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在庫コントローラーの仕事と役割①

量販総合フルライン衣料品店で商品部内(または、独立した機能組織として)に在庫コントローラーを配置しているところは意外に少ないものです。在庫コントローラの配置については、随分、昔からその必要性が言われてはいたのですが、商品部のバイヤーに仕入と在庫コントロールの両方を任せている店がまだまだ多いように思います。しかし、店舗数が増え、扱い商品量も増えてきますと、商品部バイヤーは仕入れ(=商品調達)の仕事に多くの時間を取られ、在庫コントロールと商品リスク低減の仕事にまではなかなか手が回らなくなります。その結果、商品回転は悪化し、多くの値下げによる粗利益率(額)の低下が引き起こされます。経験則から言いますと、店舗数が10店舗以上になったら、商品経営の効率化とリスク排除のために、商品部に在庫コントローラーを配置した方がよいと考えています。

小売業界ではファッションセンターしまむらが「在庫コントローラーの仕事と役割」を重視し、その考えを、随分、前から、商品部組織に組み入れてきています。それは、ファッションセンターしまむらでの商品部組織が、バイヤーとコントローラーで構成されていることを見ても明解です。しまむらでは在庫コントローラーとは言わず、単に、コントローラーと呼んでいますが、その仕事と役割は、私的にみれば「在庫コントローラー」とほとんど同一です。したがって、「在庫コントローラーの仕事と役割」は、ファッションセンターしまむらの商品部組織と、その中の、コントローラーの仕事と役割をよく見ていけば十分、かつ、明解に理解できると考えましたので、以下に、箇条書きでまとめておくことにしました。(まとめにあたっては、業界紙・誌、繊研新聞、日経MJ新聞、販売革新、商業界、激流、しまむらホームページなどの掲載記事を参考資料とさせていただきました)

ファッションセンターしまむらの商品部組織に見る

「在庫コントローラーの仕事と役割」

ファッションセンターしまむらの商品部組織の基本的構造は、①バイヤーと、②コントローラー、この二つで出来ています。その中の「コントローラーの仕事と役割」は次の通り。

コントローラーは「値下げと在庫」の責任を持ち、在庫数量のコントロールを行う。一方、バイヤーは「商品の選定・チョイス」を行い、粗利に責任を持つ。また、バイヤーは、売行きに応じて各店をランクづけし、地域差も考えて仕入等を行う。

コントローラーは、全ての商品の日々の各店別売上・在庫を完全にリアルタイムで情報データした商品経営情報・データシステムの情報に基づいて、店舗間の商品の移動や、商品価格の変更等の手法で、全店舗の在庫バランスを常にコントロール、最適な店舗在庫の実現と商品を売り切るオペレーションを行う。また、バイヤーの仕入情報にフィードバックする。

さらに、店舗の売上動向や、店長からフィードバックされる各店の商圏情報などを基に、個店単位での分析を行い、地域ニーズに応じた在庫構成・品揃えを行う。

コントローラーは単品動向を把握し、価格変更や商品の店舗間バランスを調整する。売れていない店から売れている店への商品の店間移動・移送を決定する。

コントローラーは、毎週、月曜日に1週間の売行き状況を把握して、店舗間の商品移動や値下げを決定する。

コントローラーは、店舗での売価変更権限を持ち、商品を売り切る責任を果たす。シーズンイン以降の売価変更などの価格変更決定権を持つとともに、商品が店舗に納品された後の全商品アイテムの単品管理を行う。

コントローラーは、マークダウン率をどの程度にするか、また、シーズンを見越した見切り価格をいくらにするかを決定する。

コントローラーは、最終的な商品の切上げ時期を、①最後まで売っていく店と、②早めに切り上げて次の商品を入れる店に分けて在庫コントロールを行う。

売れ残り品については、①商品を値下げする方法と、②他店に振り替える(移動)方法があるが、各店ごとの販売傾向、在庫状況をとらえて指示を出す。期中に動かす商品量は在庫全体の1%~2%。

コントローラーの力量が問われるのは、シーズン半ばの売行き動向の予測。いつ、値下げに踏み切るか、商品の店間移動、商品の入れ替えをいつ行うか、その決定如何は利益を大きく左右する。その責任は重い。

コントローラーは、期間の売上データや時流に応じて、最適な商品陳列のレイアウトを作成し、毎月、売場計画書として全店舗に配布する。各店舗は店長の指示のもと、売場計画書に基づいて商品陳列を行う。

コントローラーは、発注パターンを作成し、バイヤーに提出する。また、先付け会議(年4回)と、パターン会議(各シーズン一ヶ月前に開催)に参加しバイヤーと打ち合わせて、商品経営政策と計画を決める。

