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売れる販促セールに必要な仕掛け10-(その1)

(1)本当のお値打ち品を提供すること。ウソをつかないこと。だまさないこと。

お客は、店と商品と、その店で働いている人々のことを実によく見ています。セールチラシで、それほどお値打ち品でもないモノを、「安い、安い。こんなにお買得品です」などといって売りつけるのは厳禁です。お客は、はじめのうちは騙されているとは分からずに、それでも買っていくかもしれませんが、いずれ気がつきます。それが積もり積もると、「あの店は信用できない。騙された。もう買わない」ということになります。店の信用、信頼度は大きく失われることになり、短期間で店は衰滅してしまいます。お客の信頼を失った店の寿命は短いものです。販促セールチラシに掲載する商品・品目数が、たとえ、少なくとも、本当のお値打ち品を提供していくことが大切です。

ある調査によれば、お客がセールチラシを見て、ガッカリしていること上位4は、①目玉商品が変わりばえしない、②欲しい種類の目玉が無い、③売る量が制限されている、④目玉商品の数が少ない、この4つです。そして、「特売はこんなものとあきらめている」人が50%超います。セールチラシに掲載する商品・品目は、よくよく考えて、お客が本当に魅力を感じる商品を載せる必要があります。それを怠れば、早晩、お客から見捨てられることになります。

(2)セールチラシ掲載商品が「一目で分かる売場づくりと陳列・演出」をすること。

バーゲンセールだというので、わざわざその店に行ってみたが、チラシ掲載の目玉商品が何処に置いてあるのか分からない、なかなか見つけられない。こんな不親切な店があるものです。「安い商品なんだから、自分で勝手に探し出せ」というのはいけません。あまりにも不親切、こんな姿勢、「売ってやる」という傲慢なやり方でバーゲンセールをやるのは店のためになりません。マイナスだけです。また、「なぁーんだ、バーゲンセールというけれど、昨日の売場とちっとも変っていないじゃない。どこがバーゲンなの。ガッカリ!」と言われることの無いようにしたいものです。セールチラシ、広告ビラ、POPカード、平台、特価ワゴン、店内放送などを効果的に使い、「セールチラシ掲載商品、とりわけ、目玉商品が一目で分かる」陳列・演出、売場づくりをしておかねばなりません。

(3)今の時期、今の季節で最も必要なモノ、魅力を感じる商品を提供すること。

お客にとって、「今、必要でないモノ」は、「そんなに欲しくないモノ」を品揃えしても意味がありません。お客にとって、時期遅れ、シーズン遅れ、売れ残りの商品は、なんの価値もありませんし、魅力も感じません。バーゲン商品だから「多少、時期遅れの商品でもいいや」といって買ってくれるお客は今はもういないでしょう。「今、必要なモノが安い」、「今、旬のモノが安い」、それがお客にとっては「お値打ち品」なのです。バーゲンセールを打てば、なんでも売れる時代ではありません。セールチラシで「安い、安い」と騒げば、お客が集まってくる時代でもありません。お客が、今の時期、今の季節で最も必要なモノ、魅力を感じるモノをセールで提供し続ける、これがベストであることを決して忘れないことです。

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店舗改装・閉店売りつくし&完全閉店セールチラシ

001 ファッションセンターしまむらは店舗年齢の高い店舗を積極的に改装・リニューアルしています。外装、ファッサード、床、壁、天井、照明、他の店舗設備など、ほとんど新築に近いといっていいくらいの全面的店舗改装です。そして、店舗改装と同時に、リニューアル閉店売りつくしセールを単価いしています。チラシ-①)は、しまむら東我孫子店のリニューアル・閉店売りつくしセールのチラシ。しまむら東我孫子店(千葉県我孫子市岡発戸)は1989年に開店し、店舗年齢・約21年というかなり旧い店舗の一つ。売場坪数約252坪、年商推計約3億5000万円、売場坪当り年間売上高約141万円。店舗設備は旧いけれど、稼ぎの大きい利益(黒字)店舗と考えられます。

005 (チラシ-②)は、ファッション市場サンキ・柏店(千葉県柏市)の改装セールチラシ。数年前から、サンキは販促セールチラシの散布回数と散布枚数を大幅に減らし、販促費圧縮に取り組んでいるようです。しかし、新規開店セールや、店舗改装・売りつくしセールのようなペッグイベントにはチラシを打ってきます。この、ファッション市場サンキ・柏店の店舗改装・サヨナラ感謝セールチラシもその一つです。黄色1色のグランド地、黒文字だけのセールチラシですが、昔はこのタイプのセールチラシがサンキ・得意のチラシであったように思います。

