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必勝仕入学:「バイヤーへの提言100」

必勝仕入学ー「バイヤーへの提言100」  

   仕入れの失敗が少なくなれば商品生産性が上がる。

   売上が上がる。値下げロスが減る。回転が上がる。

   粗利益率が上がり、粗利益額も増える。利益が上がる。

(1)在庫過剰は諸悪の根源。在庫過剰は「悪」である。

(2)在庫コントロールが出来ない人は「バイヤー失格」

(3)「その場の思いつき仕入れ」はやめよ。

(4)商品管理日報には毎日、必ず目を通せ。

(5)先々を、よく考え、予測してから仕入れよ。

(6)「予測精度」をより確かなものにするために数値デーを徹底的に分析せよ。

(7)在庫の「多い、少ない」を前年と比較しても意味は無い。

(8)「値下げ」の原因は、そのほとんどが仕入過剰と在庫過剰によるもの。

(9)「在庫が少ないから売れない」という言い訳をするな。

(10)商品回転日数重視の商品管理、商品経営に徹せよ。

(11)商品品揃え鮮度を厳しくチェックせよ。

(12)実売場坪当り平均売価在庫高12万円~14万円。

(13)月初売価在庫高は「当月予測売上高の1.3倍以内」が基本原則。

(14)「売上があって在庫が決まる」、在庫で売上が決まるのではない。

(15)「今日の仕入れでは、何をいくらで何枚仕入れるか」を決めておけ。

(16)仕入先を回って、「仕入れない、買わない」のも仕入れ。

(17)商品経営の資金繰りを考えられないバイヤーを排除せよ。

(18)仕入れとは「情報を仕入れること。情報を伝えること」である。

(19)常に、「今」の事実をよく見て仕入れよ。過去情報に縛られるな。

(20)仕入れには常に危険(リスク)がつきまとうことを忘れるな。

(21)数量管理を徹底せよ。金額(ダラー)管理では見えないものが見えてくる。

(22)「最後にもう一勝負」と意気込んだ仕入れが大きな失敗につながる。

(23)季節の立ち上がり期と、季節の終わり(端境期)の仕入れは用心深く。

(24)「死に筋商品」の判定基準を厳しく。具体的な数値基準をつくれ。

(25)仕入れに行く前に、必ず、自店と競合店の品揃えを十分調査比較せよ。

(26)出来る限り多くの店を見て歩け。比較判断力を育てよ。

(27)仕入れの失敗を「言い訳」で逃げるな。素直に反省せよ。

(28)「売れなかった理由」を店と販売現場の人のせいにするな。

(29)チラシ販促セールに掲載する商品は十分吟味せよ。安易に決めるな。

(30)優秀な実績を上げているバイヤーから学べ。教えを乞え。

(31)品揃えに疑問と不安があったら、即、実地棚卸しせよ。

(32)計数把握力を強化せよ。「数字が読めないバイヤーは、即刻、身を退け。

(33)売価政策をきちんと考えよ。それに基づいた仕入れをせよ。

(34)日々の商品動向に関する細かな数値データを読み続けられる忍耐力と根気をもて。

(35)独善的仕入を避けよ。「売れそうもないな。売りにくいな」と思った商品は仕入れるな

(36)出来るだけ販売現場に立て。現場第一主義の仕入れをせよ。

(37)仕入先のトップの話をよく聞け。商品企画・仕入担当者をつかまえよ。

(38)同業他社のバイヤーとの情報ネットワークを築け。

(39)繊研新聞、日経流通新聞(日経MJ)には必ず目を通せ。

(40)自信が揺らいだら、できるだけ多くの販売現場の人の話を聞け。客に聞け。

(41)バイヤーは何千万、何億円の金の運用を仕入れという形で任されているのだ。

(42)仕入れという仕事を軽く考えるな。「利は元にあり」は仕入れの優劣で決まる。

(43)バイヤーは「泣き言」を言うな。全身全霊を打ち込め。

(44)バイヤーという仕事は小売業で最も面白い仕事、花形職種である。

(45)超優良企業の商品経営データ管理システムとその活用を徹底的に研究せよ。

(46)配送センター、店舗の倉庫の在庫を常にチェックせよ。

(47)仕入れは「買えば終わり」ではない。仕入れた商品が売り終わるまで手を抜くな。

(48)仕入れにでたら、仕入先を一日に少なくとも5~8社は歩け。

(49)「あのバイヤーの情報収集力と分析力は凄い」と言われるバイヤーになれ。

(50)店を生かすも、殺すも、バイヤーの腕次第。ダメ・バイヤーが店を潰す。

(51)「週単位」の商品管理、週単位の仕入れを。週間MDを基本とせよ。

(52)仕入れた個々の商品の「商品寿命」はバイヤーが考えているよりはるかに短い。

(53)商品の販売期間と販売終了(切り上げ)時期をよく考えて仕入れよ。

(54)仕入時には「この商品は今、いくらの売価で、どのくらいの数量が売れるか」考えよ。

(55)問屋の出し値(小売側の仕入原価)を聞く前に、自分で「いくらの売価なら売れるか」を」考えよ。

(56)「何が売れるか。実際に売場で売ってみないと分からない時代」だ。先行発注は慎重に。

(57)展示会で6ヵ月も先の季節の商品を先行発注する場合は用心の上にも用心して。

(58)その商品をどう売るか(売価、場所、陳列演出、什器台数など)を考えて仕入れよ。

(59)品種・品目別・売価ライン別週間売れ数、週末在庫数量を常に把握せよ。

(60)品揃えアイテム数を増やすために商品1型当りの仕入数量をできる限り少なくせよ。

(61)売行き不振品の値下げ処分は「早め、早目に」。いつまでもダラダラ引き延ばすな。

(62)1品平均売価単価の変化を日々データ分析し常にチェックせよ。

(63)「買上客1人当り平均買上点数」を増やすことを考えよ。

(64)「委託商品」はできる限り排除せよ。仕入れと商品管理があまくなる。

(65)自分で着たこともない、使ったこともない商品を仕入れる時は人の意見をよく聞け。

(66)自社の配送センターの在庫、店舗倉庫の在庫が奥にあることを忘れるな。

(67)商品ごとに、①最大陳列量、②最低陳列量、③発注点と発注単位をよく考えよ。

(68)小分類レベル(例えば、婦人長袖Tシャツ)の売数、在庫数データを日々管理せよ。

(69)「月初大量在庫、それを売り減らし型」のやり方は厳禁。このやり方は、在庫過剰、低速回転、大きな値下げを引き起こし、商品生産性を著しく悪化させる。

(70)チラシ掲載商品の「セール後の売れ残り品」が商品回転の足を引っ張る。

(71)バイヤーの業績評価は、まず第一が「商品回転日数」、次が「粗利益率・額」

(72)バイヤーは商品チョイスの目(選択眼)を磨け。これが悪いと失敗の連続になる。

(73)月間仕入回数、仕入頻度は少なくとも4回以上に。一回当りの仕入額は少なく。

(74)1店舗当りの商品投入量をよく考えて設定せよ。原則は1型当り6枚とせよ。

(75)現金問屋を安易に使うな。よほどの目利き、腕利きバイヤーでないと使いこなせぬ。

(76)特価品として「セット販売商品」を仕入れるときは、その量が売切れるかよく考えよ。

(77)チラシセールで「全品○○割引」というやり方はできるだけ避けよ。売価が維持できなくなる。お客の売価政策に対する信頼感が著しく喪失する。

(78)仕入業務終了後に必ず「何をいくらで何枚仕入れたか、納期はいつか」を整理記録せよ。

(79)「仕入れるのは簡単。仕入れた商品を損せず売り切るのが難しい」

(80)季節の天候変化、としに、気温の変化に気を配った仕入れをせよ。

(81)季節分類は年間で少なくとも12分類。春、夏、秋、冬、だけではない。

(82)春物は難しい。秋物は寿命が短い。冬で失敗すればその1年間は無駄働き。

(83)問屋・メーカーのランニングストック在庫切れからくる「品切れ、欠品」に注意せよ。

(84)いわゆる、長期間販売を見込んだ「定番商品」はもう極めて少ないと考えよ。

(85)商品サイクルが、導入期、成長期、成熟期、衰退期の順に進むと考えるな。

(86)「多品種多アイテム1型少量品揃え」と、その仕入れを支えるものは「日々のこまめな商品管理」

(87)季節の売れ残り品を持ち越すな。損が出てもその季節内で処理せよ。持ち越し在庫にするな。

(88)常に新規仕入先開発を心がけよ。ヒット商品、売れ筋品を出し続ける問屋・メーカーはない。

(89)バイヤー40歳定年説。頭が柔軟で行動力・体力があっても45歳まで。

(90)PB商品の開発は、過去の品種、品目別単品データを十二分に分析して少しずつ。

(91)自店の販売力が無い、販売数量が少ないから値入率交渉ができないと嘆くな。されよりも「売り切ること」の方が大事。

(92)他のバイヤーの失敗をよく研究分析せよ。必ず得るものがある。

(93)好奇心、興味、新しいものに対する取り組みがバイヤーには必要だが、ただそれだけではダメ。数字付きで考えよ。

(94)「自分を売れるバイヤーになれ」。同業他社からスカウトされる凄腕バイヤーになれ。

(95)情報精度の高い人と親しくなれ。使える価値ある情報はそこにしかない。

(96)なにをどうしたいのか、何を知りたいのかを常に考えておけ。そうでないとどんな情報も生かせない。役立たない。

(97)常に情報収集。常に日々データ分析。常に現場歩き。常に同業他社の店歩き。これがバイヤーだ。

(98)売場坪当たり年間売上高120万円、年間商品回転率10回、粗利益率30%

(99)マクロな分析も必要だが、業績を上げるには、ミクロの出来事をよく分析し、その問題点を改善、強化することの方が大事。「細事に神、宿る」

(100)物知り顔をするな。訳知り顔もするな。常に謙虚に。その方がよい情報が集まる。

    完

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しまむら対策(その5:しまむらとの競争に備え、「やっておかねばならない前準備」④)

