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百貨店における『外国人観光客の売上高・来店動向』

以下にあげるいくつかの図・グラフは、日本百貨店協会が毎月発表している資料-『外国人観光客の売上高・来店動向-速報』をもとに、2015年7月~2016年6月の期間の推移・動向を追ったものです。

(1)免税総売上高とその前年比の推移

015(図-1)は、2015年7月から2016年6月の期間の、百貨店における「外国人観光客の免税総売上高とその前年比の推移」グラフです。これを見ると次のことがわかります。

①免税総売上高は「横ばい状態」から、2016年5月以降は「かなりの減少傾向」にあります。2016年2月の183.6億円が売上高のピークでしたが、それが2016年6月には130.4億円にまで落ち込む。

②さらに、免税総売上高前年比の推移を見ると、2015年8月には359.6%と極めて高い数字でしたが、それが2016年6月には79.6%と「大きく前年割れ」し、これから先も、、「ゆるやかに落ち込む」気配。

(2)一般物品及び消耗品売上高月別前年比の推移

百貨店における「外国人観光客の売上高」は、(a)消耗品売上高+(b)一般物品売上高(消耗品を除く売上高)になっています。(図-2)は、その(a)、(b)、2015年7月から2016年6月の期間における推移グラフです。

0172者-(a)、(b)ともに、落ち込みが続いています。しかし、(b)一般物品売上高前年比の落ち込みがひどく、2016年3月以降の数字は「前年割れ」が続き、2016年6月には65.4%にまで下落しています。外国人観光客の購買傾向が「一般物品から消耗品へ移行している」ように思われます。この傾向は、これから先も続くのではないかと思われます。

(3)百貨店における外国人観光客の「購買客数とその月別前年比」の推移

0232015年7月~2016年6月の期間の、百貨店における外国人観光客の購買客数は、「ゆるやかな上昇」と、「緩やかな下降」の凹凸が見られますが、大きな数字の落ち込みはありません。しかし、購買客数の月別前年比の数字を見ると、2015年8月の前年比393%をピークに、以降、大きく下降、2016年6月には前年比114%にまで落ち込んでいます。この、購買客数月別前年比の落ち込みの数字には、先行き不安を感させじます。

(4)百貨店における外国人観光客の「1人当たり購買単価とその月別前年比」の推移

027百貨店における外国人観光客の「1人当たり購買単価」は、2015年12月の7.7万円をピークに、以降、緩やかな凹凸が続いてしいましたが、2016年6月には5.5万円にまで落ち込んでいます。

さらに、一人当たり購買単価の月別前年比を見ると、2015年11月以降、「前年割れ」が続き、2016年6月の数字は、前年比69.8%まで落ち込んでいます。これから先も、外国人観光客1人当たり購買単価の下落が続きそうです。

030(表-1)の数字をもとに、前述、(1)~(4)のグラフを作成しました。(日本百貨店協会・資料-「外国人観光客の売上高・来店動向-速報をもとに作成)

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大手GMS・3社の衣料品部門の年商品回転率&値下げロス率の推移を見る

「量販総合衣料品店の商品経営」考

大手量販総合衣料品店チェーンの元経営トップの方(業界では、その優れた経営手腕で、名経営者として高い評価)が、『衣料品商売』について、業界紙・誌のインタビューや特集などで次のようなことをお話しされています。(業界紙・誌→販売革新、商業界、ファッション販売、チェーンストアエイジ、激流、繊研新聞、日経ビジネス、プレジデント等)

■衣料品では、売れていない店舗だから在庫が少なくてもいいかというと、そうでもない。逆に、売れたからといってどんどん商品を送ってもいいかというと、それも違う。商品回転率が高ければ高いほどいいということではなく、適正がある。その適正値を8~9.2回ぐらいと考えている。

■衣料品は、今年と来年では売れ筋が全然違う。今年売れた商品が次の年は無くなってしまう。こういうことが多々ある。

■衣料品をやっている限り「見切り」がある。これを減らそうと一生懸命やっている。しかし、値下率は低ければいいというものでもない。「ゼロに近づけろ」と言うと、、担当者は値下げを怖れて仕入を少なくしてしまい、、今度は品切れが発生する。5%程度でちょうどいい。

