『しまらー』と「ファッションセンターしまむらの品揃え」-(7)

ファッションセンターしまむらの品揃えの魅力

ファッションセンターしまむらを支える「大のしまむらファン」、「大のしまむら贔屓」、「しまむら大好き人間」の巨大な顧客の群れ・『しまらー』は、一体、ファッションセンターしまむらの何にに惹きつけられるのでしょうか。おそらく、そのヒントは、しまむらの品揃えの特徴、特性のなかに隠されていると考えます。

今のファッションセンターしまむらの品揃えの魅力は、①低価格(安さ)+②ファッション性+③トレンド最先端商品の積極的投入+④良質(品質の良い商品)+多品種多品目1型少量投入型品揃え、この5つであることは、このブログのなかでも先に述べていますが、この、①~⑤を持った品揃えの魅力が『しまらー』を惹きつけているのではないかと思われます。

ファッションセンターしまむらの中興の祖と言われ名経営者の呼び声も高かった”ある経営トップの方”が、業界紙のインタビューや、講演などで、しまむらの品揃えについて話されています。ファッションセンターしまむらの魅力がどうやって作られてきたかがよく分かるお話ですので、そのいくつかを以下に書きとめておきます。

しまむらはファッションを売っているわけですから、やはり、消費者に提案する力が必要。我々は、20代後半から30代のバイヤーが、ファッション業界や、消費者の流れをとらえるために世界中を駆け回っている。そこから見えてくる色(カラー)や、デザインなどを店に持ち込む。原宿の店より早いこともある。

しまむらは商品の幅を広げる。だから、買う際に選択肢が多い。自分が買った後、同じ商品が値下げされているのを見るほどイヤなものはないから、品切れはあってもいいと思っている。

衣料品は売れたら、次の(新しい)ものが入っているのがいい。とくに、私たちは小さい商圏で商売をしていますから、同じ服を着ている人が沢山いるのはまずい。

われわれは小商圏多頻度を狙っていますから、月に1回来る店と同じというわけにはいかない。1、2週間に1回、足を運んで、その都度、商品が変わっていなければなりません。

しまむらはもともと母娘連れが多かった店なのですが、前にもまして増えている。

以上のお話に、ファッションセンターしまむらの品揃えの魅力が語られていると思います。

次にあげるのは、しまむらの人気度と魅力が分かる一つのアンケート調査データです。

■「安カワ服のお店と言えば?」

これは、OriRan(オリラン)が行ったインターネット・アンケート調査(若い女性たちを対象にしたインターネットのアンケート調査。2006/8.29-2006/9.29)から抜粋したデータです。

[質問]「安カワ服のお店と言えば?」

第1位---Jam Pixy--42.5%

第2位---honeys----37.0%

第3位---しまむら----25.0%

第4位---ハニーズ---20.0%

第5位---uniqlo-----17.5%

以下に、ダイソー、並木園、ローズファレファレ、ポップガール等があがってます。

  ※(注)・「安カワ」→安くて、かつ、かわいい服。

このアンケートに答えたのは、若い女性たち、とくに、中学生、高校生、ティーンエイジャーが多いように思いますが、しまむらは、なんと、「安カワ服のお店・ベスト10」の第3位になってます。これを見ると、中学生、高校生、ティーンエイジャーも、しまむらの巨大なファンの群れ『しまらー』の中に加えなければなりません。女性の10代から60代まで、ファッションセンターしまむらの人気の広さが良く分かるデータの一つです。

 『しまらー』と「ファッションセンターしまむらの品揃え」 =  =

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『しまらー』と「ファッションセンターしまむらの品揃え」-(6)

ファッションセンターしまむらの人気度

「大の”しまむらファン”」、「大の”しまむら贔屓”」、「しまむら大好き人間」の巨大な群れ・『しまらー』が、何故、生まれ、また、増殖を続けているのか、それを知る一つの手掛かりとして「ファッションセンターしまむらの人気度」について調べてみました。残念ながら、わずかなデータ・資料しか見つかりませんでしたが、それでも、すこしは、『しまらー』の姿、形を垣間見ることのできる一つの鍵となるかもしれません。以下にメモしておきます。

■「ITインパクト調査2004」-「Ⅱ.衣・ファッション生活-性・年代別特徴」

この調査データは「JMR Sience」が2004年に行った、消費者・生活行動に関する調査のひとつです。この「ITインパクト調査2004」のなかに「Ⅱ 衣・ファッション生活-性・年代別特徴」があります。これを見ると、ファッションセンターしまむらの人気度が知ることができるのではないかと思いますので、以下に、その一部を抜粋させてもらいます。調査時点が2004年と、ちょっと古くなりますが、大きな傾向は今でも同じではないかと考えています。

