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チラシ販促:ファッションセンターしまむら 09年1月度-端境期(冬→春)のチラシ販促セール

■チラシ販促セールは「低価格訴求強化型チラシ」が増える

2009年1月度は、衣料品商売でとりわけ難しい「冬~春への端境期」ということに加え、さらに、世界的大不況突入、著しい消費減退などの厳しい経済的環境変化もあり、小売店にとっては「暗雲垂れ込める年の始まりの月」となってしまいました。そのように厳しい環境下ですので、当然のことながら、ディリーファッションストアのチラシ販促セールも「かなり激しい表現の低価格訴求型」になってきています。ファッションセンターしまむらの1月度のチラシ販促セールも例外ではありません。相当強烈な表現の低価格訴求型チラシを多数、打ち込んでいます。第1弾からの流れを振り返ってみましょう。

006 ■1月度・第1弾チラシは「福袋」でした。このタイプのチラシは2007年1月、2008年1月にも「Happy Bag(福袋)」という形でやっている1月初頭の定番型とも言えるチラシ販促セールです。かわった点は、2008年、2007年はB3だったチラシサイズが、2009年1月度はB4サイズと小さくなったことです。これは2008年あたりから見られた傾向ですが、しまむらはほとんどのチラシサイズをB4サイズにしてきています。チラシサイズをB4サイズにし、かわりに、チラシ散布回数を増やすことを考えているようにも見えます。今年はこの傾向がはっきりしてきたように思います。

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■2008年度の1月にはこれと似たタイトル名の「冬のラストセール」というチラシを打ち込んでいます。2009年度はその表現が一層、強烈になっているように思います。2008年度あたりから、このように激しい表現のチラシを打ち込むようになったのですが、既存店月別売上高の「前年割れ」が多発していることがその背景にあるのかもしれません。この傾向はこれから先もしばらく続くであろうと考えられます。ともかく、「集客最優先」の考え方でチラシ販促セール企画を進めていくということなのではないでしょうか。しまむらと至近距離で競争関係にあるお店は大いに注意・警戒していく必要があるかもしれません。

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■1月度・第3弾のチラシ販促セールですが、このあたりから、一段と激しい表現、強烈な色づかいのチラシが打ち込まれています。このタイプのチラシがかなり増えてきているところを見ますと、なんとしても、「集客アップ、売上アップ、売上前年割れ回避」をやるのだという「しまむらの強い意志」を感じます。表現には「やや単調化、ワンパータン化」が見られますが、そんなことにかまってはいられないということでしょうか。それとも、強い危機意識の表れなのでしょうか、これは、2007年度には見られなかった傾向です。このような「激しい低価格訴求型チラシ」を撃ち込まれると、競争相手は大きなダメージを受けるかもしれません。わが店は「しまむらのようなやり方はしない」などと考えて、迎え撃つ対抗策を取らないでいると、後で大いに後悔することになるかもしれません。「やられた、即、やり返す」という強い姿勢の「しまむら対策」を立てる必要があると思います。ディリーファッションストア最大手・最強の企業が、言い方は悪いですが、「なりふり構わず」と言っていもいくらい、激しく強烈なチラシ販促セールを展開していること、その「怖さ」を決して忘れてはならないと思います。

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■1月度・第4弾目のチラシ販促セールです。先に打ち込んだ「追い込み型チラシ」・第3弾と同じタイプのチラシです。第3弾チラシに「中、1日」おいただけで打ち込んでいます。ファッションセンターしまむらの一か月は、当月21日~翌月20日・締めですので、1月度というのは、前年12月21日~1月20日ということになりますが、1月度の既存店売上高「前年割れ」をなんとしても食い止めようという気持ちの表れだったのかもしれません。それにもかかわらず、残念なことに、しまむらの1月度の既存店売上高は前年比92%という、極めて悪い結果に終わっています。それにしても、「強者・しまむら」がここまでのことをやるのですから、同業他社も、今年、2009年度は「しっかり、褌をしめて」、覚悟の商戦を進めていく必要がありそうです。余計なお世話かもしれませんが、しまむらの「低価格訴求強化型チラシ」を甘くみないようくれぐれも注意喚起しておきたいものです。「客と売上は、先に獲ったほうが勝ち」です。「手をこまねいて、ただ、見ているだけ」では駄目なのです。

