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ディリーファッションストア考(4)

■「安くて、品質も良い」は当り前の時代です。   

今の時代は「とにかく安ければ売れる」という時代ではありません。品揃えと仕入れにあたっては、このことをよくよく頭に入れておく必要があります。「デザイン、カラー、素材、縫製などに多少の問題はあるが、とにかく安くすれば売れるさ」とか、「端境期、晩期の残品だが、安くしたから売れるだろう」とか、お客の目をあまく見て、仕入れと品揃えをやったりすれば必ずしっぺ返しを受けます。今の消費者は「ただ安いというだけで買ってくる」ほどあまくはありません。繰り返しますが、バイヤーはこのことを肝に銘じておくべきです。

今の時代の品揃えと仕入れに絶対必要なことは、ジャストシーズン(今、旬のモノ)、ファッショントレンド商品(今のファッショントレンドの先端部分にある商品)、低価格、良い品質、この4つであることはいままでに何度も言ってきました。さらに、これも変化してきているようです。この4つに加えてもう一つ、ベーシック、洗練されたシンプル、丈夫で長持ちということが必要になってきているようです(とくに、⑤は④と入れ替わるくらい重要な要素になってきています)。品揃えにはこの5つのうちの一つが欠けてもダメだということです。

それくらい消費者の目が肥えているといいますか、購買選択眼が鋭くなっているのです。その商品選択眼の鋭さ、厳しさは、きっと、仕入れをしているバイヤーよりも数段、上かもしれないと考えておいたほうが正しい見方だという人もいるくらいです。ですから、「とにかく、安くさえすれば、多少、難ありの商品でも買ってくれるさ」などと絶対に考えないことです。バイヤーにとっては、生き抜いていくのがとても難しい時代、大変、厳しい時代になってきたと言えるかもしれません。

■売場づくりでは「ビジュアルプレゼンテーション」を強化しよう!

「今、旬のファッショントレンド商品」、「お客に薦めたい商品」、「これが、売りたい商品」、これらの商品をお客の視覚に強く訴える陳列・演出=ビジュアルプレゼンテーションが今の売場づくりではとても重要です。ディリーファッションストアの大手、しまむら、パシオス、サンキ、サミットコルモなどは、このビジュアルプレゼンテーションをしっかりやっています。「見せて、売る」という売場づくりができています。一度、彼らの最新店の売場づくりを見てみることです。いかに、そのレベルが高いか、効果的なビジュアルプレゼンテーションをやっているかが分かることと思います。

「安さだけで売っていた時代」には、ビジュアルプレゼンテーションをそれほど重要なこととは思っていなかった店が多かったのですが、この4、5年の間に売場づくりが一段と進化したことを見落としてはいけません。店の入口正面で展開されているメインディスプレイコーナー、システム陳列什器エンド・側面におけるコーディネイト提案型陳列、売場壁面でのトルソーや陳列小道具を使った陳列・演出、こういった場所でのビジュアルプレゼンテーションの技術が昔と比較してかなりレベルアップ、とても良くなっています。そのレベルは、もう専門店と比べても遜色ないといってもいいかもしれません。

「商品山積みの売場づくり」はもう時代遅れです。お客はそんなことでは感動しません。そんなやり方で買ってくれる時代はとうの昔に終わっています。これから先は、売りたい商品、かって欲しい商品を、お客の視覚に強く訴える、そして、感動を与え、購買決定に導くというビジュアルプレゼンテーションがますます重要になってきます。真剣な取り組みが必要です。

■「ファッションセンターしまむら」が考えているチェーンストア経営とは。

ファッションセンターしまむらの経営トップの一人の方が、ある講演で「しまむらの経営」についてお話されたことがあります。その骨子を当方なりにまとめたものがありますが、それを箇条書きで載せておきます(注:当方の勉強不足と理解力不足で的をえていないところがあるかもしれませんが、その点は前もってお詫びしておきます)

(1)自前主義、自社開発主義

(2)基本は標準化。徹底的に標準化を進める。

(3)良い仕組みをつくった者が圧倒的な利益を得る。

(4)全国チェーン展開は「仕組み」次第。「仕組み」に地域差は無い。

(5)適正とはなにかを追っかける。

(6)最終的に商品は企画力で差をつけなければならない。一番儲かるのは商品の企画。

ファッションセンターしまむらは、このような考えを持ってチェーンストアとしての経営を進めてきているようです。「なんだ。みんな当たり前のことばかりではないか」と思うかもしれませんが、大事なことはそれを具現化した、実際にやり遂げたということです。さらに、進化しているということです。そう思ってはいても、頭では考えてはいても、誰もがその考え、思いを具現化できるということではありません。ここが肝心なところであり、しまむらの凄さ、強さでもあります。

ディリーファッションストアについて、いままであれこれ考えたことをまとめてみました。お役に立てるかどうか分かりませんが、ご一読いただければ幸いです。

   ディリーファッションストア考(1)~(4)   完

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ディリーファッションストア考(3)

■しっかりとした売価政策を持とう! 

基本コンセプト、ターゲット、商品ポジショニング、これらが設定されると売価政策も同時並行で決まるのが普通です。品揃えを具体的に進めていくにあたって、「明確な売価政策」は絶対になくてはならないものだからです。ところが、この「売価政策」をあいまいにしたまま、仕入れ、品揃えをやっている店が少なくありません。そのため、「なに屋」なのか曖昧になってしまっている店がかなりあるのです。こういった現象は、GMSの衣料部門や、食品スーパーチェーンの衣料部門の多くでみられます。そして、それらの店は、みな、「焦点ボケの品揃え」になっています。一方、ディリーファッションストアの大手、「ファッションセンターしまむら」や、パシオス」、「サンキ」、「サミットコルモ」などの売価政策は、極めて明確、かつ、しっかりしています。決してブレることがありません。

ちょっと売上がおもわしくないと、差別化だ、グレードアップだとか言って売価政策を上限(高い)方向に持っていったり、また、逆に、低価格が受けそうだからと、売価政策を必要以上に下限(安い)方向に変えてしまうという店が結構ありますが、こういう節操のないやり方をしてはいけません。売価政策が、しょっちゅう上下にブレる、揺れ動くというようなことは決してやるべきではありません。お客からの信頼を大きく失うことになります。もっと「しっかりとした売価政策」を持つべきなのです。

「しまむら」、「パシオス」、「サンキ」、そして、「西松屋チェーン」、「ハニーズ」などの強さは、この「売価政策がしっかりしている」ところにあります。そのことをよくよく肝に銘じておくべきでしょう。

■「標準化」に真剣に取り組もう!  

チェーンストアは、「標準化」を進め、合理的にコストダウンをはかり、「良い品質のモノをより安く提供する」ことで社会貢献をはかるというのが大きな命題です。しかし、これをきちんとやっている小売企業は案外、少ないものです。それだけ、「標準化」ということが難しいということもできますが、これ(標準化)は絶対に失ってしまってはならないものです。

「標準化」と一言で言うのは簡単ですが、小売業のあらゆる面について「標準化をはかる」となると決して容易なことではありません。しかし、「標準化」抜きでチェーンストアは成り立ちません。どうしても取り組まねばならないものなのです。立地と商圏、店舗・売場面積規模、売場構成、商品構成、設備投資、そして、店舗のオペレーションなど、これら商品経営における重要な部分の「標準化」を押し進めなければなりません。

この、「標準化」というところでも、ディリーファッションストアの雄・「しまむら」は、同業他社はもちろん、他の小売企業とくらべても、数段、上をいっています。その「標準化のレベル」はきわめて高く、国内ではセブンイレブンとともに極めて高い評価を受けています。そのレベルの高さは、海外の超優秀小売企業と比べても決して負けることはありません。この2社の「高い標準化のレベル」までに到達するには相当の努力が必要ですし、そして、時間もかかることでしょう。しかし、「標準化とはそんなに難しいものなのか」といって、まだなにもしないうちから諦めてしまったのでは話になりません。

①立地と商圏の標準化、②店舗・売場面積規模の標準化→標準店舗づくり、③売場構成、商品部門構成の標準化、④品揃えの標準化、⑤設備投資の標準化、⑥店舗オペレーションの標準化、これらの標準化に真剣に取り組まれていくことをお勧めするものです。

■きちんとした仕事ができるバイヤー(商品仕入担当者)を育てよう! 

