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チラシ販促:しまむら10月のチラシ販促セール。低価格路線の再強化策が奏功。

■しまむら10月の既存店月別売上前年比99.1%。もう一歩で「前年割れ」脱出!

ファッションセンターしまむらの既存店月別売上高前年比・上期計は95.5%と「前年割れ」でした。下期に入っても、第三四半期、9月(前年比98.7%)、10月(99.1%)と「前年割れ」が2ヶ月続いています。下期の既存店売上高前年比伸び率も、相当、厳しそうだと思わせるとても「重い足どり」です。しかし、10月の実績、既存店月別売上高前年比99.1%という数字は、「前年割れ」とはいえ、しまむらが10月にとった「低価格路線への原点回帰、再強化策」が奏功した結果と考えられます。したがって、下期も厳しい状況が続くという見方はまだまだ捨て切れませんが、一方では、それほど悲観的に考えることもないという見方もできるかもしれません。しまむらの「底力」は、並みの企業とちがい、ここぞという時には、もの凄いパワーを発揮するからです。

■10月のセールチラシに見る「超目玉品・超低価格品」→強烈な低価格訴求

1026_009 確か、昨年の前半であったと思うのですが、「来期は、①レジにて○○割引き、②超低価格目玉品、この①、②は、チラシ販促セールへの掲載を極力、抑えていく」という主旨の発表をしていたような記憶があります(うろ覚えで、ちょっと自信がないのですが・・・・・)。しかし、そういった考えとは別に、今期・上期は、既存店月別売上高の「前年割れ月」が多発しました。4月(96.8%)、5月(91.0%)、6月(90.6%)、8月(93.2%)と、ほぼ連続しておきたわけです。そして、10月26日付けの日経MJ新聞に、「しまむら-安売り徹底に回帰」の記事が載りました。そこには、しまむらが「低価格訴求路線を一段と強化」し、レジでの割り引き打ち出しも再開、チラシ販促セールも、その回数も含めて、より強化する旨のことが書かれていました。

そこで、しまむらの08年10月と9月のチラシを比較し、実際どうなっているのか調べてみました。調べたのは、①さらにレジにて40%OFFの掲載商品名と掲載本数、②売価単価50円、90円、150円、190円の超低価格品・目玉品の掲載商品名とその掲載本数、この2点です。結果は以下の通り。

              10月チラシ   9月チラシ

さらにレジにて40%OFF   12本       10本

50円             4本        1本

90円            10本        1本

100円           ・・・・         4本

150円            2本        ・・・・

190円           22本       18本

小計              50本       34本

見ての通り、10月は、9月よりも超低価格品・目玉品の掲載本数が多くなっています。「低価格訴求路線の一段の強化」、「超低価格品・超目玉品の掲載」、「さらにレジにて割引き」の再開、これらを、しまむらは宣言どおり実行しているわけです。そして、その作戦が奏功し、10月の既存店月別売上高前年比99.1%、もう一歩で「前年割れ」脱出というところまで追い上げてきたということになります。やはり、「しまむらの強さ、恐るべし」ということになるでしょうか・・・・・・。

1026_014_2

10月、9月のチラシに掲載された、①さらにレジにて40%OFFの商品名と、②超低価格目玉品50円・90円の商品名は、ここに書き綴ると長くなるので、残念ながら、書きとめられません。(是非、ご自身で詳細な調査されることをおすすめいたします)。それらの掲載品目名と、1店当り投入限定数量、お客1人当り限定買上点数など、しまむらが本当によく考え抜いた末に打ち出していることが分かるはずです。そして、じっくり考えれば、それらの商品のチラシ掲載は、「しまむらにしかできない」というものでもないことが見えてくると思います。そこのところをしっかり見抜いてほしいものです。

■10月のチラシセール回数は前年・2007年の10月と同本数だが、その中身と表現は、今年の方が「断然、激しい」

現時点は、27日ですので、10月はあと4日残っています。10月、しまむらが、いままでに打ったチラシセール本数は5本ですが、おそらく29日か、30日にもう1本チラシを入れると考えて、昨年10月と同本数と推測しています。

1026_002(表-1)は、しまむらの、2008年10月と、2007年10月のチラシセール打ち込み日、チラシサイズ、チラシのメインタイトルコピー等の比較表です。(これでは細かすぎて読み取れないかもしれません。クリックすれば拡大できます

しまむらの10月のセールチラシを調査分析してみて、「しまむらが本腰を入れてきているな」と強く感じました。おそらく、これから先、既存店月別売上高の「前年割れ月」が激減するような気がします。しまむらの「やる気」と「真剣な取り組み」をひしひしと感じるからです。ここは、彼らがどんな手を打ってくるか、じっくり見ながら、いただくものはいただくという考えで、分析・研究するのが賢い対応と言えるでしょう。

「しまむらの10月・チラシ販促セール。低価格路線の再強化策が奏功」  完

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辛口一言:低価格競争時代における「セールチラシづくり」で忘れてはならないこと

低価格競争時代における「チラシ販促セールづくり」で忘れてはならないこと

世界的金融危機と経済混乱、景気低迷、忍びよる不況、消費低迷。流通小売業は、一段と厳しい低価格競争時代に突入。各小売企業は、なんとかして売上減を食い止めようと必死である。彼らは、集客と売上確保のために「あらゆる販促対策」を打ち出している。そのなかで、「チラシ販促セール」は最も重要なものの一つだが、不況、消費低迷下、厳しい低価格競争時代における「チラシ販促セールづくりで忘れてはならないこと」を、経験則もまじえて考えてみたい。そこに、「チラシ販促セールの成功法則」が見えるかもしれないからです。

経験則(1) チラシ販促セールを効果大とするための原理原則

前準備をしっかり(セール企画をじっくり練りあげる、商品手配に十分な時間を取る)

売場づくりをしっかり(売るための仕掛けづくり、陳列・演出)

売り手の「売る気」、「やる気」を盛り上げる仕掛けづくり

セールの後始末をきちんと(セール後の残品処理まで考えて)

