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チェーンストアの衣料品売上動向を見る

チェーンストアの衣料品売上動向

日本チェーンストア協会(平成26年5月時点-会員企業数60社・店舗数9208店・売場面積2543万9230㎡)の販売統計をもとに、平成25年1月~平成26年5月間におけるチェーンストア(会員企業)の衣料品売上動向を追ってみました。「チェーンストアの衣料品は依然として長期的低落傾向にあり、そこからの脱出は極めて難しい」と思われます。

004(図-1)は、日本チェーンストア協会・会員企業の、平成25年1月~平成26年5月における「衣料品計の売上高及び売上高・月別前年比」の推移比較グラフです。これを見ると以下のことが言えます。

●平成25年1月~平成26年5月の期間で、売上高が「前年比超」の月は、平成25年3月・107.1%、平成25年6月・102.8%、平成26年3月・109.5%、わずか、この3ヶ月のみ。図を見ての通り、圧倒的に「前年割れ」の月数が多いことが分かります。チェーンストアの衣料品に「明るい兆し」は見えていないようです。

007(図-2)は、チェーンストアの、平成25年1月~平成26年5月の期間における、「衣料品計売上高の月別・前年比と婦人衣料の月別前年比」の推移比較グラフです。これを見ると以下のことが言えます。

●チェーンストアの婦人衣料の売上高は、衣料品計売上高の30%前後の売上シェアを常に確保している衣料品の主要部門です。したがって、衣料品計売上高は、婦人衣料の売上高に大きく左右されます。先に述べた期間における婦人衣料の売上高・月別前年比の「前年超」の月は、衣料品計売上高と同じ年月で、月数も3ヶ月と同じでした。チェーンストアの衣料品の主要部門である婦人衣料も、「売上高・前年割れの月」が圧倒的に多く、長期的に売上不振が続いているのが分かります。

チェーンストアの衣料品の長期低落傾向は続く

日本チェーンストア協会・会員企業チェーンストアの、商品部門別売上動向を見ると、食料品の売上高構成が「60%超」となり、「食品スーパーマーケット化」が顕著です。長期低落傾向から脱出できず、売上高の減少が続く衣料品、その売上減を食料品の売上で必死に穴埋めしている姿が見えるようです。商品部門別売上高の推移を見ると、「衣料品はダメ、住関連もいまひとつ頼りにならない、となると、どうしても食料品に頼らざるを得ない」、のかもしれません。いずれにせよ、日本チェーンストア協会・会員企業チェーンストアにおける衣料品の先行きに「明るい兆しは見られない」ようです。

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有力専門店チェーンの売上動向②-株式会社ポイント

株式会社ポイントの概要

平成26年2月期の決算短信によれば、平成25年9月、ナチュラルティストのファッションブランドを多数展開する「株式会社ポイント」は、「株式会社アダストリアホールディングス」と商号変更しています。(当ブログでは、ポイントと略)

005(表-1)は、株式会社アダストリアホールディングスと、株式会社ポイント(単体)の平成26年2月期決算をもとにその業績概要をまとめたものです。

●平成26年2月期決算の連結損益計算書によれば、株式会社アダストリアホールディングスは、売上高・約1532億円、当期純利益は約▲47億円で赤字。連結子会社化にともなう「のれん償却額」の計上、また、「のれんの一時償却61億9600万円」等を特別損失に計上したことが赤字決算の理由。

●一方、株式会社ポイント(単体)の、平成26年2月期(2014年2月期)の業績は、売上高・約1180億円、営業利益・約94億円。当連結会計年度末の店舗数は807店舗、アダストリアホールディングス・グループ全体合計売上高に占める割合は約76.9%。

株式会社ポイント-「既存店の月別売上高前年比&客数前年比」の推移

004(図-1)は、株式会社ポイントの、2012年3月~2014年2月における、「既存店の月別売上高前年比と客数前年比の推移比較グラフ」です。これを見ると以下のことが分かります。

●既存店の「月別売上高前年比(緑色・縦棒グラフ)」の数字が、「既存店の客数前年比(赤・折れ線グラフ)」の数字を下回っています。すなわち、「客数前年比が伸びているわりには、売上高前年比の伸びは低い」ということですが、この背景に何があるのかを、「客単価・月別前年比と客数・月別前年比」の推移を見ながら考えてみました。

005_2(図-2)は、株式会社ポイントの「既存店の月別客数前年比と月別客単価前年比」の推移比較グラフです。これを見ると次のことが分かります。

●「客単価月別前年比(緑・折れ線グラフ)」及び「客数月別前年比(赤・折れ線グラフ)」の推移を見ると、2012年11月以降、「客数・月別前年比の数字が客単価前年比数字よりも高い」という傾向が見えます。すなわち、2012年11月以降、2013年12月間における、客数月別前年比の数字は「前年超」が圧倒的に多いのに比べ、客単価・月別前年比の数字は、ほとんどの月が「前年割れ」となっています。

