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ファッションセンターしまむら-東京都への出店加速

しまむらの東京都地区における店舗数の推移

ファッションセンターしまむらが東京都エリアへの出店を加速しています。2010年12月には、①久が原店(12/22.open)、②加平店(12/16.open)、③蒲田店(12/22.open)の3店舗を出店しました。

ファッションセンターしまむらの、2010年2月・期末時点における東京都地区の店舗数は23店舗でした。それが、2010年8月末には27店舗に、さらに、2010年12月末は34店舗と増加しています。ファッションセンターしまむらは、東京都、神奈川県、他の大都市部への出店を戦略的な重点課題の一つとしていますが、その出店戦略の重点課題達成のために、東京都における出店速度を、さらに、スピードアップするものと思われます。

東京都など大都市部への出店で、ファッションセンターしまむらのネック(障害)となっていたのは、大都市部における「賃借料・家賃の高いこと」でした。というのも、しまむらは、出店条件の一つとして、「支払賃借料・家賃は売上比で5%以内」というのを、守るべき絶対原則(「掟」にちかい)としていたからです。しかし、東京都で、その条件(5%というしまむらの掟)に合う物件は、そう数あるものではありません。そのため、東京都への出店意欲は高いにもかかわらず、東京都への出店はなかなか進みませんでした。しかし、東京都都心部、高田馬場店(新宿区)や、三軒茶屋店などの出店が、その後、かなり順調な推移をたどっていることもあり、「支払賃借料・家賃5%以下ルール」にこだわらず、多少、条件緩和しても、経営的にやっていけるという自信と確信をもったと考えられます。それが背景にあっての、東京都への出店加速であるように思います。

東京都への出店が一段と加速される

ファッションセンターしまむらの、2010年3月から12月における全国出店総数は38店舗ですが、その内の7店舗は東京都への出店です。狭間店、LaLaテラス南千住店、中野上町店、仙川店、久が原店、加平店、蒲田店、この7店舗ですが、それは、この期間における出店総数38店の約18.4%という高い割合になります。ファッションセンターしまむらは、今後、一層、東京都への出店を加速させることが考えられます。

ファッションセンターしまむらは、東京都など大都市部における出店では、従来型の単独路面店という形の出店だけでなく、大規模複合型商業施設、地元の有力食品スーパーマーケットが核店舗で構成されたNSC(近隣型SC商業施設)、大規模ホームセンター内などへの出店形態を増やしています。このように出店形態が広がりますと、かつて、「ファッションセンターしまむらが全国レベルでみて展開できる店舗数の上限は1200店~1300店だろうと」と言われていたことを、大幅に修正する必要があるかもしれません。最近では、ファッションセンターしまむらの一部からも、1800店舗から2000店舗まで「いけるのではないか」という話が出てきていると聞いていますが、その実現可能性は高いように思われます。

ファッションセンターしまむらの、2010年12月における東京都への3店舗出店をみて、以上のことを考えました。これから先の動向にとても興味があります。ファッションセンターしまむらの東京都における動向を、こまめに、ウォッチしていくつもりです。

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「株式会社しまむら」の設備投資額及び土地投資額の推移を見て考える

しまむらの「土地投資(店舗用地の取得・自己所有)」の推移

ディリーファッションストア最大手の株式会社しまむらは2004年度あたりから店舗用地(土地)の自社所有を増やしてきています。業界紙報道によれば、しまむらは新規出店店舗の約1割を自社物件にする考えであるということです。2004年以前は、基本的に、店舗用地、建物はほとんど賃借という形が多く、それらを取得し、自己所有するというケースは極めて少なかったことを考えると大きな政策転換にも見えます。

しまむらの家賃・地代等の売上比賃借料は約5%とする「掟」に近い絶対原則がありますが、店舗用地の土地取得をしても、それで出店コストや、店舗運営コストが賃借という形に比べ大きくアップすることは無いという判断をしたのかもしれません。その背景には、地価の下落が続いていたこともあったかもしれません。いずれにせよ、しまむらが、出店にあたってその店舗用地を取得、自己所有化するという動きは注目すべきことですので、その後を調べ、それを、(表-1)~(表-4)にまとめておきました。

001 (表-1)は、2001年2月期~2010年2月期までの10年間における「しまむら」の設備投資額の推移をグラフ化したものです。これを見ると、しまむらは、この10年間、毎年、約130億円超の設備投資を続けてきたことが分かります。(ただし、2002年度は約104億円、2010年は約83億円)。

