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量販衣料品の商品経営で常にチェックすべきは「在庫効率」-「商品回転日数(or年間商品回転率・数)」と「過剰在庫」

「リアルタイム・インベントリー」の仕組みを持っている小売企業、衣料品店であれば、品目(SKU・単品)レベルで、毎日、毎時間ごとに、品目別「在庫効率」、「商品回転日数」をチェックすることができます。その「リアルタイム・インベントリーの仕組み」を持たない小売企業でも、毎日、小分類レベルの「在庫効率」、「商品回転日数」をチェックしたいものです。それも難しいならば、最低でも、週1回、小分類レベルの「商品回転日数」をチェックすべきです。

交差主義比率でみる大手GMS、イオンリテール、ユニー、イズミ、3社の衣料品部門の商品経営力

003(図-1)は、イオンリテール、ユニー、イズミの衣料品部門の、平成16年2月期から平成25年2月期、この10年間における交差主義比率の推移をグラフ化したものです。これをみると次のことが言えます。

私的・衣料品商売の実務経験則ですが、「衣料品の商品経営では交差主義比率240以上を安定的に確保しないと赤字転落のリスク大」というのがあります。この経験則から、イオンリテール、ユニー、イズミ3社の衣料品部門の交差主義比率の推移を評価すれば、3社の数字はいずれも落第点ということになります。

ご存じのとおり、交差主義比率は、「年間商品回転率・数」×「粗利益率」の計算式でおこないますが、どんなかたちでも240以上になればよいというものではありません。

例えば、年間商品回転率・数5回×粗利益率48%=240、年間商品回転率4回×粗利益率60%=240、この2つの計算でも交差主義比率240を確保できます。しかし、衣料品の商品経営で最も大事なのは「商品回転日数の速さ(=年間商品回転率・数の高さ)」です。商品回転が遅くとも、粗利益率が高くして交差主義比率240をキープすればいいというわけにはいきません。

というのも、衣料品商売には、ファッションサイクルの短命化、めまぐるしく変化するファッショントレンド、季節・気候・気温の変化、激しい価格競争等のリスクが常にあるからです。そのため、商品回転が遅いと、これらのリスクに機敏に対応することができなくなり、大きな値下げロスを余儀なくされ、大損失を被ることになります。したがって、衣料品の商品経営にもとめられる姿は、「低速商品回転」×「高粗利益率」という姿よりも、「高速商品回転」×「低粗利益率」で高い交差主義比率を確保するという姿の方がベターとされます。この考え方から、先の、大手GMS・イオンリテール、ユニー、イズミ、3社の衣料品部門の商品経営をその交差主義比率の数字から評価しますと、3社共通の最大の問題点は「年間商品回転率・数の低さ」です。(表-1)に、3社の年間商品回転率・数(or商品回転日数)の推移をまとめてありますのでじっくりご覧ください。

005(表-1)を見れば一目瞭然ですが、イオンリテール、ユニー、イズミ、3社の衣料品部門の年間商品回転率・数は、ほとんどか6回転以下の数字です。6回転以上の年は、イズミの平成25年2月期の6回、ユニーの平成16年2月期の6.1回、この二つしかありません。したがって、3社の衣料品部門の商品経営の姿は、「低速商品回転」+「高粗利益率」+「二桁の高い値下げロス率」という形になっています。私的・実務経験則から言いますと、「3社の衣料品部門の商品経営は、商品回転率・数(or商品回転日数)が8回以上、商品回転日数で45日以下になるまで」、①商品回転日数重視で徹底した在庫削減をはかるか、②売価政策を、今よりもローポジションにし、当初値入率も下げ、値下げロス率を抑え込む、この2つに取り組む必要があると思います。それができなければ、そう遠くない先に、衣料品の商品経営は破綻の危機をむかえることになるかもしれません。(そうなってほしくはありませんが・・・・・)

003_2(表-2)は、経済産業省:商業統計-調査年度別・「業態別商品手持額・1事業所当たり商品手持額及び商品回転率」をもとに作成したものです。これを見ると、衣料スーパーでも年間商品回転率・数は7.5回転、、衣料専門店、衣料中心店にいたっては年間商品回転率・数が5回以下という数字です。衣料品商売の厳しさ、苦しさが見えるようです。