とりわけ、食品スーパーチェーンの衣料部門の商品部に言えることですが、バイヤーの力が弱く(経験未熟、低い技術力、商品チョイス・選択眼の悪さなど)、そのため、品揃え力、仕入力もパワー不足で、競争・競合に打ち勝っていくのはとても難しいそうだという店がかなりあります。食品スーパーチェーンにおける衣料部門の売上構成比、高くても10%、多くは7%以下というのが現状ですが、これから考えると、事業部門別の人材ローテーション、振り分けは、まず最優先が食品部門、次いで住関連部門、最後が衣料部門という順序でおこなわれているものと思います。

したがって、ちょっと悪い表現になりますが、衣料部門には「いい人材はまわってこない。きたとしてもごくごく少数。それでもいいほう」というケースが少なくありません。こんな言い方をすると、今、衣料部門にいる人たちに怒られそうですが、実際には、かなり多くの店でみられるものです。そして、このことが、食品スーパーチェーンの衣料部門の力の無さというか、弱さに繋がっていることは、残念ながら、否定できません。しかし、そうだからといって、食品スーパーチェーンの衣料部門の力が弱いのは当たり前、どうやったって強くはなれないということではありません。なにもせずに、お店の片隅でじっと遠慮がちに縮こまっているだけではダメです。それでは改善も、改革もできません。

なにはともかく、現有勢力で、衣料部門の強化、とりわけ、商品部の強化に取り組まねばなりません。最優先で取り組まねばならないことは、いま現在、衣料部門にいるバイイングスタッフ、すなわち、バイヤーの能力アップです。バイヤーを徹底的に再教育して、頼りになるバイヤーというか、仕事がきちんとできるバイヤーに育て上げねばなりません。「利は元にあり」、「商品が大事」とは昔から言われ続けていることですが、その商品(品揃えと仕入れ)を握っているのはバイヤーです。バイヤーには、衣料部門の経営、なかでも、商品経営という肝心・かなめのところを任せているわけですから、そこのことろが弱くてはどうしようもありません。ですから、ハードに、徹底的に、厳しすぎると言われるくらいの「バイヤー教育・育成」をやるべきです。それについていけなくて脱落する人もいるでしようが、妥協することなく、断固として進めていかねばなりません。

ここまで、「徹底してバイヤーを教育せよ。しごけ」と言うのにはそれなりの理由があるからです。品揃えと仕入という、「店の生き死にを左右するとも言える重要な仕事」をまかされていながら、商品管理・計数管理能力に欠けるバイヤー、品揃えの組み立て方も分からないバイヤー、商品リスクに鈍感なバイヤー、驚くような高い値下げロスを出していながら自分の技術力の無さ、責任感の欠如を全然、感じないバイヤー、また、反省もしないというバイヤー、そういう、とてもレベルの低いバイヤーがまだまだ沢山いることを知っているからです。

衣料部門の強化をはかるためにやるべきことは、これ以外にもまだまだ沢山ありますが、「商品力強化」、「品揃え力と仕入力の強化」は、なんといっても、最も重要なものです。「きちんとした仕事ができるバイヤーの教育・育成」に力を注げという所以です。

  ディリーファッションストア考(3)・完 →(4)に続く

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ディリーファッションストア考(2)

■「誰に、何を、いくらで売るか」を明確に設定すること。これは絶対原則です

ちょっと小難しく言うと、「コンセプト」、「商品戦略」、「商品政策」を明確に設定しておきなさいということです。「ファーストリティリング・ユニクロ」、「ハニーズ」、「西松屋チェーン」、「ファッションセンターしまむら」、「パシオス」、「ファッション市場サンキ」などはこれら(コンセプト・商品戦略・商品政策)を明確に設定しています。それが、品揃え、売価政策、売場づくりなどの大本になるものだからです。これは「絶対原則」です。

しかし、GMSの衣料部門、食品スーパーチェーンの衣料部門にはコンセプトなどについての明確な設定がありません。あったとしても、極めて「あいまい」なものばかりです。そのため、商品戦略や、品揃えの焦点がボケてしまっているのですが、そのことをそれほど大きな問題だとは考えていないように思えます。「良い(品質)モノを安く」というだけではあまりにも抽象的すぎますが、案外、それで十分と考えているのかもしれません。

でも、品揃えを具体的に詰めていくとき、「良いモノを安く」というお題目だけではどうにもなりません。もっと、具体的に、どんなお客に、どんな商品を(用途、デザイン、スタイルなど)、いくらで(売価政策)、ということをはっきり決めておかないと全てのことがボケてしまうことは必定です。ここが、GMSの衣料部門、そして、食品スーパーチェーンの衣料部門の最大の弱点なのです。だからこそ、ユニクロや、ハニーズ、西松屋チェーン、そして、ディリーファッションストアの「しまむら」、パシオス、サンキなどに売上を奪われてしまうのです。

ここにあげたいくつかの企業が設定している、「コンセプト」、「商品戦略・政策」を、彼らのホームページから抜粋したものを以下に簡単にまとめてみました。あなたの店の衣料部門のそれ(明確なコンセプト、明確な商品戦略・政策)と見比べてみてください。

ユニクロ

いつも、どこでも、誰にでも着られるカジュアルウェアを提供する。

しまむら

25歳~45歳までの家庭の主婦が日常生活のために使用する衣料品、これが、しまむらの取り扱う商品のターゲットです。・・・・・・。この日常普段着-ディリーファッションを消費者に便利なロケーションと快適な売場で、しかも、気軽に買物ができる価格で提供することが、しまむらの基本的な商品政策です。

パシオス

パシオスの商品政策は、日常生活に役立つ、機能的で心地よい基本衣料の「暮し服」と、流行のセンスを取り入れたファッション性の高い「装い服」の、ふたつの軸を中心に構成しています。・・・・・・。「暮し服」はもちろんのこと、「装い服」でも品質が満たされた上で、さらに、買いやすい価格であることを追求しています。

サンキ

お客様に喜んで頂けること。とにかく安く、イイものを」、それがファッション市場サンキのコンセプトです。・・・・・・。われわれは、ディリーで、ファミリーで、ポピュラープライス、どこよりも良い品を安く提供し、そして、明るく楽しい売場づくりをモットーに、経営コストを抑え、一方で、商品力を高める努力をしています。また、鮮度の高い、活きのいいファッションを、いつもロープライスでお届けする、気軽に誰にでも愛されるファッション市場というコンセプトです。

■「商品回転日数重視の商品経営」に徹しよう

商品回転日数は商品品揃え鮮度、在庫鮮度の良し悪しを示すバロメーターです。量販衣料の商品回転日数は、目標確保基準値・月間商品回転日数35日(年間商品回転率約10回)、下限値でも45日(年間商品回転率8回)を確保しないと商品経営が成り立たないというのが常識です。言うまでもないことですが、商品回転日数が速ければ速いほど商品在庫鮮度、品揃え鮮度が良いということになります。したがって、商品回転日数は量販衣料の商品経営で最も重要な指標です。

