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資料室:ディリーファッションストアのかたち(イメージ図)

地球温暖化、天候不順、季節変化のズレ、景気低迷、デフレ、終わりの見えない低価格競争等々、衣料品小売業界をとりまく環境は極めて厳しい。衣料品小売店の月別既存店・売上高「前年割れ」も常態化している。このような「八方ふさがり」とも言える状況下で、SPA・ユニクロ(国内)だけが、ひとり売上を伸ばし、その圧倒的強さで、「独り勝ち」、「独走態勢」を続けている。衣料品小売業界で、あと、目立つのはもう1社、ファッションセンターしまむらの「頑張り」ぐらいしか見当たらない。情緒的であるが、なんとも寂しい状況である。

007(表-1)は、チェーンストアの衣料品、百貨店、ショッピングセンターなどの、2009年1月から10月までの月別売上高前年比の推移を一覧表にまとめたものです。これを見ても、2009年度も衣料品の販売不振が依然として続いています。百貨店の衣料品売上も、この10月で 「28ヶ月連続マイナス・前年割れ」となっており、衣料品の先行きは絶望的とも言っていいような状況です。また、ショッピングセンターの月別売上も、キーテナントの売上の落ち込みもあり、長期にわたって「前年割れ」が続いています。

001衣料品小売業界にとって、これといって、「明るい材料」は一つも無いと言える状況ですが、そんななかで、ユニクロ(国内)以外で、なんとか頑張っているのは、ファッションセンターしまむら、サンキ、あかのれん等のディリーファッションストアではないかと思います。彼らは、「低価格(安い)」+「良い品質」+「ファッション性・トレンド」+「新素材・新機能商品」、これらを武器に他の同業衣料品小売店の先を走っています。 そこで、ディリーファッションストアとはどんな店か、その特徴をイメージ図にしてまとめてみました。

003ディリーファッションストアの雄、ファッションセンターしまむらは、そのHPで、商品政策、コンセプトを次のように述べています。

「25歳から45歳の家庭の主婦が日常生活のために利用する衣料品、これが私たち、しまむらの取り扱う商品の狙いです。私たち・しまむらは、このような普通の家庭で日々利用する衣料品をディリーファッションとしてとらえています。これを衣料生活の中で、本来、一番大切な部分と考えて、私たち・しまむらは、扱う商

006品のターゲットとしています」-しまむらの商品政策・コンセプト

ある衣服・服飾研究家、「ふだん着」について次のように言っています。

一日中、ほとんど家庭(家の近所で)過ごす人の着る衣服

日常着としてお客様にも対応できる衣服。

007_2家事の後片付けが終わってから着る衣服。

すっかり家の中が片付いてから着かえる衣服で、ほとんど一日中着る服(近所へのお買物、来客対応)

家事労働のしやすい衣服。

気楽に着られる(着やすく、脱ぎやすく、機能的)

家庭で洗濯できる。

主婦が気軽に価格抵抗感(高いという)無く変える衣服。

これは、ファッションセンターしまむらが考えているディリーファッションと、まったく同じと言っていいと思います。この考え方、取り扱い商品コンセプトを基本として、ディリーファッションストアの姿・形をまとめてみたのが、(表-2)~(表-⑥)-イメージ図①~⑥、です。ディリーファッションストアづくりの一つの参考資料としてお役に立てれば幸いに思います。

 ディリーファッションストアのかたち・(イメージ図)    完

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資料室:婦人衣料部門売上高構成比30%~35%、インナーウェア(肌着・靴下・ランファン等)部門売上高構成比25%

ユニクロ(国内)とファッションセンターしまむらの商品部門別売上高構成比・比較に見る「勝ち組」の共通パターン

SPA型の「勝ち組」・ユニクロ(国内)と、アソートメント型の「勝ち組」・ファッションセンターしまむら、この2社に共通点はあるのだろうかと考えて、まず、2社の商品部門別売上高構成比を調べてみたら、これが、「勝ち組」のパターンなのかもしれないと考えられる類似点が浮かび上がってきた。002