セール後の結果数値の徹底分析と反省・次回セールの改善点考察を必ず行う

経験則(2) チラシ販促セールの目的及び、必ずチェックすべき事項

①入店客数が増えたか(チラシの目的は来店客数を増やし、入店客数を増やすこと)

②買上打率が上がったか(来店客100人当りの買上客数は95%以上か)

③買上客数が増えたか(平日より何人・何%増えたか、前のセールと比べ何人・何%)

④買上点数が増えたか(しまむらの平均買上点数は3.2点。これを超えたか)

⑤平均買上客単価が上がったか(3000円を超えたか)

⑥総売れ数(点数)が増えたか(平日比、土日比、前回のセール比を実数で)

⑦売上が増えたか(平日比、土日比、前回セール比、前年比)

経験則(3) チラシ販促セールには「お金=コスト」がかかっていることを絶対にわすれてはならない。コスト意識が弱いと「詰め」があまくなる。1回のセール販促セールにいくらのお金がかかっているかを全員に必ず毎回、伝えよ。これを徹底しないと「お金をドブに捨てている」ことになる。広告宣伝費率が税引き後純利益率よりも高い小売企業は決して少なくない。

経験則(4) チラシ販促セール後には、商品部門別チラシスペース配分に基づいた経費コスト負担配分を必ず計算し商品部門割り振ること。(このチラシでは、○○部門にはいくらの経費コストがかかっているかを、各チラシごとに計算し、知らしめる)

経験則(5) チラシ掲載商品品目とその売価設定、数量設定を、バイヤー任せにせず、徹底的に吟味する。これを「いい加減」にしておくと、必ず、効き目の無いチラシ販促セールになる。商品部長は、全てに目を通し、掲載品目、売価設定、投入数量、商品品質などについて厳しく事前チェックしておくこと(伝え聞くところでは、ユニクロや、ヤマダ電機では、経営トップが必ずチェックし、評価・判断・決定しているということである。その厳しさが求められる)

経験則(6) 商品仕入担当者から、「お値打ちのある商品が、買いたくなる低価格で」、チラシ掲載品目として提案・提出されると思うな。仕入れ努力を嫌う「怠け者」は決して少なくない。商品部長はこのことを忘れてはならない。

経験則(7) 競争店のチラシ販促セールを徹底的に調査・分析し、有効な対抗策を立てることをサボらないこと(競争店の月別、チラシ別の内容詳細分析。掲載品目、売価、投入数量、売場づくり、売り方、提供方法など)。これを継続しておこなうこと。

経験則(8) チラシ販促セールごとに、必ず、売上数値目標(商品分類別日々売上目標、日々売上目標数量など)を立てる。数値目標設定の無いチラシ販促セールは「経費の無駄遣い」に終わるケースが極めて多い。

経験則(9) チラシ販促セールでは、必ずと言っていいほど、「売れ残り品」が出る。この「セール残品の処理の仕方」を事前に考えておかねばならない。チラシ掲載商品の店別投入数量をよくよく考えて、セール売れ残り品を出来うる限り少なくする努力が必要。これを怠ると、セールごとに「損の山」(いずれ、値下げ処分しなければならない商品の山)を増やしていくことになる。これが「大損」をもたらす。

経験則(10) チラシ販促セールの乱発は「店への信頼感」、とくに、「その店の売価政策に対する信頼感」を著しく損なわせる。チラシ販促セールは、その回数が多ければよい、効き目があるというものではない。

経験則(11) 「売場全品2割引き、3割引きセール」は出来る限り止めよ。勢いづけのためにやるなら、「カテゴリー割引き」にとどめよ。(「売場全品2割引、または、全品3割引ききセール」をやれば売上は上がる。しかし、それに味をしめて、頻繁に行うようになると、お客は「その時しか買わない」ようになる。そして、店の売価政策など考えられなくなる。粗利益の喪失も大きい。こうなったら取り返しがつかない。くれぐれも注意したい)

経験則(12) 売れないチラシ販促セール、客を呼ばないチラシ販促セールが多いと、店・売場の人々の「売る気」、「やる気」を失わせる。これが繰り返されると、チラシ販促セールをやっても店・売場の人々も「力が入らず」、結果として売上など上がらなくなる。そんな状態になっている店が想像以上に多い。よくよく自戒すべき。

経験則(13) 量販衣料品店でチラシ販促セールを月6本~7本も打つところがあるが、じっくり練り上げたチラシ販促セールをしようとすれば、3本が限度。月間チラシセール回数が多くて、バイヤーが原稿提出に追いかけらているようでは「効き目のあるチラシ販促セール」はできない。「その場しのぎ型、なんとなく心配だから打っておこう型」のチラシ販促セールは止めるべき。

経験則(14) チラシの表現(セールタイトルコピー、デザイン、レイアウト、カラー配色など)を「印刷屋まかせ」にしないこと。印刷屋が各小売店の「商品(品揃え)と売場(売場づくり)と客(メインとするターゲット)」のことをよく分かっていると思うな。彼らの提案は受けても、印刷屋に「まる投げ」するのは絶対やってはいけない。「何をどうしたいのか、どう表現訴求したいのか」、これは小売店がしっかり考えねばならないことだ。それを忘れている小売店の販促担当者が思ったより沢山いる。販促担当者の数値責任を厳しく追及している小売店はほんのわずかしかない。商品部長はこのことを忘れてはならない。

経験則(15) 「ただ、安い!、安い!」と訴えるだけのチラシ販促セールに、今のお客はそう簡単にひっかからない。店側よりお客の方が賢いし、厳しい選択眼を持っている。「お値打ち品」がそんなに沢山あるものでないこともよく知っている。こういうお客を相手にしていることを忘れてはならない。「安さ」をうたうなら、そういう「賢いお客」が、なるほどと納得できる説明をつけたチラシ販促セールを打たなければならない。

