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業界動向:食品スーパーで「直営衣料部門をやめたら店の損益が赤字になった」という話を聞いて考えたこと

ある食品スーパーで「直営衣料部門をやめたらその店の損益が赤字になった」という話を聞き、その理由を調べて分かったこと

食品スーパーチェーンM社の経営トップの方から、「うちのO店で、直営衣料部門をやめて、そこに外部テナントを入れたのだが、その店の損益が赤字になってしまった」という話を聞きました。儲けの出ていなかった=赤字の直営衣料部門をやめて、その空いたスペースに外部テナントを誘致、そこから「家賃収入を得る」という構造にしたので店損益はもっと好転するはずと考えていたということですが、それが思惑と違い、「赤字」になってしまったというのです。誘致した外部テナントの提示してきた入居条件が思っていたより厳しく、家賃等が極めて安かった場合には、収入減となりO店が赤字に陥る可能性はあります。しかし、貸し手である食品スーパーM社が、最初からそんな契約をするとは考えられませんでした。そこで、なぜ、M社のO店が赤字になってしまったのか、別の原因があるかもしれないと考えまして、いろいろ調べてみました。

まず最初に考えたことは、ローカル食品スーパーチェーンにおける各事業部門(食品、住関、衣料など)への各経費配分計算が、曖昧で、不明確、かなり大雑把で、いい加減なやり方をしているところが体験的には多くみられたという点です。そこで、共通固定費配分などの計算基準が公平・明確でないために「衣料部門に過分の経費負担が起きているのではないか」、それがO店の赤字転落の原因になったのではないかと推測し、各経費別配分額を徹底的に詳細に調べてました。よく言われることですが、衣料部門が食品部門との経費配分で「割り勘負け」している、それが「O店の赤字転落の大きな原因ではないだろうか」と考えたのです。おそらく、いままで直営衣料部門が過分に負担していた経費がすべて食品部門に振り分けられ、その経費部分が誘致した外部テナントから得られる家賃収入ではカバーできず、それがもとでO店が赤字になってしまったのだろうという仮説したわけですが、調査結果は、ズバリ、正解でした。

「こんなはずじゃなかった。計算違いだった」ということですが、直営衣料部門をやめる場合は、衣料部門の損益と各経費科目別支出額計算根拠、そして、経費配分計算基準、それで配分された経費額などを徹底的、かつ、詳細に分析する必要があります。そして、その計算と調査の結果が、確かに正しい、適正だと判断できたときにのみ「衣料部門をやめる」という経営決断をすべきではないかと思います。

食品スーパーとして、「余分なことはやめて、食品のみに特化する」という生き方が一つのベターな選択肢としてあることを否定するわけではありません。しかし、かといって、いままで手掛けてきた衣料部門を、損益計算の分析もきちんとやらないで、簡単にやめてしまうというのはとてももったいないことだなと思うからです。

■「衣料品店と食品スーパーの経営コスト構造の違い」について大手ディリーファッションストアA社の経営トップの方がこんなことを言っています。

単純に食品スーパーと組んでNSCを形成することが良いとは思わない。食品スーパーのオペレーションコストと衣料品のそれが違うからだ。食品スーパーのほうがコストがかかり、同じ面積で負担しあうと、衣料のほうが「割勘負け」してしまう。だから、単独の店をつくったほうが、オペレーションコストも低くすみ、この方が商売としては有利だ。

単独で出店したほうが、運営費が低いから利益が多くでる。食品スーパーと一緒に出店する場合も、建物は別にしましょうと提案している。

食品スーパーのほうが駐車場の収容台数が必要になるし、光熱費、水道代も余分にかかります。ですから、売場面積に応じてそれらを負担すると、衣料店のほうが「割勘負け」するのです。

ちなみに、店舗形態別の売上対比販管費比率と水道光熱比率を調べてみました。結果は以下のとおり(各社の2008年度決算短信、または、決算説明資料をもとに作成)

 企  業  名     販管費率%   水道光熱費率%

F・Centerしまむら---21.9%----1.28%

食品SMヤオコー ---23.1%----1.6%

食品SMカスミ ---- 27.9%----2.06%

GMSユニー  ----27.5%----1.54%

GMSイズミヤ ----26.4%----1.62%

ファッションセンターしまむらと比較した各社の数字にそれほど差がないように見えますが、いずれの会社も売上高規模が数千億円以上です。水道光熱費比率の差が0.1ポイントの差であってもそれを金額換算すると何億円という大きな差額になります。

■食品スーパーチェーン大手S社の経営トップの方からは、自社の直営衣料部門の損益に関しての、こんな話も聞きました。

衣料事業(事業別損益が問われる企業の場合)の経費負担の内容を詳細にチェックしなければならない。事業採算制をとっている場合、事業損益の責任が問われるのは当然のことだからである。

この場合、衣料の販売・営業・運営にかかわる経費は、食品SMの経費と比べて極端に少ないものであることを自ら認識するとともに、経理担当役員やトップに認識させなければならない。

①電気使用量は--60%-70%は冷凍冷蔵設備の冷却費用である。

②水道料は----衣料の使用する水道料は衣料社員がトイレで水を流す程度。

③清掃費は----店舗の床は客数の多い食品の床が汚れる。衣料は自分で清掃。

④共通人件費は--売上比か客数比で負担すべし。間違っても売場面積比は避けろ。

⑤資本費配分は--売場が2階や3階にある場合、フロア効用比を用い専用面積比との   相乗席とすること。上層階へのお客の来店頻度は1階比70%以下。専用面積比とするのは、食品は生鮮作業場や冷凍機械室などバックヤード比率が高いから。