ユニクロ(国内)とファッションセンターしまむら(以下、しまむらと略)、2社の主力部門である①婦人衣料部門、②インナーウェア(肌着・靴下・ランファン等)部門、この2部門の年間売上高構成比を調べてみると、2009年度の両社の婦人衣料部門とインナーウェア部門の売上高構成比が非常に似ていることが分かる。まず、婦人衣料部門の年間売上高構成比は、ユニクロ(ウィメンズ)が32.2%、しまむらは30.1%。次に、インナーウェア部門の年間売上高構成比は、ユニクロが25.6%、しまむら24.7%、となっている。これは衣料品小売チェーンの「勝ち組」に共通する商品部門別売上高構成比と言えるのかもしれません。というのも、ユニクロ、しまむら、2社の経営トップの発言録メモ帳にあった次のことが頭に浮かんだからです。

003

ユニクロ・経営トップの発言

「ユニクロではメンズとウィメンズの売上が半分ずつですが、メンズの売上の倍くらいウィメンズを売れるようにしたい」(決算説明会・Q&Aより抜粋)

しまむら・経営トップの発言

「この商売(衣料品小売り)をやっている限り、婦人服が一番大事だし、それに勝負を賭けるしかないでしょう」

「品揃えをジャストシーズンのトレンド提案型にシフトしている。そのシーズンのトレンドを、リスクに挑戦して打ち出さないと顧客に対応できない。トレンド提案の、なんといってもベースになる婦人衣料分野の伸びが高い。リスクを張らなければ売上をとることはできない」

両者が言っていることは、「婦人衣料の強い店が勝つ」ということでしょう。また、商品リスクが低く、粗利益率が高い、そして、商品回転率も高い、インナーウェア部門の売上高構成比が高いことは、商品経営全体の粗利益率と商品回転率を押し上げ、安定をもたらすということではないでしょうか。ともかく、ユニクロ、しまむらの、2009年度における、婦人衣料部門とインナーウエア部門の売上高構成比が極めて似ていること、そこに、「勝ち組」に共通するパターンを見たように思います。

衣料品専門店チェーンの現況と出店戦略に関するMEMO

SPA型専門店の台頭と成功企業「勝ち組」の出現

   ↓

●「勝ち組・成功組」SPA専門店の急速成長

   ①ユニクロ(ファーストリテイリング) ②ポイント  ③ユナイトッドアローズ

   ④良品計画  ⑤ハニーズ

●「勝ち組」SPA型専門店の出店戦略加速、急速多店舗展開

   ↓

●「勝ち組」SPA型専門店の出店店舗形態多様化

  ①インショップ型(百貨店・GMS店舗に)

  ②単独路面店(独立個店大型店舗、フリースタンディング店舗)

  ③ビルイン型店舗(ショッピングセンター、複合型大規模商業施設)

●「勝ち組」SPA型専門店の出店立地多様化

  ①大都市中心部・都心部、郊外部

  ②中都市中心部・郊外部

  ③駅ビル、駅なか、駅

  ④複合型大規模商業施設

  ⑤ショッピングセンター

006 核店舗の構成から見たショッピングセンター(以下、SCと略)には、いろいろのタイプがあります(表-3)。「勝ち組」SPA型専門店の出店先は多様化し、その出店の選択肢は広がっています。なかでも、彼らが出店先として優先しているところをいくつかあげれば、以下のようなところです。

  ①郊外型「既存・勝ち組・優良SC」

  ②3核、4核のモール型

  ③専門店集合ビル・ファッションビル(複合型大規模商業施設)

  ④都心型商業施設

  ⑤銀座、渋谷、新宿、池袋、原宿など(大規模路面店出店)

   資料室:「最近、考えたことのMEMO」   完

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資料室:衣料品小売業をとりまく厳しい環境下で求められる「在庫コントロール力」

商品管理力&在庫コントロール力無き衣料品小売企業は生き残れないだろう。

001(表-1)は、量販衣料品店チェーンS社の過去3カ年(2001年、2002年、2003年)の月別商品回転日数をグラフ化したものです。S社の商品管理レベルは極めて高く、その「在庫コントロール力」は衣料品小売業界で最も優れていると評価されています。衣料品小売業界をとりまく環境は、厳しく、その中で「生き抜いていく」のは決して容易なことではありません。各衣料品小売企業は、その持てる力、人・物・金・知恵・ノウハウを全力投入し、この難局をなんとしても乗り越えるために強い覚悟と努力が求められる。

