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繊維卸売業の経常利益率と粗利益率

繊維卸売業の経常利益率と粗利益率

日経MJ新聞(2012年8月1日号)に掲載された「第41回 日本の卸売業調査」-(繊維卸売業ランキング)をもとに、『繊維卸売業の経常利益率と粗利益率』を調べ、分布図を作成し対称図としてまとめたものが(図-1)です。

004(図-1)の「繊維卸売業の経常利益率と粗利益率」分布図を見ると次のことが分かります。

繊維不況が言われて久しいですが、相変わらず、繊維卸売業、繊維小売業は「冬の時代」にあり、多くの企業が苦しんでいます。「衣料品の時代は終わった」と言われ、繊維卸売業、衣料品小売業の将来は「お先真っ暗な状況」と断言する人も少なくありません。しかし、ファッションビジネスの動向を見渡しますと、時の話題になっている小売企業は、不思議なことに衣料品小売企業です。国内衣料品小売り企業では、ファーストリティリング、ユニクロ、ファッションセンターしまむら、ポイント、西松屋チェーン、そして、外国勢では、H&M、フォーエバー21、GAP、オールドネイビー、ZARA等。これら元気印の衣料品小売企業の動向を見ていると、繊維不況も、衣料品の時代は終わったという極めて悲観的な見方ではなく、まだまだ、やりよう如何で、繊維卸売業も、衣料品小売業も「花を咲かせることができる。ビジネスチャンスは沢山ある」と思えてしかたありません。

繊維不況、衣料品不振と言われる中で、繊維卸売業のなかには、粗利益率30%以上、経常利益率6%超の繊維卸売企業がある。経常利益率でみると、例えば、ワーゲン11.6%(婦人服)、自重堂8.6%(ユニホーム)、三共生興8.1%(総合繊維)、キング8.1%(総合繊維)等である。

また、経常利益率が5%~6%前後の繊維卸売企業には、ヤマトインターナショナル、ワコール、ジオン商事、アステイ、片倉工業、オンワードHD等がある。

経常利益率が8%以上の繊維卸売企業、そして、経常利益率5%~6%という数字を出している小売企業は決して多くはない。繊維卸売企業、衣料品小売り企業、両者ともに、厳しい経済環境の中で、売上、利益等は伸び悩んではいるが、みんながみんな「絶望的」というわけではない。

006(表-1)は、前述した日経MJ新聞(2012年8月1日号)に掲載された「第41回 日本の卸売業調査」-(繊維卸売業ランキング)から抜粋、作成した、「量販衣料品店チェーン」によく知られた繊維卸売業の売上高、経常利益額、経常利益率、粗利益率一覧表です。各社の粗利益率と経常利益率を詳しく比較チェックすれば、繊維卸売企業のなかの実力企業、そして優れた経営力を有する優秀企業が垣間見えるのではないかと思います。繊維卸売業界が悲観論一色ではないことも分かるのではないでしょうか。

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株・ポイント&西松屋チェーンの既存店売上高伸率(前年比)の推移

株式会社ポイントの既存店売上高伸率(前年比)の推移

007 

(図-3)は、株式会社ポイントの、2009年3月~2012年7月まで、41か月間における既存店月別売上高伸率(前年比)の推移グラフ。

株式会社ポイントの年度別既存店売上高伸率(前年比)は以下のとおり。

2010年2月期---既存店売上高伸率(前年比)97.3%、全店計売上高前年比111.8%。

2011年2月期---既存店売上高前年比96.3%、全店計売上高前年比108.2%る

2012年2月期---既存店売上高前年比95.8%、全店計売上高前年比107.7%。

2013年2月期(上半期)--既存店売上高前年比97.6%、全店計売上高前年比103.9%

2010年2月期~2013年2月期(上半期)における既存店売上高前年比は、2010年、2011年、2012年、2012年上半期、いずれも「前年割れ」。

また、ポイントの既存店月別売上高前年比の推移グラフを見ると、次のことが分かります。

ポイントの2009年3月~2012年7月まで、この41ヶ月において、既存店売上高前年比が「前年超」の月数は9、「前年割れ」の月数は32。「前年割れの月数」が圧倒的に多い。一方、全店計売上高前年比は出店店舗数が多いので、「前年超の月数」が圧倒的に多い。

既存店売上高前年比「前年割れ」の月数の多さは、ポイントが既存店活性化で苦戦していることを物語っている。ポイントにとって既存店活性化は重要な経営課題のひとつと言えるかもしれません。

西松屋チェーンの既存店売上高伸率(前年比)の推移

011(図-4)は、株式会社西松屋チェーンの、2009年3月~2012年7月、この41ヶ月間における既存店月別売上高前年比と全店計月別売上高前年比の推移をグラフ化したもの。