コントローラーの1週間の仕事と行動

連日、担当商品の移送と値下げ処分指示のため商品データをチェックする。

月曜日はバイヤーと前週の売行き分析を行う。

火曜日は、移送、値下げ等の指示を準備。

水曜日から金曜日は、店の在庫状況を見ながら、移送、値下げの指示を出す。

指示は全てコンピュータで行う。

①A店からB店への商品移送も、一定条件さえ入力すればコンピュータがその数量などを自動計算。

②A店からB店へ○○枚、B店からC店へ△△枚の指示も自動的に当該店舗に送付。

③各店舗には、毎週・月曜日の朝、パソコン端末プリンターから「××商品を◇店に」と印刷された指示ラベルが出される。店はその指示に従って、商品移送を行う。

以上が、ファッションセンターしまむらの商品部に配置されている「コントローラーの仕事と役割」の概要です。

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小売企業(株式上場) 平均年収・平均年齢の分布図

今、株式上場小売企業の最新の人件費率(売上比)と労働分配率を各社の損益計算書などをもとに分析をしています。そのついでにと言うとなんですが、各社の平均人件費と平均年齢も同時に調べてみました。

001あるデータによると、上場小売企業363社の、①平均年収は476万円、②平均年齢は35.2歳となっています。もう少し詳しく見るために、上場小売企業の中から約130社(飲食業、住関連小売企業などを除く)をピックアップし、それら小売企業の平均年収と平均年齢を調べ分布図を作成してみました。それが別図ですが、平均年収は400万円~550万円、平均年齢35歳~40歳のところが多いのが分かります。ちよっと大雑把な捉え方で恐縮ですが、先にあげた上場小売企業の平均年収476万円、平均年齢35.2歳という数字は比較的実勢に沿う数字のようです。

株式上場小売企業のなかで、平均年収が最も高いのは「三越伊勢丹ホールディング」の1016万円、次いで、「イオン」の914万円です。しかし、「三越伊勢丹ホールディングス」の平均年齢46.3歳、「イオン」の平均年齢44.8歳と、両者ともに平均年齢が高く、先行き不安があるといいますか、「やや、企業老齢化の兆し」があります。これはいずれ経営に大きな影響を及ぼすといいますか、大きな負担となることが考えられます。

一方、ファーストリティリングの平均年収と平均年齢は、平均年収767万円、平均年齢35.8歳となっています。これを見ますと、ファーストリテイリングは「企業の平均年齢が若いわりには平均年収が高い」と言うことができます。企業の先行きとその成長性を考えますと、三越伊勢丹や、イオンよりも、ファーストリテイリングの方が、これからの小売企業としての魅力を持っていると言えるかもしれません。小売企業に就職するなら(または、転職するなら)、まず、最初にファーストリテイリングを狙えと言ったら言い過ぎでしょうか・・・・・・。

ファーストリテイリング、イオンリテール、三越伊勢丹の売上比人件費率は次の通り。

①ファーストリテイリング--連結12.4%(H21/8)、国内ユニクロ9.6%(H21/8)

②イオンリテール-------12.4%(2010/2)

③三越伊勢丹---------伊勢丹9.8%(H22/3)、三越9.7%(H22/3)

なお、労働分配率は、SPA(製造小売業)型のファーストリテイリングの粗利益率が45%~47%と高いので、それより粗利益率の低い2社、三越伊勢丹、イオンリテールと比べれば相対的に低くなることが言えます。

「企業の平均年齢が若く、かつ、平均年収も高い」、そういう小売企業に魅力を感じる人は多いものと思います。また、その企業の将来性といいますか、成長性にも明るさを感じることでしょう。株式上場小売企業の、平均年収と平均年齢を調べてみて、こんなことを感じました。

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ディリーファッションストアの「勝つ」商品経営-(その7)

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ディリーファッションストアの「勝つ」商品経営

   ●商品経営で「勝つ」ためには何が必要か。

  商品経営で「勝つ」ためには何をやらねばならないか。

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ディリーファッションストアの「勝つ 商品経営

絶対必要条件⑦

「効率的な商品経営の仕組み」と「強い商品部」

一つの参考事例として、手元に集めたファッションセンターしまむらの「商品経営の仕組み」と「商品部」に関する情報・データ・参考資料からその概要を箇条書きでまとめると次のようになります。

商品部は、バイヤー(チーフバイヤー、バイヤー、アシスタントバイヤー)と在庫コントローラーの4人で1チームにして、各商品部門、全国全ての仕入れをおこなう。

バイヤーの任務は、①商品仕入れ(仕入契約数量決定)、②売れそうなモノのチョイス。バイヤーはコントローラーが作った発注パターンをもとに商品を各店舗に動かす。

バイヤーは「アイテム実績表」(=バイヤーが買った商品群について、仕入先別、服種別に、販売実績と昨対、在庫日数など前週の販売データ。毎週・月曜日の朝にアウトプットされる)を分析し、それを基に会議で次の行動を決める。

バイヤーは具体的な品揃えと販売計画(アイテム別数量、売場位置、使用什器、陳列期間など)を立案し、計画に最適な商品企画をサプライヤーと打ち合わせ、仕入れる商品と店ごとの納品数を決め、店に納入させる。(販売革新・2006/3月号より抜粋)

バイヤーは過去の販売実績、天候、市場動向などのデータを分析し、次シーズンの販売予測を立て、「先づけ会議」にかけて、アイテム別の発注量を決定し、導入時の売価や、個々の店別の投入数量を決める。

