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イオンの新業態大型専門店「F.T(エフティ)」吉川美南店を見る

イオンの新業態大型専門店「F.T(エフティ)」吉川美南店の概要 

●イオングループのイオンタウン株式会社は、2013年11月30日、埼玉県吉川市美南三丁目12番に「イオンタウン吉川美南」SCを出店しました。SCの商業施設面積は約4820㎡、駐車場収容台数200台、専門店7店舗の構成ですが、その核店舗が売場面積3500㎡の新業態大型店舗の「F.T(エフティ)吉川美南店」。

●ニューファミリー世帯の人口増加が見込まれる有望エリアへの出店で、SCのメインターゲットは40代団塊ジュニアファミリー。核店舗「F.T」のコンセプトは「トレンド、親しみ、心地よさのご提供」。

●基本商圏人口は、世帯数:約222800世帯、人口:543800人。

以上は、イオン-2013年11月12日付けのニュースリリースより抜粋したものです。

■吉川市の人口と性別年齢別(5歳区分)人口分布

吉川市の人口は、25年11月1日現在で、男子34020人、女子33526人、合計67546人(日本人のみ)となっています。これをみると、イオンタウン吉川美南SCが設定している「基本商圏人口、世帯数約222800世帯、人口数543800人」という数字は、「ちょっと大きすぎるのでは・・・・・」という感じがしないでもありませんが、今後の人口増が期待される小売店にとって極めて有望なエリアであることもあり、「先物買い」といいますか、かなりの広域商圏エリア設定をしていることがうかがえます。

011図は、2013年11月1日時点における、吉川市の 性別年齢別(5歳区分)人口数分布をグラフ化したものです。これを見ると、イオンタウン吉川美南SCのメインターゲットを40代団塊ジュニアファミリーとしたのも理解できます。

005 ■イオンタウン吉川美南SCと周辺小売店との競争・競合を考える

●イオンタウン吉川美南SC、及び、その核店舗である「F.T吉川美南店」の半径約1㎞のところに「しまむら吉川南ファッションモール」(ファッションセンターしまむら吉川南店+アベイル吉川南店-売場面積2402㎡・平成19年11月開店-2階建)があります。

●近い将来、イオンタウン吉川美南SCの近場に、同じくイオングループの食品スーパーマーケット「マックスバリユー」の出店が予定されています。それによって、イオンタウン吉川南SC周辺の商業集積力が一挙に増大し、集客力も増すことは間違いありません。しかし、それによって、「F.T吉川美南店」と「しまむら吉川南ファッションモール(ファッションセンターしまむら+アベイル)」の競争・競合関係が、「圧倒的に、F.T吉川美南店に有利になる」と考えるのはちょっと短絡的かもしれません。

●というのも、「ファッションセンターしまむら+アベイル」のターゲットは20歳代のヤング層、プラス、30歳代~40歳代のファミリーであり、それは、イオン・F.T吉川美南店のメインターゲットと全く重なっているからです。しまむらグループの低価格政策、最先端のファッショントレンドを短サイクルでまわす品揃え力、商品力、これらに「イオンF.T」がどこまで対抗できるのか、大いに興味のあるところです。イオンF.Tのコンセプト、商品選択眼、品揃え構成力、低価格での商品提供力に比べ、「ファッションセンターしまむら、アベイル」の力も、イオン・F.Tと、「すくなくとも、同等、もしかしたらそれ以上の力を持っているかもしれない」というところがあるからです。とりわけ、気になるのは、イオンF.Tの価格政策で、そのボリュームプライスレンジが、「GMS衣料のボリュームプライスレンジと同レベル、もしくは、それ以上」となっていると思われる点です。「良質廉価+最先端のファッショントレンドの品揃え+商品高速回転」を商品戦略の基本とする「ファッションセンターしまむら」とそのグループ企業を相手にした戦いは、イオンF.Tにとって、決して楽観視できないのではないかと思われます。

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■イオンタウン吉川美南SCの店舗建物配置と「F.T(エフティ)」の売場ゾーニング概略