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■1月度・第5弾目のチラシ販促セールです。第2弾から続く一連の「低価格訴求強化型チラシ」です。このように、時系列で見ていくと、「しまむらの真剣さ」をより一層、強く感じるのではないかと思います。第2弾チラシからの「流れ」で、共通している表現は、「さらに値下げ」と「40%OFF」です。これは一貫しています。これは、端境期、大不況、大きな消費減退、そういう厳しい環境下における「しまむらのチラシ販促セールのキーワードと言えるかもしれません。2009年度は月を追うごとに「ますます厳しさが増す」ことは間違いありません。そういう厳しい時代認識を持った上で、これから先のチラシ販促セール企画を考えていかねばならないと思います。なんといっても、「集客に最も効果があるものはチラシ」なのです。わが店は「いつも安い。チラシをそんなに打つ必要もない。集客には自信がある。お客も分かっている」と言い切れる店はそう無いでしょう。(当方の知っているのは、食品スーパーチェーンの「オーケー」ぐらいです・・・・)

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■1月度・第6弾目のチラシ販促セールです。ここで初めて「春」を打ち出していますが、2008年度はこれより5日早い23日でしたから、今年は「1月の終わり、ぎりぎりまで冬物値下げ、見切り処分のタイトル」で打ち続けたということになります。もしかたら、「冬物在庫残が、思ったより多かった」こともあるかもしれません。しかし、これで「冬物値下げ」タイプのチラシ販促セールが終わったわけではありません。1月30日にもB4サイズで「冬物値下げ処分型チラシ」を打ち込んでいるからです。これには、競争相手の店も参ったことでしょう。「そこまでやるか」と思ったことでしよう。しまむらのこの「売上を獲りにいく執念」を大いに見習う必要がありそうです。どんな状況下にあっても「決してあきらめない。投げ出さない。全力でベストを尽くす」、商売にはそういう姿勢が求められるのではないかと思います。ちょっと「お説教じみて」きましたが、厳しい時代だからこそ、強い気持ち、前向きで積極的、攻撃的なチラシ販促セールを打ち込んでいくべきなのではないかと思っています。

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■1月度・第7弾目のチラシ販促セールです。しまむらは「ここまでやるのです」。もう、あれこれ言う必要もないと思いますが、もう一度、2009年1月度に、「ファッションセンターしまむら」が展開したチラシ販促セールをじっくり分析・研究してみればと思います。きっと、得るものが沢山あるのではないでしょうか。また、もっと効き目のある「しまむら対策」を打ち出すヒントが見つけ出すことができることでしよう。競争相手のチラシ販促セールを徹底的、かつ、詳細に分析している店というのは、思ったより少ないものです。掲載品目名、価格、部門別・商品カテゴリー別掲載品目数、掲載商品別提供数量など、一度、しまむらのチラシの、徹底的な分析・研究をやってみてはと思います。大型家電専門店が継続的にやっている「競争相手のチラシ掲載品の徹底的調査・分析」に比べれば、苦労は少ないと思うのですが・・・・・・。

しまむら 09年1月度-端境期のチラシ販促セール 完

    

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チラシ販促:「ディリーファッションストア 09年1月のチラシ販促セール」

■1月度のチラシ販促セールの多くは「冬物見切り+低価格(値下げ)訴求」型」

2009年1月度におけるディリーファッションストアのチラシ販促セールは、前年に引き続き→「低価格訴求(安さ+値下げ)型」が多く見られました。ディリーファッションストア最大手・ファッションセンターしまむらをはじめ、多くの店では、依然として既存店月次売上高「前年割れ」が続いており、集客と売上確保には「低価格訴求(安さ+値下げ)型チラシ販促セール」が最も効き目があると考えているからだと思われます。

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図は、ファッションセンターしまむらの、過去3年間の月別売上高前年比を比較したものですが、今期が最も悪い数字になっています。(折線グラフで網掛けの山がたグラフが2008年度。黒実線グラフが2007年度、黒点線グラフが2006年度としています) 