■「強いしまむらとの競争」に備え、「やっておかねばならない前準備」    

(6) チラシ販促セールも「しまむら対策」では重要なものの一つです。しまむらのセールチラシ実物を全て、必ず入手できる収集ネットワークをつくり、そこで集めたチラシ全部の企画内容、狙い、レイアウト、表現の仕方、チラシ掲載商品名と売価、掲載品目数等を徹底的に分析研究すること。そして、低価格訴求力、企画内容で「しまむらに負けないチラシ販促セール」が打ち出せる力をつけていくこと。また、チラシ販促セールの掲載商品アイテム設定、売価設定、投入数量設定、販売予測数量、売場展開・陳列演出のやり方などを、商品部長が直接指示命令する仕組みにしておくこと。

014

■しまむらのチラシの調査分析では、必ず、(表-1)の本年・前年同月チラシ販促セール実績比較表をつくるべきです。これは、08年6月と07年6月のチラシセール実績対比表です。チラシセールの月日・期間、チラシサイズ、セールタイトルコピー、注目企画などを記載し、前年と今年ではどこが変わったかをしっかりマークしておく必要があります。

002■しまむらが今年の6月25日に打ったセールチラシですが、いままであまり使ったことのなかった970円という売価を打ち出しています。10円の位を70円とする売価表現は、以前、サンキが頻繁に使っていた記憶がありますが、お客が80円という売価表現よりも10円安く感じるだろうという狙いかもしれません。(小細工にしか思えないのですが、これで効き目があるのでしょうか・・・・)。ともかく、チラシを細部にわたって詳細に分析し、競争相手である「しまむらの考え方」を読み取る努力を積み重ねること。そうすれば、彼らの打つ手がかなり予測できるようになるはずです。販促担当者は「しまむらのチラシ販促セールの分析研究」を決してサボってはなりません。

「効き目のあるチラシ販促セール」をうちだすことができるかどうかは、すべて商品部長の肩にかかっています。商品部長の力量と、取り組み方で決まります。ですから、商品部長はチラシセール企画内容設定に深く関与し、掲載品目名と売価、品質、投入数量などを厳しくチェック、最終決定を絶対に他人任せ(とくに、バイヤー任せ)にしてはなりません。商品仕入担当者が提出したチラシ掲載品目、売価などが、いい加減で、あまい設定で、これでは売れないと考えた場合は、バイヤーに遠慮などせず、思い切ってカットしてしまうことです。これを徹底的に、厳しくおこなう必要があります。仕入担当者から強い反発がでることもありますが、それに怯むことなく、強権発動してでもやるべきです。

仕入担当者の中には、「こんな掲載品目、こんな売価設定ではだめだ」と厳しく追及されると、自分の努力不足を棚上げにして、「言い訳と愚痴」ばかり並べ立てる者がいます。「それはできません。そんなものありません。代わって仕入れてきてください」と開き直る者もいます。必死の仕入努力が必要となる「セール商材探し」をなんとか避けたいものだと考えているからかもしれません。商品部長はそれら、仕入担当者の反発、開き直り、抵抗を乗り越え、「効き目のあるチラシ販促セール」づくりに取り組んでいくべきです。。そこまでやっておかないと「効き目のある強力なチラシセール」を打ち出すことはできないからです。

しまむらが打ち出してくるチラシ販促セールは、かなり強力で、低価格訴求力があり、また、ファッション提案力もあるものばかりです。それに対して、手抜き工事のチラシ販促セールをぶつけていったのでは絶対に「しまむら」には勝つことはできません。そんなことのないよう、一つ一つのチラシ販促セール企画に真剣に、そして組織の全力をあげて取り組まれることを期待したいものです。

(7)商品を仕入れ・発注してから、その商品が店頭に品出し・陳列されるまでの時間(日数)をできるかぎり短縮すること。基本的には3日以内、遅くとも4日以内でできる仕組みづくりに取り組むこと(PB開発商品などは別)。

スピードと機動性に優れた物流システムを構築せねばならないが、それには多額の設備投資が必要になり、さらに、運用のソフト面まで含めると時間も相当かかる。そのため、必要性はよく分かっていても、なかなか手が付けれらず、物流システム構築がひどく立ち遅れている店も少なくない。しかし、競争が激しくなってくると、この、仕入・発注→店頭への品出し・陳列までにかかる時間の差、スピードの差で勝負が左右されるようになる。だが、かといって、取り掛かればすぐにできあがるというものでもない。したがって、今、自店の力でできる最大限の努力をして、この時間短縮をはからねばならない。

①仕入・発注した商品が自店の倉庫で何日停滞していようと気にしない、②店の倉庫で何日も放置されているのにほったらかし、③売場の陳列什器の下にダンボール箱に入れて置かれたまま、少なくともこういうことは絶対にないようにしなければならない。小さいことのように見えるが、これも「しまむら対策」では重要な取り組みのひとつと言っていい。彼らが得意とする「高速回転の商品経営」に立ち向かっていかなければならないからである。

    →→ 続く

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しまむら対策(その4:「強いしまむらとの競争に備え、「やっておかねばならない前準備」③)

(4)商品分類コードを再点検、かつ、再編成し、小分類クラス(例えば、婦人長袖Tシャツというレベルで考えた小分類)を少なくとも300から450つくって、それらの日々動向(売上高・売上数量・仕入高・仕入数量・在庫高・在庫数量等)をリアルタイムで正確に把握することができる商品計数データ管理システムをつくりあげること。それで、日々、金額管理と数量管理データを収集・分析し、品揃えの調整・修正・改善をおこなっていく体制を構築する。競争への対応を数値で考えられる仕組みづくりをしておくこと。

この仕組みができていない店が意外に多い。小分類クラスで、日々の商品動向が把握できていなければ、品揃えの修正・改善強化をすすめることはできないはずなのだが、その重要さをあまり分かっていない店もまだあるようである。少なくとも300から450の小分類別の日々の数値動向(金額管理と数量管理)を正確に掴んでおかねば「しまむらとの競争」に立ち向かうことはできない。しまむらは日々の商品動向について、これよりさらに細かく、詳細な数値データをリアルタイムで把握、管理し、品揃えの改善強化に取り組んでいるからである。

しまむらのバイヤーは、担当商品の日々動向データ(仕入先・ベンダー別売行き動向、売上高・売上数量、仕入数量、仕入高、在庫数量・在庫高、商品回転日数・在庫日数など)を週単位の商品管理表の「アイテム実績表」で把握している。しまむら商品部のバイヤー、コントローラーがともに共同作業で、それは細かな単品管理を徹底してやっているのだが、その管理レベルとコントロール力はきわめて高い。リアルタイムでの商品管理(リアルタイムインベントリー)で商品動向数値データを正確に把握し、かつ、そのスピーディな活用をしている。それが「しまむらの商品生産性」をより高いものにしているのである。繰り返し言うが、「きわめて高レベルの商品管理、単品管理システムを構築し、それを最大限活用している”しまむら”」と戦う、競争していくのだということを決して忘れないことだ。

(5)しまむらとの競争で、重要な商品部門は、①婦人衣料部門、②インナーウェア・実用衣料部門(肌着・靴下・ランファン・ナイテイ)、③寝具・インテリア部門、この3部門である。したがって、婦人衣料部門とインナーウエア部門の二つが弱いと「しまむら対策」は最初からつまずいてしまう。というより、競争対策が立てられない。したがって、この2部門の商品力、品揃え力、仕入力を強化するためにあらゆる対策(仕入担当者の入れ替え、人的補強、再教育など)に取り組むこと。

平成20年2月期の「しまむらの商品部門別売上構成比」は、婦人衣料30.3%、インナーウェア・実用衣料部門24.4%、寝具インテリア部門16.6%である。この3部門計で全体の71.3%の売上高構成比となっている。だから、この3部門の戦い方如何で勝敗が決まると言っていい。とりわけ、婦人衣料部門とインナーウェア・実用衣料部門でどこまで戦えるかがカギになる。

しまむらの「婦人衣料部門の強さ」はディリーファッションストア業界一と評価されている。また、インナーウェア・実用衣料部門の強さにも定評がある。そこと競争するのである。戦うのである。最初から厳しい戦い、競争になることを覚悟して「しまむら対策」にとりかからねばならない。競争に負けないためには、この2部門で、「しまむらが持っていない何か、競争の切り札となるもの」をつくっておく必要がある。

「しまむら対策」として、婦人衣料部門とインナーウェア・実用衣料部門で「競争の切り札づくり」を考える場合、しまむらが「手ごわい競争相手」としてマークしている店、サンキ、サミットコルモ、パシオス、この3社の品揃えを徹底的に研究するとよい。とくに、サンキの品揃えをよく調べれば、多くのヒントが得られると思うので、ぜひとも、調査分析することをおすすめしたい。というのも、パシオス、サミットコルモの2社は、基本的に「しまむら志向」というか、しまむらによく似たタイプの店、よく似た考え方をしている店であるので「しまむら対策のヒント」になるようなものはあまり見つけることが出来ないと思われるからである。

しまむらとサンキの品揃えをよく調べてみると、次のことに気が付く。

サンキに品揃えされている「商品の顔」を見ると、しまむらには無いものが沢山ある。もうちょっと言えば、ほとんどが「しまむらには無い商品」であるとさえ言える。逆に、しまむらの品揃えを見てみると、これまた、「サンキには無い顔の商品」が多い。だから、両者の競争は、お客から見て、①「どちらの店の方が面白いか、楽しいか」、②「どちらの店の方が安いか、または、安く売っていると感じるか」、③「どちらの店の方が大きいか、相手に無いものをもっているか」、こういう戦いになる。そのため、相手より売場面積規模の大きい店にすることが最も有力な競争対策になる。

