辛口一言:低価格競争時代における「セールチラシづくり」で忘れてはならないこと

低価格競争時代における「チラシ販促セールづくり」で忘れてはならないこと

世界的金融危機と経済混乱、景気低迷、忍びよる不況、消費低迷。流通小売業は、一段と厳しい低価格競争時代に突入。各小売企業は、なんとかして売上減を食い止めようと必死である。彼らは、集客と売上確保のために「あらゆる販促対策」を打ち出している。そのなかで、「チラシ販促セール」は最も重要なものの一つだが、不況、消費低迷下、厳しい低価格競争時代における「チラシ販促セールづくりで忘れてはならないこと」を、経験則もまじえて考えてみたい。そこに、「チラシ販促セールの成功法則」が見えるかもしれないからです。

経験則(1) チラシ販促セールを効果大とするための原理原則

前準備をしっかり(セール企画をじっくり練りあげる、商品手配に十分な時間を取る)

売場づくりをしっかり(売るための仕掛けづくり、陳列・演出)

売り手の「売る気」、「やる気」を盛り上げる仕掛けづくり

セールの後始末をきちんと(セール後の残品処理まで考えて)

セール後の結果数値の徹底分析と反省・次回セールの改善点考察を必ず行う

経験則(2) チラシ販促セールの目的及び、必ずチェックすべき事項

①入店客数が増えたか(チラシの目的は来店客数を増やし、入店客数を増やすこと)

②買上打率が上がったか(来店客100人当りの買上客数は95%以上か)

③買上客数が増えたか(平日より何人・何%増えたか、前のセールと比べ何人・何%)

④買上点数が増えたか(しまむらの平均買上点数は3.2点。これを超えたか)

⑤平均買上客単価が上がったか(3000円を超えたか)

⑥総売れ数(点数)が増えたか(平日比、土日比、前回のセール比を実数で)

⑦売上が増えたか(平日比、土日比、前回セール比、前年比)

経験則(3) チラシ販促セールには「お金=コスト」がかかっていることを絶対にわすれてはならない。コスト意識が弱いと「詰め」があまくなる。1回のセール販促セールにいくらのお金がかかっているかを全員に必ず毎回、伝えよ。これを徹底しないと「お金をドブに捨てている」ことになる。広告宣伝費率が税引き後純利益率よりも高い小売企業は決して少なくない。

経験則(4) チラシ販促セール後には、商品部門別チラシスペース配分に基づいた経費コスト負担配分を必ず計算し商品部門割り振ること。(このチラシでは、○○部門にはいくらの経費コストがかかっているかを、各チラシごとに計算し、知らしめる)

経験則(5) チラシ掲載商品品目とその売価設定、数量設定を、バイヤー任せにせず、徹底的に吟味する。これを「いい加減」にしておくと、必ず、効き目の無いチラシ販促セールになる。商品部長は、全てに目を通し、掲載品目、売価設定、投入数量、商品品質などについて厳しく事前チェックしておくこと(伝え聞くところでは、ユニクロや、ヤマダ電機では、経営トップが必ずチェックし、評価・判断・決定しているということである。その厳しさが求められる)

経験則(6) 商品仕入担当者から、「お値打ちのある商品が、買いたくなる低価格で」、チラシ掲載品目として提案・提出されると思うな。仕入れ努力を嫌う「怠け者」は決して少なくない。商品部長はこのことを忘れてはならない。

経験則(7) 競争店のチラシ販促セールを徹底的に調査・分析し、有効な対抗策を立てることをサボらないこと(競争店の月別、チラシ別の内容詳細分析。掲載品目、売価、投入数量、売場づくり、売り方、提供方法など)。これを継続しておこなうこと。

経験則(8) チラシ販促セールごとに、必ず、売上数値目標(商品分類別日々売上目標、日々売上目標数量など)を立てる。数値目標設定の無いチラシ販促セールは「経費の無駄遣い」に終わるケースが極めて多い。

経験則(9) チラシ販促セールでは、必ずと言っていいほど、「売れ残り品」が出る。この「セール残品の処理の仕方」を事前に考えておかねばならない。チラシ掲載商品の店別投入数量をよくよく考えて、セール売れ残り品を出来うる限り少なくする努力が必要。これを怠ると、セールごとに「損の山」(いずれ、値下げ処分しなければならない商品の山)を増やしていくことになる。これが「大損」をもたらす。

経験則(10) チラシ販促セールの乱発は「店への信頼感」、とくに、「その店の売価政策に対する信頼感」を著しく損なわせる。チラシ販促セールは、その回数が多ければよい、効き目があるというものではない。

経験則(11) 「売場全品2割引き、3割引きセール」は出来る限り止めよ。勢いづけのためにやるなら、「カテゴリー割引き」にとどめよ。(「売場全品2割引、または、全品3割引ききセール」をやれば売上は上がる。しかし、それに味をしめて、頻繁に行うようになると、お客は「その時しか買わない」ようになる。そして、店の売価政策など考えられなくなる。粗利益の喪失も大きい。こうなったら取り返しがつかない。くれぐれも注意したい)

経験則(12) 売れないチラシ販促セール、客を呼ばないチラシ販促セールが多いと、店・売場の人々の「売る気」、「やる気」を失わせる。これが繰り返されると、チラシ販促セールをやっても店・売場の人々も「力が入らず」、結果として売上など上がらなくなる。そんな状態になっている店が想像以上に多い。よくよく自戒すべき。

経験則(13) 量販衣料品店でチラシ販促セールを月6本~7本も打つところがあるが、じっくり練り上げたチラシ販促セールをしようとすれば、3本が限度。月間チラシセール回数が多くて、バイヤーが原稿提出に追いかけらているようでは「効き目のあるチラシ販促セール」はできない。「その場しのぎ型、なんとなく心配だから打っておこう型」のチラシ販促セールは止めるべき。

経験則(14) チラシの表現(セールタイトルコピー、デザイン、レイアウト、カラー配色など)を「印刷屋まかせ」にしないこと。印刷屋が各小売店の「商品(品揃え)と売場(売場づくり)と客(メインとするターゲット)」のことをよく分かっていると思うな。彼らの提案は受けても、印刷屋に「まる投げ」するのは絶対やってはいけない。「何をどうしたいのか、どう表現訴求したいのか」、これは小売店がしっかり考えねばならないことだ。それを忘れている小売店の販促担当者が思ったより沢山いる。販促担当者の数値責任を厳しく追及している小売店はほんのわずかしかない。商品部長はこのことを忘れてはならない。