データ①「カジュアルウェアで最も好きなブランドを性別にみる」

男性の支持が高いのは「ユニクロ」、女性の支持が高いのは「GAP」、「無印良品」、「しまむら」、「コムサストア」。

とくに、女性の10代~20代では「GAP」、「無印良品」が高く、また、20代~30代では「しまむら」、「コムサストア」。

女性の特徴では

すべての世代で「ユニクロ」が人気。とくに高いのは10代の33.8%、40代の33.1%。

しまむらの人気度が高い年代は、30代で15.1%と高い。それと、50代、60代で比較的人気が高い。

30代では「しまむら」のほかに人気が高いのは「コムサストア」11.3%、50代では「コムサストア」、「無印良品」、60代では「無印良品」の人気が比較的高い。

注)2004年時点の調査には入っていませんが、今ならこれらに加え、若い世代では「フォーエバー21」などが人気ブランドとして登場してくると思われます。

■-「ふだん衣料品を購入するお店についてお聞きします(アンケート調査)」

このアンケート調査のデータは、株式会社ドゥ・ハウスが2008年1月末~2月上旬に行った「トレンドウォッチ-定期自主調査」から抜粋したものです。(実査期間・2008.01.30-02.08 回答数16694名 男性5322名 女性11372名)

[Q1]次のうち、ふだん衣料品(洋服・靴下・下着・ストッキングなど)を購入している店を教えてください(当てはまるもの全て)

男女合計-高い順ベスト6

ユニクロ59.7%、ジャスコ20.7%、イオン20.1%、ファッションセンターしまむら19.7%、イトーヨーカ堂17.6%、無印良品15.9%

女性での ベスト6

ユニクロ58.2%、ファッションセンターしまむら23.1%、ジャスコ22.5%、イオン22.0%、イトーヨーカ堂18.9%、無印良品17.2%

以上、二つの調査データ(印)をよく見ますと、ファッションセンターしまむらは、10代から60代まで、かなり幅広い客層から支持されているようです。ずいぶん昔の話になりますが、「しまむらの主力客層は50代、60代」と言われていたことがあります。その次の段階では、25歳~45歳の主婦の支持が高まりました。そして、今では、10代、20代の女性からも高い支持を獲得しています。ファッションセンターしまむらは、「ユニクロ」に次ぐ高い人気度、支持されている店、ブランドになっていることが分かります。

これら、ファッションセンターしまむらの支持顧客層のなかに、「大の”しまむらファン”」、「大の”しまむら贔屓”」、「しまむら大好き人間」の大きな群れ→『しまらー』が存在しているわけです。その、『しまらー』の実像、そして、一体、どのくらいの数いるのか等はまだよく分かりません。しかし、いくつかの調査データをよく見ていけば、その実像、その数も見えてくるものと思います。これからも、手掛かりとなるデータ・資料をもっと沢山収集し、『しまらー』の実態解明をやっていこうと考えています。

  →→ 続く →→

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『しまらー』と「ファッションセンターしまむらの品揃え」-⑤

しまむらの巨大なファンの群れ『しまらー』の数は?

ファッションセンターしまむらの”大ファンの群れ”・『しまらー』は、テレビ、ファッション雑誌、大手新聞各紙、情報誌、業界紙などで相当数、報道されています。そのため、話題性も高く、一つの社会現象になった感すらします。しかし、確かに『しまらー』は存在するのですが、一体、その数はどのくらいいるのかは全く分かりません。計量的な把握ができないと、この群れ「しまらー」をターゲットとしたマーケティングは難しいわけですが、その姿を計量的にとらえることができる資料・データがなかなか見つからないというのが本当のところです。

そこで、なんとか手掛かりをつくろうと、あれこれ調べてみました。今のところ、残念ながら、ほんの少数しか見つけていませんが、とりあえず、以下にメモしておくことにします。ちょっとは『しまらー』の姿を垣間見ることができると思っています。

(1)フジテレビ系情報番組「めざましテレビ」(2009年1月27日報道)が、東京の渋谷で行ったアンケート調査(対象-14歳~22歳の女性134人)のデータ

134人のうち、「洋服代を節約している」と答えた人は79%。

洋服を節約している人100人へのアンケートでは、「大型衣料品店で買う」という答えが最も多く、そのために活用している店は、ユニクロ40%、しまむら38%、JamPixy10%、その他12%、という結果。

若い女性が対象のアンケート調査ですが、しまむらが第2位につけています。しまむらの知名度、認識率、買物先としての位置づけが、若い女性の間で上位にあることが分かります。

(2)Hatena::Questionが行ったアンケート調査『ファッションセンターしまむらをどのように利用されているか教えてください』のデータ

質問①-「しまむらにはどのくらいの頻度で行きますか(択一回答 対象500人)

1ヶ月に3回以上-----30人(6.0%)

②1ヶ月に1回以上3回未満----24人(4.8%)

1回以上行ったことはあるが、1ヶ月に1回も行かない-169人(33.8%)

1回だけ行ったことがあるが、それ以降行っていない---66人(13.2%)

しまむらのことは知っているが、行ったことはない----115人(23.0%)

このアンケートの調査結果をみると、①+②計・10.8%の人が「大の”しまむらファン”」、「大の”しまむら贔屓”」にして、「しまむら大好きの人」の群れ・『しまらー』なのではないだろうかと思えなくありません。また、①+②+③、しまむらに行ったことが1回以上ある人の合計は44.6%、100人のうちの約50人ですから、かなり高い数字だと言えそうです。

質問②-「しまむらで商品を買う理由は何ですか」(複数選択回答)

