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私的経験則:在庫コントロール力=商品経営力

在庫コントロールができなければ商品経営は崩壊する

ある大手食品スーパーチェーンの経営トップから、「衣料品だから食品より商品回転率、回転日数が遅いのは当然だというがどうにも納得できない。衣料品でも、食料品でも、モノを売っていることに変わりはないではないか」と厳しく問い詰められたことがある。さらに、その経営トップは、「衣料品の商品回転日数が遅いためにどれくらい資金繰りに負担がかかっているか分かっているのか、お前は資金繰りを考えたことがあるのか」と衣料品・商品部長を厳しく叱責していた。

この経営トップが言う通りなのだが、衣料品・商品部長の方はというと、「またいつものお小言が始まった。とりあえず、ここは頭を下げて謝っておこう」といった感じで、それほど深刻そうでもなく、軽く受け流している。こんな衣料品・商品部長は、即刻、クビにすべきだが、実際に資金繰りをやったことがない商品部長、お金を銀行から何度も頭を下げて、やっと借りてきたという経験をしていない商品部長には、この経営トップから言われた肝心のところを理解できない。衣料品の商品回転日数が速いか、遅いかで資金繰りがものすごく違ってくることを分かっていないからである。こういう衣料品・商品部長が、意外に多いのだ。こんな商品部長は、在庫コントロールもいい加減にしているから、その商品経営も短期間で崩壊してしまうことになる。衣料部門は閉鎖せざるを得なくなる。これは「人災」というか、悲劇というものである。

これぐらいはなんとしても確保したい商品回転日数  

衣料品の商品回転日数は、とにかく速いにこしたことはない。しかし、かといって、食料品、なかでも、生鮮3品などと同じレベルの商品回転日数にしなさいと言われても、残念ながらそれはとても無理な相談というものである。「衣料品はそういうものだ」などと言い訳をするつもりはさらさらないが、ディリーファッションストアでは、最低でも、これくらいは確保していないとダメだという商品分類別・商品回転日数の目安とする数値はある。経験的目安としている数値を以下に載せておくが、ここであげた数値以下の商品回転日数であれば、商品経営はまだまだ弱体と言ってよく、改善すべき点が多々あると考えた方がよい。

①婦人トップス→30日~35日、②婦人ボトムス→35日~45日、③婦人服→50日~55日、④紳士トップス→35日~40日、⑤紳士ボトムス→45日~50日、⑥子供洋品→40日~45日、⑦ベビー用品→40日~45日、⑧肌着→25日~30日、⑨靴下→25日~30日、⑩ナイティ→30日~40日、⑪ランファン→45日~55日、⑫服飾雑貨→50日~55日、⑬寝装具→50日~55日、⑭インテリア→55日~60日

商品部長は「徹底した在庫コントロール」ができなければならない。  

「徹底した在庫コントロール」、これは最もつらい仕事である。最もきらわれるイヤな仕事でもある。とりわけ、商品仕入担当者からは嫌われる。時には「恨まれる」ことさえある。仕入担当者に、「自分で在庫コントロールをしなさい」と言っても、そう簡単にできるものでもない。たとえ、在庫過剰や、仕入過剰で、商品回転日数がとても悪化していると分かっていても、自らすすんで、「失敗しました。問題解決に真剣に取り組みます」と言ってくる仕入担当者なんてそういるものではない。自分の失敗を、白日の下に晒して、治療のメスを入れることができる、そういうタフで、意志の強固な仕入担当者はほんの少数しかいない。

商品のことは全て仕入担当者に任せる、好きにやりなさいというやり方では、いつまでたっても在庫コントロール力はつかない。だから、商品部長がこれをやらねばならないのである。たとえ、仕入担当者から「鬼」と言われようと、「憎まれ」ようと、徹底した在庫コントロールをすすめなければならない。「人間がデキた部長さん。ものわかりのいい部長さん」ではダメなのである。客観的で、冷静で、そして、「憎まれ役」にも耐えられるタフな商品部長でなければならない。

ファッションセンターしまむらの在庫コントロール  

ファッションセンターしまむらの商品部組織をみると、各課は、というか、商品カテゴリー分類ごとに、バイヤー、アシスタントバイヤー、在庫コントローラー、この3者の組み合わせで構成されている。そして、在庫コントローラーが中心になって、担当商品カテゴリー別に全店舗の在庫コントロールを強力におこなっている。在庫コントローラーが、日々、商品別、店別在庫の動き、商品回転日数を細かくチェックし、問題点を摘出し、改善方向を考えて、バイヤーと話し合い、一緒になって在庫コントロールをやっているのである。だからこそ、商品回転日数も速いし、値下げ率も低い。資金繰りにも苦労していないのである。

こういう商品部組織をつくれればそれにこしたことはないが、人的コストは決して低くない。したがって、しまむら的商品部組織をつくるにも、その人材がいない、人的コスト負担にも余裕が無いという店の場合は(そういう店が多いのだが)、やはり、商品部長が、少しシンドくても、在庫コントローラー役を担わなければならない。できるなら、右腕となる「タフな在庫コントローラー」を少なくとも一人は置くべきである。在庫コントロールができない店の商品経営は必ず短期間で崩壊するからだ。 (完)

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食品スーパー・衣料部門:食品スーパーチェーンの直営衣料部門の現状を見る

食品スーパーチェーンの直営衣料部門の現状はどうなっているのだろう?   

食品スーパーマーケットチェーンの直営衣料部門の現状はどうなっているのか、それを知りたくて、いろいろ資料を集めて調べてみました。(決算報告書、概要などを公表している食品スーパーマーケットチェーン各社の決算資料など)。その結果、分かったことを簡潔にまとめてみました。

004 ■(表-1)は、集めた資料から、食品スーパーマーケットチェーン各社の直営衣料部門の年間売上高、衣料売上構成比をまとめたものです。各社の決算書の年度のちがい、単体決算、連結決算のちがい、各社の衣料部門の中身のちがい等がありますので、そこのところを考慮しなければなりませんが、大よその数字は見られるのではないかと思います。下段にも注①~注③を書いています。ちょっと見えにくいかもしれませんがここもよく読んでおいてください。

(株)天満屋ストアと(株)オギノ、この2社を食品スーパーマーケットチェーンに入れていいかどうかも迷いましたが、食料品の売上構成比が60%以上の小売業を食品スーパーマーケットとしました。この2社はGMS型の大型店舗も展開しておりますので、簡単に食品スーパーマーケットチェーンと言い切れないところがあります。この点も念頭に入れておいてください。(ちなみに、経済産業省の小売業・業種分類では、食料品の売上構成比が70%以上、売場面積250㎡以上を食料品スーパーと定義しています)

