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チェーンストアの売場効率&人的生産性の推移を見る

日本チェーンストア協会が発表している「販売統計-暦年でみる規模推移」に記載されている協会会員企業の年度別、①総販売額、②店舗面積、③従業員数、④従業員内訳の数値をもとに、「チェーンストアの売場坪当たり年間売上高の推移(図-1)」と、「従業員1人当たり年間売上高の推移(図-2)」を計算、グラフ化してみました。その変わり様を見て、小売業界の競争の激しさ、生存競争の厳しさを強く感じました。

チェーンストアの売場坪当たり年間売上高の推移

016(図-1)は、1989年~2011年、この23年間における「チェーンストアの「年間総販売額」、「店舗面積」と、この2つの数字をもとに計算した「チェーンストアの売場坪当たり年間売上高」の推移をグラフ化したものです。これを見ると次のことが分かります。

総販売額は、1997年の約16兆8635億円をピークに、それ以降、下落し続け、2011年には約12兆7024億円となっています。これは、1997年の数字を100とすると、その約75.3%です。

一方、店舗面積の推移を見ると、1989年以降、増加し続け、2011年の店舗面積は約2395万㎡となり、1989年の店舗面積・約1170万㎡の約2倍になっています。

「年度別店舗面積は増え続けているが、年間総販売額は減り続けている」という状態が続いています。したがって、当然のことながら、売場効率も低下し続けています。

売場坪当たり年間売上高は、1991年の398万円をピークに、それ以降は落ち続け、2011年には175万円と、1991年の数字の約44%にまで下落しています。売場坪当たり年間売上高の落ち込みは、出店開発設備投資額に大きな影響を及ぼしますが、1991年~2011年、この21年間における「売場坪当たり年間売上高の落ち込み度」を見ますと、出店開発設備投資計画は、相当、慎重に進めていかないと「リスク大」であることが分かります。

「従業員1人当たり年間売上高」&「パート比率」の推移

020(図-2)は、1898年~2011年、この23年間における、チェーンストアの「従業員1人当たり年間売上高(縦棒グラフ)」、及び、「パート比率(折れ線グラフ)」の推移グラフです。これを見ると次のことが言えます。

従業員1人当たり年間売上高は、1991年の3837万円をピークに、以降、多少の凸凹はあるものの、下落し続け、2011年には2919万円まで落ち込んでいます。この数字は、1991年の約82%掛けです。従業員1人当たり年間売上高の下落は、当然のことながら、要員計画や、人件費設定に大きな影響を及ぼします。多くの小売企業が、「人減らし策」、「賃金等の人件費抑制策」に取り組まざるを得ない状況が続くことになります。

従業員1人当たり年間売上高の下落と並行して、「パート比率」は上がり続けいています。1989年のパート比率は39.9%でしたが、2011年には1989年の約1.87倍まで拡大され、パート比率74.7%となっています。現在、食品スーパーマーケットのなかには、パート比率を80%超まで拡大しているところもありますが、これから先を考えると、パート比率90%の小売企業も出てくるような気がします。全従業員数に占める正社員の割合が10%という数字には、「そこまで正社員比率を落としていいのかな?」という疑問もありますが、優秀なパートタイマーを確保することができれば、それほど心配することもないのかもしれません。「ファッションセンターしまむら」のパート比率、要員体制、人のシフトをみると、決して、不可能と言えることではないようにも思われるのですが・・・・・・。

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ファッションセンターしまむらは「強い!」

ファッションセンターしまむらの「強さ」

018(図-1)は、「経済産業省・商業販売統計年報-大型小売店業態別・商品販売額」の「百貨店と総合スーパー 大型小売店の衣料品販売動向の推移」を比較グラフ化したものです。これを見ると次のことが分かります。

百貨店及び総合スーパーの衣料品販売額は下降し続けている。

百貨店・衣料品販売額は1997年の売上高・約5兆6257億円をピークに、それ以降、下落が続き、2010年には約3兆1935億円となり、1997年を100とすると、その約56.7%まで落ち込んでいる。同様、総合スーパーの衣料品販売額も、1996年には約3兆1314億円あった販売額が2010年には約1兆5649億円となり、1996年の約49.9%にまで落ち込んだ。百貨店、総合スーパーの業績が悪い最大の原因は、衣料品不振、衣料品が足を引っ張っているからだという話も納得できます。多くの小売企業の衣料品部門の売上も、下落が続く百貨店、総合スーパーの衣料品販売額と同じ様に、落ち込みが続いています。これから先も、衣料品販売額の下落傾向は続くものと考えられますが、今後、小売企業各社は衣料品にどんな取り組みをしていくのか大いに関心があります。

021(図-2)は、ファッションセンターしまむらの2001年~2012年、この12年間における「全店計・年度別売上高前年比の推移」と「既存店・年度別売上高前年比の推移」を比較グラフ化したものです。これを見ると次のことが分かります。