経験則(16) ディリーファッションストアでは、①ファッションセンターしまむら、②パシオス、③ファッション市場サンキ、④サミットコルモ・コルモピア、⑤あかのれん(名古屋)、⑥ピーエフ(香川・徳島)、そして、次の各社のチラシ、⑦ヨークベニマル、⑧ベイシア、⑨イズミヤスーパーセンターの衣料部門、すくなくとも、これくらいは毎週・毎月・毎年、チェックしておかねばならない。インターネット上でかなりのデータが入手できる時代だ。

毎週、毎週、夥しい数のチラシが撒かれています。それらのチラシを見て、はたして、これらのチラシは、本当に効き目があるのだろうかと思いまして、いままであれこれ見聞きし、自分なりに経験したことを、「チラシ販促セールづくりの経験則」としてまとめてみました。多少なりともお役に立てれば幸いです。

低価格時代における「チラシ販促セールづくり」で忘れてはならないこと  完

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研究会報告:既存店売上高「前年割れ」と売価政策について考える

■既存店売上高「前年割れ」対策としての「売価政策」をどう考えていくべきか

既存店の売上が伸びず、「売上前年割れ月」が多発すると、誰しも、なんとかしてそれを防ぐ有効な手立てはないものかと真剣に考えます。そして、その「売上前年割れ」をなんとしてもくい止めようと、品揃えの見直し、売り方、売場づくりの手直し、売価政策の見直し等に、必死になって取り組まれることと思います。いろいろの改善策が考えられますが、その中の一つである「売価政策」について、ファッションセンターしまむらは、どんな手を打ったのか調べてみました。

005 (表-1)は、ファッションセンターしまむらの「1品単価=1品平均買上売価単価」の年度別推移をグラフ化したものです。1993年の1133円を最高値としますが、それ以降、年々、低下の一途を辿り、2005年には712円にまで落ち込んでいます。そして、今度は、2006年-716円、2007年-728円、2008年-749円と、上昇に転じています。2006年~2008年の間に、しまむらの売価政策になんらかの変化があったことが伺えます。1品平均買上売価単価の上昇値は、2005年→2006年は(716円-712円=)4円、06年→07年は(728円-716円=)12円、07年→08年は(749円-728円=)21円、となっています。この年度別・1品売価単価の上昇値をみて、「なんだ、わずかしか上昇していないではないか」と思われる方がいるかもしれません。しかし、これは、決して、「わずかな上昇」ではありません。

■ファッションセンターしまむらの、2008年2月期・年間買上客数実績は約1億4180万8000人、買上客1人当り買上点数は約3.2点、1点単価749円。

まず、原理原則から考えていくことにしましょう。

(1)売上高=買上客数×平均買上客単価

これは、小売業界人であれば誰もが知っている「一つの売上高の計算式」であることは言うまでもありません。そして、売上高を伸ばすためには、買上客数、平均買上客単価を、同時に上げるか、または、どちらかを上げるか、この二つの道が考えられます。ここで、いくつかの仮説をたてながら、売価政策をどう薦めていくべきかについて考えてみたいと思います。

(仮説1)買上客数が横ばい(前年比100%)、または「前年割れ」の場合、売上を伸ばすためには、「平均買上客単価」を上げるしかない。

(2)平均買上客単価=平均買上点数×1品買上平均売価単価

(仮説2)買上客1人当り平均買上点数が横ばい、または「前年割れ」の場合、平均買上客単価を上げるためには、「1品買上平均売価単価」を上げるしかない。

(3)「1品買上平均売価単価を上げるには、

(仮説3)-(イ) →売価政策を修正し、展開価格帯の上限方向を拡大する。すなわち、いままでやっていなかった一段、上の高い売価ラインを付け足す。(例えば、いままでの上限が2900円だったら、その上の3900円を付け加える)。そして、お客が納得できる「なんらかの付加価値、プラスメリットを付加して」、新たに加えた上限売価ラインの商品が売れるようにする。

(仮説3)-(ロ) →売価政策を全面的に見直し、中心ボリュームプライスラインを従来より高めに設定、同時に全体のプライスポジショニングも一段、上に上げる。

ファッションセンターしまむらの、年度別買上客数の伸び、年度別買上客単価の伸び、年度別1品平均売価単価(しまむらでは1点単価)の推移を時系列に見ていきますと、2006年あたりから、彼らは、(仮説-1)、(仮説-2)、この2つ考えながら、売価政策の一部修正、(仮説-3-イ)やってきたのではないかと思われてしかたありません。

(仮説-3-ロ)をやらなかったのは、「とても危険が大きく、それから先きがまったく読めない」こと、そして、そこまでっやたら、「しまむらではなくなってしまう」と考えたからではないかと思います。

■1品買上平均売価単価を「1円」上げると、ファッションセンターしまむらの売上はいくら増加するかの計算

先に書きましたが、ファッションセンターしまむらの、2008年2月期・約年間買上客数は1億4180万8000人、平均買上点数は3.2点となっています。この数値をもとに以下の計算ができます。

                 2008年度     仮説計算(a)

①買上客数(人)          141808000人    141808000人  

②平均買上点数(点)          3.2点          3.2点

③総買上点数(点)         453785600点    453785600点

④1点買上平均売価単価(円)    749円    750円

⑤年間売上高(億円)        約3399億円     約3403億円

(注:ファッションセンターしまむらの2008年2月期の年間売上高約3467億円とは差がでています)

すなわち、ファッションセンターしまむらは、1品買上平均売価単価が「1円アップ」すると、年間売上が約4億円増えるわけです。売価単価「1円」アップは、決して小さい数字ではないのです。2007年から2008年、この1年間で、その売価単価が(749円-728円=)21円もアップしたわけですから、それは大変な上昇です。かなり売価政策をいじったといいますか、かなりの修正を加えたと考えられるわけです。そして、やったのが、「展開価格帯の上限方向の拡大、もう一段、上のプライスラインを付け足す」ことだったのではないでしようか。それは、間違いだったというわけではありませんが、結果は、あまり芳しくありませんでした。2007年度、2008年度をみると、既存店月別売上高の「前年割れ」が、その前の年よりも、あきらかに増大しているのがみられるからです。

しまむらの「1品買上平均売価単価の推移」を見ながらこんなことを思い巡らしましたが、はたして、本当のところはどうなのでしよう・・・・・。ファッションセンターしまむらは、すでに、「原点回帰、低価格政策をより一層、強力に進める」と発表していますので、これから先の展開、そして、売価政策も、いままでと違ったものになることが考えられます。しまむらの最近のセールチラシをじっくり分析すれば、彼らがどんな売価政策を展開していこうと考えているか、その、一端が「垣間見える」ように思います。ぜひ、詳細な分析をされることをおすすめいたします。

既存店売上高「前年割れ」と売価政策について考える    

       

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研究会報告:「低価格+高品質」競争時代に求められる小売企業の経営コスト構造とは?

