« 2009年7月 | トップページ | 2009年9月 »

経営課題:「ファッションセンターしまむら」と「無印良品」の、”買上点数・1品単価・客単価”比較から考える

しまむら&無印良品、2社の「買上点数」・「1品単価」・「客単価」の推移と比較

「ファッションセンターしまむら」と「無印良品」、2社はその「生き方」も「考え方」も違いますが、「良品質の商品を、低価格で提供する」という考えは同じです。両者の違いを、大雑把で恐縮ですが、簡単にまとめてみると次のようになります。

ファッションセンターしまむらは高頻度で売れる日常生活衣料を、総合フルライン構成で(婦人・紳士・子供衣料・服飾雑貨~寝具インテリアまで)、店舗では4万~5万アイテムを品揃し、良品質+低価格で提供する店。

「無印良品」は、「わけあって、安い」がキャッチフレーズで、生活の基本となる本当に必要なものを、本当に必要なかたちでつくり、低価格で良い商品を提供していくことを基本的考えとする、取り扱い商品部門構成、衣料雑貨約35.5%、生活雑貨54.1%、食品8.9%、その他1.5%(2009/2)、品揃えアイテム数・約7500アイテム~8000アイテム(2009/2月期の商品分類別内訳構成比概略-衣料雑貨26.1%、生活雑貨64.9%、食品9.0%)、低価格で良い品を提供する店。

このように「考え方」も、「生き方」も違う2社ですが、その、(a)「買上点数」、(b)「1品単価」、(c)「客単価」、を比較してみますと、よく「似ている」というか、とても類似性があります。この、(a)、(b)、(c)、3点の比較から次のようなことが言えます。

(1)2社の「買上点数」に、過去8年間(02/2-09/2)、大きな変化、増減は無い。

2社の「買上点数(買上客1人当り平均買上点数)」の推移と比較

 年   度   しまむら   無印良品

2002/2------3.2点------2.9点

2003/2------3.2点------2.9点

2004/2------3.2点------2.9点

2005/2------3.3点------3.0点

2006/2------3.3点------3.1点

2007/2------3.3点------3.0点

2008/2------3.2点------3.0点

2009/2------3.2点------3.0点

「ファッションセンターしまむら」と「無印良品」は、商品経営力、商店経営力ともに優れている店で、実力派と定評の高い店です。したがって、彼らは、この8年間にも、「買上点数を増やすために」、いろいろ手をつくし、真剣な努力をしてきたことと思われます。しかし、2社の「買上点数の推移」を時系列で見てみますと、その数字に、「大きな変化、増減は無い」ことが分かります。実力派の2社といえども、「買上点数を増やすことは、そう簡単ではなく、とても難しいこと」なのだと言ってもいいのではないでしょうか。

客単価(買上客1人当平均買上高)=買上点数(買上客1人当り平均買上点数)×1品単価(買上品1品当り平均売価単価)、この公式をもとに考えれば、小売店で「客単価を上げるには」、①買上点数、②1品単価、この2つを上げていかねばなりません。しかし、2社の「買上点数の推移と比較」から、過去8年間、買上点数の数字に「大きな変化、増減は無い」ことが分かりました。したがって、客単価を上げるためには、②の「1品単価を上げる」ための努力と工夫、仕掛けをつくる、これが「決め手になる」、もうちょっと大胆に言えば、、「これしか決め手がない」ということになります。それで、「売上高アップを図る、売上高アップに繋げる」ことができると考えて、1品単価アップに取り組むことが必要なのではないかと思います。では、次に、2社の「1品単価」の推移を見てみます。