先に、(図-1)で、百貨店、総合スーパー、大型店の衣料品販売額が落ち込み続けていることを述べましたが、2001年から2012年、この12年間における「ファッションセンターしまむら」の「全店計及び既存店の年度別売上高前年比の推移」を見ると、既存店売上高前年比では「前年割れ」の年が3つほどありますが、それほどの落ち込みはしていません。また、全店計・年度別売上高前年比は、しまむらの年間新規出店数が多いことが背景にありますが、前年割れした年は1つしかありません。ざっくり言えば、「ファッションセンターしまむらの業績は、落ち込みが続く百貨店や総合スーパーの衣料品販売額に比べ、全店計、既存店売上高前年比ともに「前年超」の年が多く(多少、前年割れの年もあるとはいえ)、伸び続け、依然として成長路線」を辿っています。「ファッションセンターしまむらの強さ」を見せつけられた思いです。

022(図-3)は、ファッションセンターしまむらの、2001年~2012年、この12年間における「買上客1人当たり平均客単価」と「買上商品1点平均売価単価」の推移グラフです。これを見ると次のことが言えます。

長年、衣料不振が続いており、衣料品を取り扱っている小売企業の「衣料部門の売上前年割れ」、「客単価の下落、売価単価の下落」が常態化しています。しかし、2001年~2012年、この12年間におけるファッションセンターしまむらの「平均買上客単価」と「1点平均売価単価」の推移を見ると、両者とも「ほとんど横ばい」で、それほどの落ち込みは見られません。ここにも、「低価格+良質+ファッショントレンド最先端」の商品戦略・政策、それを支える「安く売っても利益が出せる」徹底したローコスト経営を進めてきた「ファッションセンターしまむらの強さ」が見られるのではないでしょうか。

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衣料品の家庭消費規模の推移を見る

衣料品の家庭消費規模の推移

001(図-1)は、「オフィス 0」が、家計調査年報及び国民経済計算年報から推計計算した「衣料品の家庭消費規模の推移(推定)」をもとに、1996年~2010年までの推移・変化をグラフ化したものです。これを見ると次のことが分かります。

1996年の「衣料品の家庭消費規模(推計)」は約18兆4836億円ありました。しかし、2010年には約8兆9899億円となり、1996年の約49%と半減。衣料品の家庭消費規模の落ち込みが続いています。傾向から考えると、この先も下落が続きそうです。「衣料品商売の厳しさ」はこれから先も続くと予測されます。

006(図-2)は、「衣料品の家庭消費規模の推移(推定)から作成した「品目別・年度別増減-1996年対2010年比較グラフ(1996年=100)」です。これを見ると次のことが言えます。

1996年を100として2010年の「衣料品の家庭消費規模」を見ると、ほとんどの品目が1996年の数字を下回っています。唯一、伸びているのは「他の婦人シャツ」のみで、1996年対比2010年の数字が102.7%となっています。

1996年対2010年の品目別・家庭消費規模比較で、2010年の数字が1996年の30%以下まで大きく落ち込んでいる品目は、生糸・糸類29.9%、和服21.0%、婦人長靴下27.0%、子供セーター28.9%、婦人スカート27.1%、婦人服28.3%、男子セーター58.4%、この7品目。ここまで落ち込むと、これら7つの品目での商売はかなり厳しいことが考えられます。

一方、1996年と2010年対比の数字が100%を割ってはいるけれど80%以上を確保しているという品目として、婦人ソックス89.1%、他の婦人シャツ102.7%、他の婦人洋服99.3%、この3品目があります。

008(図-3)は、「衣料品の家庭消費規模推計」をもとに作成した1996年対2010年の品目別構成比(衣料品の家庭消費規模推計・総合計=100とした)の増減比較グラフです。これを見ると次のことが分かります。

品目別売上構成比の増減変化を見ると、「2010年の品目別売上構成比が1996年の数字より上の品目がいくつかあります。それは、他の男子洋服、他の男子シャツ、婦人スラックス、他の婦人洋服、他の婦人シャツ、婦人下着類、他の被服、履物類、この8品目。これら8品目の品揃えウェイト如何が売上に与える影響は決して少なくないと思われます。

015(表-2)は、(図-3)で述べている「2010年の品目別売上構成比の数字が1996年よりも多かった8品目」の内訳です。これを見ると、衣料品業界でいうところの、軽衣料と中衣料に入る品種・品目が多いことが分かります。また、アウターウェアとインナーウェアの中間にある「境界際商品」と呼んでもいいような商品、品種・品目もいくつかあります。これらの変化に対応して衣料品店の品揃えも大きく変化していると思われます。

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(表-1)は、「衣料品の家庭消費規模の推移」から作成した「1996年対2010年の品目別・家消費額及び品目別構成比」及び、「1996年対2010年増減率比較の一覧表です。1996年対2010年を比較した品目別・家庭消費規模の増減額を見れば、その盛衰の様がよく見えるのではないかと思います。

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