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業界動向:複合型商業施設「ファッションモール」の設備投資計画に関するメモ

■しまむらグループを集結してつくられた複合型商業施設「ファッションモール」

ファッションモールとは、しまむらが次世代向けに開発した複合型商業施設で、しまむらグループの、①ファッションセンターしまむら、②アベイル、③バースディ、④シャンブル、⑤ディバロ、これらの店のいくつかを複合出店した形でつくられています。ファッションセンターしまむら・単独出店という形の出店よりも、はるかに商業集積力が高く、集客力、そして、競争力もある、しまむらクループの総力結集型の商業施設と言っていいでしょう。しまむらが「ファッションモールの開発計画」を発表してからすでに何年も経っていますので、いまでは、この新しいタイプの商業施設「ファッションモール」の店数もずいぶん多くなってきました。

その動向に大変、興味を持っていましたが、このあたりで少し詳しく調べてみよう思いましたので、ファッションモールの設備投資計画に関する事項と数値データを平成18年2月期~平成21年2月期、4年間の有価証券報告書から抜粋、簡単にまとめておくことにしました。

■しまむら-「ファッションモール」の設備投資計画概要

前述した4年間の有価証券報告書に記載されている「ファッションモールの設備投資計画」概要から、とくに、自社物件(建物、構築物等を自社所有する物件)のファッションモール(以下、FMと略)に関するデータをピックアップし、その設備投資予定額、そして、売場坪当り投資額などを調べてみました。(平成18/2~平成21/2、4年間の有価証券報告書より)

ファッションモール  設備投資予定  売場面積  3.3㎡当り    所 在 地 

    名          金額(万円)     ㎡     設備投資額   都道府県名         

FM長岡川崎店    23400万円   2208㎡    35.0万円  新潟県長岡市

FM東金店       23500万円   2170㎡    35.7万円  千葉県東金市

FMわさだ店      27400万円   2997㎡    30.2万円  大分県大分市

FM愛子店       49900万円   1998㎡    82.4万円  仙台市青葉区

FM嶋 店       37100万円   4291㎡    28.5万円  山形県山形市

FM牧の原店      27200万円   3174㎡    28.3万円  千葉県印西市

FM小川店       18900万円   2221㎡    28.1万円  埼玉県小川町

FM姶良店       23800万円   1916㎡    41.0万円  鹿児島県姶良町

FM塩釜店       18000万円   2245㎡    26.5万円  宮城県塩釜市

FM天理店       19900万円   1980㎡    33.2万円  奈良県天理市

FM東山崎       27100万円   2984㎡    30.0万円  香川県高松市

FM青山店       17500万円   1974㎡    29.3万円  岩手県盛岡市

FM藍住店       17200万円   1965㎡    28.9万円  徳島県藍住町

以上、13店のファッションモールの設備投資予定額計画概要がありましたが、そのデータをもとに3.3㎡当り設備投資額を計算。各ファッションモールごとの総投資額は、開発設備投資形態(自社取得物件or賃借物件)、そして、立地、店舗敷地面積と形状、店舗の組み合わせ等によって変化します。したがって、一つの比較指標として単位面積(3.3㎡)当りの設備投資額を算出しました。

3.3㎡当り設備投資額を見ますと、(土地を取得をしたと考えられるFM愛子店-仙台市青葉区-を除く)、28万円~36万円の間が多いことが分かります。当方の経験則に、「初期設備投資額の3倍の売上高確保、そして、粗利益率が30%確保されていれば、初年度から店舗段階の損益収支をゼロ、もしくは、黒字にできる」というのがあります。これをもとに、ここにあげたファッションモールの売場坪当り損益分岐点年間売上高を概算しますと、下限値では、28万円×3=84万円、上限値では、36万円×3=108万円、となります。すなわち、売場坪当り年間売上高108万円、そして、粗利益率30%、この二つが確保できれば、そのファッションモールの初年度店舗段階損益収支は、∓ゼロ、または、黒字になると考えられます。

しかし、ファッションモールに出店する「しまむらグループ」のすべての店が売場坪当り年間売上高84万円以上、そして、粗利益率30%の確保を確実に達成できるとは言うことはできません。というのも、しまむらグループ、それぞれの店ごとの売場坪当り年間売上高実績は以下のような数値だからです。(しまむらグループの店、①ファッションセンターしまむら②バースディ、③シャンブル、④デイバロ、⑤アベイル

■しまむらグループの店、それぞれの売場坪当り年間売上高実績

店名・企業名    2007/2月期  2008/2月期  2009/2月期

しまむら--------107.1万円---104.2万円---99.0万円

バースデイ-------51.5万円----50.6万円---46.0万円

シャンブル-------38.8万円----43.0万円---39.0万円

ディバロ---------45.5万円----61.8万円---40.3万円

アベイル--------70.3万円---112.0万円---63.0万円

注)各店・企業の売場坪当り年間売上高=各店・企業の期別年間売上高÷期末売場面積(坪換算)