在庫コントローラーの仕事と責任は、商品を売り切る責任(店舗での売価変更・値下げ決定の権限をもっている)、売場計画書の作成(バイヤーと毎月作成。毎月、商品部が作成し、店長会議で各店に配布。毎月20日を区切りに商品の入れ替えや、陳列の変更を指示する)、「先付け会議」、「パターン会議」への参加、商品が計画通りに売れているかどうか、誤差のチェックと修正、商品の店間移動指示→売れていない店から売れている店へ商品移動。

ファッションセンターしまむらの「商品計画の進め方」

■「反省会議」→シーズンが終わった時点で開催。大枠の商品状況をチェック。計画とのギャップをチェック。ギャップの原因を皆で追及。

  ↓   ↓

先付け会議→スパンの長い商品の先行発注を検討。バイヤーとコントローラーが損か。バイヤーが組んだ仕入枠を承認。各シーズンの半年前に開催。各バイヤーは、昨シーズンの契約数量と売行きを総括、今シーズンの契約数量と先付け方針を説明。投入開始時期、販売→値下げ処分最終処理計画打ち合わせ。シーズン当初の売価をバイヤーが決定(それ以降はコントローラーが決定)

  ↓    ↓

■「パターン会議」→バイヤー、コントローラーが、商品と売場の展開イメージ打ち合わせ、細部修正し計画決定。コントローラー中心で「売場計画書」作成。

  ↓    ↓

■「シーズンイン」①売場計画書の指示で動く、②自動発注システム稼働、③コントローラー指示による商品の店間移動、④コントローラーの指示による値下最終処理計画。

効率的な商品経営の仕組み

リアルタイムでの商品情報・データ収集及びその活用システムを構築

店舗と商品部がリアルタイムで売上や在庫情報データを共有し、活用する仕組みが構築されている。店頭・売場基点の情報収集、店頭・売場発信の正確で新鮮な情報を収集し活用する仕組みがある。

 以上は、業界紙・「繊研新聞」、月刊誌「販売革新」、「激流」などの記事から作成しました。

ちょっと「はしょりすぎ」なところがあるかもしれません。しかし、ファッションセンターしまむらの「効率的な商品経営の仕組み」と「商品部」の姿を、少しは垣間見ることができるのではないかと考えましたので「まとめ」てみた次第です。少しでも参考になれば幸いです。

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ディリーファッションストアの「勝つ」商品経営-(その6)

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ディリーファッションストアの「勝つ」商品経営

   ●商品経営で「勝つ」ためには何が必要か。

   商品経営で「勝つ」には何をやらねばならないか。

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ディリーファッションストアの「勝つ 商品経営」

絶対必要条件⑥

「婦人衣料部門が強いこと」

量販総合フルライン衣料品店の多くは、「婦人衣料部門の強い店が勝つ」、「婦人衣料部門の強い店は競争にも強い」ということを分かっています。したがって、なんとかして「婦人衣料部門を強くしょう」と、各社、真剣な取り組みと努力を重ねています。しかし、婦人衣料部門の強さを、その売上高構成比の高さでみてますと、「強さの一つの目安」とされる30%ラインを超えている量販総合フルライン衣料品店は、意外に少ないものです。

ファッションセンターしまむらの、ある経営トップの方がこんなこと言っています。

この商売をやっている限り、婦人服が一番大事だし、それに勝負をかけるしかない。(販売革新1997/9月号)

女性を相手にする限りは、婦人服に勝たねばダメ。婦人服に勝つためにはファッション性を高くしない限り絶対に駄目。しかも、消費者がそれを欲しいという時に全部なければ駄目です。(日経ビジネス・2003/2月号)

われわれは衣料品をやる限り婦人衣料を強化するしかないと思ってやってきた。それでこそ、得意とする実用衣料も強くなる。(繊研新聞2004/9.9号)

ファッションセンターしまむら(単体)

婦人衣料部門の売上高構成比の推移

 年 度   売上高構成比(%)

2003/2       28.22%

2004/2       29.04%

2005/2       29.84%

2006/2       30.25%

2007/2       30.54%

2008/2       30.33%

2009/2       30.15%

2010/2       30.82%

ファッションセンターしまむらは、ディリーファッションストアの中でも「婦人衣料部門が強い店」と言われていますが、それでも、婦人衣料部門の売上高構成比は30%~31%です。これでも、量販総合フルライン衣料品店としては、婦人衣料部門の売上高構成比が高いほうになります。GMS大手をみても、直営衣料における婦人衣料部門の売上高構成比が30%超のところはあまり見当たりません。食品スーパーマーケットの直営衣料においては、実用衣料(肌着・靴下・ナイテイ・ランファンなど)の売上高構成比が高く、婦人衣料部門の売上高構成比は、それを何%も下まわるところがほとんどてす。