008 (チラシ-③)は、あかのれんの店舗改装・閉店・売りつくしセールのチラシ。あかのれんも、ここ数年、既存店の改装・リニューアルをかなり積極的に進めてきています。そして、店舗改装と同時に、強力な閉店・売りつくしセールを展開しています。おそらく、大きな「売上の山づくり」ができたものと思われます。量販総合フルライン衣料品店として長い歴史を持つ「あかのれん」は経験豊富で、販促企画力もあり、彼らが打ちだす販促セールチラシは、とてもインパクトの強く、私的には、とても好きなセールチラシタイプのひとつです。赤色で大きな文字使いのセールタイトルコピー、チラシを一目見れば何をやっているかがすぐ分かる、強い訴求力のあるラチシではないかと思います。

009

(チラシ-4)は、ファッションセンターしまむら高麗川店の完全閉店・売りつくしセールチラシ。高麗川店(埼玉県日高市鹿山。食品スーパーヤオコーの2F)は、先述の、しまむら東我孫子店と同じ旧い店、1981年開店で店舗年齢は約29年。売場坪数約308坪、年商推計約3億3000万円、売場坪当り年間売上高約109万円。店舗年齢から考えて、「償却済み」の店で、これも利益(黒字)店舗だったでしょう。周辺に競争相手となる店は無いと思いますが、どこか近くの場所に移転・新築ということはないのでしょうか・・・・・。

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急速拡大している「しまむらのPB商品比率」

ファッションセンターしまむらは、2008年度(2008/2.21-2009/2.20の)重点課題のひとつに、「PB商品の強化拡大」を掲げています。そして、2009年度(2009/2.21-2010/2.20)の方針として「PBは主力ブランドに集約し、PB比率30%を目指す」としていました。その実績は、しまむらグループの業績説明会資料によれば、次のような数字になっています。

2008年度(2009年2月期)の商品全体に占めるPB商品比率は18.0%、2009年度(2010年2月期)のPB商品比率は34.2%。わずか、1年間でPB商品比率が16.2ポイントも拡大しています。これは、驚くべき数字と言えるのではないかと思います。

PB商品比率の拡大にともなって、値入率、粗利益率もアップしています。2009年2月期の値入率36.0%が、2010年2月期には36.8%にアップ。また、粗利益率は、2009年度2月期31.0%が、2010年2月期には31.3%にアップ。この数字は、一見、わずかなアップにしか見えませんが、ファッションセンターしまむら(単体)の年間売上高が3500億円超(2010/2)であることを考えれば、決して小さな数字ではありません。

2008年度、2009年度のPB商品比率の数字の推移を見ても、しまむらが公表通り、「ブランド化の推進」と「PB商品比率拡大」に積極的に取り組んでいることが分かります。また、PB商品比率拡大と同時に、その取り扱い「量拡大に伴うリスク管理が一層重要」として商品管理も強化しています。

ファッションセンターしまむらの商品部門別・PB商品比率の推移

                    2008年度  2009年度

商品1部(婦人衣料・レギュラー)-----19.9%-----40.7%

商品2部(婦人ヤング・ティーンズ)----14.9%-----22.5%

商品3部(紳士衣料)-------------17.4%-----46.7%

商品4部(子供・ベビー衣料)---------9.7%-----33.4%

商品5部(肌着・靴下・インナー)------28.0%-----42.2%

商品6部(服飾雑貨)-------------14.9%-----31.4%

商品7部(寝具インテリア)---------11.5%-----25.4%

商品全体100時PB商品比率合計-----18.0%-----34.2%

注①2008年度=2009年2月期、2009年度=2010年2月期

注②商品部門別PB商品比率は商品全体を100としての比率

注③しまむらグループ・業績説明会資料等から作成

一部報道では、ファッションセンターしまむらは、PB商品比率を50%まであげると言われています。2008年度と2009年度比較に見られる「急速なPB商品比率の拡大」速度から考えると、あと3年、遅くとも5年後には、PB商品比率50%を達成しているかもしれません。しまむらの商品調達方式は、ユニクロのような完全SPA型ではありませんが、実態は、それに近い部分が相当拡大されてくるような気がします。しまむらのPB商品比率が50%超となった場合、その商品力と商品政策(=高品質+低価格)に対抗できる小売企業はわずかな小売企業だけでしょう。国内小売業界では、ユニクロ(ファーストリテイリング)、ファッションセンターしまむら、ニトリ、この3強の時代が、しばらくの間、続きそうな気がしています。

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夏物衣料をいつ切り上げるか。今年の夏の端境期(夏~秋)の商品展開は難しい