そんなことは改めて言われなくとも分かっているという人がいるでしょうが、衣料部門の商品回転日数が50日以上という商品経営をしている店は決して少なくありません。日々の売上進行状況、在庫の推移、仕入進行度などを、こまめに、厳しくチェックし、調整・修正をやっていないと「商品回転日数の速さ」を維持、確保することはできないのですが、これをおろそかにしている店が思ったより多いということです。

商品回転日数を悪化させるものは、①在庫過剰、②仕入過剰、この二つですが、そういう状況に陥らないよう、常に先々のことをよく考えた商品経営をやっていく必要があります。とくに、仕入は「ある期間の想定売上高」をもとに先行して行われますので、よほど厳しく日々チェックしていかねばなりません。「売上が想定していた数字に届かなかったから、結果として、在庫過剰、仕入過剰になってしまいました」などという言い訳をするバイヤー(商品仕入担当者)がいたりしますが、そんな言い訳が通るようではダメです。衣料品の商品経営にとって、「速い商品回転日数(35日~45日以内)」以下の数値を是認、それに妥協してしまうことはなんとしても避けねばなりません。それは、即、商品経営の危機に繋がるからです。

「ジャストシーズン(今、旬のモノ)」+「今のファッショントレンド最先端にある商品」+「低価格(安さ)」+お客の視覚に訴える「ビジュアルプレゼンテーション」、この4つは、今の衣料品の品揃えと売場づくりに欠かすことのできない絶対必要条件です。そして、この4つの絶対必要条件を満たすためには、バイヤーの商品チョイスセンス、仕入選択眼の良さ、そして、商品回転日数の速さというものが求められます。

「在庫過剰は悪である」という考えで商品経営を進める、それくらいの厳しさをもってやっていかないと、在庫過剰、仕入過剰、大きな値下高というリスクを低く抑えこむことはできないのです。もちろん、それらのリスクをできる限り小さくするためには、優れた管理能力をもった商品経営情報・データ収集管理・活用システムも必要です。しかし、それにもましてもっと重要なことは、衣料部門の商品経営に携わる人たちが、「商品回転日数の速さは衣料部門の商品経営の命なのだ」と強く意識して日々の仕事に取り組むことです。この意識があるか無いか、強いか弱いかで、商品回転日数は速まりもしますし、また、逆に、危険なほど遅くなってしまうこともあります。商品経営に「気の緩み」は禁物、常に緊張感をもつてのぞまねばなりません。

「商品回転日数重視の商品経営に徹しょう」、これを絶対原則として、日々、研鑽、努力し、「儲かる衣料部門・店」をつくりあげていくことです。

     ディリーファッションストア考(2) 完 →(3)に続く

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ディリーファッションストア考(1)

■衣料品の売場面積が500坪以下ならディリーファッションストアがベスト  

ディリーファッションストアの適正規模は300坪から350坪。これは計算上からも、そして、経験則からも分かっています。一方、GMS型の衣料品の適正規模というのははっきりしておりません。しかし、少なくとも1000坪から1500坪は必要だと考えられています。実際、調べて見ると、GMSの衣料品の売場面積はこの数字の範囲にある店が多いことが分かります。このことを考えると、売場面積が500坪以下でGMS型衣料を構成するのは無理というか、やったとしてもとても中途半端なものにならざるを得ないと言えます。

しかし、意外に多くの食品スーパーチェーンの直営衣料部門が、売場面積500坪以下なのにもかかわらず、GMS型、またはミニGMS(GMSもどき)型の衣料を展開していました。前述の通り、500坪以下でGMS型衣料の構築は無理なわけですから、それが失敗に終わることは目に見えていました。それでも、競争、競合の無い時代、競争の無い場所ならなんとかやっていけたかもしれません。しかし、今は、そんな中途半端な店が生きていけるほどあまい時代ではないのです。売場面積500坪以下で、GMS型、ミニGMS型衣料をまだやっている店は、今も軒並み大苦戦していますが、それは当たり前のことなのです。いずれ、近いうちに消滅してしまうであろうことは分かっています。

衣料品の売場面積が500坪以下ならディリーファッションストアをつくるのがベストだというのは、ちゃんとした理屈があってのことなのです。成り行きと、思い付きでなんとかやっていけた時代は終わりました。衣料品の売場面積が500坪以下のところは、店の進むべき方向を間違わないようくれぐれも注意したいものです。無理と中途半端はやってはいけません。

■ターゲットは「団塊世代」と「団塊世代ジュニア」に焦点を合わせよう

三浦 展氏によれば「団塊ジュニア世代」とは、第二次ベビーブームに生まれた一塊の人々、いわゆる、団塊世代(59歳~61歳 1949-1947生)の子供たちのことで、今の時代のマーケットを引っ張っているのはこの「団塊ジュニア世代」だということです。また、彼らがマーケットリーダーといいますか、新しいファッション、新しいライフスタイルを創り、その動きに引っ張られるかたちでいろいろなことが動いているとも言っています。

さらに、三浦氏が言うには、「団塊ジュニア」の父母である「団塊世代」も、自分たちの主張、経験を持っているが、「団塊ジュニア」のライフスタイル、ファッションに対する姿勢を理解できる経験・体験をも持っているので、引っ張られるというよりは、理解し、同調しているとのことです。したがって、母娘がまるで姉妹のようにペアのトレーナーを着るとかいう現象が見られるのだとの話です。

この「団塊ジュニア世代」(28歳~37歳 1980-1971生)を掴まえれば、その父母、すなわち、「団塊世代」も掴むことができると、三浦氏は強く主張しているわけですが、これはマーケティング上とても重要なことです。年齢別人口構成数を見ると「団塊世代」が多いことは言うまでもありませんが、焦点を当てるべきターゲットは「団塊ジュニア世代」だというわけです。とりわけ、30代の主婦にウケル店づくり、品揃えをすることが今後の店の発展に繋がるというわけです。

■「負け犬」意識、「負け組」意識を捨てよう

もう何年にもわたって衣料部門の不振、低迷が続いています。衣料部門の人たちは、さぞかし肩身の狭い思いをしてきたことでしょう。というのも、やれ、「衣料品の時代はもうとうの昔に終わった。もう、衣料品の時代ではないよ」、「食品の稼ぎで衣料部門を食わせてやっているのさ」、「衣料部門なんて無くたってやっていけるよ」、「なんといっても利益の足を引っ張っているのは衣料部門だからな。あること自体が問題だよ」などと声高に言われ、部屋の片隅に、遠慮がちに小さくうずくまり、まるで、「負け犬」のようにしている衣料部門の人たちを数多く見てきたからです。

「いじめられっ子」みたいにも見えますが、ここで挫けてしまってはダメです。もっと、打たれ強くならなければなりません。「何、言っているんだ。かつては、衣料部門が食品部門を食わせてやっていたんじゃないか。今は苦戦しているが、よく見ていろよ。必ず、復活してみせるぞ」というくらいの「気概」と「負けん気」を持っていなくてはなりません。そういう「強さ」、「心構え」を持って取り組めば、衣料部門の復活、再興は必ず出来ます。まず、最初に、「負け犬」意識、「負け組」意識を捨て去ることです。過去のことにくよくよしていてもなにもよくなりません。明るい明日に向かって、果敢に挑戦していけば、必ず、明るい道が開かれます。

