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チラシ販促:ファッションセンターしまむら 9月(08)のチラシ販促

ファッションセンターしまむら 9月 既存店売上前年比98.7%-「前年割れ」

ファッションセンターしまむらの上半期(2008/3-8)・既存店売上高前年比は95.5%、全店計前年比は99.8%でした。そして、下半期、最初の月、9月は、既存店売上高前年比98.7%、全店計前年比103.3%の実績です。9月の月別売上高前年比は8月(前年比93.2%)に続き、「前年割れ」となってしまいました。しまむらの9月のチラシ販促セール実績をみると、なんとしても「前年割れ」を回避しようと、一段と低価格訴求を強めたタイプのセールチラシが多く、相当、力が入っていたように思います。しかし、いま一歩、前年に届かなかったという残念な結果に終わっただけに、組織内には疲労感が残ったかもしれないと想像するのですが、これは考えすぎでしょうか・・・・・。

002 しまむらと月の〆日が同じ「西松屋チェーン」の9月の既存店売上高前年比は103.7%、全店計は111.0%でした。ハニーズ、ユニクロは末締めなので、まだ、9月の結果は発表されていませんが、もし、「しまむらよりいい数字、すなわち、前年比100%超」になると、しまむらの売上不振が目立つことになるでしょう。いまのところ、株価に大きな影響は出ていないようですが、既存店月別売上高前年比(伸び率)は、その企業の、現時点における営業力を見る一つの重要な指標でもありますので、油断できない状況にあると考えられます。もし、下期の既存店売上高前年比も「前年割れ」になったりすれば、少なくとも、株価にはなんらかの反応が出るのではないかと思います。(そうなることはあるまいと思っています)

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■しまむら(9月10日~15日)セールチラシ

今年になって、しまむらのチラシは、同じタイトルを何回か続けて使うという傾向が見られます。しかし、ちょっと辛口の評価をさせていただきますと、「もう一工夫、もう一歩の詰め」があっていいのではないかと思います。単調といいますか、もう一つ訴えるものが無いように思われるからです。とにかく、「安さの訴求」一点張りで、なりか物足りなさを感じるのですが、これは、当方、一人だけが感じていることなのでしょうか。はたして、お客にはどう見えているのでしょう。どうなのか、そこのところにとても興味があります。

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■こういったタイプのチラシ(デザイン・レイアウト、カラー使い、大きな数字表現による低価格訴求など)が多くなってきたように思います。「売上を獲るためには、格好をつけていられない」ということを否定するものではありませんが、セールチラシの基本的考え方を大きく方向転換したようにも見えます。ファッショントレンド、スタイル、コーディネイトなど、いままで、商品政策の要としてきたものが、なんとなく影薄くなっているように見えるのですが・・・・・・。ともかく、これから先、ファッションセンターのセールチラシの展開方向はどんな形で進んでいくのか、注視していこうと思います。(あれこれ言いましたが、ご無礼がありましたらご容赦ください。)

「ファッションセンターしまむら 2008年度 9月・月次売上速報」と、9月の販促セールチラシを見こんなことを感じました。  完

 

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新店舗情報:アクロスモール守谷ファッションモール 9月25日開店

2008年9月25日、「アクロスモール守谷(茨城県守谷市松ヶ丘6-6-1)」の1階に、しまむらグループの「アクロスモール守谷ファッションモール(以下、守谷FMと略)」が開店しました。守谷FMは、①ファッションセンターしまむら、②バースディ、③アベイル、の3店構成で、売場面積は約1000坪~1100坪のファッションモールです。

004 ■「アクロスモール守谷」SCの概要

①デベロッパーは大和情報サービス株式会社、②敷地面積11959坪、③建物面積6422坪、④店舗数66店舗(うち物販42店)、⑤開店日・2006年4月21日、⑥2008年9月25日、テナント入れ替えし、リニューアルオープン。

アクロスモール守谷が開店してわずか1年後に、ここから約1.5kmのところにイオングループの大規模商業施設「ロックシティ守谷SC」が出店しました。その影響もあって、アクロスモール守谷SCの苦戦が伝えられていました。また、テナントの出入り(撤退・閉鎖、入れ替え)が目立っていました。デベロッパーは、テナント撤退で空いた面積の穴埋めと有力テナント誘致に東奔西走したに違いありません。そんな経緯があった後、しまむらグループのファッションモール出店が決まったわけです。デベロッパーは「しまむらグループ」を三顧の礼で迎えたかもしれません。そういう状況下での「しまむらグループ」の出店ですので、おそらく、しまむらグループにとってかなり有利な条件提示(家賃、他の入居条件など)がなされたのではないかと思われます。それはともかく、アクロスモール守谷SCは、「しまむらグループ」の入居により、新たに強力なテナントが加わったことで、以前比べ、はるかに集客力が強化されたことになります。

004_2■地図は、ファッションモール守谷の出店先、「アクロスモール守谷」SC(図-赤色S2)の周辺概略図です。この店から約1.2km右先には「ロックシティ守谷SC」(図-緑色ロ)、そして、ファッションモール守谷(しまむら+バースディ+アベイル)から約5.5kmの距離には、サンキ小絹(小絹ファッション館、小絹ファブリック館)、ファッションセンターしまむら谷和原店、があります。これらは全てアクロスモール守谷SCの対象商圏エリア内にある競争店です。したがって、ここ守谷市エリアは、①2つの大規模商業施設の至近距離での競争激戦地であり、また、②「サンキ対しまむらの戦い」の激戦地の一つでもあります。