上記のとおり、しまむらグループの各店・企業別に、その売場坪当り年間売上高実績を見てみますと、84万円を超える力を持っているのは、ファッションセンターしまむら、ただ1社です。(もちろん、立地、競争状況、店舗経営コストなどは各店・企業別、それぞれ店ごとに見れば、決して一律ではないでしょう。しかし、全店平均値でみれば、各店・各企業の売場坪当り年間売上高実績は上表のようになります。その値を、その店・企業の実力と考えた方がベターだととしての話です)

このように、しまむらグループの各店が複合出店した形のファッションモールの損益収支構造を考えますと、「ファッションセンターしまむらの高収益構造に支えられた形の商業施設」いう見方ができないわけでもありせん。しまむらのファッションモールは、高い商業集積力、そして、競争力、幅広い顧客動員力を持つ複合型商業施設であることは間違いありませんが、かといつて、その損益収支構造は決して強固なものとは言えないようです。しかし、だからといって、「しまむらグループのファッションモールは弱い」など考えてはなりません。たとえば、西大宮ファッションモール(埼玉県大宮市)、友部ファッションモール(茨城県)、臼田ファッションモール(長野県)、館山ファッションモール(千葉県)などを見れば、「しまむらのファッションモールの強さ、怖さ」がよく分かるからです。是非、視察クリニックされ、しまむらのファッションモールの実力を客観的に評価されることをされることをお薦めいたします。

■「しまむらの土地投資、土地取得」が増えている

ファッションモールの設備投資とその損益収支構造の話からそれて恐縮ですが、「ここ数年、しまむらは、”土地を取得した形での出店開発”を増やしている」ようです。ここにそのデータだけを載せておくことにしました。何かの参考、ヒントにれば幸いです。

会計年度      貸借対照表(百万円)     土地投資(百万円)

           ①土地勘定  前年比%    土地取得額   前年比%

2003/2-------19793百万円--102.2%------426百万円---34.9%

2004/2-------21063百万円--106.4%-----1269百万円--297.9%

2005/2-------23610百万円--112.1%-----2547百万円--200.7%

2006/2-------26886百万円--113.9%-----3282百万円--128.9%

2007/2-------28151百万円--104.7%-----1658百万円---50.5%

2008/2-------29721百万円--105.6%-----1688百万円--101.8%

2009/2-------32531百万円--109.5%-----2814百万円--166.7%

しまむらグループの複合型商業施設「ファッションモールの設備投資計画」を調べてみて考えたこと   完

   

      

    

   

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新店舗情報:「パシオス府中浅間町店 09年5月22日開店」

■2009年5月22日・開店-パシオス府中浅間町店の概要

所在地---東京都府中市浅間町3-2-1

売場面積・約300坪(パシオス標準店舗の一つ)

パシオス府中浅間店が出店した「いなげや府中浅間町店」の概要は、①総売場面積2460㎡、内、食品スーパーマーケット・いなげや→1550㎡、②総投資額概算-31億円(土地取得費用を含む)、③店舗建物-2階建、④テナント-総合衣料品店・パシオス、他、⑤駐車場収容台数-92台。

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パシオス府中浅間町店は、強力な集客力を持つ「食品スーパーマーケットチェーン・いなげや府中浅間町店」の2階に出店しました。多くのディリーファッションストアが、それぞれの地域にある有力食品スーパーチェーンの開発した近隣型商業施設(NSC)に核店舗の一つとしてテナント出店しているのはよくご存じのことと思います。ディリーファッションストア大手、ファッションセンターしまむら、サンキ、パシオス、サミットコルモ、あかのれん等の有力店がテナントとして入居した場合は、その近隣型商業施設の集客力、顧客動員力がより一層、強化されます。今、食品スーパーマーケットチェーンが開発する近隣型商業施設(NSC)に、これら、有力ディリーファッションストアを構成することが必要不可欠なものになっています。彼らをキーテナントとして誘致することが店舗開発担当者の重要な仕事の一つになっているといっても過言ではないかもしれません。