2008年度は既存店月別売上高「前年割れ」の幅が前の2年度よりかなり大きくなってきています。他のディリーファッションストアも、しまむらと同様、既存店月別売上高「前年割れ」が多く、チラシ販促セールの打ち出し表現も、一層、激しいものになってきています。ディリーファッションストア大手、数社の1月度のチラシをいくつかピックアップしてみました。

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1月度は「冬物見切り」、「冬物値下処分」の時ですので、例年、このような激しいタイプのチラシが見られますが、2009年1月度はこのように「激しい表現のチラシ」が多かったのではないかと思います。文字と数字だけ、赤一色のチラシですがインパクトはありそうです。「決算前、底値、挑戦」などの言葉はいままでにもよく使われきましたが、依然として「効き目がある」ということでしょう。エゲつない表現だと嫌う人もいるかもしれませんが、「今」は、ともかく集客に効き目のあるものならどんどん使ってもいいのではないかと思います。

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このチラシも、「不況に挑戦、徹底値下、半額」などの言葉が躍っています。やはり、これらの言葉も、「安さの訴求」、「安さを表現する」には効き目があるからだと考えられます。大不況時代、モノが売れない、消費者がなかなかモノを買わない時代には、たとえ、チラシ表現に「品がない」とか、「洗練さに欠ける」など言われても、それを気にして無理にいいカッコなどせず、ストレートに訴えるチラシを打ったほうが効き目があるよのではないかと思います。大型家電専門店のチラシや、ディスカウントストアのチラシを見れば、ディリーファッションストアのチラシはまだまだ「やわらかなものだ」と思うのですが・・・・。

013「冬物一掃」、この言葉も1月度のチラシではよく使われる言葉ですが、それに、490円、690円の低価格品の打ち出しと、「半額」の 言葉も加え、「とにかく安い」ことをなんとしても集客→売上アップに結び付けようと考えているのがよくわかります。1月という時期に「冬物残が沢山あれば」、いやでも、激しい表現のチラシを打って、冬物処分をやらざるを得なくなります。しかし、逆に、かりに「冬物残が少なくとも」、このチラシくらいの表現は打ち出してもいいのではないでしょう。何度も言いますが、「まず、集客最優先」で、チラシ販促セールの組み立てを考えた方がベターだと考えています。この考え方に否定的な人もいるでしょうが、集客アップになんの効き目もないチラシは打つべきではないと思います。それは、はっきり言って「お金の無駄遣い」というものだからです。とくに、販促担当スタッフにこのことを分かってもらえればいいなと考えているのですが・・・。ともかく、一にも二にも三にも、「まず、集客!」です。お客に店に来てもらわなければ売れませんし、売ることもできないからです。

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表は、ディリーファッションストア大手4社、しまむら、パシオス、サミットコルモ、あかのれんの2009年1月度のチラシ販促セール実績をまとめたものです。一つの目立つ傾向としては、各社、「追い込み型チラシ」が増えていることです。例えば、B4・セールチラシを○月8日~12日で打ち、さらに、このセール期間後半の11日、12日に、もう1本のチラシを入れるというやり方です。ファッションセンターしまむらが、このタイプのチラシを2008年下期でかなり打ち込んでいます。研究する必要がありそうです。チラシの効き目は、第1日目が85%、第2日目が10%、3日目までは「もたない」と言われています。

◆◆◆ たまには、こんなタイプのチラシを打ち込んでも・・・・・ ◆◆◆

すこしエゲツなくて、すこし激しすぎる、写真も入れず文字だけで構成されている、そういうタイプのチラシを打つてみることも考えるべきではないかと思います。少なくともこれから先、2、3年は厳しい経済状況が続きそうですが、チラシ販促セールも「低価格訴求、激しい安さ訴求型チラシ」が増えてくることでしょう。同業他社と比べ、「品は良いが、しかし、効き目のないチラシ」を、いいカッコして無理に打つ必要はありません。