ロックシティ守谷SCは、茨城県守谷市百合ケ丘3-249-1にあり、2007年6月開店、商業施設面積約9500坪、駐車場1900台という大規模商業施設。

サンキ小絹(小絹ファッション館+小絹ファブリック館)(図-青色サ)は、平屋別棟で2棟の店舗。2004年11月、増床オープン。売場坪数は2館計で約900坪。年商推計は約8億~9億円。

しまむら谷和原店(図-赤色S2)は、2002年12月開店。売場坪数約307坪、年商推計3億円。

009 ■アクロスモール守谷ファッションモールの外観。ビルイン型のファッションモールで、(ファッションセンターしまむら+バースディ+アベイル)この組み合わせのタイプです。この3店構成のタイプで順調と言われているFMには、にしおおみやファッションモール(埼玉県大宮市宮前219)、サニーモール西葛西FM(東京都江戸川区西葛西)、マーケットシティ古河FM(埼玉県古河市松並)などがあります。この組み合わせが、今の、しまむらグループのファッションモールでは最も強い組み合わせではないかと考えられます。それを、しまむらは、ここ、アクロスモール守谷に出店したというわけです。それには、いろいろの狙い・目的があるように思います。

001 ■図は、アクロスモール守谷SCの主要テナントの店舗配置図です。しまむらグループは1階、ユニクロの隣にあります。ところで、しまむらグループがここにファッションモールを出店したのは、前述しましたが、①入居条件が「しまむらの出店原則」に合っていた(家賃は売上比5%以内など)、②集客力の大きな大規模商業施設の1階であること、それに加え、③油断できない力を持っている競争相手、「サンキ叩き」→サンキ小絹(小絹ファッション館・ファブリック館)を叩く、という狙いがあったのではないかと考えられます。というのも、守谷地区における、しまむらとサンキの出店の流れを時系列に並べて見ると、そのこと(③のこと)がよく見えるからです。

002 ■サンキ対しまむら-「守谷市の戦い」

守谷市における「しまむらとサンキ」の出店を時系列にならべてると次のようになります。

1987年11月、サンキ小絹店出店(このときは1棟)。売場面積1319㎡。年商推計約7億2000万円を売上げたときもあります。

2002年12月、ファッションモールしまむら谷和原店開店。サンキ小絹店から約650mという至近距離に出店。売場坪数約307坪。推計値・年商は3億2000万円前後で推移。

2008年9月25日、アクロスモール守谷SCに、「しまむら+アベイル+バースディ」・3店構成で売場坪数約1000坪のファッションモールを出店。サンキ小絹店(2棟2店舗)からは約5.5kmの距離がありますが、これは対象商圏エリア内にある競争店の一つです。しまむら谷和原店は、サンキ小絹店との競争で苦戦を伝えられていましたので、その援護策も兼ねた、「対象商圏エリア内、売上シェアアップ戦略」でもあると考えられます。

このように、1987年のサンキ小絹店出店から、2008年9月の「しまむら・アクロスモール守谷ファッションモール出店」に至るまで、時系列に、この地区における両社の店舗展開を見ると、ここでも、「サンキ対しまむら」の熾烈な戦いがおこなわれていることが分かります。「サンキ対しまむらの戦い」は、どの地区、どの店を見ても、いろいろ学びとれることが沢山ありますが、今後、どのような展開をしていくのか、とても興味のあるところです。必見の店舗視察クリニックコースのひとつとしてお奨めいたします。

 しまむらグループの、「アクロスモール守谷ファッションモール」開店を見て  完

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競争激戦地:サンキ対しまむら-「竜ヶ崎市郊外の戦い」

■「サンキ(三喜)」対「しまむら」 営業実績数値でみた「企業規模比較」

(表-1)は、サンキ、しまむら、この2社の営業実績数値(2008年2月期)による「企業規模比較」をまとめたものです。計算結果から、しまむらは、売上高-サンキの約8倍、営業利益額-サンキの約22.5倍、経常利益額-サンキの約17倍、税前利益額-約17倍、当期純利益額ーサンキの約17.4倍であることが分かります。また、店舗数比較では、サンキグループが2008年9月で約153店舗、しまむらは08年2月期末で1077店舗ですので、しまむらは店舗数でサンキの約7倍になります。

005注① しまむらの数値は、ファッションセンターしまむら、バースディ、シャンブル、ディバロを含む合計数値です。また、サンキグループは、三喜、東北三喜、北関東三喜、(北海道三喜は店舗数以外は別計算)の合計数値です。

さらに、⑥営業利益率-しまむら9.51%:サンキ3.47%、経常利益率-しまむら9.77%:サンキ4.69%、当期純利益率-しまむら5.56%:ンキ2.64%、となっています。

サンキはディリーファッションストア大手・第2位の小売企業ですが、それでも、最大手・第1位の「しまむら」と比較すると、こんなにも大きな差があります。これだけ大きな企業規模格差があると、「サンキはしまむらと戦っても、まず、勝てないだろう」と考える人が多いのもやむを得ないことかもしれません。しかし、いつもその通りに話が運ぶとは限りません。というのも、サンキの店がしまむらの店と至近距離で競争し、戦いに打ち勝っているケースがあちこちにあるからです。これから述べる「茨城県竜ヶ崎市郊外におけるサンキ対しまむらの戦い」も、サンキがしまむらとの競争に打ち勝っているケースのひとつです。サンキがどんな戦い方をしているのか、興味を惹かれる人もいると思いますので、次にその概要を記しておきます。

■サンキ対しまむら - 竜ヶ崎市郊外の戦い

茨城県竜ヶ崎市には、しまむらグループでは、しまむら竜ヶ崎店、バースディ竜ヶ崎店、アベイル竜ヶ崎店、この3店があります。サンキグループには、サンキ竜ヶ崎店、サンキ竜ケこの2店があります。各店の概要は次のとおり。(竜ヶ崎市郊外で戦っているのは、「サンキ竜ケ岡」と「しまむら竜ヶ崎店」の2店ですので、この店の概要だけを時系列に記しておきたいと思います)