■「衣料は必ず儲かる」という強い信念を持って取り組もう

「衣料品はもうダメだ。衣料は儲からない時代だ」などということは決してありません。まことしやかに「衣料、もうダメ論」が言われていますが、それをなんの疑いも無く信じてはいけません。ここ数年、「勝ち組」といわれている小売企業は、全て衣料品小売企業であるからです。「ファーストリティリング・ユニクロ」、「ハニーズ」、「ポイント」、「ユナイテッドアローズ」、「ファッションセンターしまむら」、「西松屋チェーン」、「パシオス」、「ファッション市場サンキ」、これらの衣料品小売企業です。

調子が悪くて苦しんでいるのはGMSの衣料部門、そして、食品スーパーチェーンの直営衣料部門なのです。この両者が不振なのは、その目指す方向が間違っているからです。この両者には、これから先の衣料品部門のビジョン、目指すべき方向が見えていません。そのため、今、何をすべきか、何に取り組むべきかが分からなくなっているのです。あるGMSは「グレードアップ、スケールアップ」ということで、高級ブランド、高品質、高価格路線を目指し、一方、別のGMSは「GMS+ディリーファッション」路線を行くなどという混乱が見られます。

食品スーパーチェーンの直営衣料部門にいたっては、もうどうしていいか分からず右往左往するだけで、これから先の目指すべき方向を考えることなどとてもできる状況にありません。とどのつまり、「衣料品は面倒くさいからやめちゃうか」などという結論を出したりします。これは、「衣料品はきちんとやれば必ず儲かる」という強い信念が無いからです。バブルの時代に、「衣料は儲かる」というのでそれほど深く考えずに衣料をやってみたが、いまとなっては「衣料部門がお荷物、重荷になってきた。やめちゃおうか」というものです。

しかし、衣料部門をモノにするため、人、モノ、金、時間をちゃんとかけて、真面目に、真剣に努力してきたかというと、そんなことは決してありません。だから、すこし強い向かい風が吹くと簡単に倒れてしまうのです。すぐ、「逃げたい。やめたい。放り出したい」となるのです。「衣料品は儲かる」という強い信念を持って、揺るぐことなく、真剣に取り組めば必ず儲かるようになることを信じて取り組むことです。

   ディリーファッションストア考(1)-終   (2)に続く

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研究会資料:ディリーファッションストア・紳士衣料部門の研究

■主催している「衣料スーパーストア研究会」の8月・月例会(第189回)で、売場坪数350坪~360坪のディリーファッションストアにおける紳士衣料部門についての研究をやりました。そのときのテキストに掲載した資料の一部です。紳士衣料売場づくりの参考にでもなれば幸いです。

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(表-1)は新店舗を出す場合におこなう商品部門別必要売場坪数計算例です。人によっていろいろの考え方、計算の仕方があるでしょうが、このやり方が基本になっているのではないかと思います。売場坪数設定を「勘」でやるのではなく、基礎数値データをもとに数字で計算していくことが必要です。これは「当たり前のこと」ですが、念のため。

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■(表-2)は、紳士衣料売場の商品分類別使用陳列什器台数を調べたものです。標準売場面積規模が350坪~390坪の店の紳士衣料部門の売場構成です。これは一つの事例ですが、紳士衣料が強い店はこれと異なる構成をやるかもしれません。

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■(表-3)は、ディリーファッションストアの紳士衣料売場のレイアウト及び陳列什器配置図です。ある店を調査したものですが、売場坪数350坪前後の店における紳士衣料売場はこの形が多いように思います。

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■(表-4)は、ファッションセンターしまむらの紳士衣料部門の実績数値です。紳士衣料部門の、①売上構成比9%、②粗利益率30~31%、③値下げ率8%~9%、④年間商品回転率9回~10回、しまむらでは、これが数値で見た標準店舗の紳士部門ということになりましょうか。

資料についてあれこれ細かな説明はしておりませんが、ゆっくり読み込んでいただければと思います。紳士衣料売場構成を考える時の参考にでもなればと考えて載せました。 完

      

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業界動向:しまむら・8月既存店月別売上高前年比93.2%で「前年割れ」、上期計も95.5%「前年割れ」

しまむら、2008年8月、既存店月別売上高前年比93.2%と「前年割れ」

しまむらの8月の「既存店・月別売上高前年比」は93.2%と「前年割れ」でした。また、上期の既存店月別売上高累計の前年比も95.5%と「前年割れ」となってしまいました。さらに、新店舗も加えた全店計上期売上高累計も99.8%と、これも「前年割れ」となりました。これは大変気になる数字ですが、一体、どうしたのでしょう。

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■表は、しまむらの過去3年間、2006年~2008年の「既存店月別売上高前年比」及び、「全店計月別売上高前年比」の推移をまとめたものです。2007年6月以降に、既存店月別売上高の「前年割れ」が目立ちます。そして、2008年は上期累計でも「前年割れ」、さらに、新店舗分も加えた「全店計上期売上高累計」も「前年割れ」になってしまいました。傾向値から考えると、2008年下期も相当厳しい見方をしなければならないかもしれません。余計なお世話と言われればそれまでですが、「しまむらの先行きにちょっぴり不安」を感じたのは当方だけでしょうか。(いらぬ心配といいますか、杞憂に終わればいいのですが・・・・・)

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■しまむらの2008年8月度のチラシセールと前年同月のチラシセールの比較表です。チラシ本数は08年、07年ともに7本で同数ですが、08年8月のチラシセールの打ち出し、表現は前年同月かなり中身が異なります。とくに目立つ違いは、08年8月は、低価格訴求型チラシで、40%OFF、しまむら安心価格よりさらにレジにて値下げ、徹底・売りつくし等の激しい表現によるタイトルコピーで「書き文字のチラシ」が5本と多いことです(07年8月に「書き文字チラシ」は3本で、タイトルコピーは、さらにレジにて半額、SUMMERラストセール)。

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■08年8月、8/9-10、8/13-15のチラシですが、このように「書き文字での低価格訴求型チラシ」が5回も打ち込まれています。しかし、どれも、タイトルコピー、デザイン・レイアウト、カラー使いが同じタイプで、それを繰り返し使っていますので、生意気な言い方で失礼とは思いますが、ワンパターンで、「新鮮さ」や「驚き」に欠けているように思います。お客さんは、「あら、また、この前のチラシと同じだわ」と思ったかもしれません。同じものを繰り返し使うのも一つのやり方ですが、短期間で続けて何度も打つた場合の効き目は果たしてどうなのでしょうか、ちょっと疑問を感じます。(また、インパクトもあまりないのでは・・・・・)

しまむら・08/8月度の「既存店・月別売上高前年比93.2%」を見て、以上のようなことを感じました。しまむらの実力と底力、そして「必死の頑張り」があれば、早期回復、早期挽回ができるだろうとは思うのですが、ちょっと気になる8月の実績数値でした。

ファッションセンターしまむらの、08/8月・既存店月別売上高前年比93.2%で「前年割れ」、上期計も95.5%で「前年割れ」   完

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経営課題:「ローコスト経営」に徹し、経常利益率9%超。

■売上比販管費率21.5%~22%のローコスト経営で、経常利益率9%超  

ファッションセンターしまむらの売上比・一般管理費及び販売費(以下、販管費と略)率、及び、経常利益率等の過去10年間における実績推移を時系列にまとめてみました(表-1)。

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■売上比販管費は、1999年2月期~2008年2月期の10年間を見ると、下限値が21.4%、上限は22.1%で、ほぼ22%以下に抑えられています。しまむらがローコスト経営に徹していることが見て取れます。販管費のなかでは、売上比人件費がほぼ10%、売上比賃借料がほぼ4.5%、売上比広告宣伝費がほぼ2%で、この①、②、③の3つで販管費の75%を占めています。売上比人件費率が10%と最も高い数値になっていますが、人件費を労働分配率で見ると約33%で、同業他社よりも3~8ポイントは低い数値です。