①高品質で、②洗練されたファッションセンスの魅力ある商品を、③どこよりも低価格で提供し続けることができる小売企業だけが勝者となれる

優良企業との評価が高い小売企業数社の経営コスト構造を見るため「売上総利益率と販管費率(売上比)」を調べてグラフ化したものが(表-1)です。

002売上総利益率を縦軸、販管費率を横軸にした散布図をつくり、優良企業数社の実績数値をもとにポジショニングしてみますと、「低価格+高品質」競争に最も耐久力のある経営コスト構造をつくりあげていると考えられるのは①「ファッションセンターしまむら」のようです。以下、②西松屋チェーン、③株式会社三喜、④ユニクロの順で、堅固なローコスト経営をやっていることが見て取れます。一方、SPA型の優良企業は売上総利益率が50%超と高いためか、販管費率も40%超と、先にあげた4社(①~④)と比べるとかなり高い数値になっています。(ユニクロもSPA型企業ですが、他のSPA型企業よりかなり低い経営コスト構造をつくりあげています)

008_2

(表-2)は、先の散布図の基礎データ(各社の2008年度決算資料から作成)。SPA型企業の、売上総利益率の高さ、販売管理費率の高さ、そして、経常利益率の高さが目立ちます。それら各社(ハニーズ、ポイント、ユナイテッドアローズ)の、販管費から主要経費科目の売上比経費率を抜き出して見てみますと、多少、ローコスト経営に対する「あまさ」が感じられなくもありません。売上総利益率が高いのだからいいのではないかという見方もあるかもしれませんが、同じSPA型のユニクロよりも販管費率が約12ポイント~16ポイントも高いところがちょっと気になります。そんなに無理せずとも、もっとローコスト経営ができるのではないかと思うのですが、彼らはそのへんについてどう考えているのかとても興味のあるところです。

■「低価格+高品質」競争に耐えられる経営コスト構造の数値的イメージは、(売上比販管費率30%以下(しまむらは21.9%と最も低い)、うち主要販管費経費科目、()売上比人件費率10%~12%、()売上比賃借料費率(家賃など)6%~8%、()売上比宣伝広告費率2%以下。そして、()経常利益率8%以上。

売上比販管費率だけなら、ここにあげた優良小売企業よりももっと低いところがあります。何社かのディスカウントストア、ディスカウント食品スーパー(例えば、ディスカウントストアのPLANT、トライアル、食品スーパーではオーケーなど)があげられますが、経常利益率の低さで、ひっかかってしまいます。

小売企業名      売上比人件費率  売上比賃借料  宣伝広告費率

株式会社しまむら     10.2%          4.7%      2.1%

株式会社 三喜      12.7%          6.1%      1.7%

国内ユニクロ        10.8%          7.9%      4.6%

ユナイテッドアローズ   15.2%          11.9%      1.7%

株式会社ハニーズ     16.0%          12.1%

「低価格+高品質」競争時代に求められる経営コスト構造」についてあれこれ考えてきましたが、厳しい競争に打ち勝ち、生き残っていくには、相当の覚悟と、それこそ、血の出るような真剣な取り組みが求められることでしょう。「ローコスト経営に徹し、かつ、高い経常利益率を確保することができる」小売企業のみが生き残れる、今は、そういう厳しい時代なのだと考えておいたほうがよさそうです。そして、その決め手はなんといっても”人”、優秀な人材だと断言できます。①勉強熱心、②研究熱心、③仕事熱心、④小売業が好き・楽しい、⑤投げ出さない・あきらめない、⑥継続力がある、そして、⑦礼儀をわきまえている、これら七つを充たした人材が企業内に何人いるか、それで勝負が決まるのではないかと考えているのですが・・・・・・。

「低価格+高品質」競争時代に求められる経営コスト構造とは?  完

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研究会報告:「しまむら&ユニクロ」-両社の既存店月別売上高前年比(伸率)推移の比較分析で感じること

■既存店月別売上高前年比(伸率)-ユニクロ順調、しまむら低迷

ファッションセンターしまむらの既存店月別売上高前年比の推移は、今期・上半期が前年比95.5%で「前年割れ」、また、下期の冒頭月・9月も98.7%と苦戦しています。このことは、すでに、業界新聞、業界誌、経済誌などいろいろ報じられていますので、よく知られていることとは思います。しかし、「しまむら低迷」の背景になにがあるのか、そのへんを、微力ながら、当方なりにもうすこし掘り下げておこうと思い、あれこれ資料を集め、分析してみました。

003 (表-1)は、ファッションセンターしまむらとユニクロの既存店月別売上高前年比(伸率)の時系列推移比較グラフです。 期間は2006年3月~2008年9月まで。ユニクロは棒グラフ(縦棒・黒色グラフ)、しまむらは背景黄色・山型グラフで図示。グラフ中に引かれている赤線は前年比100%ライン。両社のグラフを時系列に見ていきますと、①ユニクロの方が、この期間では、前年比100%超の月が、しまむらに比べて多い、②とくに、2007年10月以降は、しまむらの既存店月別売上高「前年割れ」の月数が目立つのに比べ、ユニクロが「前年割れ」した月は、2008年1月(99.1%)、同年4月(97.2%)、この2ヶ月だけです。したがって、既存店の月別売上前年比は、「ユニクロ堅調~順調、そして、しまむら低迷、苦戦」と言えるわけです。(注:ユニクロの2008年7月と9月の既存店売上高前年比が、111.9%、120.8%と二桁の伸びを示しているのは、前年同月が「ひどい前年割れの数字」であったという背景があります

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■ユニクロ順調の背景にあるものは何か?