「婦人衣料の強い店が競争に勝つ」ことは衣料品屋はみんな分かっているのですが、実現することはそう容易ではないと言ってもいいかもしれません。ファーストリテイリング・ユニクロ(国内)でさえ、婦人衣料部門の強化、婦人衣料部門の売上高構成比30%超を当面の目標・課題としています。いずれは、50%超にするという発言も聞いていますが、やはり、「婦人衣料の強い店が競争に勝つ」ということを分かった上での発言ではないかと思います。

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ディリーファッションストアの「勝つ」商品経営-(その5)

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ディリーファッションストアの「勝つ」商品経営

   ●商品経営で「勝つ」ためには何が必要か。

    商品経営に「勝つ」には何をやらねばならないか。

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ディリーファッションストアの「勝つ 商品経営」

絶対必要条件⑤

「多品種・多アイテム・1型少量投入型」の品揃え

ファッションセンターしまむらの品揃えの基本的な考え方は「多アイテム主義」と言われています。その背景には、①多アイテム主義はリスクの分散ができるという考え方と、それともうひとつ、「しまむらに行けば、着たいと思っているファッションアイテムが必ず存在する品揃え構築」をすすめるという考え方、これがあるのではないでしょうか。

ファッションセンターしまむらの、ある経営トップの方が次のように言っています。

不況になると、皆さんは、販売効率を上げようと売れない商品をカットして商品数を絞り込もうと考える。私たちは、こういう時だからこそ、むしろ、商品の価格帯を広げ、今まで取り扱っていなかった商品を店頭に置くようにした。売れないので商品をカットするのでは、ますます売れなくなる。(プレジデント1993/3号)

SPA志向になると商品の幅が狭くなり、リスクが大きくなる。当然、粗利益率は高くなりますが、私たちはそれをしたくない。商品はできるだけ間口を広げて、小リスク、低粗利で走りたいと思う。(販売革新・1997/9号)

多品種少量というのが、今のお客様のニーズだから対応しなければならないということ。コンビニだったら品切れが無いようにしないといけないけれど、私たちにとっては「品切れは親切」です。なぜなら、次の商品が待っているんですから。「あれは終わりました。これが新しいものです」というのが私たちの親切です。(商業界・2003/5月号)

「多品種・多アイテム・1型少量投入型品揃え」を進めるには、高度な商品管理能力が必要になります。しまむらの場合、取り扱い商品で「継続性のある商品群」は、個々の商品ごとに、商品群ごとの販売、在庫状況がリアルタイムで把握されています。仕入れた商品の販売動向、昨年と比べて、月単位、週単位の売行きはどうなっているかはコンピュータのデータを見れば分かるようになっている。また、個々の商品ごとに、その商品がどの店に何枚あって、あと何週間の間に何枚売れるかがコンピュータの自動計算によって分かるようになっている。さらに、売れる可能性のある枚数だけその店に残して、それ以外は、売れている店に移動(店間移送)してしまう。これもコンピュータが自動計算し、指示する。

1アイテムごとに、各店舗の、週ごとの売上数、納品数、在庫数まで完全に記録、把握されており、これを基に各店舗ごとの売れ行き予測や適正在庫量などをコンピュータが自動的に計算しています。これは、しまむらの商品管理能力の高さを示す一端にしかすぎませんが、そのレベルは同業他社と比べ「はるかに高いレベル」にあります。

店頭において、「多品種・多アイテム・1型少量投入型品揃え」をするためには、例えば、アウターウェアなら、1型、2色、3サイズ→1型6枚、こういう商品投入をやっていかねばなりません。これは、簡単そうに見えますが、それを維持、持続するのはとても難しく、なかなか出来ないことです。ファッションセンターしまむらが「多品種・多アイテム・1型少量投入型品揃え」を維持できるのは、その背景に高度な商品管理能力があるからです。

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ディリーファッションストアの「勝つ」商品経営-(その4)

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ディリーファッションストアの「勝つ」商品経営

      ●商品経営で「勝つ」ためには何が必要か。

  商品経営で「勝つ」には何をやらねばならないか。

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ディリーファッションストアの「勝つ 商品経営」

絶対必要条件④

交差主義比率、GMROIをモノサシとした商品経営

ディリーファッションストアの商品経営で最も大事なことは「商品回転の速さ」。年間商品回転率・8回~10回の商品経営を維持しなければなりません。高速回転、週単位で品揃えと売場づくりを変化させる、これがディリーファッションストアの商品経営のポイントです。在庫過剰、仕入過剰、この二つは絶対にやってはいけません。日々の細かな商品管理、それを支える緻密で機能的、かつ、リアルタイムでの商品情報データ管理システム構築、そしてその高度な活用、これが絶対必要条件になります。

交差主義比率の下限基準値は経験則で言うと以下の数字です。

年間商品回転率・8回×粗利益率28%=交差主義比率240

交差主義比率とGMROIに関する参考文献

在庫はアパレルにとって重要な指標である。それはオペレーションの結果が全て在庫に現れるからである。つまり、仕入、販売、値下げの打ち出し方を少しでも間違えれば、すぐに在庫増につながることとなる。現在の在庫を評価するのに”GMROI”がある。消費者がバリューに目覚めると粗利益は下がる一方で、したがってアパレルは在庫回転率を高めようとする。今後、客単価が下がり売上の伸びは期待できないため、在庫を減らす活動をとる。このようにGMROIは在庫コントロールの大切さを表している。(岩島嗣吉-講演録「衣料品業界におけるサプライチェーン・マネジメントとクラシフィケーション・マーチャンダイジング」より抜粋)