(2)2社の「1品単価」は、微増だが、ほぼ確実に上昇傾向にある。

2社の「1品単価(買上品1品当り平均売価単価)」の推移と比較

年   度    しまむら   無印良品

2002/2-------767円----626円

2003/2-------775円----651円

2004/2-------747円----676円

2005/2-------712円----681円

2006/2-------716円----707円

2007/2-------728円----710円

2008/2-------749円----729円

2009/2-------764円----723円

ファッションセンターしまむらの「1品単価」は、2005年2月期には「下落」しましたが、それ以降は「上昇」しています。また、無印良品の「1品単価」は、「年々、ほぼ確実に上昇」しています。先に述べたことですが、過去8年間、2社ともに、その買上点数は、ほぼ”横ばい”で、数字に大きな変化、増減はありませんでした。しかし、両者の「1品単価」は、すくなくとも、2005年2月期以降は「上昇」していますから、それが、間違いなく「客単価をアップしている」ことが推測されます。以下に、2社の「客単価の推移・増減」を見てみます。

(3)買上点数は増えていないが、1品単価がアップした結果、客単価が上がった。

2社の「客単価(買上客1人当り平均買上高)」の推移

 年   度    しまむら   無印良品

2002/2-------2469円----1789円

2003/2-------2470円----1869円

2004/2-------2416円----1985円

2005/2-------2321円----2052円

2006/2-------2369円----2162円

2007/2-------2412円----2162円

2008/2-------2445円----2174円

2009/2-------2464円----2162円

(4)「1品単価を上げる」工夫と、仕掛けづくりに取り組み、客単価アップを図る。

しまむら、無印良品、この2社の「買上点数」、「1品単価」、「客単価」の推移と比較をすることで、「売上高を上げるためには、今、何に取り組むべきか」を考えてきました。その結果、分かったことは、まず、「1品売価単価を上げる」ことに取り組み、それで、客単価をアップを図り、そして、売上高アップにつなげる、そういう進め方・段取りがベターなのではないかということです。しかし、「ディリーファッションストアとして、どこまで1品単価を上げていいのか」、その「見極め」を、ある程度、しておかなければなりません。それは、とても難しいことです。経験的な「勘」で恐縮ですが、「1品単価の目標値を900円~1000円」として、それを達成するための工夫、仕掛けづくりに取り組むことを第一歩とすることがいいのではないかと考えています。

「1品単価を上げる」ために、売価政策ではボリュームプライスレンジをどこに置くか、上限のプライスレンジをいくらまでアップするか、下限価格レンジをどこまで下げるか、この3点をよく考えなければなりません。また、その「売り方」ではどうやって売価単価の高い商品を売っていくか、どうやってその価値・品質の良さを訴求し、お客に納得して買ってもらうか(見せ方・陳列演出・売場づくり・接客販売など)、これらのことをしっかりやっていく必要があります。そして、良い品質>売価→バリュー(お値打ち)、すなわち、良い品質、その価値ある商品を、低価格で提供することができる仕組みも必要になります。これらはどれひとつとっても容易にできることではないかもしれません。人手(知恵と工夫=頭脳、組織的努力)も、時間も、金もかかります。しかし、今、「売上高アップを図る」ためには、「1品単価アップに取り組むことが最も有効な手立て」だと考えるなら、その一点に焦点を当て全力集中、一丸となって取り組む、それが必要なのではないかと思います。それが、ディリーファッションストアの、「今の経営課題」の一つなのではないかと考える次第です。

しまむらと無印良品の、”買上点数・1点単価・客単価”比較から考える  完

|

経営課題:売上高=「客数」×「客単価」の基本原理から考える

売上高=客数(買上客数→レジ通過客数)×客単価(買上客1人当平均買上高)

これは、小売業の基本原理ですが、この公式をもとに、「売上を上げるには何をやったらいいか」を考えていくと、以下のようなことが分かってくると思います。

(1)売上を上げる道は3つ。

(a)買上客数を増やし、客単価も上げる。

(b)買上客数を増やす(客単価は”横ばい”、または、上げるのが難しいとする)

(c)客単価を上げる(買上客数は”横ばい”、または、増やすのが難しいとする)

(a)の「買上客数を増やし、客単価も上げる」ことができればベスト、理想形。しかし、これはそう簡単にできることではありません。その達成はかなり難しいと言っていいでしょう。では、(b)の「買上客数を増やす」、(c)の「客単価を上げる」、この二つは簡単かと言えば、(a)を達成するよりは易しいかもしれませんが、それほど苦労せずに達成できると考えるのも安易すぎます。「売上を上げる道・3つ」について、ファッションセンターしまむらの平成21年2月期・決算概要の実績数値を見ながら考えてみたいと思います。