しまむらは、上期の既存店売上高の不振について、①ガソリンの高騰の影響→景気低迷、不況突入、消費者心理の冷え込み、そして、郊外店の車客減少、②お客を刺激するインパクトのある目だったファッショントレンドが無かった、この二つが大きな原因であると言っています。この見方、原因分析は納得できるものです。しかし、この、しまむらの苦戦とは別に、ユニクロは順調に既存店売上前年比を伸ばしています。そこで、その背景にあるものをすこし掘り下げてみようと思いました。

(表-2)は、ユニクロの最近の出店政策の注目すべき傾向、「大型店の出店数増」に関するものを簡潔にまとめたものです。ユニクロには4つの店舗規模パターンがあり、①小型店(150㎡≒45坪)、②標準店(650㎡≒197坪)、③大型店(1650㎡≒499坪)、④超大型店(3300㎡≒998坪)、この4型に分けています。そして、最近の年間出店店舗総数の約40%が④の大型店になっています。

ユニクロの大型店店舗数→今後3年間で累計100店の出店、大型店戦略積極的推進

2007年8月期までの累計大型店数は28店舗、

2008年8月期の大型店出店数は22店舗(年間出店総数は56店舗)

2009年8月期の大型店出店数見込みは24店舗(年間出店数見込みは54店舗)

2008年3月30日、超大型店「ユニクロ神戸ハーバーランド店」(売面約990坪)出店

2008年5月、超大型店「ユニクロ世田谷千歳台店」(売面約900坪)

このように、ユニクロは大型店を積極的に出店しています。また、これら大型店の出店場所は、都心商業施設、都心路面店が多く見られます(ユニクロは店舗の出店場所分類を、①都心路面、②都心商業施設、③郊外商業施設、④ロードサイド、の4つに分けている)。この、大型店の積極的出店、そして、それら店舗の立地が「都心部」に多いこと、これが、最近のユニクロの順調な売上の伸び(既存店売上高前年比・伸率)の背景にあるものと思われます。郊外店が、ガソリン高騰などで、来店客数大幅減の影響を受けたのに対し、都心部店はその影響が低かったのではないかと考えられるからです。

■ユニクロの売上が順調な「もう一つの理由」

ユニクロの基本コンセプトは、「いつでも、どこでも、誰でも着られる、ファッション性のある高品質なベーシックカジュアルを市場最低価格で提供する」ことです。(ユニクロ・ホームページより抜粋)

最近のユニクロの売上が順調なのは、先にあげた、①都心部における大型店の積極的出店に加え、②「低価格+高品質+ベーシックカジュアル」という基本的考え方と、それを土台とした「モノづくり」、「店づくり」が、今の時代にジャストミートしていること、そして、③ユニクロのブランド力が強まったこと(顧客認識度の高い有力ブランドの一つになりつつある)、この3つが背景にあるのではないかと考えています。

ファッションセンターしまむらの商品政策も、「低価格+高品質+ファッション性」で、ユニクロとあまり変わりないように見えますが、ユニクロにある「ベーシックカジュアル」という部分の品揃えではかなり欠落しているところがあるように思われます。とくに、ここ、3、4年における品揃え、商品展開では、「ファッショントレンドの最先端にある商品の早期・積極的投入」+「ヤングからヤングミセスにかなり偏重した品揃え」が見られました。両者の「生き方・考え方の違い」と言ってしまえばそれまでですが、しまむらとユニクロの「大きなちがい」の一つではないかと思います。H&M(ヘネス&モーリッツ)が銀座に大型店を出店したとき、ユニクロの経営トップの方が、「あちらはファッション、うちはベーシック」、だから、競争相手としてはそんなに気にしていない、というようなことをTVインタビューで言っているのを聞きましたが、しまむらとユニクロにも似たようなところがあるのではないでしょうか。そして、それが、両社の最近の売上傾向にもよく出ているのではないかと思われます。

■ユニクロは婦人衣料とインナーウェアが強い。これも売上順調を支えている。

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(表-3)は、ユニクロの過去4年間(H17/8-H20/2)の商品部門別売上構成比の推移をまとめたものです。平成20年8月期における商品部門別売上構成比を見ますと、①メンズ34.4%、②ウイメンズ32.0%、③インナー23.5%となっていて、この3部門が主要部門であることが分かります。そして、平成17年8月期と比較しますと、メンズとウイメンズの売上構成比がかなり接近していること(34.4%:32.0%)、それともう一つ、インナー部門の売上構成比が、H17/8(16%)からH20/2(23.5%)と7.5ポイントも増加していることが分かります。この主要3部門の構成のバランスの良さも、ユニクロの既存店売上好調を支えているのではないかと思います。

あれこれ言ってきましたが、「ベーシックカジュアル」、「都心部への大型店多数出店」、そして、「婦人衣料、インナーウェア、紳士衣料、この主要3部門の売上構成比のバランスの良さ」、この3つが、最近のユニクロの順調な月別既存店売上高前年比(伸率)を支えているのではないかと考えます。ファッションセンターしまむらは、先述していますが、ユニクロと「生き方」は異なるものの、「ベーシックカジュアル」、「都心部への大型店多数出店」、ここが弱かったため苦戦していると考えてもそう間違ってはいないのではないでしようか。

しまむらの、ここ1、2年における既存店月別売上高前年比(伸率)・「前年割れ」月数の多さと、一方、その売上を順調に伸ばしているユニクロを見て、以上のようなことを感じました。この見方が当っているかどうか、いま一つ自信がありませんが、ともかく、ユニクロが何故、順調なのか、その理由をじっくり考えてみる必要だけはありそうです。  完

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業界動向:ディリーファッションストアしまむらvsベイシアスーパーセンター衣料部門の競争