今年の8月~10月の3ヶ月予報にある気温変化予測

日本気象協会による8月~10月の3ヶ月予報概要は以下のとおりです。

8月の気温は沖縄・奄美で高い確率60%。東日本と西日本で平年並み、または、高い確率ともに40%。

9月は、全国的に残暑が厳しい見込み。気温は、沖縄・奄美で高い確率60%の他は、高い確率50%。

10月の気温は、平年並み、または高い確率ともに40%。

関東甲信越地方の8月~10月・3ヶ月予報では、9月→残暑が厳しい見込みで、気温は高い確率50%。10月→気温は平年並み、または高い確率40%。

8月に入ってからも相変わらず「猛暑」が続いており、素人考えですが、この暑さは9月いぱいまで長引くのではないかと感じています。この気候を見ていますと、夏物衣料をいつ切り上げるか、その決断に迷うことがありそうです。夏物衣料を早く切上げすぎれば「販売チャンスロス=売上のがし」がありそうですし、かといって、深追いしすぎれば、それが大幅値下げロスを引き起こす危険もあります。異常気象ともいえる厳しい暑さが続くのを横目で見ながら、夏物衣料商売をどううまく着地させるか、最適策を考えていかねばならないようです。

マークしている量販衣料品店における2010年7月の衣料品販売動向

ファッションセンターしまむらの月次売上速報によれば、7月度の販売状況は、「7月は気温が高く夏物衣料が良く動いた」とあります。(ただし、西日本を中心とした集中豪雨の影響により客数が伸び悩む)。また、既存店の7月次売上高前年比は96.6%となっています。

ユニクロ(国内ユニクロ売上情報)によると、7月度は気温が高く推移したことから夏物販売が堅調に進み、前年並み、とあります。また、既存店7月度売上高前年比は100.4%。

株式会社ポイントの7月・月次売上速報によれば、全国的に金の高い日が多く、夏物の販売が順調に推移したとあります。また、既存店の7月度・売上高前年比は101.9%。

株式会社ハニーズの財務・業績情報-月次データによれば、7月は、記録的な高温が続く中、中旬以降、売上高は順調に推移。既存店売上高前年比は6月度の101.2%に続いて、7月度の前年比も104.9%と伸びた。

ユナイテッドアローズの月次概況-7月の概況によれば、7月は真夏日が続くなど月を通して暑い日が多かったため、盛夏アイテムが好調とあります。また、7月は、春夏物商品のセールが堅調に推移、全体の売上を牽引、既存店の月次売上高前年比は107.9%。

当方がマークしている量販衣料品店チェーン各社の夏物売行き動向は「かなり順調」だったようです。この傾向を前提に考えますと、一般的に夏物は「早期値下げ、早期切上げ」が基本原則ですが、(A)夏物早期切上げ策をとる店と、(B)夏物をあと少し追いかけて、もう一つの売上の山づくり策をとる、この二つに分かれるかもあるかもしれません。9月、いっぱいまで、この暑さが続くと考えた場合、当然、秋物の売上は期待薄になると思われ、それを夏物処分セールで埋めようとする動きが出てくるだろうと思うのですが、はたして、各社はどんな手を打ってくることでしょう。

シーズン・マーチャンダイジング計画

繊維工業構造改善事業協会の「アパレルリテイル-ファッション小売の知識と実務」に書かれている「シーズン・マーチャンダイジング計画」から、夏~秋におけるシーズン別MDing計画を抜粋しますと以下のようになっています。

①5月10日~6月15日→初夏物通勤&カジュアル実売期

②6月15日~7月20日→盛夏リゾート&カジュアル実売期

③7月20日~8月20日→晩夏物実売期

④8月20日~9月10日→初秋物提案期

⑤9月10日~10月5日→初秋物実売期

⑥10月5日~11月15日→秋物実売期

月日の設定は、一応の「目安」でしょうが、このシーズン・マーチャンダイジング計画によれば、夏物の切上げは8月20日前後ということになります。衣料品商売の経験から言えば、この夏物切上げの月日設定は、納得できる設定だと思います。はたして、今年の、この夏の暑さが9月いっぱいまで続くと見込んだ場合、各社は、夏物切上げの月日設定にどんな決断をするでしょうか。9月下旬には各社のとった政策が分かることでしょうが、大いに興味を持っています。

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北海道地区における「ファッションセンターしまむら」&「サンキ(北海道三喜)」の現況

北海道地区で最大のディリーファッションストアは「ファッションセンターしまむら」

北海道地区ではファッションセンターしまむらが最大のディリーファッションストアであり、かつ、量販総合フルライン衣料品店チェーンとしても最大。(表-1)は、北海道地区におけるファッションセンターしまむら及びそのグループの2001年度から2010年度、過去10年間における推移をまとめたものです。