とくに、2005年度~2008年度間の設備投資額の伸びが大きいですが、この背景には、出店店舗用地の取得、自己所有化の推進があるのではないかとかと思われます。

004 (表-2)は、しまむらの2001年2月期~2010年2月期の10年間における年度別土地投資額の推移をグラフ化したものです。これをみると、しまむらは、2004年度から2009年度の間、土地投資を急激に増やしていることが分かります。ちなみに、設備投資総額に占める土地投資額の割合がとくに高かった年度は、①2006年度22.1%、②2009年度21.4%、③2005年度17.8%、2010年度12.7%、この4年でした。先述していますが、しまむらは新規出店店舗の約1割を取得・自社所有化していくという業界紙報道を上回る注目すべき数字です。

007 (表-3)は、株式会社しまむらの連結決算・貸借対照表(B/S)に載っている、土地勘定の、2001年~2010年、10年間の推移です。見ての通りですが、年々、増加の一途をたどり、2010年度は約336億円と、2001年度の約1.85倍の数字になっています。この傾向は、今後も続くように思われますが、はたして、2011年以降、しまむらはどんな出店投資政策を取っていくのかとても興味があります。

010 (表-4)は、株式会社しまむらの連結決算にある「総資産経常利益率」の2001年から2010年、10年間の推移をグラフ化したものです。店舗用地を取得し、自己所有化、土地投資を増やしていくと、ある面でリスクも増えます。しかし、しまむらの総資産経常利益率の推移を見ていきますと、土地投資、店舗用地の自己所有化を増やし始めた2004年以降の数字が、低下するのでなく、逆に上昇しています。これを見る限り、しまむらの店舗用地の取得・自己所有、自社物件化の推進策は「とてもうまくいっている」と考えられ、出店コスト削減に貢献していると思われます。

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アパレル小売企業-2010年11月の既存店月別売上高前年比

動向を注目しているアパレル小売企業(上場)各社の、2010年11月の既存店月別売上高前年比実績は以下のとおり。

  企 業 名            2010/11 ( )は前年同月

ユニクロ(国内・単体)--------85.5%--(107.9%)

しまむら(単体)------------103.2%--(94.5%)

良品計画------------------95.9%--(89.8%)

青山商事(スーツ事業)-------94.5%--(88.1%)

AOKI(ファッション事業)-----101.9%--(89.4%)

西松屋チェーン------------101.8%--(87.9%)

ゼビオ---------------------99.3%--(85.5%)

ユナイテッドアローズ(小売)--105.0%--(98.6%)

ライトオン------------------97.6%--(76.3%)

ポイント--------------------95.3%--(92.1%)

ハニーズ-------------------95.7%--(77.9%)

タカキュー------------------90.0%--(85.3%)

(株)ファーストリテイリング・グループの「ユニクロ(国内・単体)」が前年比85.5%と、かなりの「前年割れ」。株式市場では、この「既存店・月別売上高前年割れ」の数字を見て値を下げました。11月は冬場の入り口ですが「暖冬」を思わせる暖かさで、切り札の新機能素材ヒートテックをはじめ、他の防寒冬物衣料も売行き不振だったということかもしれません。ともかく、11月は「ユニクロ(国内・単体)」の既存店・月別売上高前年比「大幅な前年割れ」が目立った月でした。

11月の既存店売上高が「前年比100%超」だったのは、ファッションセンターしまむら(単体)、AOKI(ファッション事業)、西松屋チェーン、ユナイテッドアローズの4社ですが、それら各社の前年同月(2009年11月)の既存店・月別売上高前年比の実績をみると全て「前年割れ」の実績です。したがって、「前年比100%超」するのが当然とする見方もあります。

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「衣料品年度別販売額の推移」を見て考える-(その2)

成長の鍵は「出店」にあり。

001_2 日本チェーンストア協会が発表している販売統計にある「衣料品年度別販売額」の推移を見ますと、衣料品の販売額は、年々、減少し続けています。それも、急降下に近いような落ち込みをしています。そのような厳しい状況下において、ファッションセンターしまむらは、毎年、売上高を伸ばし、成長し続けています。

年間売上高は、2005年度は2855億4800万円でしたが、2010年度には3606億9000万円と、この6年間で約126億円増加しています。2005年比で約1.26倍の売上高です。