①低価格だから-------379

トレンドが反映されていて、おしゃれだ(かわいい)から---37

③品揃えがいいから----45

④近所にあるから------73

⑤商品を探す楽しみがある---36

しまむらで買うと、自分と同じ服を着ている人に遭遇する可能性が低いから--76

このアンケート調査結果で、①「低価格だから」が圧倒的に多く、次いで、⑥「自分と同じ服を着ている人に遭遇する可能性が低い」、三番目が、④「近所にあるから」の順となっています。長年、ファッションセンターしまむらをウォッチしてきた者には、とても納得できるデータだと言えます。ファッションセンターしまむらの商品政策、その特色、その狙いどおりの答えが出ているように思います。意外な数字は、②「トレンドが反映されていて、おしゃれだ(かわいい)から」が低かったことですが、このアンケート調査が行われたのは2007年2月ですから、まだ、しまむらの品揃えにおけるトレンド最先端商品の投入割合が低かったからなのかもしれません。

以上、わずか二つのアンケート調査のデータしかありませんが、『しまらー』の姿を、ほんの少し、ぼんやりとではありますが、垣間見たような気がしないでもありません。

 →→ 続く →→

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『しまらー』と「ファッションセンターしまむらの品揃え」-④

ファッションセンターしまむらが持つ「パワー(企業力)」-(その4)

■25歳~45歳の主婦をメインターゲットとする『ファッショントレンドセンター』づくり

ファッションセンターしまむらは、メインターゲットを25歳~45歳の主婦と設定しています。彼女たちは、①若々しいファッションコンシャス、②ファッションキャリアが豊富(自分なりのコーディネイトが巧み、組み合わせ上手)、③商品選択眼が優れている(買物上手、合理的)、といった顧客特性を持っています。おそらく、ファッションセンターしまむらを支持している「巨大な”しまむらファン”の群れ」、「しまむら大好きの一群の人たち」と言われる『しまらー』も、彼女たち(しまむらのメインターゲットである25歳~45歳の主婦)と同じ顧客特性を持っているものと思われます。

ファッションセンターしまむらの中興の祖と言われた”ある経営トップの方”が、なぜ、「ファッショントレンドセンター」づくりに取り組んだのか、そのワケ、背景にあったもの、その経緯について、以下のような、いくつかの発言をされています。(業界誌-販売革新」、「ファッション販売」、「商業界」、業界新聞「繊研新聞」などから抜粋)。そのいくつかの発言を以下に。

■背景にあったもの

流行そのものが非常に短くなっており、常に流行の最先端にいないといけないということで、きちんとトレンドをとらえていこうと考えた。

現在は、すでに、コーディネイトがどうのこのという時代ではなく、ずばり、ファッション雑誌に載っている商品があるかどうかという時代。プライス(低価格)+バリュー+ファッション性が求められている。ところが、ファッション感覚と流行とは別で、流行に沿っていなければ、日本の市場では生き残れなくなるのではないかという危機感を持った。

通勤着のカジュアル化で実用衣料の範囲が変わっている。それに、「これまでと変わったものしかいらない」、「先端のものしか要らない」という顧客の厳しい要求に対応しないといけなくなった。上(中高年)の顧客層だって、20代、30代で売れているものと同じものが売れ筋。違うのはサイズだけ。そこで、品揃えをジャストシーズンのトレンド提案型にシフトした。

昔は商品トレンドから要求するものまで、若い方と主婦、ご年配は明確に違ったが、それが、今は全部同じになった。10代後半から、50代、60代まで意識が変わらない。

50代の主婦がローライズのジーンズをはいている。皆さんの感覚が昔と明らかに変わった。ご年配の方にしても、体形は変わっているけれど、ファッションの感覚は若い人たちと同じ、そういう時代。

■「ファッショントレンドセンター」づくりへの取り組み

2003年から、ファッションセンターしまむらの、これから先の戦略方向として、新しい店づくり、「婦人衣料中心のトレンドを提供する専門量販店」づくり→『ファッショントレンドセンター』づくりに取り組む。

実用衣料のシェアの概念を取り去り、品揃え変更によって「客層の若返り」と「商圏人口の拡大」、「客単価のアップ」をめざした『ファッショントレンドセンター』づくり。

トレンド型商品の積極的な導入と、店舗改装で『ファッショントレンドセンター』づくり。

商品の陳列演出方法を変更し、トレンドを提供する専門量販店チェーンへ脱皮。

トレンド提案力のある取引先の開発と選定を進め『ファッショントレンドセンター』づくり。

■結果、ファッションセンターしまむら-『ファッショントレンドセンター』の来店客層は・・・。

若い人がめちゃくちゃ伸びている。量販店(GMSのイオン、イトーヨーカ堂など)よりも、ファッションセンターしまむらの方が「母と娘のペア」が多い。そして、このペア客が、一番、商品・値ごろに厳しい。というのは、今、母と娘は一緒に買物するからファッション感覚も同じなのですが、母の方が値段に厳しい。でも、お母さんが一番買ってくれる。この客層については、今、みんな気にしていますが、ウチが一番多い。

ファッションセンターしまむらは特に女子中学生とその母親が圧倒的に多い。母娘が入っているかどうかは成長の重要なポイント。支払うのは母親ですが、実際に服を選ぶのは娘。このオピニオンが大切で、そこに支持されるかどうか、支持されていたらトレンドに乗っている証拠。