■調べた結果では、(株)ライフコーポレーションが年間衣料品売上高約334億円で第一位、次いで、(株)ヨークベニマルの衣料品売上高約200億円が第二位。そして、第三位が(株)天満屋ストア約162億円となっています。(表-1)の食品スーパーマーケットチェーン各社の年間衣料品売上高を、ディリーファッションストア大手の年間売上高と比較しますと、ファッションセンターしまむら、サンキ、パシオス、このベスト3の年間売上高を超えているところはありません。衣料品分野での競争、戦いということに限れば、この大手3社には勝てないと考えられます。(表-1)にある食品スーパー各社の店舗の近くに、ディリーファッションストア大手3社の店が出てくれば、おそらく、衣料部門は「大打撃」を受けるものと考えられます。

食品スーパーマーケットチェーンの衣料品の売上構成比を見ますと、天満屋ストア、オギノの高さが目立ちます。しかし、この2社の数字は、前述していますが、両社ともにGMS型大型店舗をも展開していますので別枠としておきます。(株)オークワにもGMS型大型店舗がありますが、食料品売上高構成比が60%を超えていますので、天満屋ストア、オギノと同枠にはしていません。まず、ここまでのことを頭に入れておいてください。

■食品スーパーマーケットチェーンで直営衣料部門の売上構成比が10%を超えているところはない

(表-1)にあげた食品スーパーマーケットチェーンの直営衣料部門の売上高構成比を見ただけでこう言い切るのも、ちょっと大胆すぎる推測とは思いますが、それほど間違ってもいないのでは、と考えています。ずいぶん昔の話になりますが、かつて、食品スーパーマーケットチェーンで、売場面積6000㎡規模のNSCづくりが騒がれたこともありました。「食品+直営衣料+直営住関連」+テナント、これでNSCを構成するというものでした。その後に出たのは、SSM(スーパースーパーマーケット)という店づくりです。この考えは今でもまだ生きているようです。

このような戦略、政策の変転を経て、食品スーパーマーケットチェーンの衣料品取扱い、衣料品売上構成比は急減してきたように思います。そこでおそらく、「食品スーパーマーケットチェーンで直営衣料部門の売上高構成比が10%を超えるところは無い」と、大胆な推測をするに至ったわけです。(日本全国にある食品スーパーチェーンを全て調べたわけではありませんので、もちろん、絶対の自信があるわけではありません)

食品スーパーマーケットチェーンの直営衣料部門が急減している背景にあるものは「食品スーパーマーケットにおける競争の激化」である。

(表-2)は、経済産業省の平成14年と平成16年の「商業統計速報」をもとに作成したものですが、業種別・商店数、売場面積の推移・比較をまとめたものです(業種分類名は経済産業省のものです)

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■この表から次のことが分かります。平成14年対平成16年では、業種別に商店数が大きく伸びているのは、食料品スーパー、ホームセンター、コンビニエンスストア。そして、売場面積の伸びが大きいのは、ドラッグストア、ホームセンター、食料品スーパーです。もうお分かりでしょうが、平成16年以降も、食品スーパーマーケット業界の競争は激化の一途を辿っています。もう、衣料品などにかまっていられない、そんな余裕は無いというくらい「厳しい生存競争」が展開されているということです。衣料品の売上高構成比急減にはそういう背景があります。今後とも、この傾向、すなわち、「食品スーパーマーケットチェーンにおける直営衣料部門の売上構成比は年々減少の一途をたどる。10%を超えることは無い」、それが続くだろうと考えられるわけです。 完

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私的経験則:食品スーパーチェーンの衣料部門が縮小・閉鎖・撤退に追い込まれている理由

食品スーパーマーケットチェーンの直営衣料部門の撤退・閉鎖が増加している  

食品スーパーチェーンの衣料部門が大苦戦しているという話をよく聞く。また、なかなかモノにならないとも言われている。そして、多くの食品スーパーチェーンの経営トップから「できるだけはやく衣料部門を閉鎖、撤退したい。切り捨てたい。しかし、衣料部門が抜けた跡の売場をそう簡単に他のもので埋められない。テナントを誘致して埋めると言ってもそれが容易にできるような時代ではない。ともかく、衣料部門をどうやって閉めるか困っている」という苦しい声も聞こえてくる。

何故、こんな状況に陥ることになったのか。それにはそれなりの理由があるはずである。しかし、どうして衣料部門がうまくいかなかったのか、何故苦戦しているのかという本当の原因を追究しないまま、とにかく、閉鎖・撤退だと言うのも納得いかない部分がある。(「いつまでも衣料部門の赤字を放置できない」という急ぐ気持ちも分からないではないが・・・・・)

食品スーパーマーケットチェーンの直営衣料部門がうまくいかないいくつかの理由  

最大の理由は、経営トップの衣料部門に対する熱意不足、研究不足、勉強不足があったこと。経営トップが、衣料品にはどんな服種、品種があるかもよく知らず、商品名も分からなかったこと。基本的には、衣料品に対する興味も関心も薄かったこと。

なぜ衣料品をやるのか、やったのか、その目的が明確でないこと。戦略的位置づけもあいまいなまま衣料品をやってしまったこと。

衣料品の粗利益率は高いものだと錯覚したこと。衣料品は、いい加減にやれば極めて大きなリスクが高いのを知らなかったこと。食品をやるよりも衣料品のほうが楽だとおもっていたこと。

衣料品も食品と同じくらい商品鮮度、品揃え鮮度が重要なことが分かっていなかったこと。食品・生鮮3品などのように衣料品の鮮度劣化は目で見てはっきり分かるものではないことを知らなかったこと。

自店がまわせる実力以上の売場面積の店舗をつくってしまったこと。そのため、衣料品をその穴埋めにつかったこと。

衣料品の商品部組織を、しっかり構築せず、未整備のまま、「そんなに売れないだろうから商品部の要員はこんなものか」という程度の軽い気持ちでつくり、衣料品をはじめてしまったこと。優秀な人材の配置は食品最優先で(これは当たり前だが)、衣料部門への配置は最後の最後、後回しにしたこと。スタート当初から衣料品商品部は弱体であったこと。それがいまも続いていること。

衣料品は最少でも売場面積150坪以下ではいずれ行き詰ることを分からなかったこと。そのため、50坪でも、70坪でもとにかく衣料売場をつくってしまったこと。また、逆に、400坪、500坪という実力不相応の大きな売場をつくってしまったこと。

食品スーパーチェーンの直営衣料部門がなかなかモノにならない、うまくいかない、そして、大苦戦している、その理由はこんなところではないかと思っている。

「衣料品のことは知らない、経験も無い。しかし、食品に比べれば、人手も、金も、モノにする時間もかからないように見える。ちょっとうちでもやってみようか」、また、「食品よりも粗利益率は高いし、衣料品屋を見ているとそれほど苦労しているようにも見えない。あれならうちでもできるよ」などというあまい考え、軽い気持ちで衣料品をはじめた食品スーパーチェーンの経営トップが思ったより沢山いたということであろう。これでは、失敗するのが当たり前である。大苦戦するのが当然である。「そうなるべくしてそうなった」と言えば、「それはちょっと言い過ぎではないか」という人もいようが、本当のところは①~⑦のことをあまり考えていなかったのではないかということである。酷な言い方をすれば、「やはり経営トップの責任だ」ということになるのではないだろうか・・・・・・。

