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大手食品スーパー4社に見る衣料品部門の現状と位置

大手食品スーパーにおける衣料品部門の位置づけ

株式上場している食品スーパーマーケットのなかで、大手食品スーパーマーケットチェーンとしては、①株式会社ライフコーポレーション、②株式会社アークス、③株式会社マルエツ(イオングループ)、④株式会社バロー、⑤マックスバリユー西日本株式会社、等があげられます。また、非上場の大手食品スーパーマーケットチェーンには、⑥株式会社ヨークベニマル(セブン&アイHDグループ)、⑦サミット株式会社、⑧オーケー株式会社、⑨株式会社ベイシア等があります。これら9社の食品スーパーマーケットで、商品部門別売上高・粗利益率等が公表(決算短信、決算参考資料、決算説明資料、決算営業概況等で)されていて、かつ、衣料品部門の決算業績の数字を掴めるところは4社あります。その4社における衣料品部門の現状、売上高、売上構成比、粗利益率をまとめて比較表を作成したものが(表-1)です。

005(表-1) を見て、次のことが言えます。

●大手食品スーパーマーケットにおける衣料品部門の全商品部門売上高合計に占める割合(衣料品部門売上構成比)は、最大でも6%以下。

●マルエツ、アークスにおいては 、それぞれ、マルエツ1.3%、アークス0.8%と低く、衣料品部門の存在は極めて影が薄いといいますか、無くてもいいぐらいの数字。

●ただし、衣料品部門の売上構成比は低いが、粗利益率は32%超で、かなり高い。

食品スーパーマーケットチェーンにおいて、衣料品部門の売上高、売上構成比が低いのは、考えてみれば、当然と言えば当然です。しかし、かつて、ある一時期、食品部門での激しい価格競争による粗利益額・率の低下を少しでも埋める対策のひとつとして衣料品部門の拡大強化策がとられたこともありました。いまでは、もう、昔話ですが、一部の食品スーパーマーケットチェーンにとって、衣料品の粗利益率の高さにかなりの魅力をひかれていたということでしょう。また、大手食品スーパーマーケット各社が、かつて、食品・衣料品・住関連品部門をフルライン構成した近隣型ショッピングセンター(MSC)づくりに取り組んだ時にも、衣料品部門の拡大強化策が大きな課題として掲げられた時もありました。しかし、大手食品スーパーマーケットチェーン、ライフコーポレーション、ヨークベニマル、マルエツ、アークス、この4社の2014年2月期決算データ(表-1)を見ても分かる通り、食品スーパーマーケットにおける衣料品部門は、いずれ消滅するのではないかと考えています。(私見ですが、ベイシアは別かもしれません・・)。

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大手GMSの2014年度・商品部門別売上構成を見る

大手GMS6社の2014年度・商品部門別(直営)売上構成に見る構造特性

(図-1)001 は 、大手GMS、イオンリテール、イトーヨーカ堂、ユニー(個別) 、イズミ(単体)、平和堂、イズミヤ、以上6社の2014年度決算(2014年2月~3月期)データをもとに作成した商品部門別売上構成比(衣料品・食料品・住関連・その他)の比較グラフです。これを見ると次のことが言えます。

●食料品部門の売上構成比が56.3%~73%と圧倒的に高い。一方、衣料品、住関連の売上構成比はともに30%以下となっている。

●経済産業省の「業態分類の定義」では、大型総合スーパーと食料品スーパーを次のように定義しています。

①大型総合スーパーとは「売場面積3000㎡以上(都の特別区及び政令都市は6000㎡以上)で、衣、食、住にわたる各種商品を小売りし、そのいずれも小売販売額の10%以上70%未満の範囲内にある事業所で、従業者数が50人以上の事業所」を言う

②食料品スーパーとは「食料品が70%以上、売場面積250㎡以上」

前記、大手GMS6社の商品部門別売上構成比を見ますと、この6社は、①の定義・「大型総合スーパー」に当てはまります。しかし、6社の食料品売上構成比を見ますと、先述していますが、下限値・イオンリテール56.3%~上限値・平和堂73%となっており、大型総合スーパーというより「食料品スーパーの定義に極めて接近した売上構成の数字」になっています。ザクッとした言い方をすれば、大手GMS6社は、「もう、ほとんど、食品スーパーと言ってもいい」ような気がしないでもありません。

009(図-2) は、前記、大手GMS6社の2014年度決算データをもとに作成した商品部門別(直営)売上高比較表及び比較グラフです。これを見ると以下のことが言えます。

