのか」と思われ、「なにかお探しですか」などと声をかけられることもある。それで気がひけてしまって、「もうイヤだ」と調査を諦めてはならない。これぐらいのことは乗り越えていかないと「いい調査」はできないからだ。しかし、それが嫌で調査を断念してしまう多くの人を見てきた。そんなことでは、「しまむら対策」はとても考えられない。定期的な調査は「しまむら対策の土台」、「なんとしてもやらねばならないこと。避けて通れないこと」だからである。

(3)商品回転日数重視、商品品揃え鮮度重視の商品経営をおこなうこと。品揃えアイテム数を拡大(増やす)すること。そのために、「仕入のあり方」を変えること(例えば、1品1型大量仕入れはやめ、多品種1型少量仕入れ・投入をおこなう。→アウターウェアでは仕入単位を1店に1型6枚以内の投入にする等)。この三つは、品揃え面における「しまむら対策」の絶対必要条件である。また、過剰仕入、過剰在庫、低速回転にならないよう、日々の商品在庫の変動を厳しくチェックし、品揃え在庫鮮度の劣化を防ぐ商品経営を徹底すること。

「しまむらの品揃えのポイント」は、①多品種・多品目・1型少量型品揃えと、②高速回転、この2点である。極端な言い方をすれば、彼らは、「週がわりで品揃えを変えていこう。陳列演出も変えていこう」と考えている。したがって、しまむらと競争する場合、1店に1型1品目大量投入・大量陳列するなどは厳禁である。品揃えアイテム数を拡大し(何アイテムにするかは、しまむらの品揃えをしっかり調査した上で考えねばならない)、商品回転も高速(しまむらの平均商品回転日数は約35日から40日)という商品経営をやっていかないと「真のしまむら対策」はできない。これはとても難しいことであるが、かといって、避けて通ることはできない。

しまむらの商品経営の基本的な考え方はこうである。

交差比率=粗利益率×商品回転率だが、彼らは交差比率を高めるためには、粗利益率を上げることより、商品回転率を上げることを優先する。したがって、彼らの商品経営は、彼らの言葉を借りれば、「同業他社がどんどん粗利益率を上げていくのなら、われわれは粗利益率を上げず、商品回転数(商品回転日数)を高めていくことに取り組む。値入率も、粗利益率もできるだけ抑え、低価格・高速回転の商品経営をすすめる。同時に、徹底したローコスト商店経営おこなう。をそうすれば競争相手はついてこられず競争から脱落する」ということになる。この考え方が「しまむらの商品経営の強さ」である。

同業他社の店も、理屈はよく分かっているのだが、これがなかなかできない。商品経営も、商店経営も「まだまだ考え方があまい」からである。「強者・しまむら」との競争は真剣勝負であり、それこそ、命をかけての戦いになる。厳しい言い方であるが、これは脅しで言っているのではない。そのへんを十二分に分かっていただければ幸いである。

   →→次に 続く

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しまむら対策(その2:「強いしまむら」との競争に際しての「心構え」と「やっておくべき前準備」①)

しまむらとの競争で、なんといっても必要なのは「闘争心」と「継続力」   

「しまむらとの競争対策」で、絶対に欠かせないもの、これがなくてはダメだというものが二つある。一つは、「闘争心、戦闘意欲」である。負けじ魂というか、「負けてたまるか」という気持ち=激しい「闘争心」を持ち続けねばならない。しまむらは手強い競争相手であり、彼らとの競争、戦いは決して楽なものではない。だから、じわじわ押されてくると、ついつい、「負けてもしょうがない。なんといっても日本最強の店を相手にしているのだから」と諦めてしまい、戦いを放棄し、競争に破れ、脱落していった店が沢山あるのだ。激しい「闘争心」を持続できなかったからである。

また、「激しい闘争心」が無いと、「しまむらの店、売場づくり、品揃え」を、継続し徹底的に調べ、そのデータ、情報を分析し、考えられる限りのあらゆる競争対策を打ち続けることに耐えられない。その苦痛を乗り越えることが出来ない。最後には、戦いを放り出すことになる。対抗策がまったく考えられないというような「完全無欠な店」など無いのだから、真剣に考えれば必ず「いい手、いい対策」が浮かんでくる。少なくとも、まったく打つ手が無い、ゼロということはないはずである。戦う意志というか、激しい「闘争心」を持ち続けてこそ、「しまむら対策」もまた持続できるのだと強く心に言い聞かせておかねばならない。