■粗利益率30%~31%、売上比販管費率22%、経常利益率9%超の「しまむら」

ファッションセンターしまむらが「ローコスト経営に徹している」ことはつとに有名ですが、10年間にわたって売上比販管費率が22%以下にコントロールされている小売企業は極めて少ないと言えます。さらに、それだけでなく、2006年2月期以降は、経常利益率も9%超、もう少しで10%に手が届くところにあります。売上比販管費だけなら20%以下の小売企業もありますが、それら小売企業の経常利益率は「しまむらの3分の1にも届かない」ところがほとんどです。同業他社と比べ、しまむらの経営力の凄さ、しまむらの強さが際立っています。

■①売場坪数390坪、②売場坪当り年間売上高100万円、③粗利益率30%、④5年間で投資回収、①~③は同じ条件で、売場坪当り年間売上高が120万円なら3年間で投資回収。

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(表-2)は、現時点におけるファッションセンターしまむらの標準店舗の出店開発投資にできるだけ近い条件設定をして、10年間の投資回収シュミレーションをおこなってみたものです。これはその初年度から5年度までの5年間分。

■投資回収シュミレーションにあたって設定した主な前提条件は次の通り。

(a)出店店舗建物面積420坪(売場面積は390坪)、建物設備坪当り投資高28万円、店舗建物は自己所有、(b)売場内装什器投資額は売場坪当り5万円、(c)敷地面積は1000坪で賃借、月坪当り地代は800円、(d)初年度売上高は、売場坪数390坪×売場坪当り年間売上高100万円、(e)店舗段階労働分配率28%(店舗段階ですのでチェーン本部人件費負担分は入っておりません)、(f)売上比販管費率3.5%、売上比一般管理費率1.5%、(g)減価償却は定額で、(h)粗利益率は(表-2)にある年度別粗利益率設定で、以上が前提条件として設定した主なものです。(あとは(表-2)を見て読み取っていただければと思います)

■投資回収シュミレーションの結果は、

(結果・その1)→初期出店開発投資額(この場合の初期投資額は1億4710万円。開発予備費含む)の回収期間は約5年、損益は初年度から黒字。

(結果・その2)→売場坪当り年間売上高が120万なら、約3年間で投資回収、損益は初年度から黒字。

というものでした。この二つの結果から、ファッションセンターセンターしまむらは、「店を出せば出しただけ、平行して売上も利益も増える」という収益構造を作り上げていることが分かります。そして、その仕組みに絶対の自信を持っており、それを背景にして、同業他社を尻目に、攻撃的、積極的出店を進めているものと思われます(出店立地選定に大きなミスがなければ、という条件はつきますが・・・・・)。

「出店店舗の投資回収は長くとも約5年間、早いものは3年間、そしていずれも初年度から黒字」、これができるのは、ディリーファッションストアでは「しまむら1社」だけかもしれません。ともかく、しまむらの徹底したローコスト経営と、しまむらの強さを見せつけられた思いです。

ファッションセンターしまむらの1999年2月期~2008年2月期、この10年間の売上比販管費率、経常利益率などの推移を調べ、それらの数値をベースにした出店開発投資の簡単な「10年間・投資回収シュミレーション」をやってみたわけですが、その結果を見て感じたことをまとめてみました。大雑把なまとめで恐縮ですが、なにかのヒントになればと思っています。

    「ローコスト経営」に徹し、経常利益率9%超」  完

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経営課題:「店舗寿命の短命化」にどう対処するか

■「店舗の寿命が非常に短くなっている。20年ももたないかもしれない」  

これは、ファッションセンターしまむらの経営トップのある方が、業界誌のインタビューで言ったものです。そのインタビュー記事を読んで、では、しまむらは店舗寿命の短命化にどう対処しているのだろうと興味を持ちまして、業界誌、業界新聞、講演録などをいろいろ調べてみますと、この他に次のようなことも言っています。

古い(高年齢)店舗に4千万円から5千万円かけて改装するよりも建て替えたほうが効率がいいケースが増えてきた。

時代が変わって商売になるべき立地が変わってきたらスクラップ・アンド・ビルドをして新しい店舗を出す。(注:ファッションモールの出店などもこれに入る)

店舗を1300㎡に大型化したのは5年後を想定しているからで、今のソロバンじゃない。(今の時代は)単独店でその地域のお客様を集めるにはある程度の規模が必要になる。

これらの発言からも、しまむらが進めている店舗寿命延命策の一端が見えてきますが、さらに、「年度別・決算短信」を読んでいくと、彼らのやっている店舗寿命延命策、そして、古い高年齢店舗の活性化策がなお一層よく見えてきます。以下は、それらについて、各年度別・決算短信から抜粋したものです。

平成16年2月期→既存店の移転と建て替えを8店舗で行う。

平成17年2月期→既存店の移転と建て替えを16店舗で実施。

平成18年2月期→既存店の建て替えを12店舗で行う。更に14店舗を大規模改装。

平成19年2月期→既存店の建て替えを8店舗で行う。106店舗を大規模改装。

平成20年2月期→既存店の建て替えを10店舗で行う。98店舗を大規模改装。

平成21年2月期・第一四半期→既存店の建て替えを3店舗。31店舗を大規模改装。

これらを見てわかる事は、彼らが、店舗寿命延命策と既存店活性策として、

古い高年齢店舗の建て替え移転(移転・増床・新築という形が多く見られる)、そして、大規模改装を急ピッチで進めているということです。こういった対策を進めるには、思い切った経営決断と、さらにもうひとつ、多額のお金(追加設備投資資金)が必要となります。これは、誰でも、どの小売企業でもできるというものではありません。この二つが同時進行できるディリーファッションストアは、おそらく、今の時点では、「ファッションセンターしまむら、1社」しかないと言ってもいいかもしれません。

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■旧店舗の至近距離に大規模商業施設が出現し、立地環境が激変、極めて不利な立地になったしまったため、その古い店舗を閉鎖、新たにつくったファッションモール牧の原内に「移転・増床・新築」されたファッションセンターしまむら牧の原。このようなケースが最近ではよく見受けられる。また、宮城県仙台市の「愛子ファッションモール」内に出た、ファッションセンターしまむら愛子店などもこれと同じケースだ。「しまむらのファッションモール」は、商業集積力がより強化された複合型の商業施設であり、競争力、集客力ともに高く、また、店舗寿命も単独店よりはるかに長い。

   「店舗寿命の短命化にどう対処していくか」  完

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研究会資料:見附市における「スーパーセンター衣料部門」対「しまむら」、「サンキ」の戦い

新潟県見附市における二つの戦い

(その1)ファッションセンターしまむら見附店vsサンキ見附店の戦い

新潟県見附市で、ファッションセンターしまむら見附店とファッション市場サンキ見附店が道路を挟んでわずか100mあるかないかの至近距離で競争しています。しまむら対サンキが、同じ都市、町で競争しているところは数多くありますが、この見附市のように、両者が眼と鼻の先で戦っているケースは極めて少ない。

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■しまむら見附店とサンキ見附店の概要は別表のとおり。両者の売場坪当り年間売上高推計は、しまむら約91万円、サンキ約86万円ですから、その差は5万円もあります。しかし、サンキ見附店は、しまむら見附店の約1.9倍の売場坪数ですので、年間売上高ではサンキが約3億円前後、しまむらより高くなっています。このエリアにおける売上シェアは、しまむらより、断然、サンキ見附店の方が高く、売場面積規模の差が、そのまま、年間売上高と売上シェアの差をもたらしていると思われます。売上高が相手より大きく、売上シェアも高いサンキの方が「勝ち」と言うこともできますが、見附市における両者の戦いは、「相撃ち」、「引き分け」という見方をした方がよいのではないかと思います。店舗段階の税前利益率・額はどちらの店が高いか分かりません。しかし、利益効率面では、おそらく、しまむらの方がサンキより上ではないかと考えています。