客単価を伸ばせるかどうかが重要課題に

●「売上高=客数×客単価」の公式で考えますと、「客数が伸びても、客単価が伸びなければ売上高の伸びは高くならない」という計算なります。(注:客数=買上客数、客単価=買上客1人当たり平均買上高、または、買上品1品当り平均売価単価×買上客1人当たり平均買上点数)。したがって、株式会社ポイントの2012年11月から2013年12月間における「客数・月別前年比と客単価・月別前年比」の推移を見ていくと、「客数・月別前年比は”前年超”で伸びているが、客単価・月別前年比の”前年割れ”が続いているために、月別売上高の伸びが低い」と考えることができます。当たり前のことですが、「客単価を伸ばすことができるかどうかが、売上高の伸びを大きく左右する」ことが分かります。株式会社ポイントが既存店の売上高を伸ばすには、いかに、客単価を上げられるかにかかっているのかもしれません。

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食品スーパー大手5社の「食品部門・商品分類別売上構成比&荒利益率」を見る

食品スーパーの食品部門・商品分類別売上構成比&荒利益率(各社2014年2月、3月期決算より作成)

(表-1)は、大手食品スーパー6社、ライフコーポレーション、マルエツ、ヨークベニマル、ヤオコー、カスミ、アークス、の食品部門の商品分類別売上構成比及び荒利益率を、各社の2014年2月~3月期決算データをもとに比較したものです。

012上記、食品スーパー大手6社の2014年2月、3月期決算における「食品部門の売上高ランキング」は以下のとおり。

第1位→ライフコーポレーション・食品計売上高約4311億円(荒利益率27.0%)

第2位→アークス・食品売上高約3711億円

第3位→マルエツ・食料品計売上高約2967億円(荒利益率27.8%)

第4位→ヨークベニマル・食品計売上高約2843億円(荒利益率25.1%)

第5位→ヤオコー・食品売上高計約2512億円(荒利益率28.4%)

第6位→カスミ・SM事業計売上高約2241億円

食品部門の売上高はライフコーポレーションが約4311億円で断然トップ。一方、荒利益率ではヤオコーが最も高く28.4%。

注①ヨークベニマルの荒利益率が25.1%となっていますが、非上場会社ですので、この数字は「セブン&アイHLDGSの事業分類別決算」からとった数字です。デリカ・惣菜の売上高、荒利益高がこの数字の中に算入されているかは不明。しかし、食品計売上高における生鮮食品の売上構成比が43.3%となっているのを見ると、デリカ・惣菜の数字が算入されていることも考えられます。平成18年2月期決算の有価証券報告書の「商品別売上高(連結)」食料品計売上高内訳では、生鮮食品36.16%、デリカテッセン14.58%となっています。

大手食品スーパー6社における食品部門の「生鮮3品+惣菜・デリカ」の売上構成比と荒利益率

S1_002(表-2)は、食品部門の要と言われている「生鮮3品(青果・鮮魚・精肉)+惣菜・デリカ」の売上構成比と荒利益率を比較したものです。

●まず、右表から、「生鮮3品+惣菜・デリカ」の食品売上高計に占める売上構成比は約46%~49%前後であることが分かります。(推定の数字ですが、ヨークベニマルは48%~50%前後かと思われます。そして、惣菜・デリカの売上構成比は12%~14%前後と推定しています)

●ライフコーポレーションとマルエツの2社は、生鮮3品及び惣菜・デリカ別の売上構成比と荒利益率が公表されています。それを見ると、生鮮3品に比べ、なんといっても、惣菜・デリカの荒利益率が高く、ライフコーポレーション・惣菜荒利益率41.5%、マルエツ・デリカ荒利益率42.2%となっています。さらに、ヤオコーのデリカ(三昧デリカ)の荒利益率は47.8%と最も高い数字になっています(表-1参照)。

強いと言われる食品スーパーマーケットは、生鮮3品の強さもさることながら、とりわけ、「荒利益率の高い惣菜・デリカが強い」と考えられます。食品スーパーマーケット業界では、「ヨークベニマルとヤオコーの惣菜・デリカはとても強い」という話を良く耳にしますが、「これからは、惣菜・デリカの強い食品スーパーが競争に強い」ということになるのかもしれません。

当ブログ:「小型量販衣料品店の動向を追う」で、食品スーパーマーケットのことを取り上げるのは、ちょっと違和感もありますが、最近の食品スーパーマーケット業界の大きな動き(業界再編、大型合併、大型買収等)を見て、とても興味を惹かれましたので、”番外編”として、いくつかメモしておくことにした次第です。

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