■直営衣料部門をやめてしまった後で、「よくよく計算したら、実は、衣料部門は儲かっていたんだよ」などということのないように、ぜひご注意を・・・・・。

「そんなバカなことをするはずがない」と思う人が多いかもしれません。しかし、食品スーパーチェーンにおける各事業部門、食品、衣料、住関連への経費配分計算基準が、公平・明解で、誰が見ても納得できるというところは案外すくないからです。直営衣料部門の「赤字の原因」は、実は、食品部門との経費の「割勘負け」、すなわち、経費の過分な負担配分にあったなどということのないようくれぐれも注意したいものです。それで、「直営衣料部門は赤字だ、赤字だ」と誤って責めることがないように、明解で、しっかりとした経費配分基準をつくっておく必要があるのではないでしようか・・・・・・。

  この話を聞いて、以上のようなことを考えました。   完

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業界動向:端境期の在庫コントロール

■端境期の在庫コントロールと値下率コントロール

量販衣料品店の年間利益額、粗利益額・率は、端境期における商品経営の結果如何で大きく変わります。いかにして、端境期の損失(=見切り・値下げ)を少なくするか、これは商品経営のなかでも最も重要な課題です。

001(表-1)は、優良小売企業と評価の高いディリーファッションストアA社の月別商品回転日数実績(3ヵ年分)をグラフ化したものです。A社は年間商品回転率(数)10回を目標基準値とする商品経営を進めており、ここ数年間は、ほぼそれに近い実績数値をあげています。月間平均商品回転日数はほぼ36日以内ということになります。かなり優秀な商品経営をやっているわけですが、それでも、端境期の3月、9月、2月の月間商品回転日数は、この3年間では、いずれも、45日(黒・太線ライン)を超えてしまっています。ここをうまく乗り切れるかどうかが年間利益額、粗利益額を大きく左右するわけですが、A社といえども、端境期の在庫コントロールと値下げ調整には苦労していることが見て取れます。006

(表-2)は、同じく、A社の月別値下率実績(2ヵ年分)をグラフ化したものです。(表-1)と連動させてみると、端境期で商品回転日数の遅い月(A社では月間商品回転日数が45日以上の3月、9月、2月)の値下率が高いことが分かります。端境期の在庫コントロールでは、とりわけ、重要な月日があります。経験的に言いますと、それは、6月20日11月20日2月20日、この3日です。この時点の売場坪当り売価在庫高を12万円以下に抑え込めることができるかどうか、そして、7月、12月、1月の商品回転日数を35日以内に持ち込めるかどうか、この2点がキーポイントになるのではないかと思います。

■端境期の商品経営の良し悪しは、その季節の品揃えピーク時点における在庫コントロールの良し悪しで決まる。

ディリーファッションストアの商品経営で、なんとしてもキープしなければならない数字は、①売場坪当り平均売価在庫高12万円、②年間商品回転率7回、③売場坪当り年間売上高84万円、④粗利益率30%、この4つです。これができないようなレベルの商品経営力ですと、ディリーファッションストアとしては「生き残れない」と考えられます。

■端境期の商品経営の失敗は、そのほとんどが、仕入れ過剰と在庫過剰による。

端境期の商品経営の巧みな商品仕入担当者が、高い商品生産性と利益をあげています。在庫コントロール力の無い商品仕入担当者は、できる限り早く、商品仕入れからはずすことが肝要です。商品部長は、「まあ、今回はいいか」などと安易に妥協しない厳しさが求められのではないでしょうか。

端境期の商品経営は「精度の高い予測」に基づいて進めていかねばなりません。商品仕入担当者の売上予測、在庫予測、仕入枠予測、この3つの予測精度が高ければ、仕入過剰、在庫過剰もなく、端境期における大きな値下げロスも出ることはないと思います。

◆◆◆「たまには、インパクトのあるチラシを打ち込む」のも一手◆◆◆

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端境期には、強烈で、大胆な表現のセールチラシを打ち込んだほうが効果が大きいと思います。経験的には、「何を売りたいか、何を伝えたいか」が一目で分かる、そういう、「分かりやすいチラシ」にだけ抜群の効き目がありました。効き目のあるチラシには、いろいろのタイプがあることでしょうが、上品すぎるチラシ、あっさりしたチラシには効き目はありませんでした。品があるとか無いとかいう話は別にして、売上が上がるチラシづくりに取り組むべきではないかと思います。知恵の限りを尽くして、お客をハッとさせるチラシ、大きなインパクトのあるチラシ、ともかくこの店に行ってみようという気にさせる強力なチラシをつくりたいものです。017

繰り返しになりますが、あれこれくどくど書き込んだチラシよりも、「なにを伝えたいのかが一目分かる」チラシがよく効きます。このチラシもその一つです。デザイン、レイアウト、カラー使い、文字の大きさ、セールタイトル、あれこれ説明する必要もありません。また、これなら、売場で「セール・下げビラ」としても使えます。チラシの効き目は、打ち込んだ第一日目が85%、二日目で15%、3日目にはもうほとんど効き目がない、ゼロに近いと言われています。要するに、初日が最も効き目が高いというわけです。ですから、お客に、「これはなんとしてもセール第一日目に店に行ってみなくちゃ」と思わせる強烈なインパクトのあるチラシづくりに取り組むことが肝心です。「そんなことは分かっている」と言われそうですが、はたして、この1年間に打ったセールチラシのなかで、「これは本当に効いた。少なくとも、平常の3倍~5倍の売上があがった」というチラシは何本あったことでしょう。じっくり考えてみる必要があるかもしれません・・・・・・・。

