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衣料品専門店チェーンの売行き動向②

西松屋チェーンの売行き動向

ベビー・子供大型専門店・「西松屋チェーン」が公表している「年度別・前年比速報」から、とくに、「既存店の月別売上高前年比」をピックアップし、2011年度と2010年度の推移比較グラフを作成、売行き動向を見てみました。

008(図-3)は、ベビー・子供大型専門店・「西松屋チェーン」の、2010年と2011年(暦年)における既存店月別売上高前年比の推移をグラフ化したもの。

西松屋チェーンは、売上高・約1178億円、当期純利益・約45億円(平成23年2月期)、店舗数803店(平成24年2月末時点)、年間出店数40店舗(平成24年2月期)の大規模小売企業。

(図ー3)を見ると、次のことが分かります。

西松屋チェーンの既存店月別売上高は、平成23年(2011年)~平成22年(2010年)の2年間、この24ヶ月の推移をを見ると、ほとんどの月が「前年割れ」しています。「前年超」の月は、2010年6月、11月、2011年10月、12月、この4ヶ月しかありません。これは大苦戦と言ってもいい数字です。

年間ベビー出産数の減少、少子化の進行、競争の激化、これらのことが背景にあることもあり、ベビー・子供専門店の売上は、「よくて、横ばい」、多くは「売上減」という状況です。西松屋チェーンといえども、この厳しい流れから抜け出ることは難しいと思われます。

過去3年間の年間売上高を見ると、平成21年2月期-1163億8400万円、平成22年2月期-1177億2000万円平成23年2月期-1178億7100万円、という推移で、「ほぼ、横ばい」の数字です。年間に約50店舗前後もの出店をしているにもかかわらず、年間売上高は殆ど伸びていないというか、出店による売上増が見られません。この背景には、「前年割れ」が続いている既存店の売上の悪さがあると考えられます。

既存店が売上の伸びの足を引っ張っているわけですが、全店舗合計(既存店+新規出店店舗)に占める既存店の割合が約85%前後の西松屋チェーンにとっては、かなり頭の痛い問題でしょう。さらに、ベビー・子供の人口数は減少の一途を辿っており、この流れは短期間で変わることはないと考えられますので、西松屋チェーンとっては、これから先も、相当、厳しい経営環境が続くものと思われます。西松屋チェーンが、今後、どんな戦略を展開してくるか、その動向を注意深く見つめていきたいと考えています。

株式会社ポイントの売行き動向

株式会社ポイントが公表している「月次売上速報」から、既存店の月別売上高前年比の数字をピックアップし、売行き動向を見るため、2011年と2010年の既存店月別売上高前年比の比較推移グラフを作成、(図ー4)にまとめました。

011株式会社ポイントは、年間売上高・約1059億円、経常利益・約155億円、経常利益率・約14.46%、当期純利益・約84億円、当期純利益率・約7.93%(いずれも、平成23年2月期)。そして、店舗数766店(2012年2月末時点)、年間出店数102店舗(2012年2月期)の大規模専門店チェーン、かつ、高収益優良小売企業。

株式会社ポイントの、2011年と2010年の既存店月別売上高の推移比較グラフを見ると、以下のことが分かります。

2010年と2011年の2年間、この24ヶ月間において、既存店の月別売上高が「前年超」の月は、2010年2月、7月、2011年4月、6月、この4ヶ月しかありません。あとの20カ月は、「すべて、前年割れ」です。SPA(製造小売業)として、その急成長ぶりと、高収益構造が注目されていますが、この2年間の既存店の売上高では大苦戦しています。残念ながら、その大苦戦の原因は何か分かりませんが、ユニクロ(国内事業部)、ハニーズ、ファッションセンターしまむらの既存店月別売上高前年比の数字と比べると、「ポイント、一人負け」という形になっています。

過去3カ年の既存店売上高前年比を見ても、2010年2月期・97.3%、2011年20月期・96.3%、2012年2月期・95.8%、と3年連続「前年割れ」の数字です。ポイントの商品戦略になにか弱点があったのか、ちょっと気になるところです。まだまだ、高い成長力を秘めている小売企業だと考えていますので、これから先、どんな手を打ってくるか、とても興味があります。力のある小売企業ですから、2013年はパワー爆発、大躍進を見せてくれるかもしれません。

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衣料品専門店チェーンの売行き動向①

ユニクロ(国内事業部)の売行き動向

(図-1)は、ファーストリテイリング・グループのユニクロ(国内事業部)の売行き動向を見るため、公表されている「国内ユニクロ事業部-売上推移速報」のなかから、とくに、既存店月別売上高前年比をピックアップし作成した、2010年と2011年(暦年)の月別売上高前年比推移比較グラフです。

002_3ユニクロ(国内事業部)の平成23年8月期の売上高は約6001億円、2012年2月末の既存店店舗数は687店舗、直営店舗計は830店舗。これだけ大規模な衣料品専門店チェーンですので、ユニクロ国内事業部の既存店の売行き動向は、衣料品小売店業界の動向を見る一つの目安となると考えています。