●6社の、食料品売上高と衣料品売上高を比較すると、次のようになります。

①イオーリテールは食料品売上高が衣料品売上高の約2.97倍、以下、イトーヨーカ堂2.98倍、ユニー(個別)4.57倍、イズミ(単体)2.49倍、平和堂5.47倍、イズミヤ4.11倍、この数字をみると、大手GMS6社、なかでも、イオンリテール、イトーヨーカ堂、ユニー(個別)の3社は「食料品の稼ぎで食っている」と言ってもよさそうです。先述していますが、「大手GMSの食品スーパーマーケット化」がかなり進んでいるように見えます。大手GMS6社が、今後、どのような商品政策、商品戦略をとるかは分かりません。しかし、現時点における商品部門別売上構成比と売上高構成をみますと、これから先、食品スーパーマーケットとの激しい競争・競合は不可避です。そして、もし、大手GMS6社が、「食品スーパーマーケットとの競争に負けた」場合、GMS6社の存在価値は大きく失われることになると思われます。

012(表-1)は、前述、大手GMS6社の商品部門別(直営) 売上構成比と、商品部門別粗利益率を2014年2月~3月期決算データをもとに作成した比較表です。商品部門別売上構成比については先に述べた通りです。この表では、各社の食料品の荒利益率の中身の比較分析をされると面白いのではないかと考えています。

6社の食料品部門の荒利益率を見ると、下限値がユニー(個別)の20.5%、上限値が平和堂の27.3%となっています。なぜ、こんなに差があるのか、その背景にあるものを探れば、大手GMS6社の経営構造の一面が見えてくるような気がしますので、後日、詳細な分析をやってみようと考えています。

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2014年2月、3月期決算に見る「大手GMSの衣料品部門」動向

大手GMSの衣料品部門の売上高&売上構成比 

大手GM、イオンリテール株式会社、イトーヨーカ堂、ユニー(個別)、イズミ(単体)、平和堂、イズミヤ、これら6社の「現時点における衣料品部門の位置づけ」を、2014年2月~3月期決算データ、売上高、売上構成比、粗利益率、在庫回転数等をもとに考えてみました。

Gm_003(図-1) は、2014年2月~3月期決算データをもとに作成した、前記、大手GMS・6社の衣料品部門の、売上高、売上構成比の比較グラフです。これを見て次のことが言えます。

●大手GMS6社のなかで、衣料品部門の年間売上高を2000億円以上確保しているのは、イオンリテール株式会社・約3680億円と、イトーヨーカ堂 ・約2040億円、この2社。

ちなみに、総合量販衣料品店チェーン、また、ディリーファッションストアと言われる「ファッションセンターしまむら」の、2014年2月期決算における売上高は約4070億円。大手GMSの衣料品部門の売上高を大きく引き離しています。これから先、大手GMSの衣料品部門売上高が、ファッションセンターしまむらの売上高に追いつくことはないものと考えられます。

●大手GMS6社の直営・全商品部門売上高合計(衣料+食品+住関連+その他)に占める衣料品売上高構成比は30%以下。イズミ(単体)が最も高い売上構成比で24.4%、最も低いのは平和堂の13.4%。かつて、イトーヨーカド堂の衣料品部門は、売上構成比は30%超、粗利益率・高も、食品、住関連部門に比べ高く、「最大の利益貢献度部門」であったことを考えると、様変わりした数字です。大手GMSの衣料品部門が、いかに弱くなったか、その衰退ぶりが見えるようです。

Gm_008(図-2)は、2014年2月~3月期決算における、前記、大手GMS6社の衣料品部門の、粗利益率、ロス率(値下げロス率)の比較グラフです。これを見ると次のことが言えます。

●大手GMS6社の衣料品部門の粗利益率は、下限値がイズミヤ36.1%、上限値はイトーヨーカ堂39.6%で、36%~40%未満。

●しかし、問題は、ロス率(値下ロス率)の高さでしょう。ロス率を公表しているのは、6社のうち、イオンリテール、ユニー(個別)、イズミ(単体)、この3社ですが、最も低い数字でも、イズミ単体のロス率10.9%です。一方、イオンリテールのロス率は25.8%、イトーヨーカ堂でもロス率22.0%と、極めて高い数字です。ファッショセンターしまむらの値下げロス率は5%~7%以内であることを考えると、大手GMSは衣料品部門の商品戦略と商品経営(とりわけ、売価設定と在庫設定、在庫回転・在庫効率設定等)に極めて大きな問題・解決すべき課題を抱えていることが考えられます。