  「端境期の在庫コントロール」  完

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新店舗情報:ファッションセンターしまむら・ベスタ東鷲宮店(10月30日開店)を見る

■ファッションセンターしまむらベスタ東鷲宮店の出店場所はオープンモール型NSC

2008年10月30日、ファッションセンターしまむらベスタ東鷲宮店が、オープンモール型NSC「ベスタ東鷲宮SC」内に出店しました。ベスタ東鷲宮SCの概要は以下の通り。

004 ベスタ東鷲宮SCは、①所在地-埼玉県北葛飾郡鷲宮町桜田2-6-1、②敷地面積-約25000㎡≒7526坪、③SC全体計・店舗面積7935㎡≒2400坪、④SC店舗構成-食品スーパー・ベルク、ファッションセンターしまむら、ドラッグストア セキ薬ケーヨーディツーHCの4店構成、⑤核店舗である食品SM・ベルクベスタ東鷲宮店は、売場面積約700坪、初年度目標約14.5億円。⑥競争店-半径約1km内にあるダイエー東鷲宮店。しまむらは、これも食品スーパー・ベルクが核店舗の幸手北モール(埼玉県幸手市)にも出店しています。しまむらは、埼玉県の有力食品スーパー・ヤオコー、そして、ベルク、この2食品スーパーが核店舗として開発されたNSCには積極的に出店をしています。

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■ファッションセンターしまむら・ベスタ東鷲宮店は最新の標準店舗型です。店舗建物、設備、外装・ファッサード、売場レイアウト・売場構成、売場づくりと陳列演出、品揃えなど、すべて「しまむら最新標準店舗型仕様」です。したがって、初年度売上目標も約3億円から3億5000万円あたりを設定しているのではないかと思われますが、商圏と店舗立地環境を見ると、いくつかの問題点があり、目標売上高確保に苦労するのではないかと思われます。その理由は、①店から半径1km内の足元商圏人口が少ないこと(店の立地は、いわゆる、田んぼの中で、周辺に分譲住宅地はあるものの居住人口戸数はまだ少ない)、②鷲宮町の人口は34065人、12239世帯(2008.4.1時点)であること、この2点です。

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■ファッションセンターしまむら・ベスタ東鷲宮店が初年度売上高3億円を確保するのに苦労するかもしれないと考えた計算根拠は以下の通り。(仮に、対象商圏人口・世帯数を、鷲宮町の全世帯12239世帯とすると、ディリーファッションストアが対象にできる衣料品及び衣料関連の年間需要額推計は、(1世帯当り衣料品及び衣料関連年間消費支出額・約20万円×商圏人口世帯数12239世帯)≒24億5千万円、(この商圏内年間需要額で、年間売上高3億円を確保するには、対象商圏内売上シェア12.2%を確保しなければなりません。これは、しまむらの力をもってすれば、簡単に達成できるように見えます。()しかし、そこで、引っかかるのは、核店舗である食品SMベルク・ベスタ東鷲宮店の初年度売上高目標が約14.5億円と低い設定であることです。これから考えられることは、一次商圏人口を厳しい見方で設定しているのではないか(7000世帯は見込んでいないのではないか)と思われることです。これはあくまでも推測です。しかし、ベースとなる対象商圏人口(世帯数)が減れば、対象にできる年間需要額も減り、逆に、売上確保のためには商圏エリア内売上シェアを上げる必要があり、前述した、12.2%以上の数値になるからです。(対象商圏人口を7000世帯とすると、衣料品及び衣料関連の年間需要額は、20万円×7000世帯≒14億円、しまむらが初年度売上3億円を達成するには、売上シェア約21.4%を確保しなければなりません。この売上シェアを初年度で奪取するのは決して容易なことではありません)

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■以上(a~c)の理由から、ファッションセンターしまむら・ベスタ東鷲宮店は、初年度売上高、2億8000万円~3億円を確保できれはいいほうだろうと思います。(しかし、しまむらの商店経営コストの低さ(販管費率21.2%以下)を考えますと、この数値でも初年度店舗段階税前利益を出すかもしれません)。ファッションセンターしまむらが目指す対象商圏エリア内売上シェアは基本的に30%と言われていますが、出店初年度からその売上シェアを確保できた店は意外に少ないのではないかと思います。それに、こんなことを言うと、しまむらさんに怒られそうですが、売場面積350坪で、初年度年間坪当り売上高80万円以上を確保した店舗数も、東京都、横浜市など大都市部を除くと、それほど多くはなさそうです。というようなことを考えまして、しまむらベスタ東鷲宮店の初年度売上高を、2億8000万円~3億円以内であろうと推測したわけです。(この推測値が当るかどうかは分かりませんが、「当らずと言えども遠からず」の数字ではないかと思っています。果たして、1年後の売上数字がどうなったか、かなわぬことですが、できるものなら見てみたいものです)       

 「ファッションセンターしまむら・ベスタ東鷲宮店」   完

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業界動向:ディリーファッションストア 勝負月・12月 第3週のセールチラシ