経験則(15) 「ただ、安い!、安い!」と訴えるだけのチラシ販促セールに、今のお客はそう簡単にひっかからない。店側よりお客の方が賢いし、厳しい選択眼を持っている。「お値打ち品」がそんなに沢山あるものでないこともよく知っている。こういうお客を相手にしていることを忘れてはならない。「安さ」をうたうなら、そういう「賢いお客」が、なるほどと納得できる説明をつけたチラシ販促セールを打たなければならない。

経験則(16) ディリーファッションストアでは、①ファッションセンターしまむら、②パシオス、③ファッション市場サンキ、④サミットコルモ・コルモピア、⑤あかのれん(名古屋)、⑥ピーエフ(香川・徳島)、そして、次の各社のチラシ、⑦ヨークベニマル、⑧ベイシア、⑨イズミヤスーパーセンターの衣料部門、すくなくとも、これくらいは毎週・毎月・毎年、チェックしておかねばならない。インターネット上でかなりのデータが入手できる時代だ。

毎週、毎週、夥しい数のチラシが撒かれています。それらのチラシを見て、はたして、これらのチラシは、本当に効き目があるのだろうかと思いまして、いままであれこれ見聞きし、自分なりに経験したことを、「チラシ販促セールづくりの経験則」としてまとめてみました。多少なりともお役に立てれば幸いです。

低価格時代における「チラシ販促セールづくり」で忘れてはならないこと  完

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私的経験則:「仕入センスが良い」とはどういうことか。

仕入担当者の「仕入センスが良い」とはどういうことか。

「仕入センスが良い」とは、その人の着ているもの、持ち物、趣味嗜好のセンスがよい、ということだけではない。それももちろん必要だが、仕入担当者として求められる「仕入センス」とは、「自店の商品戦略、自店が対象としているメインターゲット顧客にピタッと合った、その人たちが喜んで買ってくれる商品を仕入れてくる目=仕入選択眼が確かなこと、その商品チョイスと品揃えが的確であること」、これを「仕入センスが良い」というのである。

「自分が好きだから仕入れてきた」とか、「売れるとは思ったが、その商品を私は嫌いだから仕入れてこなかった」というのではダメである。仕入担当者としては失格である。量販衣料品仕入担当者の「仕入センスの良さ」を、言葉で言い表せば、次のように言うことができるかもしれない。

「その仕入担当者の担当部門、担当商品の商品生産性数値実績が、①売場坪当り年間売上高200万円以上、②粗利益率32%以上、③商品回転日数25日以内、これを1年間以上、維持し続けている」、これができている仕入担当者を「仕入センスが良い」と言う。(注:これは、小型量販衣料品店、小商圏対応型量販衣料品店の仕入担当者に限って言えること。衣料専門店チェーンのバイヤーを除く)

■「仕入センスを良くする」ために、「当たり前のこと」としてやらねばならないこと。

仕入担当者として「仕入センスを良くする(磨く)」には、

(1)売場を常にチェックすること。売場に足を運んで、常に「現場からの発想を持った仕入」をおこなうこと。

(2)売場担当者の意見、お客の意見、評判をよく聞くこと。それら情報を、常に、整理分析しておくこと。

(3)競争相手の店の品揃えを常にチェックすること。調査分析しておくこと。

(4)商品の日々の売行き状況、在庫状況等を必ず「数値」で把握、分析しておくこと。

(5)出来うる限り、多くの店、仕入先、メーカーを歩き回ること、見て回ること。

(6)仕入センスの優れた人、売れる品揃えを構築している人、それらの人の教え、意見をよく聞くこと。また、そういう人を探し訪ねて、仕入と品揃えの実践経験談を聞いて回ること。

(7)メーカー・問屋にいる「優れた商品企画担当者」の考え、教え、意見、話をよく聞くこと。また、高い営業実績を上げ続けている実務・実力派営業担当者の話もよく聞いて回ること。

ここに上げた(1)~(7)のことは、いずれも、仕入担当者としてやらねばならない「当たり前のこと」であり、新しいことはなにもない。要は、それを、仕入担当者として継続できるかどうかである。しかし、これらのことを「当たり前のこと」としてやり続けることができない仕入担当者が思ったより多い。「私のセンスはいいのだが、お客がついてこられない」などと嘯く人もいたりするが、仕入担当者は、「常に謙虚」、「常に学ぶ心」、これを忘れてはならない。なんといっても、その店が「売れるか、売れないか」の多くの部分は、仕入担当者の品揃え如何で決まるからである。私的経験則では、「店を生かすも、殺すも仕入担当者の腕次第」と言っているが、ともかく、常に勉強、常に研究の心で、自己育成、自己練磨を怠らず、「仕入センスが良い」と言われる仕入担当者になることである。

