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衣料品MDに必要な「気温と季節と衣料品」に関する情報メモ

衣料品MD(マーチャンダイジング)に、気温、天候、季節に関する情報は絶対に欠かすことのできないものです。とりわけ、四季のある日本では、季節・気候の変化、気温の変化と衣生活変化の関係をしっかり把握しておく必要があります。温度マーケティングとか、ウェザーマーケティングとか言われていますが、気温の変化によって生ずる衣生活の変化に素早く対応した品揃え、商品計画を展開することができるかどうかで、衣料品MDの成果が左右されることは言うまでもないことです。そこで、気温、天候、季節と衣料品MDに関係ある情報や、資料を探してみた結果、次のような資料、調査レポートが見つかりました。ちよっと古い資料ではありますが、衣料品MDに役立てることができると考えましたので、以下に、情報メモとして、箇条書きでまとめておくことにしました。

衣替え行動と気温変化の関係

以下に述べる「衣替え行動と気温変化の関係」は、「KAO(花王) INFOMATION」が発表しているレポート-「衣替えに対する意識と行動の変化について」から抜粋させていただいたものです。

現在の衣替えは、気温の変化に応じて、「着るため」の衣料を数回に分けて出したり、流行や季節感の先取りから、「着たいために早めに出す」行為が衣替えの動機になっている。

平均気温が10℃を下回る時期や、5℃を下回る時期が重要。それに合わせた商品計画、販売計画を立てる。気温が急に上がる時期や、急に下がる時期の情報が重要。

春の衣替え」と、「秋の衣替え」では、微妙な違いが見られる。これは、Tシャツや、キャミソールなどの春夏物のアイテムを1年を通じて着用していることによるものと推測される。

重要な点は「季節の変わり目」で、最高気温で11℃を超えると冬物が終わり、春物を着るようになる。さらに、20℃を超えると夏物→半袖を着る。最低気温が20℃を下回ると秋物、11℃を下回ると冬物に。いつ頃、週の最高気温が11℃、あるいは、20℃を超えるかといった情報の収集が必要。

週の最低気温が15℃、最高気温が20℃を越えたあたりで、オフィスで冷房がはいる。多くの女性が冷房の効きすぎに備え、薄手のニット商品を購入する。

コートの販売にとっては、真冬の時期にどれくらい寒いかということよりも、冬の始まりがいつか、すなわち、季節の変わり目で十分に気温が低くなることが重要。

売上高と気温は極めて深い関係にある。気温に関する中長期予報を商品計画に反映させることにより、効率的な商品経営が行える可能性は高い。

■秋物衣料を出した時期

①平均気温が20℃を下回る頃にはシャツ類を出す。

→平均気温が20℃を下回ると、それまで着ていた半袖衣料の上に、前開きのシャツや、カーディガンを羽織る。

②15℃付近まで気温が下がると秋冬物ジャケットなどの上着類を出す。

③10℃くらいでコートや冬物小物類を出す。

→10℃付近まで下がると、女性はコートを着用、5℃くらいまで下がると、男性も含め、ほぼ全員がコートを着用。

■春物衣料を出した時期

①平均気温が10℃を上回るとコート丈が短くなり、ジャケット、ブルゾンなども混在し、身軽になってくる。

②15℃くらいまで上がると、ジャケット、ブルゾンが中心となり、スカート、パンツなどのポトムズは素材が薄手の春物となる。

③20℃を上回ると、シャツ1枚や、半袖衣料に薄物のカーディガンを羽織って調整する。

以上が、「KAO(花王) INFOMATION」が発表した調査レポート-「衣替えの意識と行動の変化について」から、衣料品MDに役立つと思われる部分を抜粋したものです。しかし、これは、レポートの一部にすぎません。(レポートでは、「衣替え行動と気温変化との関係」が、データ、グラフ、写真等でより詳細に書かれています)