002 ■「表-1」は、「売上を上げる道・3つ」を考えていくうえで、これは必要と思われる各種データを、ファッションセンターしまむらの「決算概要(H21/2)」からピックアップし、まとめたものです。年度別、①客数(買上客数)前年比、②買上点数(買上客1人当平均買上点数)前年比、③客単価(買上客1人当平均買上金額)、④1品単価(買上品1品平均売価単価)、⑤期末売場面積・前年比増減率、⑥期末売場面積実績の推移、⑦年度別・客単価、1品単価実績の推移、この7項目の実績をまとめた表です。

(2)「買上客数」を増やすことはとても難しい。売上を上げるには、「出店による店数増」→「客数増」→「売上増」、これが最も手っ取り早い。

005 「図-1」は、年度別の「客数前年比」と「期末売場面積前年比」、それに、「客単価前年比」と「1品単価前年比」を、「表-1」の実績数値をもとにグラフ化したものです。「図-1」を見ると次のことが分かります。

年度別・客数前年比グラフと年度別・期末売場面積前年比グラフの流れ・傾向、「山、谷の高低」は、とてもよく似ている。これは、「出店による売場面積増=店数増」、そして、その「店

006数増がもたらした客数増」が、「年度別・客数前年比・増加率」に最も大きな影響を及ぼすことを示していると考えられます。大胆な言い方をしますと、「年度別・客数は、新店を出した分だけ買上客数が増えた」だけと考えても大きな間違いはないと言ってもいいかもしれません。年度別・客数は、「既存店の客数増減」+「新設店の客数」で計算されますが、「既存店の客数増」は極めて低く(または、減少しており)、どちらかと言えば、マイナス要因なのではないかと考えることもできます。

010 それは、「図-2」を見れば、なお一層、よく分かるのではないかと思います。「図-2」の月別売上高前年比グラフと、月別既存店売上高前年比グラフ、そして、図の左にある数表を見ますと、(イ)月別客数前年比(全店計)は「前年比・超の月が多く」→(出店による店舗数増による客数増)、一方、(ロ)既存店の月別売上高前年比は「前年割れ」月が圧倒的に多い、これは、既存店の月別客数が、横ばい、もしくは、減少しているためと推測される、この2点が読み取れます。繰り返しになりますが、客数を増やすには、「出店によって店数を増やし、それで客数増をはかる」ことが最も手っ取り早く、「既存店の客数を増やして客数増をはかるのはとても難しく、容易なことではない」と言ってもいいと思います。

(3)「買上客数を増やす」には、並大抵でない努力と、知恵が必要、時間もかかる。

「買上客数」=来店(入店)客数×買上率(来店客の)

買上客数を上げる道は3つ。

(a)来店(入店)客数を増やし、買上率も高める。

(b)来店客数を増やす(買上率は”横ばい”、または、上げるのが難しいとする)

(c)買上率を高める(来店客数は”横ばい”、または、高めるのは難しいとする)

「来店(入店)客数」は、店入口周辺の道路における「人」、「車」の通行量と、それらの「店への立ち寄り率」で計算されます。「買上率」は、来店(入店)客のうち、何人が購買したか、その割合を計算したものです。しかし、それだけでは計算できないものがあります。というのも、もっと広く考えますと、「来店客数」も「買上率」も、その店の対象商圏エリア内における居住人口の多寡、増減、小売店の競争状況(競争の度合い)、自店の競争力、集客力、商品力、品揃え力、販促訴求力、売る力、接客販売力などによって左右されるからです。したがって、先にも言いましたが、「買上客数を増やすのはとても難しい」ことで、相当、真剣な取り組みをやったとしても、短期間で増やすことは至難の業と考えた方が正しい見方ではないかと思います。だからといって、買上客数を増やす取り組みをやめろというわけではありません。ただ、「買上客数は簡単には増やせない」ということです。