   完

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必勝仕入学:「バイヤーへの提言100」

必勝仕入学ー「バイヤーへの提言100」  

   仕入れの失敗が少なくなれば商品生産性が上がる。

   売上が上がる。値下げロスが減る。回転が上がる。

   粗利益率が上がり、粗利益額も増える。利益が上がる。

(1)在庫過剰は諸悪の根源。在庫過剰は「悪」である。

(2)在庫コントロールが出来ない人は「バイヤー失格」

(3)「その場の思いつき仕入れ」はやめよ。

(4)商品管理日報には毎日、必ず目を通せ。

(5)先々を、よく考え、予測してから仕入れよ。

(6)「予測精度」をより確かなものにするために数値デーを徹底的に分析せよ。

(7)在庫の「多い、少ない」を前年と比較しても意味は無い。

(8)「値下げ」の原因は、そのほとんどが仕入過剰と在庫過剰によるもの。

(9)「在庫が少ないから売れない」という言い訳をするな。

(10)商品回転日数重視の商品管理、商品経営に徹せよ。

(11)商品品揃え鮮度を厳しくチェックせよ。

(12)実売場坪当り平均売価在庫高12万円~14万円。

(13)月初売価在庫高は「当月予測売上高の1.3倍以内」が基本原則。

(14)「売上があって在庫が決まる」、在庫で売上が決まるのではない。

(15)「今日の仕入れでは、何をいくらで何枚仕入れるか」を決めておけ。

(16)仕入先を回って、「仕入れない、買わない」のも仕入れ。

(17)商品経営の資金繰りを考えられないバイヤーを排除せよ。

(18)仕入れとは「情報を仕入れること。情報を伝えること」である。

(19)常に、「今」の事実をよく見て仕入れよ。過去情報に縛られるな。

(20)仕入れには常に危険(リスク)がつきまとうことを忘れるな。

(21)数量管理を徹底せよ。金額(ダラー)管理では見えないものが見えてくる。

(22)「最後にもう一勝負」と意気込んだ仕入れが大きな失敗につながる。

(23)季節の立ち上がり期と、季節の終わり(端境期)の仕入れは用心深く。

(24)「死に筋商品」の判定基準を厳しく。具体的な数値基準をつくれ。

(25)仕入れに行く前に、必ず、自店と競合店の品揃えを十分調査比較せよ。

(26)出来る限り多くの店を見て歩け。比較判断力を育てよ。

(27)仕入れの失敗を「言い訳」で逃げるな。素直に反省せよ。

(28)「売れなかった理由」を店と販売現場の人のせいにするな。

(29)チラシ販促セールに掲載する商品は十分吟味せよ。安易に決めるな。

(30)優秀な実績を上げているバイヤーから学べ。教えを乞え。

(31)品揃えに疑問と不安があったら、即、実地棚卸しせよ。

(32)計数把握力を強化せよ。「数字が読めないバイヤーは、即刻、身を退け。

(33)売価政策をきちんと考えよ。それに基づいた仕入れをせよ。

(34)日々の商品動向に関する細かな数値データを読み続けられる忍耐力と根気をもて。

(35)独善的仕入を避けよ。「売れそうもないな。売りにくいな」と思った商品は仕入れるな

(36)出来るだけ販売現場に立て。現場第一主義の仕入れをせよ。

(37)仕入先のトップの話をよく聞け。商品企画・仕入担当者をつかまえよ。

(38)同業他社のバイヤーとの情報ネットワークを築け。

(39)繊研新聞、日経流通新聞(日経MJ)には必ず目を通せ。

(40)自信が揺らいだら、できるだけ多くの販売現場の人の話を聞け。客に聞け。

(41)バイヤーは何千万、何億円の金の運用を仕入れという形で任されているのだ。

(42)仕入れという仕事を軽く考えるな。「利は元にあり」は仕入れの優劣で決まる。

(43)バイヤーは「泣き言」を言うな。全身全霊を打ち込め。

(44)バイヤーという仕事は小売業で最も面白い仕事、花形職種である。

(45)超優良企業の商品経営データ管理システムとその活用を徹底的に研究せよ。

(46)配送センター、店舗の倉庫の在庫を常にチェックせよ。

(47)仕入れは「買えば終わり」ではない。仕入れた商品が売り終わるまで手を抜くな。

(48)仕入れにでたら、仕入先を一日に少なくとも5~8社は歩け。

(49)「あのバイヤーの情報収集力と分析力は凄い」と言われるバイヤーになれ。

(50)店を生かすも、殺すも、バイヤーの腕次第。ダメ・バイヤーが店を潰す。

(51)「週単位」の商品管理、週単位の仕入れを。週間MDを基本とせよ。

(52)仕入れた個々の商品の「商品寿命」はバイヤーが考えているよりはるかに短い。

(53)商品の販売期間と販売終了(切り上げ)時期をよく考えて仕入れよ。

(54)仕入時には「この商品は今、いくらの売価で、どのくらいの数量が売れるか」考えよ。

(55)問屋の出し値(小売側の仕入原価)を聞く前に、自分で「いくらの売価なら売れるか」を」考えよ。

(56)「何が売れるか。実際に売場で売ってみないと分からない時代」だ。先行発注は慎重に。

(57)展示会で6ヵ月も先の季節の商品を先行発注する場合は用心の上にも用心して。

(58)その商品をどう売るか(売価、場所、陳列演出、什器台数など)を考えて仕入れよ。

(59)品種・品目別・売価ライン別週間売れ数、週末在庫数量を常に把握せよ。

(60)品揃えアイテム数を増やすために商品1型当りの仕入数量をできる限り少なくせよ。

(61)売行き不振品の値下げ処分は「早め、早目に」。いつまでもダラダラ引き延ばすな。

(62)1品平均売価単価の変化を日々データ分析し常にチェックせよ。

(63)「買上客1人当り平均買上点数」を増やすことを考えよ。

(64)「委託商品」はできる限り排除せよ。仕入れと商品管理があまくなる。

(65)自分で着たこともない、使ったこともない商品を仕入れる時は人の意見をよく聞け。

(66)自社の配送センターの在庫、店舗倉庫の在庫が奥にあることを忘れるな。

(67)商品ごとに、①最大陳列量、②最低陳列量、③発注点と発注単位をよく考えよ。

(68)小分類レベル(例えば、婦人長袖Tシャツ)の売数、在庫数データを日々管理せよ。

(69)「月初大量在庫、それを売り減らし型」のやり方は厳禁。このやり方は、在庫過剰、低速回転、大きな値下げを引き起こし、商品生産性を著しく悪化させる。

(70)チラシ掲載商品の「セール後の売れ残り品」が商品回転の足を引っ張る。

(71)バイヤーの業績評価は、まず第一が「商品回転日数」、次が「粗利益率・額」

(72)バイヤーは商品チョイスの目(選択眼)を磨け。これが悪いと失敗の連続になる。

(73)月間仕入回数、仕入頻度は少なくとも4回以上に。一回当りの仕入額は少なく。

(74)1店舗当りの商品投入量をよく考えて設定せよ。原則は1型当り6枚とせよ。

(75)現金問屋を安易に使うな。よほどの目利き、腕利きバイヤーでないと使いこなせぬ。

(76)特価品として「セット販売商品」を仕入れるときは、その量が売切れるかよく考えよ。

(77)チラシセールで「全品○○割引」というやり方はできるだけ避けよ。売価が維持できなくなる。お客の売価政策に対する信頼感が著しく喪失する。

(78)仕入業務終了後に必ず「何をいくらで何枚仕入れたか、納期はいつか」を整理記録せよ。

(79)「仕入れるのは簡単。仕入れた商品を損せず売り切るのが難しい」