005パシオス府中浅間町店が出店した地域は人口密集地と言ってもいいエリアです。それに加え、店から半径約2㎞の範囲には、これといった競争相手となるディリーファッションストアの店もなさそうです。したがって、パシオス府中浅間町店の初年度売上高はかなり期待値が大きいのではないかと思われます。パシオスの力なら、初年度から、下限値でも、売場坪当り年間売上高150万円、すなわち、年商4億5000万円(=売場坪数300坪×売場坪当り年間売上高150万円)くらいは目指していると思われます。そういう好立地への出店であると言ってもいいのではないでしょうか。有力食品スーパマーケットと組んだパシオスの強さはかなりのものです。たとえば、有力食品スーパーチェーン・ヤオコー狭山店の2階に出店しているパシオスの店の高効率、高収益の数字を見ればそれが分かると思います。

002

パシオス府中浅間町店の外装、内装、陳列什器、店舗照明、売場レイアウト、そして、品揃え等をよく見れば、彼らの「標準店舗づくり」の技術力の高さとその完成度が、かなりレベルの高いものであることが分かることでしょう。褒めすぎと言われるかもしれませんが、とくに、パシオスのビルイン型店舗は、そのビジュアルプレゼンテーション力も含め、ディリーファッションストアの中でも、「とても洗練された店」になっているなと思います。パシオス府中浅間町店はもちろん、パシオスの他の新店舗を少なくとも、4、5店舗、是非、じっくり視察されることをお薦めします。必ずや、「得るもの」があると思います。

004最近のパシオスの開店セールチラシは、このパターンが多く見られます。そして、また、同時に、このチラシの店名部分だけを差し替えて、開店した店の周辺にある他のパシオスの店も「開店協賛セール」を展開するというのも定型化されているようです。地域の売上アップをはかる一石二鳥の「手」と言えるでしょう。パシオスの開店販促全般についても、チラシだけでなく、売場づくり、POPカード、ショーカードなど、じっくり研究されることもお薦めしておきたいものです。

最後に、少し、話がそれて恐縮ですが、パシオスはディリーファッションストア最大手にして最強の小売企業・ファッションセンターしまむらに、パシオス発行株の12.7%(23万8688株、約11億9300万円-しまむら・有価証券報告書より)を握られており、その動向が注目されています。これから先、どんな展開があるのか全く分かりませんが、かりに、パシオスが「しまむらグループ」入りし、「しまむらグループ+パシオスグループ」という巨大なディリーファッションストア企業が出現することになれば、それでこの業界は「決まり」でしよう。

5月22日に開店した「パシオス府中浅間町店」を見て感じたことのメモ  完

 

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経営課題:「ファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性」

■従業員1人当年間売上高--3132万円

この「従業員1人当年間売上高」は、日本チェーンストア協会(会員企業70社・店舗数8056店)が発表している「チェーンストア販売統計」・平成20年度(平成20年4月~平成21年3月期)の数値データをもとに計算したものです。計算式は以下のとおり。

平成20年度・年間販売金額13兆1703億2459万円÷期末従業員数420403人≒3132万円

日本チェーンストア協会の会員企業は、大手GMS、食品スーパーマーケットチェーン、他の業種別大手チェーン企業です。したがって、この「従業員1人当年間売上高約3132万円」という数字は、小売業における人的生産性の一つの基準指標値と考えてもいいのではないかと思われます。

■ファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性の推移

ディリーファッションストアで詳細な各種・各項目別・決算実績数値を公表している企業は「ファッションセンターしまむら」、この1社しかありません。パシオス、サンキ、サミットコルモ、あかのれん、いずれも株式上場していません。決算実績数値を公表するにしても、せいぜい、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、この4項目ぐらいのものです。この項目の数値だけでは、それぞれの小売企業の人的生産性を計算することはできません。したがって、ディリーファッションストアの人的生産性を数値で見られるのは「ファッションセンターしまむら(単体)」が公表している各年度別・決算概要しかないということになります。ということで、以下に、ファッションセンターしまむらの人的生産性を計算して簡単にまとめてみました。

 年 度   期末従業員数   し ま む ら  粗利益率  従業員1人当り   従業員1人当り

        正+パート(人)  売上高(百万)  (%)    年間売上高(万)  月間労働生産性(万)

2000/2-----5332---------199353------27.3------3739万円-------85.1万円

2001/2-----6406---------217777------27.3------3400万円-------77.3万円

2002/2-----6519---------240105------27.6------3683万円-------84.7万円

2003/2-----6956---------254327------28.2------3656万円-------85.9万円

2004/2-----7472---------268190------28.4------3589万円-------84.9万円

2005/2-----7807---------285548------28.8------3658万円-------87.8万円

2006/2-----8176---------312374------30.1------3821万円-------95.8万円

2007/2-----8410---------332898------30.4------3958万円------100.3万円

2008/2-----8804---------346779------30.7------3939万円------100.8万円

2009/2-----9058---------345509------31.0------3814万円-------98.5万円

以上が、「ファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性」の時系列データです。言うまでもなく、ファッションセンターしまむらは、ディリーファッションストアで最大の小売企業、そして、一番の高収益、高効率、高生産性企業です。したがって、ここで計算したファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性数値、①従業員1人当り年間売上高・3800万円~3900万円、②月間労働生産性・90万円~100万円、この二つは、他のディリーファッションストアが目指すべき一つの目標数値として考えてもいいように思います。