004①天候異変・異常気候( 暖冬・冷夏・猛暑・集中豪雨・台風・季節変化のズレなど)、②供給過剰と低価格競争、③短期間で変化するファッショントレンド、④短サイクル化する商品寿命、⑤生き残りを賭けた過当競争など、衣料品小売業界はこれらに対し必死の取り組みをしてはいますが、その先行きは決して楽観でません。このような厳しい環境下において衣料品小売企業に求められるもの一つに、強力な商品管理力と在庫コントロール力があります。ちよっとでも気を抜けば、在庫過剰に陥り、その処理のための巨額の値下げを余儀なくされ、商品経営は破綻、そういう危険いっぱいの環境下にあるからです。S社の「月別商品回転日数(表-1)」、「商品部門別年間商品回転率(数)・(表-2)」は、量販衣料品店が目指すべき一つのベストモデルではないでしょうか。

(表-1) 量販衣料品店チェーンS社の月別商品回転日数と在庫コントロール」を見ると、年間12ヶ月で、在庫コントロールの押さえどころの月は、まず、1月(S社は20日〆なので、1月は12月21日~1月20日)、そして8月(7.21-8.20)。ついで、11月(10.21-11.20)、7月(6.21-7.20)、この4カ月が最も重要ポイント月であることが分かります。もう少し、細かく言いますと、12月20日、1月20日、6月20日、7月20日、8月20日、11月20日、これらの月日の在庫を、商品回転日数30日~35日以内に持ち込めるよう、強力な在庫コントロールを行わなければならないということになります。衣料品の商売では、在庫過剰→商品回転日数悪化→巨大なの値下げ→商品資金繰り悪化→経営破綻、この流れは絶対にさけねばなりません。ちょっと古い話ですが、衣料品業界では、「6月末と11月末の在庫を抑えられなかったら、その年の利益は無くなる」と言われていました。少なくとも、この2カ月だけでも月末在庫をしっかり抑え込む必要がありそうです。

(表-2) 「量販衣料品店S社に見る商品部門別年間商品回転率(数)」では、S社の婦人衣料部門(商品1部、商品2部)の年間商品回転率の速さが目立ちます。S社トータル計の年間商品回転率(数)は、優良衣料専門店チェーンから見れば驚くような回転の速さではありません。しかし、量販総合フルライン衣料品店の年間商品回転率としては、「かなり優秀なレベル」にあります。ここ、1、2年におけるS社の年間商品回転率は10回~10.5回、直近では12回に達すると言われています。同じ形、GMSの量販総合フルライン衣料部門の年間商品回転率(数)が、5.5回転~6回転前後であることを考えれば、S社のそれがいかに高い数字であるかが分かると思います。S社の経営トップは、「衣料品の商売で最も重要なことは商品管理能力だ」と言っています。高速回転の商品経営を続けているS社、彼らの高い商品管理力は、なにを、どうやることで持ちえたのか、十分、研究価値のあることではないかと思います。是非、徹底研究されることをお薦めします。

衣料品小売業界をとりまく厳しい環境下で求められる「在庫コントロール力」  完

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資料室:季節の変わり目-端境期に生ずる不良在庫(=売れ残り品)は何時、値下げ処分されているのだろう?

端境期に生ずる「売れ残り品(不良在庫)」の値下げ処分時期はいつ? 

002 (表-1)は、量販衣料品店チェーンS社の、2003年度と2004年度の月別値下率の推移をグラフ化したものです。値下率の高い月は、①3月(2.21-3.20)で、03年15.2%、04年19.6%、次が、②9月(8.21-9.20)-03年13.7%、04年11.0%、ついで、③2月(1.21-2.20)-03年11.9%、04年10.7%、この順になっています。S社は、2月、3月で「冬物処分」を、9月に「夏物処分」、この3ヶ月で、季節の変わり目・端境期に生ずる「売れ残り品(不良在庫)」を処分しています。

004_2 (表-2)は、繊維工業構造改善事業協会によるレポート、「アパレルリテイル-ファッション小売と実務」の中で一つのモデルケースとして述べられている「シーズン区分」です(表の右側、日本の四季は参考資料として当方が付け加えたもの)。ここで提示されている「シーズン区分」は1年間を12区分していますが、シーズンを春・夏・秋・冬に分けていますので、「端境期」は4つあると考えられます。この4つの端境期に、「売れ残り品(不良在庫」)を値下処分していくことになります。

005(表-3)は、ディリーファッションストア大手3社、ファッションセンターしまむら、パシオス田原屋、サミットコルモが、2008年12月、2009年1月、2月、3ヶ月で展開したチラシ販促をまとめたものです。これを見ると、3社は、冬物の切り上げ・処分は、12月の中旬から打ち始め、1月末を「冬物見切り・値下処分」は終盤戦としていることが見てとれます。2月はにも「冬物最終・売りつくし」をやってはいますが、2月のチラシ販促の打ち出しのメインは「春物」となっています。