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例えば、このようなタイプのチラシです。表面はタイトルと文字だけ。裏面には、本数は少ないが、バイヤーが必死で集めてきた超目玉商品を掲載。そういうタイプの「超低価格訴求型チラシ」です。年に数回(3、4回)しか打つことができないチラシセールになるでしょうが、効き目は大きいと思います。お客に大受けするチラシ、「これを打てば、必ず売れる、大きな売り上げを獲得できる」というお店ならではの名物チラシ、名物セールをいくつかつくることを考える必要があります。ディリーファッションストアのなかには、そういった「名物チラシセール」を何本か持っている店もありますからそのチラシを手に入れ、そっくりコピーして打ってみるぐらいの柔軟な考えがあってもいいと思います。チラシ販促セールの「ネタ切れ」、「アイディア枯渇」に陥っている店は少なくありませんが、悩んでいる割には、こういった同業他社の「ヒットチラシ」の情報収集にかけている店が結構あるからです。

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既存店月別売上高の「前年割れ」が続いているこの大不況時代に、なんとか「元気を取り戻す」一つの手段として、強力なパンチとインパクトのあるチラシを打ち込むことを是非とも考えてもらいたいものです。「なにもせず、あれこれ悩み、手をこまぬいて、ただ、呆然と眺めているだけ」でなく、まず、アクション、行動する、やってみるという冒険心、挑戦する心を失うことのないよう、いつも、積極果敢な心を持ち続けたいものです。1月の各社のチラシ販促セールを見ながら、こんなことを考えた次第です。ぜひ、頑張ってほしいとエールを送るものです。

  ディリーファッションストア 09年1月度のチラシ 完

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研究会報告:ディリーファツションストアの値入率

■ファッションセンターしまむらの値入率の年度別推移

ファッションセンターしまむらは「良質低価」を全面にうたい、①良い品質のものを、②どこよりも安く、できる限り低価格で提供していくことを強く主張・訴求しています。低価格政策を強力に押し進めているわけですが、彼らの値入率をよく見ればディリーファッションストアの売価政策はどうあるべきかが見えてくるのではないかと思います。ちなみに、彼らの2001年2月期~2008年2月期の値入率の実績数値の推移は以下のようになっています。

年 度   値入率  値下率  ロス率  粗利益率  販管費率

01/2------31.00-----3.20----0.49----27.30-----22.10

02/2------32.60-----4.30----0.67----27.60-----21.50

03/2------33.30-----4.50----0.61----28.20-----21.40

04/2------34.00-----5.00----0.64----28.40-----21.70

05/2------34.60-----5.20----0.64----28.80-----21.50

06/2------35.40-----4.80----0.52----30.10-----21.70

07/2------35.60-----4.80----0.46----30.30-----21.50

08/2------36.10-----5.00----0.44----30.70-----21.90

仕事がら、小型量販衣料品店チェーンの値入率、そして、食品スーパーチェーンの直営衣料部門の値入率を見てきましたが、その多くの店の値入率は42%~45%という数字であったように思います。GMSの衣料部門は、さらにそれを上回る高さの値入率になっていることが容易に推測されます。しまむらの値入率が、同業他社と比較して、かなりの低さ(約7ポイント~10ポイントは低い)にあることが見て取れます。しまむらの低価格政策は同業他社の追随を許さない極めて強力なものなだと言っても過言ではないでしょう。①低い値入率→強力な低価格政策、②低い販管費率→徹底したローコスト経営、③安く売っても利益を出せる仕組み、これが、ファッションセンターしまむらの強さだと言うわけです。

■GMSの直営衣料部門の値入率は?

何社かのGMSの直営衣料部門の値入率はどのくらいかを推測してみましょう。

①イオン株式会社の直営衣料部門

粗利益率--07/2期--37.9--08/2期--37.5

ロス率----07/2期--18.6--08/2期--21.3%(注:ロス率=売価変更率+不明ロス率)

値入率                    

販管費率--07/2期--29.2--08/2期--28.9

②ユニーの直営衣料部門

粗利益率---H19/2--36.9%--H20/2--37.0

ロス率-----H19/2--17.9--H20/2--17.9

値入率                  ?