ちなみに、ユニクロの従業員1人当り年間売上高は2899万円(H20/8月期)、そして、西松屋チェーンの従業員1人当り売上高は3652万円(H21/2月期・派遣含む)です。

「日本チェーンストア協会」の従業員1人当り年間販売額3132万円、そして、ユニクロの2899万円、西松屋チェーンの3652万円、これら3つの人的生産性数値から見ますと、ファッショセンターしまむら(単体)の3800万円~3900万円という数値は「やや高い水準にある」と言ってもいいかもしれません。

■売場坪数350坪、売場坪当り年間売上高100万円、年間売上高35000万円、粗利益率30%、というディリーファッションストアの要員設定

先に計算した、ファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性をもとにこの店の要員設定を計算すれば、

年間売上高35000万円÷従業員1人当り年間売上高3800万円≒9.2人

以上の計算から、必要設定要員数は正社員換算で9.2人となります。要員の構成を「正社員+パート」で考えれば、一つの案として、正社員2名+パート10人~11名、総人員数12名~13名という要員設定が考えられます。(パートはフルタイマー、ショートタイマーの構成としますが、ここでは大雑把ですが、パート1人を正社員0.65人分として計算)

ディリーファッションストアの人的生産性の適正値といいますか、基準数値と言えるようなものがなかなか見つかりません。したがって、一つの参考値として「ファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性数値」をとりあげて、あれこれ考えてみました。ここであげた2つの人的生産性数値、①従業員1人当り年間売上高・3800万円、②従業員1人当り月間労働生産性・100万円を、ディリーファッションストアの一つの基準値といいますか、また、目指すべき目標値としてもいいのではないかと思うのですが、はたして、多くのディリーファッションストアはどう考えているのでしょうか・・・・・・。

ファッションセンターしまむら(単体)の人的生産性に関するメモ  完

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経営課題:「ディリーファッションストアの経常利益率の推移」を見て考えたこと

■経常利益率が5%を超えているのは「しまむら-8.9%」1社だけ

決算数値を発表しているディリーファッションストア大手3社、①ファッションセンターしまむら、②ファッション市場サンキ、③サミットコルモ、の経常利益率の推移は以下のとおり。

 年 度  し ま む ら   サ  ン  キ    サミットコルモ

       経常利益率%  経常利益率%   経常利益率

H13/2------5.1----------4.4-----------0.43

H14/2------6.5----------3.5-----------1.17

H15/2------7.0----------5.0-----------1.39

H16/2------7.2----------4.0-----------1.10

H17/2------8.0----------3.2-----------???

H18/2------9.3----------4.9-----------0.95

H19/2------9.7----------5.3-----------1.02

H20/2------9.8----------4.7-----------1.10

H21/2------8.9----------??-----------1.26

また、決算数値は未公表ですが、ディリーファッションストア大手2社、④株式会社あかのれん(名古屋)、⑤株式会社田原屋(パシオス)の経常利益率は、推測ですが、サミットコルモとサンキの間、1%~3%ではないかと考えられます。ディリーファッションストアにおいて「経常利益率5%」を達成するのは、そう簡単なことではなく、相当の努力と真剣な取り組みが必要なことが分かります。ファッションセンターしまむらの販売管理費率は2009年2月期・実績22.9%で、同業他社と比べローコスト経営が一段とすすんでいます。しかし、他のディリーファッションストアで、しまむらと同レベルのローコスト経営ができるところは今のところ見当たりません。まず、第一の関門、5%の経常利益率が確保できる損益構造、収益構造をつくりあげること、これを最優先の経営課題として、その実現に真剣に取り組むべきではないかと思うのですが、各社はどんなことを考えているのでしょう・・・・。

■しまむら、2009年2月期、経常利益率8.9%と、前年より1ポイント下げる。

しまむらのH20/2月期・経常利益率は、先の表にありますとおり、9.8%でした。H21/2月期の経常利益率は8.9%で、前年より1ポイント下げています。1ポイントの下落は大したことないように見えますが、しまむらのH21/2月期の年商は約3663億1100万円で、その1%は約36億6000万円、0.1%でも約3億7000万円、これは決して小さな数字ではありません。たとえ、0.1ポイントでも、大した下落ではないと、これを軽るく見過ごすことはできません。なにが原因で経常利益が1ポイントも下がったのか、徹底的に調べる必要があります。そして、改善の手を急いで打たねばなりません。言うまでもなく、しまむらは、そのことを十二分に分かっており、2009年度の方針で、「全部署で再度業務内容を見直し、経費額を前年比マイナスとする」ことを重点課題の一つとしてあげています。