ファッションに最も敏感な世代である高校生に受け入れられ、なおかつ、母親も納得できる品質でなければ売れない。母親は品質の面で目利きですから、少しでも悪い商品、質の劣る商品だとお金を出してくれません。最近では、高校生だった娘が結婚して子供を産んで、その孫を連れて、3世代で来店されるパターンも多い。

以上のような発言にみられる『ファッショントレンドセンター』となったファッションセンターしまむらに来店するお客の姿、その顧客特性は、今では、しまむらを支える巨大な顧客の群れである『しまらー』の姿、特性と全く同じものではないかと思います。「大の”しまむらファン”」、「大の”しまむら贔屓”」である一群の顧客『しまらー』の求めているもの、ウォンツ、要求、ニーズを、『ファッショントレンドセンター』となった今のファッションセンターしまむらは充たしているということでしょう。そして、これある限り、しまむら大好き人の群れ・『しまらー』から支持され続け、しまむらは「トレンドを提供する専門量販店チェーン」として、さらなる成長発展をしてだろうと思われます。

  →『しまらー』と「ファッションセンターの品揃え」-⑤に 続く

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『しまらー』と「ファッションセンターしまむらの品揃え」-(その3)

ファッションセンターしまむらが持つ「パワー(企業力)」-③

■今の時代と、今の消費者にジャストミートした「品揃えコンセプト」と「品揃え力」

ファッションセンターしまむらの「品揃えコンセプト」は、低価格+ファッション性+トレンド最先端商品の積極的投入+良質(良い品質)+多品種多アイテム1型少量投入型品揃え、この5つで組み立てられています。この「品揃えコンセプト」と、それに的確に対応できる「品揃え力」、この二つで、今の時代、今の消費者の欲求にジャストミートしたからこそ、今の繁栄があり、また、ファッションセンターしまむらを支える巨大なファンの群れ-『しまらー』を誕生させたのではないでしょうか。

しまむらはホームページで、彼らの商品政策を、「ディリーファッションストアの購買層のコアとなる主婦層に対して、郊外の住宅地の近くに店舗を作り、便利(Convenience)で、買いやすい快適な(Comfortable)売場で、しかも、高品質な商品を気軽に買物できる価格で提供していく」と述べています。

先に述べた、ファッションセンターしまむらの「品揃えコンセプト」のなかで最も重要なのは①低価格です。今でこそ、ディリーファッションストアは「ただ、安いだけでは売れない。安さプラス・アルファーが必要だ」と言われていますが、それでも、「低価格」の重要性はかわりません。しまむらのホームページにある彼らの商品政策にも、「気軽に買物できる価格」とはっきり書いてあります。

低価格を守りながら、それに、ファッション性、トレンド商品、良い品質、多品種多アイテム1型少量投入型品揃え(同じ商品が少ない)、という価値をさらに付加し、お値打ち品を提供する、それこそ、今の時代の顧客に支持される商品政策なのだと言っているように思います。

ファッションセンターしまむらの「品揃えコンセプト」で最も重要な『低価格』と、その関連項目を数字で表すと次のようになります。

売れた商品の1品平均売価単価は746円(2010年2月期

買上客1人当り平均買上点数は3.2点(2010年2月期

買上客1人当り平均客単価(買上金額)は2435円(2010年2月期

1品平均売価単価をみれば、その「低さ」と「安さ」が分かります。そしてそれだからこそ、買上客1人当り平均買上点数も3.2点と、同業他社・衣料品店の約1.5倍~2倍という高い数字になっているわけです。

以上の背景があって、ファッションセンターしまむらは年間累計買上客数・約1億4812万3千人(2010年2月期)という、衣料品チェーンでは驚異的ともいえる巨大な数字を達成していると言えます。さらに、年間累計販売点数は、この年間累計買上客数に買上客1人当り平均買上点数を掛ければ計算できるわけですが、計算式は、1億4812万3千人×平均買上点数3.2点、ですから、それはもう膨大な販売点数になります。

ファッションセンターしまむらに、「5000円、持っていけば、欲しいモノ、買いたいと思ったものをあれこれ買っても、まだ、お釣りがくる」とか、「10000円あれば、仮に、店に裸で行っても、上から下まで、アンダーウエアからアウトウェアまで一式買い揃えることができる」などと言われるのも、数字でみれば、なるほどと納得できるのではないかと思います。

①低価格+②ファッション性+③トレンド最先端商品の積極的投入+④良質+⑤多品種多アイテム1型少量型品揃え、この5つで組み立てられた「ファッションセンターしまむらの品揃えコンセプト」と、そのコンセプトどおりに品揃えできる力(商品力)、それあってこその「しまむら”大ブレイク”」であり、「巨大な”しまむらファンの群れ”・『しまらー』の誕生があったのです。『しまらー』は、こう言っている間にも、休みなく増殖し続けていると思うと、ファッションセンターしまむらの成長限界点の高さに驚くとともに、溜め息が出る思いです。

『しまらー』と「ファッションセンターしまむらの品揃え」-(その4)に 続く

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『しまらー』と「ファッションセンターしまむらの品揃え」-②