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『競合店調査』に関するメモ

『競合店調査』に関する「知っておきたい基礎知識」

■競合店(競争店)の有無

小売店にとって、自店の対象商圏エリア内に、どのくらいの競合・競争店があるか、また、強い店があるかどうかは、自店の売上高、利益に大きな影響を及ぼす極めて重要な問題であることは言うまでもありません。自店が、十分な売上高と、経営的にやっていける利益を確保することができると考えられる「あるまとまったかたまり・数の人口(=商圏人口)が住んでいるエリア」に、競合・競争店が1店舗もないか、あっても「競争力の弱い店」しかなければ、売上高を独占、または、高い売上シェアを確保することができます。そのようなエリアを「無店地帯」、とか、「無競争地帯」と呼んでいることはご存じのとおりです。

こういうエリア=無競争地帯、無店舗地帯に店を出せば、売上も利益も比較的、楽に確保できることができます。そんなわけで、「無競争地帯、無店地帯への出店は美味しい」と言われていました。しかし、それはもう、随分、昔の話(20年も30年も前の話)で、今は、そんな美味しいエリア、店を出せば必ず売れる、儲かるというような場所は、探しても見つけることはできなくなりました。

■売場面積1㎡当り支持人口

小売店の競争度合を表す一つの指標に、「売場面積1㎡当り支持人口」-(あるエリアの居住人口=想定対象商圏エリアの人口、すなわち、商圏人口を、そのエリアにある小売店の売場面積合計で除したもの)-というものがあります。ある資料によれば、「売場面積1㎡当り支持人口」は、1970年・1.90人→2002年・0.93人→2007年・0.87人となっており、年々、減り続けています。これは言うまでもなく、小売店同士の競争が一段と激しさを増していることを意味します。さらに、出生数の低下と人口減少が、小売店同士の競争を一層、厳しいものにしています。

今は、どこに店を出そうと、どこに店があろうと、そこには必ず複数の競争・競合店が存在すると言ってもいい時代です。したがって、小売店は、常に、競争・競合店の動向に気を配り、柔軟、かつ、強力な競争・競合店対策をやっていく必要があります。以下は、「競争・競合店調査」とはなにか、なにが目的でやるのか、どんなことを調べるのか等について、現在の小売業界における代表的な考え方を、いくつかの資料から抜粋、ダイジェストのメモです。

■『競合店調査』の調査項目

①競争・競合店の立地→競争相手の店は、どんな場所にあるか。

②競争・競合店の駐車場収容台数

③競争・競合店の商業施設規模(敷地面積、売場面積)と業種構成、店舗構成

④競争・競合店の商品部門構成と、商品部門別売場面積と売上高

⑤競争・競合店の売場ゾーニング・レイアウト、商品部門別・陳列什器形態別台数とその配置図

⑥商品部門別、商品カテゴリー別、品揃えアイテム数

⑦商品品種・品目別、売価ライン別品揃え在庫数量→売価政策

⑧商品品種・品目別展開陳列フェイス数

⑨競争・競合店の販促政策

⑩商品部門別・売場別要員数

競合店調査では、少なくとも、以上、①~⑩の項目について徹底的に調査すべきです。

■『競争・競合店調査』の目的と調査項目-小売店A社の場合

①商圏設定のため

→その競争・競合店には、「どの地域の、どんな人たちが来店しているのか」

→その競争・競合店では、「何を買っているのか」

→その競争・競合店の「商品部門別の強弱と、MD力はどんな状況か」

→その競争・競合店の商品部門別売上高

以上のようなことを調べて、自店の商圏設定に使う。

②その競争・競合店のお客の、曜日別・時間帯別の買物動向、地域別特性、特徴商品の品揃え幅・構成比・売場坪数・売り方等を調べ、そのエリアの住民の生活実態、特性をつかむため。