「食品スーパーチェーンの衣料部門が、縮小・閉鎖・撤退に追い込まれている理由」 完

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私的経験則:交差比率240以下の商品経営では生き残れない

交差比率を評価基準にして商品経営を見れば、その店の先行きが見える  

交差(交叉)比率は、(粗利益率×年間商品在庫回転率)の計算式で求められる。(小売業界人でこの指標の重要性を知らない人はいないと思うが、念のため)

衣料品店の商品経営においては、交差比率240が達成すべき第一段階の数字と言われているのだが、調べて見ると240以上の衣料品店は案外少ない。ちなみに、ディリーファッションストア界のナンバーワン企業、「ファッションセンターしまむら」の交差比率は、在庫回転率10回×粗利益率30%=300(2008年2月期)と高い。一方、食品スーパー・ヨークベニマルの直営衣料部門の交差比率は、在庫回転率6回×粗利益率36%=216(2006年2月期)で、しまむらよりはるかに低い。ファッションセンターしまむらは「儲かっており」、ヨークベニマルの直営衣料は赤字(または、赤字すれすれ)と言われている。

交差比率で衣料品店の商品経営力を評価・判断してきたが、経験的には、大雑把な言い方だが、以下のことが分かっている。

交差比率240にする(在庫回転率)と(粗利益率)の組み合わせは相当数考えられるが、詰めていくとそれほど多くはない。粗利益率よりも在庫回転率を重視して考えていくが、ほぼ、4つの組み合わせに絞り込まれる。

 (A) 在庫回転率6回×粗利益率40%=交差比率240

 (B) 在庫回転率7回×粗利益率34.2%≒交差比率240

 (C) 在庫回転率8回×粗利益率30%=交差比率240

 (D) 在庫回転率9回×粗利益率26.6%≒交差比率

このうち、(A)は在庫回転率が6回と低すぎ、かつ、粗利益率40%は高すぎるという問題点がある。次に、(D)は、在庫回転率9回の達成が難しく、かつ、粗利益率26.6%が低すぎるという欠点がある。残るは、(B)と(C)だが、量販衣料品業界ではかなり昔から、(C)の組み合わせ、在庫回転率8回×粗利益率30%=交差比率240、このかたちが最も良い組み合わせであると言われてきた。いろいろの考え方ができるが、ディリーファッションストアの商品経営と商店経営で重要な3点、①低価格政策、②高速回転の商品経営、③ローコスト経営、これらを考えると、やはり、(C)が最も良いかたちであろう。

交差比率の数値をもとにしたいくつかの商品経営力の評価  

年間商品回転率6回、粗利益率25%以下、交差比率150以下の商品経営

交差比率150以下の商品経営では店が潰れる。この交差比率150以下の商品経営力なら、衣料品はやめたほうがいい。無理して続けても、赤字と資金繰りに苦労するだけだろう。しかし、それでもやめない、もうすこし続けてみるというのなら、次のことを考えたほうがよい。まず、衣料品・商品部長を更迭、もっと腕のいい人材と入れ替え。仕入担当者も総入れ替え。これができないなら、出来うる限り早く、衣料品をやめたほうがよい。

年間商品回転率7回、粗利益率28%~29%、交差比率196~203の商品経営  

衣料品店の商店経営、商品経営面から見て、まだまだ問題点あり。衣料部門という枠で考えても、「お荷物」の部門。「ひとり立ちできる」、すなわち、自分の力で食っていける力は弱く、経営は不安定 。商品経営②ケースで考えねばならないことは、まず、①のケースと同じく、商品部長の更迭、入れ替え。交差比率200を超えられない部門別仕入担当者も更迭、入れ替え。これをやっても、衣料品商品部の組織力、MD力強化、体質改善には3、4年はかかるだろう。

年間商品回転率8回、粗利益率30%、交差比率240の商品経営 

これで「普通のレベル」、一人前。しかし、まだ、「衣料品をやっています」と言える程度。ちょっと力のある競争相手と競争することになったり、また、景気がやや悪化したりするとすぐ効率が落ちてしまう。まだまだ不安定なところがある。商品部長は、仕入担当者の選抜、教育・育成に励み、商品部のMD力、仕入力、戦闘・競争力の強化をはからねばならない。それができない商品部長であれば、これを、更迭、入れ替え。

年間商品回転率10回以上、粗利益率33%以上、交差比率330以上 

量販衣料品店では相当、優秀な商品経営力。このレベルが維持できれば、もっと大きな、積極的な、攻めの経営戦略、商品戦略の展開が考えられる。商品部の人材強化を積極的に進め、組織力、MD力の強化をはかる。

 「交差比率240以下の商品経営では生き残れない」  完

    

  

    

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業界動向:パシオス狭山店を見る

パシオス狭山店はパシオス全店舗の中で「高年齢店」だが売上効率は高い店。 

パシオス狭山店(埼玉県狭山市広瀬東2-41-1)は、食品スーパー業界でトップクラスの力を持つと評価の高い食品スーパー・ヤオコー狭山店の2階にあります。店舗概要は、①平成6年3月開店、②売場面積2911㎡≒880坪(簡単な歩測調査では、共有面積部分を除く売場坪数は約655坪でした)、③年間売上高14.4億円を売上げた年もある高効率店で、パシオスの重要店舗の一つと考えられます。

003_2■食品スーパー・ヤオコー狭山店は、1994年4月開店、売場面積7305㎡≒2209坪、店舗建物2階建、の店でヤオコーの旗艦店です。ヤオコー狭山店は、1998年、戦略店舗として改装され、650坪タイプの大型食品スーパーとして、2003年には年商約36億1600万円を売上げています。その集客力は極めて高く、対象商圏エリアにおける食品の売上シェアは圧倒的です。そういう強力な食品スーパーの2階にパシオス狭山店はあるわけです。極めて有利な立地条件のもとにある店であると言えます。もちろん、パシオス自体の強さもありますが、それプラス、ヤオコー狭山店の集客力も加わって、年商14億4000万円という高い売上高を獲得できたのではないかと思います。パシオス狭山店は開店からもう約14年も経っていますから、店舗内装・什器、他の設備等の減価償却はかなり進んでいるはずです。きっと、店舗運営コストは低くなっていることでしょう。それに、おそらく、入居時の家賃、他の入居条件などもそれほど高かったとは思えませんので、パシオスではかなり重要な「利益貢献店舗」であろうとみています。

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■ヤオコー狭山店、パシスオ狭山店の店舗建物外観。平面駐車場スペースの狭さと収容台数の少なさを感じますが、自走式の立体駐車場もありますので、その弱点はかなりカバーされていると考えられます。パシオス狭山店はこの2階にあるわけですが、パシオスにとっては駐車場能力にはなんら問題はなく、また、2階への顧客誘導、導線にもなんの支障も無いと言えます。店舗建物外観は14年という歳月を感じさせるものがありますが、見た目は、それほど古臭い店とは感じません。

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■この店舗のフロア構成です。2階には、パシオス狭山店を核店舗にして、専門店のブルーグラス、プチミカド、サンシューズ、TOKYO YeYeなどがあり、商業集積力も低くはありません。ディリーファッションストアは、単店舗としての集客力はそれほど強くありません。もちろん、商業集積力も高くありません。したがって、単店舗でいるよりは、集客力の高い食品スーパーと組んでNSCを構成したり、または、強い食品スーパーの店舗に相乗り出店する、そういう戦略の方が「賢い出店戦略、そして、売上と利益をより確保しやすい店の出し方」であると言えます。今では、ファッションセンターしまむらも、そんな考えを持っているような気がします。最近のパシオスや、サミットコルモの出店を見ても、ほとんどこういった考え方の出店戦略をとっていると言っていいと思います。

パシオスは既存店に追加設備投資をして活性化しない? 利益貢献度の高い店でも古い店にはお金をかけない?   

