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「衣料及び衣料関連」の1世帯当たり年間消費支出額の推移を見る

002(表-1)は、総理府の家計調査の-品目分類-第11表-「1世帯当たりの品目別支出金額(総世帯)」から量販総合フルライン衣料品店、及び、ディリーファッションストアが対象にできる「衣料及び衣料関連品」を抜粋し、その時系列推移をグラフ化したものです。これを見ると以下のことがわかります。

①「衣料及び衣料関連品」の1世帯当たり年間消費支出額は年々、減少し続けている。

②平成16年の「衣料及び衣料関連品」の1世帯当たり年間消費支出額は19万3336円であったが、それが、平成22年には15万9755円と、この8年間で3万3581円も減少。

量販総合フルライン衣料品店、及び、ディリーファッションストアが対象にできる「衣料及び衣料関連品の1世帯当たり年間消費支出額は約20万円」と長い間、言われていた。しかし、その、20万円という数字を見直す必要がありそうです。(表-1)では、平成22年の「衣料及び衣料関連品」の1世帯当たり年間消費支出額が15万9755円となっていますが、今後は、この数字をベースにして考えねばならなないかもしれません。

例えば、想定商圏エリア内の対象商圏人口が30000世帯とすると、

①平成15年度であれば、「衣料及び衣料関連品」の1世帯当たり年間消費支出額は19万3336円あったので、想定商圏内の年間需要額推計は、計算式(19万3336円×30000世帯)で、約58億円になります。

②しかし、平成22年の想定商圏エリア内の年間需要額推計を、①と同じ計算式で産計算すると、約48億円となります。すなわち、同じ対象商圏人口規模でも、「衣料及び衣料関連品」の想定商圏エリア内の年間需要額は、平成15年と比べると、計算式(約58億円―約48億円)で、約10億円も減ってしまいます。これは大変大きなマーケット縮小です。ディリーファッションストアの3店分位の年商が無くなってしまったことになるからです。量販総合フルライン衣料品店、ディリーファッションストアの生存競争は一段と厳しいものになることが考えられます。

004(表-2)は、ファッションセンターしまむらが、家計調査年報より自社の取り扱い品目を抜粋し、各都道府県別の「ディリーファッションストアしまむらが対象にできる衣料年間購買高を算出した数字を時系列にグラフ化したものです。

※数字は、しまむらの「各期・決算概要」の『店舗の状況-県別売上高・売場面積』より抜粋。

これを見ると次のことがわかります。

①平成13年には、ファッションセンターしまむらが対象にできる「全国計・衣料品購買高」は約8兆2800億円ありましたが、それが、平成23年には約6兆9000億円と、この間で、約1兆3800億円も減少しています。これは大変な減少額です。新規出店が無く、既存店だけでの経営を余儀なくされた場合、その店は、縮小の一途をたどり、厳しい見方をすれば、「生きていけなくなる」かもしれません。

(表-1)、(表-2)に見られる「衣料品マーケットの著しい縮小」を考えると、量販総合フルライン衣料品店、そして、ディリーファッションストアの生存競争は更に厳しさが増し、その、整理淘汰が一段と加速するかもしれません。「衣料品は冬の時代から氷河期に入った」と言えば、言い過ぎでしょうか・・・・・。

007(表-3)は、家計調査年報から「衣料及び衣料関連品」を抜粋し、その、1世帯当たり年間消費支出額を計算した表です(赤線枠内)。前述している「衣料及び衣料関連品」の内訳がこれです。分類別詳細内訳は、お手数ですが家計調査年報をご覧ください。

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靴下の製造卸・小売業-タビオ株式会社の業績推移をみる

004タビオ株式会社は、靴下の製造卸・小売業。アパレル専門店チェーンのユニクロ・ファーストリティリングや、ポイントと同じSPA(製造小売業)型の製造卸・小売業。また、靴下分野のカテゴリーキラーです。

その急速成長ぶりが注目されていますが、タビオ株式会社の、過去7年間-平成17年2月期~平成23年2月期-における売上高の推移をグラフ化したのが(表-1)です。(注:各年度別決算短信・連結損益計算書をもとに作成)

平成17年2月期の売上高・約85億8000万円を100とすると、平成23年2月期の売上高は約142億4100万円で、約1.66倍の成長ぶりです。

また、タビオ株式会社は、①靴下屋、②ショセット、この2つの製造卸・小売業を展開していますが、平成23年2月期の売上高は約142億4100万円の①、②の事業体別売上高の内訳、及び売上高構成比は以下の通り。(平成23年2月期-有価証券報告書・連結決算・販売実績-より作成)

「靴下屋」関連部門

①卸売--売上高・約51億円(売上高構成比・35.9% タビオ全体合計=100)  

②小売--売上高・約67億円(売上高構成比・47.2%)

「ショセット」部門

①卸売--売上高・約7800万円(売上高構成比0.5%)

②小売--売上高・約17億8500万円(売上高構成比12.5%)

その他部門

売上高・約5億5500万円(売上高構成比3.9%)

小売分野の売上高構成比が約59.7%ですから、小売業色がとても強い企業です。

003(表-2)は、タビオ株式会社の過去7年間-平成17年2月期~平成23年2月期-の売上総利益率・販管費率・経常利益率・当期純利益率の推移をグラフ化したものです。これを見ると以下のことが分かります。

①売上総利益率は微増ではあるが上昇傾向にある。平成23年2月期の売上総利益率は54.7%と高いが、これはSPA型小売企業の特徴。ちなみに、SPA型アパレル小売企業、ファーストリティリング・ユニクロの売上総利益率は51.9%、そして、ポイントの売上総利益率は59.8%(ともに、平成23年度)。

②販管費率は平成21年2月期より上昇を続け、平成23年2月期の販管費率は51.9%と売上総利益率の数字に極めて接近した数字になっている。「やや気になる数字」です。平成23年のファーストリティリングの販管費率37.7%、ポイントの販管費率45.4%(2社、ともに連結決算の数字)と比べると、タビオの平成23年2月期の販管費率51.9%は、かなり高い数字であり、今後、販管費率をどこまでコントロールできるか、低下させられるかが経営課題となるものと思われます。

③売上総利益率は「微増」傾向、販管費率は「急速に上昇」、そのため、平成21年2月期以降、相対的に、経常利益率、当期純利益率が下落。平成23年2月期の経常利益率は3.0%、当期利益率は1.1%まで下落、先行きに不安感がある数字になっている。

ちなみに、平成23年度のファーストリティリングの経常利益率は13.1%、当期純利益率が6.6%、そして、ポイントの経常利益率は14.6%、当期純利益率7.9%(2社、ともに連結決算の数字)です。これらの数字と比べると、タビオ株式会社の平成23年2月期の経常利益率3.0%と当期利益率1.1%という数字の低さは「ちょっと心配になる数字」ではあります。

005(表-3)は、タビオ株式会社の売上比人件費率、売上比支払家賃費率、売上比支払利息の推移をグラフ化したものです。

売上比人件費率の上昇傾向、売上比支払利息の急激な上昇が見られますが、これも、今後の大きな経営課題になるものと考えられます。

(表-1)~(表-3)で、タビオ株式会社の経営利益率等の推移を見てきますと、タビオ株式会社は、今、「企業の大きな転換点」に立っているようにも思われます。今後も、その動向を注意深く追いかけていこうと考えています。

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