株式会社そごう・西武の業績推移を見る (その2)
株式会社そごう・西武の業績推移を見る (その2)
①株式会社そごう・西武-商品別売上高の推移
(図-1)は、株式会社そごう・西武の2011年2月期から2016年2月期における商品別(衣料・食品・雑貨)売上高の推移グラフです。これを見ると次のことが分かります。
●商品別で最も売上高の大きい衣料売上高の減少が続いています。
衣料売上高は、2011年2月期が約3844億1900万円→2016年2月期・約3172億6千万円。この期間で約671億5900万円も減少しています。おそらく、収益構造に大きなマイナス影響をおよぼしているものと考えられます。
一方、食品と雑貨の売上高は、「食品は微減」、「雑貨は微増」という流れが続いています。したがって、衣料の大幅な売上高減が商品売上高総計の足を引っ張っていることは明確です。これは百貨店の商品経営にとって、「致命的な弱点」といいますか、「なんとしても手を打たねばならない重要経営課題であり、必死の取り組みが求められる」ものではないかと考えられます。
②株式会社そごう・西武-商品別売上高構成比の推移
(図-2)は、株式会社そごう・西武の、2011年2月期から2016年2月期における「商品別売上高構成比の推移グラフ」です。これを見ると次のことが言えます。
●衣料品の売上高構成比が約60%から約56%と、減少傾向にあるとはいえ、食品、雑貨の売上高構成比に比べ断然高いのが見て取れます。「衣料がコケたら、百貨店の商品経営は崩壊する」と言ったら言い過ぎでしょうか。それほど、「衣料の売上高の減少は大きな経営リスク」になるのではないかと思われます。
③株式会社そごう・西武-商品別粗利益率の推移
(図-3)は、株式会社そごう・西武の、2011年2月期から2016年2月期における「商品別粗利益率の推移グラフ」です。これを見ると次のことが言えます。
●百貨店の衣料の粗利益率は、GMSの衣料、衣料専門店と比べて、「かなり低い粗利益率」であると思われます。(GMSの衣料の粗利益率は約35%から39%、専門店は、商品商品調達形態にもよりますが、約35%から約45%、SPA型衣料専門店で粗利益率が約50%超のところもある)
「百貨店は商品経営リスク(在庫リスク、値下げリスク等)をとらない」、「百貨店は、単なる場所貸し業だ」などと、よく言われますが、実際、それが「百貨店衣料の粗利益率の低さ」の要因の一つなのかもしれません。これから先、百貨店の商品経営の形がダイナミックに改革され、GMSの衣料、そして、SPA型衣料専門店に「ひけを取らない高い粗利益率の確保」ができるようになることを期待したいものです。
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