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有力衣料専門店の動向 平成25年2月期・第2四半期業績を見る

有力衣料専門店の動向

株式上場している衣料専門店各社が「平成25年2月期・第2四半期・決算」を発表しています。そのなかから、有力衣料専門店と評価の高い、①ファッションセンターしまむら、②西松屋チェーン、③良品計画、④ポイント、⑤ゼビオ、⑥青山商事、をピックアップし、この6社の平成25年2月期・第2四半期における業績分析・比較をレポートとしてまとめておきます。(6社が発表した平成25年2月期・第2四半期の決算短信、決算補足資料、決算説明資料等をもとに作成)

002(図-1)は、前述した6社、ファッションセンターしまむら、西松屋チェーン、良品計画、ポイント、ゼビオ、青山商事、の平成25年2月期・第2四半期における売上高と期間売上高前年比(伸率)の比較グラフです。これを見ると次のことが言えます。

多くの衣料専門店の既存店売上高前年比は「前年割れ」、または、「よくても横ばい」です。先にあげた6社にも同じことが言えますが。しかし、積極的に出店を進めている6社の全店計売上高前年比(伸率)は、出店による店舗数増、売場面積増もあって、全て「前年100%超」となっています。

少子化の影響で売上伸び悩みが続いている西松屋チェーンの平成25年2月期・第2四半期売上高前年比は101.7%と低い数字でした。しかし、残りの5社の全店計連結売上高前年比は、ファッションセンターしまむら107.8%、良品計画106.5%、ポイント105%、ゼビオ107.7%、青山商事106%と、「いずれも前年比105%超」と高い数字を達成しています。過去10年以上も前から長期間にわたって、衣料品不振、衣料品不況が言われ続けていますが、ここにあげた衣料専門店6社の売上高前年比(伸率)105%超という数字に、手の打ち方によっては衣料品不況から脱出できる可能性と「一筋の明るさ」を感じます。

006(図-2)は、前述した6社の、平成25年2月期・第2四半期における売上総利益率と当期純利益率の比較グラフです。さすがに、有力衣料専門店、優良衣料専門店チェーンと評価の高い6社だけに、すべて、「売上総利益率>販管費率」となっています。これは6社全てが「本業で利益を出している」ことを意味し、6社の商店経営力、商品経営力の高さを示しています。

SPA(製造小売業)と言われる衣料専門店の売上総利益率の高さが目立ちます。ポイントの売上総利益率58.87%が最も高い数字ですが、他の5社もSPA型小売企業の商品調達の仕組み、SPA的商品調達の仕組みを作り上げています。しかし、ファッションセンターしまむらと、西松屋チェーンの2社は、徹底した低価格政策と、ローコスト経営を進めていますので、6社の中では、売上総利益率、販管費率ともに低い数字になっています。これは、他の4社との戦略、政策の違いからくるものでしょう。

008(図-3)は、6社の平成25年2月期・第2四半期における経常利益率と当期純利益率の比較グラフです。

良品計画の経常利益率10.7%、ファッションセンターしまらむらの経常利益率9.35%の高さが目立ちます。この2社は、「国際的に優秀な小売企業とされる指標値は、経常利益率10%、当期純利益5%」と考えていると言われていますが、その国際的に優秀と評価される小売企業の国際的指標値を「ほぼ達成している」と言えそうです。ファッションセンターしまむらと、良品計画、この2社が、これから先も、「経常利益率10%、当期純利益率5%」という数字を確保し続けることができるかどうか、大いに関心を持ってウォッチングし続けようと思っています。

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GMS・衣料品の動向 -平成25年2月期・第2四半期決算

GMS・衣料品の動向を見る

大手GMS各社の平成25年2月期・第2四半期決算が発表されています。大手GMS各社、イオンリテール、イオン九州、ユニー、イズミ、イオン北海道、イトーヨーカ堂、イズミヤが公表した決算短信、決算補足資料、決算説明資料等に記載されているデータをもとに分析・作成した「GMS・衣料品の現況」を、以下に書きまとめておきます。

004(図-1)は、先にあげた大手GMS・7社の衣料品の、①平成25年2月期・第2四半期の衣料品売上高と、②同期間における衣料品売上高の前年比を比較グラフ化したもの。これを見ると次のことが分かります。

平成25年2月期・第2四半期の売上高が、「前年割れ」しているのは、大手GMS・7社のうち、イオンリテール、ユニー、イオン北海道、イトーヨーカ堂、イズミヤの5社。売上高が「前年超」なのは、イオン九州(101.5%)、イズミ(102.1%)の2社。新規出店による売場増、逆に、閉店等による売場減等はあるものの、GMS・衣料品は依然として低迷しており、その先行きは「暗い」ように思われます。衣料品・起死回生となるような決め手を、大手GMSは、いまだに見出せていないというのが現状のようです。「良質、低価格、トレンデイ」を武器にして、売上と利益を伸ばしている、ファストファッショングループ、ユニクロ(ファーストリティリング)、ファッションセンターしまむら、ハニーズ等の「勝ち組・元気組」と比べると、大手GMS・7社の衣料品の「弱り切った姿」は対照的です。

008(図-2)は、先にあげた大手GMS・6社の衣料品の、①第2四半期の粗利益率と、②同期間における値下げ&ロス率の比較グラフ化したもの。これを見ると次のことが分かります。

大手GMSの衣料品の過去の通期・粗利益率は約36.5%~約38%前後のところが多く見られます。平成25年第2四半期における、先にあげた大手GMS・6社の粗利益率も、同様、約36.5%~約38%前後にありますから、GMSの衣料品の粗利益率は、ほぼこのあたりの数字に固まってきているように思われます。

