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小売業の『業態・業種分類』考

『業態・業種』の定義と分類について

小売業界には、業態・業種の定義と分類について、いくつか考え方、見方があり、その表現には微妙な差といいますか、「多少の異なり」も見られます。ここでは、経済産業省と、中小企業庁がやっている、小売業における『業態・業種の定義』、及び、『業態・業種分類』をあげておきます。

中小企業庁では、

中小企業庁は、「平成15年度 実践行動マニュアル-消費者にとって魅力あるまちづくり」-「1-7 エリア性格分析、業種・業態調査-業種業態とは何か」のなかで、以下のような「業種業態の定義づけと説明」をしています。

①業種とは食料品店、衣料品店、家具店などといった商品による分類をさす。(※取扱商品による分類)

②業態とは営業形態による分類で、事業分野による大きな分け方と、提供方法による細かな分け方がある。

○提供方法による業態分類

(a)物販(小売店)、飲食店、サービス業、アミューズメントなどの大きな分け方。

(b)スーパーマーケット(セルフサービス)、専門店(対面サービス)、百貨店、ディスカウント店(低価格提供)、またファーストフード(セルフサービス)、レストラン(テーブルサービス)、居酒屋(夜型飲食)といった細かい分け方。

経済産業省では、

経済産業省は、「いろいろな角度からみた商業」の「第3章-業態別にみた小売業」と、「業態分類表」で『業態の定義と分類』について記しています。業態別の定義では、各業態別の業態名区分、販売形式、取扱商品、売場面積、営業時間等が細かく設定され、かなり詳しく述べられています。(※二つの表ともに、細かく書かれていますので、ここには記載しません。詳しく知りたい方は、経済産業省の「業態別にみた小売業」、「業態分類表」、「商業統計-業態別統計編」等で、ネット検索を・・)。

■日本における小売業の業態・業種分類

005(表-1)は、日本における「小売業の業態・業種の分類」です。

一つは、経済産業省の小売業の業態分類です。「業態別にみた小売業-業態分類の定義」、「業態分類表」から抜粋したものです。

もう一つは、日本の小売業界でよく使われる業態・業種の分類をまとめたものです。

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(表-2)は、経済産業省の「第1回 産業構造審議会 流通部会 審議用参考資料 資料5」として出された「我が国流通業の現状と取り組み・課題について」の「1-(2) 小売業の業態別売上の推移-売上高の推移(主要業態別)」に載っているデータをもとに作成したものです。

平成13年度比平成23年度では、売上シェアが伸びている業態は、コンビニ(コンビニエンスストア)、ドラッグストア、通信販売の3業態であるのが分かります。

014(表-3)は、全米小売業協会(NRF-National Retail Federation)が発表している「TOP 250 GLOBAL RETALERS,2013」の「Dominant Format」にあったもの業態・業種分類として列記したものです。

小売店は、自店は「なに屋なのか」、「何を売るのか、誰に売るのか、どう売るのか、いくらで売るのか」等を明確に設定すべきだと言われています。これが、不明瞭ですと、「小売店として目指すべき戦略方向、とるべき政策」もぼんやりしたなものになってしまうからです。小売業の業態・業種にはどんなものがあるか、その定義、かたち等をよく知っておくことは、小売業界人の一般常識といいますか、必須基礎知識でもあります。「業態・業種」について、考え方、見方をきちんと整理しておく必要があると思っています。そして、自店の目指している方向が、戦略的に見て正しい方向なのか、的確な政策を打っているのか等を、常々、チェックして、道に迷わないようにすることは、とても大事なことではないかと考えています。

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既存店・月別売上高伸び率(前年比)に見る小売店の実力

既存店・月別売上高伸び率(前年比)に見る小売店の実力

011(図-1)は、「国内ユニクロ」(ファーストリテイリング・グループ)と、「ファッションセンターしまむら」の、2014年3月~2015年11月の期間における「既存店・月別売上高伸び率(前年比)」の推移グラフです。

既存店の月別売上高伸び率(前年比)は、小売店の実力(営業力、販売力、商品力、販促力、店舗経営力等)を見る、一つの重要な数字と言われています。店舗数が500店舗以上のチェーンストアでは、全店舗数合計に占める既存店比率が高く、したがって、多くの既存店で売上高の「前年割れ」(売上不振・低迷)が続けば大きな経営問題になります。「既存店活性化」は、「早急に手を打たねばならない重要経営課題」であると考えられているからです。