こんなことを言うと叱られそうですが、パシオス狭山店を見てそんな感じがしたのですが、これは当方の見方が悪いせいでしょうか。ファッションセンターしまむらが、高年齢店舗、古くなった既存店の活性化するときは、店舗建物設備、外装、内装、床・壁・天井、照明、陳列什器など、ほとんどすべての面をつくり直し、全面的に新しくします。もっとやる時は、古い店舗建物を解体、場所を移転し、増床・新築、まったく新しい店、最新店舗の形で生まれ変わります。それと比べますと、パシオスの既存店活性化策はちょっと見劣りがするようです。もう少しお金をかけてもいいのではと思うのですが、どうなんでしょう。

しかし、この考え方は、後日、パシオス・アルカキット錦糸町店が3階から8階に移転し、最新店舗に生まれ変わったのを見て大分、改めました)

高年齢店舗だが、売上効率が高く、利益貢献店舗でもある「既存店」を、パシオスはどのように考えているのだろうか、それが知りたくて、パシオス狭山店を見に行ったのですが、そこではこんなことを感じた次第です。 完

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私的経験則:値下率15%超。ひどいときは20%超。こんな商品経営では店が潰れる

高値入率、高売価(売価>品質)、高値下率、こんな商品経営では店がもたない  

「年間値下率が常に15%以上、ひどいときには値下率が20%をこえる、こんな量販総合衣料品店チェーンがあるんだよ」と、真面目一徹で、業界では理論家と言われている友達に話したら、「そんな店が本当にあるの?。うそだろう。脅かすためのつくり話じゃないの」と聞き返してきた。しかし、そんな店が本当に存在しているのである。常識的に考えれば「とうに潰れているはずの店」だが、これが生き残っているから、世の中は広いというか、面白い。

「それはなんという店なの?」と聞かれても、どこどこのなんという名の店だよとは残念ながら答えられない。ただ、言えるのは、食品スーパーマーケットの直営衣料部門、もしくは、衣料品小売店の子会社をよく調べてみると、この話がウソじゃないことが分るでしょうといところまでです。食品スーパーマーケットチェーンとしては優秀で、利益をあげている企業の衣料部門、関連子会社にも、こんなひどい商品経営をやっているところがあるのにはビックリする。

企業全体に占める「衣料部門の売上構成比が5%以下」と低く、赤字ではあるが、食品スーパーマーケットの利益でカバーされてしまうので、その赤字経営があまり目立たない、別な言い方をすれば、「食品部門に食わしてもらっている、寄っかかって生きている」、そういう衣料部門、衣料品販売子会社があるのである。そして、驚くべきことに、その赤字会社、衣料部門(または、子会社)で働いている人達に、危機感とか、これは大変だという意識が欠如していることだ。毎年、億単位の赤字を出しているにも関わらず、「親方日の丸」というか、典型的なサラリーマン体質と云うのか、ともかく、のんびりしているのである。

売行き不振品、死に筋商品の早期発見、早期処分・処理、これを徹底的にやる。 

現在、衣料品業界で言われている「単品の商品寿命」は、15日から22日である。根拠のほどは詳しく分からないが、店・売場に、その商品を陳列・品出ししてから、この期間内に一枚も売れていなかったら、それは、売行き不振品、死に筋商品と考えよということである。とくに、お客の週間来店頻度が高いとされるディリーファッションストアでは、「いつ行っても、同じ商品が、同じ場所に、長い期間、大量に陳列されている」、こういう商品経営をやってはいけないことを考えると、この、「商品寿命、15日から22日・説」はとても説得力がある。

売行き不振品、死に筋商品の早期発見、早期処分・処理を徹底的にやれば、商品回転日数はより速くなり、値下率も下がる。当初は、あまりの値下げ対象処分品の多さに驚いて、こなんことをしたら大変だ、店が潰れてしまうという恐怖心が起こるだろうが、そこを乗り越えられれば、効率の良い商品経営ができることになる。問題は、精神的にも、金銭的にも耐えきれるかというところだ。

売価還元法の欠陥を悪用する「悪質な商品部長」がいるのにはただ驚愕!!   

「こんな二桁の値下率をいつまでも放置し続けていると、あなたの店は早晩、潰れるよ」と、ある食品スーパーの赤字衣料部門の商品部長に云ったら、こんな答えが返ってきた。「値下率の高さも、商品回転の悪さも、気にすることはありません。売上が悪くったっていいんです。だいたい、売上と粗利益は関係ありません。うちは売価還元法ですから、どんどん値下げし、どんどん仕入し、売価在庫高を増やせば粗利益率はあがります。粗利益率があがれば、粗利益額も増えるわけですから、それは簡単なことですよ」というものである。これには本当に驚いた。「でも、その粗利益率は、いわゆる、”在庫粗利”というやつで、見せかけの粗利益率じゃないの。そんなの騙しと同じじゃない」と言うと、「いいんです。上司はそんなところまで見ていませんし、だいたい、分かっていませんから」と、その商品部長は、平然として答えた。あきれ返って、もう、なにをか言わんや、なんと「悪質な商品部長」であることよ、この店の衣料部門も長いことないな、これは悲劇だと思ったものである。

  「こんな商品経営では、店が潰れる」  完

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私的経験則:仕入過剰、在庫過剰、低速回転では「しまむら」と戦えない

■「ファッションセンターしまむら」との競争は、商品鮮度、品揃え鮮度の競争。 

ファッションセンターしまむらと戦う(競争する)場合には、なによりもまず、自店・店頭商品在庫鮮度を「しまむら」と同レベル、できればそれ以上の良い鮮度にしておかねばならない。ファッションセンターしまむらは、①年間商品回転数10回、②平均回転日数約37日、で商品をまわしている。これを相手に戦うわけだから、自店の商品在庫鮮度を「常に、しまむらより、良い鮮度に保つ」ためには、彼らより早く商品をまわすしかない。すなわち、年間商品回転数10回、平均商品回転日数37日以内という「高速回転の商品経営」が要求される。