店舗数は、2005年度の915店舗から2010年度には1162店舗と247店舗増加しています。2005年度比で約1.27倍の店舗増です。

ファッションセンターしまむらが、衣料品の売上大低迷の状況下で、このような成長をし続けているワケは何処にあるのでしょうか。それは、図(表-3)の右側にあるグラフ、「既存店及び全店の年度別売上高前年比の推移」を見れば、そのワケが分かると思います。ファッションセンターしまむらは、かなり力のある小売企業ですので、既存店だけでみた売上高前年比は、「前年割れ」の年もありますが、2005年度~2010年度の6年間を見ますと「前年比100%超」の年が多く、頑張った数字を出しています。(2005年・101.2%、2006年・104.8%、2007年・101.8%、2008年・99.0%、2009年・95.4%、2010年・100.8%)

しかし、全店(既存店+新店舗)の売上高前年比の推移と比較すると、既存店売上高前年比の数字は「常に、全店の数字を下回っている」のが分かります。この差は、「出店」による売上げ増によってもたらされたのは言うまでもありません。すなわち、全店の売上高前年比・「前年比100%超」という数字は、毎年、毎年、二桁出店、40店舗~50店舗という多店舗出店によって支えられているのです。

以上のことから、ファッションセンターしまむらが、年々、成長し続けている「鍵」は、毎年、毎年、二桁の出店、すなわち、多店舗出店を継続していることにあると考えらます。毎年、毎年、二桁の多店舗出店ができる資金力、商品力、店舗運営力、それと同時に、利益を出し続けていくことのできる強力な企業経営力を持っているからこそ、ファッションセンターしまむらは、成長し、伸び続けられるのだと思います。「成長の鍵は出店にあり」というわけです。

006 急成長を続けている家具センター「株式会社ニトリ」にも、しまむらと同じことが言えそうです。すなわち、「成長の鍵は出店にあり」です。(表-4)は、ファッションセンターしまむらの営業実績の推移をまとめた(表-3)と同じ形式で、ニトリの営業実績の推移をまとめたものです。表を見ると次のことが分かります。

株式会社ニトリは、2005年~2010年の6年間で、2005年との比較で、売上高を156億7200万円も増やしています。2010年売上高は2005年度売上高の約2.2倍という高い伸びになっています。

店舗数は2005年・117店舗を2010年には212店舗へと、この6年間で95店舗増やしています。それは、2005年度の1.8倍の店舗数になります。

ニトリも、しまむら同様、強力な企業経営力を持った小売企業ですが、その成長力の「今の勢い」は、しまむらを上回っているようにさえ思われます。(表-4)の右側のグラフ、既存店及び全店(既存店+新店)の年度別売上高前年比を見れば、既存店売上高前年比、全店売上高前年比ともに、しまむらの数字を上回っているからです。(「表-3」と比較)

急成長している家具センター「株式会社ニトリ」も、(表-4)を見ればお分かりになると思いますが、しまむら同様、「成長の鍵は出店にあり」ということができます。ニトリの既存店・年度別売上高前年比の数字を見ただけでも、この小売企業の優秀さが分かりますが、しかし、もし、出店をしていなかったら、売上高前年比は小幅の伸びしかできず、急成長とはほど遠い数字になっていたことは明白です。毎年、多店舗出店を続けられる企業力が無かったら、急成長を維持し続けることはできないと言ってもと思います。繰り返しになりますが、やはり、「成長の鍵は出店にあり」です。

成長の限界点を超えたその先は・・・?

もし、小売企業に「成長の限界点」があるとしたら、その限界点を超えた先は、はたして、どうなるのかとても興味があります。

ディリーファッションストア大手の、ある経営トップの方が、「われわれはディリーファッションストアが対象とできる年間衣料品購買額(需要額)の10%の売上シェアを目指す」と言われたことがあります。仮に、この「衣料品年間購買額(需要額)の10%の売上シェア」を、一つの「成長の限界点」と考えた場合、ファッションセンターしまむらの、成長の限界点はいつになるのでしょうか。興味本位で大変恐縮ですが、次のような計算をしてみました。

