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量販店・衣料品の粗利益率・値下率・年間商品回転数

ユニー・衣料品、イオンリテール・衣料品、しまむら、3社の粗利益率・値下率・年間商品回転数に関するメモ

GMS/ユニー・衣料部門、GMS/イオンリテール・衣料部門とディリーファッションストア「ファッションセンターしまむら」の粗利益率、年間値下率、年間商品回転数の推移を時系列で見ると以下の通り。

①粗利益率

 年  度   ユニー衣料 イオンリテル衣料  しまむら

平成19年-----36.9%-----37.9%------30.3%

平成20年-----37.0%-----37.5%------30.7%

平成21年-----36.6%-----37.6%------31.0%

平成22年-----35.9%-----35.9%------31.3%

平成23年-----37.2%-----37.5%------31.8%

平成24年-----37.5%-----36.9%------31.7%

②値下率

 年  度  ユニー衣料 イオンリテル衣料 しまむら

平成19年----17.9%-----18.6%------4.8%

平成20年----17.9%-----21.3%------5.0%

平成21年----18.0%-----22.4%------4.6%

平成22年----19.1%-----22.9%------4.6%

平成23年----18.4%-----21.7%------(   )    

平成24年----19.0%-----24.9%------(   )

③年間商品回転数

 年 度  ユニー衣料 イオンリテル衣料 しまむら

平成19年---5.6回----4.8回---------9.5回

平成20年---5.5回----4.7回---------9.0回

平成21年---5.1回----5.2回---------9.4回

平成22年---4.9回----4.4回--------10.4回

平成23年---5.0回----4.6回--------(    )

平成24年---4.6回----5.6回--------(    )

注①ユニー衣料=ユニー・衣料部門、イオンリテル衣料=イオンリテール・衣料部門、しまむら=ファッションセンターしまむら

注②しまむらの平成23年、平成24年の値下率を記していませんが4.5%~5.5%と推定しています。

注③しまむらの平成23年、平成24年の年間商品回転数を記していませんが9回~10.5回と推定しています。

上記、GMS-ユニー、そして、イオンリテールの衣料部門と、ディリーファッションストア「ファッションセンターしまむら」の粗利益率、値下率、年間商品回転数を時系列に並べて見ていきますと、次のことが分かります。

GMSであるユニー・衣料部門、そして、イオンリテール・衣料部門は、値下率、年間商品回転数において、ファッションセンターしまむらに到底かなわない。GMS大手2社だけの数字ではありますが、低速回転、高い値下率というパターンは、他のGMS各社も同じではないかと思われます。GMSの衣料とファッションセンターしまむらの衣料では、商品品質、商品感性、ファッションセンスが大きく異なるので単純に比較できないと言う人もいますが、少なくとも、商品利益効率・生産性等の数字比較を見れば、しまむらと比べ、GMS衣料部門の効率の悪さ、低さが目立ちます。GMSの衣料部門は、しまむらとは、住む場所も、生きていく場所も違うという反論も聞こえたりしますが、GMS衣料部門の利益効率、生産性の数字の悪さを否定することはできないと思います。

徹底したローコスト経営で、「良質廉価」のロープライス政策を強力に推し進めるファッションセンターしまむらとの競争で、同じステージ上での戦いではないと言ったとしても、GMSの衣料部門が「しまむら」に勝つことは極めて難しいと思います。米国におけるWal-MartとTARGETの戦いを見て、マーケット(この場合、衣料品マーケット)は、EDLP(エブリディ・ロープライス)を強力に継続できる力を持った小売企業に支配されると思われるからです。

 

 

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大手アパレルメーカー「タキヒョー(株)」の業績推移を見る

大手アパレルメーカー「タキヒヨー(株)」の販売先

タキヒヨー(株)は量販店を主な販売先とする大手アパレルメーカー。ちなみに、販売先(卸売先)別販売額は、2011年2月期の時点で、量販店-約358億8000万円、アパレルメーカー-約111億4000万円、百貨店・専門店-約113億4300万円、卸売業者-約40億3300万円、その他-約Ⅰ億6500万円となっており、総販売額に占める量販店への販売額構成比が約57.3%と最も高い。量販店の主要販売先は、GMSでは、イオン、イトーヨーカ堂、ダイ、ユニー、マイカル、平和堂等、衣料スーパーストアではファッションセンターしまむら等があげられる。同じく量販店を主要販売先とする大手アパレルメーカー「クロスプラス(株)」と並ぶ量販店衣料部門の主要仕入先です。