「我々は店舗に商品を並べることを投資だと考えている。当社のように規模の大きな企業では、商品を各店舗に展開するだけでかなりの投資になるため、個々の投資が最大限の効果を生み出すようにしたい。」例えば、商品が店舗に早く送られすぎると、それだけ棚に並んでいる時間が長くなり、在庫コストが増大して投資効果が低下してしまう。「出荷時期が適切であればあるほど、在庫投資から得られる利益は大きくなる。(マイケル・バリー氏-ギャップの計画立案/予測システム担当副社長→「景気低速で苦悩する米国小売業界の挑戦」:CIO-Onlineより抜粋)

ファッションセンターしまむらの、ある経営トップの方が次のようなことを言っています。

私たちのように低粗利益率でやっていると、価格が下がると利益が無くなってしまう。ならば、どうするか。交差主義比率を考えると、計算式は、交差主義比率=粗利益率×商品回転数ですね。粗利益率が低くなるなら、一方の商品回転数を上げればいいことになる。(繊研新聞2001/2.8

在庫量は、今期は既存店でも大幅に減っている。ということは、ワンロットを減らして回転を上げるということです。基本的にはリスクを分散しておく。同じ商品が沢山あれば必ず「当り外れ」があるに決まっている。(販売革新1997/9号)

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ファッションセンターしまむらの商品回転が速いワケ

小商圏→ほとんどが女性客。人と同じものは嫌。値段が分かるのも嫌。

         ↓    ↓

多品種多アイテム・1型少量投入型品揃え→同じモノ少ない+売り切れ御免

         ↓    ↓

「買おうと思ったその時に買わないと次に来店した時にその商品はもう無い。だから、今、買う」   

         ↓    ↓

   高 速 回 転 売場の変化早い。品揃え鮮度良い

     ↑   ↑

低価格政策→「安い」、「気軽に買える」

        ↓     ↓

購買決定早い。買上点数多い。

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交差主義比率=粗利益率×商品回転率(売価ベース)→240以上

GMROI=粗利益率×商品回転率(原価ベース)→200以上

GMROI(Gross Margin Return On Inventory Investment)の略

  ●商品投下資本粗利益率

  ●商品投下資本が生みだす利益(粗利益)の割合

  →平均在庫投資額に対して粗利益額がいくらあるかの収益性を示す指標

ファッションセンターしまむらの交差主義比率

 年 度   粗利益率(%)×年間商品回転率(回)=交差主義比率

2007/2-----30.3%-------9.5回---------288

2008/2-----30.7%-------9.0回---------276

2009/2-----31.0%-------9.4回---------291

2010/2-----31.7%------10.4回---------329

 

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ディリーファッションストアの「勝つ」商品経営-(その3)

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ディリーファッションストアの「勝つ」商品経営

    商品経営で「勝つ」ためには何が必要か。

    商品経営で「勝つ」には何をやらねばならないか。

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ディリーファッションストアの「勝つ 商品経営」

絶対必要条件③

リアルタイムインベントリー。スピードが決め手。

リアルタイム・インベントリーに関する参考文献

Wal-Martは企業の成長(売上)をサポートする2大ビジネス機能を、物流・補充発注(つまり、ロジステイクス)と価格戦略(EDLP)としている。そしてそれらを支援する中核に情報システムから提供される「リアルタイム・インベントリー」を置いている。この「リアルタイム・インベントリー」とは、店舗SKU別の売上・在庫状況を高精度で即時、あるいは即日に把握できる仕組みのことである。これこそまさに、小売業ITのベスト・インフラともいわれる部分である。にもかかわらず、この仕組みづくりが日本の小売業においては大きく遅れている。(RTI社長 岩島嗣吉氏-IBM・02.8.30講演連載より抜粋)

リアルタイム・インベントリー(RTI)とは、商品の発注、受け入れ、売上、返品などの小売業における全ての商品の流れを把握した上で、単品別に数量と金額の両面の数字を計算した単品別在庫情報を常時保持しておき、関係企業が必要とする情報をいつでも引き出すことができるシステムのこと。

単品在庫及び金額情報の積み重ねであるリアルタイム・インベントリーを構築するのは決して容易なことではなく、そのシステムが保持する情報の正確性を維持していくことも容易なことではない。ウォルマートでは、リアルタイム・インベントリーの実現のために投資を惜しむことはせず、着実にその情報基盤を整備してきたことがQR(クィックレスポンス)の大きな成功要因であるといえる。ウォルマートでは、リアルタイム・インベントリーがローコスト経営の中核となる「重要な基本ビジネス機能」であることを理解していた。(木村 誠 氏:産業大学大学院(MBA)経営情報課 94.12公開資料より抜粋)