■12月・第3週のセールチラシも「値下げ」と「割引き」で強烈な「安さ訴求」型

12_01412月・第3週のセールチラシも引き続き強烈な「安さ訴求型チラシ」が打ち込まれています。世界的大不況突入、景気回復の先行きも見えない暗く厳しい時代と言われている「今」ですが、それを反映するかのように、セールチラシも一段と激しい「低価格訴求、安さ訴求型」になってきています。おそらく、この傾向は当分の間、少なくとも、この先、2年間は続くのではないかと多くのエコノミストが予測しています。しかし、だからといって、縮こまっているだけではますます「縮小均衡」に陥るだけです。こんな時代だからこそ、攻撃的なセールチラシで集客アップ、売上アップをはかる、そういう積極果敢な攻めの経営が必要なのではと思います。

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■体験的「売れるセールチラシづくり」論

ディリーファッションストア大手、ファッションセンターしまむら、パシオス、あかのれん、サミットコルモ4社が、量販衣料品店の勝負月・12月に打ち込んだセールチラシには多くの共通点があるように思います。また、彼らがいかに真剣に「売れるセールチラシづくり」に取り組んでいるかも見えてきます。体験的にも共感するといいますか、よく分かる点が沢山あります。そのいくつかを「体験的・売れるチラシづくり論」として箇条書きにしてみました。なんかのヒントにでもなれば幸いです。

「必ず売れるチラシ販促セールにしてみせる」という強い意志を持って取り組めば「売れるチラシ」ができる。逆に言うと、いい加減な気持ちでつくったチラシ販促企画は「売れなくて当り前」。

十分な前準備(チラシ販促企画づくりに真剣に取り組み、じっくり練り上げた企画。そして、必死の「お値打ちセール商品探し」)をやったチラシ販促セールなら必ず売れる。「どうせ売れない、効き目が無い」と最初から思ってつくったならば「売れないチラシ」ができる。効き目の無いチラシは「お金を捨てている」のと同じ。コスト意識の無い商品担当者、販促担当者が「売れないチラシ」を乱発する。そのセールチラシの「効き目(→売れるかどうか)」は、それをつくった人々の真剣さと熱意の度合いで決まる。

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チラシ掲載商品設定とその売価設定を商品仕入担当者任せにしないこと。「いい加減な仕入担当者」は決して少なくない。「スペース割当てがあったから、とりあえずチラシ原稿を提出しておこう」というケースが案外多いもの。チラシ掲載商品が「本当にお値打ち品で、セールで完売できる」とは考えていない。仕入担当者にとって「商品集めにそれほど努力も苦労も必要ない、彼らにとって都合のよいものばかり」提出される危険がある。各仕入担当者から提出された「チラシ掲載商品とその売価」の評価判断、そして、掲載合格基準を厳しく。これをしないと「効き目抜群のセールチラシ」は絶対できない。

12_008チラシセール掲載商品決定に対する商品部長の「評価判断力、取捨選択眼」が最も大事。とくに、超目玉品の商品品質とその売価設定は、商品部長が決裁・指示すること。一番いいのは、経営トップがすべてのチラシ掲載商品に眼を通し、その品質、売価を評価判断し、チラシ掲載の合否を決めること。

チラシづくり(チラシタイトルコピー、チラシデザイン・レイアウト、商品の打ち出し方、スペース配分など)を印刷屋任せにしないこと。彼らは「商品の売り方、見せ方、商品の品質の良し悪し、売価の高い安いの判断基準」をそれほど分かっているわけではない。チラシに何をどう表現・訴求するかは、何を売りたいかがよく分かっている自店=小売店が決め、印刷屋に詳細に指示すること。

セールチラシのタイトル名の表現は、「分かりやすく、単純明快に、やや激しく」。響きのいい、きれいなタイトル名ほど効き目が無い。チラシのタイトルコピー表現は、「大きく、大胆に、目立つ」ことが大事。

ディリーファッションストア大手4社が12月・第1週~第3週に打ったチラシを見てきて、以上のようなことを感じました。12月は、あと、第4週と第5週が残っています。大手4社は、この2週にどんなセールチラシを打ち込んでくるのでしょうか、興味津々というところです。

  完

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業界動向:主要GMS7社の「衣料部門の売上高構成比」を見る

■主要GMS・7社の平成20年2月期の衣料部門の売上高構成比

ずいぶん前から、GMSの衣料部門売上高及び売上構成比の減少が言われていますが、依然として、それに歯止めがかからないようです。いまや、GMSは食品部門の売上高及び売上高構成比が他部門(衣料、住居部門)より圧倒的に高く、「GMSというより食品スーパーマーケット」と言ってもいいくらいの商品部門別売上構成になっています。ちなみに、主要GMS・7社の平成20年2月期における衣料部門の売上高構成比は以下のとおり。

          衣料売上高構成比    食品売上高構成比

①イオン----------20.3%-----------55.8%

②イトーヨーカ堂----23.1%-----------55.7%

③ユニー----------20.2%-----------59.9%

④ダイエー---------16.8%-----------65.9%

⑤イズミ-----------28.9%-----------56.2%

⑥平和堂----------20.5%-----------62.6%

⑦イズミヤ---------18.7%-----------60.0%

かって、多くのGMSは、粗利益率の高い衣料部門の売上高構成比が30%以上と高く、それがGMSの利益を支えていたものです。しかし、それはもう昔話になってしまったようです。一方で、GMSの衣料部門の売上を奪うかのように、ディリーファッションストアのファッションセンターしまむら、パシオス、サンキ、あかのれん、サミットコルモや、そして、量販衣料品専門店チェーンのユニクロ、ハニーズ、西松屋チェーンなどが売上高を急速に伸ばしてきました。GMSはもう衣料部門の年間売上高第一位の地位を守りきれなくなっています。