●1999年4月、「サンキ竜ケ岡店」出店(売場面積2684㎡≒812坪。2001年度年商推計約7億円、所在地・茨城県竜ヶ崎市貝原塚町457)

●2003年3月、「しまむら竜ヶ崎店」出店(売場面積1330㎡≒402坪、所在地・竜ヶ崎市藤ケ丘2丁目1-1)

●2005年3月、「サンキ竜ケ岡店」が増床(売場面積3718㎡≒1125坪に、駐車場収容台数174台へ)。この時点で、サンキ竜ケ岡店は「しまむら竜ヶ崎店」の約2.8倍の大きさの店舗規模になりました。(ここが大きなポイントです)

002地図は、「サンキ竜ケ岡」の周辺と、「しまむら竜ヶ崎店」の店間距離と位置関係を示したものです。円は500m区切りで書いていますが、2店の距離関係は約600m~700mです。そして、周辺には、食品スーパー・ランドローム、カワチ薬品、カスミの3店があり、買い物客が沢山、集まるエリアになっています。

このような場所で、サンキ、しまむら、2社の店が競争しているわけですが、当方の見る限り、「サンキがしまむらに打ち勝っている」と思われます。考えられる理由は以下のとおり。

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(1) 「サンキ竜ケ岡店」の売場面積1125坪は「しまむら竜ヶ崎店」の約2.8倍であること。サンキはこの広さの店を十分に使いこなせるだけの品揃え力、商品力、運営力を有していること。売場の広さを十二分に活かした品揃えアイテム数の多さ、売場ライン構成数の多さ、そして、低価格訴求力、これで競争に打ち勝っていると考えられます。なんといっても、最大のポイントは「競争相手の店の約2.8倍」という売場面積の広さです。

(2) 主力部門であり、競争の決め手となる部門でもある「婦人衣料売場」を別棟のファッション館に、婦人服飾雑貨・バッグ、婦人ランファン、婦人和装と組み合わせて、約400坪規模の売場としていること。これは、しまむら竜ヶ崎店の婦人衣料売場の約3倍~4倍の広さになるものと思われます。ディリーファッションストアは「婦人衣料の強い店が勝つ」というのが経験則ですが、しまむら竜ヶ崎店は、このサンキの婦人衣料の広さと、品揃えアイテム数の広さ、婦人関連売場構成ライン数の多さに最も大きな打撃を受けているのではないかと思います。

(3) 婦人衣料売場以外の他の部門はファッション館に隣接した店舗にありますが、どの部門の売場坪数も、「しまむら竜ヶ崎店」のそれと比べて大きく、加えて、婦人衣料同様、品揃えアイテム数、商品力、低価格訴求力がありますので、強力な集客力を誇ります。なかでも、肌着・靴下などインナーウエア部門、寝具・インテリア部門の売場面積の広さと、強力な品揃え力、商品力、これも「しまむら竜ヶ崎店」にとって大きな脅威となっていることでしよう。

大筋はこの3点ですが、ディリーファッションストアで、婦人衣料、肌着・靴下等インナーウェア、寝具インテリア、この3部門をおさえられたら、まず、勝ち目はありません。

■競争は「個店対個店」。企業規模が競争相手より小さいから勝てないということはない。

サンキが、ここ5~6年間に出した店の「しまむらとの戦い方」を見ていますと、「競争相手である”しまむら”の店の2.5倍~3倍の大きさの売場面積の店をつくる」というのが、基本的な戦略ではないかと考えられます。千葉県印西市につくった「サンキ千葉ニュータウン店・1000坪」、千葉県野田市:サンキ・ロックタウン七光台SC店」などを見ればそのことが良く分かることと思います。(ディリーファッションストア業界人なら、この2店は必見の店です)。競争は「個店対個店の戦い」です。その戦いに打ち勝っていけばいいわけです。企業規模の大小で競争の勝敗がすべて決まるというわけではありません。ここにあげた「サンキの1000坪タイプの大型店」をじっくり視察クリニックされることをお薦めします。きっと、大きなヒントと、勇気が得られるものと思います。

  サンキ対しまむら-「竜ヶ崎市郊外の戦い」を見てこんなことを感じました。 完

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新店舗情報:ファッションセンターしまむら取手東店 9月18日開店

■9月18日 茨城県取手市にファッションセンタしまむら取手東店が開店

ファッションセンターしまむら取手東店は、「しまむら」最新の標準店舗(売場面積1200㎡~1300㎡)の一つです。出店場所は「茨城県取手市青柳474-1」ですが、出店立地選択眼に優れた「しまむら」ならではの好立地と言える場所です。しまむらの店舗数は、まもなく1100店舗を超えます。その豊富な出店経験と蓄積されたデータは同業他社と比べ群を抜いており、それらが「しまむらの優れた出店立地選定眼」を育んだことは間違いありません。さらに、それに加え、「狙った場所を獲得(取得、または賃借で)する開発力」もありますから、しまむらの店舗は好立地への出店が多いのだと考えています。

007 ■「売れるところへ出店する」、「人が沢山集まる場所に出店する」、だから、売れる!。

地図はファッションセンターしまむら取手東店の周辺図ですが、取手東店の半径約1.5km以内には競争店が見当たらず、ディリーファッションストアの無店地帯、無競争地帯であることが分かりま(2007年4月までは、約1.5km先のJR取手駅付近にに「パシオス取手店(旧イトーヨーカドー取手店跡にできた複合型商業施設に出店)」があったのですが、この店は撤退・閉鎖されています)。さらに、①居住人口・世帯数も多いエリアで、②約200mのところには、強力な集客力、競争力を有する食品スーパー・ヤオコー取手青柳店と、ドラッグストア・マツモトキヨシ取手青柳店で構成された商業施設もありますから、それもプラスに働いて、おそらく、取手東店は「よく売れる店」になるものと思われます。これは推測ですが、初年度売上高、約3億5000万円~4億円は獲得するのではないか思われます。