仕入過剰、在庫過剰、低速回転、こういう「だらしない商品経営」をやってきた店が、しまむらと競争する、戦うなどと意気込んでも、それは「カラ元気」というもので、本当はあまり意味の無いことである。頭から勝負にならないことがはっきりしているからだ。こんなことは当たり前のことだと思うのだが、「喧嘩はやってみないとわからない。しまむら、なにするものぞ。やっつけてやる。俺には自信があるんだ」など元気のいいタンカをきる人もいたりするから、この世は面白い。身の程知らずというべきか、自分の力を客観的に見られないヤツというべきか、ともかく、しまむらの強さ、怖さをてんで分かっていない、それに気がついていない。競争の厳しさ、辛さが見えていないのである。その結果は、ほぼ間違いなく、戦いに完敗、店の撤退・閉鎖。破滅への道を一直線。

売場坪当り平均売価在庫12~13万円、年間商品回転数8回転、どんなことがあってもこの数字を割らない商品経営をやっていける、そういう力のある店しか、強者・しまむらとの競争ステージにあがる資格は無い。お店の実力がこの数値以下であれば、残念ながら、しまむらと戦っても、まず、勝ち目はないと言えるからである。しかし、しまむらが店を出すことは事前に(少なくとも1、2年前には)分かることであり、しまむらとの戦いに備える準備期間がまったく無いというわけではない。この期間に、自店の商品在庫鮮度、品揃え鮮度を徹底的に改善改良しておけば、迎撃体制を築き上げることも可能だ。問題は、それに真剣に取り組むかどうかである。真剣に、必死になって取り組めば、強固な迎撃体制を築き上げることができる。しまむらと戦っても滅びることはない。生き延びることができよう。

逃げてはダメ

「しまむら」と戦う場合、「逃げ」をうってはならない。「逃げる」のも一つの手であることは否定しないが、それではジリ貧になるだけである。しまむらとの差別化だ、グレードアップだ、専門店化だ、それこそ唯一、生き残れる道だと、なにも分からず、「滅びへの道」を進んでいった人は決して少なくない。逃げれば逃げるほど、その店が「生きていける場所」はより狭くなる。しまむらとの戦いに恐怖と不安はつきものだが、それに臆することなく「真正面から戦う」ことを期待したい。「しまむらとの戦い」は、とても厳しく、長く苦しい戦いだが、その辛さをしのぎ、乗り越えて、立派に生き残り、繁盛している店が思っているより沢山存在しているからである。

仕入過剰、在庫過剰、低速回転、この悪しき商品経営から脱却せよ。

悪しき商品経営は、①「ファッションセンターしまむらの力(商品力、品揃え力、経営力、競争力、資金力、組織力など)をあまくみていること、②経営トップに「気のゆるみ」、油断、危機意識の欠如があること、③闘争心、戦う心を無くしてしまっていること、④組織全員が競争に弱気、勝つことを全く諦めていること、⑤勉強嫌い、情報不足、研究不熱心、継続力無し、怠惰、これらによって引き起こされる。仕入過剰、在庫過剰、低速回転、これらはすべて「人災」である。だから、逆に言うと、「防ぐ」ことができる。天変地異がもとで「悪しき商品経営に陥ったわけではないからだ。「しまむら迎撃体制構築」にいまから取り組んでも、決して遅いということはない。「なにも手を打たない、なんにもしない」、これは最も悪い選択である。

   「仕入過剰、在庫過剰、低速回転では、しまむらと戦えない」  完

     

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私的経験則:慢性在庫過剰は衰滅への最短コース

商品回転日数悪化、慢性在庫過剰は衰滅への最短コース。まもなく店は死ぬ。  

経験不足、勉強不足、仕入技術力不足、情報不足、能力不足の仕入担当者が「店をダメにしている」。未熟で腕の悪い仕入担当者が「売れない品揃え」をつくっている。

店を生かすも、殺すも、仕入担当者がそのカギを握っている。その責任は重い。そのことを分かっていない「あまちゃん仕入担当者」は結構沢山いる。商品回転日数悪化、慢性在庫過剰、多大の値下高・率、これでは「店は死ぬ」。その怖さを分かっていない仕入担当者は排除しなければならない。

商品回転日数の悪化がもたらすものは

多大の値下ロス値下げ、見切り処分をしょっちゅうせざるを得なくなる。最後には「客離れ」、そして、「店は死ぬ」

粗利益率と額の著しい低下ひどいところでは二桁の値下率、20%を超える店もある。なんとか粗利益率を上げようと無理やり値入率を上げる。売価>品質で「お値打ち感」がなくなる。最後にはお客が「売価に対する疑惑の目」を持ち、「店への信頼感」も失う。こうなっては終わりだ。

資金繰り悪化商品回転悪化、商品運転資金繰りも著しく悪化。そして、資金ショートを引き起こす。資金繰りのため「短期借入金」が増大。最後には「商品仕入代金の支払い」もできなくなる。取引先からの信頼も失う。資金繰りが成り立たなくなれば、まもなく「店は死ぬ」

量販衣料の商品経営は、年間商品回転率が6回以下では成り立たないと思え。仕入代金を仕入と同時に即時・現金払いしている場合は別として、手形支払いでもその支払サイトは60日が限度。最低限度必要な年間商品回転数は365日÷60日≒6回、実質72日前後の支払いとしても5回。これ以下の商品回転では商品経営も、資金繰りも成り立たない。このことを本当に分かって仕入れをやっている仕入担当者は意外に少ない。

量販衣料の商品経営では、年間商品回転数をすくなくとも8回転から10回転はさせなければ資金繰りは成り立たず、利益も出せない、そして、あっという間に店は死んでしまうと考えよ。

仕入担当者への不信感増大、信頼喪失。売場担当者は著しく販売意欲を喪失。

未熟で、腕の悪い仕入担当者が「いい加減な気持ち」で、さしたる計算もせず、ドカンと仕入れてきた「売れもしない商品」で売場がいっぱいになれば、売場担当者の「やる気」はなくなる。「売る側の身にもなってみろ。自分で売ってみろ。そうすりゃ、売れないのがよく分かることだろうよ」という気持ちに売場担当者がなるのは当たり前。こんな「当たり前のこと」をまったく分かっていない仕入担当者が思ったより多いのには驚く。

「売場、販売現場、お客の動きをもっとよく見ろ。もっと頻繁に、もっとこまめに店・売場をまわれ」、「お客様の声、売場担当者の声をもっとよく聞いて仕入れてこい」、こう言われるのは仕入担当者にとって「最大の恥」。

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業界動向:「しまむらの大都市・都心部出店」の進みぐあい

ファッションセンターしまむらの大都市・都心部出店はどこまで進んでいるか。  

確か、3、4年前のことだったと思いますが、ファッションセンターしまむらは、東京都と神奈川県への出店を加速するとして、特別開発プロジェクトチームを編成しています。そして、大都市・都心部への出店も積極的に進めることを公表していました。また、大都市・都心部への出店に際しては、家賃・共益費、地代、差入入居保証金などの出店条件にも柔軟に対応すると言っていました。いままで、しまむらが守ってきた「出店開発原則」、例えば、売上対比家賃費率5%以内ルールを家賃が超える物件でも、利益が出せるという見通しが立てば前向きに出店を進めるという話もありました。その後、この話、東京都と神奈川県への出店、そして、大都市・都心部への出店は、どのような進展をしているのか、ちょっと気になっていましたので調べてみました。