(図-1)を見ると、以下のことが分かります。

2011年の既存店月別売上高前年比の推移を見ると、「前年超」の月は、1月、4月、6月、7月、12月の5カ月。なかでも、12月の前年比伸び率は114%と高い。2010年と2011年の既存店月別売上高推移比較グラフから、ユニクロ国内事業部の既存店の売行きは「やや上向き、上昇傾向」にあり、この先も、この傾向が続くのではないかと予測しています。そう予測している背景には、前年・2010年は既存店月別売上高が「前年超」の月は、2月、5月、7月の3ヶ月ありますが、いずれも微増です。そして、それ以外の月は「かなり、前年割れ」した数字であることがあります。ちなみに、2012年1月の既存店月別売上高前年比は107.9%、2月は101.2%の伸びでした。ユニクロ国内事業部の既存店売上高の先行きに「明るい兆し」が見えてきたと言えるではないでしょうか。

ハニーズの売行き動向

005(図-2)は、大手レディスアパレル専門店チェーン「ハニーズ」の、2011年と2010年の既存店月別売上高前年比の推移比較グラフです。これを見ると、以下のことが分かります。

「ハニーズ」は、2011年5月期の売上高約556億円、2012年5月末の店舗数829店の大規模レディスアパレル専門店チェーン。

ハニーズの既存店月別売上高前年比の推移を見ると、2011年の7月までは「大きく前年割れ」した月が多く、大苦戦しています。しかし、8月以降は、一転、「前年超」の月が続き、回復基調に入っていると思われます。2012年1月の既存店売上高前年比105.4%、2月91.9%という数字を見ますと、まだ、不安定さを感じますが、先行きに明るさは見えてきたのではないかと思います。

ユニクロ国内事業部とハニーズ、この2社の、2011年と2010年・既存店月別売上高前年比推移グラフを見て感じるのは、衣料品専門店チェーンの売上が「回復基調」に入っているのではないかということです。とりわけ、ユニクロ、ハニーズの2011年12月の既存店売上高前年比の高い伸びを見ると、希望的観測すぎるという人もいるかもしれませんが、「先行きの明るさ」を強く感じる次第です。

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低価格政策・ローコスト経営・経常利益率10%--ファッションセンターしまむらの経営力

低価格政策+ローコスト経営+経常利益率10%

超優良小売企業との評価が高い「ファッションセンターしまむら」の経営を端的に言うと、①低価格政策(ロープライス・普段着)、②ローコスト経営(ローコストオペレーション・標準化)、③経常利益率10%、この3点ではないかと思います。

003(表-1)は、ファッションセンターしまむらの、値入率、粗利益率、販管費率の過去15年間の推移(1997年2月期から2011年2月期)をグラフ化したものです。(各期・決算概要をもとに作成)

これを見ると次のことが分かります。

値入率は、年々、上昇傾向にある。とくに、積極的に開発を進めているPB商品の比率の増加とともに値入率も上昇しています。しかし、値入率は上昇してはいますが、それによって低価格政策が崩れるということはないようです。売価政策における上限売価ラインの設定がしっかり守られている。

粗利益率も、年々、上昇している。これは、値入率は上がっているが、ファッションセンターしまむらの①値下率が過去15年間、ほぼ4.5%~5.0%の間で安定的に推移していること、②棚不足ロス率も0.5%~0.6%の数字で、それほど大きくブレていないこと、この2点が背景にあると考えられる。

販管費率は、過去15年間、ほぼ22%~23%の間で推移、安定したコストコントロールがなされている。2010年、2011年の販管費率が、23.1%、23.7%と、過去最大の高い数字になっており、さらに上昇傾向が見られるのが、ちょっと気にはなります。しかし、ファッションセンターしまむらのコストコントロール力を考えれば、心配するほどのことではないと思われます。

004(表-2)は、ファッションセンターしまむらの、経常利益率、当期純利益率の過去15年間における推移(1997年2月期~2011年2月期)をグラフ化したものです。これを見ると次のことが分かります。

ファッションセンターしまむらは、「世界的に優秀だと言われている小売企業は経常利益率10%を確保している」とし、その数字を目標としていると聞いたことがあります。ファッションセンターしまむらの経常利益率の推移を見ていきますと、もう一歩で経常利益率10%に手が届くところまで来ています。

当期純利益率も、年々、確実に上昇を続けており、当期純利益率5%を安定して確保できる経営体制になっていると考えられます。経常利益率5.5%前後で「足踏み状態」がみられますが、6%に達するのにそう時間はかからないかもしれません。

009(表-3)にある、1品平均売価単価の過去13年間の推移を見ると、2008年以降は約750円前後で推移し、わずかな変化はあるが、それほど大きな上昇、下降はみられない。値入率が上がり、粗利益率も上昇を続けていますが、1品売価単価の推移を見ていけば、低価格政策をしっかり守っていることが分かります。ファッションセンターしまむらの経営力の凄さを見る思いです。

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