Gm_013(表-1) は、大手GMS6社の2014年度決算から、衣料品部門の商品経営に関するいくつかの数字項目をピックアップし比較したものです。衣料品部門の売上高、売上構成比、荒利益率、ロス率等については先に述べていますが、ここでもう一つ注目してほしい数字は衣料品の在庫回転日数の低さです。イズミヤの数字・63.4日が最も速い数字ですが、 イオンリテール、イトーヨーカ堂の2社は90日超の極めて遅い数字です。量販衣料品の商品経営では、年間平均在庫回転日数45日、年間在庫回転率8回、これ以上の数字を常に確保できなければ経営が成り立たない(厳しい、利益確保が困難)と言われます。この数字を量販衣料品商品経営の基準値として考えた場合、大手GMSの衣料品部門の商品経営は「早晩、行き詰る危険、経営が立ちいかなくなる危険」が大いにあると言えるかもしれません。

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ファッションセンターしまむら-東京都エリアにおける店舗展開の推移を見る

ファッションセンターしまむら・調布Tokyu店を出店

ファッションセンターしまむらは、2014年4月24日、東京都調布市に「調布Tokyu店」をオープンしました。

008(図-1)は、ファッションセンターしまむら・調布Tokyu店のオープンセール第一弾チラシからカットした店舗所在地図です。ファッションセンターしまむらが出店した場所は、食品スーパーマーケットの東急ストア・調布Tokyu店の3階、売場面積規模推定・約400坪 。

また、同日(2014年4月24日) に、食品スーパーマーケットの西友ストア東陽町店内・3階に「ファッションセンターしまむら・西友ストア東陽町店(売場面積規模約800㎡)」も同時出店しました。ファッションセンターしまむら「調布Tokyu店」、「西友ストア東陽町店」、ともに、インショップ型・テナント出店。

003「しまむら」の2014年月次売上速報によれば、ファッションセンターしまむらの4月時点における総店舗数は1302店となっています。「しまむら」は、ファッショセンターしまむら業態では、1800~2000店(日本国内)は展開することができると考えていると言われますが、そうなると、あと500~700店は出店することになります。間違いなく、総合量販衣料品店としてはダントツ、圧倒的な強さを持つ、強大な衣料品店チェーンです。

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ファッションセンターしまむらは、しまむらが対象とできる、日本国内の「衣料品及び衣料関連品の総消費購買額(しまむら独自計算推計値)」の売上シェア10%獲得を目指しているとも言われています。仮に、衣料品及び衣料関連品の総消費購買額が7兆円~8兆円としますと、ファッションセンターしまむらで約7000億円~8000億円を売り上げるという数字になります。この売下高になれば、衣料品店チェーンの世界ランキングでもベスト5に入ることになるかもしれません。

ファッションセンターしまむらの東京都エリアにおける店舗展開の推移

ファッションセンターしまむらは、10年前くらいからになりましょうか、出店戦略として、東京都、大阪府等も大都市における出店を重点政策としてきたと言われます。しかし、その進展速度は、思ったより遅く、大都市出店での物件確保に苦労している様子も見えます。とはいえ、ファッションセンターしまむらの東京都エリアにおける店舗数は、2014年2月期で50店舗と、決して小さな店舗数ではありません。(2014年4月の時点では、調布Tokyu店、西友東陽町店を出店しましたので、東京都エリアにおける店舗数は52店舗)

018(表-1)は、ファッションセンターしまむらの、東京都エリアにおける、年度別売上高、期末売場面積、店舗数、売上シェア等を時系列にまとめたものです(各期「決算概要」をもとに作成)。これを見ると次のことが分かります。

●2010年から東京都エリアにおける出店スピードが上がっており、年5店舗以上の出店をしている。

●しかし、しまむら独自計算の「東京都における衣料品総消費購買額」に占める、ファッションセンターしまむらの売上シェアは、2014年2月期で、約1.9%にしか過ぎず、極めて低い数字となっている。

●仮に、東京都エリアにおけるファッションセンターしまむら業態の獲得売上シェア目標を現在の2倍(1.9%×2=)3.8%%とするなら、単純計算でも、2014年2月期時点の数字の2倍、店舗数では100店舗、売上高なら約370億円となります。この数字を何年間で達成することできるかが、東京都エリア攻略の勝負点かもしれませんが、年に5店舗程度の出店数では、東京都エリアにおける展開店舗数を100店舗にするには、あと10年もかかってしまいます。(東京都エリアにおける展開店舗数目標100店舗-2014年2月期の店舗数50店舗=残り店舗数50店舗÷年間出店速度5店舗=10年)。はたして、ファッションセンターしまむらは東京都エリアにおいてどんな店舗展開を進めていくのか今後の動向をウォッチしていきたいと思います。東京都エリアにおいて年間10店舗という出店速度を出せるでしょうか、とても興味のあるところです。

 

 

 

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