003(表-1)を見れば分かる通り、2010年2月期におけるファッションセンターしまむら(単体)の店舗数は60店舗。しまむらグループの専門店も含めた北海道における2010年2月期における年間売上高は約173億5000万円。売場面積は総計は66093㎡(約20028坪)。2001年度を100とすると、10年後の2010年度には店舗数5倍、売上高10.2倍、売場面積約5倍と大幅に拡大しています。その急速拡大ぶりをグラフ化していますが、急勾配上昇する様は驚異的です。しまむら独自の計算ですが、北海道地区の衣料品年間購買高(需要額推計)に占めるファッションセンターしまむらグループの売上シェアは2010年2月期で6.6%となっています。この売上シェアも2001年度を100とすると、2010年度にはその16.5倍になります。ファッションセンターしまむらの北海道地区攻略への並々ならぬ取り組み、強い意志を感じます。現況から推測すると、6~7年後には、北海道地区におけるファッションセンターしまむらの売上シェアは10%に達しているかもしれません。

北海道地区のファッションセンターしまむら&サンキ(北海道三喜)の勢力比較

①店舗数

ファッションセンターしまむら(単体)--------60店舗

三喜協同衣料(株)→(サンキの正式会社名)---38店舗

②年間売上高2010年2月期

ファッションセンターしまむらグループ---約173億5000万円

三喜協同衣料(株)------------------約68億円~70億円(推計)

③北海道の主要都市における店舗数

都 市 名   しまむら(単体)   サンキ

札幌市-------9店舗---------11店舗

函館市-------3店舗----------3店舗

旭川市-------4店舗----------3店舗

釧路市-------3店舗----------3店舗

苫小牧市-----2店舗----------3店舗

サンキ対しまむらの戦い、本格的競争が激化するのはこれから

北海道地区における現在の勢力比較では、ファッションセンターしまむらが圧倒的に有利な体勢です。店舗数、年間売上高ともに、サンキに大きく差をつけています。しかし、競争の原点は「個店対個店」の戦いです。北海道というエリアに限定して言えば、この個店対個店の勝敗が、競争の勝ち負けをきめることになります。

北海道地区におけるファッションセンターしまむらとの戦いで、現在、サンキが不利なのはその会社の成り立ちに原因があります。三喜協同衣料(株)は、さっぽろ生協から譲渡されたその子会社のコープ衣料(株)→38店舗・売上約58億円と、三喜協同衣料(株)・5店舗、売上高約10億円、この2社が2008年3月に合体し誕生したものです。したがって、まだ、関東地区におけるサンキの力、店舗規模、商品力、品揃え力、競争力が100%発揮できる体勢が築かれてはいません。その一つが、三喜協同衣料(株)の店舗規模のバラツキと、サンキが得意とする店舗規模の店が少ないことです。

さっぽろ生協から譲渡されたコープ衣料(株)の38店舗に、サンキが得意とする売場面積規模500坪~600坪の店舗は数店舗しかありません。あとの店はほとんど300坪以下と考えられます。2010年度2月期末におけるファッションセンターしまむらの店の平均売場面積規模は約330坪~400坪ですから、店舗規模比較での競争力は間違いなく「サンキが不利」です。

北海道地区以外にあるのサンキの店舗規模別構成(2010年2月時点)の特徴は以下のようになってます。

①売場坪数551坪~650坪----22.6%(26店舗)

②売場坪数351坪~450坪----20.9%(24店舗)

③売場坪数451坪~550坪----17.4%(20店舗)

④売場坪数651坪~750坪----11.3%(13店舗)

これをみると、サンキは売場坪数規模550坪以上の店舗運営が得意なことが分かります。関東地区では、ファッションセンターしまむらとかなりの地区でぶつかり、競争していますが、サンキは「ファッションセンターしまむらより売場面積規模が大きな店、2倍~3倍の店」をぶつけ、競争に打ち勝っている地区が沢山あります。商品力、品揃え力も550坪以上の店の方が、サンキの実力を十二分に発揮できます。現在の北海道地区のサンキの弱点は、各店舗の売場面積規模が、サンキの実力を発揮するには小さすぎることです。

今後、店舗の売場面積規模が既存店の売場面積規模拡大や、売場面積規模550坪以上の店の出店によって拡大されれば、間違いなく「サンキ不利」という状況は大きく変わるものと思われます。北海道地区におけるサンキは、店舗総数、年間売上高規模では、もう、ファッションセンターしまむらに追いつくことは出来ないと思われます。しかし、個店対個店の競争なら、サンキ得意が得意とする売場面積規模の店が増えさえすれば、ファッションセンターしまむらとの競争に勝てるだろうと思います。何年後にそうなるか、明言することはできませんが、私的には、なんとなくそんな気がするのです。はたして、5年後、7年後にはどうなっていることでしょう・・・・・・・・・・・・・・。

 