■ファッションセンターしまむら旭ヶ丘店はベイシアスーパーセンターひだかモールから約200mの至近距離に出店

ディリーファッションストアしまむら旭ヶ丘店(埼玉県日高市大字旭ヶ丘692-1)は、2007年4月27日にオープンした「ベイシアスーパーセンターひだかモール店」から約200mという至近距離に出店しました。ディリーファッションストアしまむら対スーパーセンター衣料部門の戦いが大いに注目されます。

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■ベイシアスーパーセンターひだかモール店は、①開店日-2006年4月27日、②所在地-埼玉県日高市大字森戸新田字藤久保88-5、③売場面積11690㎡≒3536坪、④駐車場-1471台、の大型SCです。この店のベイシア直営衣料売場の規模は約650坪ですが、さらに、寝具・インテリア(ベイシアでは住関連部門に入る)と、スポーツウェア(衣料品)の取扱ウエイトが高いスポーツ用品売場も衣料部門に加えれば、約900坪という広さになります。この広さは、しまむら旭ヶ丘店の約2.6倍になります。さらに、ベイシアスーパーセンターひだかモールには、食品スーパーマーケット、住関連売場、衣料品売場、テナント専門店、飲食店で構成された複合型大型商業施設(SC)ですから、しまむら旭ヶ丘店の何倍もの商業集積力と集客力を持っています。これを知っての上での「しまむら旭ヶ丘店」の出店ですから、しまむらは「ベイシアスーパーセンターの衣料部門との競争を恐れていない」ものと思われます。ベイシアスーパーセンターにくっついて、そこに集まってくるお客の「おすそ分けを貰う」という「小判鮫商法」ではなく、もっと攻撃的で、ベイシアの客を奪う、奪い取る自信があるという出店ではないかと考えられます。ですから、ベイシア衣料部門が、しまむらの店の売場面積規模が小さいからと、あまく見て、油断すれば、間違いなく「足元をすくわれる」ことになるでしょう。

002 ■ベイシアスーパーセンターひだかモール店から歩いて約3分の至近距離に出た「しまむら旭ヶ丘店の外観。しまむらの標準店舗パターン。年商は不明ですが、埼玉県における「ファッションセンターしまむらの平均年間坪当り売上高は約112万円、1店平均年商は約3億5000万円ですから、この店も、少なくとも年商約3億円は売上げるものと考えられます。(H20/2期期末・埼玉県のしまむら店舗数は89店、H20/8月末で90店舗)。ベイシアスーパーセンターから200mの至近距離にあってもです。両社、ともに、商品政策は「高品質&低価格政策」をうたっています。しかし、商品別に展開価格帯を調査比較してみますと、ベイシアスーパーセンターの衣料部門は、確かに、しまむらに負けない超目玉低価格品もあるにはありますが、全体を見れば「ミニGMS型」のプライスポジショニング、商品ポジショニングであると位置づけられます。したがって、衣料品では「しまむらの方が安くて高品質、そして、ファッション性も高い品揃え」であると言ってもいいのではないかと思われます。

001 ■ベイシアスーパーセンターひだかモール店の外観。ベイシアスーパーセンターの標準店舗パターン。店舗建物の大きさを比較して見れば、しまむら旭ヶ丘店が、いかにも小さく見えます。素人目で考えれば、はたして、こんな大規模店と至近距離で戦って勝てるのだろうか、はたまた、生きていけるのだろうかと心配になることでしょう。しかし、おそらく、しまむらは、ベイシアの衣料部門と同じ土俵での競争にはならない、真の競争相手ではないと考えているものと思います。GMS型や、ミニGMS型とは大いに異なるステージにいると考えているはずです。サンキ、パシオス、サミットコルモなどとの競争こそ、真のディリーファッションストア同士の戦いだと言えるからです。

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■赤線枠で囲ったところが衣料品売場、そして、衣料品関連売場(寝具・インテリア売場)です。また、スポーツウェア・衣料品の構成が高い、図面左側下のスポーツ用品売場(青色)を加えると、先述のとおり、約900坪という広さになります。衣料品売場は、他社のスーパーセンターと同様、センターゾーンに設定されています。お勘定場のまん前という好立地での展開です。はたして、この好立地で、ベイシアスーパーセンターの衣料部門は、年間坪当り売上高100万円超の売場坪効率をあげているでしょうか。それとも、厳しい見方になりますが、80万円以下の年間坪当り売上高でしょうか。それを知る手立てもありませんが、一体、いくら売上げているのか大いに興味を惹かれるところです。

約200mという至近距離で競争している「ファッションセンターしまむら旭ヶ丘店」と「ベイシアスーパーセンターひだかモール店・衣料部門」を見て感じたこと 完

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新店舗情報:9月23日開店の「パシオス木更津店」は、しまむら清見台店から約1.2kmの場所

■9月23日、「パシオス木更津店」開店。出店場所は新興住宅地にできた新しい商業集積地で「先行投資型好立地」。

「パシオス木更津店」は、開店日-2008年9月23日、所在地-千葉県木更津市ほたる野2-22-4、売場坪数-約300坪(建物1層平屋)で、新興住宅地に新たに形成されつつある商業集積地の一角にあります。この店から半径約600m以内には、いくつかの大型店があり、集客力の高いショッピングゾーンになっています。(地図参照)

004 「パシオス木更津店」から約200mのところに、(a)ホームセンター・ケーヨーD2伊豆島店-木更津市ほたる野4-7-1、売場面積3831㎡、2007年開店、約400m先に(b)ケーズデンキ木更津本店-ほたる野4-3-3、売場面積4955㎡、2007年開店、そして、約600mのところに(c)アピタ木更津店-ほたる野4-2-48、売場面積15300㎡、2000年開店、この3つの大型店があります。また、約1.2kmのところには、(d)しまむら清見台店があり、比較的近い店間距離での競争関係にあります。(同一商圏内にある強力で手強い競争店・競合店です。しまむらはパシオスの株12.7%を所有し、資本参加・提携していますが、店の立場から見れば、最も警戒すべき競争相手の店であると言えます)