(80)季節の天候変化、としに、気温の変化に気を配った仕入れをせよ。

(81)季節分類は年間で少なくとも12分類。春、夏、秋、冬、だけではない。

(82)春物は難しい。秋物は寿命が短い。冬で失敗すればその1年間は無駄働き。

(83)問屋・メーカーのランニングストック在庫切れからくる「品切れ、欠品」に注意せよ。

(84)いわゆる、長期間販売を見込んだ「定番商品」はもう極めて少ないと考えよ。

(85)商品サイクルが、導入期、成長期、成熟期、衰退期の順に進むと考えるな。

(86)「多品種多アイテム1型少量品揃え」と、その仕入れを支えるものは「日々のこまめな商品管理」

(87)季節の売れ残り品を持ち越すな。損が出てもその季節内で処理せよ。持ち越し在庫にするな。

(88)常に新規仕入先開発を心がけよ。ヒット商品、売れ筋品を出し続ける問屋・メーカーはない。

(89)バイヤー40歳定年説。頭が柔軟で行動力・体力があっても45歳まで。

(90)PB商品の開発は、過去の品種、品目別単品データを十二分に分析して少しずつ。

(91)自店の販売力が無い、販売数量が少ないから値入率交渉ができないと嘆くな。されよりも「売り切ること」の方が大事。

(92)他のバイヤーの失敗をよく研究分析せよ。必ず得るものがある。

(93)好奇心、興味、新しいものに対する取り組みがバイヤーには必要だが、ただそれだけではダメ。数字付きで考えよ。

(94)「自分を売れるバイヤーになれ」。同業他社からスカウトされる凄腕バイヤーになれ。

(95)情報精度の高い人と親しくなれ。使える価値ある情報はそこにしかない。

(96)なにをどうしたいのか、何を知りたいのかを常に考えておけ。そうでないとどんな情報も生かせない。役立たない。

(97)常に情報収集。常に日々データ分析。常に現場歩き。常に同業他社の店歩き。これがバイヤーだ。

(98)売場坪当たり年間売上高120万円、年間商品回転率10回、粗利益率30%

(99)マクロな分析も必要だが、業績を上げるには、ミクロの出来事をよく分析し、その問題点を改善、強化することの方が大事。「細事に神、宿る」

(100)物知り顔をするな。訳知り顔もするな。常に謙虚に。その方がよい情報が集まる。

    完

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私的経験則:チラシ掲載商品の残品率は極めて高い

チラシ掲載商品のセール期間内での完売率は極めて低い。  

チラシ販促セールの回数を増やせば増やすほど値下げロスも増大する。これは、今の、衣料品のチラシ販促セールが持つ弱点と言っていい部分である。チラシ掲載商品(目玉品、特価サービス品など)が、そのセール期間内に全て全品目売り切れてしまうということは、ほとんど無い(皆無とまでは言わないが・・・)と言ってよい。必ずといっていいくらい「売れ残り品」がでる。そして、その「売り残り品」が、動かない「下積み在庫」となって商品回転の足を引っ張る。最終的には、その処理のため、「さらなる値下げ」をせざるを得なくなる。結果、値下高・率増大、粗利益率・高の低下をもたらす。

残念ながら、ほとんどのチラシ販促セールがこのような経過、すなわち、「売れ残り品の山」をあちこちにつくるという結果をもたらす。集客と売上アップの手段として、チラシ販促セールが有効な手段のひとつであることを否定するものではないが、はたして、その結果は「価値あるもの」であったかどうか、客観的に、厳しく、数値で評価しておかねばならない。チラシ掲載商品のセール期間内消化率、残品率を調べて見れば、その高さに驚くことと思う。(実際、調べて見ると、チラシ掲載商品のセール期間内残品率が50%を超えるケースがかなり多い)

セール期間内のチラシ掲載商品残品率=(投入在庫数量-販売数量)÷投入数量×100

在庫鮮度、品揃え鮮度を著しく劣化させるものは「売れ残り品」である。売れ残り品が売場に長い期間、未処理のまま放置されているケースは決して少なくない。「もうすこし、今の売価のままで頑張って見よう。値下げするのはもう少しあとにしょう」と、もたもたしているうちに「最後の見切り時、処分のチャンス」を逃してしまう。こういうケースが多いのだ。当たり前のことだが、「売れ残り品には損しかない」のである。チラシ掲載商品の売れ残り品がどのくらいあるのか、一つ一つのチラシ販促セールについて、常に厳しくチェックし、それらの早期処理をしていかなければ、商品経営が危うくなることを忘れてはならない。

チラシ販促企画担当者は、チラシ掲載商品の売れ残り品がもたらす「大きな値下ロス高」を知っているか、また、掲載商品の残品率を常にチェックしているか?   

「チラシ掲載品の原稿を仕入担当者から集めるだけ」の販促担当者が結構、沢山いるものである。チラシ掲載品目原稿を印刷屋に渡して、それで仕事は終わり、とするのでは販促担当者としての責任を果たしたことにはならないのだ。商品部長、販売部長は、この点について、販促担当者を厳しく追及すべきである。販促企画担当者を、「単なる、原稿運び屋」にしてしまってはいけない。

販促企画担当者は、チラシ販促セールごとに、その掲載商品ひとつひとつについて、チラシ掲載商品の投入数量、セール期間内の消化率予測、売れ残り品の処分方法、いつやるかの時期、すくなくともこの3点を、仕入担当者に聞いて、それを記録しておくべきである。そして、セール終了後に、①~③を調査、分析し、数表にして、その実績結果を仕入担当者に伝えるべきである。これを継続しなければならない。チラシ掲載商品の残品率の高さ、それがもたらす「大きな値下げロス」、これらの責任を仕入担当者だけに負わせることで終わりとするのでは片手落ちというものである。販促企画担当者にも大きな責任がある。この責任をまったく感じていない販促企画担当者は排除すべきである。多額のお金がかかっているチラシを、無駄にしないためにも、販促企画担当者はこのことを肝に銘じておくべきだ。

売上低迷が続くと、必ず、「チラシ販促セール」が増える。チラシには2割引、3割引、5割引などの文字、コピーが氾濫する。なんとか売上を上げたいという気持ちはわからないではないが、チラシ販促セールの乱発がもたらす大きな弊害もあることを販促担当者は知っておくべきである。そのチラシ販促セールで、(a)来店客数と買上客数が何人増えたのか、(b)買上点数、買上客単価がいくら増えたのか、(c)粗利益額がいくら増加したのかそれは、チラシにかかったお金・コストを上回っているか、販促担当者は、少なくともこれぐらいのことは調べておかねばならない。「とにかく、チラシセールを打っただけ」という結果に終わらせることのないようくれぐれも注意すべきである。

チラシ販促にかかる年間経費コストは、馬鹿に出来ない大きな金額である。それは、「税引き後純利益率・高」をしばしば上回る。売上比2%以上、3%をも超えるという店さえ決して少なくない。見ようによっては「お金を捨てている」ようなものだ。販促担当者はこのことを知っているのだろうか。消費低迷ということもあって、「チラシ販促セール」の回数が増加しているが、それを見るにつけ、費用対効果、「かかったコスト」対「手にした利益」、それをきちんと把握していない、そして、そこに何の疑問も感じてない、まったく気にもしていない販促担当者の多いことに驚いている。