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■表は、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の都府県におけるファッションセンターしまむらの、①年間売上高、②売場面積、③店舗数などをまとめ、年度別比較をしたものです。また、これら都府県にある大都市、東京都、横浜市、名古屋市、大阪市における店舗数も別表にまとめてみました。2007年度2月期と2008年2月期の比較、店舗数に関しては2008年度5月17日現在の数字も入れて比較してみました。

(1)東京都の2007年2月期と2008年2月期の比較では、年間売上高が約10億円増加していますが、店舗数は2店舗増(2008年5月の店舗数でみると3店舗の増)で、それほど増えたとは言えない数字です。そして、東京都・都心部店は7店舗(東京都における店舗数19店舗のうちの7店舗で約37%の構成)ですが、東京都における店舗の絶対数がとても少ないのが分かります。東京都及び都心部への出店では、なかなか条件のいい物件が見つけられないで苦労しているのかもしれません。

(2)神奈川県では2007年と2008年では、年間売上高で約10.87億円増、店舗数は6店舗増となっています(08年5月の店舗数と比較)。東京都に比べて店舗数増が4店も多くなっていますが、横浜市・都心部店はわずか6店舗ですから、これも東京都と同様、とても少ない店舗数です。やはり、出店物件開発はそう簡単ではなさそうです。

(3)同じ年度別の比較で、愛知県では年間売上高で約14.26億円増、大阪府で14.21億円増となっています。しかし、都心部店数となると、愛知県では、名古屋市区内の都心部店は、わずか4店舗、そして、大阪府では大阪市にある店舗数はゼロですから、これは、東京都や横浜市よりも都心部への出店がかなり遅れていると言ってもいいでしょう。

003■全国・都道府県における、2007年度2月期と2008年2月期の、①年間売上高、②売場面積、③年坪売(売場坪当り年間売上高) 、④期末店舗数などの比較表です。

(イ)年間坪当り売上高120万円以上のところはどこか、(ロ)しまむらの売上シェアが高く、かつ、年間売上高の大きい地域はどこか、そして、(ハ)売上「前年割れ」のところはどこか、とくにこの3点に注目してよく見ていくと、しまむらが、どこで稼いでいるか、どこが最も強いかなどが見えてくるのではないでしょうか。なかでも、しまむらの売上シェアが10%超えのところをよく見て、何故、そうなっているかを考えて見る必要があります。

   「しまむらの大都市・都心部出店」の進みぐあい  完

    

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業界動向:チラシ分析で見る「ディリーファッションストアの売価政策」

チラシ分析でも分かる「しまむら」、「パシオス」の売価政策   

ディリーファッションストア3社、ファッションセンターしまむらパシオスピーエフ(PF)が、昨年・2007年の6月、7月、8月、この3ヶ月間に打ったセールチラシをもとに、この期間における彼らの婦人衣料主要品種の売価政策を調査分析してみました。セールチラシだけの分析ですが、それでも、ディリーファッションストアの売価政策をかなり的確に読み取ることができそうです。(注:ピーエフのチラシは8月分のみ)

6月~8月は、季節区分で言えば、夏から初秋というところですが、この期間における婦人衣料主要品種として以下の12品種をとりあげました。(表1~表3参照)

6月、7月では、①半袖Tシャツ(キャミソール、タンクトップ含む)、②カットアンサンブル、③チュニック(チュニックアンサンブル含む)、④ワンピース(ワンピースアンサンブル含む)、⑤ハーフパンツ(ショートパンツ含む)、⑥カプリパンツ(クロプトパンツ含む)、

8月では、⑦長袖Tシャツ(七分袖、秋カラー半袖、キャミソール含む)、⑧カーデ&ボレロ、⑨チュニック長袖(チュニックアンサンブル含む、七分袖、秋カラー半袖含む)、⑩ジャケット、⑪ワンピース、⑫スパッツ(レギンス含む)

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■(表-1)は2007年6月の、しまむらとパシオスのセールチラシをもとに作成。婦人衣料主要品種のプライスレンジ別出現掲載本数を調べたものです。プライスレンジ別、品種別出現掲載本数は表のとおりですが、もう少し細かくして、プライスラインで言うと、第一位は1000円、1500円が同数で最多、次が890円、三位が490円、1000円が主要プライスラインと考えられます。

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■(表-2)は2007年7月。季節は「盛夏」ですが、ほとんど6月と同じです。この月も、第一位は1000円、1500円が同数最多、第二位が890円、第三位が490円。6月、7月の婦人衣料主要品種の売価政策は、1000円、1500円、890円、490円、この4つの売価ラインを軸にした売価政策が展開されています。勝負どころは、これら4つの売価ラインで、「いかに、競争相手の店よりも品質が上の価値(お値打ち)ある商品を提供できるか」というところのようです。

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■(表-3)は8月を調べたものですが、前述のとおり、品種名を変えています。基本的には「秋物」という観点から見ています。この月は、秋物品揃えと夏物処分が混在していますので、プライスレンジ別出現掲載本数に乱れがみられます。プライスライン別順位は、第一位が890円、第二位・1000円、三位・1500円です。ですが、おおきな流れは、6月、7月とそう変わらないと見てよさそうです。

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■(表-4)は、6、7、8、3ヶ月合計のプライスレンジ別出現掲載本数です。ここでも、1000円が主要プライスライン、そして、1500円、890円、490円、この4本が重要なプライスライン。そして、下限方向の700円、690円、上限では1700円、これらがサブプライスラインとして使われています。

(表-5)は婦人半袖Tシャツの調査表です。

もっと詳しく、そして、より的確に、ディリーファッションストアの売価政策を知るためには、調査対象として選んだ店の売場に入って、月ごとの品揃え・商品力実地調査(いつ、どの店のどの売場で、何が、いくらで、何枚、品揃えされていたかの調査)を定期的・継続的に行わなければならないことは言うまでもありません。これを、「分かっている店はしっかりやっています」が、残念ながら、それをきちんとやっている店の数はとても少ないようです。

    「チラシ分析で見るディリーファッションストアの売価政策」 完

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新店舗情報:パシオス開成店

パシオス開成店は2007年11月23日開店の標準店舗   

パシオス開成店は、神奈川県足柄上郡開成町延沢699-1(マックスバリュー開成店の隣り)に、売場坪数約350坪で、2007年11月23日に開店した店舗で、パシオスで言うところのパシオス・コンデンス(S)型店舗です。(なかなか見に行く時間がとれなかったのですが、やっと見ることができました)