今では、多くの日本の小売企業も、リアルタイム・インベントリーの重要さを十分に認識しており、その仕組み、システムづくりに取り組んでいます。国内では、コンビニエンスストア・セブンイレブン、ファッションセンターしまむらなどの小売企業が、リアルタイム・インベントリーの仕組みづくり、システム構築に早くから取り組み、大きな成果を上げていることはご存じの通りです。彼らに少し遅れましたが、大手GMS(例えば、イオンなど)も、その仕組みづくり、システム構築に取り組んでいます。リアルタイム・インベントリーは、現在の小売企業において、絶対必要不可欠なものと位置付けられている考えていいのではないかと思います。

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ディリーファッションストアの「勝つ」商品経営(その2)

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ディリーファッションストアの「勝つ」商品経営

     ●商品経営で「勝つ」ためには何が必要か。

    商品経営で「勝つ」には何をやらねばならないか。

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ディリーファッションストアの「勝つ 商品経営」

絶対必要条件②

「低価格政策」に徹し、どこよりも「安く売れる」こと。

しかし、ただ単に「安い」というだけでなく、「安さ」+「良い品質」+「ファッション性」+「トレンド」、この4つが入っていないとダメ。また、競争相手と比べ、常に「安く売れる」ためにはローコスト経営ができていないとダメ。やみくもに、ただただ「安売り」をするのでは、店はいずれ潰れてしまう。「安く売っても利益が出せる」というローコスト経営を構築しなければならない。

ファッションセンターしまむらの売上比販売管理費率は約21.5%~22%。GMS大手の売上比販売管理費率は約33%~35%。世界に冠たるローコスト経営を誇るウォルマートの売上比販売管理費率は約17%~19%、そして、売上比本部費率は約2%、広告宣伝費率は約0.5%、物流費は約3%と言われている。

ファッションセンターしまむらの、経営トップの一人は次のようなことを語っています。

私たちが最も低い粗利益率で売れる体制を持っていれば、競争相手が逃げざるをえない。それより安くしない限りダメなわけですから。そうすると経営的にオペレーションコストの高い会社の方が、低いところと同じ商品は避ける。

今は、価格が低くて、品質が良いのはもう当たり前。それに、「ファッションセンスがあって」、「サービスが良くて」と全部要求する。だから全体のレベルをぐっとあげなきゃいけない。バブル時代には、価格が無視されて、ほかが要求されたが、今は価格も要求される。ですから私たちも今、プライスレンジを拡げている。低い方はもちろんだが、高い方も拡げている。

食料品はローコスト運営で安く提供するというのは、これからもあるだろう。衣料品は違う。主戦場が変わりつつある。どこにでも売っている商品を安く売る時代ではなくなった。

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ディリーフアッションストアの「勝つ」商品経営(その1)

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ディリーファッションストアの「勝つ」商品経営

    商品経営で「勝つ」ためには何が必要か。

     商品経営で「勝つ」には何をやらねばならないか。

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ディリーファッションストアNO.1企業・「ファッションセンターしまむらの考え方」

ファッションセンターしまむらの「中興の祖」と言われ、その経営手腕を高く評されている経営トップの方がディリーファッションストアの経営について次のようなことを言っています。

値段を上げずに運営コストを下げることを大切にしよう。

無駄の排除によって、粗利益率は低くとも店舗段階で営業利益率は8%から10%を確保。こうしたコストをいかに下げるか、下げられる仕組みにいかに変えるか、そこをどうするかがチェーンストアの課題。

トータルでいかにコストを下げていくかは、結局、システムの問題。

しまむらのコストダウンを最も具現化させたのが「直接物流制度」

  直接物流→中国で検品・値札付けなど物流加工を済ませること

チェーン全体では同じ点数を出して、売り切ったら今度は次のまったく新しい製品を10枚出すと、やっていかなければならない。これがファッション衣料の勘どころ。常に品切れ状態でよい。「気になる服があるけれど、お金ができたときに買いに行けばいいや」とお客に思わせてはいけない。「今、買っておかなくちゃ無くなっちゃう」と感じられる変化のある店でないと衣料品専門店チェーンとしては失格。

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ディリーファッションストア経営  「心の置きどころ」

「衣料は儲かる」という強い信念。

衣料のマーケット、需要は常にある。

 衣料は生活に絶対必要不可欠のもの。

 裸で街を歩いている人はいない。

ファッションは衣料品から。ファッションのリード役は衣料品。

今、元気印の小売企業、かつ、儲かっている小売業は衣料品専門店チェーン。

 ファーストリティリング・ユニクロ、 ポイント、 ファッションセンターしまむら、 西松屋

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ディリーファッションストアの「勝つ 商品経営」

絶対必要条件①

「誰に、何を、いくらで売るか」を明確に設定する。

別の言い方でいえば「コンセプト」ということだが、これが明確でないと、品揃え、商品政策の焦点がボケてしまう。取扱商品のフレームも曖昧になる。GMSや、食品SMチェーンの直営衣料部門はこれが「極めてあいまい」であった。そのため、「焦点ボケ」し、どちらつかずの品揃え、八方美人的な品揃えになってしまい、結果として、「客離れ」が起き、多くの顧客から見捨てられた。