 「チラシ掲載商品の残品率は極めて高い」 完

  

  

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私的経験則:今年は「大波乱の年」。激化する低価格競争に耐えられるコスト構造づくりと勝ちにいく戦闘意欲を。

しまむら、08年5月、既存店売上高「大幅前年割れ」・昨対91%   

Dj_003_2(表-1)は、過去3年間、2006年3月から2008年5月における、ファッションセンターしまむら・既存店・月別売上高前年比(伸率)をまとめたものである。2007年度も売上「前年割れ」の月が多いが、2008年は早くも第一四半期(3、4、5月)が「前年割れ」である。くわえて、5月は昨対91%と、この3年間では最悪の数字となっている。「しまむら大苦戦」というところである。営業実績に敏感に反応する株価も再び下降局面に向かっているようだ。しまむらの反転攻勢を大いに期待したい。

競争激化は必至。売価政策で低価格政策を維持できず放棄すれば敗者に。

原油の高騰、ガソリン価格も高騰、小麦、大豆などの食品原材料も高騰、そして、諸々の物価も上昇。一方、所得は伸びず実質目減り、消費者の財布のヒモはますます堅く、購買力は大幅ダウン。このような厳しい状況下にあって、月別売上高・前年比100%以上を継続的に確保・維持することは極めて難しい。実力ナンバーワンと評価も信頼も高い「ファッションセンターしまむら」と言えども、月別売上高「前年割れ」が続き、大苦戦している。

おそらく、しまむらは今後、「売上前年割れ」をなんとしても防ぐために、強力な売上確保策を打ち出し、「なりふりかまわず」(と言うとちょっと言い過ぎだが・・・)必死の攻勢をかけてくることが考えられる。第一四半期の結果を見ると、今年(2008年3月~2009年2月)は「大波乱の年」、生き残りをかけた戦いの年、大激戦の年になる気配が見える。

おそらく、ディリーファッションストア業界だけにとどまらず、量販衣料業界全体をも巻き込む競争大激戦時代に突入する。このような厳しい競争盤面で生き残れるのは、「低価格政策」、「低価格訴求」を強力に推し進めることができる力を持った店である。こんな厳しい競争には耐えられない、なんとか、逃げたいということで、売価アップ、グレードアップ、品揃えを差別化、これでなんとか逃げ切ろうと考える店も出てくるだろうが、それは「敗者への道」である。

「買上客数が少なくなっても、商品売価単価を上げれば売上は落ちない。だから、売価を上げる。低価格政策はやめる」、こう考えて、低価格政策を放棄してしまっては「生き残り競争に勝ち残れない」ということである。厳しい低価格競争にも耐えられるコスト構造、ローコスト経営をつくりあげねばならい。そして、同時に、厳しさに負けない強固な戦闘意欲を持ち続けることも絶対に必要である。

しまむらの商店経営は、売場坪当り年間損益分岐点売上高80万円、粗利益率30%、売上比販管費率21%~22%。これと戦っても負けないコスト構造、経営構造をなんとしてもつくらねばならない。

多くのディリーファッションストア、食品スーパー・直営衣料部門、GMS衣料部門、その他の量販総合衣料品店、これらの店の経営トップ、商品部長と商品部スタッフ、販売部長、店長は、このことをよく分かっているのだろうか。また、厳しい競争に打ち勝ち、生き残るための、真剣な取り組み、改善改革をやっているのだろうか。そこがちょっと気になるところである。「要らぬ心配だ」と言われれば、それまでのことであるが、本当のところはどうなのか知りたいものである。いずれにしても、1、2年後には、「生き残り組の勝者」と「敗者」の姿がはっきりと見えてくるのではないかと思われる。

ファッションセンターしまむらの08年度・第一四半期の既存店・月別売上高前年比伸び率実績を見て、「今年は大波乱の年」、「競争大激戦の年」、「勝者と敗者がはっきり見えてくる年」、それを強く感じました。はたしてどうなるか、結果は今年が終わってみなければ分かりませんが、ともかく、厳しい競争・戦いの年になることだけは間違いないと思っています。厳しい情勢下にあっても、積極果敢な商品経営、商店経営で突き進むことが、結果として、生き残りの道につながると考えているのですが・・・・・・。  完

 

 

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私的経験則:在庫コントロール力=商品経営力

在庫コントロールができなければ商品経営は崩壊する

ある大手食品スーパーチェーンの経営トップから、「衣料品だから食品より商品回転率、回転日数が遅いのは当然だというがどうにも納得できない。衣料品でも、食料品でも、モノを売っていることに変わりはないではないか」と厳しく問い詰められたことがある。さらに、その経営トップは、「衣料品の商品回転日数が遅いためにどれくらい資金繰りに負担がかかっているか分かっているのか、お前は資金繰りを考えたことがあるのか」と衣料品・商品部長を厳しく叱責していた。

この経営トップが言う通りなのだが、衣料品・商品部長の方はというと、「またいつものお小言が始まった。とりあえず、ここは頭を下げて謝っておこう」といった感じで、それほど深刻そうでもなく、軽く受け流している。こんな衣料品・商品部長は、即刻、クビにすべきだが、実際に資金繰りをやったことがない商品部長、お金を銀行から何度も頭を下げて、やっと借りてきたという経験をしていない商品部長には、この経営トップから言われた肝心のところを理解できない。衣料品の商品回転日数が速いか、遅いかで資金繰りがものすごく違ってくることを分かっていないからである。こういう衣料品・商品部長が、意外に多いのだ。こんな商品部長は、在庫コントロールもいい加減にしているから、その商品経営も短期間で崩壊してしまうことになる。衣料部門は閉鎖せざるを得なくなる。これは「人災」というか、悲劇というものである。

これぐらいはなんとしても確保したい商品回転日数  

衣料品の商品回転日数は、とにかく速いにこしたことはない。しかし、かといって、食料品、なかでも、生鮮3品などと同じレベルの商品回転日数にしなさいと言われても、残念ながらそれはとても無理な相談というものである。「衣料品はそういうものだ」などと言い訳をするつもりはさらさらないが、ディリーファッションストアでは、最低でも、これくらいは確保していないとダメだという商品分類別・商品回転日数の目安とする数値はある。経験的目安としている数値を以下に載せておくが、ここであげた数値以下の商品回転日数であれば、商品経営はまだまだ弱体と言ってよく、改善すべき点が多々あると考えた方がよい。