地球温暖化、異常気象、天候異変等により、衣料品MDはますます難しくなってきています。一方、競争・競合も激しさを増しています。この難しい環境下にあって、衣料品MDで成果を上げるには、幅広い範囲の様々な情報と収集が必要となり、また、それらを素早く分析し、商品計画や、品揃えにスピーディに反映させていかねばなりません。ウェザーマーケティング、ウェザーマーチャンダイジングの重要性が言われて久しいですが、多くの衣料品MDスタッフがそのことを再確認、再認識し、関連情報の収集と分析に取り組まれ、衣料品MDで、より一層の成果をあげられることを期待しています。

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衣料品のMDフロー-「都心百貨店の衣料品MDフローとファッションセンターしまむらのMDフロー」

都心百貨店I社の衣料品MDフロー

衣料品が強いと定評の都心百貨店I社(衣料品売上高・約1612億円、衣料品売上高構成比・約44%-H23/3)の衣料品MDフローの概要は以下のとおり。

(1)次期シーズンの「シーズンディレクション」立案

百貨店傘下の調査部門が、内外の業界情報、消費者動向をリサーチし、それに基づき、MDの方向、基本戦略をシーズン開始の半年前に立案。

(2)シーズンMD指針の立案

(1)を受けて、百貨店本社のMD統括各部門グループごとに立案・作成。

(3)シーズンMD計画を立案

(2)にもとづき、各営業部が立案。計数と方向、新規取引先政策、直輸入買取り等の枠などを確認する。

(4)各バイヤーが「シーズンMD計画」を策定

(5)商品月次計画」を1ヶ月前に各バイヤーが作成

(6)商品月次計画」を販売セールスマネージャーに移行し、「販売月次計画」を作成

(7)セールスマネージャーが「週別販売計画」、「日別販売計画」を作成

販売結果を「MD情報システム」によって詳細に分析。セールスマネージャーは、そのデータを見て分析し、顧客に対してフォロー、販売アプローチする。

ファッションセンターしまむらのMDフロー

(1)反省会議

シーズンが終わった段階で反省会議。大枠の商品状況をチェック。パターン会議で描いた計画とのギャップをチェックし、ギャップの原因を抽出する。

(2)先付け会議

各シーズンの半年前に開催。スパンの長い商品の先行発注を検討。バイヤーが組んだ仕入れ枠の承認。各バイヤーが、昨シーズンの契約数量や売行きを総括し、今シーズンの契約数量と先付け方針を説明。投入開始時期→販売→マークダウン計画・最終処理計画作成。

(3)パターン会議

シーズン1ヶ月前に、バイヤーとコントローラーが、再度、展開イメージを打ち合わせ、細部を修正し、計画決定。各コントローラーは担当部門の販売の指針とする「売場計画書」を作成。

シーズン・イン

売場計画書、自動発注システム、商品店間移動、マークダウン計画等を実行。実際の動きに対応、修正等をはかり、商品計画、販売計画を実行。

都心百貨店I社の衣料品MDフロー、ディリーファッションストア大手「ファッションセンターしまむらのMDフロー」、ともに、基本的な流れと、押さえどころとポイントは同じようです。基本的、常識的なMDフローと言えなくもありませんが、衣料品小売り業界で、このMDフローをチ忠実に守り、実行しているところは思ったより少ないものです。きちんとやっているか、やっていないかの差が、売上高の差、利益率の差となって出ているように思います。

 

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ファッションセンターしまむら&イトーヨーカ堂・直営衣料部門 売上高推移を見て考えたこと

GMS・衣料品部門は「復活」できるか?