GMSには 、ますます激化している「強力な食品SMチェーンとの厳しい戦い」に負けたら何が残るのだろう。

いまでは一昔前の話になってしまいますが、かつて、イトーヨーカ堂は「衣料のイトーヨーカ堂」といわれるくらい衣料が強かったものです。そのことを覚えている小売業界人も少なくなってしまいましたが、それにしてもここまでGMSの衣料部門が弱体化すると考えた人はそんなにいなかったように思います。なぜ、GMSの衣料部門がこんなに衰退してしまうことになったのか、その原因はいままでにいろいろ言われてきてはいますが、もう一度、深く問い詰めておく必要がありそうです。そうすれば、きっと、GMSの努力に何が欠けていたかが見えてくるはずです。そして、同じ轍を踏むことのないようにしたいものです。

002別表は、イトーヨーカ堂の過去5年間、2004年2月期~2008年2月期の商品部門別売上高と売上構成比の推移をまとめたものです。衣料部門の衰退していく姿がはっきり見て取れます。急激な右下がり傾向のグラフを見ていますと、さらに衰退するのではないかと思われます。なんと、2004年2月期から2008年2月期の5年間で、衣料部門の年間売上高を約642億円も落としています。これは驚くべき数字と言ってもいいのではないでしょうか。しかし、その減退した数字の原因を、ただ単に、衣料品の消費そのものが減ったことに求めるのではなく、それだけ大きく空いた穴を誰かが埋めているかもしれないと考えることも忘れてはなりません。それは、ユニクロかもしれませんし、ファッションセンターしまむらなのかもしれないからです。

◆◆◆ たまには、「インパクトのあるチラシを打つ」のも一手② ◆◆◆

今年も残り少なくなりました。依然として、衣料品の売上は「前年割れ」の店が多く、伸び悩んでいますが、じっとしているだけでは何も良くなることはありません。ファッションセンターしまむら、ユニクロの果敢な攻め方、攻撃的なチラシ攻勢を見習うべきではないかと思います。「攻撃は最大の防御」ともいいます。「縮こまるよりは打って出る作戦」をとったほうがいい時代だと思います。

052 1月の初売りセール後には、冬物処分セールが展開されることでしょうが、今、消費者を動かすのに最も効果のある言葉は「値下げ」だと言う人がいます。ここに一つの事例としてあげたチラシはには「値下げ」という言葉こそ使われていませんが、チラシのタイトルを見れば、一目で、「見切り、値下げ」が頭に浮かびます。タイミングさえうまく掴まえれば、こういう激しい表現でのセールチラシの方が効き目がある時代ではないかと思います。チラシサイズはB3サイズ、カラーは2色(黄色+黒色)。表面には、カテゴリー限定で3割引き~4割引きを、裏面には、超目玉価格品+単品の値下げ表現(○○○○円を○○○円に値下げなど)で。「倉庫一掃」のタイトルコピーは年に何回も使ってはダメですが、冬物の切り上げ時、夏物の切り上げ時、この2回ぐらいは打ってもいいタイトルではないでしょうか。いずれにせよ、一見すれば何を言いたいかがスグ分かるチラシセールを打ち出すのがベターなようです。あまり上品に構えたチラシ表現は効き目がありません。

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今、重要なのは「集客」です。それにはチラシが最も効果的です。強烈なチラシを打って「まず、来店客数を増やす」ことを最優先に考える必要があります。なんといっても、お客が店に来てくれないことには話しにならないからです。来店客数増→買上客数増→買上点数増→買上客単価増→売上高増という流れに持っていくわけです。いくら品揃えが良くても、お値打ち品が安く品揃えされていたとしても、それがいきるのはお客が店に来てからの話です。もちろん、買上打率を上げ、買上点数を上げるための「売りの仕掛け」はしっかりやっておかねばなりません。しかし、それもこれも、「まず、来店客数を増やす」ことができなければ絵に描いた餅になってしまうということです。「たまには、インパクトのある強烈な表現のセールチラシ」を打ってみるのもいいのではないでしょうか。  

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業界動向:ディリーファッションストア-勝負月・12月 第2週のセールチラシ

■「ファッションセンターしまむら」と「ユニクロ」が量販衣料の価格主導権を握る

「高品質+低価格(=良いモノをより安く売る)」路線を強力に押し進めるファッションセンターしまむらですが、その作戦が成功軌道にのっているようです。①「月別客数前年比(伸率)」と、②「月別客単価前年比(伸率)」を時系列で見れば、その成果がはっきり見て取れます。

002別表は、ファッションセンターしまむらの、2007年3月~2008年11月における、①月別客数前年比伸率と、②月別客単価前年比伸率(赤色折線グラフ) の推移グラフ。注目すべきところは2008年9月からの大きな二つの変化、(a)月別客数前年比伸率が「前年を上回る」数字になってきたことと、(b)客単価前年伸率が「前年割れ」していること。低価格政策→「安さの訴求」をセールチラシ本数増などで強力に押し進めた結果、前年を上回る「客数増」があったものの(出店による客数増も含む)、安売りにより1品平均売価単価が低下、それが客単価の低下につながった姿が見えます。