③その競争・競合店の政策(店舗政策、商品政策、価格政策、ターゲット客層等)を知るため

④その競争・競合店のテナント構成、業種業態別テナント名と数、それらテナントの品揃え、価格政策等をつかみ、自店の競争・競合店対策に役立てるため。

⑤その競争・競合店に「お客はなぜ来ているのか」、「どんな魅力、メリットがあるのか」を知るため

調査項目

→その競争・競合店の来店客調査-「その店に来店している客は、どんな交通手段を使い、どのくらいの時間をかけてきているのか」

→その競争・競合店の「どの売場で買っているのか」、「買上金額と買上点数は」

→その競争・競合店に来ているお客は、「価格がやすいからか、品揃えが良いからか、鮮度が良いからか、接客サービスが良いからか」

→その競争・競合店のマーチャンダイジング力、商品部門別売上高

以上は、競合店調査では絶対必要、欠かすことのできない項目です。競争・競合店調査を行うときには、事前にこれらの事項について細かくその範囲を検討し、どこまでやるかを決めた上で調査に取り組みたいものです。

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商圏調査に関するメモ

商圏調査に関する「知っておきたい基礎知識」 

『商圏』とはなにか 

「商圏」とはなにかについては、小売業学術研究者、小売業研究機関、流通小売業経営コンサルタント、各小売企業等が、それぞれ、「商圏を定義づけ」し、その意味・内容を論理的に説明、文章化して発表しています。しかし、「商圏に関する基本的な考え方」には、そんなに大きな違いが無いように思われます。以下に述べるのは、「商圏とはなにか」に関する代表的な考え方をいくつかの資料から抜粋・ダイジェストしたものです。商圏調査の折には、是非、ご一読を。

(その1)-中小企業庁・実践行動マニュアルの「消費者にとって魅力あるまちづくり」で述べられている「商圏とは」

来街、来店しているお客様の居住範囲を「商圏」と呼ぶ。

商圏には、現在、お客様が来ている地理上の範囲である現状の商圏と、新たなお客様となる可能性のある潜在商圏がある。

商圏は各店舗の規模や、業種業態によって異なる。

地域の商圏の質や特徴を整理し、売上の予算や商業の成立性を図ることに役立てる。

商圏設定の狙いは、顧客になり得る消費者層に的を絞り、効果的なMD(品揃え、店舗構成)や、店舗の新陳代謝、、そして、販促活動を行うこと。

(その2)-小売企業A社が考える「商圏とは」   

商圏とは最終的に決まるものであり、商圏設定のための調査の段階では分からない。

商圏は、衣・食・住別に異なる。

行政圏と商圏とは違う。

商圏は3つある。

①調査商圏→調査分析をおこなうための地域の範囲。

②仮説商圏→調査分析の結果から、自店に来店してくれるだろうと予測される地域。

③実効商圏→実際に店を出し、営業して分かった「お客が来店している地域」

商圏設定は、世帯吸引率の高低で判断する。

商圏は、1㎞、2㎞というような単純な同心円ではない。

MD(マーチャンダイジング・品揃え)力により商圏は大きくもなり、小さくもなる。

商圏設定の手法

①競争相手となる店のお客の来店エリア→その店のお客はどの地域から来ているか。

②競争相手となる店のチラシ配布地域。

③自店に与えられている与件→立地、規模、MD力、店舗のタイプ等

④競争店のMD力、立地、規模、装備力、商品部門別売上高推定。

⑤人口の分布と密度。

⑥住民の価値観、ライフスタイル、所得レベル。

(その3)-小売企業B社が考える「商圏とは」  

商圏とは、店に買物に来るお客様の住んでいる地域のこと。

商圏とは、店からの距離ではなく、来店するのに必要な時間によってその広がりが限定される。

商圏は、単純な円ではなくアミーバ型になるのが普通。

距離、来店に要する時間、占拠率等により、一次商圏、二次商圏、三次商圏に分類。

商圏は、住宅の建設、交通網の変更、競争店の出現等によって変化する。

■いくつかの「商圏設定の手法」

①調査対象とする地域住民のアンケート調査に基づく商圏設定。

②自店がある近隣商店街への来街者調査、訪問調査に基づく商圏設定。

③店のお客のポイントカード等の顧客データにもとづく商圏設定。

④地図、地形、交通道路網に基づく商圏設定。

⑤商圏設定の理論モデルによる商圏設定。

 ライリーの法則、コンバースの法則、ハフの修正モデル等の理論モデルでの商圏設定

 

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