(その2)見附市における、スーパーセンター(ここではスーパーセンターPLANT-5見附店)の衣料部門とディリーファッションストア「しまむら」、「サンキ」の戦い

①しまむら見附店、②サンキ見附店から、約1.8km~2kmのところに、③スーパーセンターPLANT-5見附店があり、①、②、③、3者は「お互いに大きな影響を及ぼす位置関係、競争関係」にあります。したがって、見附市は、スーパーセンターの衣料部門対ディリーファッションストア「しまむら」、「サンキ」の戦いを見ることのできる競争激戦地でもあるわけです。

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■スーパーセンターPLANT-5・見附店の概要をまとめた表です。各年度別決算短信より作成しました(平成19年以降は決算短信のフォーマットが変わりましたので、平成18年9月期まで)。このデータをもとに、PLANT-5・見附店の衣料品売上高を推測計算してみましたが、年間約6億円~7億円の間ではないかと思われます。衣料部門の売場坪当り年間売上高は、おそらく、しまむらや、サンキより「下」ではないかと考えられます。

スーパーセンターPLANT-5・見附店の出店で、「しまむら見附店」、「サンキ見附店」の売上が激減したということはなく、その影響は軽微?

PLANT-5・見附店の出店で、「しまむら見附店」、「サンキ見附店」、この両店の売上が激減したということはないようです。また、PLANT-5・見附店・衣料部門の売場面積規模は、靴・履物、寝具・インテリアまでいれると、しまむら見附店、サンキ見附店、この2店よりはるかに大きいわけですが、売場効率、商品利益効率は、しまむら、サンキよりかなり劣っているのものと考えられます。衣料品の商品経営力、品揃え力、売場運営力は、しまむら、サンキの方が「はるかに上」と言っていいでしょう。

しまむら見附店の売場坪当り年間売上高推計は現在、約91万円前後と推測されます。これは、新潟県における2008年2月期のファッションセンターしまむら・35店舗平均の売場坪当り年間売上高約89.9万円より上の数値になります。もし、スーパーセンターPLANT-5・見附店の出店で大きな影響を受けていれば、この数値はもっと下がっているはずです。

サンキ見附店の売上高は約5.5億円~6億円、しまむら見附店約3億円~3.3億円、アベイル約2.3億円~2.5億円、3店合計の年間売上高は、下限値約10億8000万円、上限値11億8000万円。これに比べ、スーパーセンターPLANT-5・見附店の衣料部門の売上高推計は約6億円~7億円ですから、「しまむら+サンキ+アベイル」、この3店を合わせた商集団グループに、売場面積規模、年間売上高、ともに大きく引き離されている=負けていると言えます。すなわち、しまむら見附店、サンキ見附店、この2店には、PLANT-5・見附店の出店による大きなマイナス影響はなかったと考えられます。

(a)ストアコンセプト、(b)商品品揃え基本コンセプト、(c)商品ポジショニング、(d)品揃えにおけるファッショントレンドの取り込み、これらについて、「しまむら」、「サンキ」の2者は、明確な設定をしている。しかし、PLANT-5・見附店には、低価格という以外に、(a)~(d)についての明確な設定がない。「ただ、安いだけ」、「ファッション性、品質は劣るが、とにかく安い」というだけでは、ディリーファッションストア業界、ナンバーワン企業・しまむら、そして、ナンバー2の「サンキ」にはとても勝てない。大きな打撃、大きなマイナス影響を与えることもできない。

日本国内におけるスーパーセンターの展開形態は各社各様、その「定義づけ」もまた、各社各様です。また、各社がそれぞれの考え方で展開している「スーパーセンター」における衣料部門も、これまた、各社各様で、共通する考え方、共通する部分というものがあまり見られません。したがって、スーパーセンターの衣料部門とディリーファッションストアの比較分析をする場合、ある1社のスーパーセンターだけを取り上げて、あれこれ言うのは大きな危険があります。大間違いするかもしれません。

したがって、今回、このレポートで、スーパーセンターPLANT-5・見附店の衣料部門と、しまむら見附店、サンキ見附店を比較分析して、「スーパーセンターの衣料部門は、ディリーファッションストアNo.1企業・ファッションセンターしまむら、No.2・サンキの店にとってそれほど脅威となる手強い競争相手ではない」と結論づけていますが、それに絶対的自信を持っているというわけではありません。ここのところは頭に入れておいてください。(今後、いくつかのスーパーセンターの比較分析をやっていきたいと考えています)

    完

   

  

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業界動向:岩手県における「ファッションセンターしまむら」の動向

盛岡市では、ファッションセンターしまむらが「ひとり勝ち」との話を聞く 

岩手県盛岡市にはファッションセンターしまむらの店が2店ありますが、その2店とも、とてもよく売れているとの話を聞きましたのでちょっと調べて見ました。

岩手県の人口数は全国都道府県のなかでは上から30番目くらいのところに位置しています。そして、その県内都市別人口を見ると、10万人以上のところは、盛岡市・約29万9千人、奥州市・約12万8千人、一関市・約12万3千人、花巻市・約10万3千人、この4都市だけです(2007年10月1日推計人口)。これらの数値から考えて、岩手県内におけるファッションセンターしまむらの動きはそれほど活発ではないだろうと思っていましたので、あまりマークしていませんでした。そこに、先の話、=「盛岡市にあるファッションセンターしまむらの2店が、とてもよく売れている」=、を聞いたわけです。

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■別表は、岩手県におけるファッションセンターしまむらの現状を数値にしたものです(しまむらのHPより抜粋)。2004年2月期と2008年2月期の比較をしていますが、この間では、年間売上高に大きな変化は見らず、「ほぽ横ばい」の数値になっています。店舗数も、売上シェアも「ほぼ横ばい」で、売上高同様の傾向です。

ただし、注目すべき点があります。それは、3.3㎡当り年間売上高の高さです。その数値を見ると、08年は04年より約8万円ほど下がってはいますが、それでも約122.8万円という高い数値です。2008年2月期における「ファッションセンターしまむらの県別3.3㎡当り年間売上高」が120万円を超えているところは、わずか、8つしかありません。したがって、県内人口数がそれほど多くはない岩手県のこの3.3㎡当り年間売上高122.8万円という高い数値は注目すべき数値であるわけです。

ちなみに、3.3㎡当り年間売上高が120万円を超えているところは、2008年2月期では、東京都・約178万円、静岡県・約135万円、神奈川県・約133万円、愛知県・約131万円、長崎県・約125万円、岩手県・約123万円、山梨県・約122万円、大阪府・約120万円、この8つです。

■盛岡市にある「ファッションセンタしまむら」の2店舗、しまむら・みたけ店と、しまむら・盛岡南店が「極めて高い売上高と売上効率」を上げている。

(A)しまむら・みたけ店     

盛岡市みたけには、1993年11月に出店した「みたけ店」(売場坪数約302坪、年商推計約7.2億円/07年)がありましたが、この店は閉鎖され、そこからやや離れた場所に移転、増床して、新「みたけ店」(売場坪数約377坪、駐車場台数61台)を開店しています。