(表-1)、(表-2)、(表-3)で、衣料品小売業における「端境期」を考えてみましたが、これらはいずれも、天候・気温・季節の変化を重視したものです。最近、若者をはじめ、中高年層に至るまで、衣生活における「季節感の喪失(=シーズンレス)」が顕著になってきており、さらに、ファッショントレンドの短サイクル化もあり、従来やってきた、春・夏・秋・冬、というシーズン区分だけで衣料品の商品展開・計画を考えるのは適切でないという話があります。それらのことを否定するものではありませんが、しかし、日本においては、四季というかなりはっきりした季節の移り変わりというものがまだありますので、こちら、すなわち、天候・気温・季節の変化を重視した商品展開計画を考えた方がベターなのではないかと思います。

繊維業界に関するレポート-「天候不順に悩む衣料品小売業界」を読む

以下は、株式会社 東レ経営研究所の特別研究員・小山英之氏が「繊維トレンド・2008.1、2月号」に掲載されたレポート「衣料品市場と北陸産地織物業界の今年の課題」から、日本の衣料品業界の現状に関する分析とそこで指摘された部分の一部を抜粋させていただいたものです。

■衣料品の内需の動向は、2000年代に入って、経済の好不調やファッション動向で消費の増減する割合が少なくなり、もっぱら気候の動向に大きく左右されるようになっている。ここ数年間、アパレルメーカー、衣料品小売業界は異常気象に悩まされ、これが川中のテキスタイル業界の景気動向に大きな影響を与えている。

■気候の変化と衣料品の小売動向には密接な関係があり、アパレル・小売業界にとって、天候不順をどう読むかがビジネスの最重要のポイントになっている。

■暑さ、寒さの時期が1カ月遅れると、消費者は買い控えに動き、小売業は焦って早くからバーゲンセールを行い、売れ残り在庫を抱え、収益の悪化を招くというパターンが繰り返えされている。したがって、アパレル・小売業にとって、予測が難しい異常気象や売れ筋が読みにくい需要動向に、いかに対処するかが最大の課題になっている。

■売れ残りの衣料品は小売店頭で在庫となり、不良在庫は各種の方法で処分されている。この結果、供給過剰・過当競争販売によって、日本の衣料品市場は、世界で最も良質で、最も低価格のマーケットになっている。このように慢性的なデフレ現象を抱えているのが日本の衣料品市場の特徴であり、そのためプライスレンジが低い価格で固定され、消費者への価格転嫁は難しい構造になっている。

これはレポートのほんの一部であり、日本の衣料品小売業界の現状についての鋭い指摘と警鐘が述べられています。ぜひ、全文をご一読されることをお薦めいたします。

ユニクロ(国内)とファッションセンターしまむらの、毎月発表している「月次売上速報」のなかに「月次売上概況」というのがあります。2009年3月から10月の「月次売上概況」を読めばよく分かりますが、天候・気温・季節の変化如何が、月次売上に与える影響の大きさが繰り返し、繰り返し、何度も述べられています。端境期に生ずる売れ残り品(不良在庫)の処分を何時、行うか、いくらに値下げするか、これらのタイミングは、やはり、天候・気温・季節の変化の予測精度をしっかり高め、それを基によく考え、見極めていくのがベターではないかと思う次第です。

端境期に生ずる「売れ残り品(=不良在庫)」の値下げ処分時期は、いつ? 完

追記

売行不振品、端境期の売れ残り品などの処分の仕方とタイミング、「いくらに値下げするか」、「いつ、値下げ処分するか」、いわゆる、「価格最適化の技術」が急速な進歩を見せています。価格最適化・ITシステムが、まだ少数ですが、日本の小売企業にも導入され始めています。例えば、イオンリテーイルのIT活用システム、ディスカウントストア・Mr MAxの完全自動発注システム、ライトオンの「売れる仕組み」などです。また、ファッションセンターしまむらは、すでに、20年以上も前から、自社、手作りの価格最適化システムを稼働せています。余計なお世話と言われるかもしれませんが、これらの優れたシステム、「価格最適化ITシステム」を十二分に研究されることをお勧めしておきたいと思います。

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