009 ■しまむら取手東店の外観。しまむらの単独路面店型最新標準店舗のつくりです。店看板サイン、カラー、店頭照明、ショーウインドー、店入口場所などすべて「しまむら標準仕様」になっています。①売場ゾーニング・レイアウト、②陳列・演出の仕掛け(メインディスプレイステージ、システム什器エンドでのコーディネイト提案型VP、壁面陳列の仕掛けなど)、③店内照明、④商品部門配置、⑤お勘定場、サービスカウンターの設備と設置場所、スペース、これらはすべて他の最新型の標準店舗仕様と同じです。標準化もここまできたかといえる「技術的にもハイレベルな店づくり」であり、「ローコスト&ハイグレードな売場環境」を具現化しています。

010■ファッションセンターしまむらは、以前、「開店初日売上高」を、1000万円から1500万円は売上げると言われていました。 開店時期にもよるでしょうが、9月18日という開店日は、夏の終わり、秋の始まりという季節の変わり目にありますから、開店初日売上高1000万円は難しかったかもしれません。しかし、1日坪当り売上高2万円くらいは確保するでしょうから、約700万円から800万円は達成したのではないかと思います。当方の経験則では、手持ち売価在庫高の10%は開店初日売上高を確保できると考えますが、仮に、初日坪当り売価在庫高16万円、売場坪数390坪という条件設定なら、(16万円×390坪=売価在庫高6240万円)×10%≒630万円、少なくともこの額は開店初日に売上げただろうと推測しているわけです。(しかし、残念ながら、結果は知るよしもありません・・・・・・)

 9月18日開店の「ファッションセンターしまむら取手東店」を見て感じたこと  完

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チラシ販促:ディリーファッションストアの年間のセールチラシ本数は60本~70本。

■ディリーファッションストアの年間セールチラシ本数は60本~70本が適正数?

ディリーファッションストアが年間に打つセールチラシ本数を調べて見ると、約60本~70本であることが分かりました。5日から6日に1本のペースでセールチラシを打っている計算になりますが、必ず、「当たり外れ」があるのではないかと思われます。大いに効き目のあったセールチラシ、ほとんど効果が無かったチラシ、少しだけ効き目が合ったチラシ、この3つが混在しているはずだと考えていますが、そこに、「チラシ販促費」(広告宣伝費)の無駄遣いはなかったでしょうか。セールチラシ本数が多すぎたということはなかったでしょうか・・・・・。

004(表-1) は、ディリーファッションストア、しまむら、パシオス、ピーエフ、3社の2007年度1月から2008年度8月の月別セールチラシ本数実績をまとめたものです。これから、年間に打つセールチラシ本数は、各社でバラツキはあるにしても、約60本~70本だろうということが分かった次第です。2008年度は、各社ともに、天候不順、景気低迷、物価高騰、消費不振、売上不振が重なり、セールチラシ本数が2007年度を上回る気配が濃厚です。それでも、年間のセールチラシ本数は80本以内に収まるだろうと思われます。しかし、それにしても、ちょっと多すぎるように思うのですが、セールチラシ、1本、1本の効き目を調べたら、「このチラシはいらなかった」というセールチラシが必ず何本かはあることが考えられます。

■ファッションセンターしまむらの年間広告宣伝費は売上比約2%

広告宣伝費には、チラシ販促費、TV・ラジオ、その他の広告媒体を使った広告宣伝費、売場の陳列・演出に使うショーカード、POPカード、その他の販促物など、それら全て込みで、年間広告宣伝費は売上比2%ということです。過去5年間の年度別売上比広告宣伝費率は、08/2→2.1%(当期純利益率5.6%)、07/2→2.0%(5.4%)、06/2→2.0%(5.0%)、05/2→2.0%(4.2%)、04/2→1.9%(3.9%)という実績です。この数字は、一見、「それほど気にすることもない小さな数字」のように見えますが、年度別税引き後純利益率と並べますと、決して「小さな数字ではない」ことが分かります。

しまむらは日本の小売企業のなかでも超優良企業ですので、各年度別・税引き後純利益率は同業他社よりはるかに高い実績数値(青色の数値)ですが、それでも、広告宣伝比率の2.6倍~2.7倍というところです。一方、同業他社には、税引き後純利益率が2%以下で、売上比広告宣伝費率が純利益率を上回っているというところがかなりの数あります。ですから、チラシ販促費の無駄遣いは、経営的には「とても大きな問題、見逃すことの出来ない経費支出」になるわけです。これは、「しまむら」といえども例外ではありません。

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(表-2)は、①売場面積300坪、②年商3億2000万円、③年間チラシ販促費売上比2%、④セールチラシは、B4サイズ・4色、1本の散布枚数15000枚、チラシ1枚のコスト・折り込み料込みで8円、という設定で、月別の可能チラシ本数を計算したものです。

計算結果、得られた「年間チラシセール許容可能本数」は、(年間売上高3億2000万円×チラシ販促費率売上比2%≒640万円)÷(チラシ1本コスト・15000枚×8円=12万円)≒53、です。先に、ディリーファッションストア3社の年間セールチラシ本数・60本~70本という数字をあげていますが、いまここで仮設した店舗では、その本数を打つと広告宣伝費売上比が2%をオーバーしてしまいます。経営的には、どうあっても53本以内、売上比2%以内に抑えよということになります。少なくともこれくらいの計算はやっているとは思いますが、チラシ販促費の無駄遣いを、安易に容認することなく、厳しくチェックしていく必要があります。そうしないと、打つ必要もなかった無駄なセールチラシを減らすことは絶対にできません。