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■店舗所在地概略図。がパシオス開成店、そこから約2kmのところに、・しまむら太井店があります。店間距離から考えれば両店は競合関係にあります。しまむら大井店は、1995年7月開店の古い店ですが、売場坪数約325坪、年商推計約3億5000万円~4億円の比較的効率の高い店舗です。約2kmという距離関係から考えますと、パシオス開成店の出店による「売上減」があると思われます。パシオス開成店は、しまむらがパシオスの株を約13%取得し、資本参加・提携を発表した直後の出店ですが、すでにかなり前に出店が決まっていた店で、まだ、両者の出店調整などはまったく無かったものと考えられます。両店の立地条件比較では、パシオス開成町のすぐ隣りに「マックスバリュー開成店」がありますから、商業集積力では「パシオスの方がかなり有利」と言えるでしょう。

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■パシオス開成店の駐車場の隣りにあるマックスバリュー開成店。2006年8月3日開店、売場面積2126㎡≒643坪、初年度年商見込み25億円の食品スーパーマーケットで、1階を駐車場、売場は2階という構造の店舗です。パシオス開成店の駐車場の車の流出入には、この店の駐車場を使いますが、導線にやや難点があり、使い勝手はあまりよくありません。ここはこの店の弱点と言っていいでしょう。

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■パシオス開成店の外観。ここ2、3年につくられたパシオス標準店舗型。初年度売上2億8000万円を確保できれば「まあまあ」、3億5000万円を売上れば「上出来」ではないかとみているのですが、はたして、初年度売上高はどうなるでしよう。経験則的数値目安の一つに、「食品スーパーの店舗内、または、その隣りに売場坪数350坪の衣料品店を出せば、その食品スーパー・年間売上高の15%の売上は確保できる」というのがありますが、これから計算しますと、(マックスバリュー開成店・初年度売上目標25億円×15%)≒年商約3億7000万円前後となります。しかし、この売上高を初年度に確保することは難しいのではないかと思います。(開店してまだ約6ケ月の店ですから、いまから断定するのもなんですが・・・・・)

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■パシオス開成店の設備は最新店舗型です。店舗建物外観・デザイン、ファサード、ショーウインドー、床・壁・天井、照明、ビジュアルプレゼンテーションとその仕掛け、売場レイアウト・ゾーニング、いずれも、パシオスの最新店舗・四街道店とおなじ仕様です。写真は、店入口入ってすぐ正面に設置された新型のメインディスプレイステージ。店づくりのレベルは高いと言えます。

パシオスとファッションセンターしまむらを比較すると、パシオスには「パシオスらしさ」があり、店づくり、品揃え、売場づくり、これらの面では、決して、しまむらに負けていないと思います。ディリーファッションストア業界・No.3の実力を持っています。(現在、実力2位はサンキ)。しかし、数値実績から見た店舗経営力比較では、しまむらに劣る部分が多々あるように考えられます。出店開発設備投資コスト、経費コスト、各種生産性、利益効率、売上効率、商品生産性、収益構造、財務収支などの比較では、「まだまだ、しまむらに及ばない」ところがかなり見受けられるからです。パシオス開成店を見てこんなことを感じました。なにはともあれ、開店1年後の実績がどうなったか見てみたいものです。

   「パシオス開成店」 完

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経営課題:「売場坪当り年間損益分岐点売上高」

店舗の損益分岐点売上高を「売場坪当り年間損益分岐点売上高」で考える  

「店舗の損益分岐点売上高はいくらか」、これを適確に掴んでいれば、今、自店はどんな位置にいるかを評価判断できると思います。「そろそろ利益が出せるところまできている」とか、「まだまだ利益を出すまでの売上レベルにはほど遠いところにいる」などが分かります。また、利益をだすためには何をすればよいか、どの経費コストを削減すればよいかなども見えてきます。

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■表は「ファッションセンターしまむら・第55期決算概要」より作成したものです。しまむら合計で見た売上対比各経費率を計算し、その各比率を「ファッションセンターしまむら単体」に適用して各年間経費コスト額を概算し、さらに、その概算経費コスト合計額から売場坪当り年間経費額を算出してみました。

■計算結果、得られた売場坪当り年間販売管理費は約22.8万円でした。

この、22.8万円をもとに「ファッションセンターしまむら全店合計」で見た、売場坪当り年間損益分岐点売上高は、次の計算式から約76万円となります。

ファッションセンターしまむらの売場坪当り年間損益分岐点売上高は約80万円

売場坪当り年間販売管理費22.8万円÷粗利益率30%=売場坪当り年間損益分岐点売上高76万円

これは大雑把な計算でして、本当にアバウトな数字としか言えませんが、それでも、「ファッションセンターしまむら・単体・全店舗合計」でみた売場坪当り年間損益分岐点売上高は約76万円、もうすこし枠を広げて約80万円あたり、すなわち、76万円~80万円と考えてもそう大きな間違いはないのではないかと思われます。

しかし、これは言うまでもなく一つの目安にすぎません。しまむらの全店舗の内訳を見れば、そこには新旧、混在しているわけですし、それぞれ個々の店ごとに損益分岐点売上高は異なっているからです。一般的に、新店舗ほど損益分岐点売上高は高年齢の古い店舗より高くなる傾向があります。なぜなら、どうしても高年齢の古い店舗よりコスト負担が高くなってしまうからです(新店舗がすべてそうだとは言い切れませんが・・・)。

たとえば、ファッションセンターしまむら」が、売場面積350坪の店舗を約1億2000万円の設備投資額で作り、この店の初年度年間売上高を(年間売場坪当り売上高80万円×売場坪数350坪=)2億8000万円と見込んでいるとします。そして、粗利益率を30%と設定しますと、年間粗利益額は、売上2億8000万円×粗利益率30%=8400万円となります。ここで、先に、別表で計算した「ファッションセンターしまむらの売場坪当り年間経費コスト額」22.8万円を使って、この店の損益、営業利益を計算して見ますと、次のようになります。

年間粗利益額8400万円-(売場坪当り年間経費コスト額22.8万円×売場坪数350坪)・年間販売管理費合計7980万円≒営業利益420万円

この計算では、この店は、ここで設定した条件、①年間坪当り売上高80万円、②年間売上高2億8000万円、③粗利益率30%、④売場坪当り年間経費コスト額22.8万円、⑤年間経費コスト総額7980万円、これを初年度に確保できれば、開店1年目で営業利益が出せて赤字にはならないだろうと推測されます。別な言い方をすれば、この店の売場坪当り年間損益分岐点売上高は約80万円ということになります。

ちょっとややこしい言い方になってしまって申し訳ありませんが、ともかく、お伝えしたかったことは、「ファッションセンターしまむら」の売場坪当り年間損益分岐点売上高は、大雑把な計算ではありましたが、約80万円前後という、とても低い数字であると考えられますよということです。もっと精密な計算をするべきですが、手元にある資料ではここまでです。正確な自店資料・データを基に計算できる「あなたの店の売場坪当り年間損益分岐点売上高」はいくらになるか、計算したことはありますか? 是非、やってみることをおすすめします。