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■ファッションセンターしまむらは、木更津市に、「しまむら岩根店」-(木更津市高砂3-1-27、1983年開店、売場面積1020㎡、年商推計約2.8億円)、「しまむら清見台店」-(木更津市清見台南4-1、売場面積914㎡、1995年開店)、この2店舗を出店しています。このうち、「しまむら清見台店」を「パシオス木更津店」の競争相手の店、最も警戒すべき競合店としましたが、その理由は、先述した、①店間距離が約1.2kmと近いこともありますが、もうひとつの理由は、②この「しまむら清見台店」が、年商約5.1億円を売上げたこともある高効率店であることです。おそらく、「しまむら清見台店」にとって、約1.2kmという近い場所に「パシオス木更津店」が出店したことは大打撃となるはずですが、出店に際して、「事前連絡」、「事前協議、事前調整」などはそれほどなされなかったのかもしれません。このことを考えますと、「しまむらとパシオスの間では、各地における出店調整、店のバッテイング問題とその調整、これらに関する諸々の話し合いは、まだ、それほど詰められていない」のではないかとも思われます。おそらく、「しまむらは、そこまで、あれこれうるさく口出しするようなパートナーではない」のでしょう。

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■パシオス木更津店の売場レイアウトは、最新の標準店舗パターンと同じと言っていいでしょう。店入口、入って正面にある「メインVPステージ」、そして、特価平台大通りの展開など、ファッションセンターしまむらに、とてもよく似ていますが、パシオスらしさのある展開がなされています。商品部門別売場配置も、なんとなく、「しまむらに似ている」なと思います。しまむらの売場坪数260~300坪タイプの標準店舗・売場レイアウトと極めて類似する部分が沢山あるからです。この形の売場レイアウトが最も良い形なのかもしれません。

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■店の外観、ファッサードも、パシオス標準店舗の最新パターンです。「ショーウインドーの位置、照明などのVP仕掛け」も、いまでは、パシオス標準店舗では常設となっています。外から見た場合の「視覚的訴求力」は、しまむらの標準店舗のショーウインドーと比べてみても、決して見劣りするところはなく、むしろ、しまむらのそれより効果が大きいのではないかと思われるほどとてもよく出来ています。パシオスのビジュアルプレゼンテーション力、技術力、仕掛けづくり、そのレベルは相当高いと言ってもいいのではないでしょうか。

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■「パシオス木更津店」・開店セール第2弾のチラシ・表面。新店舗開店セール、第1弾、第2弾チラシパターンも最近は標準化されています。もちろん、掲載品目などは、季節によって異なりますが、開店セールのチラシデザイン、チラシレイアウト、カラー、企画内容など標準パターンともいうものが出来上がっているように思います。それだけでなく、ここ、1、2年におけるパシオスのセールチラシを詳しく調べますと、表現が洗練されてきており、また、セールチラシの企画内容も、なかなか「見ごたえ」があるように思います。最近、しまむらのセールチラシが、やや激しい表現の「低価格訴求型」になっていますけれど、それらと比較しますと、パシオスのセールチラシの方が「都会的で、センスがある」のではと思うのですが、はたして、この見方は当っているでしょうか・・・・・・。

「パシオス木更津店」を見て感じたこと   完

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業界動向:「日経MJ」新聞-10月6日づけ記事「しまむら、上場来初の減収(上期単体)/安売り徹底に回帰」を読んで感じたこと

■ディリーファッションストア業界だけでなく小売業全体における低価格競争が激化

ファッションセンターしまむらは、ここ数年間、品揃え面では「ファッショントレンド商品の早期積極的投入」、そして、ターゲットを「重点的にヤングからヤングミセスに焦点を当てた」商品政策を展開してきました。それによって、売上アップ、客数増という実績もあげたことも見逃してはならない事実です。しかし、業界の一部では、「ファッショントレンドを追いかけすぎているのではないか」とか、「あまりにもヤング層に偏りすぎた品揃えになりすぎてはいないか、それで、45歳代から60歳代の多くの顧客を取り逃がしているのではないか」という見方も囁かれていました。とくに、ここ1、2年間は、「月別既存店売上高”前年割れ”」が目立っていましたので、こういった見方も一理あると思われました。

ファッションセンターしまむらの今期。上半期の既存店売上高前年比は95.5%、そして、9月度も前年割れで98.7%という実績でしたが、そこに飛び込んできたのが、この流通業界新聞「日経MJ」・10月6日→「しまむら、上場来初の減収(上期単独)-安売り徹底に回帰」の記事です。この記事を読みましていろいろのことを思い起こしました。それは以下のようなことです。

まず、最初に思い出したのは、しまむらの経営トップのあるお方がよく言っていた言葉です。

■「一番安い経営コストで運営できるところが一番強い」

■「最も低い粗利益率で売れる体制を持っていれば競争相手は逃げざるを得ない」

■「オペレーションコストが低い方が勝つ。これは小売業の鉄則だ」

■「低粗利の企業が市場を制する」

これらは、その経営トップの方の過去の発言を時系列にまとめておいた発言録のなかにあったものです。そして、これが「しまむらの基本的考え方」なのだと当方なりに理解していましたので、「やっぱり、原点回帰したか」との感を強く持ちました。同時に、「これから、ディリーファッションストア業界に、生き残りを賭けた厳しい低価格競争の嵐が吹き荒れるぞ」とも感じました。果たして、しまむらのこの「低価格政策のより一層の強化」という政策に、競争相手と言われる小売企業の何社がついて行けるのだろうと考えたりもしました。

■値入率36.1%、値下率5.0%、ロス率0.44%、粗利益率30.7%(売上総利益率31.4%)、売上比販管費率21.9%、経常利益率9.8%

これは、「ファッションセンターしまむら」の2008年2月期の商品生産性、経費率、利益率などの一部の実績数値です。過去5年間の実績を時系列で追うと次のようになります。

