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業界動向:ディリーファッションストア-「子供ベビー部門の売場圧縮(縮小)策」について考える

■子供人口の減少続き、子供関連「被服及び履物」の消費支出も減少

001子供人口(0歳~14歳)の人口が減少し続けています。2000年からは減少度合いが「やや緩やかに」なってはいますが、それでも減少に歯止めはかかっていません。1950年の子供人口数は約2943万でしたが、それが、2010年には約1707万人になると推計されています。1950年比で言いますと、実に、約1236万人も子供人口が減ってしまうことになります。これと平行して、総人口に占める子供人口の割合も、1950年には約35.4%あったものが、2010年には激減し、約13.4%になると推計され

ています。野村証券が調査・発表している「エンジェル係数」(家計支出を100とした場合の子育て費用の割合)も、1993年には約33.4%あったものが、2007年には約26.2%とこれも激減しています。子供関連の消費市場規模の縮小傾向が続いていることになります。

003子供関連消費支出のうちでは、とくに、「被服及び履物」、それに、「直接教育(学校教育に関わる費用)」、この二つの消費支出が縮小しています。子供一人当たり向け支出のうちの「被服及び履物」の消費支出が減少していることは、それらの消費市場規模の縮小を意味します。これにどう対応していくか、子供対象の衣料品及び衣料関連品を取り扱っている小売店は、その具体的対応策を考えねばなりません。子供ベビー部門の取り扱い商品の範囲をどうするか、売場規模をどうするか、商品政策、売価戦

006_2略をどうするか等についての「見直し」と「再構築」が必要ではないかと思います。衣料品取り扱い小売店における子供ベビー部門の売上高推移を見ても、早急に、手直し策、対応策を打たねば「ジリ貧」になってしまう危険も感じられます。百貨店の子供衣料部門と、専門店「西松屋チェーン」、この2者の月別売上高前年比の推移をグラフ化し(表-3)にまとめてみましたが、長期間にわたる百貨店の子供部門の月別売上高「前年割れ」とその実績数字のあまりの「ひどさ」には愕然とさせられます。

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また、(表-4)に、ディリーファッションストア最大手・ファッションセンターしまむらの「ベビー子供部門」の売上高と部門売上高構成比の推移をグラフ化してみました。これを見ると、ベビー子供部門の部門別売上高構成比が著しく低下していることが分かります。ベビー子供部門の売上高は、年間二桁に及ぶ出店に支えられて毎年伸び続けてきました。しかし、2009年2月期には「前年割れ」しています。一方、ベビー子供部門の部門売上高構成比は、年々、低下の一途をたどり、2001年2

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月期には約10.1%だったものが、2009年2月期では約7.7%と、2.4ポイントも下がっています。加えて、(表-5)・ファッションセンターしまむらグループのベビー・トドラー洋品専門店チェーン「バースデイ」の年間売上高、年間売場坪当り売上高の推移等を見てみますと、これも「大苦戦」の数字で、子供人口の減少、そして、子供対象衣料品品目等の消費支出の減少が少なからぬマイナス影響を及ぼしていることが感じられます。ファッションセンターしまむらの力をもってしても、①子供

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人口の著しい減少、②子供関連品目・衣料品等の消費支出の減少、この「二つの大波」には逆らえないと言うことができるかもしれません。このように、ディリーファッションストアの子供ベビー部門は、いつ終わるか分からない、長く厳しい「冬の時代」にあるわけですが、ここをどう「しのいでいくか」、それを考えた場合、一つの案として、「売場圧縮(縮小)策」が出てくるのではないかと思います。取り扱い商品の範囲を縮小、一部、商品のカット、売場面積の縮小等、この厳しい時代を生き延びていくための対応策を考えていかねばならないうことです。

例えば、①ベビー用品の取り扱いをやめる=ベビー用品売場をカットする(そこまでいかなくとも、新生児入衣料、育児用品雑貨はカットする)、②ベビーアウターは子供トドラーアウターの中に組み入れてしまう、③子供(男女児)洋品売場も縮小する、こういった策をとっていくということです。小商圏対応のディリーファッションストアにとって、ベビー子供部門は、やめることも、切ることもできない「重要な部門」ではありますが、著しい低効率、赤字続けば、経営的には、その部門の縮小と赤字削減等を考えざるを得ないのではないでしょうか。これは、経験的な目安の一つですが、ベビー子供部門の年間売場坪当り売上高が70万円以下で、粗利益率が25%以下という場合、売場圧縮(縮小)策は、効果的な対策の一つであろうと思います。