ファッションセンターしまむらが持つ「パワー(企業力)」-(その2)

■「ファッションセンターしまむらの知名度」を全国に拡げ、浸透させた巨大な宣伝力

ファッションセンターしまむらの広告宣伝は、①新聞折込チラシ、②テレビコマーシャル、ラジオ宣伝、③ファッション雑誌、④超人気ファッションモデルを商品企画に起用し話題を提供、この4本を柱として組み立てられています。

2010年2月期の広告宣伝費率は売上比2.3%で、衣料品店としてはそれほど高い数字ではありませんが、金額ベースでは約94億3500万円という巨大なものです。1年間に、これだけ多くの資金を広告宣伝費に投入しているわけですから、その広告宣伝力は強力です。

ファッションセンターしまむらの広告宣伝の4つの柱なかの一つ、①新聞折込セールチラシの宣伝の凄さを計算してみましょう。(単純計算ですがそれは驚異的なものです)

ファッションセンターしまむらの標準店舗(売場面積約300坪、年間売上高約3億円)における新聞折込セールチラシの1本・1回の1店舗当り平均散布枚数は約15000枚~20000枚と推測されます。ファッションセンターしまむらが考えている対象商圏エリア(対象とする顧客が住んでいる地理的広さ)は、約1.5㎞~約2㎞、そして、そこに居住している人口(世帯数)、約7000世帯~約10000世帯を対象商圏人口としているからです。(人口ベースでは約15000人~約22000人くらい)

 ※(注)対象商圏エリアは、地方小都市、地方町村などにある店舗では、地形的条件、道路網状況等の違いによって、約3㎞~約5㎞の広がりをもつこともあります。当然、対象商圏人口も変化します。

上記にあげた数字をもとに、広告宣伝の4つの柱の一つ、①新聞折込セールチラシのパワーを、「ファッションセンターしまむらの標準店舗における新聞折込セールチラシの年間散布枚数」を計算しながら考えてみましょう。

計算に当っての前提条件設定は以下のとおり。

①標準店舗1店の新聞折込セールチラシ1本・1回当り散布枚数は15000枚、

②新聞折込地セールチラシの月間本数は5本、年間60本、

③ファッションセンターしまむらの店舗数は1179店舗(2010/8月末時点

この、①、②、③を掛け合わせれば、ファッションセンターしまむらが1年間に散布する新聞折込セールチラシ枚数の計算ができます。(大雑把な計算ですが・・・)

(15000枚×60本)×1179店舗≒10億6110万枚

なんと、約10億枚超という巨大な数字になります。これだけ多くの数の新聞折込セールチラシが全国で散布されるわけですから、その宣伝力は極めて強力なものです。全国レベルで「ファッションセンターしまむらの知名度」が広まり、深く浸透していくのは、必然と言ってもいいのではないかと思います。

さらに、先に述べた「しまむらの広告宣伝の4つの柱」、②、③、④では、

②のテレビコマーシャルは随時、流しています。また、TBSで『ナニ着る? 天気予報』などでも宣伝をしています。

③のファッション雑誌では、「Popteen」、「ラブベリー」、「プチレモン」などに、ファッションセンターしまむらの取り扱い商品を掲載、PR。

④の超人気ファッションモデルの活用では、”益若つばさ”を商品企画スタッフとして起用し、「益若つばさ&しまむらオリジナル商品」づくりをしています。

このような巨大な宣伝力、巨額の広告宣伝費を持っている小売企業は、そう数はありません。1000を超える多数の店舗を全国に展開しているような小売店チェーンだけでしょう。例えば、大手コンビニエンスストア、そして、ファーストリテイリングのユニクロ(国内)、西松屋チェーンなど、ほんの数社に限られるだろうと思います。

日本全国、47都道府県の全てに店を出し(店舗数1179)、そして、巨大で、強力な広告宣伝力、この二つのパワーこそが、巨大な”しまむらファンの群れ”、大の”しまむら贔屓”、しまむら大好き人間の群れ、『しまらー』を産み、ファッションセンターしまむらを支える巨大な消費者群を形成させたのではないでしょうか。

    → 続く →

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『しまらー』と「ファッションセンターしまむらの品揃え」-①

■『しまらー』とは

ファッションセンターしまむらを支える「巨大なファンの群れ」があります。「しまむら大好き人間」の群れで、「しまむらのヘビーユーザー」とも言われています。

日本語俗語辞書(zokugo-dict.com)によれば、『しまらー』とは、ファッションセンターしまむらを略したものに、英語で人化する接尾語「er」をつけたものであり、しまむらで購入した衣類で全身をコーディネイトしている人、または、そういう人たちを意味する」となっています。

この、『しまらー』と呼ばれる一群の新消費者群は、今では、ファッションセンターしまむらを支える巨大な消費者集団となっており、さらに、日々、増殖を続けています。そして、『巨大な、”しまむらファン”』、『大の”しまむら贔屓”』の集団として、さらに、拡大し続けていると言われています。