①婦人トップス→30日~35日、②婦人ボトムス→35日~45日、③婦人服→50日~55日、④紳士トップス→35日~40日、⑤紳士ボトムス→45日~50日、⑥子供洋品→40日~45日、⑦ベビー用品→40日~45日、⑧肌着→25日~30日、⑨靴下→25日~30日、⑩ナイティ→30日~40日、⑪ランファン→45日~55日、⑫服飾雑貨→50日~55日、⑬寝装具→50日~55日、⑭インテリア→55日~60日

商品部長は「徹底した在庫コントロール」ができなければならない。  

「徹底した在庫コントロール」、これは最もつらい仕事である。最もきらわれるイヤな仕事でもある。とりわけ、商品仕入担当者からは嫌われる。時には「恨まれる」ことさえある。仕入担当者に、「自分で在庫コントロールをしなさい」と言っても、そう簡単にできるものでもない。たとえ、在庫過剰や、仕入過剰で、商品回転日数がとても悪化していると分かっていても、自らすすんで、「失敗しました。問題解決に真剣に取り組みます」と言ってくる仕入担当者なんてそういるものではない。自分の失敗を、白日の下に晒して、治療のメスを入れることができる、そういうタフで、意志の強固な仕入担当者はほんの少数しかいない。

商品のことは全て仕入担当者に任せる、好きにやりなさいというやり方では、いつまでたっても在庫コントロール力はつかない。だから、商品部長がこれをやらねばならないのである。たとえ、仕入担当者から「鬼」と言われようと、「憎まれ」ようと、徹底した在庫コントロールをすすめなければならない。「人間がデキた部長さん。ものわかりのいい部長さん」ではダメなのである。客観的で、冷静で、そして、「憎まれ役」にも耐えられるタフな商品部長でなければならない。

ファッションセンターしまむらの在庫コントロール  

ファッションセンターしまむらの商品部組織をみると、各課は、というか、商品カテゴリー分類ごとに、バイヤー、アシスタントバイヤー、在庫コントローラー、この3者の組み合わせで構成されている。そして、在庫コントローラーが中心になって、担当商品カテゴリー別に全店舗の在庫コントロールを強力におこなっている。在庫コントローラーが、日々、商品別、店別在庫の動き、商品回転日数を細かくチェックし、問題点を摘出し、改善方向を考えて、バイヤーと話し合い、一緒になって在庫コントロールをやっているのである。だからこそ、商品回転日数も速いし、値下げ率も低い。資金繰りにも苦労していないのである。

こういう商品部組織をつくれればそれにこしたことはないが、人的コストは決して低くない。したがって、しまむら的商品部組織をつくるにも、その人材がいない、人的コスト負担にも余裕が無いという店の場合は(そういう店が多いのだが)、やはり、商品部長が、少しシンドくても、在庫コントローラー役を担わなければならない。できるなら、右腕となる「タフな在庫コントローラー」を少なくとも一人は置くべきである。在庫コントロールができない店の商品経営は必ず短期間で崩壊するからだ。 (完)

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私的経験則:食品スーパーチェーンの衣料部門が縮小・閉鎖・撤退に追い込まれている理由

食品スーパーマーケットチェーンの直営衣料部門の撤退・閉鎖が増加している  

食品スーパーチェーンの衣料部門が大苦戦しているという話をよく聞く。また、なかなかモノにならないとも言われている。そして、多くの食品スーパーチェーンの経営トップから「できるだけはやく衣料部門を閉鎖、撤退したい。切り捨てたい。しかし、衣料部門が抜けた跡の売場をそう簡単に他のもので埋められない。テナントを誘致して埋めると言ってもそれが容易にできるような時代ではない。ともかく、衣料部門をどうやって閉めるか困っている」という苦しい声も聞こえてくる。

何故、こんな状況に陥ることになったのか。それにはそれなりの理由があるはずである。しかし、どうして衣料部門がうまくいかなかったのか、何故苦戦しているのかという本当の原因を追究しないまま、とにかく、閉鎖・撤退だと言うのも納得いかない部分がある。(「いつまでも衣料部門の赤字を放置できない」という急ぐ気持ちも分からないではないが・・・・・)

食品スーパーマーケットチェーンの直営衣料部門がうまくいかないいくつかの理由  

最大の理由は、経営トップの衣料部門に対する熱意不足、研究不足、勉強不足があったこと。経営トップが、衣料品にはどんな服種、品種があるかもよく知らず、商品名も分からなかったこと。基本的には、衣料品に対する興味も関心も薄かったこと。

なぜ衣料品をやるのか、やったのか、その目的が明確でないこと。戦略的位置づけもあいまいなまま衣料品をやってしまったこと。

衣料品の粗利益率は高いものだと錯覚したこと。衣料品は、いい加減にやれば極めて大きなリスクが高いのを知らなかったこと。食品をやるよりも衣料品のほうが楽だとおもっていたこと。

衣料品も食品と同じくらい商品鮮度、品揃え鮮度が重要なことが分かっていなかったこと。食品・生鮮3品などのように衣料品の鮮度劣化は目で見てはっきり分かるものではないことを知らなかったこと。

自店がまわせる実力以上の売場面積の店舗をつくってしまったこと。そのため、衣料品をその穴埋めにつかったこと。

衣料品の商品部組織を、しっかり構築せず、未整備のまま、「そんなに売れないだろうから商品部の要員はこんなものか」という程度の軽い気持ちでつくり、衣料品をはじめてしまったこと。優秀な人材の配置は食品最優先で(これは当たり前だが)、衣料部門への配置は最後の最後、後回しにしたこと。スタート当初から衣料品商品部は弱体であったこと。それがいまも続いていること。

衣料品は最少でも売場面積150坪以下ではいずれ行き詰ることを分からなかったこと。そのため、50坪でも、70坪でもとにかく衣料売場をつくってしまったこと。また、逆に、400坪、500坪という実力不相応の大きな売場をつくってしまったこと。

食品スーパーチェーンの直営衣料部門がなかなかモノにならない、うまくいかない、そして、大苦戦している、その理由はこんなところではないかと思っている。

「衣料品のことは知らない、経験も無い。しかし、食品に比べれば、人手も、金も、モノにする時間もかからないように見える。ちょっとうちでもやってみようか」、また、「食品よりも粗利益率は高いし、衣料品屋を見ているとそれほど苦労しているようにも見えない。あれならうちでもできるよ」などというあまい考え、軽い気持ちで衣料品をはじめた食品スーパーチェーンの経営トップが思ったより沢山いたということであろう。これでは、失敗するのが当たり前である。大苦戦するのが当然である。「そうなるべくしてそうなった」と言えば、「それはちょっと言い過ぎではないか」という人もいようが、本当のところは①~⑦のことをあまり考えていなかったのではないかということである。酷な言い方をすれば、「やはり経営トップの責任だ」ということになるのではないだろうか・・・・・・。