先にあげた(表-5)、「バースデイ」の、2009年2月期の数値、3.3㎡当り年間売上高約46万円、粗利益率約27.8%、この数字では、失礼な言い方で恐縮ですが、おそらく、「赤字」でしょう。経営的には、放っておけない数字でもあるように思います。また、ファッションセンターしまむらの、2009年2月期の全店計の年間平均売場坪当り売上高は約99万円ですが、ベビー子供部門がある店で、この数字を超えている店数は、案外少ないかもしれません。

ファッションセンターしまむらの、売場面積330坪の標準店舗におけるベビー子供部門の、売場坪数は中分類面積で約40坪前後(中分類面積=主通路部分、他の共有部分の面積配分負担を含む)。また、ベビー子供部門の売上高構成比は、2009年2月期、約7.74%。年間売上高は、売場坪数330坪×年間売場坪当り売上高約100万円=3億3000万円、ベビー子供部門の年間売上高は、売上高構成比7.74%×年間売上高3億3000万円≒2550万円、したがって、ベビー子供部門の年間坪当り売上高は、2550万円÷40坪≒64万円。2009年2月期の粗利益率は約26.8%。この①~⑥に近いか、それ以下の数字のベビー子供部門は、経営的には厳しい状況にあるかもしれません。したがって、ファッションセンターしまむらは、なんらかの対策をとっているものと思われます。そこをじっくり分析・研究したいものです。

ディリーファッションストア-「子供ベビー部門の売場圧縮(縮小)策」について  完

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競合店対策:ディリーファッションストア-「婦人衣料部門の再構築」考

■ユニクロの大攻勢、GMSの衣料部門改革と反転攻勢、ますます激化する競争

「衣料品売行不振、売上長期低落」が続いています。今のところ、回復の兆しも、なんの明るさも見られません。(表-1)は、日本チェーンストア協会が発表している販売統計のデータをもとに作成した、平成18年1月~平成21年7月、3年7ヶ月間の「婦人衣料・月別売上高の推移グラフ」ですが、長期間、婦人衣料部門の著しい売上高下落が続いています。また、さらに落ち込んでいくような気配もあり、この先、二番底、三番底もあるのではないかと思われるような様相です。衣料品合計売上高の推移も、婦人衣料と同様、下落が続いており、極めて悲観的な状況下にあります。

001 しかし、このような悲観的で、厳しい状況下にあるにもかかわらず、競争はますます激化しています。いままで、比較的順調に売上も利益も伸ばしてきたディリーファッションストアも、ユニクロの大攻勢、GMSの衣料部門改革による反転攻勢、加えて、日本に進出してきた強力な外国勢、「フォーエバー21」、「H&M」、「ZARA」など、これらが巻き起こす厳しい競争に、否応なく巻き込まれることになります。ここで、対応を誤ったディリーファッションストアは、消滅の危機に陥ると言っても過言ではないでしょう。

003 ディリーファッションストアと言わず、すべての量販総合衣料品店が決して忘れてはならないことは、「婦人衣料の強い店が勝つ」、この、競争の鉄則です。どんな状況下にあっても、この競争の鉄則が変わることはありません。したがって、ここは、真剣に「婦人衣料部門の改善・強化、再構築」に取り組む必要があります。それには、今、ユニクロが打ち出している戦略・政策、GMS・イオンリテール、ダイエー、西友が進めている衣料部門改革、そして、日本進出した強力な外国小売企業勢の商品戦略・政策、

005 これらについてよく分析研究を行い、彼らの戦略・政策を熟知しておく必要があります。ユニクロ、GMS、外国勢が展開しているいくつかの注目すべき戦略・政策は以下のようなものです。

ユニクロ(国内)が押し進めている注目点

ウィメンズ商品を(今の)2倍、3倍にする(拡大する)。その

008 ために、ファッションベーシック商品を強化、かつ、コア商品の強化・充実をはかる。

グループ企業・g.u(ジーユー)における、(a)990円シリーズ、990円ジーンズ(2009年度・秋冬もの・全商品の3分の1を990円に)、(b)490円、990円商品のバリエーション拡大(以上は、ユニクロが発表した「グローバルワンの実現・2008年8月期の総括と今後の成長戦略」より抜粋)