■しまむらの2008年2月期と2009年2月期の販売管理費比較で見えてくること

しまむらの販売管理費/2008:2009比較

         2008/2月期            2009/2月期         金額前年差

         金額(百万円)  売上比%   金額(百万円) 売上比% 増減額(百万円)

人件費合計----37562------10.2%----39025------10.7%---1463

宣伝広告費-----7646-------2.1%-----7962--------2.2%----316

販売費合計-----9788-------2.7%----10192--------2.8%----404増

消耗品費--------933-------0.3%------871--------0.2%----▲62減

陳列器材------1342--------0.4%------830--------0.2%----▲512減

営業費合計----4093--------1.1%-----3610--------1.0%---▲483減

賃借料------17139--------4.7%----18455--------5.0%---1316

減価償却費---4672---------1.3%-----4880--------1.3%----208増

設備費合計--26991---------7.4%---28907---------7.9%---1916

公租公課-----1809---------0.5%----1883---------0.5%------74増

一般費合計---2016---------0.5%----2092---------0.6%------76増

販管費合計--80451-------21.9%---83828--------22.9%---3377増

2008年2月期と2009年2月期の販売管理費比較しますと、人件費合計-前年より14億6000万円増加し、売上比が10.2%から10.7%にアップ、賃借料-前年より13億1600万円増加し、売上比が4.7%から5%にアップ、宣伝広告費-前年より3億1600万円増加し、売上比で2.1%から2.2%にアップ、そして、設備費合計19億1600万円増加、これらが経常利益率を1ポイント下落させた大きな原因と考えられます。しまむらは、おそらく、重点的この4点を徹底的に見直し、その合理的削減に取り組むのではないでしょうか。そして、経常利益率10%の確保を目指すものと思われます。

「ディリーファッションストアの経常利益率の推移」を見て考えたことのメモ  完

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業界動向:ファッションセンターしまむらの「肌着部門」に関する調査メモ

■数字で見る「ファッションセンターしまむらの肌着部門」

(1)しまむらの「肌着部門」の営業実績数値2008年度(2009年2月期)

          09/2月期     部門売上  粗利益率  粗利益額     粗利益額 

商品部門名   売 上 高    構成比%     %    概   算     構成比%

肌    着   85468百万円  24.7%   34.4%  29401百万円  27.5%

婦人衣料   104163百万円  30.1%   29.7%  30936百万円  28.9%

注①2009年2月期----全部門合計売上高・3455億500万円  注②全部門合計粗利益率31%

ファッションセンターしまむらの全商品部門合計売上高に占める「肌着部門の割合」は、上記のとおり、24.7%で、婦人衣料部門の30.1%に次いで第二位となっています。しかし、肌着部門と婦人衣料部門の、①粗利益率、②粗利益額推計、③部門別粗利益額構成比を比較しますと、肌着部門は、婦人衣料部門より粗利益率が4.7ポイントも高く、また、粗利益額構成比では婦人部門と1.4ポイントの差しかありません。肌着部門の粗利益率と粗利益額の高さが全部門合計の粗利益率と粗利益額を大きく押し上げていることが分かります。

また、ファッションセンターしまむらの肌着部門は(肌着+靴下+ランファン)、この3つの合計と聞いていますが、ここにはナイテイ(パジャマ等は寝装具部門)が入っていません。したがって、しまむらの肌着部門にもナイテイ分の売上構成比を加えてそれをインナーウェア部門合計としてみますと、その売上構成比は婦人衣料部門と比べてもそれほど大きな差はないと考えられます。

(2)しまむらの肌着部門のPB商品比率は約28%値入率と粗利益率を大きくアップ

しまむらの商品部の部門分類では、商品5部が肌着部門(肌着+靴下+ランファン合計)とされてますが、2008年度(2009年2月期)の商品5部の年間売上高に占めるPB商品の割合は約28%で、全商品部門(1部~7部)の中ではPB商品の割合が最も高い部門です。しまむら全部門売上高合計に占めるPB商品の割合は18%(2009/2期)ですから、肌着部門はそれよりも10%も高い数字です。ちなみに、婦人衣料部門のPB商品の割合は、商品1部(婦人衣料・レギュラー)が19.9%、商品2部(婦人ティーンズ・ヤング等)-14.9%で、合計するとPB商品の割合は34.8%です。(この数字は肌着部門よりも高い数字ですが、先述していますが、ナイテイのそれを加えますともっと高い数字になります)