もう一つは、「継続力」である。どんなに立派な「しまむら対策」がまとめあげられても、それを、丹念に、気を抜かずに、着実にやっていく、継続するということがなければ「机上の空論、夢物語」に終わってしまう。「しまむらには、こうやれば勝てる」などと自信ありげに言う人もいるが、おそらく、しまむらと実際に戦った経験が無いから言えるのではないだろうか。「しまむら」はそれほど簡単に打ち負かすことができるような競争相手ではない。

「しまむら対策」は、品揃え、売場づくり、店舗経営、オペレーション、どれも「地道な仕事」ばかりである。また、「長丁場の戦い、エンドレスの戦い」であり、苦労も多い。時には、どうしょう、もうダメだと「落ち込む」こともあるかもしれない。やらねばならないことは沢山あるのだが、「これくらいは省いてもたいしたことはないだろう」と手を抜きたくなることもある。しかし、そこで、「ちょっとひと休みするか」と、しまむら対策を中断してしまってはならない。これは絶対にやってはいけないことだ。「あそこで頑張っていたら、こんなことにはならなかった」とあとで必ず後悔するだろう。「継続は力なり」、これを決して忘れないことだ。

■「しまむら対策」は「正攻法」で。    

しまむら対策、しまむらとの戦い方には、いくつかの方向が考えられる。別図はその方向をいくつか考えたものだが、「逃げの戦略」だけは避けたいものである。頭の中だけで考えたほど簡単にできることではないからだ。むしろ、しまむらとの戦いには「逃げ場は無い」と自らを追い込んでおいた方がよいかもしれない。真正面から「しまむらと戦う」、「正攻法で戦う」、それしか道は無いと心に決めて、果敢に突き進む。「そこにこそ、生きる場がある。必ず良い結果が得られる」と考えておくほうがよい。そういう考え方のもとに、戦い、「しまむら対策」をとったところだけ生き残っているからだ。(サンキ、サミットコルモ、オンセンド、かれらの戦い方は、真正面から「しまむらと戦う」というものだ)。

018■「正攻法」で戦う、「正攻法」のしまむら対策を立てる、このポジションに立たねばならない。別化(A)」がベストの戦略だが、このポジションで「しまむら対策」を進めていける力を持った店は、いまのところ国内のディリーファッションストアには見当たらない。ウォルマートの衣料品対ターゲットの衣料品の戦いに、やや似ているともいえるが、日本国内でこのような戦略をとれる店もいまのところまだ無い。また、「フォーエバー21」 のような、ユニークでオリジナリティ溢れ、強力な低価格政策を進める店も日本にはまだ出現していない。

「強いしまむらとの競争」に備え、「やっておかねばならない前準備」   

(1)商品仕入担当者の計数管理力、計数把握力、判断力を強化するための教育を徹底的に行う。そして、数字が読める仕入担当者、数字で考えることが出来る仕入担当者に育て上げる。しっかりした商品経営ができる人材をつくっておかねばならない。これができていないと、「しまむらと戦う前から負けている」ことになる。また、仕入担当者の再選抜と入れ替えを大胆におこない、商品部の強化をはかる。「しまむら対策」で、最優先で取り組まねばならないのは「強い商品部づくり」である。

「しまむら」の商品仕入担当者は、すべて、「とびきり優れていて、凄腕バイヤーばかりだ」というわけではない。しまむらには、普通の能力のある人なら、それほど大きな困難も無く、仕入担当者としてやっていける、仕事をすることができる、そういうシステムが出来上がっているからだ。「しまむら」の仕入担当者(以下、バイヤーと略)は、比較的短い時間(3、4年と言われているが)で入れ替わることが多いが、そのような人事ローテーションを進めても、それで、営業数値が予測より著しく落ちたりすることは無いと言われている。そこが「しまむらの強さ」の一つでもあるが、同業他社にはそういう仕組みはない。

もちろん、仕組みが優れていれば、どんなバイヤーがやっても、良い営業実績(売上、粗利益利、商品回転など)が必ず上がるというものではない。しかし、商品部スタッフの中に、未熟で、経験も技術力もなく、さらに、勉強嫌いのバイヤーが少しいたとしても、その弱点は、「優れた仕組み」でかなりのところまでカバーすることができる。ところが、そういった「優れた仕組み」が構築されていない店では、バイヤー個々人の力量、経験、技術力、知恵、強靭な体力と意志に頼った商品経営を進めざるを得ない。ここが、多くのディリーファッションストアの「泣き所」である。「悩み」でもある。この弱点を少しでもカバーするには、現在、手持ちの人材、バイヤーを徹底的に教育し、その能力を上げていくしかない。