旧みたけ店の3.3㎡当り年間売上高推計は約241万円でしたが、増床された「新・みたけ店」でも、190万円~210万円は売上げているのではないかと思われます。

(B)しまむら・盛岡南店

盛岡南店は、1996年11月出店、売場面積・約376坪、年商推計約6億円/07年、3.3㎡当り年間売上高推計・約160万円。

この2店舗の売上高、売上効率は、ファッションセンターしまむら全店のなかでもかなり上位にランクされる数値です。

■しまむらの「立地選定眼の良さ」と、その「先を見通す眼の凄さ」に敬服

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別図は、しまむら・みたけ店とその周辺図です。これを見てわかる事は、しまむら・新みたけ店の半径約1.5kmには、これといった「めぼしい競争相手の店」が無いということです。約1.2kmのところに地元ローカル食品スーパーチェーン・ジョイスのSC「スーパーセンターみたけ」の中に、ジョイスの別会社・量販総合衣料品店ベルマートがあります。しかし、しまむらの競争相手としては力が弱く、しまむら・新みたけ店の売上にそれほど大きな影響はないと考えられます。こう考えますと、しまむら・新みたけ店の立地は、「商圏人口数は多いが、これといった強い競争相手がいない無風・無競合地域にある」ということができます。このような好条件の立地にある店であることに加え、その背景には、しまむらの強力な商品力、品揃え力、商店経営力があるわけですから、「売れて当たり前」ということになります。年商推計約7億~7.5億円という高い数値も納得できるのではないでしょうか。そういう立地に店を出した「しまむらの立地選定眼の良さ」、その「先を見通す眼の凄さ」には驚きとともに脅威すら感じます。しまむら・盛岡南店にもこれと同じことが言えるのではないかと思います。最近、しまむらの売上、利益等の伸び悩みと、その先行き不安がよく言われますが、それを100%、真に受けて、しまむらの力を見誤ることのないようくれぐれも注意したいものです。ディリーファッションストア業界だけでなく、量販衣料品店全体の中でも、「ファッションセンターしまむらが最強」であることに変わりはありません。それを決して忘れないことです。

盛岡市と同じようなケースが東京都青梅市でも見られます。ここも一見の価値があります。是非、見に行かれることをお薦めいたします。

  「岩手県におけるファッションセンターしまむらの動向」 完

     

 

  

 

 

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チラシ販促:しまむら&食品SM・いなげや衣料部門単独チラシの比較

センターしまむらと食品SM・いなげや直営衣料部門・単独チラシの比較

量販衣料品店「ファッションセンターしまむら」のセールチラシと、食品スーパー・いなげやの直営衣料部門の単独セールチラシを比較してみました。

食品スーパー・いなげやの店舗数は125店舗(08/2)ですが、現在、衣料品を取り扱っている店は、そのうちの14店舗か、15店舗のようです。10年前は、衣料品取扱店はもっと多く、直営衣料品年間売上高も34億円前後あったように思います。しかし、その後、直営衣料部門の縮小、撤退・閉店を進めましたので、現時点の直営衣料部門の年間売上高は大分減っていると考えられます。これは推測ですが、おそらく、年間売上高20億円以下になっているものと思われます。いずれ、直営衣料部門はなくなってしまうものと考えられます。多くの食品スーパーの直営衣料部門が同じ「この道」を辿ることになるでしょう。

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■08年8月6日に打たれた両社のチラシです。左側が「ファッションセンターしまむら」、右側が「食品スーパー・いなげや・直営衣料部門の単独チラシ」です。この両社のチラシ比較で、すぐ分かる事は、しまむらに比べ、いなげやのチラシ掲載アイテム本数が極めて少ないこと、いなげや・直営衣料部門のチラシは低価格訴求の表現力、インパクト、ともに「しまむら」と比べると、とても弱いこと、衣料品屋はチラシに、めったに、寒色(例えば、ブルー)をベースに使いませんが、いなげやは使っていること、この3点があげられます。

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■チラシの裏面です。いなげやは裏面も青色。夏物処分で「30%引き」を、大きな文字で訴求していますが、カラーが青色のため、インパクトが弱くなっています。しまむらは、もう、「秋物」の展開ですが、衣料品屋では、8月も6日になれば、「秋」を売るのが常識的な考えと言っていいでしょう。このへんの「感度」も大分、異なるようです。

■食品スーパーの直営衣料部は、「季節の変化」、「トレンドの変化」、「衣料専業店の品揃えの変化」、そして、「チラシ販促企画とチラシのデザイン、レイアウト、カラー使い等の変化」をもっともっと意識したチラシ販促企画をつくらねばならない!

ここにあげた両社のチラシ比較でも、食品スーパーの直営衣料部門と、衣料専業店「ファッションセンターしまむら」のちがいがよく分かることと思う。チラシは両社、B4サイズと同じであるが、その効き目というか、訴求力・インパクトは、「どう見ても、しまむらのチラシの方が上」である。

しまむらが、表面2色、裏面4色と多色使いになっているが、このインク代と紙代のコスト差は「いなげやの1色チラシ」と比べ、それほど大きなものにはならない。チラシコストで大きなものは「チラシ折り込み料」だが、これは、サイズがB4と同じなのでコスト差はほとんどない。と、考えると、いなげや・直営衣料部門のチラシは、「もったいない作り方をしているな」と考えるのであるが、この考え方は間違っているでしょうか・・・・・。コストがほとんど同じであるならば、「もっとインパクト、迫力、訴求力のあるチラシ」にした方がいい。

衣料品専業店・「ファッションセンターしまむら」と、食品スーパー(ここでは、いなげや)の直営衣料部門のセールチラシ比較をしてみて感じたことをまとめてみました。 

    完

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チラシ販促:パシオス 夏物処分セールの展開パターン

パシオス 「夏物処分セール」の展開パターン  

パシオスの夏物処分セールの展開パターンは3段階となっている。このやり方はもう何年も続いているが、ストーリー性があって面白い。なんとなく分かるというか、説得力のある展開になっている。2008年7月中旬~8月上旬にかけて展開された夏物処分セールの展開ストーリーをセールチラシで見てみると次のようになる。

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■パシオス「夏物処分セールの展開パターン(第1弾)」。セールチラシのメインタイトルコピーは「夏物完全処分」で、これをもう何年間も使っています。これが夏物処分セールチラシの第一段階となります。効き目のあるタイトルコピーなのでしょう。文字の大きさや、チラシレイアウトなどは多少、変化しますが、基本型は毎年同じパターンです。

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■夏物処分セール展開パターン(第2弾)のチラシです。メインタイトルコピーは「売りつくし」で、これも毎年同じ文言です。第1弾と同様、文字サイズ、その位置、チラシレイアウトが多少、変化することはありますが、これも基本型は同じです。

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■(第3弾)です。夏物処分セールの最終段階のチラシとなります。

パシオスの夏物処分セールの展開パターンは、このように、①夏物・完全処分→②夏物・売り尽くし→③夏物・終了宣言、3段階で展開されます。この展開パターンは何年も同じですので、おそらく、かなりの実績と効果があがっているのかもしれません。ストーリー性があって、なかなか面白いやり方ではないかと思います。人によっては「ワンパターン」の展開ではないか、ちっとも面白くないと言うかもしれませんが、このようにストーリー性のある夏物処分セールの展開をしている店はあまりないように思います。単に、処分、処分と繰り返すだけのものが多いなかではユニークに映ります。

パシオス 「夏物処分セール」展開パターン 2008年と2007年の比較

2008年度 

      セール期間  セール・タイトルコピー 07年 セール期間

第1弾 7/23-27   夏物完全処分    7/18-22

第2弾 7/30-8/3 夏物売りつくし     7/25-29

第3弾 8/1-3    夏物終了宣言     8/1-5

①夏物処分セールは3段階で展開。

②2008年は2007年より5、6日、後にずらして展開開始。

③セールタイトルコピー(赤文字部分)は、08年、07年ともに同じ文言。

 夏物完全処分→夏物売りつくし→夏物終了宣言 この流し方。

      