(3)しまむらの肌着部門の年商品回転数は約8回~8.5回転

これを、商品回転日数にしますと(単純計算ですが)、約46.5日~約42.9日です。また、年間値下率は、レジにて割引セールなどで年々上昇傾向にあり、約5%~6%あたりと推測されます(2003/2期以前は4%以下の値下率)。この、しまむらの肌着部門の年間商品回転数は決して「速い」とは思いません。これは、おそらく、肌着部門の年間売場坪当売上高が高く、品切れ・欠品、商品補充などのことを考え、坪当平均売価在庫高を高く維持しているからではないかと推測されます。

(4)しまむらの肌着部門で、最も買われているのは「靴下」

日経MJ新聞(2008・9.1号)に掲載された「マイボイスコムの調査」記事に、「しまむらの利用者の6割以上が靴下を購入する」とあります。しまむらが過去に公表したデータですが、「2005年度の品目別に見た数量ベースの全国シェア」というものがあります。それによれば、①靴下の数量ベースでの全国シェアは11.6%となっていますから、この記事の数字はかなり精度が高いと考えられます。ちなみに、しまむらはこの他にも、数量ベースの全国シェアが高い品目として、エプロン-9.3%、パジャマ-9.2%、ブラジャー-9.4%、この3品目をあげています。

別の面、2008年度の6月~12月に展開された主要なチラシ販促セールにおけるインナーウェア部門の商品分類別掲載本数を調べてみましたが、この7ヶ月間におけるチラシ掲載本数が最も多かったのは靴下の205本。やはり、かなり靴下を売っているようです。

①婦人肌着--トップス・86本、 ボトムス・79本、婦人肌着合計165本

②紳士肌着--トップス・71本  ボトムス・64本、紳士肌着合計135本

③靴下------紳士靴下・60本 婦人靴下・145本、靴下合計205本

④ランファン--ブラジャー+コーディネイトショーツ91本

⑤パジャマ--紳士パジャマ・22本 婦人パジャマ・19本

とりわけ、婦人靴下の掲載本数が145本と、飛びぬけて多いことが分かります。

(5)しまむらの肌着部門のキーワードは「素材+品質+機能+低価格」

しまむらのチラシ販促セールに掲載されているインナーウェアの宣伝コピー、そして、売場におけるPOPカード、ショーカードの文言を調べてみますと、次のことが分かりました。

①強調されている宣伝文・コピー

  ブラなしでラクラク、 着心地サラッとドライ、 サラサラ爽やか着心地

  さらり、しなやか、  体にフィット・細身のアウターに、 足元すっきり

  汗をかいても清潔

   ドライ、吸放湿、ストレッチ、抗菌防臭、ソフトタッチ、コンフォートセンサー

   涼感、ライト、消臭

②ファイバードライ、コットンセンサー、ドライコットン、レナウンや東レと共同企画品

「繊維ニュース」のWeb記事に、大手メーカーの商品開発スタッフの方が書かれた小レポート、「快適性とファッション性を追及する肌着革命」というのが載っていました。これを読ませていただきましたが、その小レポートから、勝手ではありますが、「ここが肝心と思う部分」を以下に抜粋させてもらいます。

(a)百花繚乱の素材開発・機能開発の時代に突入。

(b)下着もただの実用的なインナーでは売れなくなってきた。

   素材の開発競争が始まり、いろいろな機能を肌着に組み込まないと競争に勝てない。

(c)「綿」一辺倒でなく、合成繊維の良さをどんどん取り入れねばならない。

(d)もはや、値段と長持ちで勝負する実用肌着の時代はとっくに過去のもの。

(e)「いつでも白い」というコンセプトでは売れなくなっている。

   いつまでも「白い」からと着続けるものじゃない。

「さすが、物づくりのプロ・専門家の見方は鋭い」と敬服するとともに、とてもいい勉強をさせていただいたことを感謝します。これは、概要とその骨子だけを抜粋したものですが、全文を読んで感じましたことは、「しまむらのインナーウェア部門の目指している方向も、これと全く同じではないか」ということです。「肌着革命」と言われる今のインナーウェア部門は最も面白い部門なのかもしれません。

  以上はすべて、「衣料スーパーストア研究会」のテキストからのダイジェスト版です。

  「ファッションセンターしまむらの「肌着部門」に関する調査メモ」 完

     

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業界動向:ファッションセンターしまむらのPB商品開発を時系列で見て分かること