(図-1)の、国内ユニクロと、ファッションセンターしまむらの、既存店・既存店月別売上高前年比の推移グラフですが、これを見て、以下のことが言えます。

①国内ユニクロ、ファッションセンターしまむら、ともに、月別売上高伸び率が「前年割れ」している月が複数月あります。前述の期間-21ヶ月間における「既存店・月別売上前年割れ」の月数は、、国内ユニクロ→5、ファッションセンターしまむら→8、という数字です。

2社の、この数字、「既存店・月別売上高・前年割れ月数」が、少ないか、多いかを、同業他社の数字と比較することで、一面的ではありますが、2社の実力評価をすることができると考えています。別表(表-1)に、国内ユニクロ、ファッションセンターしまむら、ハニーズ、西松屋チェーン4社の、前述の期間(過去、21ヶ月間)における「既存店・月別売上高前年比の推移」をまとめてありますので、じっくり比較してみてください。

016(表-1)は、前述した、衣料専門店チェーン、国内ユニクロ、ファッションセンターしまむら、ハニーズ、西松屋チェーン、4社の過去21ヶ月間(先述した期間の)「既存店・月別売上高前年比」の推移をまとめたものです。

※「黄色で塗った枠」が「前年割れ」している月です。

※各社の「既存店・月別売上高前年比」の数字は、以下のデータをもとに作成しました。

①国内ユニクロ→株式会社ファーストリテイリング-「国内ユニクロ事業 売上推移速報(各期)。

②ファッションセンターしまむら→年度別「月次売上速報」。

③株式会社ハニーズ→各期「財務・業界情報-月次データ」。

④西松屋チェーン→各期「売上高・客数・客単価の前年比の推移」。

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イトーヨーカ堂-商品部門別売上高の推移を見る

イトーヨーカ堂-商品部門別売上高の推移

セブン&アイ・ホールディングスは、2015年9月18日に発表した「事業構造改革」のなかで、収益改善の見込めないイトーヨーカ堂の店舗を、今後、5年間かけて40店舗閉鎖すると言っています。来年2月までに2店舗、その後は、年々10店舗程度の閉鎖をしていく予定とのこと。GMS業態店舗の営業不振店、赤字店の閉鎖(スクラップ)が、「喫緊の重要経営課題」となってきているようです。

005(図-1)は、イトーヨーカ堂の、2004年2月期から2015年2月期までの12年間における、「商品部門別売上高の推移」グラフです。これを見ると次のことが分かります。

①食品部門、衣料部門、住居部門、3部門、ともに、年々、売上高が減少しています。(食品部門の売上高には若干の凹凸がありますが)。

②上記3部門の、2004年2月期の売上高と2015年2月期の売上高を比較すると、以下のような数字になります。(詳細は、表-1参照)

●食品部門-2004年2月期売上高・約6525億円→2015年2月期売上高・約5929億円、この12年間で約596億円の売上高減。

●衣料部門-2004年2月期売上高・約3423億円→2015年2月期売上高・約1933億円、この12年間で約1490億円の売上高減。

●住居部門-2004年2月期売上高・約2573億円→2015年2月期売上高・約1535億円、この12年間で約1038億円の売上高減。

3部門ともに「売上高減」になっていますが、なかでも、売上高減が大きいのは、「衣料部門の売上高減・約1490億円」です。売上高の推移グラフを見ても、衣料部門の売上高減、落ち込みに、歯止めがかかっていない状態です。この先も、衣料部門の売上高は、さらに落ち込んでいく」気配がします。かつて、「イトーヨーカ堂の衣料部門は最強、利益の稼ぎ頭」と言われていましたが、現状は、残念ながら、「足を引っ張る部門、儲からない部門」になってしまっているのかもしれません。

2015年10月16日、株式会社矢野経済研究所が「国内アパレルに関する調査報告2015」をプレスリリースしましたが、そのなかで、次の調査結果を報告しています。

2014年の国内アパレル総小売規模は9兆3784億円、

品目別では、婦人服・洋品市場→5兆9086億円、紳士服・洋品市場→2兆5476億円、ベビー・子供服・洋品市場→9223億円。

この数字をもとに、大雑把な計算ですが、2014年におけるイトーヨーカ堂・衣料部門の売上シェアは、(1933億円÷9兆3784億円)≒2.06%。なんと、わずか、約2%という小さな数字です。この数字は、矢野経済研究所の報告にあった国内アパレル総小売市場規模・9兆3784億円をベースに考えると、残念ながら、「極めて存在感の低い数字」です。

007(表-1)は、イトーヨーカ堂の「年度別・商品部門別売上高及び商品売上計の推移」と、「年度別・売場坪当たり年間売上高の推移」をまとめたものです。(図-1)のグラフは、ここの数字をもとに作成しています。

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