■なぜ、ファッションセンターしまむらに、巨大なファン集団『しまらー』が生まれるのか

その「ワケ」を知るには、ディリーファッションストア最大手小売企業となった「ファッションセンターしまむら」の歴史・沿革、その成長発展過程と現在の姿、そして、しまむらの基本的考え方、企業経営理念・哲学、その品揃え等について詳しく調べる必要があります。しまむら大好き人間の群れ・『しまらー』が、なぜ、生まれたのか、増殖するのか、そこにとても興味をひかれました。そんなわけで、『しまらー』が生まれてきた背景、そして、彼らが、「ファッションセンターしまむらの品揃え」のどこに魅力を感じ、惹かれるのかを、あれこれ調べ、以下に、まとめ書きしておきます。

■巨大な”しまむらファン集団”『しまらー』を出現させたのは、ファッションセンターしまむらが持つ『パワー(企業力)』

現在、しまむらグループは、①ファッションセンターしまむら、②アベイル、③バースディ、④シャンブル、⑤ディバロ、⑥思夢楽、この6つの小売専門店チェーンで構成されています。しまむらグループ全体合計の年間売上高は約4296億5100万円(2010年2月期)という巨大なものです。なかでも、「ファッションセンターしまむら」は、しまむらグループの”要”であり、その中核となっている小型量販衣料品チェーンです。ファッションセンターしまむらの企業概要、①売上高規模、③都道府県別店舗数等は以下のとおり。

年間売上高規模---3606億9000万円(2010年2月期・しまむら単体)

店舗数-----------1179店舗(2010年8月末・しまむら単体)

ちなみに、同時点における、しまむらグループの個々の専門店チェーンの店舗数は、アベイル238店舗、バースディ117店舗、シャンブル68店舗、ディバロ13店舗で、ファッションセンターしまむらの1179店舗を加えると、クループ全体の総店舗数は1644店舗となります。

現在、ファッションセンターしまむらの全国店舗数合計は1179店舗で、店舗数の違いはありますが、47都道府県の全てに、「ファッションセンターしまむら」の店を出しています。

「日本全国、47都道府県すべてに、しまむらの店がある」、「お客の家の近くに、しまむらの店がある」、これこそが、大の”しまむらファン”、大の”しまむら贔屓”、しまむら大好き人間の巨大な群れである『しまらー』を生み、それを、ファッションセンターしまむらを支える大きな消費者群に育てた最大の要因ではなかったかと考えています。

『しまらー』と「ファッションセンターしまむらの品揃え」-②に 続く

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『ファッショントレンドセンター』に至るまでの、しまむらの商品政策を時系列で見る

『ファッショントレンドセンター』構想を追う

ファッションセンターしまむらは、中興の祖とも言われた優れた経営トップのもと、2003年から「婦人衣料中心の、トレンドを提供する専門量販店チェーン」づくり、別名、『ファッショントレンドセンター』構想の具現化に取り組んできました。その経営トップの方が話された『ファッショントレンドセンター』に至るまでの、しまむらの商品政策を時系列で順に追ってまとめたものを研究資料として書き残しておきます。

■第1ステージ■

 店舗数が、まだ二桁の段階。

 商品はベーシックなものばかり。

 婦人衣料の売上構成比は25%と低かった。

 「安いけれども悪いモノもある」と客に言われた。

  第1ステージ段階の決め手は「低価格」

■第2ステージ■

 約100店舗の段階で「品質の向上」を図る。

  第2ステージ段階の決め手は「品質」

■第3ステージ■

 300店舗の段階で、

 全体のコーディネイト、ファッション性の向上を図る。

 婦人衣料の売上構成比30%に高まる。

  第3ステージの決め手は「ファッション性」

■第4ステージ■

 2000年、500~600店舗の段階で、

 トレンド性を打ち出した。

 一気に婦人衣料の売上構成比上がる。

  第4ステージの決め手は「トレンド」

■第5ステージ■

 2010年8月、1179店舗の今、

 ファッションセンターしまむらの商品政策は、

 「低価格」+「良質」+「ファッション性」+「トレンド商品」+「オリジナルブランド商品」

■今のファッションセンターしまむらの「商品力の強さ」、「品揃え力の強さ」を支えているもの、その商品経営哲学と基本的考え方。

 リスクは全て「しまむらが持ち」、企画メーカーと直取引。

 「小売がリスクを持つ」、「トレンド性を打ちだす」、これに尽きる、この基本的考え方。

 しまむらの取り扱い商品は実質的に「全てオリジナル商品」

   しまむらの要望を伝え、サプライヤーが企画提案したものの中からセレクト。 

   しまむら独占販売。結果として「しまむらオリジナル商品」

 売れても追加生産はしない。常に新しい商品を提供していく。

 「売れるトレンドかどうか」を徹底的に追求していく。

 「売れるものを売る」ことに徹する。

 とくに婦人衣料で、「品揃えは最もトレンド性を高く、かつ、安価に」。

 トレンドが大きな流れになる前、小さな流れのうちに短いスパンで商品企画し、

  微調整しながら、トレンドに外れた商品は、売れる価格にして売り切る。

 企画力がポイント。

 商品の良し悪しは、あくまでもデザイン。デザインがいいかどうかに尽きる。

 「この商品はいくらなら売れるか」を見極めて売価を決める」、これが売価政策の基本。

ファッションセンターしまむらの『ファッショントレンドセンター』構想とその具現化の道のり、スタート時点から今日までは以上のような流れであったように思います。店舗数1179店、年間売上高3606億9000万円(2010/2)まで、しまむらの自信に満ちた力強い足取りと、チェーンストアづくりの確信を持った歩みを感じます。今後も更なる成長発展が期待されそうです。