ファッションセンターしまむらの「商品政策」は、極めて明解、明確でわかりやすい。

「ディリーファッションの購買層のコアとなる主婦層に対して、郊外の住宅地の近くに店舗をつくり、便利で(Convenience)、買いやすい快適な(Comfortable)売場で、しかも、気軽に買い物できる価格で提供していくのが、しまむらの基本的な商品政策です」(しまむらホームページより抜粋

また、先にあげた、しまむらの経営トップは次のように語っています。

「我々は、今、ディリーファッションという言葉を使っている。以前は、普段着と言ったものを改めた。日常生活で主婦が頻繁に使う衣料品を総称して、そう呼んでいる。アウターだけでなく、インナーも含めた日常衣料のことだ。我々の店は、そのディリーファッションを扱う専門店。GMSや百貨店は、もっと扱い商品の範囲は広い。しまむらは売れるからといって、我々の範囲に合わない商品は扱わない」

  

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ファッション市場サンキ(株式会社三喜) 営業実績の推移を見る

ファッション市場サンキ(株式会社三喜)はディリーファッションストア大手No.1のファッションセンターしまむらに次ぐNo.2、売上高553億7200万円(2010/2)のディリーファッションストア、量販総合衣料品店チェーンです。No.1のファッションセンターしまむらの約7分の1の売上高ですが、その商品力、品揃え力、そして、競争力は、ファッションセンターしまむらと1対1の戦いならヒケをとらない強力なものです。その、ファッション市場サンキの過去5カ年の業績推移は以下の通り。

ファッション市場サンキ(株式会社三喜)の売上高及び純利益高の推移

          (各年度・連結損益計算書より作成)

          2006/2   2007/2   2008/2  2009/2   2010/2

売上高(百万円)--35647---44342---44596---52682---53372百万円

純利益(百万円)-----945-----1192----1176-----722-----1204百万円

店舗数165店舗(2010/5月時点)←2008時点・124店舗(子会社含む)

子会社→①北関東三喜、②有限会社トゥエンテイ、③東北三喜

都道府県別店舗数(2010/5月時点)

北海道38店舗、茨城県25店舗、栃木県13店舗、福島県3店舗、群馬県15店舗、

埼玉県11店舗、千葉県18店舗、東京都5店舗、神奈川県1店舗、

新潟県16店舗、長野県2店舗、福岡県9店舗、佐賀県2店舗、長崎県1店舗、

熊本県4店舗、大分県1店舗、宮崎県1店舗

ファッション市場サンキは千葉県柏市からスタートしていますが、その後、九州の寿屋、北海道のコープさっぽろ等と共同出資会社をつくり店舗展開をすすめました。その結果、本来のドミナントエリアである関東・東北・上信越からはかなり飛び離れた地域である九州、北海道にも店舗を展開することになりました。全国チェーンとは言えないと思いますが、ともかく、北は北海道、南は九州まで店舗網を広げています。

過去5カ年にみる各種利益率、経費率などの推移

         2006/2   2007/2   2008/2  2009/2   2010/2

販管費率---27.4%---27.7%---28.5%---29.8%---28.9%

営業利益率--4.8%----4.5%----3.5%-----1.4%----2.6%

経常利益率--4.9%----5.3%----4.7%-----2.4%----3.7%

税前利益率--4.9%----5.0%----4.6%-----2.6%----3.9%

期純利益率--2.6%----2.7%----2.6%-----1.4%----2.3%

●年間商品回転率(推計)2010/2→8~9回転

ファッション市場サンキの衣料品の年間売上高規模・約533億円は、大手GMS、イオン、イトーヨカー堂、ユニーなどの年間衣料品売上高と比べれば、その6分の1、7分の1の売上高規模です。しかし、GMSの中堅といいますか、イズミヤ・衣料品売上高・約474億円(2010/2)、イズミ・衣料品売上高・約700億円と比べると、ファッション市場サンキの量販衣料品分野における力は決して侮れません。

ファッション市場サンキは、売場面積規模1000坪の大型量販総合衣料品店(例えば、千葉ニュータウン店、多摩ニュータウン店など)を経営できる商品力、品揃え力、MD力、組織力、そして、資金力を持っています。したがって、大手GMSの衣料部門といえども、ファッション市場サンキが、その至近距離に店を出せば、相当大きな影響を間違いなく受けることになるでしょう。

ディリーファッションストア大手・No.1企業、ファッションセンターしまむら、そして、大手SPA・カジュアルファッションストア「ユニクロ」などの注目度の高さの陰に隠れて、あまり目立ちませんが、ファッション市場サンキは量販総合衣料品店チェーンの優良企業の一つです。業界紙、マスコミにはあまり取り上げられませんが、その動向をしっかりマークしておく必要があると思います。数年に1回ですが、ファッション市場サンキの動向を数字で、このブログに書き留めていますので、是非、ご一読ください。

ファッション市場サンキ(株式会社三喜) 営業実績の推移を見る  (完)