しまむらの標準店舗規模は、現在、350坪~380坪、サンキが出す最近の店の売場面積規模は1000坪である。だから、サンキのほうが戦いを有利に進めている、もうすこし言えば、しまむらに打ち勝っている。サンキはその売場面積の広さを生かして、婦人衣料部門、インナーウェア・実用衣料部門、寝具インテリア部門、3部門すべてが「しまむらより広く」、また、それぞれの部門の売場ライン構成数も「しまむらより多い」。その売場のひろい分だけ、売場ライン数の多い分だけ、「サンキの方が、しまむらより面白いし、楽しい」ことになる。

品揃えされている「商品の顔」が違うのは、両者が意識的にそうやっている(意識して差別化、差異化をはかっている)とも思えないので、これはそれぞれの生い立ちの違いからくるものであるかもしれない。また、商品調達先、仕入先の違いからくることも考えられる。サンキの仕入れ先は、いわゆる、現金総合問屋、大西衣料、丸光、八木兵などを主力仕入先としているのに対し、しまむらの商品調達は、企画メーカー問屋、メーカー直取引(しまむらだけのためにつくられる商品・OEM供給という形)、中国での生産・加工・流通=「直流」などであるからだ。

しまむらと商品調達先、調達形態が似ている、また、仕入先がよく似ている、バッティングしているという店は、サンキをよく研究する必要があると思う。仕入先のなかに、現金問屋を組み入れてみることも試してみる価値はあるのではないだろうかとも思う。「ミニ・サンキをつくれ」というわけではないが、「ミニ・しまむら」、「しまむらもどき」の品揃えをやっていたのでは絶対に勝てないと考えているからである。

    →→→ 続く

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チラシ販促:夏の終わり、端境期のチラシ販促 前年07/7月、8月の事例

しまむら&パシオスに見る端境期のチラシ販促セール(前年07年の7月、8月のチラシ)  

昨年の夏、2007年7月、8月は、天候不順、多雨と低温で夏物衣料の売れ行き不振がひどく、多くの衣料品店が「売上前年割れ」であった。今年の夏(2008年の7月、8月)の天気長期予報は「平年並みか、平年よりやや暑い夏」と言っているので、去年よりは少し良い数字になるかもしれない。去年は「売上、大幅前年割れ」の店が多かったから、今年は、逆に、売上前年比100%以上の店が多くなることも考えられる。どんな結果になるかは、今年の夏が「終わってみなければ分からない」ですが、去年よりひどい数字にはならないのではと、期待も含め考えています。はたしてどうなることでしよう・・・・・・。

019

■しまむら、西松屋チェーン、ハニーズ、ユニクロ、ユニー、5社の昨年の夏、2007年6月~8月の月別売上高前年比を別表にまとめてみました。5社ともに、7月の既存店月間売上高前年比はひどく悪い数値であったことが分かります。しまむらの7月の既存店売上昨対比(前年比)も91.2%と過去最低の数値と言えるほど悪い数値でした。昨年はこれだけ悪かったから、今年の7月は前年比100%以下ということはないのではないかと思われます。

001

■2007年7月、しまむらはチラシ販促セールを7本も打ち込んでいます。既存店の月間売上高前年比100%以上をなんとか確保しようと必死になっている姿が見えるようです。しかし、その必死の努力も実らず、結果は、前年比91.2%で終わっています。これは大変だという危機感を相当持ったのではないかと思います。

003_2■2007年8月に入っても、しまむらは14日までは夏物処分を打ち出しています。15日以降は、さすがに夏物処分はもう打ち出さず、秋物のセールの展開を始めています。パシオスも、しまむらとほぼ同じような展開になっています。夏物処分は8月15日までで終わりということでしょう。今年もこれと同じ流れでしょうか。

001_2

■端境期のチラシ販促セールの成功鉄則 

チラシ販促セールの狙いを明確にする。タイトルコピーは出来る限り、分かりやすいものにし、迫力ある表現をする。(事例は、パシオスが例年、冬と夏の端境期に打ち出すチラシセール)

チラシセールを打つ月日・日時=タイミングをよく考える。天候、温度、季節の変化、競合店の出方、自店の手持夏物在庫状況などをよく考える。

007

価格訴求力の表現の仕方、コピー、レイアウトなどを強烈で刺激的なものにする。多少、えげつないと思われるぐらいの強い表現にしたほうが効き目はある。(事例は、しまむらが処分時によく使うタイプのチラシ)

チラシ掲載品目が、「いままで売場にあった売れ残り品だけ」ではダメ。お客は「売れ残り残品の顔」をよく覚えているから、よほど安い価格に下げないと買ってくれない。少なくとも30%ぐらいは、いままでお客に見せていない商品を投入する。

チラシ掲載商品の売場展開位置、陳列演出、POPカード、下げビラなどを、お客が一目で分かるように打ち出す。端境期で処分する「今の季節の商品」と「次シーズンの商品」を明確に区分けした売場づくりをする。そして、これらのことを、売場担当者に指示する。

細かいことを言えばきりがありませんが、端境期のチラシ販促セールの押さえどころは、少なくとも、この①~⑤です。これをしっかりやっていれば、よい成果をあげることができるはずだと考えます。端境期で、損の多い見切り処分セールなのだからそんなに手をかける必要は無いと手抜き工事をするのは厳禁です。そんなことのないようくれぐれも注意したいものです。

   「夏の終わり、端境期のチラシ販促セール」  完

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しまむら対策(その3:「強いしまむらとの競争」に備え、「やっておかねばならない前準備」②)

■「強いしまむらとの競争」に備え、「やっておかねばならない前準備」②  

(2)競争相手である「しまむら」(○○店)の店づくり、品揃え、売場づくり、オペレーションなどを徹底的に調べる。これを、継続して、定期的に実施する。絶対にサボらない。その調査で得た情報及び調査データを分析し、具体的対応策を考え、素早く実行できる組織体制をつくっておく。

少なくとも、月に一度(できれば2回)は、競争相手となる「しまむら○○店の調査」を必ずやらなければならない。これは、しまむら対策の基本中の基本である。「競争相手のことをよく知らなければ戦いようもない」からである。これを休み無く続けるには、相当の①意志の強さと、②危機意識(潰れてしまうかもしれないという危機感)が必要だが、そのふたつを持っている店はとても少ない。したがって、この、「競争相手・しまむら○○店」の定期的調査分析がおろそかになっている店が多い。

わずか、年に一度か二度、いい加減な調査をやっただけで、「しまむらが分かった」などと暴言を吐く人もいないではない。そんな程度で、「しまむらが何を考え、何をしようとしているか」など分かるはずがないと断言できる。しまむらの店の品揃え、売場づくりは、季節ごと、月ごと、週ごとに変化しているからである。彼らはそれを、具体的な売場づくりの指示書である「売場計画書」や、また、売場でのビジュアルプレゼンテーションの仕方を指示する写真つき図表・指示書などでしっかりやっているのだ。だから、少なくとも、月1回、できれば2回は、しまむらの店の調査をおこなうべきなのである。これは、しまむら対策を考える上で、絶対不可欠のこと、必ずやっていかねばならないことなのである。

必ず調査すべき項目は以下のとおり。

商品部門別、商品品種別、陳列什器形態と使用台数及び陳列什器配置図

商品部門別、季節ごとの主要品種別、展開価格帯。主要プライスレンジ別品揃え在庫数量構成

商品部門別、商品別、仕入先構成(この調査には相当手こずるかもしれない)  

店のメインディスプレイステージに陳列している商品とその組み合わせ、及び壁面陳列

この①~④は、毎回の調査で必ず調べておかねばならない。調査のためには、テープレコーダー、メモ用紙などは必携品である。また、調査には時間がかかるが、店で何も買わずに、ただ調べ続けているわけだから、調査の途中で、店の人から、「この人は何をしているのか」と思われ、「なにかお探しですか」などと声をかけられることもある。それで気がひけてしまって、「もうイヤだ」と調査を諦めてはならない。これぐらいのことは乗り越えていかないと「いい調査」はできないからだ。しかし、それが嫌で調査を断念してしまう多くの人を見てきた。そんなことでは、「しまむら対策」はとても考えられない。定期的な調査は「しまむら対策の土台」、「なんとしてもやらねばならないこと。避けて通れないこと」だからである。

(3)商品回転日数重視、商品品揃え鮮度重視の商品経営をおこなうこと。品揃えアイテム数を拡大(増やす)すること。そのために、「仕入のあり方」を変えること(例えば、1品1型大量仕入れはやめ、多品種1型少量仕入れ・投入をおこなう。→アウターウェアでは仕入単位を1店に1型6枚以内の投入にする等)。この三つは、品揃え面における「しまむら対策」の絶対必要条件である。また、過剰仕入、過剰在庫、低速回転にならないよう、日々の商品在庫の変動を厳しくチェックし、品揃え在庫鮮度の劣化を防ぐ商品経営を徹底すること。

「しまむらの品揃えのポイント」は、①多品種・多品目・1型少量型品揃えと、②高速回転、この2点である。極端な言い方をすれば、彼らは、「週がわりで品揃えを変えていこう。陳列演出も変えていこう」と考えている。したがって、しまむらと競争する場合、1店に1型1品目大量投入・大量陳列するなどは厳禁である。品揃えアイテム数を拡大し(何アイテムにするかは、しまむらの品揃えをしっかり調査した上で考えねばならない)、商品回転も高速(しまむらの平均商品回転日数は約35日から40日)という商品経営をやっていかないと「真のしまむら対策」はできない。これはとても難しいことであるが、かといって、避けて通ることはできない。