(4)「客単価を上げる」。これが当面、「売上を上げる」近道。

「客単価」=総売上高÷総買上客数

「客単価」=買上点数(買上客1人当平均買上点数)×買上品1品平均売価単価

客単価を上げる道は3つ。

(a)買上点数を増やし、1品売価単価も上げる。

(b)買上点数を増やす(1品売価単価は”横ばい”、または、増やすのは難しいとする)

(c)1品売価単価を上げる(買上点数は”横ばい”、または上げるのは難しいとする)

「図-3」は、ファッションセンターしまむらの過去11年間(1999/2~2009/2)における「年度別・客単価の推移」と、「年度別・1品単価の推移」をグラフ化したものです。これを見ると、次のことが分かります。2006年2月期から、客単価も、1品単価も上昇傾向にある。それまでの間、1999年以降、2005年までの7年間は「下落の一途」をたどっていた。一方、ファッションセンターしまむらの「買上客1人当平均買上点数」は、過去11年間、3.2点~3.3点で、ほとんど変化が無い、この2点です。この数字を見ますと、ファッションセンターしまむらの力をもってしても、「買上客の買上点数を増やすことはとても難しい」ということが分かります。

しかし、ファッションセンターしまむらより買上点数が低い店、3.3点以下の店は、努力次第で、しまむらと同じ、3.3点までは上げることができる余地が残されているということもできます。また、買上品1品平均売価単価を、「しまむら並み」の価格の750円~760円とするのは難しいとしても(そこまで低単価にできる力は無い)、自店の現在の「買上品1品平均売価単価」を、もう少し上のポイントに上げることができるかもしれません。そして、このことを可能にするのは、その店のインストア・マーチャダイジング(ISM)力の有無、強弱如何だろうと思われます。(ISMについては、流通経済研究所発刊の書籍、公開資料を参考にされるとよいと思います。ISMの詳細が分かります)

売上高=客数(買上客数)×客単価(買上客1人当平均買上金額)、という小売業の基本原理をもとに、「売上を上げるには何をすればいいか」を考えてみましたが、「これが決め手だ」と言い切ることができるものは、恥ずかしながら、まだ掴めておりません。「中途半端だ、いまいち、まとまりが悪い」と言われても弁解はしません。しかし、もう一度、原点に戻って、そこから、今の難しい時代をどう乗り切っていくかを考える必要があるのではないかと思って、「拙い思考」を試みてみた次第です。

「売上高」=「客数」×「客単価」の基本原理から考える。  完

追記

ユニクロ(国内)は、2009年3月~5月、この3ヶ月間、既存店の客数前年比を、3月-8.7%増、4月-17.6%増、5月-18.7%増と、「目を見張る伸び」を達成しています。そして、その、「客数増」の要因として、①キャンペーンによる集客効果→キャンペーンを昨年に比べ2回増やしたことによる客数増、②コア商品の強化、③ウイメンズ商品の強化、とくに、この3点を挙げています。(詳細は、ユニクロの2009年度第一四半期(3月から5月)の業績発表をご覧いただけば分かります)。彼らのやったことのなかから、なにか学ぶべきこと、できることがあるかもしれません。ぜひ、ご一読されることをお薦めします。

|

新店舗情報:「あかのれん有玉店」-09年4月15日開店-を見る

■「あかのれん有玉店」-2009年4月15日-開店

2009年4月15日、株式会社あかのれん(名古屋市南区)は、静岡県浜松市に「あかのれん有玉店」を開店(あかのれんの50号店)。あかのれん有玉店の概要は以下のとおり。

所在地---静岡県浜松市東区有玉西町817-7、売場面積1203㎡≒364坪、店舗建物--鉄骨造平屋建

004 「あかのれん有玉店」の出店先は、食品スーパーチェーン・「バロー有玉店」を核店舗とする小商圏対応型商業施設(NSC)内。株式会社バローの発表による、このNSCの概要は次のとおり。

所在地--静岡県浜松市東区有玉西町817-7、敷地面積17021㎡≒5149坪、核店舗-食品スーパー・「バロー有玉店」・売場面積512坪、量販総合衣料品店・あかのれん有玉店・売場面積約364坪、他テナント面積約309坪、バローの出店開発設備投資額約9億1000万円、商圏人口--周辺3㎞で24841世帯、66964人。