項 目    08/2  07/2  06/2  05/2  04/2

値入率     36.1%   35.6%  35.4%  34.6%  34.0%

値下率      5.0%    4.8%  4.9%   5.2%   5.0%

ロス率      0.44%   0.46% 0.53%  0.64%  0.64%

粗利益率    30.7%   30.3%  30.1%  28.8%   28.4%

売上総利益率 31.4%   31.0%  30.7%  29.4%   28.9%

販管費率    21.9%   21.5%  21.7%  21.5%   21.7%

経常利益率   9.8%    9.7%   9.3%   8.0%    7.2%

この実績を誇る、ディリーファッションストア最大・最強の企業・ファッションセンターしまむらの「今後は、より一層の低価格政策を押し進める」という宣言にほかありません。日経MJ新聞の記事ではこれを「安売り徹底に回帰」と書いていますが、しまむらを競争相手とする各店は「警戒最高レベル5の警報」として、この、しまむらの宣言を受け止める必要があります。何故かといえば、前述した「しまむら・過去5年間の各種生産性、利益効率実績数値」に勝てる力を持ったディリーファッションストアは見当たらないからです。とくに、売上比販管費率21.5%~22%、ここが大きなポイントになります。

また、もう一つ、要注意をあげれば、ファッションセンターしまむらの商品経営の基本的考え方はです。彼らは、交差比率を上げるために、粗利益率を上げることを優先するのではなく、商品回転率(年間商品回転数)を上げることを最優先するというのが基本的考え方です。すなわち、値入率を抑え、粗利益率を低くしても、高速回転をすれば、高い交差比率を確保できるという考え方です。これは、強力な低価格政策を進め、それで高速回転をさせれば、結果として、粗利益率は低くとも、大きな粗利益額を獲得できるという考え方につながります。これから、「しまむらの脅威と、驚異の巻き返し」が見られることと思います。同業他社の小売企業は、しまむらとの戦いに、ちょっとでも気を抜くことも許されないでしょう。常に、真剣勝負、力の限り闘い続けねばなりません。いまから、その覚悟と、それが出来る体力、そして、なによりも、強固な意志と「負けず魂」を持ち続けること、決して失なってはならないことを、余計なオセッカイかもしれませんが、敢えて、ここで言っておきたいと思います。「必死の頑張り」を期待するものです。

是非とも、ここにあげた「日経MJ」新聞・10月6日の記事を熟読されることをお薦めします。

流通業界新聞「日経MJ」・10月6日の「しまむら、安売り徹底に回帰」の記事を読んで感じたこと     完  

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研究会資料:人口4万人以下の地方小都市に2店出店し大きな売上シェアを獲る

■人口数4万人以下の地方小都市を2店で攻め、大きな売上シェアを獲り制圧する

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人口4万人以下の地方小都市に2店出店し、そのエリア内で高い売上シェアを獲得、町を制圧するという戦略があります。このやり方は、食品スーパーマーケットでよく見られるケースです。自店から比較的近くにある出店物件だが、競争相手にその物件をとられ出店されるより、自社競合にはなるが、そこに自社の店を出すという戦略です。積極的防衛策などと言われることもあります。

ディリーファッションストアで、このような戦略をとったところがあるのだろうかと、ちょっと調べて見ましたところ、「ファッションセンターしまむら」が何ヶ所かでやっていることがわかりました。その一つの事例がここにあげた、地方小都市、長野県駒ヶ根市における「しまむら2店体制による商圏制圧」のやり方です。現在、駒ヶ根市には、①しまむら駒ヶ根店(1990年出店)、②しまむら駒ヶ根南店(2004年出店)、の2店があります。この2店舗の店間距離は直線距離で約2km、車なら約3kmという距離的関係にあります。(地図参照)

■駒ヶ根市における「しまむら2店出店」の事情と経緯

しまむらの経営トップの一人の方のお話では、「インター近くに店(=駒ヶ根店、地図・赤丸白抜き)を出店し、さらにバイパスが近くに開通したので、それに合わせてもう1店(=駒ヶ根南店、地図・赤丸白抜きS2)、出店した」ということです。そして、「インター店では売上が25%減ったが、2つの店舗を合計すると、売上は2.5倍になっていて、地域における占有率(=略注:売上シェア)がぐっとあがった。工夫すれば至近距離でも十分に共存できる」とも言っています。(業界月間誌「販売革新・2005年5月号」より抜粋)

■駒ヶ根市における「しまむら2店体制」の売上高&売上シェアを推測する

基礎データ

駒ヶ根市の人口→世帯数12497世帯、人口総数34662人(H19)

しまむら駒ヶ根店→1990年11月開店、売場坪数約269坪、年商推計約2.2億円

しまむら駒ヶ根南店→2004年9月出店。売場坪数約350坪。年商推計約3.3億円

駒ヶ根市の年間衣料需要額推計

 世帯数12497×1世帯当り年間衣料関連支出額20万円≒衣料需要額25億円

しまむら2店の売上高及び売上シェア推計

2店計の年間売上高推計は約5.5億円

駒ヶ根市における「しまむら2店計の売上シェア」は

  2店計売上約5.5億円÷年間衣料関連需要額推計25億円≒売上シェア22%

きわめて大雑把な計算で恐縮ですが、駒ヶ根市における「しまむら2店体制」の売上シェアは約22%前後であろうと考えられます。(また、2店計売上高が6億円あったとすれば、その売上シェアは約24%となります)。

このように人口4万人以下の地方小都市・小商圏(この事例では長野県駒ヶ根市)に、2店出店し、そのエリアで高い売上シェアを奪取、地域制圧するという戦略もあるということです。ディリーファッションストアで、こういう戦略をやるところは、当方の知るところでは、「しまむら」以外にあまり思い当たりませんが、一つの情報として頭に入れておく必要があるだろうと考えています。「しまむらは、こういうこともやるよ」ということです。しまむらを競争相手とする時は、決して、油断したり、あまく見てはいけないということでもあります。(駒ヶ根市だけでなく、東京都青梅市でも似たようなケースが見られます。じっくり、分析・研究されることをおすすめします)

    長野県駒ヶ根市における「しまむら2店体制」を調べて感じたこと 完

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