GMS・2社、イオンとユニーの直営衣料部門の粗利益率とロス率から、両者の値入率を簡単な計算式→(値入率-値下率(売価変更率)-ロス率=粗利益率)から推測しますと彼らの値入率は低く見ても50%以上であろうと思われます。そして、約30%に迫る高い販管費率から考えても、しまむらのように35、6%という値入率ではとても経営が成り立たないことも分かります。GMSの直営衣料部門が、しまむらのように強力な低価格政策を展開することはとても無理な相談であると言えるかもしれません。

■当初値入を取り過ぎると危険! それで得るものは少ない。

仕入原価率を低減せずに、当初値入率を高くしますと売価も高くなります。売価が高くなれば、売れ足は鈍化します。売れ足が遅くなれば、商品回転が低下し、値下げも増大します。結果として、当初、目論んだ粗利益率、利益率を取ることができなくなります。当初値入率をいくら高くしてもこれでは意味がありません。当初値入率で「爪を伸ばせば伸ばすほど、後で苦労することになる」のですが、それをあいかわらず繰り返している店が思ったより多いのには「意外の感」があります。

当初値入率を抑え、できるだけ売価を低く(安く)設定して、商品の売れ足を速くし、商品1品当たりの粗利益率と額は低くとも、商品回転の速さと売上数量の多さで粗利益額を稼ぐというのがディリーファッションストアの商品経営と言えるのではないでしようか。ファッションセンターしまむらのように、仕入原価率低減の仕組みづくり(直流、自社企画商品(PB)開発など)によって、仕入原価が低くく、値入もたっぷり取れ、かつ、低い売価設定もできるという商品を手にすることができるならともかく、ういう仕組みの無い店が、無理やり「当初値入率を高くする」というのは無謀というものではないでしょうか。

ディリーファッションストアの売価設定のポイントは、いかに売価を高くつけるかではなく、ある一定期間に、その商品を最も多く売りさばくことができる売価はいくらかを考えることではないかと思います。高い値入率をとることではなく、値入率も粗利益率も、できる限り低く抑え、商品の売れ足を速め、売れ残り品を少なくすることで、値下げロスも少ないという売価設定が正しい道なのではないかと考えます。「良いものを、できるだけ安く売る」、これが最も賢い売価設定なのだと言っていいかもしれません。そして、売場がいつも新しい鮮度のいい商品で満ち溢れ、いきいきしている、そういう店こそ繁盛するのだと思いますが・・・・・・・・。

  「ディリーファッションストアの値入率」 完

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研究会報告:大不況・2009年 ディリーファッションストア・経営トップが考えていること

「100年に一度の大不況」と言われる極めて厳しい経済環境下にある2009年初頭の1月、業界新聞各紙は「小売企業各社の経営トップの考え・経営方針を聞く」特集記事を掲載しました。その中の、①繊研新聞の「09年・小売業首脳に聞く」、そして、②日経MJの「2009 トップに聞く 消費をつかめ」、この二つの特集記事にディリーファッションストア大手・ファッションセンターしまむらの経営トップの方の発言が載っています。それらの発言はいずれも簡潔なものですが、深読みすれば、ディリーファッションストア大手・経営トップがこの大不況にどう立ち向かおうと考えているのかを読み取ることができるように思います。

ファッションセンターしまむら・経営トップの方の発言記事(その1)

景気が底を打つのは2010年くらいとみている。最悪の状況を前提に対応しなければならない。市場が縮小すれば、競争も激化する。他社と同質化したら負けだ」(日経MJ・2009.1.7号「2009 トップに聞く 消費をつかめ」より抜粋

経営者が目指すのはまず増益で、増収はみんなで知恵を出せばいい。ただ、土砂降りの中で既存店売上の落ち込みを止めるのは難しい。基本は商品力強化にある。(繊研新聞・2009.1.13号「09年 小売業首脳に聞く」より抜粋

この大不況を乗り切っていくには相当の経営努力と覚悟がないと大変なことになると考えているのがよく分かります。優良企業と評価の高い「ファッションセンターしまむら」の経営トップの言葉ですからしっかり聞きとめておく必要があります。