001■SC内の店舗建物配置図。駐車場収容台数198台。バローは、半径3㎞の商圏人口世帯数を24841世帯見込んでいます。これをベースに、ディリーファッションストアとしての「あかのれん有玉店」が 対象にできる「衣料及び衣料関連品の年間需要額推計」は、経験則で言いますと、24841世帯×ディリーファッションストアが対象にできる1世帯当年間衣料及び衣料関連消費支出20万円≒49億6800万円。あかのれん有玉店の実力なら、売上シェア7%は獲得可能としますと、初年度売上高は約3億5000万円。また、別計算では、

033_2

■「株式会社あかのれん」は、現時点で、売場坪当年間売上高100万円の確保を目標としているとの話を聞きましたが、初年度からこの数字が確保できれば、「あかのれん有玉店」の年間売上高は約3億6400万円。ちょっとシビァにみて、売場坪当年間売上高80万円とすれば初年度年間売上高は約2億9000万円。二つの計算から考えますと、初年度約3億円~3億5000万円前後ではないかと推測します。最近、あかのれんが出している店の売場面積規模は約1200㎡≒363坪~約1450㎡≒439坪。

030この、「あかのれん有玉店」の売場面積も約364坪ですから、あかのれんの標準店舗規模、すなわち、標準店舗と言っていいのかもしれません。ここ3、4年間に出したいくつかの店の売場面積規模を見ても、瑞浪中央店(売場面積1322㎡)、芥見店(1287㎡) 、有玉店(1203㎡)、BiVi藤枝店(1322㎡)、フレスポ四日市富田店(1230㎡)、となっています。この店舗規模が、現在、あかのれんが最も力を発揮できる規模なのかもしれません。あかのれんの商品力・品揃え力、店舗運営力なら、安全、投資採算も良いと考えられる規模なのでしょう。

001_2

株式会社あかのれんの実力

あかのれんのホームページに掲載された営業実績概略を時系列に見てみますと次のようになります。

           05/2    06/2     07/2    08/2

売上高(億円)--約147億--約152億--約166億--約172億

006

経常利益(億)--約2.3億---約3.2億

営業利益(億円)-(    )--(    )----約5億--約3.9億

売場面積(㎡)-約5万㎡---約5万㎡---約5.6万㎡-約6.3万㎡

年坪売(万円)-約97万円-約100万円-約98万円--約90万円

これが「あかのれんの実力」の概要です。

007 あかのれんホームページに載った営業実績概略からの推計ですが、売場坪当年間売上高は、約90万円~100万円。この数字をみますと、あかのれんが、当面の、「売場坪当年間売上高目標を100万円」としているのが納得できると思います。ファッションセンターしまむらよりは、若干、低い(4万円~7万円低い)と考えられますが、ディリーファッションストアとしては、決して、悪い数字ではありません。もちろん、もっと高いにこしたことはありませんが、まず、売場坪当年間売上高100万円、そして、粗利益率30%~31%で、損益分岐点がとれる、(または、利益が出せる店舗運営)、これがディリーファッションストア経営の絶対必要条件であると考えているからです。

   「あかのれん有玉店」-09年4月15日開店-を見る   完

|

業界動向:7月の衣料品・売上概況と夏物終盤戦の見方

(■7月、小売店各社の7月度売上概況(or.速報)

主要衣料品店チェーン5社がHP等で発表している「7月・月次売上概況(or.速報)」によれば7月の売上概況は以下のとおり。

ファッションセンターしまむら 7月の既存店・月別売上高前年比103.0%

7月度の販売状況について→全国的に気温が高く、また、TVCM商品も売れ夏物衣料の動きは活発。(注:しまむらは20日〆、当月21日~次月20日が1カ月。したがって、しまむらの7月は6月21日から7月20日