しまむらの商品経営の基本的な考え方はこうである。

交差比率=粗利益率×商品回転率だが、彼らは交差比率を高めるためには、粗利益率を上げることより、商品回転率を上げることを優先する。したがって、彼らの商品経営は、彼らの言葉を借りれば、「同業他社がどんどん粗利益率を上げていくのなら、われわれは粗利益率を上げず、商品回転数(商品回転日数)を高めていくことに取り組む。値入率も、粗利益率もできるだけ抑え、低価格・高速回転の商品経営をすすめる。同時に、徹底したローコスト商店経営おこなう。をそうすれば競争相手はついてこられず競争から脱落する」ということになる。この考え方が「しまむらの商品経営の強さ」である。

同業他社の店も、理屈はよく分かっているのだが、これがなかなかできない。商品経営も、商店経営も「まだまだ考え方があまい」からである。「強者・しまむら」との競争は真剣勝負であり、それこそ、命をかけての戦いになる。厳しい言い方であるが、これは脅しで言っているのではない。そのへんを十二分に分かっていただければ幸いである。

   →→次に 続く

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しまむら対策(その2:「強いしまむら」との競争に際しての「心構え」と「やっておくべき前準備」①)

しまむらとの競争で、なんといっても必要なのは「闘争心」と「継続力」   

「しまむらとの競争対策」で、絶対に欠かせないもの、これがなくてはダメだというものが二つある。一つは、「闘争心、戦闘意欲」である。負けじ魂というか、「負けてたまるか」という気持ち=激しい「闘争心」を持ち続けねばならない。しまむらは手強い競争相手であり、彼らとの競争、戦いは決して楽なものではない。だから、じわじわ押されてくると、ついつい、「負けてもしょうがない。なんといっても日本最強の店を相手にしているのだから」と諦めてしまい、戦いを放棄し、競争に破れ、脱落していった店が沢山あるのだ。激しい「闘争心」を持続できなかったからである。

また、「激しい闘争心」が無いと、「しまむらの店、売場づくり、品揃え」を、継続し徹底的に調べ、そのデータ、情報を分析し、考えられる限りのあらゆる競争対策を打ち続けることに耐えられない。その苦痛を乗り越えることが出来ない。最後には、戦いを放り出すことになる。対抗策がまったく考えられないというような「完全無欠な店」など無いのだから、真剣に考えれば必ず「いい手、いい対策」が浮かんでくる。少なくとも、まったく打つ手が無い、ゼロということはないはずである。戦う意志というか、激しい「闘争心」を持ち続けてこそ、「しまむら対策」もまた持続できるのだと強く心に言い聞かせておかねばならない。

もう一つは、「継続力」である。どんなに立派な「しまむら対策」がまとめあげられても、それを、丹念に、気を抜かずに、着実にやっていく、継続するということがなければ「机上の空論、夢物語」に終わってしまう。「しまむらには、こうやれば勝てる」などと自信ありげに言う人もいるが、おそらく、しまむらと実際に戦った経験が無いから言えるのではないだろうか。「しまむら」はそれほど簡単に打ち負かすことができるような競争相手ではない。

「しまむら対策」は、品揃え、売場づくり、店舗経営、オペレーション、どれも「地道な仕事」ばかりである。また、「長丁場の戦い、エンドレスの戦い」であり、苦労も多い。時には、どうしょう、もうダメだと「落ち込む」こともあるかもしれない。やらねばならないことは沢山あるのだが、「これくらいは省いてもたいしたことはないだろう」と手を抜きたくなることもある。しかし、そこで、「ちょっとひと休みするか」と、しまむら対策を中断してしまってはならない。これは絶対にやってはいけないことだ。「あそこで頑張っていたら、こんなことにはならなかった」とあとで必ず後悔するだろう。「継続は力なり」、これを決して忘れないことだ。

■「しまむら対策」は「正攻法」で。    

しまむら対策、しまむらとの戦い方には、いくつかの方向が考えられる。別図はその方向をいくつか考えたものだが、「逃げの戦略」だけは避けたいものである。頭の中だけで考えたほど簡単にできることではないからだ。むしろ、しまむらとの戦いには「逃げ場は無い」と自らを追い込んでおいた方がよいかもしれない。真正面から「しまむらと戦う」、「正攻法で戦う」、それしか道は無いと心に決めて、果敢に突き進む。「そこにこそ、生きる場がある。必ず良い結果が得られる」と考えておくほうがよい。そういう考え方のもとに、戦い、「しまむら対策」をとったところだけ生き残っているからだ。(サンキ、サミットコルモ、オンセンド、かれらの戦い方は、真正面から「しまむらと戦う」というものだ)。

018■「正攻法」で戦う、「正攻法」のしまむら対策を立てる、このポジションに立たねばならない。別化(A)」がベストの戦略だが、このポジションで「しまむら対策」を進めていける力を持った店は、いまのところ国内のディリーファッションストアには見当たらない。ウォルマートの衣料品対ターゲットの衣料品の戦いに、やや似ているともいえるが、日本国内でこのような戦略をとれる店もいまのところまだ無い。また、「フォーエバー21」 のような、ユニークでオリジナリティ溢れ、強力な低価格政策を進める店も日本にはまだ出現していない。

「強いしまむらとの競争」に備え、「やっておかねばならない前準備」   

(1)商品仕入担当者の計数管理力、計数把握力、判断力を強化するための教育を徹底的に行う。そして、数字が読める仕入担当者、数字で考えることが出来る仕入担当者に育て上げる。しっかりした商品経営ができる人材をつくっておかねばならない。これができていないと、「しまむらと戦う前から負けている」ことになる。また、仕入担当者の再選抜と入れ替えを大胆におこない、商品部の強化をはかる。「しまむら対策」で、最優先で取り組まねばならないのは「強い商品部づくり」である。

「しまむら」の商品仕入担当者は、すべて、「とびきり優れていて、凄腕バイヤーばかりだ」というわけではない。しまむらには、普通の能力のある人なら、それほど大きな困難も無く、仕入担当者としてやっていける、仕事をすることができる、そういうシステムが出来上がっているからだ。「しまむら」の仕入担当者(以下、バイヤーと略)は、比較的短い時間(3、4年と言われているが)で入れ替わることが多いが、そのような人事ローテーションを進めても、それで、営業数値が予測より著しく落ちたりすることは無いと言われている。そこが「しまむらの強さ」の一つでもあるが、同業他社にはそういう仕組みはない。

もちろん、仕組みが優れていれば、どんなバイヤーがやっても、良い営業実績(売上、粗利益利、商品回転など)が必ず上がるというものではない。しかし、商品部スタッフの中に、未熟で、経験も技術力もなく、さらに、勉強嫌いのバイヤーが少しいたとしても、その弱点は、「優れた仕組み」でかなりのところまでカバーすることができる。ところが、そういった「優れた仕組み」が構築されていない店では、バイヤー個々人の力量、経験、技術力、知恵、強靭な体力と意志に頼った商品経営を進めざるを得ない。ここが、多くのディリーファッションストアの「泣き所」である。「悩み」でもある。この弱点を少しでもカバーするには、現在、手持ちの人材、バイヤーを徹底的に教育し、その能力を上げていくしかない。

ところが、このことを、「本当にそうだ。そうしなければダメだ」と気付き、バイヤーの教育育成・強化に取り組んでいる店は案外、少ないものである。また、分かっていながら、何も手を打たず、「しまむらには絶対に勝てない」と諦め、ただ、手をこまねいている店も決して少なくない。まして、強力なバイヤーを育てることのできる能力、キャリア、実力のある商品部長を、たとえ、スカウトしてでも、リーダーとして持ってくることなど考えもしない。こんなことでは、いつまでたっても、「強い商品部」をつくりあげることなど出来ないのだが、こういう実情の店がまだまだ数多くあるのを見ると、その店の先行きが、人ごとながらとても心配になってしまう。

「強いしまむらとの競争」、戦いがさけられないという状況になった場合に、「なにもしない。ただ見ているだけ」というのでは、間違いなく「惨敗する」だけである。そうなっては、夢も、希望もない。というより、生きていけない。店は消え去るしかない。そんなことにならないよう、しまむら対策として、まず、最優先で「強い商品部づくり」、「戦える力を持ったバイヤーづくり」に取り組まねばならないことを、もう一度、強調しておきたい。

       次に 続く→→

 

   

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しまむら対策(その1:しまむらの強さを支えているもの)

ファッションセンターしまむらの「強さ」を支えているもの    

(1)彼らの標準店舗の売場面積は以前は300坪、現在は350坪~380坪である。彼らは、小商圏対応型店舗であるディリーファッションストアの必要売場面積が下限値で300坪であること、そして、時代の変化とともにそれが350坪~380坪になっていることを理論的にも経験的にもすでに分かっており、出店店舗規模もそれをきちんと守っている。その時々の条件(敷地面積とその形状、建物面積とその形状)によって、100坪の店をつくったり、また一方で、500坪の店もつくるということはしない。

チェーンストアづくりでは、「標準化」が最も大事なことの一つである。そのなかに「店舗規模の標準化」がある。店舗規模がバラバラであると、品揃え、店舗要員数、売場レイアウト、商品投入量(投入売価在庫高)、損益構造などもバラバラなものになる。衣料品の売場面積規模が、50坪もあるが、150坪もある、そして、500坪もあるというのではとても「標準化」はできない。商品管理も、売場管理も、店のオペーレーションも「一定の型」というものに集約化できず、複雑怪奇なものになりなおかつ、、極めて非効率である。商品生産性もなかなか上げにくい。新規出店店舗は当然のこと、既存店も、その売場面積規模を標準化すべきである。それぞれの力量にもよるが、少なくとも300坪、もっと力のあるところなら350坪~380坪は確保し、それを標準店規模としていかねばならない。

標準化    

店舗規模(売場面積)の標準化→以前は300坪。現在は350坪~380坪

店舗建物設備、陳列什器備品、店舗開発設備投資の標準化→1億1000万円~1億2000万円

売場構成、売場ゾーニング・レイアウトの標準化→部門別売場坪数、部門別売上高構成、売場レイアウト

出店立地及び商圏の標準化→商圏人口約7000世帯~約10000世帯

品揃えの標準化→ディリーファッションウエア、売価政策(展開価格帯)