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しまむら&サンキ 粗利益率及び販管費率の推移を見る

ディリーファッションストア大手、第1位のファッションセンターしまむら、そして、第2位・ファッション市場サンキ(株式会社三喜)の過去10年間、2001年~2010年における粗利益率と販管費率の推移は以下のとおり(表-1)。

001最初に、 (表-1)から2社の、2001年~2010年、過去10年間の粗利益率の推移を見ていくと次のことが分かります。2001年~2010年におけるサンキの粗利益率の推移を見ると、下限値30.3%、上限値は32.3%で、上下変動差は約2ポイント。一方、同期間におけるファッションセンターしまむらの粗利益率は、2001年度の27.3%が、2010年度では31.7%と4.4ポイントも上昇しています。その上下変動差はサンキの2.2倍で、粗利益率が大きく上昇している。しまむらの粗利益率が大きく上昇した背景には、(イ)全取扱商品に占めるPB商品比率が約30%~40%近くまで拡大してきている、(ロ)値下率が各年度とも約5%前後におさえこまれていること、(ハ)直流-中国における加工・物流の拡大、(ハ)配送センターの整備など物流システム構築による物流コストの低減、などが考えられます。サンキもPB商品・kokinuなどがありますが、全取扱商品に占める割合は、しまむらと比べればまだまだ低く、粗利益率拡大への貢献度はまだまだ低いのではと思います。販管費率は、年々上昇傾向にあるサンキの販管費率に比べ、しまむらの販管費率は約22%~約23%と、サンキよりも約6ポイントも低く、強力にコントロールされています。この差が営業利益率の差となります。

002 (表-2)は、2001年~200年におけるファッションセンターしまむらの値入率と1品平均売価単価の推移をまとめたものです。これを見ると、値入率は年々上昇しており、2001年の値入率は31%だったものが、2010年には36.8%と、約5.8ポイントも大幅に上昇している。しかし、1品平均売価単価の10年間における推移を見ると、平均すれば718円~722円の間、約4円という極めて少ない上下変動差。これは、しまむらの低価格政策(良質+低価)が徹底していることを物語る証左。値入率は上昇しているが1品売価単価は、ほぼ横ばいだからです。

(表-1)、(表-2)を見ますと、ディリーファッションストアの粗利益率は33%以下におさまると言うか、案外、適正な利幅と言える数字なのではないかという気がします。勿論、これから先、値入率の上昇が無いと言っているわけではありません。しかし、ディリーファッションストアの一つの大事な生命線とも言える「低価格政策」を維持していく限り、これから先、さらなる仕入コストの低減があったとしても、それで、値入率を大幅に上昇させることはしないのではないかと思われます。また、そう簡単に出来ることでもないと思うのですが、はたして、5年後、10年後のディリーファッションストアの値入率と粗利益率はどうなっていることでしょう。私的には、引き続き、その変化を追い続けていこうと思っています。

「しまむら&サンキ 粗利益率及び販管費率の推移を見る」   (完)

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小売業1年生に求められる現場実務力(4)

(16)正しい棚卸しのやり方を分かっており、正確な棚卸しが出来ること

棚卸しは商品管理で重要なもののひとつです。厳密、かつ、正確に実施しなければなりませな。いい加減にすれば正確な利益が分からなくなってしまうからです。小売業1年生と言えども、次の質問に数字と理屈で答えられねばなりません。

①棚卸しの前準備として必要なことはどんなことですか。

②棚卸し表はありますか。

③棚卸しはどんなやり方でやっていますか。(とくに、以下の点について)

  メンバー編成  記帳方法、 売場・倉庫・預かり品・持ち出し品の正確な把握

  ダブりチェック(二重棚卸し記帳防止)、売場在庫と倉庫在庫を明確に区分記帳

  季節外商品・デッドストック、棚上げ商品在庫などの正確な把握、

  商品の評価基準(とくにね死に筋商品の売価評価など)

④実地棚卸し後の棚卸し表の集計、計算はどうやっていますか。

⑤実地棚卸しで出た在庫数値と商品管理統計表の理論在庫数値との誤差が出た場合、どのような処理をしていますか。

⑥棚不足、商品ロスが出た原因を追及し、明確につかんでいますか。

⑦棚不足率は売上比何%でしたか。同業他社の棚不足率を知っていますか。

⑧どうすれば、棚不足・商品ロスを少なくすることができますか。

(17)売場のルーティンワーク(定型作業)の正しいやり方を知っている

売場での仕事・作業はいろいろありますが、それらの多くはほとんどは定型作業です。正確に処理できねばなりません。作業の標準化、作業効率をあげるために、各作業のマニュアルが作られている店もあります。人によって、それぞれやり方が違うというのは避ける必要があります。誰がやっても同じ処理方法、同じ成果を得られる、これがベターです。売場での仕事・作業でルーティンワーク(定型作業)といわれるものには、次のような作業があります。