ファッションセンターしまむらの2010年2月期・期末店舗数は1162店舗。

2010年2月期の年間売上高は3609億9000万円。

1店舗当り単純平均年間売上高を、

(a)1店舗平均年間売上高は約3.1億円(≒売上高3609億9000万円÷1162店舗)とする。

(b)(a)の年間売上高の内には、12ヶ月稼働していない新店舗も含まれていますので1店舗平均年間売上高がどうしても低くなりますので、調整して約3.5億円とする。

この、(a)、(b)、二つの数字で考えます。

ファッションセンターしまむらが、独自に計算している衣料品年間購買金額見込みは、2010年度で約7兆円(詳しくは、7兆68億9400万円)。

この場合、売上シェア10%の年間売上高は、約7000億円。

この売上高を達成するのに必要な店舗数は、

(a)1店舗平均年間売上高3.1億円なら、7000億円÷3.1億円≒2258店舗。

2010年2月期末の店舗数は1162店舗でしたから、あと必要な店舗数は、

2258店舗-1162店舗=1096店舗

ファッションセンターしまむらの年間出店数を50店舗とすると、成長の限界点までは、

1096店舗÷50≒22年、すなわち、あと22年後となります。

(b)1店舗平均年間売上高を3.5億円とし、(a)と同様な計算をしますと、この場合の、必要店舗数は2000店舗、あと必要な店舗数は、2000店舗-1162店舗=838店舗となり、成長の限界点までは、あと必要になる店舗数838店舗÷年間出店数50店舗で、あと約17年後となります。

ファッションセンターしまむらが、ここでいう「成長の限界点」に達するのは、17年から22年先ということになります。その時間が、長いか、短いかは考え方によりますが、「まだまだ先のことだ」と言うこともできます。はたして、この計算が当るかどうか、粗っぽい計算ですから自信もありませんし、どうなるか分かりませんが、とても興味があります。ファッションセンターしまむらが、ここで計算した「成長の限界点」に達したその先はどうなるのか、どうするのか、それをこの目で見たいものです。

 「衣料品年度別販売額の推移」を見て考える    (完)

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「衣料品年度別販売額の推移」を見て考える-(その1)

年々、落下の一途をたどる衣料品販売額

日本チェーンストア協会が発表している「販売統計」(会員企業のデータを集計し作成)をもとに、1992年~2009年までの「食料品及び衣料品の暦年販売額の推移」を作成したものが(表-1)です。その結果いくつかのことが見えてきました。

002食料品の年度別販売額の推移は(表-1)の右側にある折線グラフ。1992年~2000年の間では「年度別販売額に上昇」していますが、2001年以降は、年度別販売額が落ち続けています。長期スパンで見ると、2010年以降も「年々、販売額が落ち続けていく」ことが考えられます。

食料品の年度別販売額は2000年度を100とすると、2009年には2000年の約78.9%に落下、販売額では約3兆4200億円減少。2000年から2009年の10年間、販売額は緩やかなカーブを描きながら落ち続けています。

衣料品の年度別販売額の推移は(表-1)の左側のグラフですが、食料品の年度別販売額に比べ、急角度で落下し続けており、これから先も「歯止めがかからない落ち込み」を予感させます。1992年の衣料品販売額は約3兆9260億円でしたが、それが、2009年には約1兆3690億円となり、この間で、販売額が約2兆5570億円も減少しました。

衣料品の年別販売額は、2000年を100とすると、2009年には2000年の約48.8%まで落下、販売額では約1兆4370億円も減少しました。景気不振、消費低迷、激化する低価格競争、衣料品店の減少等が、衣料品の年度別販売額の落ち込みの要因として考えられます。衣料品の先行きを悲観的に見ている人が多いのも「うなづける」ような激しい落ち込みではあると思います。

006 (表-2)は、平成18年1月から平成22年の12月までの月別衣料品販売額の推移をグラフ化したものです。この間の月別販売額のピークは平成18年12月の約1850億円ですが、それ以降は月別販売額の「歯止めなき落下、底が見えない落下」が続いています。

とくに、注目すべき点は、グラフに赤●で印している「下限値販売額」の落下傾向です。平成22年度には「やや横ばい、落下に歯止め」がかかったように見えますが、大きな流れとしては「年々、減少傾向」が見られますので、先行きは依然として不透明、楽観はできません。

以上のように、日本チェーンストア協会が発表している販売統計をもとに作成した会員企業であるチェーンストアの衣料品販売額は、「年々、落下の一途」をたどっています。この流れは、これから先も続くものと思われます。このような「先に明るさが全く見えないともいえる状況下」にあって、多くの衣料品店は、「生き残るために」、一体、どのような対応策をとっているのか、とても気になるところです。極めて悲観的な見方をすれば、「戦いに敗れ、死屍累々という情景」が目に浮かばないでもありません。しかし、そんな悲観的な見方を払しょくするような、元気のいいチェーンストアがいくつかあります。次回、衣料品年度別販売額の推移を見て考える-(その2)で、「元気印のチェーンストア」の2社をとりあげ、元気なワケを探っていきたいと思います。

  衣料品の年度別販売額の推移を見て考える-(その2)に続く

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