「食品スーパーチェーンの衣料部門が、縮小・閉鎖・撤退に追い込まれている理由」 完

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私的経験則:交差比率240以下の商品経営では生き残れない

交差比率を評価基準にして商品経営を見れば、その店の先行きが見える  

交差(交叉)比率は、(粗利益率×年間商品在庫回転率)の計算式で求められる。(小売業界人でこの指標の重要性を知らない人はいないと思うが、念のため)

衣料品店の商品経営においては、交差比率240が達成すべき第一段階の数字と言われているのだが、調べて見ると240以上の衣料品店は案外少ない。ちなみに、ディリーファッションストア界のナンバーワン企業、「ファッションセンターしまむら」の交差比率は、在庫回転率10回×粗利益率30%=300(2008年2月期)と高い。一方、食品スーパー・ヨークベニマルの直営衣料部門の交差比率は、在庫回転率6回×粗利益率36%=216(2006年2月期)で、しまむらよりはるかに低い。ファッションセンターしまむらは「儲かっており」、ヨークベニマルの直営衣料は赤字(または、赤字すれすれ)と言われている。

交差比率で衣料品店の商品経営力を評価・判断してきたが、経験的には、大雑把な言い方だが、以下のことが分かっている。

交差比率240にする(在庫回転率)と(粗利益率)の組み合わせは相当数考えられるが、詰めていくとそれほど多くはない。粗利益率よりも在庫回転率を重視して考えていくが、ほぼ、4つの組み合わせに絞り込まれる。

 (A) 在庫回転率6回×粗利益率40%=交差比率240

 (B) 在庫回転率7回×粗利益率34.2%≒交差比率240

 (C) 在庫回転率8回×粗利益率30%=交差比率240

 (D) 在庫回転率9回×粗利益率26.6%≒交差比率

このうち、(A)は在庫回転率が6回と低すぎ、かつ、粗利益率40%は高すぎるという問題点がある。次に、(D)は、在庫回転率9回の達成が難しく、かつ、粗利益率26.6%が低すぎるという欠点がある。残るは、(B)と(C)だが、量販衣料品業界ではかなり昔から、(C)の組み合わせ、在庫回転率8回×粗利益率30%=交差比率240、このかたちが最も良い組み合わせであると言われてきた。いろいろの考え方ができるが、ディリーファッションストアの商品経営と商店経営で重要な3点、①低価格政策、②高速回転の商品経営、③ローコスト経営、これらを考えると、やはり、(C)が最も良いかたちであろう。

交差比率の数値をもとにしたいくつかの商品経営力の評価  

年間商品回転率6回、粗利益率25%以下、交差比率150以下の商品経営

交差比率150以下の商品経営では店が潰れる。この交差比率150以下の商品経営力なら、衣料品はやめたほうがいい。無理して続けても、赤字と資金繰りに苦労するだけだろう。しかし、それでもやめない、もうすこし続けてみるというのなら、次のことを考えたほうがよい。まず、衣料品・商品部長を更迭、もっと腕のいい人材と入れ替え。仕入担当者も総入れ替え。これができないなら、出来うる限り早く、衣料品をやめたほうがよい。

年間商品回転率7回、粗利益率28%~29%、交差比率196~203の商品経営  

衣料品店の商店経営、商品経営面から見て、まだまだ問題点あり。衣料部門という枠で考えても、「お荷物」の部門。「ひとり立ちできる」、すなわち、自分の力で食っていける力は弱く、経営は不安定 。商品経営②ケースで考えねばならないことは、まず、①のケースと同じく、商品部長の更迭、入れ替え。交差比率200を超えられない部門別仕入担当者も更迭、入れ替え。これをやっても、衣料品商品部の組織力、MD力強化、体質改善には3、4年はかかるだろう。

年間商品回転率8回、粗利益率30%、交差比率240の商品経営 

これで「普通のレベル」、一人前。しかし、まだ、「衣料品をやっています」と言える程度。ちょっと力のある競争相手と競争することになったり、また、景気がやや悪化したりするとすぐ効率が落ちてしまう。まだまだ不安定なところがある。商品部長は、仕入担当者の選抜、教育・育成に励み、商品部のMD力、仕入力、戦闘・競争力の強化をはからねばならない。それができない商品部長であれば、これを、更迭、入れ替え。

年間商品回転率10回以上、粗利益率33%以上、交差比率330以上 

量販衣料品店では相当、優秀な商品経営力。このレベルが維持できれば、もっと大きな、積極的な、攻めの経営戦略、商品戦略の展開が考えられる。商品部の人材強化を積極的に進め、組織力、MD力の強化をはかる。

 「交差比率240以下の商品経営では生き残れない」  完

    

  

    

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私的経験則:値下率15%超。ひどいときは20%超。こんな商品経営では店が潰れる

高値入率、高売価(売価>品質)、高値下率、こんな商品経営では店がもたない  

「年間値下率が常に15%以上、ひどいときには値下率が20%をこえる、こんな量販総合衣料品店チェーンがあるんだよ」と、真面目一徹で、業界では理論家と言われている友達に話したら、「そんな店が本当にあるの?。うそだろう。脅かすためのつくり話じゃないの」と聞き返してきた。しかし、そんな店が本当に存在しているのである。常識的に考えれば「とうに潰れているはずの店」だが、これが生き残っているから、世の中は広いというか、面白い。

「それはなんという店なの?」と聞かれても、どこどこのなんという名の店だよとは残念ながら答えられない。ただ、言えるのは、食品スーパーマーケットの直営衣料部門、もしくは、衣料品小売店の子会社をよく調べてみると、この話がウソじゃないことが分るでしょうといところまでです。食品スーパーマーケットチェーンとしては優秀で、利益をあげている企業の衣料部門、関連子会社にも、こんなひどい商品経営をやっているところがあるのにはビックリする。

企業全体に占める「衣料部門の売上構成比が5%以下」と低く、赤字ではあるが、食品スーパーマーケットの利益でカバーされてしまうので、その赤字経営があまり目立たない、別な言い方をすれば、「食品部門に食わしてもらっている、寄っかかって生きている」、そういう衣料部門、衣料品販売子会社があるのである。そして、驚くべきことに、その赤字会社、衣料部門(または、子会社)で働いている人達に、危機感とか、これは大変だという意識が欠如していることだ。毎年、億単位の赤字を出しているにも関わらず、「親方日の丸」というか、典型的なサラリーマン体質と云うのか、ともかく、のんびりしているのである。