売場の作業の標準化→作業マニュアル、作業指示書、売場計画書、陳列指示書、普通の能力のある人なら、すぐできるようになるまでの教育の標準化

店舗要員の標準化→店長(小売業未経験者を育てる)。店舗段階労働分配率22%~25%

(2)彼らは「安く売っても利益を出せる仕組みと構造」を作り上げている。ローコスト投資、ローコストオペレーション、ローコスト経営に徹している。ディリーファッションストアの低価格競争はまだまだ続くと思われるが、彼らはそれに対応できるコスト構造を持っている。これは「しまむらの最も強いところ」である。

彼らがつくりあげたコスト構造は、一朝一夕にできたものではない。したがって、しまむらのレベルまでに達するには、相当の時間がかかることであろう。当然、多くの時間、人、金、モノも必要とする。しまむらのコスト構造の低さは、同業他社と比べ「しまむらが圧倒的優位にある」が、その差は一向に縮まらない。むしろ、ますますその差が開いているように思われる。合理的なコストダウン、徹底して無駄を省いた経費削減の必要性は、多くの小売企業で金科玉条のものとして常々、叫ばれてはいるが、実情は「まだまだ道遠し」というところである。ディリーファッションストアで「しまむらと同レベルのコスト構造」を持っているところはまだ見当たらない。これでは、「しまむらと競争して勝つ」ことなどまず考えられない。「安く売っても利益の出せるコスト構造」づくりに、真剣に取り組まねばならない。

(3)彼らは、優れた機動力を持った「強力で強固な物流システム」を構築している。商品生産性アップ、粗利益率アップ、値下げ率低減に、この物流システムが果たしている役割は極めて大きい。例えば、商品を発注してから店頭に並べるまでのリードタイム(日数)の短縮化、そして、「売れない店から売れる店への商品店間移動」などを驚くべき速さで行う。

売れていない商品、売行き不振商品を、いかに早く発見し、それらをいかに早期処理することができるか、それのスピード如何で、商品生産性アップも、商品回転日数アップも、値下げロス低減も、粗利益率アップも大きく左右される。遅ければ遅くなるほど、最終的には、利益を大幅に低下させることになる。彼らはこのことを熟知しており、商品品揃え鮮度維持と値下げロス低減のために、早くから物流システム構築に取り組んできた。現在の「しまむらの物流システム」は国内業界一、また、世界のウォルマートにも負けないといわれるほどの高いレベルにある。そして、さらに、日々、改善強化され、進化している。物流システム構築には、ハード面、ソフト面も含め多大の設備投資費が必要になるが、その投資負担に耐えられないため、必要性は分かっていてもなかなか手が付けられないという小売企業は少なくない。しまむらと同業他社の企業力の差が、この物流システム構築面でもかなり大きくなっている。当分の間、その差が縮むことは無いと思われる。

(4)彼らの商品部は、一つの商品分類ごとに(例えば、婦人トップス)、チーフバイヤー1人、アシスタントバイヤー2~3人、コントローラー5~6人で構成されている。商品部は7部あるから、少なくとも約70人の構成である。それで、品揃えと商品管理を分担しながら商品経営をおこなっているが、この仕組みと運営に優れている。

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別表は、「経験則から考えた、売上規模別商品部組織」である。バイヤー、アシスタントバイヤーの区分けはしていないが、売上規模別に見て、これぐらいのバイヤー数が必要ではないかと考えている。また、商品部長1人と、そして、必要と考えられる在庫コントローラー(複数人)は別人員としている。ディリーファッションストアの商品部は最少でも6人~8人のバイヤーを必要とすると考えねばならない。まだ売上規模が小さいから、2人でも3人でもいいのではないかと考えてはいけない。

(5)彼らは潤沢な広告宣伝費を持っている。売上対比では約1.8%から約2%前後だが、金額にすると巨大な額である。この潤沢な広告宣伝費を使って、TV宣伝、そして、毎週1回~2回のチラシ販促攻勢をおこなう。B3、B4サイズ、4色のセールチラシを毎週打ってくるのである。これは競争相手にとって大きな脅威となっている。

衣料品売上高規模がまだ小さい、年商30億円以下の店にとって、売上比2%の広告宣伝費を捻出するのは決して楽なことではない。売上比2%に設定したとしても、その金額はそれほど大きなものではない。また、かといって、無理して大きくすれば経費負担も厳しくなるし、なによりも、利益を圧迫する(売上比販促費率に比べ、税引き後利益率がはるかに低いという店も少なくない)。この販促経費面(とくに、チラシ販促費の捻出)においても、しまむらは同業他社と比べると「圧倒的優位」な立場にある。しまむらと競争している多くの店は、「やりたくてもできない」というのが実情であろう。月間チラシ回数が多ければ多いほどいいという気はさらさら無いが、目の前で、チラシをどんどん打たれると、そうは言っても、「意気消沈」するものである。その間に「しまむらに客を奪われてしまう」という大きな不安がある。これが、しまむらと競争している多くの店の厳しい現実である。

(6)彼らが構築した「経営情報システム、商品情報システム」は日本最高レベルのものである。また、システム構築に使った費用累計額は膨大な金額になる。同業他社が、しまむらと同じレベルにまでいくには、相当膨大な投資と時間が必要になることを考えると、とても短期間で追いつくことはできない、まず、無理であろうと思われる。彼らはこの高レベルの情報システムを存分に使いこなしており、活用レベルでも同業他社の追随を許さない。

  しまむら対策(その1)「しまむらの強さを支えているもの」 完

  

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新店舗情報:「愛子ファッションモール」は2階建

■「愛子ファッショモール」は2階建て店舗。6月末、開店予定。  

しまむらの「愛子ファッションモール」(①仙台市青葉区下愛子字竹ノ花 田神地内44街区、②店舗面積2285㎡、③ファッションセンターしまむら+アベイルが出店、④駐車場86台)は今、開店準備中。開店は6月末予定。

「愛子ファッションモール」の出店と平行して、しまむらは既存店の「ファッションセンターしまむら愛子店」を閉店し、このモールへ新たに「しまむら愛子ファッションモール店」を出す。

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■6月12日現在、愛子ファッションモールへ6月末・移転のため、閉店・売り尽くしセールを開催中の「しまむら愛子店」。しまむらの店をかなり数多く見てきているつもりですが、いままで、閉店セールを見るチャンスにはめぐり合えませんでした。したがって、今回、はじめて、しまむらの閉店セールを見たわけですが、その集客力の凄さに驚かされました。お勘定場設置も臨時特設を含めて3箇所設けていましたが、日販はどのくらいなのでしょう。とても興味があります。

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■「しまむら愛子店」の閉店セールチラシ。店内在庫商品レジにて全品25%OFFの強烈なコピーが大きく打ち出されたインパクトのあるチラシです。あれこれくどくど書かず、単純明快、とても分かりやすいチラシだと思います。店内では、閉店マニュアルどおりに、手際よく作業を進めている様子が見られましたが、さすが、「標準化と作業マニュアルのしまむら」というところでしょうか。閉店セールの売場づくりも、壁面陳列をすべて取り払い、売場センターに商品を集めていくやり方もなかなかなものです。陳列什器も高さを2段陳列から1段陳列変え、陳列什器当りの商品陳列量、ボリューム感を出来る限り維持しょうという努力なども見落とせません。

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■新たに出店する「愛子ファッションモール」の立地とその周辺環境。所在地は、宮城県仙台市青葉区下愛子字竹ノ花、田神地内。至近距離に、ドラッグストア「カワチ薬品」、子供ベビー衣料専門店チェーン「西松屋愛子店」があります。また、約300mのところにも「みやぎ生協愛子店」を核にしたオープンモール型NSC、HC・スーパーセンタージョイがある新興商業地区です。閉鎖する旧「しまむら愛子店」の立地と比べると、ここの方がはるかに有利な立地です。「アベイル」と「しまむら」、この2店の組み合わせのモールで、初年度年商6億円~7億円を、間違いなく確保するのではないかと思われます。

しまむらの既存店活性化策の一つ、「移転・増床・新築」+「モール化」    

しまむらが行う既存店活性化策で最もダイナミックな手がこのやり方、すなわち、「店舗を移転・増床・新築」、さらに、「モール化」して商業集積力を高め、競争力、集客力を一挙に強化拡大してしまうという手です。愛子ファッションモールは、広い敷地面積が確保できなかったためか、店舗建物を2階建てにしています。おそらく、1階が「アベイル」、2階に「ファッションセンターしまむら」という形の店舗でしようが、このタイプは、すでに、四日市市でやっています。

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■開店準備中の愛子ファッションモール。しまむら、アベイルの店サインが見えています。店舗面積は2285㎡≒691坪ですから、それぞれ約350坪の売場坪数ということでしょうか。駐車場収容台数は86台で車客への対応も十分です。店舗建物は2層より1層の方がコスト面、使い勝手の面でも有利ですが、しまむらは「いい立地ならば2層の店も出す」ということです。このモールの周辺には、700坪規模の衣料品店はありませんから、あまり気にすることも無いとも言えます。しまむらが競争相手として考えるのは、至近距離にあるベビー子供専門店チェーン「西松屋チェーン愛子店」だけと思われます。

001_3 ■しまむらがはじめて出した2階建ての店舗がこの「四日市中央ファッションモール」です。平成18年12月開店、鉄骨造2階建、駐車場収容台数98台、売場面積2467㎡≒746坪、1階にアベイル、2階が「しまむら」という組み合わせのモールです。また、最近の例では、戸田公園に1階が駐車場、2階に「しまむら」という店を出しています。この店も敷地面積が狭く、駐車場確保のために店舗建物を2層としています。というわけで、しまむらは、それほど数あるわけではありませんが、2階建ての店舗も出してくるということを頭に入れておく必要があります。これから、東京都や、神奈川県の大都市部に店を出す場合には、このやり方も使うことがあるということです。