002(図-1)は、タキヒヨーの、平成16年2月期~平成24年2月期まで、9年間における売上高(連結決算)の推移をグラフ化したものです。これを見ると以下のことが分かります。

平成16年~平成24年におけるタキヒヨーの売上高は「年々、減少傾向」にある。平成19年2月期の売上高・約862億円をピークに、それ以降は年々、売上高の減少が続き、平成24年2月期には約693億円まで落ち込んでいる。この流れを見る限り、先行きは厳しいと思われます。

004(図-2)は、タキヒヨーの売上高(連結)推移と、大手GMS・イトーヨーカ堂の衣料品の売上高推移の対比をグラフ化したものです。これを見ると、次のことが言えます。

大手GMSなどの量販店を主要販売先としているタキヒヨーは、当然のことながら、GMSの衣料品売上動向に大きな影響を受けざるを得ない。タキヒヨーとイトーヨーカ堂の取引の有無、そしてその取引額がいくらかは分かりませんが、2社の売上高推移対比グラフを見ると、同じような傾向が見られます。すなわち、大手量販店であるGMS・イトーヨーカ堂・衣料品の売上高の減少と軌を一にして、タキヒヨウーの売上高にも減少傾向がみられる。「量販店の衣料品売上不振が続くと、量販店を主要販売先とするタキヒヨーの売上高も大きな影響を受ける。否応なく、売上減を強いられる」という流れから脱出するのは極めて難しいと言えそうです。

009(図-3)は、タキヒヨーの売上総利益率の推移と販管費率の推移の対比グラフです。これを見ると、次のことが分かります。

売上総利益率と販管費率の推移には、それぞれ凸凹が見られるが、「売上総利益率>販管費率」の流れは変わらない。しかし、平成17年~平成23年における売上総利益率と販管費率の推移対比グラフを見ると「やや不安感はある」ものの、コストコントロールはできているようです。平成24年の売上総利益率と販管費率の開きを見ると、「回復基調」の気配が感じられます。

012(図-4)は、タキヒヨーの経常利益率と当期純利益率の推移を対比グラフ化したものです。これを見ると以下のことが分かります。

経常利益率3%の安定的確保には不安感がありますが、平成24年の経常利益率が3.1%と上向きになっており、先行きに「やや明るさ」を感じさせます。しかし、当期純利益率が1%前後という数字で低迷しているのがとても気になります。「タキヒヨーの底力、実力」が発揮されるのは、まだまだ先のようです。

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大手アパレルメーカー「クロスプラス(株)」の業績推移を見る

クロスプラス(株)は量販店・婦人衣料部門の主要仕入先。

クロスプラス株式会社は、(A)製造卸売業と、(B)製造小売業(SPA)、この2つの事業を展開している大手アパレルメーカー。クロスプラスの製造卸売グループ(国内)の卸売先(販売先)は、GMS衣料部門(イオンリテール、イトーヨーカ堂、ユニー、マイカル、ダイエー等)、衣料スーパーストア(しまむら、あかのれん等)、食品スーパーの衣料部門(天満屋ストア、ヨークベニマル、ライフコーポレーション等)の量販店及び衣料専門店(マックハウス、パレモ、赤ちゃん本舗等)で、それらの多くの店でクロスプラス(株)は婦人衣料部門の主力仕入先の地位を獲得しています。

量販店・衣料部門における婦人衣料部門の主要仕入先には、クロスプラス、タキヒョー、小泉グループ、ラブリークィーン、ジュニア、万兵、サンラリーグループ、シンガポール、ヒロタ等がありますが、クロスプラスの小売店への販売額(卸売額・納入額)は、これらの主要仕入先のなかで常にトップクラスにいます。業界紙-繊研新聞(2010年7月19日付)に掲載された-「量販店レディスアパレル売上ランキング」によれば、クロスプラスは第一位で約349億円、第二位のタキヒョーの約154億円を大きく引き離し、断然、トップの地位にあります。