しまむらの年間チラシ本数は(60本~70本)+(約110本)=170本~180本

年間新規出店店舗数56店~58店あるので、これらの店の「開店セール第一弾チラシ」、「開店セール第二弾チラシ」が加算されます。その本数は、単純計算でも、(58店×開店セールチラシ2本)=116本、となります。すなわち、年間170本~180本のセールチラシ本数を打っているという計算になります。これだけの本数を、お客が店に行ってみよう、なんとしても買いに行こう、という魅力ある企画内容にして打ち出すことは、容易なことではないだろうと思うのですが、実際のところどうなのでしょう。とても気になるところです。

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事例チラシは9月18日に開店した「しまむら取手東店(茨城県取手市)」の開店第一弾セールチラシです。店によって第一弾で終わりのところもありますが、大体、第二弾まで、すなわち、開店セールチラシを2本打つケースが多いように思います。こういったタイプの新規開店店舗のセールチラシが年間約110本、月別セールチラシとは別に打たれていることになります。年間セールチラシ計画を、事前に綿密に練り上げていることでしょうが、それにしても、170本~180本の切り盛りは相当の苦労があるのではないかと思われます。それを乗り切れっていけるのが、また、「しまむらの強さ」、「しまむらの力」ということになるのかもしれません。

ファッションセンターしまむら「取手東店」の開店セールチラシを見て、ディリーファッションストアのセールチラシについて以上のようなことを考えました。 (完)

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経営課題:しまむらの「月別出店数」と「月別全店計売上高前年比」の推移を見る

■しまむら(単体)-新規出店があっても月別全店計売上高が「前年割れ」に。   

既存店の月別売上高前年比が100%(横ばい)で、同月に新規出店があれば、その新店舗の売上高分だけ月別全店計売上高は増加する。単純な理屈ですが、2006年度(06/3~07/2)までは、しまむら(単体)の月別全店計売上高前年比も、新規出店があった月(または、その翌月)は、必ず伸びており、前年比100%超の数字でした。理屈どおりといいますか、新規出店が月別全店計売上高増をもたらしていたわけです。また、既存店の月別売上高も「前年割れ」月が極めて少なく、新規出店による月別売上高増の足を引っ張ることもありませんでした。

しかし、2007年度(07/3~08/2)あたりからこの構造が崩れてきています。とりわけ、2007年7月以降に目立つ傾向は、「新規出店があったにもかかわらず、月別全店計売上高前年比の伸び率が極めて低い、もしくは、「前年割れ」という月数が増えてきている」ことです。新規出店による売上増があっても、それだけでは、既存店の売上減を埋めきれないという状況になっているわけです。

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■別表(ちょっと見にくいですが・・)は、しまむら(単体)の過去約3ヵ年、2006年3月から2008年8月までの、①月別出店数、②月別全店計売上高前年比、③月別既存店売上高前年比、各実績をまとめたものです。

2008年度の2月~8月、この7ヶ月間で、月別全店計売上高の「前年割れ」月が、2月、5月、6月、8月と、すでに4回もあります。同時平行して、既存店の月別売上高「前年割れ」月も、2月、4月、5月、6月、8月となっています。これは「一大事」といえる出来事かもしれません。既存店の売上不振・「売上、大幅、前年割れ」が大きく足を引っ張っている姿が見えてきます。数字の流れを見ていますと、この傾向はこれから先も続くのではないかと懸念される動きをしているようです。

■月に10店舗出店しても、その影響力は1100分の10≒0.9%

2008年8月末における「しまむら・単体」の店舗数は1099店。仮に、9月に10店舗出店したとしても、その10店舗は1109分の10≒0.9%にしかすぎません。逆に言うと、既存店比率が99.1%あるわけです。0.9%でしかない新規出店店舗がいくら頑張って売上をつくったとしても、残り、99.1%の既存店の売上高が悪ければ(すなわち、大幅、前年割れをしていれば)、それは「焼け石に水」というわけです。

こう考えますと、「今」の、しまむらの最大の経営課題は「既存店の活性化」、すなわち、既存店の月別売上高の「前年割れ」をなんとしても防ぐことであると言えるかもしれません。しまむらの既存店はすでに1000店舗を超えていますから、「既存店活性化」といってもそう簡単なことではないでしょう。これは「大仕事」です。おそらく、しまむら全社上げての真剣な取り組みがなされていることと思います。「強者・しまむらの力」をもってすれば、この「難局」(、と言うと言い過ぎだと叱られるかもしれませんが・・・)を乗り越えるのに長い時間はかからないだろうと、期待も込めて考えてはいますが、はたして、半年後、1年後の数字がどうなっているでしょうか。大いに興味のあるところです。

■ディリーファッションストアの商品政策は「転換点」にきている?