  6月末開店予定で、開店準備中の「愛子ファッションモール」を見て感じたこと。 完

 

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新店舗情報:株式会社フジのカジュアルファッションストアの4号店「ピーエフ阿波店」開店

「ピーエフ阿波店」が開店

株式会社フジ(愛媛県松山市)は、開発中の小商圏対応型衣料スーパーストア、カジュアルファッションストア「ピーエフ」の4号店、「ピーエフ阿波店」を出店しました。

「ピーエフ阿波店」の概要は、①開店日-平成20年6月7日、②所在地-徳島県阿波市阿波町大道北123、③売場面積-970㎡≒293坪、④初年度年商目標-2億3000万円、と発表しています。

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■「ピーエフ阿波店」の立地環境。この図は、ピーエフ阿波店のアクセス案内図ですが、隣接地に食品スーパー・マルヨシセンターが核店舗となっているショッピングプラザ「アワーズ」、それに、「ダイソー」、HC「コメリ」、家電「ベスト」などがあり、商業集積力の高い地域への出店となっています。先に出店した「ピーエフ丸亀三条店」、「ピーエフ観音寺店」と同じような立地環境への出店です。商業集積力が高く、集客力もあるエリアですので、なかなか手堅い出店ではないかと思います。

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■「ピーエフ阿波店」の店舗建物は(まだ見ていませんので推測ですが)、鉄骨造平屋1層であろうと考えまして、この「ピーエフ丸亀三条店」の店舗建物外観を載せておきました。株式会社フジは「ピーエフ」の店舗・建物・外装デザインの標準化を考えいると思われますから、おそらく、これと同じタイプであろうと考えた次第です。

001■株式会社フジが展開しているカジュアルファッションストア 「ピーエフ」は、「阿波店」で4店舗になります。その4店舗の概要を別表にまとめてみました。

初年度の売場坪当り年間売上高が80万円以下の店が3店ありますが、「やや低い数値設定」ではないかと思います。しかし、これで、初年度の損益収支が赤字にならない経費コスト構造なのかもしれません。実際のところはどうなのでしょう。とても興味があります。

売場1坪当り店舗建物設備投資額が、阿波店約51万円、他の3店は約32万円~約40万円となっていますが、これは「やや高めの数値」のように思います。(もう少し詰める必要があるように考えるのですが・・・・・・・)

当方の経験則に、「初年度で店舗段階の損益収支見込みを±ゼロ、投資回収期間を3年~4年とした場合、店舗建物設備(内装什器含む)投資は、初年度に見込まれる坪当年間粗利益額を越えないようにせよ」というのがあります。①、②のことは、この経験則をもとに評価判断しています。(しかし、絶対的自信を持っているものではありません)

■株式会社フジは、カジュアルファッションストア「ピーエフ」の開発構想を発表してから、比較的短期間で、すでに4店舗を出店しています。100店舗構想を持っていることも公表された記憶があります。おそらく、今後、10店舗くらいまでは、商品経営、商店経営、オペレーションなど、いろいろの面における実験、修正、微調整をやり、「ピーエフ」の標準店舗をつくりあげていくのではないかと思います。そして、それ以降、すなわち、11店舗あたりから急速多店舗展開を進めるかもしれません。これは、こちらの一方的な推測といいますか、思い込みですので、本当のところはどうなるのか分かりません。しかし、なんとなくそんな気がしています。「ピーエフ」の健闘と大発展・大成長を期待したいものです。

  「ピーエフ阿波店」が開店   完

 

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経営課題:ディリーファッションストアの経常利益率

経常利益率の高い小売企業は?   

最初に、経常利益率の高い小売企業を調べてみましたので、それら小売企業の最新の経常利益率を以下に載せておきます。別に載せたディリーファッションストアの経常利益率と比較してみてください。

衣料品専門店チェーンでは、

株式会社ポイント 2007/2月期→20.0%  2008/2月期→17.6%    

株式会社ハニーズ 2007/5期→15.7% 2008/5期(予)→14.5%   

株式会社ファーストリテイリング(連結)

   2007/8期→12.3%  2008/8期(予)→13.5%    

株式会社ユナイテッドアローズ(連結) H19/3→12.0% H20/3→6.9%   

食品スーパーチェーンでは、    

株式会社オオゼキ  H20/2→7.8%     

株式会社ヨークベニマル H20/2→3.91%   

株式会社ヤオコー(連結) 07/3→3.69% 08/3→3.85% 

以上の7社が経常利益率の高い小売企業です。衣料品専門店チェーンでSPA(製造小売業)と呼ばれている小売企業がとても高い経常利益率をあげているのが分かります。

ディリーファッションストア大手3社の経常利益率   

ファッションセンターしまむら、株式会社三喜(サンキ)、株式会社サミットコルモ、この3社の年度別経常利益率実績を調べました。それをグラフ化したのが別表です。

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■しまむら、サンキ、サミットコルモ、3社の年度別経常利益率実績の推移グラフ。ディリーファッションストア最大・最強の「しまむら」が断然、高い経常利益率をあげています。彼らが目標としている経常利益率は10%と言われていますが、ほぼそれに近い数値を上げていることが分かります。サンキも、しまむらよりは低い数値ではありますが、それでも小売企業では比較的上位に入る数値ではないかと思います。

しまむら、サンキと比べて、サミットコルモの経常利益率の低さが目立ちます。必死の努力といいますか、真剣な取り組みをしていることは言うまでもないことでしょう。しかし、失礼を承知で、厳しい見方をさせてもらいますと、経営課題として次の点が考えられるのではないかと思います。

(a)販管費を1.0~2.0ポイント(売上比で1~2%)・コストダウン

(b)粗利益率を1.0~2.0ポイント(売上比1~2%)アップ  

  そのために、(c)値下率を1.0~2.0ポイント低減

          (d)値入率を1.0~2.0ポイントアップ

              そのためにPB商品開発などの取り組み

外野席から、好き勝手なことを言わせてもらっていますが、いずれも、そう簡単に達成できる数値だとは考えていません。ただ、苦労はするでしょうが、絶対不可能という数字でもないように思うのですが、これは、当事者の日々の苦労を知らない者だから言えることかもしれません。(失礼の段、ご容赦ください)

■ついでと言ってはなんですが、上記、3社の年度別、税前当期純利益率、税引き後当期純利益率も調べましたので、それをまとめた表も載せておきます。多少、見にくいかもしれませんが、自店の数値と比較して見ることをおすすめいたします。

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■ここでも、しまむらの優秀さが際立っています。ディリーファッションストアで最高のモデル企業であることには、おそらく、異論も無いことでしょう。標準化とローコスト経営、自社物流システム構築、中国での「直流」とPB商品開発による仕入コスト削減、等など、しまむらの不断の経営努力を見る思いです。

ディリーファッションストアの経常利益率を、ファッションセンターしまむら、サンキ、サミットコルモの3社をピックアップして調べて見ましたが、「しまむら」は別として、他社には、まだまだ、努力すべき点、改善できる点があるように思うのですが、この見方は「甘すぎる」でしょうか? (当方には、「経営当事者ではない」という最大の弱点がありますので、これ以上、あれこれ生意気なことを言うの止めにします。しかし、・・・・・・。)

  「ディリーファッションストアの経常利益率」  完

   

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業界動向:ディリーファッションストアの適正売場面積規模を考える

ディリーファッションストアの適正売場面積規模は何坪か?    

長い間、「ディリーファッションストアの適正売場面積は300坪」と言われてきました。しかし、ここ数年間に出店したディリーファッションストアの店舗規模を実際に調べますと、随分、変化してきていることが分かります。

003■(表-1)は、経済産業省の「商業統計速報」をもとに作成 したものです。統計データを分析した結果、衣料品スーパーの1店平均売場坪数は、平成14年が約189坪、平成16年は約210坪でした。衣料品スーパーの店舗面積は少なくとも210坪は確保すべきだと言っていいかもしれません。

また、食料品スーパーについて、同様の計算をしてみました。結果は、平成16年が約299坪、そして、平成14年対平成16年の増加店舗の1店平均売場面積は約709坪でした。食料品スーパーの売場面積は少なくとも300坪、今では約700坪が必要のようです。

■(表-2)は、小商圏対応型店舗であるディリーファッションストアが確保すべき店舗規模を、その商圏人口規模、そして、そこで対象にできる「衣料及び衣料関連の年間需要額推計」及び確保目標商圏内売上シェアから考えたものです。計算結果では、300坪、375坪という2つの必要売場面積規模が出ています。多くのディリーファッションストアがこれを標準店舗規模の理論的根拠にしているようです。

007 ■(表-3)は、ファッションセンターしまむらの、「県別・1店平均売場面積規模と売場坪当り年間売上高」の対称グラフ図です。分析結果から、しまむらの1店平均売場面積は約290坪から約320坪が多く、それらの店の年間坪当り売上高は約80万円から100万円が多いことも分かりました。

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■(表-4)は、しまむらの「年度別出店店舗の1店平均売場面積」と「年度別の全店計1店平均売場面積」を2001年から2008年、時系列で調べ、グラフ化したものです。分析結果から、全店計の1店平均売場面積規模は約300坪~約310坪、そして、出店店舗の1店平均売場面積規模は約350坪から約380坪であることが分かりました。

■(表-1)から(表-4)の分析結果から分かったことを、もう一度、簡単にまとめますと、次のようになります。

(1)衣料品スーパーは少なくとも売場面積210坪を確保する必要がある。

(2)しまむらの1店平均売場面積規模は分析結果(2008年2月期)から約290坪から約320坪である。

(3)ここ数年の「しまむらの出店店舗規模」は約350坪から約380坪である。

(4)多くのディリーファッションストアが標準店舗として考えている売場面積規模は、300坪、350坪の2タイプである。

■さらに、他のディリーファッションストア大手企業の店舗売場面積規模を見てみますと、

(5)パシオスは、出店店舗では、約550坪、430坪、300坪、この3型を考えている。

(6)サミットコルモは、その標準店舗規模を300坪としている。

(7)ファッション市場サンキには標準店舗規模というものは無さそうだが、最近出した店は約1000坪型であり、また、既存店には約500から約600坪型が多く見られる。