しまむら-09年度・PB商品比率を30%以上にもっていく。

これは、ファッションセンターしまむらの2009年度方針のひとつですが、彼らのいままでのPB商品の全体売上高に占める割合を時系列で見ていきますと以下のようになっています(各年度別・決算短信、決算概要、業績説明資料より作成)。しまむらはユニクロのようなSPA(製造小売業)型の小売企業になろうとしているわけではありませんが、PB商品比率を50%くらいまでにはしていくという考えを持っているという話を聞いたことがあります。そうなると、かなりSPA的な小売企業になっていくことも考えられます。低価格競争に打ち勝ち、かつ、利益確保に必要な粗利益率と目標とする経常利益率10%確保のためには、PB商品比率の拡大、そして、SPA的構造の取り込みがなんとしても必要ということでしょう。

  年度別   しまむら全体売上高合計に占めるPB商品の割合

平成16/2----10.8% 平成17/2----13.5% 平成18/2----13.7%

平成19/2----14.6% 平成20/2----15.2% 平成21/2----18.0%

平成21/2月期の各商品部門別売上高に占めるPB商品の割合と売上金額

①商品部門名    ②年間売上高(億)  ③PB商品比率(%)  ④PB商品売上高(億)

商品1部(婦人Ⅰ)    443.34億円   19.9%    88.2億円

商品2部(婦人Ⅱ)    598.22億円   14.9%     89.1億円

商品3部(紳士)     307.27億円   17.4%     53.5億円

商品4部(子供)     267.55億円    9.7%     25.9億円

商品5部(肌着靴下)  854.68億円   28.0%    239.3億円

商品6部(服飾雑貨)  401.10億円   14.9%     59.7億円

商品7部(寝具インテ) 582.83億円   11.5%     67.0億円

合計           3455.09億円   18.02%   622.8億円

 注①商品1部→婦人衣料・アウター・レギュラー  注②商品2部→婦人ヤング・ティーンズ等

以上の実績数値データからは次のことが分かります

(1)全体売上高に占めるPB商品の割合(比率)は年々、確実に拡大している。しまむらはPB商品開発に積極的に取り組んでいる。

  平成16年度は10.8%であったが、平成21年には18%と約1.7倍に拡大

(2)各商品部門別比較では、商品5部(肌着・靴下等インナー部門)のPB商品比率が28%、PB商品売上高推計約239億円と最も高い。

婦人部門も、商品1部と商品2部を足せば、19.9%+14.9%≒34.8%となり、婦人部門合計では肌着部門よりも売上高に占めるPB商品の割合は高くなる。

■PB商品比率の拡大と平行して、値入率、粗利益率も拡大している。

  年 度   全体合計      全体合計     商品5部(肌着)部門の

         値入率(%)    粗利益率(%)    粗利益率  (%)

平成16/2------34.0%-------28.4%---------31.2%

平成17/2------34.6%-------28.8%---------31.6%

平成18/2------35.4%-------30.1%---------33.4%

平成19/2------35.6%-------30.4%---------33.8%

平成20/2------36.1%-------30.7%---------34.1%

平成21/2------36.0%-------31.0%---------34.4%

過去6年間の各年度別値入率、粗利益率の推移を見ていきますと、「PB商品比率の拡大と並行して、全体計値入率は確実に上昇」しています。また、粗利益率も(MDingの失敗による値下げなどを考慮しても・・・・)確実にアップしています。

とりわけ、値下げリスクが比較的低く、生産発注ロットも大きくまとめることができる「肌着・靴下・インナーウェア部門」の粗利益率は、PB商品比率の拡大と同時平行して上昇の一途をたどっていることが分かります。平成21年2月期(期末)現在、しまむらの全体売上高に占めるPB商品の割合は18%ですが、これが30%になると、値入率、粗利益率はさらに大きくアップすることが考えられます。売価を抑えながら(上げることなく)、競争に勝てる低価格政策を推し進め、なおかつ、経常利益率10%を確保するためには、さらなるローコスト経営の徹底に加え、仕入原価率のさらなる低減、これは絶対必要条件。その実現のために、ファッションセンターしまむらは全力を尽くすことでしょう。それと同じことができる力を持っている同業他社-ディリーファッションストアが何社あるでしょうか。そう考えますと、ディリーファッションストア業界では、これから先も、まだまだ長期間にわたって「しまむらの独走態勢」が続くことは間違いないだろうと思うのですが、5年先、10年先はどんなかたちになっているのでしょう。はたして、この予想どおりでしょうか・・・・・・。とても興味のあるところです。

 「ファッションセンターしまむらのPB商品開発を時系列で見て分かること」 完

           

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ディリーファッションストア 09-4月のチラシ販促セール