■(衣料品の商売には)きちんと売りさばけずに、たまりにたまった在庫がある日突然、抱えきれずに破裂する、そういうことがあるんですから、この業界は。だから「売り切る仕組み」が必要なんです。(激流・97.09)

■私の考えは、売れる価格が正しい価格というものです。最初に付けた価格はあくまでも仮想の価格。それで売切れればその価格が正しい。売れなければ売れるような価格に落とす。発注した数量を全部売り切ることのできる価格を初期に設定できるとしたら、企業のリスクは最も小さいものですむでしょうね、最初の価格設定をいかに正しく行うかということに力を入れています。

■どうしても売れない商品がでてきたら、売価をゼロにして捨てちゃえばいい。理屈はそうです。そこでそんなバカなことを言わないで、もっと売れる価格を考えろと言われれば、売れ残りを最後まで持ち越すのは困るから、初期の段階でいかに売るかを考える。最後に持ち越せば半値でも売れないものが、初期だったら1割の値下げで売れるかもしれません。

■ディリーファッションも鮮度が重要なのです。在庫商品の見切りは生鮮以上に難しく、管理レベルの向上が非常に重要な商売なのです。我々は返品しないが、値下率は毎年減っています。販売予測の精度が年々向上している証拠です。

■(売れ残った商品を処分するのは)単純に値下げです。私たちにとって、値下げというのはある意味で必要悪です。値下率ゼロがよいとは限らないんです。それは不可能ですから、適正数値は4,5%程度ではないかと考えています。

■売れない商品を自分で処分する方法は2つしかない。1つは、できるだけ早く売れる価格に下げるとこ。例えば、入荷してから、1週間目、2週間目と単品ごとに追っていき、思ったより売れるのが遅ければ価格を下げます。もう一つは、売れない店から売れる店に商品を移すことです。これについては、われわれの物流システムのなかで、ある商品が売れていない店があれば、それが売れている店に自動的に品物を移動します。つまり平準化をするわけですね。

大手GMS・3社(イオンリテール、ユニー、イズミ)の衣料品部門の年間商品回転率(数)の推移

(図-1)は、大手GMS、イオンリテール、ユニー、イスミ3社の衣料品部門の2007年27月期から2016年2月期、10年間における年間商品回転率の推移グラフです。

002_3■これを見ると、3社の衣料品部門の年間商品回転率はいずれも6回転以下と低い数字です。とりわけ、イオンリテール、ユニーの衣料品部門の年間商品回転率は、2013年2月期以降、5回転以下に落ち込んでいますが、この数字で、衣料品部門で利益(黒字)を出すのは相当難ししいのではないかと考えられます。

量販総合衣料品店の商品経営における一つの物差しとして交差比率というのがあるのはご存じのことと思います。「年間商品回転率8回×粗利益率30%=交差比率240」を基準とするといわれていますが、これから考えると、先にあげたGMS・3社の衣料品部門の年間商品回転率の低さはとても問題ですし危険でもあります。年間商品回転率が6回以下という低い数字の場合、交差比率240を確保するためには、粗利益率を上げるしかありませんが、そのために、当初値入率を上げ、売価アップ(高くするこ)にもつながり、それが、さらに商品回転率を悪化させ、値下げロス率の増大をももたらす危険があるからです。

005(図-2)は、先にあげた大手GMS・3社の衣料品部門の値下げロス率の推移グラフです。これを見ると、この3社の衣料品部門の値下げロス率が、非常に高い数字であることが分かります。

商品戦略、商品政策の抜本的見直し、とりわけ、売価政策の見直しが必要とされているのではないでしょうか。3社は、これらの早期改善・改革に必死に取り組んでいるにちがいありません。この3社の衣料品部門に、年間商品回転率8回以上、値下ロス率10%以下という数字が確保されるのは、何年後になるのでしょう・・・・・。

011(表-1)は、大手GMS・3社、イオンリテールネユニー、イズミの衣料品部門の年間平均商品回転日数、商品回転率、年間値下げロス率、粗利益率等の2007年2月期から2016年2月期における推移をまとめたものです。(各社の各期・決算補足資料、決算参考資料、決算説明資料をもとに作成したものです)

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