002イオンリテールが 押し進めている注目点

ベストプライスbyトップバリユー880円ファッションシリーズ→880円ジーンズ

ダイエーが押し進めている注目点→880円ジーンズ

西友が押し進めている注目点→ベーシック衣料全体の低価格化→ウォルマートの世界的商品調達網を活用

■ディリーファッションストア-婦人衣料部門の競争力と比較優位性が低下

ディリーファッションストアの品揃え面における競争力は、低価格(安さ・廉価)、良い品質(品質>価格=お値打ち)、ファッション性、トレンド商品の積極的投入、この4つで支えられています。また、商店経営面での競争力を支えているものは、ローコスト経営(例えば、ファッションセンターしまむらの販管理費率は21%~22%)、小商圏対応、客の近くに店がある、利便性(日常生活に必要な衣料及び衣料関連品をこまめに品揃え、普段の生活に必要なものは事足りる)、この4つです。これら8つで、ディリーファッションストアの競争力、そして、他の小売企業との比較優位性を支えられていたわけです。しかし、その力が、ユニクロの大攻勢、GMS・イオン、ダイエー、西友らの衣料品部門改革と低価格政策、そして、フォーエバー21、H&M、ZARAなど強力なMD力と情報発信力を持った外国勢の日本進出など、これら手強い競争相手の出現によって相対的に低下してきています。厳しい見方ですが、品揃え面の①~④については、ディリーファッションストアで、先にあげた手強い競争相手と戦っても負けない力を持っているのは「ファッションセンターしまむら」だけではないかと思います。商店経営面の競争力を支えている⑤~⑧に関しては、まだ、ディリーファッションストアの方が、ユニクロ、GMS、外国勢より優位なところがあるかもしれません(絶対的優位にあるというわけではありません)が、

しかし、商品面、品揃え面における競争力、比較優位性で勝てなければ、商店経営は成り立ちません。ここが大事なところです。いまのところ、ユニクロの大攻勢、衣料品部門改革を進めるGMS、そして、強力な外国勢との競争は大都市部に限られています。したがって、あわてる必要はないと言うこともできますが、かれらが、地方中都市、地方小都市に攻めてくるのはもう時間の問題です。その時に、商品面、品揃え面を支える①~④の競争で負けないよう、競争の決め手となる「婦人衣料部門の再構築」に今から取り組むことが必要なのではないかと考えています。手強い競争相手に勝つのは容易なことではあり

004ません。彼らの方が、多くのディリーファッションストアよりも、資金面、組織力、商品力、MD力、店舗運営力で優れているからです。このことを決して忘れてはならないと思います。その覚悟のうえで、「婦人衣料部門の再構築」に取り組まれることを期待しています。稚拙な文章しか書けず、いまひとつまとまりがなく、どこまで当方の考えをお伝えできたか自信がありませんが、ともかく、「婦人衣料部門の競争力強化と再構築」に、今から、積極的に取り組まれることを再度、強調しておきたいと思います。

 ディリーファッションストア-「婦人衣料部門の再構築」考  完

  

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新店舗情報:衣料館コルモピア西永福駅前店 09年9月19日 開店

■サミットコルモの衣料館コルモピア西永福駅前店、2009年9月19日 開店

2009年9月19日に開店した「衣料館コルモピア西永福駅前店」は、①所在地--東京都杉並区永福3-37-7(私鉄京王線西永福駅前、サミット所有ビル1階)、②売場坪数約80坪、の小型店舗です。サミットコルモは、標準店舗売場坪数規模を300坪としていますから、西永福駅前店は売場坪数が小さすぎるイレギュラーな店舗と言うことができます。売場坪数が狭すぎることを承知で店を出した背景には、駅前の好立地という以外に、もっと他の事情もあったかもしれません。その事情について伺い知ることができませんが、標準店舗規模以下のかなり狭い小規模の店とは言え、①駅前で、②これといった競争店も無く、そして、③人口密集地という好立地にある「見逃しがたい出店物件」ということもあったのではないでしょうか。