①店内・売場清掃、②売場と倉庫の商品整理整頓、③品切れ、欠品の発見と補充、④売行き不振品、死に筋商品の発見とその処理、⑤売れ筋品の補給、⑥返品作業、⑦POPカード作成、整備、手直し、⑧売場レイアウトの変更、⑨商品陳列の変更、手直し、⑩倉庫の整理整頓、⑪商品の検収・検品・値札付け、⑫商品棚卸し(売場・倉庫)、⑬お客様からの苦情処理、返品処理⑭御直し品の処理、⑮売掛金の回収、⑯商品管理台帳の処理、⑰商品管理統計表の処理、⑱商品の店間移送処理、⑲売上金、現金処理、⑳顧客名簿の整理整頓、(21)競争店・競合店調査、(22)商品仕入担当者への諸報告、(23)仕入先との各種交渉、(24)売場要員作業割当(ワークローテーション)、(25)各種伝票の正確な処理(仕入伝票・納品伝票・返品伝票・移動伝票・売価変更伝票・クレジット処理伝票・御直し伝票・出金伝票など)

(18)30人以上、お客様の名前と住所・電話番号を知っている。

個人情報保護、プライバシー情報保護に関する法律があることは分かっていなければなりませんが、お客様の名前、住所、電子番号などを知っていることは、販売力につながる強力な武器です。

①ハガキ・DM送付、特別優待セールご招待案内状、季節のあいさつ状送付、バースディカード送付、新商品入荷のご案内状送付、パーティ招待状送付など、何枚、出せますか。

②自分の得意客、ファン客の名簿の整理整頓をやっていますか。

③自分の得意客と、なんらかのコミュニケーションをやっていますか。

④自分の得意客の特性を注意し、記録していますか。

御買上いただいたもの、好きなモノ・好きなこと、所得レベル、体形(身長・サイズ)

職業・社会的地位、家族構成、持ち物、ふだん身に付けているモノ、等。

セルフサービスの店であっても、自分のお得意客づくりは必要です。大変な努力をしなければなりませんが、「売る力」りある人は、常に、お得意客づくりに取り組んでいます。とりわけ、「売ることが好き、接客販売大好き」という人は、お得意客づくりが上手です。向き不向きはあるでしょうが、少しでも「売る力」をつけるよう頑張ることは大切なことです。

小売業1年生に求められる現場実務力  (完)

 

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小売業1年生に求められる現場実務力(3)

(12)売出し・セールチラシの掲載商品内容を数字で答えられること

チラシ掲載商品・品種・品目に関する以下の項目を数字で答えられる。

①品種品目別売価→何をいくらで掲載しているか。

②品種品目別仕入数量(当初投入数量)→何枚仕入れたか。

③品種品目別セール期間内販売数量実績→何枚売れたか。

④品種品目別・セール終了後の在庫数量→何枚売れ残ったか。

⑤品種品目別販売消化率→販売数量÷投入数量×100

売出し・セールのチラシ掲載商品が100%売り切れることはあまりありません。チラシ掲載商品の残品率は思ったより多いものです(セール終了後の残品率が50%を超えることも少なくない)。売れ残った商品は、さらに値下げして売らねばなりません。また、売れる店に移動して売り切ることも考える必要があります。さらに、それには人手と移動コストがかかります。チラシ掲載商品の売れ残りは「損のもと」です。セールチラシ掲載商品がどうなったかを良く知っておく、数字でつかんでおく必要があります。

(13)本年と昨年、同月、同週間の数値実績(売上・在庫・仕入)を知っていること

昨年実績は一つの重要な指標。以下のことをつかんでいなければなりません。

①本年と昨年、同月、同週間の売上実績はいくらか。

②同期間の商品分類別・伸率(前年比)は何%か。

③本年と昨年、①、②の数字の差は何が原因か。

(14)商品の整理整頓の仕方、陳列の仕方を知っていること

商品の形状、陳列什器の形態によって、商品陳列の仕方、演出のやり方は違ってきます。どういう陳列の仕方、見せ方、演出のやり方がベストなのかを知っておく必要があります。それによって、売行きが大きく変わるからです。

サイズ別  カラー別  ブランド別  メーカー別

年齢別   性  別  感性別    コンセプト別

(15)商品効率数値、売上効率数値とその意味が分かっている。公式が書ける。

①売場坪当り売上高→月間、年間

②売場坪当り売価在庫高→実売場坪数当り、営業面積坪当り

③売場坪当り平均品揃えアイテム数

④ABC分析(パレート分析)

⑤粗利益率、値下率、棚不足・ロス率、値入率

⑥商品回転日数

⑦交差主義比率(交叉比率)