「低価格+良質+ファッション性+トレンド+多アイテム1品少量+時流適応」を品揃えの基本とするディリーファッションストア最大手・「ファッションセンターしまむら(以下、しまむらと略)」と、かつては、「衣料のイトーヨーカ堂」といわれ、衣料品が稼ぎ頭であったGMS大手・「イトーヨーカ堂・直営衣料品部門(以下、IY衣料と略)」の過去9カ年、2003年~2011年における売上高の推移を見て、いろいろ考えたことをメモとして書き留めておきます。

001 (表-1)は、ファッションセンターしまむら(単体)と、イトーヨーカ堂(単体)直営衣料品部門の2003年~2011年、過去9カ年における売上高推移をグラフ化、比較したものです。これを見ると、以下のことがわかります。

IY衣料の売上高は、2003年以降、落ち続けている。2011年のIY衣料・売上高は約2551億円、2003年の売上高約3633億円から、この9年間で約1082億円も減少している。

一方、しまむらは、同じ9年間で、2011年の売上高は約3657億円となり、2003年の売上高・約2543億円より、約1114億円も増加している。

IY衣料の売上は落ち続け、一方、しまむらの売上は増加し続けている、この差はどこにあるのだろうか。まず、2社の、2006年~2011年の6カ年における、しまむらとIY衣料の「出店数及び売場面積の推移」を見てみると、以下のことが分かった。

2006年度のIY全店合計・期末売場面積は約1764519㎡であったが、2011年度には1678730㎡となり、この6年間で、売場面積が約85789㎡(約26000坪)も減少している。また、IYは、同期間に39店舗を閉店(この期間の出店数は23店)している。

一方、しまむらは、同期間に、年々、40~50店舗の出店を行い、2006年度期末売場面積・約971129㎡であったが、2011年度期末には約1244483㎡とし、約273354㎡(約82834坪)も増やしている。

この6年間において生じた「しまむらとIY衣料の売上高の大きな差」は、この、しまむらの店舗数増、売場面積増が大きな要因の一つであることは間違いありません。両社の、売上高のこの大きな差をみると、「GMSの衣料部門の復活は道遠し」と思わざるを得ません。GMS大手の「イオンリテール」、「ユニー」も、直営衣料部門の活性化と復活のために真剣に取り組んではいますが、かつては、「衣料品のイトーヨーカ堂」と言われたイトーヨーカ堂の衣料品部門の現状をみると、GMS・衣料部門の将来をどうしても悲観的に考えてしまいます。古い話になって恐縮ですが、昭和39年~昭和45年あたりまでの「衣料品全盛時代」を覚えている者としては、情緒的ではありますが、「一末の寂しさ」さえ感じます。

004_2 (表-2)は、しまむらとIY衣料の粗利益率の推移をグラフ化したものです。(IY衣料の2006年~2008年、3年間の粗利益率はつかめませんでした)。このグラフをみると、以下のことが分かります。

IY衣料の粗利益率は「常に、しまむらの粗利益率を上回っている」が、2004年度(粗利益率41.0%)以降は、落ち続け、2011年度には35.0%となっている。

一方、しまむらの粗利益率は、2003年度から、年々、わずかではあるが伸び続け、2011年度には31.8%となり、IY衣料の粗利益率の差は、約3.2ポイントと追い上げている。

粗利益率の差は、しまむら、IY、2社の「生き方の違い」からくるものではありますが、

「低価格政策」と「ローコスト経営」を経営の守るべき基本原則し、それを徹底して進めているファッションセンターしまむらと、高い販管費等のコストと、その経営コストダウンに苦しんでいるGMS・イトーヨーカ堂の差でもあります。イトーヨーカ堂の「儲け頭であった衣料品」も、売上全体に占める衣料部門の売上高構成比を、年々、落とし続け、かつては、30%以上もあったのが、2011年度には約23.2%と大きく落ち込んでいます。失礼な話で恐縮ではありますが、IY衣料部門の「先行きは暗い」と思われます。これは、GMS・IYの衣料だけでなく、他の大手GMSにとっても、衣料品「復活の日」は、果たせぬ夢のまた夢、なのでしょうか?

伸び続けるディリーファッションストア大手「ファッションセンターしまむら」と、一方、落ち続けるGMS大手「イトーヨーカ堂の衣料部門」、この2社の売上高比較、粗利益率等の比較してみて、以上のようなことを考えた次第です。どちらの側にいるにせよ、衣料品部門のスタッフは全力で必死の取り組みをしていることでしょうが、なんとしても「伸びる側」に立ちたいと考えていることは間違いないと思っています。

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