クロスプラスの卸売先を小売業態別に見た売上高及び売上構成比は、①量販店--約346億円(52.2%)、②専門店--約226億円(34.1%)、③無店舗販売--約64億円(9.7%)、④百貨店--14億円-2.1%、⑤その他--2.0%(2012年2月期)

クロスプラス(株)の売上総利益率と販管費率の推移

クロスプラスの卸売先は主に量販店・衣料品部門です(前述)。当然のことながら、量販店の衣料部門の売上の良し悪しが、クロスプラスの売上の良し悪しにも大きな影響を及ぼします。簡単に言えば、量販店の衣料部門の売上不振が続けば、クロスプラスの売上も不振に陥るということですが、現在は、まさに、そんな状況下にあり、クロスプラスもたいへん苦戦しているように思われます。決算数字にも、その苦戦のさまが見えるようです。

001(図-1)は、クロスプラス(株)の、連結決算と単体決算の「売上総利益率と販管費率の推移」をグラフ化したもの。これを見ると次のことが分かります。

連結決算、単体決算ともに、売上総利益率と販管費率の数字が極めて接近した数字になっています。売上総利益率>販管費率であれば、「物販では儲けが出る」と言われていますが、クロスプラスの数字を見ると、売上総利益率と販管費率の数字の差は僅かしなかく、「物販での利益は出ても僅かしかない」と考えられます。

ローコスト経営に徹し、販管費率を大幅に下げることができなければ、経営的には厳しい状況が続くものと思われます。「売上総利益率を上げ、販管費率を下げる」、これを同時並行でやれれば、それに越したことはありませんが、そう簡単に出来ることではありません。とりわけ、売上総利益率を短期間で上げることは極めて困難と考えられますので、まず、販管費率を出来る限り下げる努力、徹底したローコスト経営への取り組みが求められているのではないかと思われます。

クロスプラス(株)の経常利益率と当期純利益率の推移

004(図-2)は、クロスプラス(株)の連結決算における「営業総利益率・経常利益率・当期純利益率の推移」をグラフ化したものです。これを見ると以下のことが言えます。

経常利益率、当期純利益率ともに厳しい数字。経常利益率は平成19年1月期の+2.5%を除き、平成20年1月期以降はマイナス、あっても+1%以下と極めて悲惨な数字。当期純利益率も平成19年1月期の1.2%を除き、平成20年1月き以降は「赤字」。経営的に見れば「大いに先行き不安」な状況が続いています。量販衣料の不振はこれから先も続きそうですので、クロスプラスの経営には「大いに先行き不安がある」と考えられます。

009(表-1)は、クロスプラスの業績推移(連結決算・単体決算)、そして、(表-2)はクロスプラスのグループ会社別業績推移です。(表-1)では、出来る限り販管費率を下げる取り組みが必要ではないかと述べています。しかし、(表-2)のクロスプラス・グループ会社別業績推移を見ると、クロスプラスの製造卸売事業の経営にも厳しいものがありますが、もっと問題なのは、SPA(製造小売業)事業であることが分かります。明らかに、SPA事業がクロスプラス全体の足を引っ張っているのが見えるからです。SPA事業をどういう方向に持っていくのか、これがクロスプラスの明暗を分けることになるかもしれません。

長引く量販衣料品の売上不振、先行き不透明感が、量販店、そして、その仕入先(卸売、メーカー等)の経営に難題として重くのしかかっています。しかし、量販衣料品店の全てが悪いわけではなく、少数ではありますが、厳しい環境下でも売上、利益を伸ばしているところもあります。ファーストリテイリング・ユニクロ、ポイント、ファッションセンターしまむら等の小売企業です。これら「元気組」の流れと波に乗ることができれば、また、道も開けると思われますが、はたして、クロスプラス(株)は、どんな流れと波を考えているのでしょう。量販衣料品製造卸・メーカーとして業界きっての実力を持つと言われる「クロスプラスの経営力、商品力」、その優れた先見性と独創性による「再生と復活」を期待したいものです。

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都市百貨店の月別売上高前年比の推移(2012/1~3)を見る

全国百貨店の月別売上高概況(平成24年1月、2月)

日本百貨店協会が公表している「ニュースレター」-全国百貨店売上高概況によると、月別売上高前年比は、平成24年1月-前年比98.9%、平成24年2月-前年比99.6%で、1月、2月ともに「ほぼ前年並み、横ばい」となっています。