石油の高騰、物価高、増えない個人所得、ますます堅くなった消費者の財布の紐、生活防衛型消費(今、必要ないものは買わない、今、必要量しか買わない)の著しい増加、など等、依然として、小売店にとって極めて厳しい環境が続いています。ここをなんとしても「凌ぎ」ぬかねばなりませんが、それには、相当の体力が必要になるでしょう。豊富な経験と優れた知恵、そして、高い技術力と必死の努力がなければ乗り越えることができない「大きな波」が押し寄せてきているようです。ちょっとでも「気を抜けば」、「手を緩めれば」、この大波に飲み込まれ、藻屑となって消え去ることになります。

ディリーファッションストアの商品政策は、今まで、①低価格(安いこと)、②品質が良いこと(品質>売価→「お値打ち品」であること)、③ファッショントレンド商品の積極的投入・品揃えをすること、④それらの商品を活かす視覚的効果の高いビジュアルプレゼンテーションを展開すること、この4つがポイントでした。しかし、これだけでは「何か足りないもの」があるのかもしれません。新たに付加しなればならないもの、新たにお客が求めているものが欠けていることも考えられます。残念ながら、その「何か」がナニかは今のところ分かりません。ただ、朧げながら、ディリーファッションストアだけでなく、「勝ち組」といわれた「ハニーズ」や、「西松屋チェーン」なども含めて、その商品政策が「転換点」に立っているような気がしてなりません。

おりしも、世界的大小売企業、H&M(ヘネス&モーリッツ)の日本上陸、銀座への出店が、その「開店の賑わい」とともに大きなニュースとなっていますが、これがこれから起きるかもしれない「大変化」の引き金となるのでしょうか。また、かつての「勝ち組」の多くが苦戦するなか、ひとり、「ユニクロ」だけが順調なのは何を意味しているのだろうか。

 しまむら(単体)の「月別出店数」、「月別全店計売上高前年比」の推移を見る

  完

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新店舗情報:ディスカウントストア「ザ・プライス西新井店」 8月29日開店

■イトーヨーカドーがディスカウントストア「ザ・プライス西新井店」を8月29日開店

イトーヨーカドーは8月24日に閉店した西新井店をディスカウントストアに業態転換し「ザ・プライス西新井店」を開店しました。閉店した旧イトーヨーカドー西新井店は、①昭和43年6月出店、②売場面積約3000㎡、③地上2階建、④駐車場90台、⑤かつて、年商約47億円を売上げたときもある店でした。その店舗建物を全面改装、リニューアルして「ザ・プライス西新井店」として生まれ変わったというわけです。

006■ザ・プライス西新井店の立地は人口密集地(半径2km圏・約7.8万世帯)にありますが、車でのアクセスは、店をとりまく周辺の道路幅が狭くかなり抵抗を感じると思われる場所です。また、大規模商業施設「アリオ西新井SC」から約500mという至近距離にありますので、セブン&アイ・グループ店での競合・競争とはいえ、売上確保には苦労するのではないかと思われます。ディスカウントストアに業態転換したのもその危惧があったからだろうと考えますが、それでも厳しさは変わらないような気がします。確かに「価格は安い」かもしれませんが、「絞り込み過ぎ」の感がある品揃えを見ますと、初年度目標売上高40億円の確保は決して楽なハードルではなさそうに思います。果たして、1年後の結果はどうなるか大いに興味のあるところです。

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■ザ・プライス西新井店の衣料品売場は2階

イトーヨーカドーのニュースリリースによれば、「ザ・プライス西新井店」の、①衣料品部門の初年度売上目標は約4億円(店舗計初年度売上目標約40億円×衣料売上構成比10%)、②売場坪数は約250坪(店舗計売場面積約1000坪×衣料売場面積構成比25%)、という計算になります。しかし、現時点の品揃えを見ますと、極めて個人的な見解ですが、①あまりにも少ない品揃え型数・品目数、②誰をメインターゲットとしているのかよく分からない、③メリハリのない商品部門構成、④単調で変化に乏しい売場レイアウト、などがあり、初年度売上高目標約4億円はかなり苦労するのではと思うのです。(開店後の衣料部門の実際の売上推移がまったく分かりませんので、それは「当て推量だろう」と言われてもしょうがありませんが・・・・・)。とはいえ、「ザ・プライス西新井店」は自社物件ですから、家賃、減価償却等でかなり有利な点もありますから、年度利益という面では、案外、プラス利益(黒字)を出す構造になっているのかもしれません。

■開店チラシの衣料掲載品目とその売価は「低価格」と言えるほど安くはない?

GMSの展開価格帯と比べれば、「それより下のプライスポジショニング」ということは言えます。しかし、ディリーファッションストア大手の「ファッションセンターしまむら」、「サンキ」、「パシオス」、「サミットコルモ」などの売価政策との比較では、「それほど安くない」というプライスポジショニングになるのではないかと思います。「低価格訴求力」がそれほどあるとは考えられません。しかし、「ザ・プライス西新井店」の近くには、前述したディリーファッションストアの店がありませんので、お客には売価の比較基準がなく、それで「安さを感じる」かもしれませんが・・・・・。

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■図は「開店第一弾」の衣料品部門の掲載品目とその売価です。(文字が小さすぎて見にくいかもしれませんが、ご容赦ください)。下限値では180円というのもありますが、多く使われているのは、480円、580円、680円、780円、980円という売価ラインです。この数字の売価だけではそれほど「安さは感じない」ように思われます。また、品質>売価で、だからとても「お値打ち品」なのだという見方もありますが、そこまでの見方はちょつと難しいようにも思います。開店第三弾(9/8-9/14)の衣料品のチラシ掲載商品とその売価を見ても、これと同じようなことが言えるのではないかと思います。

「ザ・プライス西新井店」の衣料部門(2階)の、①現在の品揃えと、②開店セールチラシ・第一弾及び第三弾の掲載品目とその売価を見て、以上のようなことを感じました。「少し、辛口過ぎる」とか、「意地悪な見方だ」と言う方もいるかもしれません。ぜひ、一度、ご自分の目で確かめられること(店舗クリニックされること)をおすすめいたします。  完