ところが、このことを、「本当にそうだ。そうしなければダメだ」と気付き、バイヤーの教育育成・強化に取り組んでいる店は案外、少ないものである。また、分かっていながら、何も手を打たず、「しまむらには絶対に勝てない」と諦め、ただ、手をこまねいている店も決して少なくない。まして、強力なバイヤーを育てることのできる能力、キャリア、実力のある商品部長を、たとえ、スカウトしてでも、リーダーとして持ってくることなど考えもしない。こんなことでは、いつまでたっても、「強い商品部」をつくりあげることなど出来ないのだが、こういう実情の店がまだまだ数多くあるのを見ると、その店の先行きが、人ごとながらとても心配になってしまう。

「強いしまむらとの競争」、戦いがさけられないという状況になった場合に、「なにもしない。ただ見ているだけ」というのでは、間違いなく「惨敗する」だけである。そうなっては、夢も、希望もない。というより、生きていけない。店は消え去るしかない。そんなことにならないよう、しまむら対策として、まず、最優先で「強い商品部づくり」、「戦える力を持ったバイヤーづくり」に取り組まねばならないことを、もう一度、強調しておきたい。

       次に 続く→→

 

   

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しまむら対策(その1:しまむらの強さを支えているもの)

ファッションセンターしまむらの「強さ」を支えているもの    

(1)彼らの標準店舗の売場面積は以前は300坪、現在は350坪~380坪である。彼らは、小商圏対応型店舗であるディリーファッションストアの必要売場面積が下限値で300坪であること、そして、時代の変化とともにそれが350坪~380坪になっていることを理論的にも経験的にもすでに分かっており、出店店舗規模もそれをきちんと守っている。その時々の条件(敷地面積とその形状、建物面積とその形状)によって、100坪の店をつくったり、また一方で、500坪の店もつくるということはしない。

チェーンストアづくりでは、「標準化」が最も大事なことの一つである。そのなかに「店舗規模の標準化」がある。店舗規模がバラバラであると、品揃え、店舗要員数、売場レイアウト、商品投入量(投入売価在庫高)、損益構造などもバラバラなものになる。衣料品の売場面積規模が、50坪もあるが、150坪もある、そして、500坪もあるというのではとても「標準化」はできない。商品管理も、売場管理も、店のオペーレーションも「一定の型」というものに集約化できず、複雑怪奇なものになりなおかつ、、極めて非効率である。商品生産性もなかなか上げにくい。新規出店店舗は当然のこと、既存店も、その売場面積規模を標準化すべきである。それぞれの力量にもよるが、少なくとも300坪、もっと力のあるところなら350坪~380坪は確保し、それを標準店規模としていかねばならない。

標準化    

店舗規模(売場面積)の標準化→以前は300坪。現在は350坪~380坪

店舗建物設備、陳列什器備品、店舗開発設備投資の標準化→1億1000万円~1億2000万円

売場構成、売場ゾーニング・レイアウトの標準化→部門別売場坪数、部門別売上高構成、売場レイアウト

出店立地及び商圏の標準化→商圏人口約7000世帯~約10000世帯

品揃えの標準化→ディリーファッションウエア、売価政策(展開価格帯)

売場の作業の標準化→作業マニュアル、作業指示書、売場計画書、陳列指示書、普通の能力のある人なら、すぐできるようになるまでの教育の標準化

店舗要員の標準化→店長(小売業未経験者を育てる)。店舗段階労働分配率22%~25%

(2)彼らは「安く売っても利益を出せる仕組みと構造」を作り上げている。ローコスト投資、ローコストオペレーション、ローコスト経営に徹している。ディリーファッションストアの低価格競争はまだまだ続くと思われるが、彼らはそれに対応できるコスト構造を持っている。これは「しまむらの最も強いところ」である。

彼らがつくりあげたコスト構造は、一朝一夕にできたものではない。したがって、しまむらのレベルまでに達するには、相当の時間がかかることであろう。当然、多くの時間、人、金、モノも必要とする。しまむらのコスト構造の低さは、同業他社と比べ「しまむらが圧倒的優位にある」が、その差は一向に縮まらない。むしろ、ますますその差が開いているように思われる。合理的なコストダウン、徹底して無駄を省いた経費削減の必要性は、多くの小売企業で金科玉条のものとして常々、叫ばれてはいるが、実情は「まだまだ道遠し」というところである。ディリーファッションストアで「しまむらと同レベルのコスト構造」を持っているところはまだ見当たらない。これでは、「しまむらと競争して勝つ」ことなどまず考えられない。「安く売っても利益の出せるコスト構造」づくりに、真剣に取り組まねばならない。