⑧部門ミックス、商品ミックス

⑨利益貢献度

⑩GMROI

商品と売場の計数管理を徹底するためには必ず知っておかねばならない必須項目です。一見、難しそうですが、それほど難しいことではありません。一度、覚えてしまえば済むことです。①~⑩の項目の実績数値をつかんでいれば、計数分析能力、問題点発見能力が一段と増します。自分の売場、担当商品の力のレベルが客観的に判断できるようになります。どこをどう強化すればよいのか、品揃えの改善すべき点はどこかなど、改善強化策のポイントも分かるようになります。

続く→小売業1年生に求められる現場実務力(4)へ

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小売業1年生に求められる現場実務力(2)

(6)担当部門(商品)の商品品種別仕入先名・メーカー名・ブランド名、商品品種別仕入先構成比を数字で言える。

商品品種別仕入先構成比→①主力仕入先、②準主力仕入先、③競争店の仕入先構成

品種別に少なくとも15社の仕入先名とその仕入高を知っている(目標は30社)。

衣料品で言えば、仕入先、問屋、メーカー、ブランドは何万社もあります。その時々で、ヒット商品、売れ筋品を持っている問屋・メーカー・ブランドは変化します。したがって、常に、その変化を頭に入れておく必要があります。これには大変な努力が必要になりますが、意識的観察をしていればそれほど難しいことではありません。30社ぐらいはすぐ言えるようになる。

(7)自分の担当部門(商品)の品種別の在庫数量が数字で答えられる。品種別品揃えグラフ(品種品目別・売価ライン別在庫数量グラフ)が書ける。

店頭・売場で商品の整理・整頓をこまめにやり、日々の品種別・品目別在庫数量の棚卸をやっていないと品揃えグラフを書くことはできません。全ての商品の品揃えグラフが書ければベストですが、とても無理な話です。したがって、その時、その季節の主力商品品種・品目に重点を置いて、在庫数量の棚卸と品揃えグラフを作成するのがベターです。

品種・品目別・品揃えグラフ→縦軸=在庫数量、横軸=プライスライン(or、レンジ)

(8)店の倉庫に置いてある商品在庫を品種別に数値でつかんでいる。

店の倉庫には商品在庫が無いことがベストですが、徹底するのはなかなか難しいことです。しかし、倉庫で商品は売れません。どんな商品であれ倉庫にあるものはデッドストックであると考えるべきです。いろいろ理由はあるでしょうが、余分な在庫であることは間違いありません。ランニングストックが必要だとはいっても、必要以上に倉庫在庫を持ってているのはムダです。値下げ、見切り処分対象になるリスクの高い商品在庫、「損のもと」と考えるべきです。

次の質問に数字をもとにして答えられなければなりません。

①なぜ倉庫在庫が必要ですか。

②倉庫が無いと困るのはなぜですか。

③最近、店の倉庫の棚卸しをやりましたか。

④倉庫に、季節外れ商品、持ち越し商品、棚上げ商品は、いくらありますか。

⑤倉庫在庫は、あなたの担当部門(商品)在庫・全商品在庫の何%ですか。

(9)最低陳列量、最大陳列量、適正在庫の意味を知っている。

売れる分だけ仕入れる。売れる分だけ売場在庫を持つ。これができればベストです。それを実現することは、とても難しいことです。しかし、出来る限り近づける努力はせねばなりません。在庫過剰は商品回転日数を悪化させ、大きな値下げをもたらすからです。

あなたの担当部門(商品)の品種品目別最低陳列量を分かっていますか。

①アイテム別・フェイス別・最低陳列量及び最大陳列量

②品種品目別・使用什器形態別・最低陳列量及び最大陳列量

最低陳列量、最大陳列量は、品目別・週間売上数量予測が無ければ決められません。適正在庫量も計算することができません。「最低陳列量+○日分の売上予測数量」で効率的な陳列在庫量を計算する必要があります(3日分の売上数量予測、1週間の売上数量予測)。この作業を繰り返し、繰り返し行うことで、適正在庫量のコントロール力がつく。

(10)売行き不振品、死に筋品、売れ残り品の処分方法を提案できる。

売行き不振品、死に筋品は発見したら早期処分が必要です。時間か経てばたつほど損が大きくなるからです。大幅値下げをせざるをえなくなる前に処分せねばなりません。早期値下げ処分したほうが、結局のところ「少ない損(少ない値下げ)」で済むことが多いのです。