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新店舗情報:「IFQ・アイエフキュー上里店」は8号店

■イオングループのディリーファッションストア「IFQ・アイエフキュー」、8号店を出店

流通小売業最大手のイオン・グループは昨年、ディリーファッションストアの開発展開に着手し、「IFQ・アイエフキュー」の店舗呼称で、東海・静岡地区に数店舗出店しました。この新事業は100店舗構想で進めていると言われていますが、発表して約2年後、今の店舗数は、2008年8月2日に開店した「イオン上里ショッピングセンター」に出店した「IFQ・アイエフキュー上里店」で8店になります。

8店の店名をあげますと、IFQイオンタウン磐田SC店(売場面積1300㎡)、IFQイオンタウン徳川明倫SC店(売場面積1000㎡)、IFQイオンタウン太閤SC店、IFQ静岡南店、IFQ西焼津店、IFQイオンタウン富士南SC店(売場面積800㎡)、IFQイオン蕨塚越SC店、そして、8月2日に開店したIFQイオン上里SC店(760㎡)、この8店です。

当初、発表された「IFQ・アイエフキュー」の標準店舗規模は1300㎡と1000㎡の2パターンで展開するという話だったように思います。しかし、IFQ・イオンタウン富士南SCは800㎡、そして、最新店舗のIFQイオン上里SC店で760㎡ということで、標準店舗の適正規模を当初の考えより小さく変更したのかもしれません。(IFQイオン富士南SC店は、開店後、売行き順調との話です。それでこの規模がちょうどいい・適正規模だと考えたのでしょうか)

■IFQイオン上里SC店とその周辺の競争・競合概況

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「IFQアイエフキューイオン上里SC店」が出店した「イオン上里ショッピングセンター」の概要は以下のとおり。

所在地→埼玉県児玉郡上里町大字金久保蓮山359-1、核店舗・食品スーパー・ベルク3471㎡、開店日・2008年8月2日、商業施設面積(別棟オープン時で38470㎡)、SCの商圏人口見込み・約7万世帯(約20.2万人)、競争・競合する商業施設は、別図にある、ウニクスSCと、サンキ上里店がある七本木モール。

■「IFQアイエフキュー・イオン上里SC店」の競争店

(1)半径約2kmのところに「しまむら上里店」(売場面積約360坪)、 (2)半径約3.5kmのところに「サンキ上里店」(売場面積2149㎡)、この2店です。2店とも2km以上離れていますので、IFQイオン上里SC店への影響はそれほど大きくないと考えられます。しかし、しまむら、サンキ、この2社は、ディリーファッションストアではNO.1とNO.2の小売企業ですので油断はできません。IFQイオンタウン上里SC店が出店したショッピングセンターはこの地域最大の商業集積力を有し、専門店数も85店舗と多いので集客力は強力ですが、IFQの店の売場面積は760㎡と、しまむら、サンキ、この2社より小さいので、品揃え幅、商品力で両社には勝てないだろうと考えられるからです。

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■IFQはイオン上里SC店の1階に出店。しかし、店舗のフロア位置は「やや難あり」

IFQアイエフキュー上里店のSC内フロア立地は1階ですが、図を見れば分かるとおり、このSCの核店舗である食品スーパー・ベルクと最も離れた場所にあります。IFQの売場面積760㎡はディリーファッションストアとしても「やや小さく」、また、このSCで量販総合衣料品店としてひとつの核店舗にはなり得ないでしょう。また、売場面積が小さいので、品揃え幅、商品力そして、集客力にも不安があるように思います。

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■IFQアイエフキュー・イオン上里SC店の外観

店の看板サイン、カラー、陳列什器形態、床・壁・天井、照明などは標準化されています。先に出たIFQイオン富士宮SC店と同じと言っていいでしょう。チェーンストアづくりの要は「標準化」ということを熟知しているイオン・グループの企業であるわけですから、そのへんはしっかりしています。売場づくり、売場環境は「いい感じ」にできあがっています。清潔感があり、整然とした、そして、明るい売場環境になっています。

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■ディリーファッションストアとしての売価政策は、8号店ともなると、かなりしっかりしたものになってきたようです。ディリーファッションセンターとして低価格政策を進めていく方向がはっきり見えてきたように思います。また、イオングループという強力な背景を持っていますから、しまむらと対抗できる力も十二分にあるはずです。低価格競争ではそう簡単に負けないでしょう。これは「夏物処分セール・チラシ」ですが、レイアウト、タイトルコピー、売価表現、売価設定など、ファッションセンターしまむらと、ほとんど同じというか、とてもよく似ています。チラシサイズはB4ですが、訴求力はありそうです。

■IFQアイエフキュー・イオン上里SC店を見て感じたこと

(1)IFQ上里店の売場面積760㎡は、ディリーファッションストアとしてはやはり狭すぎると思います。ファッションセンターしまむらの標準店舗規模は約360坪~390坪、パシオス/約450~550坪、ファッション市場サンキで約500坪~600坪(1000坪タイプもありますが)、サミットコルモ/約300坪、これらのことを考えますとと、やはり、IFQアイエフキュー・イオン上里SC店の売場面積は小さすぎると言えます。そして、その狭さが、商品部門別売場面積設定を窮屈なものにしています。競争力に大いに不安があります。

(2)婦人衣料部門の売場面積規模をできるだけ広くとるのは理解できるのですが、前述のとおり、総面積が約230坪しかありませんので、他の商品部門を狭くせざるを得なくなります。上里店を見ると、肌着・靴下などのインナーウェア部門売場と、寝具・インテリア部門売場が狭すぎてあまり存在感がありません。この2部門が弱いとディリーファッションストアとしてやっていけなくなりますし、競争力も失われることになります。この点がとても気になります。