国内ユニクロ 7月の既存店(640店)・月別売上高前年比95.8%

7月の販売状況について→7月は、梅雨が長引き気温も低く推移し夏物販売が伸び悩む。

株式会社ポイント 7月の既存店・月別売上高前年比95.6%

7月の概況→全国的に梅雨明けが遅れ、降水量多く、日照時間も少なく、夏物販売に影響。

ユナイテッドアローズ 7月の既存店・月別売上高前年比90.4%

7月の概況→まとめ買い減少、より低価格品への需要集中で客単価減少で「前年割れ」

西松屋チェーン 7月の既存店・月別売上高前年比93.4%

7月の概況→低価格競争の激化、夏物クリアランス競争激化、そして、後半の盛夏物の売行き苦戦で低迷。(注:西松屋チェーンも、しまむらと同じ20日〆

以上、各社の7月度の売上概況を読みますと、売上不振、既存店・月別売上高「前年割れ」の原因は、7月が低温であったことと、低価格競争の激化、この二つであったように考えられます。

■”猛暑の夏”が一転、冷夏に。8月の夏物切り上げ終盤戦が心配。

気象庁が8月3日に発表した「7月の天候」の概要によれば、7月の天候の特徴は、以下のように述べられています。

北日本から西日本にかけて寡照(日照時間が少ない)

北日本で記録的な多雨

平成21年7月中国・九州北部豪雨」の発生など、各地で大雨。

月平均気温は、北日本で低く、北海道では平年を1度C維以上下回る。

また、別の3か月予報(8月~10月)では、8月の気温は低め。エルニーニョ現象の影響などで、北日本~西日本の気温は平年より低めとなる見込みと言っています。

この天候異変と、「冷夏」予想を考えますと、衣料品の商売で7月中旬から8月上旬に展開される「夏物切り上げ・終盤戦」がどうなるかとても気になります。夏物切り上げ・処分にてこずり、「逃げ遅れ」て、多大の値下げをしなればならない羽目に陥る店が多数でるかもしれません。「いまからでは遅すぎる」かもしれませんが、店頭の夏物在庫、とくに、在庫数量をチェックして、「逃げ切り作戦」を練り直し、完全切り上げ時期を早める必要がありそうです。「夏物残品の持ち越しは絶対やるな」、これは、衣料品商売の鉄則ですから。

004

■夏物切り上・処分セールを「前倒し、従来より早めに」変更する必要がありそうです。躊躇していると「逃げ遅れ」て、夏物を多量に残す結果になり、多大の値下げ損失を余儀なくされる恐れがあります。既定の夏物切り上げ・処分セールの日程を、まったく、やり直す、考えなおすことも必要になるでしょう。「冷夏」を前提にした夏物商戦・終盤戦の練り直しが避けられないと思われるからです。「夏物残の処理を、いつまで引き延ばす」ことは絶対にやってはいけないと言いたいわけです。

001_2 

夏物切り上げ・処分のチラシ販促セールにはストーリーが必要です。ディリーファッションストア大手、パシオスと、あかのれん(名古屋)2社が、7月中旬から8月上旬に展開した夏物切り上げ・処分セールチラシを一つの研究資料として載せておきます。夏物切り上げ・処分セールの「やり方」、考え方、進め方は店によってそれぞれ異なり、得意の手があるかもしれませんが、この2社の「夏物切り上げ・処分セール・ストーリー」の組み立て方はなかでも、最も参考にしたい一つだと考えています。

006 パシオスの夏物切り上げ・処分セールのストーリーは、(以前、書いたことがありますが)、完全処分→売りつくし→こんな価格になりました→終了宣言、というストーリー展開です。お客にも「分かりやすいストーリー」で、また、「最終段階は、どのくらい安くなるの」という期待と興味を持たせる「やり方」ではないかと思います。パシオスは、端境期には、このストーリーを、必ず展開してきます。それを、何年も続けていることを考えますと、「効き目のある展開ストーリー」であることが見てとれます。それぞれのセールチラシの表現スタイル、タイトルコピー、訴求点とその内容、等など、詳しく分析研究されることをお薦めいたします。きっと、役に立つものが見つかることと思います。