■以上、これまでに分かったこと、そして、ディリーファッションストア大手各社の新しい店の店舗規模などを見ていきますと、当面、必要な売場面積規模は350坪、さらにこれから先のことを考えると500坪は必要になるのではないかと考えられます。(これが適正規模だと言い切れる自信はありませんが・・・・・・)

今後、しまむらと競争する場面が多く発生するであろうことを考えますと、店舗面積は、少なくとも350坪は確保した方がよさそうです。また、もっと大きな売場坪数の店の商品経営、商店経営に自信があるという店は500坪を確保しておくのがベターでしょう。しかし、350坪の店を経営できる力を持っていない、まして、500坪の店を運営できる力はとても無いというところは、無理してこの売場面積規模(350坪、500坪)の店をつくるのは危険です。自店の経営力を超えた大きな売場面積規模の店をつくっても、いずれ「投げ出す」ことになるのは目に見えているからです。(それでも、300坪は確保したほうがよいと思いますが・・・)。

「ディリーファッションストアの適正売場面積規模を考える」 完

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私的経験則:チラシ掲載商品の残品率は極めて高い

チラシ掲載商品のセール期間内での完売率は極めて低い。  

チラシ販促セールの回数を増やせば増やすほど値下げロスも増大する。これは、今の、衣料品のチラシ販促セールが持つ弱点と言っていい部分である。チラシ掲載商品(目玉品、特価サービス品など)が、そのセール期間内に全て全品目売り切れてしまうということは、ほとんど無い(皆無とまでは言わないが・・・)と言ってよい。必ずといっていいくらい「売れ残り品」がでる。そして、その「売り残り品」が、動かない「下積み在庫」となって商品回転の足を引っ張る。最終的には、その処理のため、「さらなる値下げ」をせざるを得なくなる。結果、値下高・率増大、粗利益率・高の低下をもたらす。

残念ながら、ほとんどのチラシ販促セールがこのような経過、すなわち、「売れ残り品の山」をあちこちにつくるという結果をもたらす。集客と売上アップの手段として、チラシ販促セールが有効な手段のひとつであることを否定するものではないが、はたして、その結果は「価値あるもの」であったかどうか、客観的に、厳しく、数値で評価しておかねばならない。チラシ掲載商品のセール期間内消化率、残品率を調べて見れば、その高さに驚くことと思う。(実際、調べて見ると、チラシ掲載商品のセール期間内残品率が50%を超えるケースがかなり多い)

セール期間内のチラシ掲載商品残品率=(投入在庫数量-販売数量)÷投入数量×100

在庫鮮度、品揃え鮮度を著しく劣化させるものは「売れ残り品」である。売れ残り品が売場に長い期間、未処理のまま放置されているケースは決して少なくない。「もうすこし、今の売価のままで頑張って見よう。値下げするのはもう少しあとにしょう」と、もたもたしているうちに「最後の見切り時、処分のチャンス」を逃してしまう。こういうケースが多いのだ。当たり前のことだが、「売れ残り品には損しかない」のである。チラシ掲載商品の売れ残り品がどのくらいあるのか、一つ一つのチラシ販促セールについて、常に厳しくチェックし、それらの早期処理をしていかなければ、商品経営が危うくなることを忘れてはならない。

チラシ販促企画担当者は、チラシ掲載商品の売れ残り品がもたらす「大きな値下ロス高」を知っているか、また、掲載商品の残品率を常にチェックしているか?   

「チラシ掲載品の原稿を仕入担当者から集めるだけ」の販促担当者が結構、沢山いるものである。チラシ掲載品目原稿を印刷屋に渡して、それで仕事は終わり、とするのでは販促担当者としての責任を果たしたことにはならないのだ。商品部長、販売部長は、この点について、販促担当者を厳しく追及すべきである。販促企画担当者を、「単なる、原稿運び屋」にしてしまってはいけない。

販促企画担当者は、チラシ販促セールごとに、その掲載商品ひとつひとつについて、チラシ掲載商品の投入数量、セール期間内の消化率予測、売れ残り品の処分方法、いつやるかの時期、すくなくともこの3点を、仕入担当者に聞いて、それを記録しておくべきである。そして、セール終了後に、①~③を調査、分析し、数表にして、その実績結果を仕入担当者に伝えるべきである。これを継続しなければならない。チラシ掲載商品の残品率の高さ、それがもたらす「大きな値下げロス」、これらの責任を仕入担当者だけに負わせることで終わりとするのでは片手落ちというものである。販促企画担当者にも大きな責任がある。この責任をまったく感じていない販促企画担当者は排除すべきである。多額のお金がかかっているチラシを、無駄にしないためにも、販促企画担当者はこのことを肝に銘じておくべきだ。

売上低迷が続くと、必ず、「チラシ販促セール」が増える。チラシには2割引、3割引、5割引などの文字、コピーが氾濫する。なんとか売上を上げたいという気持ちはわからないではないが、チラシ販促セールの乱発がもたらす大きな弊害もあることを販促担当者は知っておくべきである。そのチラシ販促セールで、(a)来店客数と買上客数が何人増えたのか、(b)買上点数、買上客単価がいくら増えたのか、(c)粗利益額がいくら増加したのかそれは、チラシにかかったお金・コストを上回っているか、販促担当者は、少なくともこれぐらいのことは調べておかねばならない。「とにかく、チラシセールを打っただけ」という結果に終わらせることのないようくれぐれも注意すべきである。

チラシ販促にかかる年間経費コストは、馬鹿に出来ない大きな金額である。それは、「税引き後純利益率・高」をしばしば上回る。売上比2%以上、3%をも超えるという店さえ決して少なくない。見ようによっては「お金を捨てている」ようなものだ。販促担当者はこのことを知っているのだろうか。消費低迷ということもあって、「チラシ販促セール」の回数が増加しているが、それを見るにつけ、費用対効果、「かかったコスト」対「手にした利益」、それをきちんと把握していない、そして、そこに何の疑問も感じてない、まったく気にもしていない販促担当者の多いことに驚いている。

 「チラシ掲載商品の残品率は極めて高い」 完

  

  

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業界動向:(株)ライフコーポレーションの衣料部門を見る

食品スーパーチェーン大手の直営衣料部門の現状を見ると、  

大手食品スーパーチェーンの直営衣料部門の現状を調べた結果、食品スーパー業界では、(株)ライフコーポレーションが、直営衣料部門の年間売上高約333億円(H18/2)でトップ、最大規模であることが分かりました。(第二位はヨークベニマルで直営衣料部門の年間売上高推計約200億円)

この、(株)ライフコーポレーション(以下、ライフコーポと略)の直営衣料部門の売上高約333億円は、ディリーファッションストア業界の売上高ランキングに入れるとすると、第四位にランクされる規模です。(ディリーファッションストアの売上高ランキング:1位・しまむら、2位・ファッション市場サンキ、3位・パシオス、4位・あかのれん、5位・サミットコルモ)

多くの食品スーパーチェーンが、直営衣料部門を縮小、または、衣料部門の閉鎖、撤退を進めています。そのなかにあって、ライフコーポの直営衣料部門の年商約333億円という数字はとても大きく、注目すべき数字ではないかと思います。くわえて、ライフコーポの過去4年間の直営衣料部門の年間売上高推移をみましても、大きな減少がありませんので、「ライフコーポは衣料をやる気でやっている、当面、捨てる気はないな」と考えてよさそうです。そんなわけで、ライフコーポの直営衣料部門の現状がどうなっているのか、また、ディリーファッションストアの競争・競合相手となりえるか、それを知りたくて、データを収集・分析し、実際に、店を見に行って、あれこれ調べてみました。

株式会社ライフコーポレーション・衣料部門の実力

 年度   年間売上高(百万円) 前年比% 衣売上構成比 粗利益率%  

H17/2   32936百万円    %   8.7%    35.9%  

H18/2   33934      103%   8.7%    36.6%

H19/2   33412      98.4%  8.2%    36.9%

H20/2   33383      99.9%  7.8%    37.3%

ライフコーポの衣料部門の過去4年間の実績数値推移と、実際に店と品揃えを見てきて(ライフつつじヶ丘店・2階・衣料売場)感じた点を、以下に、簡単にまとめてみました。

ライフコーポの衣料部門のプライスポジショニングは「ミニGMS型」で、GMSとディリーファッションストアの中間に位置づけてよい。

粗利益率は「GMS型」で、ディリーファッションストアと比べると、5~6ポイント高い。したがって、価格政策も「ミニGMS型」で、継続的に低価格政策をとることはない。

ライフつつじヶ丘店の衣料売場を見て感じたことは、商品力、品揃え力には相当しっかりしたものがある。食品スーパーの衣料部門は弱いという見方で対応すると危険。(ライフつつじヶ丘店・衣料売場は約300坪前後。周辺に競争相手となる量販衣料品店が存在しないことも考えますと、推計ですが、少なくとも年商5~6億円は軽く売上げているのではないでしょうか。商品詰め込み型で、売場坪当り売価在庫高もかなり高いので、おそらく、高効率店なのではと思われます。この店は、食品スーパーの衣料担当者の方には必見の店の一つではないでしょうか)

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■ライフつつじヶ丘店の外観。立地は京王新宿線「つつじヶ丘駅」すぐ、線路沿い。衣料売場はこの2階、売場坪数約300坪。この店の至近距離、約100mには、食品の強力な競争相手食品スーパー「オオゼキ」がありますので、食品分野での戦いは厳しいでしょうが、衣料品の競争相手は周辺に見当たりません。衣料品はライフの独壇場といえます。

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■ライフつつじヶ丘・2階・衣料売場フロア案内図。図面で見ると「使いにくそうな形」に見えますが、実際に見るとそうでもありません。エスカレーターの位置、天井の低さなどで「圧迫感のある、狭苦しい売場」になっていますが、それが逆に「ボリョーム感、迫力」をもたせています。どの売場も、商品詰め込み型で、坪当り売価在庫高は、ディリーファッションストアのそれをはるかに上回る高さです。(ディリーファッションストアの坪当り売価在庫高は約12万円~14万円)

■ライフつつじヶ丘店の衣料売場を見て、「さすが、衣料部門年間売上高約333億円をやっているだけのことはある。売場づくり、品揃え力、商品力、いずれも相当な力を持っている。ディリーファッションストア大手といえども、ライフコーポの衣料部門の力を侮ると、返り討ちにあうかもしれない」と感じました。東京では、ライフコーポの衣料部門とぶつかりそうな店として、パシオス、サミットコルモなどが頭に浮かびますが、「ライフコーポと競合するときは、ふんどしを締めてかかったほうがいい」、これだけは言っておこうと思った次第です。

「食品スーパーチェーン・株式会社ライフコーポレーションの直営衣料部門の現状を見て」感じたこと。  完

  

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業界動向:6月2日、「株式会社北海道三喜」誕生!!