先に、「成功軌道にのりつつある」と言いましたが、それは、まだ「買上点数増」が加わっていないからです。低価格政策(より安く売る)を強力に押し進め、1品平均売価単価は低下したが、買上点数が増加し、買上客単価も上昇、売上高も前年を上回った、こういう形になればベストと考えているからです。しかし、力のある「ファッションセンターしまむら」のことですから、いずれ近いうちにそのベストの形に持っていくことでしょう。

■12月・第2週も、前週に引き続き「強烈な低価格訴求型チラシ」が打ち込まれる

012 ファッションセンターしまむらは、前週と同じセールタイトルコピー「最強の良質低価セール」ですが、チラシサイズをB2サイズにして、今週はその「決定版」をうたっています。(これはその「表面・半面」)。チラシの構成は、これも常設化した、50円、150円の超目玉品と、カテゴリー限定・「さらにレジにて40%OFF」の組み立てで、強烈に「安さ」を打ち出しています。おそらく、年内はこのタイトルを打ち続けるのではないかと思われますが、お客には、「しまむらの安さ」がますます浸透していくような気がします。価格戦略を決める上で最も影響が大きなものは、なんといっても、競争相手がいくらで売っているか(=「競争価格」)ですが、同業他社のディリーファッションストアだけでなく、GMSも、専門店も、その対応に相当苦労することになるのでしょう。「売っているモノがしまむらとは違う」とはいえ、百貨店も、この、しまむらの激しい「低価格政策、割引きと値下げの”安売り攻勢”」、そして、ユニクロと、外国勢、H&M、ZARAなどの強力な「高品質+低価格」競争に巻き込まれ、至急、なんらかの対応策を打たないと、さらに、「売上前年割れ」が続くかもしれません。

006■サミットコルモも、しまむら同様、前週と引き続き同じセールタイトル、「大感謝セール」でやっています。チラシの構成で、第1週とちがうところは、前週の「割引き」部分が、今週は「半額」に変わったところでしょうか。低価格・安さ訴求型の打ち出しに変わりはありませんが、チラシのデザイン、レイアウト、カラー使い、文字・字体使いが、「ややマンネリ化」しているようで、ちょっと気になります。掲載商品の価格をよく見れば、確かに「安い」のですが、パッと見て、「前週とどこが違うの?」と感じるお客もいるかもしれません。チラシにもう少し変化があってもいいのではと思うのですが・・・・・・。

007■「あかのれん」の今週のチラシは、第一週と比べると、かなり強烈な低価格訴求型です。表面は、50円、100円、200円、300円の超目玉品と、カテゴリー限定の「限割45%引」の組み立てで「安さ」を前面に打ち出しています。裏面も、500円均一、700円均一、900円均一と、すべて1000円以下の打ち出しで、12月・第2週に勝負をかける強い意気込みが感じられます。「あかのれん」は、東海・中京地区では老舗で、最強の量販衣料品店チェーンでもありますが、この「低価格・安売り攻勢」には、周辺のGMSもその対応に苦労するかもしれません。「あかのれん」が量販衣料の価格主導権を握りつつあるからです。

003 ■GMS、イトーヨーカ堂も、第一週よりさらに強力なセールを展開しています。「防寒衣料 現金30%キャッシュバック」の打ち出しが強烈ですが、こままでやれる店は他に無いでしょう。先に述べていますが、「今」、量販衣料の価格主導権を握っているのは、ユニクロフと、ファッションセンターしまむらの2社ですが、イトーヨーカ堂も負けていません。長い間、GMSの苦戦が続いていますが、それはそれとして、「勝負する時には勝負する」というイトーヨーカ堂の意地といいますか、強い意志、闘争心を感じます。GMSの何社かが、かれらの開発商品・PB商品を中心に4桁の品目数の値下げを発表しましたが、低価格競争はさらに激化していくものと思われます。ずいぶん前のことですが、厳しい競争を「カットスロート・コンペティション」(喉を掻っ切るような厳しい競争)と言った人がいますが、現在の競争はそれ以上に厳しく、「命をすり減らす戦い」の様相を呈しています。少しも気を緩めることができない時代ですが、体力と知恵の限りを尽くして頑張りたいものです。

「ディリーファッションストア-勝負月・12月 第2週のセールチラシ」  完

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ディリーファッショントスアの「値下げ率」

衣料品をやっている限り、「見切り」がある。

■「値下げ」というのは、ある意味で必要悪だ。値下率ゼロがよいとは限らない。それは不可能だ。値下率の適正値は4%~5%程度ではないかと考えている。

これは、ディリーファッションストア大手の”ある経営トップ”の言葉です。世界的金融危機とそれが引き起こした経済大混乱、そして不況突入、著しい消費低迷、この大変厳しい経済環境下で、多くの量販衣料品店が「売上低迷」、「売上不振」に苦しんでいます。さらに、季節の変化、ファッショントレンドの変化、商品寿命の短サイクル化などもあり、衣料品商売のリスクはなお一層、拡大され、商品回転が悪化、同時に、「値下げ」も増大しています。まさに、三重苦、四重苦といってもいい状況ですが、はたして、ディリーファッションストアの商品経営はどうなっているのか、とくに、「値下げ」に焦点を当て、その実態を分析してみると、いくつかのことが見えてきました。