西松屋チェーンの年度別既存店売上高前年比、全店計売上高前年比は以下のとおり。

平成22年2月期---既存店売上高前年比93.7%、全店計売上高前年比101.1%。

平成23年2月期---既存店売上高前年比93.6%、全店計売上高前年比100.1%。

平成24年2月期---既存店売上高前年比95.4%、全店計売上高前年比101.6%。

平成22年2月期、平成23年2月期、平成24年2月期、この3年間における西松屋チェーンの既存店売上高前年比はいずれも「前年割れ」。また、平成24年3月~7月も、各月の既存店売上高前年比は、5月の102.7%があるものの、あとの4ヶ月は全て「前年割れ」。

西松屋チェーンの既存店月別売上高前年比の推移をみると、

2009年3月~2012年7月、この41ヶ月間において、既存店月別売上高前年比が「前年超」の月数はわずか7、「前年割れ」の月数は34で、圧倒的に「前年割れ」の月数が多い。少子化、新生児・出産数の低下等による影響もあり、売上高の伸び悩みが避けられない状況下にある。出店による全店計売上高前年比の底上げはあるものの、圧倒的に多い既存店月別売上高「前年割れ」月数を考えると、これから先も、厳しい状況が続くのではないかと思われます。西松屋チェーンにとって既存店活性化は最も重要な経営課題と言えそうです。

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ファッションセンターしまむら&ユニクロ(国内)の既存店売上高伸率(前年比)の推移

しまむら 既存店月別売上高伸率(前年比)の推移

001(図-1)は、ファッションセンターしまむらの、2009年3月~2012年7月、過去41カ月における、①既存店月別売上高伸率(前年比)と、②全店計月別売上高前年比の推移をグラフ化したものです。

ファッションセンターしまむらの年度別売上高伸率(前年比)等は以下の通り。

2009年度---既存店売上高伸び率(前年比)100.8%、全店計売上高前年比104.4%、期末店舗数1162店

2010年度---既存店売上高前年比97.8%、全店計売上高前年比101.4%、期末店舗数1200店

2011年度---既存店売上高前年比100.9%、全店計売上高前年比104.5%、期末店舗数1237店

2009年~2011年、この3年間における既存店売上高前年比は、2009年-100.8%、2010年-97.8%、2011年-100.9%という実績。「前年割れ」したのは2010年の前年比97.8%ですが、既存店の店数が1000店舗を超えることを考えると、相当、頑張った数字で、「大善戦」と言えるのではないでしょうか。ファッションセンターしまむらの「実力、底力」を見せつけられた思いです。

2009年3月~2012年7月まで、この41か月間における、①既存店売上高前年比が「前年割れ」した月数は20、一方、②既存店売上高前年比が「前年超」の月数は21。「前年割れ」の月数と「前年超」の月数はほぼ同数。

2009年3月~2012年7月まで、この41か月間における既存店月別売上高前年比(伸率)の推移を見ていくと、2011年9月以降は既存店月別売上高は「前年超」の月数が圧倒的に多い。かなり強力な既存店活性化策を進めてきたことが推察され、「さすが、しまむら」と言える実績ではないかと思います。2012年の既存店月別売上高伸び率は、3月~5月が「前年超」、そして、6月、7月は「前年割れ」でしたが、再び「前年超」となるのでしょうか。大変、興味のあるところです。

ユニクロ(国内) 既存店月別売上高伸率(前年比)の推移

005(図-2)は、ユニクロ(国内)の、2009年3月~2012年7月まで、過去41か月間における直営既存店月別売上高前年比と直営店計月別売上高前年比の推移を比較グラフ化したものです。

国内ユニクロ事業の売上推移速報によれば、

2009年8月期の直営既存店売上高前年比は111.3%、直営店全店合計売上高前年比は115.7%。依然として、ユニクロパワーは健在。

2010年8月期の直営既存店月別売上高前年比は104.7%、直営店全店合計売上高前年比は112.4%。ユニクロパワーはおとろえず。

2011年8月期の直営既存店売上高前年比は94.0%、直営店全店計売上高前年比は98.9%。2012年4月以降の既存店月別売上高前年比の数字は「前年割れ」が続いており、ここにきてユニクロパワーにも「陰り」が見られる。しかし、ユニクロの実力を考えると、この夏物晩期商戦で直営既存店月別売上高前年比を「前年超」と挽回するかもしれない。

2009年3月~2012年7月、この41か月間における直営既存店月別売上高前年比が「前年超」の月数は20、「前年割れ」の月数は21で、「前年超」、「前年割れ」の月数は、ほぼ同数。ユニクロの底力を感じさせます。しかし、直営既存店月別売上高前年比の推移グラフを見ていくと、直営既存店月別売上高前年比は「下降傾向」が見られ、これから先、「前年割れ月」が多く発生しそうな気配がしないでもありません。とはいえ、強力なユニクロパワーで巻き返し、一気に「前年超」を取り戻すかもしれません。

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