また、「地区別売上高・10都市」で見ると、月別売上高前年比が高いのは仙台市で、1月・売上高前年比107.8%、2月・月別売上高107.5%。仙台地区では東日本大震災後の復興需要が続いていると思われます。しかし、この2か月の数字をみて、百貨店の売上が本格的回復基調に入ったと考えるのは?マークです。

三越伊勢丹HDsの月別売上高前年比の推移

004(表-1)は、三越伊勢丹ホールディングス-国内百貨店事業の2012年1月から3月の店舗別・月別売上高前年比の推移をまとめたものです。(前年割れのところは「数字を赤-背景を黄色」で表示)。これを見ると次のことが分かります。

2012年3月の売上高前年比は、前年同月が東日本大地震の影響で売上が大きく落ち込んでいるため、店別の売上高前年比は極めて高い伸びの数字になっています。3月の売上高前年比が120%以上の伸びの店は次の通り。

伊勢丹百貨店

新宿本店・店頭--142.8%、立川店--131.6%、松戸店--129.2%、浦和店--128.4%、相模原店--125.3%、府中店--127.5%、

②三越百貨店

三越本店・店頭--137.2%、銀座店--155.5%、千葉店--128.8%

③地方都市店

仙台三越--284%。

仙台三越の月別売上高は、1月が116.7%、2月は116.1%でした。3月の「異常に高い前年比の伸び」は別としても、まだ、しばらくの間は、東日本大地震後の復興需要が続くのではないかと考えられます。

2012年1月、2月の月別売上高前年比実績の数字と比べると「異常に高い伸びの前年比」になっています。しかし、各店の2011年3月の売上高が「極めてひどい数字、大幅・前年割れ」であったことを考えると、「伸びて当然」という気がしないでもありません。2012年1月~3月、この3ヶ月の数字だけで、三越伊勢丹百貨店グループの売上が本格的回復基調に乗ってきたと考えるのは「早すぎる判断」と言えるでしょう。

高島屋の月別売上高前年比の推移

005(表-2)は、高島屋の2012年1月~3月における店別・月別売上高前年比の推移をまとめたものです。これを見ると次のことが分かります。

①関東地区の店舗の3月の売上高前年比の数字が、前述した三越伊勢丹グループと同様、以下のような、極めて高い数字になっている。

東京店--126.9%、

横浜店--133.3%、

新宿店--141%、

玉川店-128.5%

立川店--131.1%、

大宮店--119.2%、

柏店----138.6%

高崎高島屋--128.9%

高島屋グループの関東地区における店舗の2012年3月の売上高前年比は、以上のとおり、「極めて高い前年比・伸び率」の数字になっています。しかし、2012年1月、2月の売上高前年比を見ると、高島屋百貨店グループの売上が本格的回復基調に乗ってきたとは考えられません。

一方、関西地区の2012年3月の売上高前年比を見ると、岡山高島屋の104.6%、米子高島屋の104.7%が目立つぐらいで、他の店の数字は「前年割れ、ないしは、横ばい」となっています。当たり前と言えば当たり前ですが、関西地区には、関東地区、東北地区に見られた東日本大震災後の復興需要は無かったと考えられます。

(表-2)には、エイチ・ツー・オーリテイリング(阪急百貨店+阪神百貨店)の2012年1月~3月、3か月間の月別売上高前年比の推移も載せてありますが、阪急本店、阪神本店の数字をみれば、高島屋グループと同様、東日本大地震後の復興需要は無かったと言ってもいいと思われます。

以上、①日本百貨店協会のニュースレター-「全国百貨店 売上高速報」、②(株)三越伊勢丹ホールディングスの国内百貨店事業部・売上速報」、③高島屋-営業報告」、④エイチ・ツー・オーリテイリング-営業概況」の数字をもとに、2012年1月~3月、3か月間の月別売上高前年比の推移を見てきましたが、「百貨店の春は、まだ、遠い」と言えるのではないでしょうか。消費税増税、石油の高騰、電気供給事情悪化と電気料金値上げ、それに、デフレ等を考えますと、百貨店業界の先行きは不透明、不安感が一段と深まっているような気がします。

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