    「パシオス 夏物処分セールの展開パターン」  完

  

                 

 

 

   

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新店舗情報:ヨークベニマル(新)東根店 8月1日開店

8月1日、ヨークベニマル東根店(新店)が開店。衣料をフルライン展開。 

その概要をヨークベニマル・ホームページの「新店インフォメーション」から抜粋したのが以下の■です。

■2008年8月1日、ヨークベニマル東根店開店。閉鎖した旧店舗より立地を400m移動し、ショッピングセンター「さくらんぼタウン」内に出店。

■(新)東根店の店舗概要は、①所在地→山形県東根市小林一丁目2-48、②店舗面積3710㎡≒1122坪、③駐車場台数・全体→716台、④鉄骨造・平屋建、⑤年商見込25億円、⑥商圏人口→車で5分圏内の世帯数約7300世帯、人口数約25000人、世帯人員約3.4人、となっています。

ヨークベニマルは、衣料品部門の新規出店凍結、不拡大を政策として決めていますが、ここ(新)東根店では、衣料品をフルラインでやっています。それは、おそらく、閉鎖した旧東根店で衣料品をフルライン展開していたので、引き続き展開したものと考えられます。

商圏人口を7300世帯としますと、衣料品の年間需要額推計は約14億6000万円です。このマーケットにおけるヨークベニマル東根店の初年度確保目標売上シェアを仮に20%と設定しますと、初年度衣料品売上高目標は、約2億9200万円→約3億円。衣料部門の年間坪当り売上高を100万円とすると、衣料品売場の必要坪数は約300坪。先述しましたが、まだ、実際に店を見ていませんので、衣料品売場坪数は分かりませんが、「当らずといえども遠からず」の数字ではないかと思っています。(勝手な推測で失礼な話ですが・・・・・)

しかし、衣料品をフルライン展開した新東根店に大いに興味を持ちまして、とりあえず、彼らのネットHPに発表された「開店チラシ・第一弾」に掲載されていた衣料品の商品部門別・売価ライン別掲載本数を調べてみました。

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■新・東根店の開店日が、時期的にみて「夏物処分の真っ只中」ということもあり、開店第一弾チラシといえども、その掲載品目選定と売価設定にはかなり苦労したのではないかと考えられます。しかし、調べて見ますと、売価ライン300円、500円、700円、1000円というところに山をつくっています。ミニGMS型品揃えのヨークベニマル衣料部門としては「頑張っているな」と感じました。通常時期の売価政策は、もとの「ミニGMS型」に戻るでしょうが、開店セール第一弾チラシにはヨークベニマルも低価格訴求品をかなりの本数掲載することが分かりました。「びっくりするほどの安さ」ではありませんが、それなりのインパクトと集客力はありそうです。

いずれ店を見に行かなければと思ってはいますが、とりあえず、開店第一弾チラシにおける衣料品掲載品目とその売価ライン別掲載本数を調べてみた次第です。

  「ヨークベニマル東根店 8月1日開店。衣料品をフルライン展開」 完

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業界動向:しまむら 7月既存店・月別売上高前年比101.9% 底力を見せる。

ファッションセンターしまむら 08/7月 既存店・月別売上高前年比101.9%

08年4月、5月、6月と既存店・月別売上高の「前年割れ」が続き、さすがの「しまむら」も、いま、起きている景気低迷、消費不振の大波からは逃げられないのかと思われました。ですから、7月の既存店・月別売上高前年比も、もしかしたら「前年割れ」になるのではないかとその先行きを不安視するむきもありました。

しかし、前年・07年7月の既存店・月別売上高前年比が91.2%と非常に悪く、落ち込み幅も大きかったので、今年08年7月の数字が「前年割れ」することは無いだろうと予測していました。結果は、前年比101.9%の実績で、「しまむらの底力」を見せつけられた思いです。やっぱり「しまむらは強かった」と言えるのではないでしょうか。

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■(表-1)は、高収益小売企業4社の既存店・月別売上高前年比の推移(08年3月~7月)を比較したものです。08年7月は、ハニーズを除き、前年比100%をクリァしています。とくに、「ユニクロの強さ」が目立ちます。7月は「暑い夏が来た」ということと、各社の必死の売上確保努力もあって「売上前年割れ」を回避できたのではないかと思われます。しかし、過去6カ月の実績数値の推移を見ると、先行きの不安感が無くなったというわけではありません。

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■(表-2)は、しまむらの08年7月と07年7月のチラ販促セール実績の比較表です。しまむらが、7月はチラシ販促セールに、相当、力を入れていることが分かります。07年7月はチラシセールを7本打ちましたが、結果は「月次売上高、大幅、前年割れ」でしたから、08年7月は、絶対に「前年割れ」回避と、必死の努力をしたものと思います。

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■しまむらは、今年の7月は、低価格訴求を強化し、集客力と売上アップに取り組んだと言っています。結果は、先述のとおり、既存店・月別売上高前年比101.9%という実績で、その狙い通りになりました。

最近のしまむらのチラシで目立つことが3つあります。それは、①「しまむら・安心価格より、レジにて値下げ」、「しまむら・安心価格よりさらに値下げ」というコピーが強調されていることと、②890円という売価ラインが消え、970円という、いままであまり使ったことのない売価ラインを打ち出していることです。③は「割引表現」を減らして、売価そのもので低価格訴求を強調するというやり方になっていることです。970円の売価ラインについては、業界通が言っているのは、しまむらといえども、仕入コストの上昇で890円ラインの維持が困難になってきたということです。しまむらは「売価を抑え、値入率も抑える」という考えですが、その維持が厳しい局面に入ったということでしょうか。

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■最近、しまむらがよく打ち出すB4サイズの低価格訴求型チラシです。先にあげているチラシ、B3サイズ・4色のチラシセール期間の最後の2日間に入れてくる「追い込み、重ね打ちのチラシ」です。かなり迫力のある低価格訴求をやっています。しまむらが、ここまで激しい低価格訴求をやるというのは、いままでになかったことではないでしょうか。それだけ、真剣だということになります。しまむらの競争相手は、今後、これでかなり苦しめられることになると思われます。

■今の厳しい経済環境、消費低迷のなかで、店を出せるのは、①しまむら、②ユニクロ、③ポイント、④ハニーズ、この4社だけという話

これは、業界新聞に載った「ある経営トップ」の発言です。今こそ、積極的出店をするチャンスだと言う話でした。「出店すれば、売上は増え、利益も増やせるという収益構造をつくりあげているのだから、縮こまっているのではなく、積極的に攻める、積極的に出店していく」ということです。ハニーズ、そして、しまむら、この2社の経営トップもそう考えているようです。そこで、高収益小売企業と言われる4社の利益効率、経費率などを調べてみましたが、なるほどと、納得できるものがありました。しかし、これはこの4社だからそうできることを忘れないでください。

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■(表-3)は、高収益小売企業4社の各種利益効率、経費率の実績推移表です。これを見ると、この4社だけが積極的出店を進めることができるという話がよく理解できます。今後、彼らが進めていく出店政策を注意深く見つめていこうと思います。おそらく、しまむらと、ハニーズ、この2社は今後、積極的に出店をしていくことが考えられます。

 「しまむら、7月の既存店・月別売上高前年比伸び率101.9%」  完

  追記

業界月刊誌「販売革新8月号(商業界)」に、小レポート「小商圏衣料ストア(衣料スーパー、食品スーパーの衣料)が今すぐ打つべき緊急対策」(関根清治)を書きました。ご一読いただければ幸いです。

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