6月2日、株式会社「北海道三喜」が誕生。ディリーファッションストアでは道内・No.2の規模でスタート。    

株式会社「北海道三喜は、株式会社・三喜(以下、サンキと略)が、コープさっぽろから、その子会社であった「三喜協同衣料株式会社」を事業譲渡され、それを社名変更した会社です。前身となった「三喜協同株式会社」は、コープ衣料(株)・33店舗・年商約58億円と、三喜協同衣料(株)・5店舗・年商約10億円、①+②合計・38店舗・年商約68億円規模の小売企業。そして、これがそのまま、株式会社「北海道三喜」のスタート時点の企業規模となりました。

現在、北海道地区では、「ファッションセンターしまむら」(以下、しまむらと略)が、店舗数50店舗、年商約161億4400万円、売場面積55730㎡、北海道地区の売上シェア約5.7%(しまむら独自計算→北海道の衣料品購買高約2839億2200万円:2008年2月時点)で、この地区最大のディリーファッションストア企業となっています。

北海道地区には、食品スーパー・北雄ラッキーの直営衣料部門、独立系小規模総合衣料品店「げんたろう」などの量販衣料品店、ディリーファッションストアがありますが、新たに誕生した株式会社「北海道三喜」は、スタート時点から第一位の「しまむら」に次ぐ第二位の規模になるものと思われます。

北海道でこれから「しまむら」と「サンキ」の熾烈な戦いがはじまる。

株式会社「北海道三喜」が加わって、サンキの企業規模は、店舗数150店舗、年商約510億円(連結)で、これもディリーファッションストアとしては、No.1企業「しまむら」に次ぐ、第二位の規模になります。(それまで、第二位はパシスオ)

北海道地区ではこれから、業界・No.1企業「しまむら」とNo.2・企業「サンキ」、この2社の北海道攻略、北海道ぶんどり作戦とも言える激しい戦いが展開されるものと思われます。しまむらが独自に計算した北海道の衣料品購買高をもとに「北海道三喜」の売上シェアをだしますと、(サンキ年商約68億円÷北海道の衣料品購買高約2839億2200万円)≒北海道地区におけるサンキの売上シェア2.39%、となりますが、これは同地区における「しまむらの売上シェア約5.7%」の42%掛け、その半分にも届かない数字です。しかし、サンキがしまむらとの戦いで、競争に打ち勝っている場所も結構ありますから、しまむらにとっては「イヤな競争相手」であることは間違いないにありません。おそらく、しまむらは、これからはじまる「サンキとの戦い」に激しい闘志を燃やしていることでしょう。はたして、3年後、5年後には、どんな力関係になっているのか、いまはなんとも言えませんが、大いに興味があるところです。

店舗と品揃えの標準化が進んでいる「ファッションセンターしまむら」、標準化がそれほど進んでいるとはいえない「北海道三喜」、この2社の戦いの注目点のひとつ。

北海道地区の「しまむら」の売場面積は約55730㎡(2008/2)です。同時点の店舗数は50店舗ですので、1店平均売場面積は、55730㎡÷50店≒1145㎡≒337坪となります。チェーンストアは「標準化」が最も大事と考えている「しまむら」ですから、比較的「若い年齢の店舗」が多い北海道地区では350坪~380坪を標準店舗規模として店舗展開しているものと考えられます。

これに比べ、「北海道三喜」の店舗規模はそれほど「標準化」が進んでいないように思われます。200坪から600坪、この間の規模の店が混在しているようです。これはいろいろの面からみて、非効率なところが多々あるわけですが、「しまむらとの戦い」でこの点が不利になるだろうという見方もあります。しかし、一方で、サンキは「標準化」ということをそれほど気にしていないように見えるから、あまり問題にはならないという見方もあります。どちらの考えに「分があるか」は、今後の両者の戦いを見て評価判断するしかありません。チェーンストアの戦いは「標準化が進んでいる店の方が有利」という考えが絶対的に正しいというわけでもありませんが、一つの注目点と考えています。

サンキは、業界では、「カリスマ商人」、「なだたる商売上手」と評判の高い経営トップが指揮をとっています。「しまむら」もまた、天才的経営者と呼び名も高い優れた経営トップが指揮をとっています。「しまむら」対「サンキ」の戦いは、この両者の戦いでもあります。北海道ではどのような戦い方をするのでしょうか、野次馬的表現で恐縮ですが、これも見所の一つではないかと考えます。今後、その戦いを、つぶさに、逃さず見ていくつもりです。

 「6月2日、株式会社北海道三喜、誕生」のニュースを聞いてこんなことを感じました。完

 

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私的経験則:今年は「大波乱の年」。激化する低価格競争に耐えられるコスト構造づくりと勝ちにいく戦闘意欲を。

しまむら、08年5月、既存店売上高「大幅前年割れ」・昨対91%   

Dj_003_2(表-1)は、過去3年間、2006年3月から2008年5月における、ファッションセンターしまむら・既存店・月別売上高前年比(伸率)をまとめたものである。2007年度も売上「前年割れ」の月が多いが、2008年は早くも第一四半期(3、4、5月)が「前年割れ」である。くわえて、5月は昨対91%と、この3年間では最悪の数字となっている。「しまむら大苦戦」というところである。営業実績に敏感に反応する株価も再び下降局面に向かっているようだ。しまむらの反転攻勢を大いに期待したい。

競争激化は必至。売価政策で低価格政策を維持できず放棄すれば敗者に。

原油の高騰、ガソリン価格も高騰、小麦、大豆などの食品原材料も高騰、そして、諸々の物価も上昇。一方、所得は伸びず実質目減り、消費者の財布のヒモはますます堅く、購買力は大幅ダウン。このような厳しい状況下にあって、月別売上高・前年比100%以上を継続的に確保・維持することは極めて難しい。実力ナンバーワンと評価も信頼も高い「ファッションセンターしまむら」と言えども、月別売上高「前年割れ」が続き、大苦戦している。

おそらく、しまむらは今後、「売上前年割れ」をなんとしても防ぐために、強力な売上確保策を打ち出し、「なりふりかまわず」(と言うとちょっと言い過ぎだが・・・)必死の攻勢をかけてくることが考えられる。第一四半期の結果を見ると、今年(2008年3月~2009年2月)は「大波乱の年」、生き残りをかけた戦いの年、大激戦の年になる気配が見える。

おそらく、ディリーファッションストア業界だけにとどまらず、量販衣料業界全体をも巻き込む競争大激戦時代に突入する。このような厳しい競争盤面で生き残れるのは、「低価格政策」、「低価格訴求」を強力に推し進めることができる力を持った店である。こんな厳しい競争には耐えられない、なんとか、逃げたいということで、売価アップ、グレードアップ、品揃えを差別化、これでなんとか逃げ切ろうと考える店も出てくるだろうが、それは「敗者への道」である。

「買上客数が少なくなっても、商品売価単価を上げれば売上は落ちない。だから、売価を上げる。低価格政策はやめる」、こう考えて、低価格政策を放棄してしまっては「生き残り競争に勝ち残れない」ということである。厳しい低価格競争にも耐えられるコスト構造、ローコスト経営をつくりあげねばならい。そして、同時に、厳しさに負けない強固な戦闘意欲を持ち続けることも絶対に必要である。

しまむらの商店経営は、売場坪当り年間損益分岐点売上高80万円、粗利益率30%、売上比販管費率21%~22%。これと戦っても負けないコスト構造、経営構造をなんとしてもつくらねばならない。

多くのディリーファッションストア、食品スーパー・直営衣料部門、GMS衣料部門、その他の量販総合衣料品店、これらの店の経営トップ、商品部長と商品部スタッフ、販売部長、店長は、このことをよく分かっているのだろうか。また、厳しい競争に打ち勝ち、生き残るための、真剣な取り組み、改善改革をやっているのだろうか。そこがちょっと気になるところである。「要らぬ心配だ」と言われれば、それまでのことであるが、本当のところはどうなのか知りたいものである。いずれにしても、1、2年後には、「生き残り組の勝者」と「敗者」の姿がはっきりと見えてくるのではないかと思われる。

ファッションセンターしまむらの08年度・第一四半期の既存店・月別売上高前年比伸び率実績を見て、「今年は大波乱の年」、「競争大激戦の年」、「勝者と敗者がはっきり見えてくる年」、それを強く感じました。はたしてどうなるか、結果は今年が終わってみなければ分かりませんが、ともかく、厳しい競争・戦いの年になることだけは間違いないと思っています。厳しい情勢下にあっても、積極果敢な商品経営、商店経営で突き進むことが、結果として、生き残りの道につながると考えているのですが・・・・・・。  完

 

 

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