  「売場坪当り年間損益分岐点売上高」について考えて見ました。 完

  

   

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経営課題:「しまむらの値下率」

■高速回転の商品経営をやっている「しまむら」の値下率は低い。   

衣料品の商売では、「商品回転が速い店の値下率は低い」と言われます。ファッションセンターしまむと大手GMS、両者の商品回転率(日数)、値下率を比較してみると、このこと、すなわち、「高速回転の店の値下率は、低速回転の店よりも値下率が何ポイントも低い」ということが良く分かります。「高速回転の商品経営をやっている店の値下率は低い」、これは、言われているとおり、否定することのできない事実ではないでしょうか。

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■ディリーファッションストア業界・最大手・最強の「ファッションセンターしまむら」は、商品回転日数重視の商品経営に徹しています。量販総合衣料品店チェーンのなかでは、おそらく、しまむらの商品回転日数が最も速いのではないかと思います。大手GMSの衣料部門、食品スーパーの直営衣料部門、しまむらと同業の他のディリーファッションストア、このなかで、しまむらより速い回転日数のをあげている店は見当たらないように思います。

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■表は、高速回転の商品経営を押し進めている「しまむら」の過去10ヵ年の値下率実績推移等をまとめたものです。過去10年間における値下率は、低い方の数値で3.1%、高い方は5.2%となっています。この10年間の年間商品回転率は低い方で8回転、高い方で12回転です。これは、ディリーファッションストア業界だけでなく、GMSも含めた量販総合衣料品店チェーンではトップレベルと言っていいのではないかと思います。(現在の、しまむらの年間商品回転率は推計10回転)

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■大手GMS、イオン、ユニー、イズミ、3社の衣料部門の粗利益率、年在庫回転率、商品回転日数、値下率は別表の通りです。一見、「高い粗利益率をあげている良いかたちの商品経営」に見えます。しかし、本当の姿は、「高売価、高値入率、低速回転、高値下率」という商品経営です。その背景には、「GMSの、どうしょうもないほど高コストになってしまった経営構造」があります。これある限り、GMSの衣料部門の商品経営はよくなりません。

衣料品の商売で、「正攻法の商品経営」をやっている店は?

高速回転→商品回転日数重視の商品経営、出来る限り低く抑えた値入率→GMS、食品SMの直営衣料部門、しまむらと同業の他のディリーファッションストアと相対的比較で。また、「直流」の進展でもっと値入率はとれるのに、あえて少しの幅しか上げない、売価政策は低価格重視の政策→②と同じく相対的比較で、低い値下率→低価格政策、高速回転の商品経営なら当然、これが「ファッションセンターしまむらの商品経営」です。

数字で見た衣料品の商売は、これが「正しい」というか、「正攻法の商品経営」と言えるのではないかと思います。交差比率で見ても、GMSの衣料部門は、せいぜい、粗利益率38%×年回転率5.5回=209です。それに比べ、ファッションセンターしまむらは、低くても、(A)粗利益率30%×年回転率8回=交差比率240、高い方では、(B)粗利益率30%×10回転=交差比率300、になります。その差は歴然としています。いろいろのかたちの「正しい商品経営」があるのかもしれませんが、あなたのお店の商品経営はどんなかたちになっているでしょうか。しまむらタイプか、それともGMSタイプか、はたまた、まったく別のタイプか、よくよく分析されてみる必要があると思います。最後に一言、余計なお世話かもしれませんが、「しまむらタイプ」からほど遠いかたちであれば、至急、改善改革に着手されることをおすすめします。     

       完

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業界動向:数字で見る「サンキの実力」

ディリーファッションストア業界No.2 「株式会社三喜の実力」は?  

株式会社三喜(以下、サンキと略)は、つい最近、三喜協同衣料(札幌)を関連子会社に組み入れました。したがって、連結決算をすれば、ディリーファッションストア業界では第1位の「ファッションセンターしまむら」に次ぐ、第二位の大手企業になったと考えられます。

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■サンキのここ数年の出店を見ますと、売場面積規模1000坪の大型店舗を出店しています。これは、ディリーファッションストアでは異色と言っていいでしょう。ファッションセンターしまむらの今の標準店舗規模は約360坪~390坪、パシオスが約450坪~550坪、サミットコルモで約300坪、これがディリーファッションストア大手の標準店舗規模です。これと比べると、サンキが最近出店した店舗の大きさが目立ちます。

しかし、競争面から考えますと、店舗の売場面積規模が競争相手より大きいことはとても有利な条件であることは言うまでもありません。問題は、その大きな売場面積、たとえば、1000坪という規模の店舗を「まわすことができる実力」、商品経営力、商店経営力がその企業にあるかどうかです。サンキは間違いなくその実力を持っていると考えていますが、それはそれとして、営業実績、経営計数実績面から見た「サンキの実力」はどうなのだろうと思いまして、各年度別損益計算書を時系列に調べてみました。

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■表は、サンキの各年度別損益計算書から作成した利益効率数値です。これを見ますと、営業利益率、経常利益率、税前利益率、ともに、ディリーファッションストア業界では、かなり優秀な方に入るのではないかと思われます。たとえば、パシオス、サミットコルモとの比較ならサンキが上でしょう。財務収支構造も安定していますから、「サンキの実力」は相当なものと言っていいのではないでしょうか。

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■しかし、株式会社しまむらと比較すれば、営業利益率、掲経常利益率、税前純利益率、そして、当期純利益率、いずれも、サンキは「ほぼ、しまむらの半分」という数値です。とりわけ、しまむらの中国での生産・加工・物流、いわゆる、「直流」が軌道にのり、拡大していくにつれ、各利益効率数値の差がさらに開いています。この差は、今後、より拡大することはあっても、縮まることはないのではないかと思います。「サンキの実力」は、ディリーファッションストア業界ではかなり優秀と言えるレベルにあるとは言えますが、それでも、第一位・「ファッションストアしまむら」と比べれると、その力の差の開きは大きく、追いつき、追い越すことはとても難しいだろうと考えられます。

「サンキとしまむら」の企業力、総合経営力を経営利益計数面から比較すれば、以上のような結果になるだろうと思います。しかし、「だから、サンキは、しまむらにとても敵わない」というわけではありません。小売店の競争には、企業対企業の競争もありますが、「個店対個店の競争」の方が、より大事で、この競争で負けていなければ、そう簡単に「潰れたり、潰されたりする」ことはないからです。。サンキは、しまむらとの「個店対個店の競争」では勝っている店を結構、持っています。また、財務収支、資金繰り面も安定していると考えられますから、その実力は、決して低くはありません。侮れない強さを持っています。したがって、ディリーファッションストア業界における「サンキの実力」は、「しまむらには負けるところもあるが、個店対個店の競争では勝てる店をつくれる実力」、そして、「業界ではナンバーツーの実力」、であると言ってもいいのではないかと思います。サンキに対するこの評価をあなたはどうお考えになりますか・・・・・。

  数字で見る「サンキの実力」   完

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