 

 

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しまむら&サンキ 粗利益率及び販管費率の推移を見る

ディリーファッションストア大手、第1位のファッションセンターしまむら、そして、第2位・ファッション市場サンキ(株式会社三喜)の過去10年間、2001年~2010年における粗利益率と販管費率の推移は以下のとおり(表-1)。

001最初に、 (表-1)から2社の、2001年~2010年、過去10年間の粗利益率の推移を見ていくと次のことが分かります。2001年~2010年におけるサンキの粗利益率の推移を見ると、下限値30.3%、上限値は32.3%で、上下変動差は約2ポイント。一方、同期間におけるファッションセンターしまむらの粗利益率は、2001年度の27.3%が、2010年度では31.7%と4.4ポイントも上昇しています。その上下変動差はサンキの2.2倍で、粗利益率が大きく上昇している。しまむらの粗利益率が大きく上昇した背景には、(イ)全取扱商品に占めるPB商品比率が約30%~40%近くまで拡大してきている、(ロ)値下率が各年度とも約5%前後におさえこまれていること、(ハ)直流-中国における加工・物流の拡大、(ハ)配送センターの整備など物流システム構築による物流コストの低減、などが考えられます。サンキもPB商品・kokinuなどがありますが、全取扱商品に占める割合は、しまむらと比べればまだまだ低く、粗利益率拡大への貢献度はまだまだ低いのではと思います。販管費率は、年々上昇傾向にあるサンキの販管費率に比べ、しまむらの販管費率は約22%~約23%と、サンキよりも約6ポイントも低く、強力にコントロールされています。この差が営業利益率の差となります。

002 (表-2)は、2001年~200年におけるファッションセンターしまむらの値入率と1品平均売価単価の推移をまとめたものです。これを見ると、値入率は年々上昇しており、2001年の値入率は31%だったものが、2010年には36.8%と、約5.8ポイントも大幅に上昇している。しかし、1品平均売価単価の10年間における推移を見ると、平均すれば718円~722円の間、約4円という極めて少ない上下変動差。これは、しまむらの低価格政策(良質+低価)が徹底していることを物語る証左。値入率は上昇しているが1品売価単価は、ほぼ横ばいだからです。

(表-1)、(表-2)を見ますと、ディリーファッションストアの粗利益率は33%以下におさまると言うか、案外、適正な利幅と言える数字なのではないかという気がします。勿論、これから先、値入率の上昇が無いと言っているわけではありません。しかし、ディリーファッションストアの一つの大事な生命線とも言える「低価格政策」を維持していく限り、これから先、さらなる仕入コストの低減があったとしても、それで、値入率を大幅に上昇させることはしないのではないかと思われます。また、そう簡単に出来ることでもないと思うのですが、はたして、5年後、10年後のディリーファッションストアの値入率と粗利益率はどうなっていることでしょう。私的には、引き続き、その変化を追い続けていこうと思っています。

「しまむら&サンキ 粗利益率及び販管費率の推移を見る」   (完)

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衣料品の「単品量販」考

単品量販」のメリットとリスク

経済効率を追求していけば、1品目集中大量販売(単品量販)が一つの望ましい形です。とはいえ、「単品量販」には大きなリスクがつきまとうことも、また、否定できません。最近、SPA(製造小売業)型のユニクロの製品、そして、ディリーファッションストア・しまむらや、大手GMSのイオンなどでPB商品の「単品量販」が見られるようになり、それが業界の大きな話題になっています。例えば、以下にあげるの商品です。

ユニクロのハイテク繊維・機能性インナー、例えば、①ヒートテックインナー(2008年秋冬・販売枚数・約2800万枚、2009年秋冬目標4700万枚、②ブラトップ(2008年夏・販売枚数・約300万枚、2009年販売目標900万枚)、③サラファイン・シルキードライ。そして、ファーストリテイリング・グループ専門店「ジーユー」の990円ジーンズ100万本など。

イオンの、①ヒートファクト(2008年販売枚数約250万枚、2009年目標1000万枚)、②ランドセル(2007年販売本数約24万本)

ファッションセンターしまむらのPB商品・ハイテク繊維・機能性インナー「ファィバードライ」。

しかし、衣料品業界全体で考えた場合、1品目を驚くほど大量販売したケースというのは意外に少ないもので、ユニクロのヒートテックインナー、ブラトップのように何百万枚、何千万枚という大きな単位で売れた商品というのは極めて少なく、見つけるのが困難ではないかと思います。衣料品では「単品量販」することはそれほど容易なことではなく、それを行うには相当の自信が無いとできないと考えている人は決して少なくありません。「単品量販」に取り組みたいが、「いざ、挑戦」となると腰が引けてしまう人が多いのではないでしょうか。「売れ残った場合のリスクが怖い」からです。