あなたは売行き不振品、売れ残り品をどのように処分していますか。

①早期発見、早期値下げ処分。

②仕入先に返品。

③売れている店に移動、そこで処分してもらう。

④仕入先より値引きをもらい、値下げ処分する。

⑤特別処分セールをやって短期間集中処分。

⑥寄付する。

⑦焼却する。

これ以外に、まだまだ処分方法はあります。考えてみてください。

(11)商品展開カレンダー、販売カレンダー、商品の季節サイクルを知っている。

商品展開カレンダー、販売カレンダー、商品の季節サイクルは、商品仕入担当者、バイヤーが知らねばならないことですが、売場担当者も知っておく必要があります。季節の変化に合わせて、次の季節の商品の品揃えをいつから開始するか、いつ切り上げるか、それを知っていれば、品揃えチェック能力、商品鮮度チェック能力が鋭くなります。そして、商品回転日数、値下率低減、粗利益率アップにつながるからです。

続く→小売業1年生に求められる現場実務力(3)へ

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小売業1年生に求められる現場実務力(その1)

(1)自分の担当売場(商品)について、次の質問に全て数字、図で答えらるようにならなければなりません。

①昨日の売上高はいくらでしたか。

②今月昨日までの累計売上高はいくらですか。

③その累計売上高の前年比は何%ですか。

④昨日の売価在庫高はいくらでしたか。

⑤あなたの担当商品の昨日・閉店後の在庫数量は何枚でしたか。

⑥昨日は何が、何枚売れましたか。

⑦あなたの担当商品の倉庫在庫は何枚ありますか。

⑧あなたの担当売場は何坪ですか。(実売場坪数・中分類売場坪数)

⑨あなたの担当売場を、競争相手の店は何坪とっていますか。

⑩あなたの担当売場の売場レイアウトと什器配置図が書けますか。

⑪あなたの担当売場の商品分類別・今月売上高予算、在庫高予算はいくらですか。

⑫あなたの担当売場(商品)の先月・仕入先別仕入売価高を大きい順に答えてください。

⑬あなたの担当売場の昨日の買上客数は何人でしたか。

⑭あなたの担当売場の今月昨日までの累計値下高はいくらですか。

⑮あなたの担当売場の先月の商品回転日数を答えてください。

仕事の成果、結果は全て数字で表現されます。1は一、2は二です。あいまいではありません。計数把握力、計数感覚を磨かねばなりません。

次の数値項目についてすぐ答えられること。(手帳、ノートを見るも可)

本日売上高実績、今月本日まで累計売上高実績、本日売価在庫高、本日値下高、今月本日まで累計値下高と率、本日商品移動・返品高、今月本日まで累計仕入売価高と仕入値入率、今月本日までの粗利益率、今月本日までの商品回転日数。

(2)「今、何が売れているか」、「いま、何が売れていないか」、「今、品切れしているものは何か」、「どの商品を補充しなければならないか」が分かっていること。

①売れている商品を品種・品目別に、売価・デザイン・カラー・サイズ・品質素材・機能・仕入先・メーカー・ブランド等を答えられるか。日々、克明に記録しておく。

②売れ筋ベスト10品目、不振品ワースト10品目、品切れ・欠品商品が言える。

(3)商品在庫の中身を分かっていること。

①一日の売上高、売上数量よりも、はるかに多い商品売価在庫高、使用品在庫数量が店舗にはある。「今、ある商品在庫の中身、内訳」を良く知っておかねばなりません。

②「良く売れている商品=売れ筋品」が、売場にある商品在庫に占める割合は、思っているよりはるかに少ない。

③全店合計商品売価在庫高(店頭・売場商品在庫+店舗倉庫在庫+物流センター在庫+仕入先・メーカーへの一時預け在庫+生産仕掛品在庫)に対する「良く売れている商品」の割合・比率は、もっともっと少ない。

④商品在庫の理想形は「店頭・売場在庫=全て売れ筋品」

(4)経験則で言える「売行き不振品の判断基準」

①商品が店舗に入荷した月日を起点としてから、14日間の売上数量が入荷数量の70%以下なら「売行き不振品」と考えてよい。(この間に売価変更・値下げは無いものとする)

②「売行き不振品」かどうかを判断する上で、最も重要なものは品目別商品回転日数。衣料品の場合、商品回転日数が30日を越えているものは「売行き不振品」と考えたほうがよい。

売場の品揃え鮮度、商品鮮度を重視するなら、このくらいの基準が、ぎりぎり妥協できるところです。商品回転日数が40日まではいいとすると「値下げ・見切り対象品」数多く出ることになります。

(5)担当売場のレイアウト・商品別什器配置図が正確に書けること

担当売場のレイアウト図が正確に書ける。商品別什器配置図が正確に書ける。売場を知っているとはそういうことです。

①自分の担当売場の商品品種別什器配置図

②自分の担当売場の競争相手の売場レイアウトが書ける。定期的に調査している。

続く→小売業1年生に求められる現場実務力(その2)に続く

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