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ファッションセンターしまむら 都道府県別3.3㎡当り年間売上高と都心部出店について考える

002ァッションセンターしまむらの「都道府県別・3.3㎡当り年間売上高」

ファッションセンターしまむらの都道府県別・3.3㎡当り年間売上高(2010年2月期・決算概要より作成)は別表の通り。3.3㎡当り年間売上高の上位6位は、第1位・東京都175.6万円、第2位・大阪府143万円、第3位・神奈川県129.2万円、第4位・愛知県127.9万円、第5位・長崎県126.9万円、第6位・静岡県124.9万円となっています。この数字をみると、しまむらが大都市部、とくに、東京都、大阪府、

005神奈川県への出店を重点政策としているのも理解できます。全店平均の3.3㎡当り年間売上高は99.2万円ですから、東京都の175.6万円はその約1.77倍の高さです。東京都で、しまむらの出店投資採算原則に合った物件で、かつ、立地も良しと評価した物件なら、最優先で出店決定するものと思われます。しかし、ファッションセンターしまむらの出店条件、なかでも、家賃設定(売上比家賃・賃借料費率)は5%と言われていますから、その条件に合う出店物件を手に入れるのは、そう簡単ではないでしょう。したがって、東京都など大都市都心部への出店速度は遅いと考えられます。

■有力衣料品専門店の家賃費率

有力専門店の家賃費率(売上比賃借料・地代家賃費率)は以下の通り。

 企 業 名   2008/2   2009/2  2010/2

しまむら-------4.7%----5.0%----5.0%

ユニクロ(国内)-7.6%----7.9%----7.4%

西松屋-----------------8.7%----9.3%

ポイント------15.7%--15.8%---16.1%

UNアローズ--11.9%--12.4%---12.7%

ファッションセンターしまむらの売上比賃借料費率の低さが目立ちます。地方小都市、町村における店舗数の多さ及び出店数の多さを考えれば、しまむらの売上比賃借料費率が約5%と低いのは納得できます。しかし、しまむらは、この売上比賃借料(地代家賃)費率5%を、どこへ店を出そうとも「守るべき出店条件」の一つとしていると言われています。この出店ルールが大都市、都心部へ出店する場合、その、良し悪しは別にして、すくなからず足枷になることは否定できないと思われます。

■売上比賃借料費(地代家賃費)率5%

ファッションセンターしまむらが、「売上比地代家賃費率5%以内」を、絶対に守るべき出店条件の一つとした場合、次のような計算ができます。

しまむらの2010年2月期の「全店平均3.3㎡当り年間売上高は99.2万円。

これを基に全店平均の月間地代家賃費を計算すると、(3.3㎡当り年間売上高99.2万円×0.05÷12ヶ月)≒4133円。

しまむらの「東京都の3.3㎡当り年間売上高は175.6万円。

これで、東京都の月間地代家賃を計算すると、(3.3㎡当り年間売上高175.6万円×0.05÷12ヶ月)≒7316円。

単純計算ですが、しまむらの「売上比地代家賃費率5%ルール」を絶対に守るとすれば、東京都の出店物件の月間家賃は約7316円以内ではないと店を出さない、または、出せないということになります(地代家賃費には共益費を含まず)。これは大変厳しい出店条件になります。東京都、大都市都心部で、月間坪当り家賃が8000円以下で、なおかつ、立地が良く、投資採算ベースに見合った売上高確保が期待できる物件を探し出すのは、そう簡単なことではありません。

しまむらが、東京都都心部、例えば、高田馬場駅前の出店に当たって、売上比地代家賃費率を8~10%までは覚悟したという話を聞いたことがあります。それでも、2010年2月期における「東京都の3.3㎡当り年間売上高175.6万円」と、「売上比地代家賃費8%」で、月間地代家賃を計算しますと、(175.6万円×0.08÷12ヶ月)≒11706円です。これは、②で計算した数字より、約4390円も高い数字になります。しかし、それでも、大都市部における月間坪当り平均賃料と比較すると、はるかに低い数字です。

日本ショッピングセンター協会・2009年度・調査資料「都市規模別立地別テナントの平均賃料(物販店舗)-単位/月坪当り・円」によると、14大都市計(政令指定都市)の平均賃料は以下の数字です。

14大都市計 立地別テナント平均賃料(単位・円/月坪)

総    合-----38656円

中心地域------49685円

周辺地域------31704円

郊外地域------14289円

先に、しまむらの東京都における月間地代家賃を「売上比地代家賃費率8%」で計算し、約11706円という数字を出しましたが、それでも、大都市部・郊外地域のテナント平均賃料の数字を下回ります。14大都市計・中心地域と比べると約4分の1です。東京都、大阪府、横浜市などの大都市への出店を重点政策としているファッションセンターしまむらは、大都市部における出店に際して、はたして、売上比地代家賃費率設定をどこの数字まで範囲を拡げてくるのでしょう。また、どの数字まで妥協してくるのでしょうか。これから先、優先して、大都市、都心部に何百店舗もの出店を考えているとの噂もありますが、大いに興味と関心があります。注意深く見つめていこうと思っています。

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