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衣料館コルモピア西永福駅前店は売場坪数が約80坪という、おそらく、サミットコルモの店舗のなかで「最も売場坪数規模の小さな店」でしょう(サミットコルモは東京都に売場面積規模200坪以下の小規模店を数店持っていますが、100坪以下の店はこの西永福駅前店が初めて)。しかし、売場面積約80坪という小規模店舗とはいえ、駅前という好立地ですので、高効率店舗になることは間違いないように思います。はたして、初年度売上高はどのくらいになるでしょうか。とても、興味のある点ですので、当方なりに、その初年度売上高を推測してみました。

012 まず、基礎データとして、サミットコルモの東京都内における、売場坪数200坪以下の店、数店の年間売上高、坪効率などを調べてみました。(公表されているデータは極めて少ないので推測計算のために欲しい十分なデータ量を集められませんでした)。ともかく、調べて分かったのは、わずかなデータでしかありませんが、売場坪数200坪以下の店、3店舗の年間売上高などは以下のとおりです。このデータをもとに、衣料館コルモピア西永福駅前店の初年度売上高を推測計算を試みた次第です。

004_2東京都における売場坪数200坪以下の店として取り上げたのはコルモピア笹塚店、コルモピア上北沢店、コルモピア久が原店、この3店舗です。この3店舗の概要は、以下の通り。

コルモピア笹塚店

①所在地---東京都渋谷区笹塚2-12-11(私鉄京王線笹塚駅前、食品SM・サミット笹塚店2階)、②売場坪数約188坪、

③年商推計約4.5億円、④年間売場坪当売上高約239万円、

コルモピア上北沢店

①所在地---東京都世田谷区上北沢4-4-12(私鉄京王線上北沢駅前、食品SM・サミット上北沢店2階)、②売場坪数約170坪、③年商推計約3.7億円、④年間売場坪当売上高約217万円 、

コルモピア久が原店

①所在地---東京都大田区南久が原2-8-22、②売場坪数約170坪、③年商推計約4億円、④年間売場坪当売上高約235万円、

参考データ(1)サミットコルモの全店平均年間売場坪当売上高

2008年3月時点、全店合計売場面積41072㎡、年間売上高約148億6500万円、これをもとに計算すると、全店合計年間売場坪当売上高は約119万円、

参考データ(2)ファッションセンターしまむらの東京都における店舗の売上効率

2009年2月期、東京都におけるファッションセンターしまむらの店舗数は20店舗、合計年間売上高は約94億4200万円、売場面積18267㎡、したがって、東京都における店舗の全店平均年間売場坪当売上高は約170万円、

上記3店舗の売上効率・年間売場坪当売上高推計値をもとにして、サミットコルモは東京都における売場坪坪数200坪以下の店で年間売場坪当売上高200万円を確保することは間違いないと考えます。したがって、これは単純計算ですが、「コルモピア西永福駅前店」の初年度売上高は、売場坪数約80坪×年間売場坪当売上高200万円=1億6000万円、この数値の達成は、ほぼ確実でしょう。また、もう少し強気で見れば、初年度売上高は、売場坪数約80坪×年間売場坪当300万円=2億4000万円、この数値の達成も決して夢物語ではないように思います。はたして、1年後にいくらの年間売上高を達成するでしょうか。とても、興味があります。

最後に、ついでと言ってはなんですが、衣料館コルモピア西永福店の開店とほぼ同時期、2009年9月に開店したディーファッションストア2店の開店セールチラシを掲載しておきます。衣料館コルモピア西永福店の開店チラシと比較研究するのも面白いかと思います。

005ファッションセンターしまむら旭店(千葉県旭市ニ1763、2009年9月17日開店)のリニューアルオープン・第一弾チラシB3サイズ。しまむらのオープンチラシの定番型。「良質+低価格+ファッション性+トレンド商品」、これは、しまむらの商品政策の基本的考え方ですが、開店チラシにもそれがよく打ち出されているように思います。旭店は地方小都市郊外店ですので、衣料館コルモピア西永福駅前店とは、立地環境も、商圏特性もちがいますが、両者の開店チラシの比較参考資料に。

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ディリーファッションストア大手「あかのれん」の市橋店の開店セール・第一弾チラシ。ファッションセンターしまむら、衣料館コルモピアとは、また違った味がありますが、掲載商品の売価設定、そして、超目玉品50円、90円(あかのれんはこのチラシの裏面に掲載)の投入など、共通している部分が多々あります。ぜひ、じっくり比較分析・研究されることをお薦めします。

 衣料館コルモピア西永福駅前店-09年9月19日開店  完

 

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