■しまむら 09-4月 4月度既存店売上高前年比103.3%

ファッションセンターしまむらの4月度既存店売上高は前年同月比103.3%。前に、既存店・月度売上高が前年同月比100%を超えたのは2008年7月(前年同月比101.9%の伸長)ですから、実に、9ケ月ぶりということになります。しまむらは、①4月に入り気温が上昇し夏物が活発に動いたこと、②ティーンズのTシャツ、ベスト、デニムの好調、③肌着等のPB商品が堅調、それらが背景にあったと言っていますが、ともかく、久々の「既存店・月度売上高・前年同月比クリアー」で、ほっと一息というところでしょうか。しかし、2008年3月以降の既存店月度売上高前年比を見てみますと、圧倒的に「売上高前年割れ月」が多く、まだまだ先行き不安、「前年割れ」が基調になっているように思われます。

001_9 (表-1)は、ディリーファッションストア大手、しまむら、パシオス、サミットコルモ、あかのれん、4社の4月度チラシ販促セール実績表。4月度は、しまむら-7本、パシオス-6本、サミットコルモ-7本、あかのれん-5本でした。本数比較では、しまむら、サミットコルモ、この2社のチラシ打ち込み本数が多く、既存店・月度売上高「前年割れ」をなんとしても止めたいという”必死の思い”を感じます。また、4月度は、各社ともに、B2サイズの大型チラシを何本か打ち込んでいますが、多少、元気が出てきたということでしようか。「前年割れ」の月が続き、「なにをやってもダメ」と弱気になりすぎたようにも思います。

003_2しまむらは、1125店舗-大感謝祭、4月25日からは「創立57周年・大創業祭スタート」、29日にはB2サイズの大型チラシ「創立57周年・大創業祭-第二弾」の大型企画を打ち込んで、4月度の勢いに乗って、5月度も「既存店売上高・前年同月比100%超」を目指していることは間違いありません。ディリーファッションストアは「今」、①低価格+②高品質+③新素材・新機能+④ファッション性+⑤ブランド化、この5つを充足することを求められていますが、ファッションセンターしまむらの力をもってすれば、5点、すべてを満たせる可能性は大ですから、5月度も「既存店売上高・前年同月比100%超」を達成してほしいものです。これは、当方の勝手な思い込みですが、ディリーファッションストア最大・最強の小売企業である「しまむら」に元気がないと、なんとなく、業界全体も「しぼんでしまう」といいますか、「やる気」を無くしてしまような気がしてなりません。リーディングカンパニーとしての「しまむら」の積極果敢な攻めを期待したいものです。(言わずもがなのことかもしれませんが・・・・・・・)

006最近のパシオスのセールチラシは、このような表現、レイアウトのタイプが多く見られます。このチラシでは、99円、299円の超目玉品掲載に加え、450円、650円、950円の売価を打ち出し、しまむらがチラシでよく使う売価、470円、570円、670円、970円より20円下の売価を意識的に打ち出しているような気がします。おそらく、「しまむらよりパシオスのほうが安い」と訴求しているのでしょう。長く打ち続ければ、たとえ、20円とはいえ、お客にパシオスの安さというものが浸透し、案外、効き目が出てくるかもしれません。そこがどうなのか、注目していくことにします。

008

パシオスが4月29日に打ち込んだB2サイズの大型チラシ。売価設定、チラシのデザイン、レイアウトなどは、最近のパシオスのチラシ販促セールと基本的に同じタイプ。低価格訴求力のある、見やすい表現のチラシではないかと思います。前にも言いましたが、ディリーファッションストア大手4社のなかでは、「パシオスのチラシが一番いい」と思っているのですが、はたして、同業他社、そして、お客さんはどう評価しているのか(4社のチラシを一カ所にまとめて同時比較しながら見るということはできないでしょうが・・・)、とても興味のあるところです。

011あかのれん(名古屋)が4月1日に打ち込んだB2サイズの大型チラシ・「春市」。あかのれんも、見やすく、訴求力のあるチラシをつくるのがとても上手です。50円、100円の超目玉品掲載は、「しまむらを十二分に意識して」のことだと思いますが、なかなかインパクトのあるチラシです。あかのれんの近くに店のあることが多いGMS・ユニー、そして、「ファッションセンターしまむら」にとって、この、あかのれんのインパクトのある低価格訴求型チラシを打ち込まれると、その影響(売上減とか、客数減とかの影響)は決して小さくないと考えられます。中部・東海地区の量販衣料品業界では、「あかのれんが断然強く、一帯を席捲している」ように思います。最近、店舗数を50店舗としましたが、出店意欲も旺盛で、強力な集客力を持つ有力ローカルスーパーの小商圏対応型NSCに積極的な出店をすすめています。このエリアでは、しまむらもまだ店舗数も多くなく、地域売上シェアも決して高くないので、当分の間、あかのれんの優勢が続くのではと考えています。

  「ディリーファッションストア 09-4月のチラシ販促セール」  完

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