発言の中に、「既存店売上の落ち込みを止めるのは難しい」とありますが、過去にはこのような発言はあまりみられなかったように思います。2008年度(2008/3-2009/2)のファッションセンターしまむらの既存店月次別売上高前年比の推移を見ますと「前年割れの月」が目立ちますが、それが「やや弱気ともとれる発言」の背景にあるのでしようか・・・・・。

ファッションセンターしまむらの月次別売上高前年比の推移

2006年度(2006.3-2007.2)の既存店月別売上高年累計前年比は101.8%。「前年割れ」した月数は6月(99.8%)と10月(98.7%)の2か月のみ。

2007年度(2007.3-2008.2)の既存店月別売上高年累計前年比は99.0%。「前年割れ」した月数は七ヵ月と前年より5か月も増えています。なかでも、7月度は91.2%と「大幅前年割れ」しています。

2008年度(2008.3-2009.2)は過去三年の中で最も悪く、2009年1月までで「前年比100%超の月は、わずか2か月、3月度(100.8%)、7月度(101.9%)だけ。なかでも、5月度が(91.0%)、6月(90.6%)、12月(92.3%)、2009年1月(92.0%)、この4か月の数字がとても悪く、「大幅・前年割れ」しています。今期はあと2月を残すのみですから年累計「前年割れ」は避けられないでしょう。年々「前年割れ月」が増大していますが、ちょっと気になる傾向ではあります。

これらの数字が背景にあって、先の発言・「既存店売上の落ち込みを止めるのは難しい」となったのでしょうか。既存店数が1000店舗超ともなるとそう簡単に「前年割れ」を食い止めることはできなくなるのかもしれません。「既存店活性化は永遠の経営課題」となっています。

ファッションセンターしまむら・経営トップの方の発言記事(その2)

直接物流がようやく30%を超えた。・・・・・。50%までいくかどうか分からないが、10%浮いたコストをサプライヤーと折半すれば、粗利を5%は改善できる。だから営業利益は引き続き10%を目指す。(繊研新聞09.1.13号「09年 小売業首脳に聞く」より抜粋

ファッションセンターしまむらの、①粗利益率、②販売管理費率、③営業利益率の年度別実績推移を見ると以下のようになっています。

 年 度  粗利益率%  販管費率% 営業利益率%

 98/2----26.9%-----22.4%-----4.9%

 99/2----27.2%-----22.0%-----5.2%

 00/2----27.3%-----21.2%-----6.5%

 01/2----27.3%-----22.1%-----5.5%

 02/2----27.6%-----21.5%-----6.6%

 03/2----28.2%-----21.4%-----7.2%

 04/2----28.4%-----21.7%-----7.3%

 05/2----28.8%-----21.5%-----7.9%

 06/2----30.1%-----21.7%-----9.0%

 07/2----30.3%-----21.5%-----9.5%

 08/2----30.7%-----21.9%-----9.5%

この実績数字の推移を見ますと、「営業利益率は引き続き10%を目指す」との発言には相当の自信がありそうです。直流比率の拡大と、もう一つ、設備投資コストやオペレーションコストのさらなる合理化によるコストダウンも当然やっていくでしようから、営業利益率10%の実現可能性はとても高いと考えられます。

以上、いくつかの発言から、大不況という極めて厳しい状況下にあるので、既存店売上の落ち込みを食い止めることは決して容易なことではないが、直流の拡大による粗利益率アップ、さらなる合理化によるコストダウン(設備投資コスト、店舗オペレーションコストなど)、この二つを積極的に進めることで営業利益率10%の確保は可能と、ファッションセンターしまむらの経営トップは考えているのが分かります。そして、その経営姿勢は、大不況とはいえ、決して消極的でも悲観的でもなく、2009年度も「積極果敢に攻めの経営」を進めていくのだと言っているようです。

ディリーファッションストア最大・最強の企業「ファッションセンターしまむら」だからこその考え方かもしれませんが、業界のリーディングカンパニーが、この大不況下にあっても、そのプレッシャーに負けることなく、「積極的な経営姿勢」を持ち続けていることを知って、なにか安心するというか、ほっとするところがあるのは、当方、ひとりだけでしょうか・・・・・・。

「大不況 2009年。 ディリーファッションストアの経営トップが考えていること」 完

    

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