大手GMS・衣料品の数字で特に目につくのは「値下げ&ロス率の高さ」です。ファッションセンターしまむらの値下げ&ロス率は、ほぼ5%~6%というところですが、イオンリテール、イオン九州、ユニー、大手GMS・3社の値下げ&ロス率は、その約3倍から5倍という数字になります。大手GMSといえども、衣料品の値下げ&ロス率は、せめて、イズミヤの9%の数字を上限として、それ以下に、抑え込む商品管理体制づくりが必要に思われます。

009(図-3)は、イオンリテール、イオン九州、ユニー、イズミ、イオン北海道、大手GMS・6社の衣料品の、平成25年・第2四半期(上半期)における商品回転率(数)の比較グラフです。これを見ると次のことが言えます。

単純計算ですが、6社・各社の数字を2倍したものが年間商品回転率(数)になります。6社のうち、第2四半期の商品回転率(数)が最も高いのは、イズミの3.0回転ですが、この数字でも年間商品回転率は(第2四半期・上半期の商品回転率3.0回×2・通期)=年間商品回転率6回にしかなりません。この6回という年間商品回転率は、量販衣料品の商品経営では、ぎりぎり許容できる最低限の年間商品回転率と言っていいでしょう。大手GMS・衣料品の最大の弱点は、この「商品回転率の低さ」にあります。この問題を解決できない限り、「大手GMS・衣料品に明日は無い」と言っても過言ではないでしょう。売価政策の見直し、坪当たり売価在庫高の見直し、商品回転率重視の商品経営、在庫投資資金効率アップ対策等、攻撃的な商品政策が求められていると思われます。

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量販衣料品の売価設定「考」

量販衣料品の売価設定「考」

今、普段着、カジュアルウェアと呼ばれる量販衣料品の売価決定主導権は、ユニクロ(ファーストリティリング)、ファッションセンターしまむら、ハニーズ等のファストファッション小売店グループが握っています。百貨店も、GMS(総合大型スーパー)も、ファストファッショングループが展開する強力な低価格政策で受ける影響(売上減、客数減、客離れ等)を無視することができず、また、彼らとの競争面における対抗上からも、かなり無理した低価格政策を展開してきました。しかし、低価格、高速回転の商品経営、そして、徹底したローコスト経営をとるファストファッション小売店グループに比べ、高コスト経営損益構造から脱出できずにいる百貨店、GMSの無理した低価格政策には、すでに行き詰まりが見えています。

そんなわけで、日本衣料管理協会が発表している「衣料品の使用実態調査」-衣料の購入価格(2010年調査)のデータをもとに、普段着、カジュアルウェアと呼ばれている量販衣料品の売価設定について私なりに考えてみましたので、以下に、簡潔にまとめておきます。売価政策を考えるときのヒントにでもなれば幸いです。

004以下に述べる(図-1)~(図-3)は、日本衣料管理協会が発表している「衣料品使用実態調査」-学生:1137人を調査対象者とした「衣料品の購入価格」(2010年調査)のデータをもとに作成した商品品目別
購入価格帯(価格ゾーン)グラフです。これを見ると次のことが言えます。

Tシャツで最も高い比率の購入価格帯は、1001円~3000円の52.4%、第二位は、1000円以下の26.0%、第三位が3001円~5000円の価格帯となっています。これをもとに、第一位から第三位までの購入価格帯における小売店の売価設定は次のようになると思います。

(A)1001円~3000円の購入価格帯の売価ライン設定⇒1900円、2900円

(B)1000円以下の購入価格帯における売価ライン設定⇒780円、980円

(C)3001円~5000円の購入価格帯の売価ライン設定⇒3900円、4900円

売価政策としては、中心ボリューム価格ゾーンの売価ラインは1900円、2900円、上限売価ゾーンの売価ラインは3900円、4900円、下限ゾーンの売価ラインは780円、980円。

トレーナー、ポロシャツの中心ボリューム価格ゾーン、上限売価ゾーン、下限売価ゾーンにおける売価ライン設定もTシャツと同じ設定が考えられる。

008セーター、カーディガン、シャツ・ブラウス(図-2)の、中心ボリューム価格ゾーンの売価ライン設定は1900円、2900円、そして、上限売価ゾーンの売価ライン設定を3900円、4900円にするのがベターと考えられます。

010_2ジーンズ、パンツ、ショートパンツ(図-3)の売価設定も、セーター、カーディガン、シャツ・ブラウスと同じ売価ライン設定がベターではないかと思われます。

このように、(図-1)~(図-3)のデータをもとに、普段着、カジュアルウェアの売価ライン設定を進めると、中心ボリューム価格帯における売価ラインは、1900円、2900円を設定することベターと思われます。そして、1900円売価ラインの品揃え内容、アイテム数と商品品質がポイントになると考えられます。

経験則で考える「売価設定」

001右図は、私なりの経験則で考えた「売価設定簡易計算表」です。GMS(総合大型スーパー-イオンリテール、イトーヨーカ堂、ユニー等)が商品品目別に展開している中心ボリューム価格ラインがいくらかを物差しとして売価政策・売価設定を考えるものです。経験則であり、非科学的なところもありますが、ひとつの参考資料として見ていただければ幸いです。

多くの小売店が「商品品目別・売価レンジ別、日々売上データ収集管理システム」を持っています。そこから得たデータと分析をもとに科学的な売価政策・売価設定を考えていくのが正攻法であることは言うまでもありません。繰り返しになりますが、経験則で考える『売価設定』は、あくまでも一つの参考資料であることを言っておきたいと思います。

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