売行き不振品、死に筋商品の早期発見、早期処分・処理、これを徹底的にやる。 

現在、衣料品業界で言われている「単品の商品寿命」は、15日から22日である。根拠のほどは詳しく分からないが、店・売場に、その商品を陳列・品出ししてから、この期間内に一枚も売れていなかったら、それは、売行き不振品、死に筋商品と考えよということである。とくに、お客の週間来店頻度が高いとされるディリーファッションストアでは、「いつ行っても、同じ商品が、同じ場所に、長い期間、大量に陳列されている」、こういう商品経営をやってはいけないことを考えると、この、「商品寿命、15日から22日・説」はとても説得力がある。

売行き不振品、死に筋商品の早期発見、早期処分・処理を徹底的にやれば、商品回転日数はより速くなり、値下率も下がる。当初は、あまりの値下げ対象処分品の多さに驚いて、こなんことをしたら大変だ、店が潰れてしまうという恐怖心が起こるだろうが、そこを乗り越えられれば、効率の良い商品経営ができることになる。問題は、精神的にも、金銭的にも耐えきれるかというところだ。

売価還元法の欠陥を悪用する「悪質な商品部長」がいるのにはただ驚愕!!   

「こんな二桁の値下率をいつまでも放置し続けていると、あなたの店は早晩、潰れるよ」と、ある食品スーパーの赤字衣料部門の商品部長に云ったら、こんな答えが返ってきた。「値下率の高さも、商品回転の悪さも、気にすることはありません。売上が悪くったっていいんです。だいたい、売上と粗利益は関係ありません。うちは売価還元法ですから、どんどん値下げし、どんどん仕入し、売価在庫高を増やせば粗利益率はあがります。粗利益率があがれば、粗利益額も増えるわけですから、それは簡単なことですよ」というものである。これには本当に驚いた。「でも、その粗利益率は、いわゆる、”在庫粗利”というやつで、見せかけの粗利益率じゃないの。そんなの騙しと同じじゃない」と言うと、「いいんです。上司はそんなところまで見ていませんし、だいたい、分かっていませんから」と、その商品部長は、平然として答えた。あきれ返って、もう、なにをか言わんや、なんと「悪質な商品部長」であることよ、この店の衣料部門も長いことないな、これは悲劇だと思ったものである。

  「こんな商品経営では、店が潰れる」  完

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私的経験則:仕入過剰、在庫過剰、低速回転では「しまむら」と戦えない

■「ファッションセンターしまむら」との競争は、商品鮮度、品揃え鮮度の競争。 

ファッションセンターしまむらと戦う(競争する)場合には、なによりもまず、自店・店頭商品在庫鮮度を「しまむら」と同レベル、できればそれ以上の良い鮮度にしておかねばならない。ファッションセンターしまむらは、①年間商品回転数10回、②平均回転日数約37日、で商品をまわしている。これを相手に戦うわけだから、自店の商品在庫鮮度を「常に、しまむらより、良い鮮度に保つ」ためには、彼らより早く商品をまわすしかない。すなわち、年間商品回転数10回、平均商品回転日数37日以内という「高速回転の商品経営」が要求される。

仕入過剰、在庫過剰、低速回転、こういう「だらしない商品経営」をやってきた店が、しまむらと競争する、戦うなどと意気込んでも、それは「カラ元気」というもので、本当はあまり意味の無いことである。頭から勝負にならないことがはっきりしているからだ。こんなことは当たり前のことだと思うのだが、「喧嘩はやってみないとわからない。しまむら、なにするものぞ。やっつけてやる。俺には自信があるんだ」など元気のいいタンカをきる人もいたりするから、この世は面白い。身の程知らずというべきか、自分の力を客観的に見られないヤツというべきか、ともかく、しまむらの強さ、怖さをてんで分かっていない、それに気がついていない。競争の厳しさ、辛さが見えていないのである。その結果は、ほぼ間違いなく、戦いに完敗、店の撤退・閉鎖。破滅への道を一直線。

売場坪当り平均売価在庫12~13万円、年間商品回転数8回転、どんなことがあってもこの数字を割らない商品経営をやっていける、そういう力のある店しか、強者・しまむらとの競争ステージにあがる資格は無い。お店の実力がこの数値以下であれば、残念ながら、しまむらと戦っても、まず、勝ち目はないと言えるからである。しかし、しまむらが店を出すことは事前に(少なくとも1、2年前には)分かることであり、しまむらとの戦いに備える準備期間がまったく無いというわけではない。この期間に、自店の商品在庫鮮度、品揃え鮮度を徹底的に改善改良しておけば、迎撃体制を築き上げることも可能だ。問題は、それに真剣に取り組むかどうかである。真剣に、必死になって取り組めば、強固な迎撃体制を築き上げることができる。しまむらと戦っても滅びることはない。生き延びることができよう。

逃げてはダメ

「しまむら」と戦う場合、「逃げ」をうってはならない。「逃げる」のも一つの手であることは否定しないが、それではジリ貧になるだけである。しまむらとの差別化だ、グレードアップだ、専門店化だ、それこそ唯一、生き残れる道だと、なにも分からず、「滅びへの道」を進んでいった人は決して少なくない。逃げれば逃げるほど、その店が「生きていける場所」はより狭くなる。しまむらとの戦いに恐怖と不安はつきものだが、それに臆することなく「真正面から戦う」ことを期待したい。「しまむらとの戦い」は、とても厳しく、長く苦しい戦いだが、その辛さをしのぎ、乗り越えて、立派に生き残り、繁盛している店が思っているより沢山存在しているからである。

仕入過剰、在庫過剰、低速回転、この悪しき商品経営から脱却せよ。

悪しき商品経営は、①「ファッションセンターしまむらの力(商品力、品揃え力、経営力、競争力、資金力、組織力など)をあまくみていること、②経営トップに「気のゆるみ」、油断、危機意識の欠如があること、③闘争心、戦う心を無くしてしまっていること、④組織全員が競争に弱気、勝つことを全く諦めていること、⑤勉強嫌い、情報不足、研究不熱心、継続力無し、怠惰、これらによって引き起こされる。仕入過剰、在庫過剰、低速回転、これらはすべて「人災」である。だから、逆に言うと、「防ぐ」ことができる。天変地異がもとで「悪しき商品経営に陥ったわけではないからだ。「しまむら迎撃体制構築」にいまから取り組んでも、決して遅いということはない。「なにも手を打たない、なんにもしない」、これは最も悪い選択である。

   「仕入過剰、在庫過剰、低速回転では、しまむらと戦えない」  完

     

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