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別表は、大手GMS・3社と「ファッションセンターしまむら」の、①ロス率(値下率+不明ロス率)、②年間商品回転率(数)を、各社の年度別決算資料から抜粋、まとめたものです。見てお分かりの通り、GMS・3社、イオン、ユニー、イズミ、いずれも年間商品回転率は6回以下と低速回転、そして、年間値下率は、イオン18.6%(2007/2)、21.3%(2008/2)、ユニー→17.9%、17.9%、イズミ→9.9%、10.4%となっています。これはGMSの衣料品商品経営が大変苦しい状況に陥っていることを物語っています。それに比べ、ディリーファッションストア最大・最強の「ファッションセンターしまむら」は、年間商品回転率約10回、値下率約8%で、ともにGMS3社よりはるかに「いい数字」です。(しまむらのデータの年度がGMS・3社と異なっていますが、2008年もこれに近い実績数値をあげていると推測しています

他のいくつかのディリーファッションストアの数字も調べてみましたが、「しまむら」と同レベルの数字をあげている店は無さそうです。しかし、年間商品回転率は悪くても6回、多くは7~8回、そして、年間値下率は12%~14%というところで、ここにあげたGMS・3社とファッションセンターしまむらのちょうど中間あたりの数字が多く見られました。すくなくとも、ディリーファッションストアの方が、GMS衣料部門よりも高い商品効率と商品生産性をあげていると言えるのではないかと思われます。

先にあげた”経営トップ”は、「値下げをできるだけ減らすためにやるべきこと」として、こうも言っています。

■売上のPOSデータを見ながら、売れ残った商品の値下げのタイミングを適切におこなうこと。

■売れない商品を自分で処分する方法は2つしかない。

 一つは、できるだけ早く売れる価格に下げること。

 もう一つは、売れない店から売れる店に商品を移すこと。

■売れ残りを最後まで持ち越すのは困るから、初期の段階でいかに売るかを考える。最後まで持ち越せば半値でも売れないものが、初期だったら1割の値下げで売れるかもしれない。

「在庫過剰」、「低い商品回転」、そして、「大きな値下げ」、この3つはディリーファッションストアの商品経営の「3大悪」です。なんとしてもこの3大悪を排除しなければなりません。その努力を怠れば、今の厳しい経済環境下では、商品回転も、そして、値下率もさらに悪化の一途を辿ることになります。そうなれば「衣料品の商品経営」は間違いなく破綻することでしょう。商品経営への真剣な取り組み、必死の努力と頑張り、そうしないと「生き残れない時代」にあることを決して忘れないようにしたいものです。

★★「インパクトのあるチラシ」を打つのも一手★★

いままで集めたチラシの中から、「これはインパクトがあるチラシ」をいくつか載せておこうと思います。効き目は実験済みのものですが、なにかのヒントになれば、そして、少しでもお役に立てれば幸いです。

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かなり強烈なチラシ(B4サイズ・2色・表面)ですが、効き目は実験済みです。3年に1回ぐらいしか打てないようなチラシですが、お客さんはハッとするかもしれません。チラシ裏面も、100円、190円、300円、そして、カテゴリー限定の「さらにレジにて○割引き」などで構成。集客力強化。30円、50円の超目玉品集めには相当苦労するかもしれませんが、1品目1店当りの投入数量は「ファッションセンターしまむら」と同じ程度。1店当りチラシ散布枚数は20000枚~25000枚。仕入担当者は厳しい価格のものばかりですから、きっと「商品集めを嫌がる」ことでしようが、そこのところはビジネスとして乗り越える。商品集めに汗を流し、真剣に取り組んだチラシセールには、必ず、お客さんも買いに来てくれると信じてやることです。これはすべてのセールに言えることでもありますが、このチラシは、なかでも「ここ一番」というときに打つチラシだからです。一度、こういうタイプのチラシを打ってみるのもいいのでは・・・・。もう一つ、これも効果があったチラシを載せておきます。

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こちらのチラシは(B4・2色・表面)。裏面は、値下げした価格(数字)と、さらに○割引き、この組み合わせで、基本的にチラシ両面とも「文字だけ」で構成(背景に各売場写真を組み合わせるのも効果的)。これも先にあげたチラシと同様、夏と冬の見切り時に1回づつ、2年間に一度、くらいの間をおいてやるチラシ。暖冬時、冷夏時ならタイミングよく打てばその効果は大。ここにあげた二つのチラシは「元気づけ」と「異常値売上づくり」(1日~2日だけ、平常時の2倍から3倍の売上をつくる)に大変、効果のあったもののなかからとりあげたものです。効果大のチラシはまだまだありますが、こういうタイプのチラシが、消費低迷、売上低迷の時には「効き目がある」と言いたいわけです。「ちょっと激しすぎるかな、えげつないかな」と思われるくらい強烈さのあるチラシセールもたまには打ってみるべきでしょう。きっと「だらだら値下げ」も減らすこともできると思います。

ディリーファッションストアの「値下率」  完

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チラシ販促:ディリーファッションストア 勝負月12月・第1週のセールチラシを見る