013次に、もうひとつ、分析研究したいのは、「あかのれん」(名古屋)の夏物切り上げ・処分セールストーリーと、そのセールチラシです。衣料一筋で、経験豊富な衣料小売企業ですから、夏物切り上げ・処分のやり方についても多くのノウハウを持っています。中部・東海地区における量販総合衣料品店では、現在、最強の衣料品店と言ってもいいかもしれません。もちろん、この地区には、あかのれんの競争相手、ユニー(ピアゴ)、ファッションセンターしまむら、ヤナゲン(平和堂グループ)、ミツワヤなどがありますが、いろいろ調査比較した結果、量販総合衣料品店では「あかのれんが最も強い」と評価しているからです。あかのれんの「多治見店」、「浜松有玉店」、「掛川店」などを、見に行かれれば、きっと彼らの実力の高さが見えることでしょう。

017

ここに取り上げた「あかのれん」の夏物切り上げ・処分セールのチラシは、B2サイズ、B3サイズ・両面、グランド黄色地、文字黒一色のチラシです。残念ながら、小さな写真でしかお見せできませんが、実際に、現物を手にして見ると、その迫力、インパクトの強さはかなりのものです。お客さんも「びっくりして、店に飛んで来る」ことだろうと思います。この二つのセールは、すでに、終わったものですが、彼らは、「冬物の切り上げ・処分セール」でも、かなり強烈なやり方を展開しますので、その時に、タイミングを合わせて、見に行かれるとよいと思います。全国的に見て、力のある量販総合衣料品店の数がとても少なくなってきましたが、ここにあげた、パシオス、あかのれんの2社、そして、サンキ、サミットコルモ、この4社の動向を常にマークしておく必要があります。もちろん、ファッションセンターしまむらの動向を詳しく見ていくことも欠かしてはならないことは言うまでもありません。

 「7月の衣料品・売上概況と夏物商戦・終盤戦の見方」  完

|

新店舗情報:2009年7月31日、「サンキ結城店」開店

■2009年7月31日、サンキ結城店(ヨークタウン結城SC内)開店

サンキ結城店は、2009年7月31日に開店した「ヨークタウン結城SC」内に出店しました。ヨークタウン結城SCの概要は次のとおり。

ヨークタウン結城SC(オープンモール)の概要

①所在地--茨城県結城市大字結城11839-1、②敷地面積43589㎡≒13186坪、③SC内・店舗面積合計8295㎡≒2509坪、④駐車場収容台数580台、⑤店舗構成・業種構成概要は以下のとおり。

核店舗及び主要テナント構成

核店舗

食品スーパーマーケット・ヨークベニマル結城四ツ京店(店舗面積684坪、初年度売上高見込み18億円)

他の主要テナント

サンキ結城店(総合衣料品店、売場坪数約650坪)、西松屋チェーン(ベビー子供大型専門店)、ダイソー(100円ショップ)、サンドラッグ(薬)、東京靴流通センター

011 ヨークタウン結城SC(オープンモール)の店舗建物配置は写真参照。SC内の店舗で売場面積が600坪を超えているのは、食品スーパーマーケット・ヨークベニマル結城四ツ京店と、サンキ結城店、この2店が核店舗となっています。このSCは、現時点で、結城市最大の複合型商業施設となります。結城市には他にも複数の大型店がありますが、いずれも、ヨークタウン結城SCより店舗面積規模、商業集積力、ともに劣り、その力関係を比較すれば、このSCに脅威となるような競争相手の店は存在しません。

001 さらに、ヨークタウン結城SCの業種別構成とそのテナント企業は、前述の通り、いずれも、有力な専門店チェーンばかりです。したがって、商業集積力の大きさだけでなく、その集客力、競争力も結城市では最強のショッピングゾーンと言えます。そこへ、サンキ結城店は、売場坪数・約650という、ディリーファッションストアとしてはかなり大きな店を出店したわけです。サンキ、1店でも、かなり強力な集客力を持っていますが、さらに、このSCが持つ集客力もプラスされますから、サンキ結城店は、総合量販衣料品店としても、まちがいなく、結城市、最大、最強の一番店になるものと思われます。