ちなみに、ファッションセンターしまむらは、年間商品回転率9.5回~10.5回、粗利益率30%~31%ですので、彼らの交差主義比率は、低くとも、年間商品回転率・数9.5回×粗利益率30%≒285、普通の状態は、年間商品回転率・数10.5回×粗利益率31%≒325、このくらいの商品経営をやっています。彼らは、大手GMSの衣料品部門の経営力を、きっと「醒めた目」で見ていることでしょう。こんなことを言うと、「生意気な」と叱られそうですが、大手GMSが衣料品部門の商品経営力で「しまむらに勝てる日は来ない」ような気がしないでもありません。

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衣料品の販売動向 小売店別・月別売上高前年比の推移を見る

①日本百貨店協会の販売統計-「全国百貨店・売上高速報-月別商品別売上高」、②三越伊勢丹HD・「売上確報・伊勢丹新宿本店-月別商品別売上高、③日本チェーンストア協会・販売統計-「各年度別・チェーンストア販売統計月次一覧」、④ファッションセンターしまむら・「年度別月次売上速報-既存店・月別売上前年比」、以上、①~④の販売統計データをもとに時系列で衣料品の販売動向を調べた結果のメモ。

003(図-1)は、前述した、日本百貨店協会、及び、三越伊勢丹HDの販売統計データをもとに作成した、「全国百貨店、及び、伊勢丹新宿本店の衣料品部門の月別・売上高前年比の推移」をグラフ化したものです。これを見ると以下のことが言えます。

2012年1月~2013年4月の過去16ケ月間における「全国百貨店・衣料品部門、伊勢丹新宿本店・衣料品部門の月別・売上高前年比」の推移をみると、両者ともに「前年割れ月」が圧倒的に多い。過去16カ月間における、伊勢丹新宿本店の衣料品部門の月別売上高「前年割れ月」は10ヶ月、全国百貨店・衣料品部門は12ヶ月です。百貨店の衣料品部門は、依然として「売上不振が続いている」のが分かります。

伊勢丹新宿本店の衣料品部門の月別売上高で「前年比が大きく上回っている」のは、2012年の3月、4月です。また、2013年3月、4月の月別売上高前年比が高い伸びをしているのは、伊勢丹新宿本店が大改装(投資額・約90億円という)され3月6日にリニューアルグランドオープンセールを行った結果の数字です。リニューアルグランドオープンと、もう一つは、アベノミクスによる円安・株高で景気上向き期待によって一部消費者の「財布の紐が緩んだ」結果と思われます。これで「勢いがついて、恒常化した売上高前年割れから脱出」できればいいのですが・・・・・・。

005(表-1)は、全国百貨店、及び、新宿伊勢丹本店の衣料品部門及び衣料関連商品の「商品別・月別売上高前年比の推移」一覧表です。これを見ると次のことが言えます。

三越伊勢丹新宿本店、全国百貨店ともに「紳士服・洋品」部門の頑張りが見られますが、「婦人服・洋品」、「子供服・洋品」の2部門は「月別売上高前年割れ」月数が圧倒的に多く、苦戦しているのが分かります。

衣料品部門の苦戦が続いている一方、全国百貨店の「美術・宝飾・貴金属」部門、そして、伊勢丹新宿本店の「身廻り品」部門の月別・売上高前年比に「前年超」の月数が多いことが見えます。とくに、2013年1月以降の「月別売上高前年比の伸びが高い」のが目立ちますが、これは、消費者が「景気回復の気配」を感じて消費出動した結果なのかもしれません。「少しは明るい日差しがさしてきた」と考えたいものです。

009(図-2)は、(図-1)に、ファッションセンターしまむらの「既存店・月別売上高前年比の推移」と、日本チェーストア協会の「チェーンストアの衣料品月次売上高前年比の推移」の二つを重ねグラフ化したものです。これをみると次のことが言えます。

2012年1月~2013年月まで、この16カ月間におけるファッションセンターしまむらの「既存店・月別売上高前年比の推移」をみると、「前年超の月数」が9ヶ月もあります。伊勢丹新宿本店・衣料品部門、全国百貨店・衣料品部門、チェーンストアの衣料品部門、3者ともに衣料品・月別売上高「前年割れ」月数が多く、不振にあえいでいるのに比べると、ファッションセンターしまむらの「強さ」といいますか、「善戦ぶり」が目立ちます。「さすが、しまむら」と言うところでしょうか・・・・・・。

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