■「低価格-超目玉価格品+割引き」セールチラシで各社とも「安さを強調」

001_3 1年間で最も重要な勝負月である12月・第一週におけるディリーファッションストア大手4社のセールチラシを横に並べて見比べてみましょう。各社のチラシで共通している点は「安さを強調」しているところです。 「50円、100円などの超低価格・超目玉品」と「さらにレジにて○割引き」、この二つを組み合わせたタイプのセールチラシが多く、それで、集客力アップ、売上アップを狙っています。セールのメインタイトルコピーは、①しまむら→「今年最強の良質低価セール!!」、②パシオス→「60周年冬の祭典 6割引 4割引」、③サミッコルモ・コルモピア→「冬物処分大感謝セール」、④あかのれん→「創業90周年・冬本番」と、各社とも”総花型タイトル”ですが、チラシは、かなり強烈な低価格訴求型のセールタイトルコピー、デザイン・レイアウト、カラー使い、になっています。安さの競争、値下げ競争が一段と激しさを増してきているように思われます。この12月という勝負月で、しっかり売上を確保し、なんとしてもうまく乗り切っていこうという各社の強い意志を感じます。

005_2■ディリーファッションストア大手4社の12月・第1週におけるセール展開は、各社とも、まるで足並みを揃えたかのように、12月3日を初日とし、チラシサイズもB2サイズと大型のチラシを打ち込んでいます。水曜日立ち上げですが、12月は、月初めから強烈なセールチラシで「とばしていく」、「売上を獲りに行く」、という考え方も皆一緒のようです。今年は各社ともに既存店月別売上高「前年割れ」の月数が多く、年間売上高前年比(伸び率)も「前年割れ」になるところがほとんどだろうと推測されますが、この勝負月・12月では、低価格訴求を前面に打ち出し、必死の戦い、真剣勝負をしていることが見て取れます。「企業体力消耗戦」の様相も呈していますが、ここは、何とかその厳しさに耐え、それを乗り切っていくしか道は無いようにも思われます。景気低迷、迫りくる大不況の暗雲、著しい消費低迷、こういった時代には、低価格競争、より安く売る競争、この競争から逃げることはできません。ディリーファッションストアだけでなく、百貨店、食品スーパーマーケット、専門店、そして、国際的有名高級ブランド品までもが「値下げ」と低価格を打ち出している時代に突入しているからです。

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■ユニクロ、11月の既存店月別売上高前年比伸び率132.2%で「一人勝ち」!!

ユニクロの2008年11月の既存店666店の月別売上高前年比(伸び率)132.2%、客数前年比125.7%、客単価105.2%、この数字には、ほとんどの小売企業は驚いたというか、衝撃を受けたのではないでしょうか。前年同月の既存店610店の売上高前年比も103.2%ですから、なおさらのことです。「ユニクロ・一人勝ち」の背景にあるものは何かをよくよく考える必要がありそうです。

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ユニクロの強さは、①「高品質+低価格」、②「ベーシックカジュアル」、③「明確な”モノつくりコンセプト”」、この3点であると言われています。ディリーファッションストアも、これら3つのうちの少なくとも2つ、①と②は、その品揃えに組み込んでいかねばならなくなるだろうと考えられます。①、②どちらも、そう簡単にできることではありませんが、「ただ安いだけでは売れない時代」ですから、「それは出来ない。無理な相談だ」と言って逃げられることでもなさそうです。真摯な取り組みが求められます。それができないところの「先行きは決して明るくない」ように思われます。厳しい言い方ですが、「今」という時代は、そういう時代と考えたほうが正しい時代認識だと思うのですが・・・・・・・。

GMSも、負けじと「低価格訴求」、「安さを強調」

GMSもここにきて、かなり強烈な低価格訴求型セールチラシで「徹底して安さを強調」しています。「GMS不要論」、「GMSの社会的役目は終わった論」が小売業界の一部では囁かれていますが、そうはならじと、GMSも生死を賭けた必死の戦いを展開しているのが最近の彼らのセールチラシを見ただけでもよく分かります。

009 次にあげるチラシも、その「必死の戦い」の具体的事例の一つですが、GMSもここまでやるということです。先に、企業体力消耗戦と言いましたが、体力の弱い企業は、この体力消耗戦に耐えられず、否応無く、競争戦線から脱落し、衰滅の道を辿っていくことになるでしよう。年間で最も重要な月、勝負月でもあるこの12月に、GMSがどんな考えで商売に取り組んでいるのか、ここもよく見ていかねばなりません。今まで、当方は、「ディリーファッションストアの競争相手はディリーファッションストア」と言ってきました。しかし、現在、展開されている、業態、業種に関係なく全ての小売企業を巻き込んだ「低価格競争、安売り競争」の様相を見ていますと、「今は、全ての小売店が自店の競争相手だと」考えたほうがよい言ったほうがよさそうです。GMSだけでなく、ウォルマート傘下の「西友」も、極めて挑戦的なセールチラシを打ち出し、これからの戦いに挑む姿勢を見せています。この動きも見逃すことはできません。なんといっても、年商41兆円を超える世界最大・最強のウォルマートがその後ろに控えているからです。

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今日、現在は12月5日ですが、まだ、12月は始まったばかりです。12月31日まで、残り26日ありますが、ディリーファッションストア、GMS直営衣料部門、食品スーパー・直営衣料部門、そして、衣料専門店各社がどのようなセールを展開してくるのか、とても興味があります。年末に近づくほど、さらに強烈な低価格訴求型のチラシが打ち出されるような気がするからです。ディリーファッションストア大手4社が12月第1週に展開したセールチラシを見て、あれこれ考えたことを簡単にまとめてみましたが、小売業界にいる方々は、どう考えているのか、どんな政策を打ち出してくるのか、大いに関心を持ちながら、小売店各社のこの12月商戦をじっくり見つめていこうと考えています。

「ディリーファッションストア 勝負月・12月第1週のセールチラシを見る」   完

 

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