その「売れ残った場合のリスクの怖さ」を知っているので、「多品種多アイテム品揃え・1型少量販売」型の品揃えをしている衣料品店も、かなりの数あります。繰り返しになりますが、「単品量販」に取り組んだ場合、それにつきまとう商品リスク、在庫と回転、そして、売れ残った場合に生ずる処分のための大きな値下げロス、これら商品経営上のリスクが無視することができないほど大きなものだからです。

経済効率を徹底的に追求すれば、一つの方向として「単品量販」が必然的に求められることになるかもしれません。しかし、それがベストのかたちであっても、その一方にある「商品リスク」をできる限り排除することのできる力がなければ、その実現はとても難しいと言えます。メリット(利益)>リスク(損失)という形でないと「単品量販」は意味が無いことになるからです。

「単品量販」に必要なのは「販売数量・期間の予測精度」

衣料品商売で、一つの商品(1型・1品目)が、ある期間にどのくらい(数量・金額)売れるか、いくらの売価なら最も数が多く売れるか、在庫をいくつ持てばよいか、在庫回転数をどこに置くか、いつから売り始めるか、いつ切り上げるか、どのくらい売れ残るのか、その売れ残り商品の処分をどのようにするか、最終、締めてみたら、一体いくらの利益が見込めるのか、これら①~⑧のことを数字で予測することは決して簡単なことではありません。しかし、それらの計算と予測なしに「単品量販」に取り組むのは危険というより無謀というもので、その「結果」は見えています。

したがって、少なくとも、ここにあげた①~⑧の点について、精密な予測と、それにもとずく緻密な生産(商品調達)計画、販売計画が必要になります。計算に計算を重ね、これなら大丈夫だろうという自信のある予測と計画ができたとしても、必ず誤差が出るものです。売れ残りが発生するものです。「単品量販」は、決して、「思いつきと度胸」だけでやれるものではありません。

「予測精度」を上げるために、商品一つ一つの動きについて、日々の細かい商品情報データの蓄積、そして、その分析及び「読み取り能力=予測能力」と「予測精度」アップ、それらを可能にする「仕組み」が必要になります。データの蓄積もなく、仕組みも無く、経験の蓄積も無いところから、信頼に足る「高い予測精度」は生まれませんし、向上することもありません。これらのことができる力を持っている衣料品店の数は少ないものです。ユニクロ、イオン、ファッションセンターしまむら等、これらほんの数社だけが、その高い予測能力を持っていると言っていいかもしれません。しかし、それでも、彼らが、単品量販で「成功の連続」をおさめているわけではなく、失敗の残骸(売れ残り品の山)をあちこちに見つけることができます。したがって、単品量販に取り組むにあたっては、まず、第一に、精度の高い、リアルタイムの商品情報データ処理システムを構築すること、そして、それらのデータと仕組みを有効に使いこなせる人材の育成とその配置をはかることが絶対不可欠必要条件であることを忘れないことです。

単品量販の決め手は「売価」

「いくらで売るか」、これが「単品量販」の最も重要なポイントだと思います。今のお客は、低価格志向が強く、さらに、モノの価値判断ができる「賢いお客」が多いことを忘れてはなりません。売価が高ければ売れる量は相対的に少なくなります。したがって、「単品量販」に取り組む場合、該当商品の売価設定は、言うまでもありませんが、真剣に考えぬかねばなりません。「ただ安ければいい」ということではないからです。同じ品質のものを、他の店より、さらに低い価格で売れるかどうか、それができる仕組み=「安く売っても利益が出せる仕組み」があるかどうかにかかってきます。その仕組みが無ければ、安く売った分だけ損を増やすことになります。「計算抜きで、めちゃくちゃの安売り」をやれば、店の経営は破綻してしまいます。

「単品量販」をするには、品揃えや、仕入れ、生産などに関する技術力も必要なことは当然ですが、、それにもまして、「安く売っても利益の出せる仕組み、経営コスト構造」ができているかどうかの方がより重要ではないかと思います。ユニクロ(国内)や、ファッションセンターしまむら等の企業と、同業他社との大きな違いはそこではないでしょうか。

「仕入れて売る時代」から、「売れるものを作って売る時代」へ

今の時代は、「仕入れて売る時代」から「売れるものを作って売る時代」への過渡期なのかもしれません。SPA(製造小売業)型のファーストリテイリング、ユニクロは勿論のこと、アソートメント型品揃えをしてきたディリーファッションストア・ファッションセンターしまむらもPB商品の拡充を積極的にすすめており、今ではPB商品のシェアが取り扱い商品の30%を占め、これから先さらに、そのシェアを50%までもちあげると言っています。

このような競争が激しくなってくれば、各小売企業は広範な「物づくりの仕組み」を構築しなければ競争に勝てなくなるかもしれません。同時に、「生産者発想、メーカー発想」の傾向がより強くなることも考えられます。しかし、「売れる力=販売力」も無いのに、それを無視して、どんどんモノをつくったのでは、リスクが増え、売れ残りの山をつくるだけで、商品経営は成り立ちません。そうならないために、ますます、「単品量販(1品目集中大量販売)」の必要性が間違いなくでてくることでしょう。「単品量販」に対応できる力の無い小売企業は、その存在が脅かされる事態になることも考えられます。そんな時代は「まだまだ先のこと」とタカをくくっていると「ヒドイ目にあう」かもしれません。

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