(3)彼らは、優れた機動力を持った「強力で強固な物流システム」を構築している。商品生産性アップ、粗利益率アップ、値下げ率低減に、この物流システムが果たしている役割は極めて大きい。例えば、商品を発注してから店頭に並べるまでのリードタイム(日数)の短縮化、そして、「売れない店から売れる店への商品店間移動」などを驚くべき速さで行う。

売れていない商品、売行き不振商品を、いかに早く発見し、それらをいかに早期処理することができるか、それのスピード如何で、商品生産性アップも、商品回転日数アップも、値下げロス低減も、粗利益率アップも大きく左右される。遅ければ遅くなるほど、最終的には、利益を大幅に低下させることになる。彼らはこのことを熟知しており、商品品揃え鮮度維持と値下げロス低減のために、早くから物流システム構築に取り組んできた。現在の「しまむらの物流システム」は国内業界一、また、世界のウォルマートにも負けないといわれるほどの高いレベルにある。そして、さらに、日々、改善強化され、進化している。物流システム構築には、ハード面、ソフト面も含め多大の設備投資費が必要になるが、その投資負担に耐えられないため、必要性は分かっていてもなかなか手が付けられないという小売企業は少なくない。しまむらと同業他社の企業力の差が、この物流システム構築面でもかなり大きくなっている。当分の間、その差が縮むことは無いと思われる。

(4)彼らの商品部は、一つの商品分類ごとに(例えば、婦人トップス)、チーフバイヤー1人、アシスタントバイヤー2~3人、コントローラー5~6人で構成されている。商品部は7部あるから、少なくとも約70人の構成である。それで、品揃えと商品管理を分担しながら商品経営をおこなっているが、この仕組みと運営に優れている。

004

別表は、「経験則から考えた、売上規模別商品部組織」である。バイヤー、アシスタントバイヤーの区分けはしていないが、売上規模別に見て、これぐらいのバイヤー数が必要ではないかと考えている。また、商品部長1人と、そして、必要と考えられる在庫コントローラー(複数人)は別人員としている。ディリーファッションストアの商品部は最少でも6人~8人のバイヤーを必要とすると考えねばならない。まだ売上規模が小さいから、2人でも3人でもいいのではないかと考えてはいけない。

(5)彼らは潤沢な広告宣伝費を持っている。売上対比では約1.8%から約2%前後だが、金額にすると巨大な額である。この潤沢な広告宣伝費を使って、TV宣伝、そして、毎週1回~2回のチラシ販促攻勢をおこなう。B3、B4サイズ、4色のセールチラシを毎週打ってくるのである。これは競争相手にとって大きな脅威となっている。

衣料品売上高規模がまだ小さい、年商30億円以下の店にとって、売上比2%の広告宣伝費を捻出するのは決して楽なことではない。売上比2%に設定したとしても、その金額はそれほど大きなものではない。また、かといって、無理して大きくすれば経費負担も厳しくなるし、なによりも、利益を圧迫する(売上比販促費率に比べ、税引き後利益率がはるかに低いという店も少なくない)。この販促経費面(とくに、チラシ販促費の捻出)においても、しまむらは同業他社と比べると「圧倒的優位」な立場にある。しまむらと競争している多くの店は、「やりたくてもできない」というのが実情であろう。月間チラシ回数が多ければ多いほどいいという気はさらさら無いが、目の前で、チラシをどんどん打たれると、そうは言っても、「意気消沈」するものである。その間に「しまむらに客を奪われてしまう」という大きな不安がある。これが、しまむらと競争している多くの店の厳しい現実である。

(6)彼らが構築した「経営情報システム、商品情報システム」は日本最高レベルのものである。また、システム構築に使った費用累計額は膨大な金額になる。同業他社が、しまむらと同じレベルにまでいくには、相当膨大な投資と時間が必要になることを考えると、とても短期間で追いつくことはできない、まず、無理であろうと思われる。彼らはこの高レベルの情報システムを存分に使いこなしており、活用レベルでも同業他社の追随を許さない。

  しまむら対策(その1)「しまむらの強さを支えているもの」 完

  

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