007サンキ結城店は鉄骨造・平屋建の店舗。外装、ファッサード、店看板サインなどは、サンキの標準仕様。赤色を用いた大きな店看板・サインは、SC内でひときわ目立ちます。SC内の店舗位置も、先の写真にあるとおり、核店舗であるヨークベンマル結城四ツ京店と向かい合わせになっており、サンキにかなり有利な位置づけになっています。結城市におけるサンキ結城店の競争相手としては、サンキから約1.3㎞のところに「ファッションセンターしまむら結城店」がありますが、サンキ出店によって、結城市におけるディリーファッションストアの勢力図も大きく変わるものと考えられます。

001_2

ファッションセンターしまむら結城店は1995年11月開店で、①売場坪数約303坪、②年商推計約3億4000万円、③売場坪当年間売上高約112万円。店舗年齢から考えると、おそらく、収益黒字店舗であろうと思いますが、サンキ結城店の出店によって、その収益構造に大きな打撃を受けることはまちがいないでしょう。しまむらの実力と底力を甘く見てはいけませんが、結城市における「サンキ対しまむら」の戦いは一時も気を抜けない激戦になるものと思われます。

014■サンキ結城店、開店第一弾のチラシ。最近のサンキの開店チラシはほとんどがB4サイズ。チラシ販促費はかなり絞られているようです。しかし、開店チラシとしては、サイズは小さいですが、かなり強烈、強力なものです。超目玉品としては、二桁円--39円、50円、99円が打ち込まれており、また、掲載されている個々の商品の売価単価はすべて三桁、1000円以下です。小さいチラシといえども、強烈なインパクトがあり、その集客力は相当なものです。

015

■サンキ結城店の初年度売上高は?

平成21年7月時点の結城市の人口は、世帯数17957世帯、人口総数52374人。これを前提にして、ディリーファッションストアが対象にできる年間衣料及び衣料関連・年間需要額推計は、ディリーファッションストアが対象にできる1世帯当年間衣料及び衣料関連を20万円としますと、

(1)17957世帯×20万円≒衣料及び衣料関連の年間需要額35億9000万円

また、サンキ結城店より半径2㎞における衣料及び衣料関連の年間需要額は、ヨークベニマルが見込んでいる半径2㎞以内の商圏人口--約8300(人口約24000人)をもとに計算しますと、

(2)8300世帯×20万円≒16億6000万円、

これら(1)、(2)を基礎データとしてサンキ結城店の初年度売上高について簡単な予測計算をしますと、次のようなことが考えられます。

まず、サンキ結城店は、サンキの実力から考えて、初年度で、低くとも売場坪当年間売上高70万円は確保するでしょうから、

(3)売場坪数・約650坪×坪当年間売上高70万円≒初年度売上高4億5500万円、

また、年間坪当売上高80万円を見込めば(この数字も、サンキにとって、それほど高いとは思わないが)、

(4)売場坪数・約650×坪当年間売上高80万円≒5億2000万円、

以上、(3)、(4)から考えますと、サンキ結城店の初年度売上高は約5億円ぐらいと考えてもいいのではないかと思われます。(サンキの1000坪タイプの大型店舗、千葉ニュータウン店、多摩ニュータウン店、そして、600坪前後の大型店舗、野田七光台ロックタウンSC内店、小山店などの年間売上高実績から考えますと、この5億円という数字はかなり低めにみた数字だと思っています)。

以上、短絡的結論ですが、サンキ結城店の初年度売上高予測を約5億円としますと、その対象マーケット内、売上シェアは、

先に計算した(1)で、売上シェア・約13.9%、店より半径2㎞の(2)では、30.1%となります。サンキ結城店出店前の時点で、ファッションセンターしまむら結城店が、(1)で9.47%の売上シェアを確保していただろうことを考えますと、ここで予測計算した、サンキ結城店の初年度売上高と売上シェアは、それほど達成困難な数字ではないと思うのですが・・・・・・。

  「2009年7月31日 サンキ結城店、開店」  完

|

« 2009年7月 | トップページ | 2009年9月 »