(3)IFQアイエフキューが、その標準店舗の売場面積規模を800㎡と決めたとすれば、しまむらや、サンキ、パシオス、サミットコルモらの店と至近距離で競争した場合、相当厳しい戦いになることを覚悟しなければならないでしょう。まず、彼らとの競争に勝つことはとても難しいだろうと考えられます。品揃え幅、商品部門構成力、この部分の力が売場面積の狭さもあり、彼らの力と比べ、はるかに劣っているからです。

(4)IFQアイエフキューは、イオン・グループという強大な背景を持ってはいますが、はたして、ディリーファッションストアに求められるローコスト経営、例えば、売上比販管費率22%以下での商店経営ができる構造になっているでしようか。コスト構造、収益構造はしっかりしているかどうか分かりませんが、なんとなく気になるところです。

IFQアイエフキュー・イオン上里SC店を見て感じたのはこんなところです。誠に失礼な言い方ですが、残念ながら、まだ、しまむらや、パシオス、サンキ、サミットコルモと互角に戦える力は無いのではないかと思いました。関東地区、首都圏エリアでは、彼らと至近距離で戦うのは、当面、できる限り避けた方が賢明なようです。とはいえ、これから先、IFQアイエフキューはいろいろ経験し、間違いなく、知恵と技術と競争力、経営力を強化していくでしょうから、こんなことを言えるのも「今のうち」だけかもしれません。

  「IFQアイエフキュー・イオン上里SC店は8号店」   完

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経営課題:売場坪当り年間粗利益高と売場坪当り販管費高

■ディリーファッションストアとGMS小売企業の売場坪当りコスト構造

両者のコスト構造を比較するために、ディリーファッションストアでは最大・最強の「ファッションセンターしまむら」と、GMSでは実力NO.1と評価の高い小売企業をとりあげて、その、①売場坪当り年間粗利益高、②売場坪当り年間販管費高を比較計算し、まとめたものが(表-1)です。

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■この比較表をつくってみようと考えたきっかけは、GMSの経営実態に詳しい流通小売業研究家の方が発表された論文を読む機会を得たからです。その論文の一部に、GMSではNO.1・小売企業のコスト構造について論述しているところがありました。そして、そのコスト構造ゆえ、このGMS・小売企業は、非価格競争での差別化戦略という道をとることになると述べられていました。そこにとても興味をもった次第です。

ディリーファッションストア最大・最強の「ファッションセンターしまむら」の経営は、ご存知のことと思いますが、業界で極めて高い評価をされています。また、その、しまむらが創り上げた「安く売っても利益が出せる収益構造」は、同業他社も優秀なビジネスモデルとして徹底的に研究し、それになんとか近づこうと努力しています。(表-1)にまとめた、①売場坪当り年間粗利益高と、②売場坪当り年間販管費の比較でも、その「ローコスト経営の凄さ」が見て取れるのではないかと思います。

■GMS・小売企業が「生き残る」ために取るであろう選択肢は?

(表-1)でおこなった、ファッションセンターしまむらと、GMS大手・業界での実力NO.1小売企業との比較から次のようなことが言えるのではないかと考えています。

(1)しまむらの売場坪当り年間販管費は、ほぼ24万円だが、GMS大手企業は73万円~76万円で、それは、しまむらの約3倍~3.2倍という高さである。

(2)しまむらの売場坪当り年間販管費は、売場坪当り年間売上高比で22.6%~23.2%ですが、GMS大手企業がこれと同じ比率にしようとすれば、08年2月期の実績値で計算すると、(売場坪当り年間売上高227.1万円×24%)≒54.5万円となります。一方、08年2月期の売場坪当り年間販管費は72.2万円ですから、計算すると、(72.2万円-54.5万円)で、≒17.7万円も下げなければなりません。これは、「やってやれないことはない論」を別にすれば、現実には、とてもそこまで落とすことはできないでしょう。

(3)また別の計算で、GMS大手企業の売場坪当り年間販管費72.2万円(08/2)を、売場坪当り年間売上高をあげることで、これを売上比24%とするとするば、(72.2万円÷0.24)≒300万円、すなわち、売場坪当り年間売上高を300万円にしなければなりません。しかし、08年2月期の売場坪当り年間売上高実績は227.1万円ですから、その1.32倍になります。これも短期間ではとても達成不可と言える極めて難しい数字でしょう。

(4)したがって、結論的に言うと、このGMS大手企業は、低価格競争という価格競争は避け(というよりそうできない)、非価格競争の道を進むしかないと考えられます。その方向で差別化をしていくしか「生きていく道」がないと言ってもいいでしようが、それは「高価格、高粗利、高品質」というかたちになるものと思われます。

(5)GMS大手企業の06年2月期~08年2期、この3年間の売場坪当り年間販管費は、いずれも、売場坪当り年間粗利益高を超えている。もしかしたら、物販では利益が出ていないのではないかと思われるような厳しい数字である。一方、ファッションセンターしまむらのそれは、いずれも売場坪当り年間粗利益高が売場坪当り年間販管費を上回っている。利益が確実に出ていると言える数字である。

(6)以上のことを考えますと、GMSが、これから先、進んでいくであろう方向は、「限りなく百貨店に近いかたち(それも、都市百貨店にちかいかたち)」になるかもしれません。しかし、その先行きは決して明るくないように思われます。現在の「高コスト構造」が続く限り、批判を覚悟で大胆な言い方をさせてもらいますと、その「生き残りの選択肢は極めて狭い」と言えるのではないでしょうか。

ファッションセンターしまむらと、GMS大手企業のコスト構造を見るために、①売場坪当り年間粗利益高と、②売場坪当り年間販管費の比較表をつくりましたが、それを見ながら感じたことを箇条書き的にまとめてみました。    完

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